JP4037509B2 - 粘着剤組成物、並びにその医療用粘着テープおよびシート - Google Patents

粘着剤組成物、並びにその医療用粘着テープおよびシート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着剤組成物および、支持体の片面に粘着剤組成物からなる粘着剤層が設けられた医療用粘着テープおよびシートに関する。
【0002】
さらに詳しくは、貼り付け時の透湿性を付与し、さらに剥離時の毛むしりや皮膚角質剥離などの物理的刺激が殆どない低刺激性であって、かつ、粘着剤の粘着性の損なわれない医療用粘着テープおよびシートに関するものである。
【0003】
【従来の技術】
一般に、医療用粘着テープおよびシートは、医療用プラスター、絆創膏、手術用ドレシング、手術用ドレープなどとして用いられ、粘着剤としては天然ゴムやポリイソプレンゴムなどのゴム弾性体と粘着付与樹脂と軟化剤を配合してなるゴム系粘着剤を用いたものである。しかしこのようなゴム弾性体を主体とする粘着剤層を備えた医療用粘着テープおよびシートは、貼付時の粘着性が優れている反面、剥離時にはその強い粘着力のために皮膚の角質層を剥離し、体毛の毛むしりを招き、また透湿性がないため皮膚にかぶれを生じさせ、炎症を来す場合があった。
【0004】
そこで、皮膚に対する刺激を和らげる方法として、以下に示すような医療用粘着テープもしくはシートが提案された。
【0005】
例えば、特公昭54−44688号公報には、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、分子量1000以下のポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトールのような水溶性ポリオールと、水溶性または水膨潤性高分子とをゴム系粘着剤に配合することが提案され、また、特開平1−297069号公報には、重量の10倍以上の水を吸収してゲル化膨潤する吸水性高分子(例えば、水溶性ポリマーの架橋体、具体的には、三洋化成社製、サンウェットIM−300、サンウェットIM−1000MPS)をゴム系粘着剤に配合することが提案されている。
【0006】
しかしながら、上記提案のようにゴム系粘着剤に水溶性ポリオールを配合した場合、両者の相溶性が悪いため、ゴム系粘着剤からポリオールがブリードする欠点があった。さらにゴム系粘着剤に吸水性高分子を配合した場合、貼付中は吸水性高分子が吸水して撥水しないため、吸水膨潤し体積が膨張し使用中に貼付性が低下するといった問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、粘着剤の粘着性を損なうことなく粘着剤に透湿性を付与することにより皮膚への刺激を和らげた低刺激性の粘着剤組成物、透湿性医療用粘着テープおよびシートを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定の組成及び構造を有する芳香族ビニル化合物−オレフィンランダム共重合体を含有した粘着剤組成物および、これを用いて支持体の片面に粘着剤層を設けた医療用粘着テープおよびシートを用いることにより上記の課題が解決されることを見いだし本発明を完成させた。
【0009】
即ち本発明は、(A)炭素数10〜30のパラフィン系および/または炭素数10〜30のナフテン系炭化水素、および粘着付与樹脂と、(B)下記の芳香族ビニル化合物−オレフィンランダム共重合体からなる粘着剤(I)、水溶性高分子(II)および多価アルコールの脂肪酸エステル(III)を含有する粘着剤組成物である。
(B)は芳香族ビニル化合物含量が1〜99.9モル%未満であり、2個以上の芳香族ビニル化合物ユニットのヘッド−テイルの連鎖構造を有する芳香族ビニル化合物−オレフィンランダム共重合体である。
特に好ましくは、芳香族ビニル化合物含量が5〜99.9モル%未満であり、2個以上の芳香族ビニル化合物ユニットのヘッド−テイルの連鎖構造を有する芳香族ビニル化合物−エチレンランダム共重合体である。
また本発明は、(A)炭素数10〜30のパラフィン系および/または炭素数10〜30のナフテン系炭化水素、および粘着付与樹脂の合計が粘着剤中75〜95重量%と(B)芳香族ビニル化合物−エチレンランダム共重合体を粘着剤中5〜25重量%含む粘着剤(I)を粘着剤組成物全体の96〜40重量%と、水溶性高分子(II)を粘着剤組成物全体の2〜30重量%および多価アルコールの脂肪酸エステル(III)を粘着剤組成物全体の2〜30重量%含む粘着剤組成物である。
更に、本発明は上記の粘着剤組成物を支持体の片面に設けられた粘着剤層に用いる粘着テープおよびシートである。
【0010】
本発明に用いられる芳香族ビニル化合物−オレフィンランダム共重合体は新規共重合体であり、以下の遷移金属化合物を用いて、または以下の製造方法によって得られる芳香族ビニル化合物−エチレンランダム共重合体を包含するが、特に本発明の遷移金属化合物または製造方法には限定されない。
本発明に用いられる芳香族ビニル化合物−オレフィランダム共重合体は一般式(3)で示される遷移金属化合物と助触媒から構成される触媒を用い、芳香族ビニル化合物とオレフィンから製造される。
