JP4037763B2 - 乾燥装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷用紙上のインキを乾燥させるべく構成された乾燥装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印刷処理が行われた印刷用紙上のインキの乾燥を行う装置としては、従来から、印刷用紙に対して光を照射する乾燥装置が知られている。
【0003】
例えば、上記乾燥装置は、各色のインキ等にて印刷処理が行われる印刷ユニット毎に設けられており、各色のインキを用いた印刷処理の後、印刷用紙に対する乾燥装置からの光照射によって、印刷用紙上のインキの乾燥処理が行われている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭51−58108号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術においては、次のような問題があった。
【0006】
まず、上記従来技術においては、各色の印刷処理を行う印刷ユニット毎に乾燥装置が設けられているが、この構成によれば、使用する色の数だけ乾燥装置が必要となるため、装置が煩雑化・大型化するという問題があった。
【0007】
また、近年においては、各色毎ではなく、所定数のインキを重ねて印刷処理した後に、乾燥処理を行う構成の印刷機も知られている。このような構成を有する印刷機は、通常、多数の印刷用紙について連続的に印刷処理および搬送処理が行われるように構成され、かかる印刷機中に設けられている乾燥装置は、最も乾燥が困難な画像等を乾燥可能な出力に設定されている。すなわち、従来技術によれば、乾燥不良を無くすべく、乾燥困難な画像に合わせた出力設定に固定された状態で、多数の印刷用紙の乾燥処理が行われているため、比較的乾燥が容易な画像(例えばインキ量の少ない画像)等に対しては、過剰なエネルギが照射されることとなっていた。
したがって、このような構成によれば、無駄な電力を消費することとなり、加えて、印刷機や印刷工場の温度上昇も招いていた。
【0008】
さらに、従来技術においては、印刷画像のインキの重なり具合、インキの種類、およびインキの色等から目視判断して、作業者が乾燥装置の光照射の出力を決定(調整)していたため、経験と勘とを必要とし、経験の浅い作業者には、その調整作業が困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、比較的簡単な構成に基づき、印刷用紙上に画像を形成する際に使用される印刷画像データを用いて、自動的に放射線の照射出力を調整することができる、乾燥装置を提供することを課題とする。すなわち、経験等を特に必要とせず、エネルギを効率的に使用することができる、乾燥装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであって、複数の印刷ユニットにて印刷された後の印刷用紙上のインキを乾燥させるべく、前記印刷用紙に対して放射線を照射する放射線照射手段と、前記放射線照射手段の出力を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が、前記印刷用紙上に画像を形成する際に使用される印刷画像データを用いて演算される出力制御係数に基づき、前記放射線照射手段の出力を制御すべく構成され、前記出力制御係数が、画像の重なり合い状態を示す重合係数及び前記インキの色毎に定められた色係数に基づいて演算され、印刷用紙上の複数の印刷領域のそれぞれで重なり合っている全ての色についての重合係数と色係数との積を計算し、それら全ての色の積を足し合わせることによって各印刷領域についての前記出力制御係数をそれぞれ演算し、演算された出力制御係数のうちの最も大きな値の出力制御係数に基づいて前記放射線照射手段の出力を制御すべく構成されていることを特徴としている。
例えば、前記印刷画像データから得られるインキの重なり具合等を用いて前記出力制御係数を演算して、この出力制御係数に基づいて、前記放射線照射手段の出力が制御される。従来であれば、インキの重なり等を目視判断して、照射出力等を設定していたが、本発明によれば、自動的に前記出力制御係数が演算可能で、且つこの係数に基づいて、前記放射線照射手段の出力を制御することができる。したがって、本発明によれば、経験等を特に必要とせず、エネルギを効率的に使用可能な乾燥装置を得ることができる。前記出力制御係数が、前記インキの色毎に定められた色係数を用いて得られる画像係数に基づいて演算される構成が好ましい。なお、前記色係数は、インキの種類等に応じて任意に設定可能であり、例えば、ブラックの色係数が1.5、シアンの色係数が1.3、マゼンタの色係数が1.2、イエロの色係数が1.0等に定めることが可能である。
