JP4037798B2 - 地中掘削装置及びこの地中掘削装置を利用したシールド装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、地中に横坑やトンネル等を構築する際に使用される地中掘削装置及びこの地中掘装置を利用したシールド装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、地中に横坑やトンネル等を構築する際には、シールド装置を使用する場合と、推進装置を使用する場合とがある。上記シールド装置は、筒体と、この筒体の先端に設けられたカッターヘッドと、上記筒体内に配設されてなるとともに上記カッターヘッドを回転駆動させるモータを備えている。また、この筒体の背面側内部には、内部においてそれぞれ円弧状に成形された複数のセグメントをリング状に連結する作業を行うための作業空間が形成されているとともに、このシールド装置全体を前方に移動させるためのジャッキが配設されている。したがって、上記従来のシールド装置によりトンネル等を構築する場合には、上記作業空間内において、上記各セグメントをリング状に連結させる作業が終了すると、次いで、該リング状に連結されたセグメントの正面に、上記ジャッキの一端を当接させ該ジャッキが伸張するよう駆動させるとともに、上記カッターヘッドを回転駆動させ地中を掘削する。こうした工程により、このシールド装置全体を前進させ、所定の長さ(セグメントの幅)前進させると、さらにこの要領で、上記セグメントをリング状に連結させ、シールド装置全体を前進させる。
【0003】
一方、上記推進装置は、上記シールド装置と同じように、筒体と、この筒体の先端に設けられたカッターヘッドと、上記筒体内に配設されてなるとともに上記カッターヘッドを回転駆動させるモータを備えている。そして、こうした構成に係る推進機を使用してトンネル等を構築する場合には、該推進装置に後続する複数のパイプの最後尾にジャッキを設置し、このジャッキを駆動させるとともに、上記カッターヘッドを回転駆動させることにより、推進装置及び複数のパイプ全体を先進させ、所定の長さ(パイプの長さ)前進させると、再度上記複数のパイプの最後尾に新たなパイプを接続し、再度上記ジャッキを駆動させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のシールド装置や推進装置は、それぞれ基本的構成が共通するにも拘らず、工法上の相違からそれぞれ別個に製造され使用されているのが実情であり、極めて不経済であると同時に、トンネル等の構築コストも増大しており、さらには、多数のシールド装置と推進装置とをそれぞれ保管しなければならない。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来のシールド装置や推進装置が有する課題を解決するために提案されたものであって、シールド筒の先端を挿入することによりシールド装置として利用することができるとともに、推進装置としても利用することができる新規な地中掘削装置及び上記筒体を構成要素とした新規なシールド装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、地中掘削装置に係るものであって、筒体と、この筒体の先端に設けられたカッターヘッドと、上記筒体内に配設され上記カッターヘッドを回転させる駆動装置とを備えた地中掘削装置において、上記筒体の背面側の外径は、内部において複数のセグメントをリング状に連結する作業空間が形成されたシールド筒の外径と同じ寸法とされ、内径は、該シールド筒の先端に形成された小径部の外径と略同じ寸法とされてなるとともに、該筒体の背面側の内周面には、この地中掘削装置に後続するパイプの正面に当接する当接部材が形成されてなり、上記筒体の基端側にシールド筒の先端に形成された小径部を挿入することにより、シールド装置として利用することもできるとともに、該筒体の内周面に形成された当接部にパイプの正面を当接して後続させることにより、推進装置として利用できることを特徴とするものである。
【0007】
この第1の発明では、筒体の背面側の外径は、内部において複数のセグメントをリング状に連結する作業空間が形成されたシールド筒の外径と同じ寸法とされ、内径は、該シールド筒の先端に形成された小径部の外径と略同じ寸法とされてなるとともに、該筒体の背面側の内周面には、この地中掘削装置に後続するパイプの正面に当接する当接部材が形成されてなり、上記筒体の基端側にシールド筒の先端に形成された小径部を挿入することにより、シールド装置として利用することもできるとともに、該筒体の内周面に形成された当接部にパイプの正面を当接して後続させることにより、推進装置として利用できる。したがって、この第1の発明によれば、同一の地中掘削装置を、シールド工法においても推進工法においても利用することができ、それぞれ別個に推進装置やシールド装置を製造し、保管する必要性もないことから、推進工法又はシールド工法を安価に施工することができる。