【0011】
【化3】
Figure 0004037509
【0012】
式中、Aは非置換または置換ベンゾインデニル基である。
Bは、非置換または置換シクロペンタジエニル基、非置換または置換インデニル基、非置換または置換ベンゾインデニル基あるいは非置換または置換フルオレニル基である。A、B共に非置換または置換ベンゾインデニル基である場合には両者は同一でも異なっていてもよい。
Yは、A、Bと結合を有し、置換基として水素または炭素数1〜15の炭化水素基を有するメチレン基、またはシリレン基である。これらの置換基は互いに異なっていても同一でもよい。また、Yは置換基と一体になって環状構造を有していてもよい。
Xは、ハロゲン、アルキル基、アリール基、シリル基、アルコキシ基またはジアルキルアミド基等である。
Mは第IV族金属である。
【0013】
上記の一般式(3)において、Aは好ましくは下記の一般式化4、化5または化6で表される非置換または置換ベンゾインデニル基である。
【0014】
【化4】
Figure 0004037509
【0015】
【化5】
Figure 0004037509
【0016】
【化6】
Figure 0004037509
【0017】
上記の化4〜化6において、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、ハロゲン原子、OSiR3 基、SiR3 基またはPR2 基(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)であり、R1 同士、R2 同士及びR3 同士は互いに同一でも異なっていても良い。また、隣接するR1 、R2 及びR3 基は一体となって5〜8員環の芳香環または脂肪環を形成しても良い。
【0018】
非置換ベンゾインデニル基として、4,5−ベンゾ−1−インデニル、(別名、ベンゾ(e)インデニル)、5,6−ベンゾ−1−インデニル、6,7−ベンゾ−1−インデニルが、置換ベンゾインデニル基として、4,5−ナフト−1−インデニル、4,5−ピレン−1−インデニル、4,5−トリフェニレン−1−インデニル、α−アセナフト−1−インデニル、3−シクロペンタ〔c〕フェナンスリル、1−シクロペンタ〔l〕フェナンスリル基等が例示できる。
【0019】
上記の一般式(3)においてBは好ましくは、上記のAと同様の非置換または置換ベンゾインデニル基、あるいは下記の一般式、化7、化8または化9で示される非置換もしくは置換シクロペンタジエニル基、非置換または置換インデニル基あるいは非置換または置換フルオレニル基である。A、B共に非置換または置換ベンゾインデニル基である場合には両者は同一でも異なっていてもよい。
【0020】
【化7】
Figure 0004037509
【0021】
【化8】
Figure 0004037509
【0022】
【化9】
Figure 0004037509
【0023】
上記の化7〜9において、R4 、R5 及びR6 はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル基、6〜10のアリール基、7〜20のアルキルアリール基、ハロゲン原子、OSiR3 基、SiR3 基またはPR2 基(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)であり、R4 同士、R5 同士 及びR6 同士は互いに同一でも異なっていても良い。ただし、Bは、Aとラセミ体(または擬似ラセミ体)の立体関係にあることが好ましい。
【0024】
非置換シクロペンタジエニル基としてシクロペンタジエニルが、置換シクロペンタジエニル基として4−アリール−1−シクロペンタジエニル、4,5−ジアリール−1−シクロペンタジエニル、5−アルキル−4−アリール−1−シクロペンタジエニル、4−アルキル−5−アリール−1−シクロペンタジエニル、4,5−ジアルキル−1−シクロペンタジエニル、5−トリアルキルシリル−4−アルキル−1−シクロペンタジエニル、4,5−ジアルキルシリル−1−シクロペンタジエニル等が挙げられる。
非置換インデニル基として1−インデニルが、置換インデニル基として、4−アルキル−1−インデニル、4−アリール−1−インデニル、4,5−ジアルキル−1−インデニル、4,6−ジアルキル−1−インデニル、5,6−ジアルキル−1−インデニル、4,5−ジアリ−ル−1−インデニル、5−アリ−ル−1−インデニル、4−アリール−5−アルキル−1−インデニル、2,6−ジアルキル−4−アリール−1−インデニル、5,6−ジアリール−1−インデニル、4,5,6−トリアリール−1−インデニル等が挙げられる。
非置換フルオレニル基として9−フルオレニル基が、置換フルオレニル基として、7−メチル−9−フルオレニル、ベンゾ−9−フルオレニル基等が挙げられる。
【0025】
上記の一般式(3)において、YはA、Bと結合を有し、水素または炭素数1〜15の炭化水素基を有するメチレン基、またはシリレン基である。置換基は互いに異なっていても同一でもよい。また、Yはシクロヘキシリデン基、シクロペンチリデン基等の環状構造を有していてもよい。