また、本発明にかかる乾燥装置においては、印刷用紙上の複数の印刷領域のそれぞれで重なり合っている全ての色についての重合係数と色係数との積を計算し、それら全ての色の積を足し合わせることによって各印刷領域についての前記出力制御係数をそれぞれ演算し、演算された出力制御係数のうちの最も大きな値の出力制御係数に基づいて前記放射線照射手段の出力を制御すべく構成されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明にかかる乾燥装置においては、前記出力制御係数が、印刷処理の速度に関する印刷速度係数に基づいて演算される構成が好ましい。
【0013】
また、本発明にかかる乾燥装置においては、前記出力制御係数が、前記インキの種類により定められたインキ係数に基づいて演算される構成が好ましい。
【0014】
また、本発明にかかる乾燥装置においては、前記出力制御係数が、前記印刷用紙の種類により定められた用紙係数に基づいて演算される構成が好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態にかかる印刷機の概略図を示したものである。この図1に示すように、本実施形態にかかる印刷機は、給紙部1と、印刷部2と、排紙部3とを用いて構成されている。
【0017】
印刷部2は、複数の印刷ユニット21(第一印刷ユニット21a〜第六印刷ユニット21f)を有しており、本実施形態においては、各印刷ユニット21にて、一色のインキを用いた印刷処理が実施可能に構成されている。また、第二印刷ユニット21bと第三印刷ユニット21cとの間には、引き渡し胴22、貯え胴23、および反転胴24が設けられており、本実施形態においては、必要に応じて、片面印刷と両面印刷とが切り替え可能に構成されている。すなわち、片面印刷の場合には、第一〜第六印刷ユニット21a〜21fを用いて六色印刷が可能であり、両面印刷の場合には、上流側の第一および第二印刷ユニット21a,21bにて一方の面に二色印刷が行われた後、反転胴24にて印刷用紙の表裏を反転させて、下流側の第三〜第六印刷ユニット21c〜21fにて他方の面に四色印刷を行うことができる。
【0018】
また、この印刷部2には、貯え胴23の上方位置に、紫外線(本発明の「放射線」に相当)を照射する照射手段(本発明の「放射線照射手段」に相当)を備えた、第一乾燥装置25が設けられている。本実施形態においては、この第一乾燥装置25から照射される紫外線を適切に制御することによって、印刷用紙上のインキを効率的に乾燥(硬化)させることができる。
なお、この第一乾燥装置25の具体的な制御方法については、後述する。
【0019】
排紙部3は、印刷部2にて印刷処理が終了した印刷用紙を搬送排出すべく構成されており、搬送部31の上方位置には、排出時に印刷用紙の乾燥処理を行うために、紫外線照射手段(本発明の「放射線照射手段」に相当)を備えた第二乾燥装置35が設けられている。この第二乾燥装置35も、上記第一乾燥装置25と同様に、照射される紫外線を適切に制御することによって、印刷用紙上のインキを効率的に乾燥(硬化)させるべく構成されている。
なお、この第二乾燥装置35も、基本的には、第一乾燥装置25と同様な方法で制御されており、具体的な制御方法については後述する。
【0020】
図2は、本実施形態にかかる印刷機を構成する乾燥装置を制御する際のフローチャートを示したものである。
【0021】
図2に示すように、本実施形態においては、まずはじめに、印刷用紙上に画像を形成する際に使用される印刷画像データが、乾燥装置25,35を制御する制御装置(本発明の「制御手段」に相当)(図示省略)に読み込まれる(ステップS201)。
ここで、「印刷画像データ」とは、印刷用紙上に形成される画像および文字等の具体的な形および使用されるインキの色等を含んだデータである。
【0022】
次いで、制御装置においては、読み込まれた印刷画像データに基づいて、出力制御係数の演算処理が行われる(ステップS202)。ここで、出力制御係数は、例えば、画像の重なり合い状態を示す係数(以下、「重合係数」という。)、およびインキの色係数に基づいて演算される。
【0023】
具体的には、画像の重なり合いが無い場合(すなわち、一色で一層の印刷処理がなされている場合)の重合係数Jは「1」とし、画像の重なり合いが二つの場合(一色で二層の印刷処理、あるいは二色(一層ずつ)の印刷処理がなされている場合)の重合係数Jは「2」として、同様に、三層〜六層(同色か異色かに関わらず)の印刷処理がなされている場合、重合係数Jは「3〜6」とする。