【0008】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、シールド装置に係るものであって、地中掘削装置を構成する筒体の背面側には、前記シールド筒の先端に形成された小径部が挿通されてなることを特徴とするものである。
【0009】
この第2の発明に係るシールド装置では、前記地中掘削装置を構成する筒体の背面側には、前記シールド筒の先端に形成された小径部が挿通されてなることから、このシールド筒を地中掘削装置から取り外すことにより、推進装置として利用することができるので、前記第1の発明と同じように、それぞれ別個に推進装置やシールド装置を製造し、保管する必要性もないことから、推進工法又はシールド工法を安価に施工することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る地中掘削装置及びこの地中掘削装置を利用したシールド装置の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
この実施の形態に係る地中掘削装置1は、図1に示すように、筒体2と、この筒体2の先端に配設されたカッターヘッド3とを備えている。上記筒体2は、第1乃至第5の筒部材4・・・8から構成されてなるものであって、上記第1の筒部材4は、この地中掘削装置1の先端に位置している。なお、これら第1乃至第5の筒部材4・・・8の外径は、後述するシールド筒の外径と同じ寸法に成形されている。また、上記第2の筒部材5は、上記第1の筒体4の背面側においてやや屈曲可能に連結されており、この第2の筒部材5の背面側には第3の筒部材6が固定され、さらに、この第3の筒部材6の背面側には第4の筒部材7が固定され、最後尾には第5の筒部材8が固定されている。そして、上記第1の筒部材4の先端には、上記カッターヘッド3が回動自在に配設され、このカッターヘッド3には、地中を掘削する多数のカッタービット3aが固定されている。なお、このカッターヘッド3には、上記カッタービット3aにより掘削された泥土が上記筒体2内に流入する複数の開口(符号は省略する。)が形成されている。また、上記第1の筒部材4内には、内側が略すり鉢状に成形されてなるとともに上記カッターヘッド3と一体的に回転するアウターコーン9が配設され、このアウターコーン9の中心には、上記カッターヘッド3の中心に軸支されてなるとともに正面側から背面側にかけて徐々に大径化されてなるインナーコーン10が設けられており、これらアウターコーン9とインナーコーン10との背面側には、仕切り板11が固定されている。
【0012】
また、上記仕切り板11の背面側には、上記アウターコーン9及びカッターヘッド3を回転駆動させるモータ12が固定されている。また、上記仕切り板11には、上記アウターコーン9とインナーコーン10との間に流入した泥土が流入する図示しない開口が形成され、該仕切り板11の背面には、上記開口に流入した泥土が流入する排泥管群13の先端が固定されている。なお、排泥管群13の先端は、上記第1の筒部材4内に位置し、基端側は上記第3の筒状部材6内に位置している。また、上記第1の筒部材4と第2の筒部材5との内側には、複数の方向修正ジャッキ14が配設され、この地中掘削装置1では、これらの方向修正ジャッキ14の駆動により、上記カッターヘッド3が配設された第1の筒部材4の方向が修正できるように構成されている。
【0013】
また、上記排泥管群13の最後尾には、排泥パイプ15の基端が固定され、該排泥パイプ15の先端側は、排泥タンク16内に臨まされている。この排泥タンク16は、上記第4の筒部材7内に設置されており、この排泥タンク16には、該排泥タンク16内の泥土を地上に排出する排泥チューブ17の基端が固定されている。
【0014】
そして、上記筒体2を構成する第5の筒部材8は、内径が後述するシールド筒を構成する小径部の外径と略同じ寸法に成形され、内周面にはリング状の当接部材18が溶接されている。この当接部材18は、後述するシールド工法を行う際に使用されるシールド筒の先端や推進工法により地中に連続して敷設されるパイプの先端面が当接する部位であり、図2に示すように、複数の補強用リブ18aが溶接されている。
【0015】