好ましくは、Yは、A、Bと結合を有し、水素または炭素数1〜15の炭化水素基で置換された置換メチレン基である。炭化水素置換基としては、アルキル基、アリ−ル基、シクロアルキル基、シクロアリ−ル基等が挙げられる。置換基は互いに異なっていても同一でもよい。
特に好ましくは、Yは、−CH2 −、−CMe2 −、−CEt2 −、−CPh2 −、シクロヘキシリデン、シクロペンチリデン基等である。ここで、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を表す。
【0026】
Xは、水素、ハロゲン、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するシリル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、または炭素数1〜6のアルキル置換基を有するジアルキルアミド基である。ハロゲンとしては塩素、臭素等が、アルキル基としてはメチル基、エチル基等が、アリール基としてはフェニル基等が、シリル基としてはトリメチルシリル基等が、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等が、またジアルキルアミド基としてはジメチルアミド基等が挙げられる。
【0027】
Mは、第IV族金属でありZr、Hf、Ti等が挙げられる。特に好ましくはZrである。
【0028】
かかる遷移金属化合物の例としては下記の化合物が挙げられる。
例えば、ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド{別名、ジメチルメチレンビス(ベンゾ〔e〕インデニル)ジルコニウムジクロリド}、ジn−プロピルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジi−プロピルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、シクロぺンチリデンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレンビス(4,5ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン(シクロペンタジエニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン(1−インデニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン(1−フルオレニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン(4−フェニル−1−インデニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン(4−ナフチル−1−インデニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレンビス(5,6−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン(5,6−ベンゾ−1−インデニル)(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレンビス(6,7−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン(6,7−ベンゾ−1−インデニル)(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレンビス(4,5−ナフト−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレンビス(α−アセナフト−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレンビス(3−シクロペンタ〔c〕フェナンスリル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン(3−シクロペンタ〔c〕フェナンスリル)(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレンビス(1−シクロペンタ〔l〕フェナンスリル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン(1−シクロペンタ〔l〕フェナンスリル)(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムビス(ジメチルアミド)等が挙げられる。
以上、Zr錯体を例示したが、Ti、Hf錯体も上記と同様の化合物が好適に用いられる。また、ラセミ体、メソ体の混合物を用いても良いが、好ましくはラセミ体または擬似ラセミ体を用いる。これらの場合、D体を用いても、L体を用いても良い。
【0029】
また本発明は、(B)成分の芳香族ビニル化合物−オレフィンランダム共重合体が、オレフィンと芳香族ビニル化合物単量体とを上記の一般式(3)で示される遷移金属化合物と、助触媒とを用いて重合されたものである上記の粘着剤組成物である。