また、インキの色係数Iは、例えば、ブラック(K)の色係数Ikを「1.5」とし、シアン(C)の色係数Icを「1.3」とし、マゼンタ(M)の色係数Imを「1.2」とし、イエロ(Y)の色係数Iyを「1.0」とする。
そして、本実施形態においては、その箇所における色毎の「重合係数と色係数との積」を計算し、重なり合っている全ての色についての「重合係数と色係数との積」を足し合わせることによって出力制御係数Sが演算され、その印刷用紙上で最も大きな値となる出力制御係数Sによって、その印刷用紙に関する乾燥処理が行われることとなる。
なお、出力制御係数Sの演算方法については、後述する。
【0024】
次いで、ステップS202で演算された出力制御係数Sに基づいて、乾燥装置25,35の出力が制御されて、それぞれの乾燥装置25,35下に搬送されてくる印刷用紙(のインキ)についての乾燥処理が行われる(ステップS203)。
例えば、出力制御係数Sの大きさに応じて、乾燥装置25,35を成す紫外線照射装置に供給される電圧を比例的に制御して、その画像に対して適切な紫外線を照射する。
【0025】
次いで、乾燥処理を終了するか否かの判断がなされる(ステップS204)。
具体的には、印刷機のストップボタンが操作されたか否か、あるいは印刷用紙の詰まり等が発生したかどうか(すなわち、非常停止すべき状態か否か)等が判断され、何等かの理由で印刷機を停止する必要がある場合には(S204にてYes)、乾燥装置25,35における乾燥処理を終了させる。
【0026】
次いで、乾燥処理を終了する必要がない(乾燥処理を継続して行う)場合には(S204にてNo)、次に乾燥処理を行う印刷用紙上に形成されている画像が先に乾燥処理を行った画像と異なる他の印刷画像データによるものか否かの判断がなされる(ステップS205)。
【0027】
そして、先の画像と同様の画像である場合には(S205にてNo)、先に演算し設定された出力制御係数Sに基づく乾燥処理が行われることとなるため、再びステップS203以降の処理が行われる。
一方、先の画像と異なる場合には(S205にてYes)、その新たな画像を形成するための印刷画像データを読み込み、この印刷画像データから新たな出力制御係数Sを演算する必要があるため、再びステップS201以降の処理が行われる。
【0028】
すなわち、本実施形態においては、上述したように、乾燥処理が行われる印刷用紙毎に、出力制御係数Sが自動的に演算されて、その出力制御係数Sに基づいて乾燥処理が行われるため、経験等を特に必要とせず、エネルギを効率的に使用可能な乾燥装置を得ることができる。
【0029】
なお、この図2においては、各印刷用紙の乾燥処理の直前に、出力制御係数の演算処理(S202)を行う場合について示しているが、本発明は、この構成に限定されない。したがって、例えば、予め各印刷画像データについての出力制御係数を演算しておき、各印刷画像データと出力制御係数とを関連づけて、制御装置あるいは他の記憶装置に記憶しておき、必要に応じて、それらの記憶されたデータに基づいて、乾燥装置を制御すべく構成してもよい。
【0030】
次に、図3を用いて、出力制御係数Sの具体的な演算方法について説明する。
【0031】
ここで、図3は、印刷用紙上に形成される画像の一例を示したものである。つまり、読み込まれた印刷画像データの情報によって形成される画像を示したものであるため、この図3に示された画像そのものが、印刷画像データの全てを有するものである。
【0032】
この図3によれば、印刷用紙40上には、シアン層41、第一イエロ層42、第二イエロ層43、マゼンタ層44、第一ブラック層45、および第二ブラック層46が形成されており、上流側の印刷ユニット(第一および第二ユニット21a,21b)にて、第一イエロ層42と第一ブラック層45とが形成されるものとする。
【0033】
上述したように、印刷機の上流側の印刷ユニット21a,21bにおいては、印刷用紙40上に第一イエロ層42と第一ブラック層45とが印刷される。したがって、第一乾燥装置25は、これらの画像を形成する印刷画像データに基づいて演算された制御係数Sによって(S202)、その出力が適切に制御される(S203)。
【0034】
具体的には、この第一乾燥装置25下の印刷用紙40には、第一イエロ層42にて形成された第一印刷領域Aと、第一ブラック層45にて形成された第二印刷領域Bとが印刷されているため、これらの各領域A,Bについての出力制御係数SA,SBを演算した後、より大きな値(最大)の出力制御係数に基づいて、第一乾燥装置25の出力が制御される。
【0035】