次に、上述した地中掘削装置1を利用してシールド工法を行う際に、該地中掘削装置1と一体的に使用されるとともに、シールド装置の一部を構成するシールド筒20について、図面を参照しながら詳細に説明する。このシールド筒20は、図3に示すように、筒本体21と、この筒本体21内に固定された複数のシールドジャッキ22とを備えている。上記筒本体21は、円弧状に成形された多数のセグメントCの左右及び前後を互いに連結させ全体として円筒状のトンネルTを形成する作業を行う作業空間Sが内部に形成されてなるものである。そして、この筒本体21の背面側には、筒状の薄肉部21aが形成され、この薄肉部21aの基端側内周面には、第1のテールシール23の基端が固定され、先端側内周面には、第2のテールシール24が固定されている。これら第1及び第2のテールシール23,24は、ゴム等の素材によりそれぞれリング状に成形されてなるものであり、上記トンネルTの外径より短い内径とされてなるものである。これら第1及び第2のテールシール23,24は、内側に上記トンネルTが挿通されることにより撓んで該トンネルTの外周面に密着し、このシールド筒20の内周面と上記多数のセグメントCにより円筒状に成形されたトンネルTの外周面との間から地下水等が浸入することを防止するためのものである。また、上記シールドジャッキ22は、図4に示すように、全部で4つ固定されている。そして、これら4つのシールドジャッキ22の先端には、図5に示すように、上記セグメントCの先端面に圧接する圧接部材25が固定されている。これらの圧接部材25は、それぞれ円弧状に成形されてなる板体であり、上記各セグメントCの曲率と同じ曲率に成形されている。
【0016】
また、上記筒本体21の外径は、前記地中掘削装置1を構成する筒体2の外径と同じ外径となされ、先端には、この筒体2を構成する第5の筒部材8の内径と略同じ外径となされた小径部21bが形成されている。そして、この小径部21bの先端には、上記地中掘削装置1を構成するリング状の当接部材18の背面に当接するとともに、該当接部材18の幅と同じ幅となされたリング部21cが形成されている。
【0017】
以下、図6を参照しながら、上述したシールド筒20を前記地中掘削装置1の後端側に連結させたシールド装置30について簡単に説明し、次いで、このシールド装置30を用いて行われるシールド工法について説明する。
【0018】
このシールド装置30は、上述したように、地中掘削装置1の後端に上記シールド筒20を連結させてなるものであり、該シールド筒20を構成する筒本体21の先端に形成された上記小径部21bが、上記第5の筒部材8の後端側から挿入され該小径部21bの先端に形成されたリング部21cが、前記当接部材18の背面に当接している。
【0019】
そして、このように構成されたシールド装置30によりシールド工法を行う場合には、上記シールド筒20内において、複数のセグメントCを図示しないボルト及びナットによりリング状に固定し、この固定作業が終了すると、次いで、上記シールドジャッキ22が伸張するよう駆動させ、該シールドジャッキ22の先端に固定された上記各圧接部材25の背面を上記セグメントCに圧接させる。なお、このようにシールドジャッキ22を駆動させる場合には、前述したカッターヘッド3も回転駆動させる。このように、シールドジャッキ22及びカッターヘッド3の駆動により、地中掘削装置1及びシールド筒20からなるシールド装置30は、徐々に前進する。そして、このように前進する過程で地中掘削装置1内に流入した泥土は、上記アウターコーン9とインナーコーン10との間から図示しない開口を通過し、さらに排泥管群13から排泥パイプ15を通過し、排泥タンク16内に流入した後に、排泥チューブ17内を通過して地上に排出される。そして、上記各シールドジャッキ22が伸張されシールド装置30全体が所定距離前進した後には、再び各シールドジャッキ22が縮小するよう駆動させ、再び上記セグメントCを固定する。抗した要領に従い上記多数のセグメントCによりトンネルTを形成する。
【0020】
一方、上述した地中掘削装置1を推進装置として使用する場合、すなわち、この地中掘削装置1により推進工法を行う場合には、地表から下方に形成された図示しない発進縦坑から搬入されたヒューム管(パイプ)Hの先端を、図7に示すように、この地中掘削装置1に形成された当接部材18の背面に当接させ、上記発進縦坑内に設置された図示しない押圧ジャッキを駆動させる。なお、このように、押圧ジャッキを駆動させる場合には、前述したカッターヘッド3も回転駆動させる。このように、押圧ジャッキ及びカッターヘッド3の駆動により、地中掘削装置1及びヒューム管Hは、徐々に前進する。なお、このように地中掘削装置1とヒューム管Hとの前進により該地中掘削装置1内に流入した泥土の移動は前述した通りである。そして、こうした動作を繰り返すことにより、地中には上記多数のヒューム管Hによりトンネルが形成される。
【0021】
このように、本実施の形態に係る地中掘削装置1によれば、前述したシールド筒20と連結させることにより、シールド装置30として利用することができるとともに、推進装置としても利用することができ、従来のように、それぞれ別個に製造する必要がない。したがって、この地中掘削装置1によれば、極めて経済的であると同時に、トンネル等の構築コストも低減させることができ、また、多数のシールド装置と推進装置とをそれぞれ保管する必要性もない。