本発明で用いる助触媒としては、従来遷移金属化合物と組み合わせて用いられている助触媒を使用することができるが、そのような助触媒として、アルミノキサン(またはアルモキサンと記す)またはほう素化合物が好適に用いられる。
更に、その際助触媒として下記の一般式(4)、(5)で示されるアルミノキサン(またはアルモキサンと記す)が用いられる。
【0030】
【化10】
Figure 0004037509
【0031】
式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、または水素、mは2〜100の整数である。それぞれのRは互いに同一でも異なっていても良い。
【0032】
【化11】
Figure 0004037509
【0033】
式中、R’は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、または水素、nは2〜100の整数である。それぞれのR’は互いに同一でも異なっていても良い。
アルミノキサンとしては好ましくは、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、トリイソブチルアルモキサンが用いられるが、特に好ましくはメチルアルモキサンが用いられる。必要に応じ、これら種類の異なるアルモキサンの混合物を用いてもよい。また、これらアルモキサンとアルキルアルミニウム、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムやハロゲンを含むアルキルアルミニウム、例えばジメチルアルミニウムクロライド等を併用してもよい。
【0034】
アルキルアルミニウムの添加は、スチレン中の重合禁止剤、スチレン、溶媒中の水分等の重合を阻害する物質の除去、重合反応に対する無害化のために効果的である。
しかし、あらかじめスチレン、溶媒等を蒸留し、あるいは乾燥不活性ガスでのバブリングやモレキュラーシーブを通す等の公知の方法でこれらの量を重合に影響のないレベルまで低減する、あるいは用いるアルモキサンの使用量を若干増やす、または分添すれば特にアルキルアルミニウムを重合時に添加することは、必ずしも必要ではない。
【0035】
本発明では、上記の遷移金属化合物と共に助触媒としてほう素化合物を用いることができる。
助触媒として用いられるほう素化合物は、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート{トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート}、リチウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリル)フェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−エチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス−3,5−ジメチルフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス−3,5−ジメチルフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス−3,5−ジメチルフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス−2,4−ジメチルフェニルボレート、アニリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、N,N’−ジメチルアニリウムテトラフェニルボレート、N,N’−ジメチルアニリウムテトラキス(p−トリル)ボレート、N,N’−ジメチルアニリウムテトラキス(m−トリル)ボレート、N,N’−ジメチルアニリウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、N,N’−ジメチルアニリウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、N,N’−ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N’−ジエチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N’−2,4,5−ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N’−2,4,5−ペンタエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、ジ−(イソプロピル)アンモニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、ジ−シクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラフェニルボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(m−トリル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トロピリウムテトラキス(p−トリル)ボレート、トロピリウムテトラキス(m−トリル)ボレート、トロピリウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート等である。