ここで、出力制御係数Sは、先にも説明したように、重なり合っている全ての色についての「重合係数と色係数との積」を足し合わせることによって演算される。これを数式で示せば、以下のようになる。
【0036】
【数1】
S=(Ik×J)+(Ic×J)+(Im×J)+(Iy×J)
ここで、Ik:ブラックの色係数(例えば、1.5)
Ic:シアンの色係数 (例えば、1.3)
Im:マゼンタの色係数(例えば、1.2)
Iy:イエロの色係数 (例えば、1.0)
J :重合係数
【0037】
上記数1に基づき、それぞれの領域A,Bについての出力制御係数SA,SBを演算すると、
Figure 0004037763
となる。
【0038】
したがって、第一乾燥装置25は、最大の出力制御係数SB(=1.5)に基づいて、出力制御が行われることとなる。
【0039】
次いで、第二乾燥装置35下の印刷用紙40について考えると、この際には、図3に示した全ての画像が形成されており、第一乾燥装置25においては、第一イエロ層42および第一ブラック層45についての乾燥処理が行われているため、乾燥処理の対象は、シアン層41、第二イエロ層43、マゼンタ層44、および第二ブラック層46となる。したがって、これらについての出力制御係数Sを演算し、より大きな値の出力制御係数に基づいて、第二乾燥装置35の出力が制御される。
【0040】
図3によれば、下流側の印刷ユニット21c〜21fにて印刷された各層については、シアン層41、第二イエロ層43、およびマゼンタ層44が重なり合った領域Dと、マゼンタ層44および第二ブラック層46が重なり合った領域Eとのいずれかが最大の出力制御係数となることが明らかである。
【0041】
そこで、それぞれの出力制御係数SD,SEを、先に説明した数1にて演算すると、
Figure 0004037763
となる。
【0042】
したがって、第二乾燥装置35は、最大の出力制御係数SD(=3.5)に基づいて、出力制御が行われることとなる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態においては、連続して印刷処理がなされる印刷用紙(枚葉紙)毎に、その印刷用紙に画像を形成する際に使用される印刷画像データを用いて出力制御係数Sを演算し、かかる出力制御係数Sに基づいて、乾燥装置25,35の出力が制御されている。本実施形態においては、乾燥装置25,35は、紫外線照射手段を用いて構成されているため、具体的には、出力制御係数Sに基づいて、紫外線照射手段の照射出力が制御されている。
【0044】
したがって、本実施形態によれば、印刷用紙上に画像を形成する際に使用される印刷画像データを用いて、印刷用紙毎に自動的に紫外線(放射線)の照射出力を適切に調整することが可能となるため、作業者が手動にて照射出力の調整等を行う必要がない。よって、本実施形態によれば、経験等を特に必要とせず、エネルギを効率的に使用し得る、乾燥装置を得ることができる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0046】
上記実施形態においては、第二印刷ユニット21bと第三印刷ユニット21cとの間に第一乾燥装置25を設け、印刷部2の下流側に第二乾燥装置35を設ける場合(すなわち、二つの乾燥装置25,35を設ける場合)について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、一つの乾燥装置(例えば第二乾燥装置35のみ)を設けた構成の印刷機であっても、上述した出力制御係数を用いることによって、効率的に乾燥装置35を制御可能である。
【0047】
具体的に図3を用いて説明する。図3の全ての層(六層)が印刷処理された後に、第二乾燥装置35のみで乾燥処理が行われる場合には、複数層が重なり合った領域は、先に演算した領域D,Eの他に、新たに二つの領域F,Gが生ずることとなるため、これらの領域F,Gについての出力制御係数SF,SGを演算する必要がある。
【0048】
そこで、これらの出力制御係数SF,SGを、先に説明した数1にて演算すると、
Figure 0004037763
となり、先の演算結果から、出力制御係数SD,SEは、
D=3.5
E=2.7
であるため、
D>SG>SE>SF
となる。
【0049】
したがって、印刷ユニットの途中に乾燥装置を有さず、印刷部2の下流側に設けられた乾燥装置35のみにて、図3に示したような印刷用紙40上の画像の乾燥処理を行う場合には、最大の出力制御係数SD(=3.5)に基づいて、乾燥装置35の出力制御が行われることとなる。
【0050】