【0022】
【発明の効果】
前述した本発明の一実施の形態の説明からも明らかなように、本発明(請求項1記載の発明)では、筒体の背面側の外径は、内部において複数のセグメントをリング状に連結する作業空間が形成されたシールド筒の外径と同じ寸法とされ、内径は、該シールド筒の先端に形成された小径部の外径と略同じ寸法とされてなるとともに、該筒体の背面側の内周面には、この地中掘削装置に後続するパイプの正面に当接する当接部材が形成されてなり、上記筒体の基端側にシールド筒の先端に形成された小径部を挿入することにより、シールド装置として利用することもできるとともに、該筒体の内周面に形成された当接部にパイプの正面を当接して後続させることにより、推進装置として利用できる。したがって、この第1の発明によれば、同一の地中掘削装置を、シールド工法においても推進工法においても利用することができ、それぞれ別個に推進装置やシールド装置を製造し、保管する必要性もないことから、推進工法又はシールド工法を安価に施工することができる。
【0023】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)に係るシールド装置では、前記地中掘削装置を構成する筒体の背面側には、前記シールド筒の先端に形成された小径部が挿通されてなることから、このシールド筒を地中掘削装置から取り外すことにより、推進装置として利用することができるので、前記第1の発明と同じように、それぞれ別個に推進装置やシールド装置を製造し、保管する必要性もないことから、推進工法又はシールド工法を安価に施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る地中掘削装置を示す側断面図である。
【図2】図1に示す地中掘削装置の背面図である。
【図3】シールド筒を示す側断面図である。
【図4】シールドジャッキの配設状態を示す背面図である。
【図5】シールドジャッキに固定された圧接部材の取付状態を示す背面図である。
【図6】図1に示す地中掘削装置と図3に示すシールド筒とを連結させシールド装置とした状態を示す側断面図である。
【図7】図1に示す地中掘削装置を利用してヒューム管を施工する状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
1 地中掘削装置
2 筒体
3 カッターヘッド
18 当接部材
20 シールド筒
21 筒本体
21b 小径部
S 作業空間
C セグメント
H ヒューム管
Claims (2)
- 筒体と、この筒体の先端に設けられたカッターヘッドと、上記筒体内に配設され上記カッターヘッドを回転させる駆動装置とを備えた地中掘削装置において、
上記筒体の背面側の外径は、内部において複数のセグメントをリング状に連結する作業空間が形成されたシールド筒の外径と同じ寸法とされ、内径は、該シールド筒の先端に形成された小径部の外径と略同じ寸法とされてなるとともに、該筒体の背面側の内周面には、この地中掘削装置に後続するパイプの正面に当接する当接部材が形成されてなり、
上記筒体の基端側にシールド筒の先端に形成された小径部を挿入することにより、シールド装置として利用することもできるとともに、
該筒体の内周面に形成された当接部にパイプの正面を当接して後続させることにより、推進装置として利用できることを特徴とする地中掘削装置。 - 前記地中掘削装置を構成する筒体の背面側には、前記シールド筒の先端に形成された小径部が挿通されてなることを特徴とするシールド装置。
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JP2003169710A JP4037798B2 (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 地中掘削装置及びこの地中掘削装置を利用したシールド装置 |
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CN104832182B (zh) * | 2015-03-17 | 2017-08-18 | 中铁工程装备集团有限公司 | 一种适应于1.2m管片的盾构机改造至适应于1.5m管片的方法 |
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- 2003-06-13 JP JP2003169710A patent/JP4037798B2/ja not_active Expired - Lifetime
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