これらほう素化合物と上記有機アルミニウム化合物を同時に用いても差し支えない。
特にほう素化合物を助触媒として用いる場合、重合系内に含まれる水等の重合に悪影響を与える不純物の除去に、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミ化合物の添加は有効である。
【0036】
本発明に用いられる芳香族ビニル化合物としては、スチレンおよび各種の置換スチレン、例えばp−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、o−t−ブチルスチレン、m−t−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられ、またジビニルベンゼン等の一分子中に複数個のビニル基を有する化合物等も挙げられる。
工業的には好ましくはスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、特に好ましくはスチレンが用いられる。
【0037】
また、本発明に用いられるオレフィンとしては、炭素数2〜20のα−オレフィン、すなわちエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンや環状オレフィン、すなわちノルボルネンやノルボルナジエンが適当である。またこれらのオレフィンを2種以上用いてもよい。オレフィンとしてはエチレン、プロピレンが好ましい。以下の説明においてはオレフィンとしてエチレンを例に説明する。
【0038】
本発明に用いられる共重合体を製造するにあたっては、オレフィン、上記に例示した芳香族ビニル化合物、金属錯体である遷移金属化合物および助触媒を接触させるが、接触の順番、接触方法は任意の公知の方法を用いることができる。重合方法としては溶媒を用いずに液状モノマー中で重合させる方法、あるいはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロ置換ベンゼン、クロロ置換トルエン、塩化メチレン、クロロホルム等の飽和脂肪族または芳香族炭化水素またはハロゲン化炭化水素の単独または混合溶媒を用いる方法がある。また、必要に応じ、バッチ重合、連続重合、回分式重合、スラリー重合、予備重合あるいは気相重合等の方法を用いることができる。
【0039】
重合温度は、−78℃から200℃が適当であり、好ましくは−50℃〜160℃である。−78℃より低い重合温度は工業的に不利であり、200℃を超えると金属錯体の分解が起こるので適当ではない。さらに工業的に特に好ましくは、0℃〜160℃である。
助触媒として有機アルミニウム化合物を用いる場合には、錯体の金属に対し、アルミニウム原子/錯体金属原子比で0.1〜100000、好ましくは10〜10000の比で用いられる。0.1より小さいと有効に金属錯体を活性化出来ず、100000を超えると経済的に不利となる。
助触媒としてほう素化合物を用いる場合には、ほう素原子/錯体金属原子比で0.01〜100の比で用いられるが、好ましくは0.1〜10、特に好ましくは1で用いられる。
0.01より小さいと有効に金属錯体を活性化出来ず、100を超えると経済的に不利となる。
金属錯体と助触媒は、重合槽外で混合、調製しても、重合時に槽内で混合してもよい。
【0040】
以下、本発明に用いられる(B)成分の代表例であるスチレン−エチレンランダム共重合体を例に取りさらに詳細に説明する。
その構造は、核磁気共鳴法(NMR法)によって決定される。
【0041】
本発明に用いられる共重合体は、TMSを基準とした13C−NMRにおいて以下の位置に主なピークを有する。
主鎖メチレン及び主鎖メチン炭素に由来するピークを24〜25ppm付近、27ppn付近、30ppm付近、34〜37ppm付近、40〜41ppm付近及び42〜46ppm付近に、また、フェニル基のうちポリマー主鎖に結合していない5個の炭素に由来するピークを126ppm付近及び128ppm付近に、フェニル基のうちポリマー主鎖に結合している1個の炭素に由来するピークを146ppm付近に示す。
本発明に用いられるスチレン−エチレンランダム共重合体は、スチレン含量がモル分率で好ましくは5〜99.9%未満、さらに好ましくは10〜99.9%未満,特に好ましくは55%を超えて99.9%未満であるスチレン−エチレンランダム共重合体であって、その構造中に含まれる下記の一般式(1)で示されるスチレンとエチレンの交互構造のフェニル基の立体規則性がアイソタクティクダイアッド分率mで0.75より大きく、かつ下記の式(i)で与えられる交互構造指数λが70より小さく1より大きい、好ましくは70より小さく5より大きいスチレン−エチレンランダム共重合体である。
λ=A3/A2×100 式(i)