また、上記実施形態においては、画像の重なり具合(重合係数J)とインキの色(色係数I)とに基づいて、出力制御係数Sが演算される場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、必要に応じて、これらのいずれかのみを用いて出力制御係数Sとしてもよい。さらに、これら以外の係数(以下、「他の係数」ともいう。)を用いて出力制御係数Sを演算してもよく、あるいは、重合係数Jおよび色係数Iの少なくとも一方と、他の係数の少なくとも一つとを用いて出力制御係数Sを演算してもよい。
他の係数としては、インキの種類(材質、粘度、メーカ等)により定められるインキ係数、印刷用紙(被印刷物)の種類(材質(紙、樹脂フィルム、アルミ蒸着紙等)、メーカ等)により定められる用紙係数、あるいは印刷処理の速度(印刷用紙搬送速度等)により定められる印刷速度係数、インキの厚さにより定められるインキ厚係数等があげられる。
例えば、印刷処理の速度が速い場合には、乾燥装置からの照射時間が短くなるため、その速度に応じて予め係数を定めておき(例えば速度に比例して乾燥装置の出力が上昇するように係数を定めておき)、出力制御係数Sの演算を行う。
【0051】
さらに、上記実施形態においては、放射線として、紫外線を用いる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、必要に応じて、他の放射線を用いてもよい。かかる放射線としては、例えば、赤外線、電子線等があげられる。
【0052】
また、上記実施形態においては、印刷用紙の画像全体の中の最も乾きにくい部分を適切に乾燥させるべく、一つの乾燥装置(紫外線照射手段)の出力を調整する場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。したがって、例えば、乾燥装置が複数の放射線照射手段を用いて構成されている場合には、それぞれの照射手段が担当する領域毎に出力制御係数を演算して、それぞれの出力制御係数に基づいて、各照射手段の調整を行ってもよい。このような構成とすれば、より効率的に乾燥処理を実施可能な乾燥装置を得ることができる。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる乾燥装置においては、印刷用紙毎に、その印刷用紙に形成される画像の印刷画像データを用いて出力制御係数が演算され、この出力制御計数に基づいて、自動的に放射線照射手段(紫外線照射手段)の出力が制御される。
したがって、本発明によれば、比較的簡単な構成によって、経験等を特に必要とせず、エネルギを効率的に使用することができる、乾燥装置を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる印刷機の概略図である。
【図2】図1に示された印刷機を成す乾燥装置を制御する際のフローチャートである。
【図3】図1に示された印刷機によって印刷用紙上に形成される画像の一例である。
【符号の説明】
1…給紙部
2…印刷部
3…排紙部
21(21a〜21f)…印刷ユニット(第一印刷ユニット〜第六印刷ユニット)
22…引き渡し胴
23…貯え胴
24…反転胴
25…第一乾燥装置
31…搬送部
35…第二乾燥装置

Claims (4)

  1. 複数の印刷ユニットにて印刷された後の印刷用紙上のインキを乾燥させるべく、前記印刷用紙に対して放射線を照射する放射線照射手段と、前記放射線照射手段の出力を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段が、前記印刷用紙上に画像を形成する際に使用される印刷画像データを用いて演算される出力制御係数に基づき、前記放射線照射手段の出力を制御すべく構成され、前記出力制御係数が、画像の重なり合い状態を示す重合係数及び前記インキの色毎に定められた色係数に基づいて演算され、印刷用紙上の複数の印刷領域のそれぞれで重なり合っている全ての色についての重合係数と色係数との積を計算し、それら全ての色の積を足し合わせることによって各印刷領域についての前記出力制御係数をそれぞれ演算し、演算された出力制御係数のうちの最も大きな値の出力制御係数に基づいて前記放射線照射手段の出力を制御すべく構成されていることを特徴とする乾燥装置。
  2. 前記出力制御係数が、印刷処理の速度に関する印刷速度係数に基づいて演算される請求項に記載の乾燥装置。
  3. 前記出力制御係数が、前記インキの種類により定められたインキ係数に基づいて演算される請求項1又は2に記載の乾燥装置。
  4. 前記出力制御係数が、前記印刷用紙の種類により定められた用紙係数に基づいて演算される請求項1からのいずれか1項に記載の乾燥装置。
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