ここでA3は、13C−NMR測定により得られる、下記の一般式(2)で示されるスチレン−エチレン交互構造に由来する3種類のピークa、b、cの面積の総和である。また、A2はTMSを基準とした13C−NMRにより0〜50ppmの範囲に観測される主鎖メチレン及び主鎖メチン炭素に由来するピークの面積の総和である。
【0042】
【化12】
Figure 0004037509
【0043】
(式中、Phはフェニル基等の芳香族基、xは繰り返し単位数を示し2以上の整数を表す。)
【0044】
【化13】
Figure 0004037509
【0045】
(式中、Phはフェニル基等の芳香族基、xは繰り返し単位数を示し2以上の整数を表す。)
【0046】
本発明に用いられるスチレン−エチレンランダム共重合体に於いて、エチレンとスチレンの交互共重合構造のフェニル基の立体規則性がアイソタクティク構造とは、アイソタクティクダイアッド分率m(またはメソダイアッド分率ともいう)が0.75より大きい、好ましくは0.85以上、さらに好ましくは0.95以上を示す構造をいう。
エチレンとスチレンの交互共重合構造のアイソタクティクダイアッド分率mは、25ppm付近に現れるメチレン炭素ピークのr構造に由来するピーク面積Arと、m構造に由来するピークの面積Amから、下記の式(ii)によって求めることができる。
m=Am/(Ar+Am) 式(ii)
ピークの出現位置は測定条件や溶媒によって若干シフトする場合がある。
例えば、重クロロホルムを溶媒とし、TMSを基準とした場合、r構造に由来するピークは、25.4〜25.5ppm付近に、m構造に由来するピークは25.2〜25.3ppm付近に現れる。
【0047】
また、重テトラクロロエタンを溶媒とし、重テトラクロロエタンの3重線の中心ピーク(73.89ppm)を基準とした場合、r構造に由来するピークは、25.3〜25.4ppm付近に、m構造に由来するピークは25.1〜25.2ppm付近に現れる。
なお、m構造はメソダイアッド構造、r構造はラセミダイアッド構造を表す。
【0048】
本発明に用いられるスチレン−エチレンランダム共重合体に於いては、エチレンとスチレンの交互共重合構造にr構造に帰属されるピークは実質的に観測されない。
【0049】
さらに、本発明に用いられるスチレン−エチレンランダム共重合体は、スチレンユニットの連鎖構造のフェニル基の立体規則性がアイソタクティクである。
スチレンユニットの連鎖構造のフェニル基の立体規則性がアイソタクティクとは、アイソタクティクダイアッド分率ms(またはメソダイアッド分率ともいう)が0.5より大きい、好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上を示す構造をいう。
スチレンユニットの連鎖構造の立体規則性は13C−NMRによって観測される43〜44ppm付近のメチレン炭素のピーク位置、及び1H−NMRによって観測される主鎖プロトンのピーク位置で決定される。
【0050】
米国特許5502133号公報によれば、アイソタクティクポリスチレン連鎖構造のメチレン炭素は42.9〜43.3ppmに現れるが、シンジオタクティクポリスチレン連鎖構造のメチレン炭素は44.0〜44.7ppm付近に現れる。シンジオタクティクポリスチレンのシャープなメチレン炭素及びアタクティクポリスチレンの43〜45ppmのブロードなピークの出現位置は、本発明に用いられるスチレン−エチレンランダム共重合体のほかの炭素の比較的強度が低いピーク位置と近接あるいは重なっている。しかし、本発明において42.9〜43.4ppmにメチレン炭素ピークが強く観測されるのに比較して、44.0〜44.7ppm付近には明瞭なピークは認められない。
【0051】
さらに、米国特許5502133号公報及び本発明の比較例によれば1H−NMRにおいて主鎖メチレン、メチンプロトンに帰属されるピークはアイソタクティクポリスチレンの場合、1.5〜1.6ppm、2.2〜2.3ppmに、シンジオタクティクポリスチレンの場合、1.3〜1.4ppm、1.8〜1.9ppmに観測される。
本発明に用いられる共重合体においては、ピークが1.5〜1.6ppm及び2.2ppmに観測され、このNMR解析の結果は、本発明の共重合体中のスチレン連鎖はアイソタクティクの立体規則性であることを示す。
【0052】
スチレンユニットの連鎖構造のアイソタクティクダイアッド分率msは、13C−NMR測定によるスチレン連鎖構造のメチレン炭素または1H−NMR測定による主鎖メチレン、メチンプロトンの各ピークから以下の式で導かれる。
各ピークのシンジオタクティクダイアッド構造(r構造)に由来するピーク面積Ar’とアイソタクティクダイアッド構造(m構造)に由来するピークの面積Am’から、下記の式(iii)によって求めることができる。
ms=Am’/(Ar’+Am’) 式(iii)
ピークの出現位置は測定条件や溶媒によって若干シフトする場合がある。
【0053】
本発明に用いられるスチレン−エチレンランダム共重合体とは、スチレンユニットのヘッド−テイルで結合した連鎖構造、エチレンユニットの結合した連鎖構造及びスチレンユニットとエチレンユニットが結合した構造を含む共重合体である。本共重合体は、スチレンの各含量によって、あるいは重合温度等の重合条件によってこれらの構造の含まれる割合は変化する。
スチレン含量が少なくなれば、スチレンユニットのヘッド−テイルで結合した連鎖構造の含まれる割合は減少する。例えばスチレン含量が約20モル%以下の共重合体の場合、スチレンユニットのヘッド−テイルで結合した連鎖構造は通常の13C−NMR測定ではその構造に由来するピークを直接観測することは困難である。しかし、本発明の遷移金属化合物を用いて、または本発明の製造方法により、スチレン単独の重合により高い活性で立体規則性を有するホモポリマーが製造できること、すなわち、本質的にスチレンユニットのヘッド−テイルで結合した連鎖構造を形成することが可能であること、及び共重合体においては、少なくとも13C−NMR法によって20〜99モル%のスチレン含量に対応してスチレンユニットのヘッド−テイルで結合した連鎖構造の割合が連続的に変化することから、20モル%以下であっても量は少ないもののスチレンユニットのヘッド−テイルで結合した連鎖構造が共重合体中に存在しうることは明白である。13Cでエンリッチしたスチレンモノマーを用い、13C−NMRで分析する等の手段により、スチレン含量20モル%以下の共重合体中のスチレンユニットのヘッド−テイルで結合した連鎖構造を観測することは可能である。
エチレンユニットの連鎖構造についてもまったく同様である。
【0054】
本発明に用いられるスチレン−エチレンランダム共重合体に含まれるスチレンユニットのヘッド−テイルで結合した連鎖構造は、以下の構造で示すことができる2個以上の連鎖構造であり、3個以上の連鎖であることが好ましい。
【0055】
【化14】
Figure 0004037509
【0056】
ここで、nは3以上の任意の整数。Phは、フェニル基等の芳香族基。
【0057】
他方、従来公知のいわゆる擬似ランダム共重合体では、スチレン含量が最大の50モル%付近においても、スチレンのヘッド−テイルの連鎖構造を見出すことはできない。さらに、擬似ランダム共重合体を製造する触媒を用いてスチレンの単独重合を試みても重合体は得られない。重合条件等により極少量のアタクティックスチレンホモポリマーが得られる場合があるが、これは共存するメチルアルモキサンまたはその中に混入するアルキルアルミニウムによるカチオン重合、またはラジカル重合によって形成されたものと解するべきである。
【0058】
従来の立体規則性のない擬似ランダム共重合体のスチレンの異種結合に由来する構造のメチレン炭素のピークは、34.0〜34.5ppm及び34.5〜35.2ppmの2つの領域にあることが知られている。(例えば、Polymer Preprints,Japan,42,2292(1993))
本発明に用いられるスチレン−エチレンランダム共重合体は、スチレンに由来する異種結合構造のメチレン炭素に帰属されるピークが34.5〜35.2ppmの領域に観測されるが、34.0〜34.5ppmにはほとんど認められない。
これは、本発明の共重合体の特徴の一つを示し、スチレンに由来する下記の式のような異種結合構造においてもフェニル基の高い立体規則性が保持されていることを示す。
【0059】
【化15】
Figure 0004037509
【0060】
本発明に用いられるスチレン−エチレンランダム共重合体の重量平均分子量は、スチレン含量1モル%以上20モル%未満では6万以上、好ましくは8万以上であり、20モル%以上99.9モル%未満では3万以上、好ましくは4万以上であり、実用的な高い分子量を有する。
ここでの重量平均分子量はGPCで標準ポリスチレンを用いて求めたポリスチレン換算分子量をいう。
さらに、本発明のスチレン−エチレンランダム共重合体は、高い立体規則性を有するエチレンとスチレンの交互構造と、同時に種々の長さのエチレン連鎖、スチレンの異種結合、スチレンの連鎖等の多様な構造を併せて有するという特徴を持つ。また、本発明のスチレン−エチレンランダム共重合体は、共重合体中のスチレンの含量によって交互構造の割合を、上記の式で得られるλ値で1より大きく70未満の範囲で種々変更可能である。この立体規則的な交互構造は結晶可能な構造であるので、本発明の共重合体は、スチレンの含量により、あるいは適当な方法で結晶化度を制御することにより、結晶性、非結晶性、部分的に結晶構造を有するポリマーという多様な特性を与えることが可能である。λ値が70未満であることは、結晶性ポリマーでありながら、有意の靭性、透明性を与えるために、また、部分的に結晶性のポリマーとなるために、あるいは、非結晶性のポリマーとなるために重要である。
【0061】
本発明に用いられる共重合体は、およそ10モル%以上のスチレン含量域において、従来の立体規則性を有せずまたスチレン連鎖も有しないスチレン−エチレン共重合体に比べて、高い融点(DSCによる)を有することができる。
【0062】
本発明に用いられるスチレン−エチレンランダム共重合体は、必ずしもそれが純粋な共重合体である必要はなく、構造及び立体規則性が上記の範囲にあれば,他の構造が含まれていても、他のモノマーが共重合されていても差し支えない。共重合される他のモノマーとしてプロピレン等の炭素数3から20までのα−オレフィン、ブタジエン等の共役ジエン化合物が挙げられる。また前記の芳香族ビニル化合物が2種以上共重合されていても良い。
また重合条件等によっては、スチレンが熱、ラジカル、またはカチオン重合したアタクチックホモポリマーが少量含まれる場合があるが、その量は全体の10重量%以下である。このようなホモポリマーは溶媒抽出により除去できるが、物性上特に問題がなければこれを含んだまま使用することもできる。
【0063】
本発明の(A)成分として用いる炭素数10〜30のパラフィン系および/または炭素数10〜30のナフテン系炭化水素としては、軽質流動パラフィン、重質流動パラフィン、ヘキサメチルテトラコサン、ヘキサメチルテトラコサヘキサン、α−オレフィンオリゴマー等が例示され、これらが単独でもしくは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0064】
炭素数31以上のパラフィン系炭化水素および/またはナフテン系炭化水素は、室温で固形であり、粘着付与樹脂や(B)成分の芳香族ビニル化合物−オレフィンランダム共重合体との配合時に充分な軟化性がないために、良好な粘着力を有する貼付剤は得られない。炭素数9以下のものは、軟化性が高くなり粘着剤が柔らかくなりすぎるため、好ましくない。
【0065】
本発明に用いられる粘着性付与樹脂としては、ロジン、水添ロジン、これらのエステルなどのロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、脂肪族系、脂環族系などの石油系樹脂、テルペン−フェノール樹脂などの群より選ばれた、軟化点50〜130℃のものが例示され、これらが単独でもしくは2種以上を組み合わせて用いられる。とりわけ、軟化点65〜130℃の石油樹脂の脂環族飽和炭化水素樹脂、軟化点80〜130℃の水添ロジンのグリセリンエステル、軟化点80〜130℃のポリテルペン樹脂などが好ましい。
【0066】
粘着付与樹脂の配合割合は、貼付時の粘着力や剥離時の毛むしりなどが起こらないように適宜決定される。
粘着剤(I)の粘着剤組成物全体に対する含有割合は、96重量%〜40重量%であることが好ましい。
【0067】
本発明の水溶性高分子(II)としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース・カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの水溶性のセルロース誘導体、デンプン、アルファー化デンプン、デキストリン、シクロデキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウムなどの水溶性合成高分子、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、キサンタンガム、ゼラチンなどの水溶性天然高分子などが例示される。
【0068】
水溶性高分子(II)の配合量は、粘着剤組成物全体の2〜30重量%であることが好ましい。この配合量が2重量%未満であると貼付剤の透湿性が劣り、30重量%を超えると粘着剤への配合が困難であったり、貼付性が劣るなどの問題が生じ易い。適度の透湿性と貼付性を確保するには、水溶性高分子の配合量は更に好ましくは4〜25重量%である。
【0069】
本発明の多価アルコールの脂肪酸エステル(III)は、粘着剤(I)と相溶可能なものであり、その具体例としては、ソルビタンカプレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステルが挙げられモノエステル、ジエステル、トリエステルやそれらの混合物が使用出来る。また、グリセリンカプレート、グリセリンミリステート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート、デカグリセリンラウレート、デカグリセリンミリステート、デカグリセリンステアレート、デカグリセリンオレエート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンオレエート、テトラグリセリンステアレート、テトラグリセリンオレエート、ヘキサグリセリンステアレート、ヘキサグリセリンオレエート、ヘキサグリセリンミリステート、ヘキサグリセリンラウレートなどのグリセリン脂肪酸エステルが挙げられモノエステル、ジエステル、トリエステル等やその混合物が使用出来る。更に、プロピレングリコールステアレートなどのプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンオレエートなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールステアレートなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステルが挙げられる。
【0070】
多価アルコールの脂肪酸エステル(III)の配合量は、粘着剤組成物全体の2〜30重量%である。この配合量が2重量%未満であると貼付剤に充分な透湿性が得られず、またこの配合量が30重量%を超えるとこれが粘着剤層からブリードしたり、貼付性が劣るなどの問題が生じる。適度の透湿性と貼付性を確保するには、多価アルコールの脂肪酸エステルの配合量は好ましくは4〜25重量%である。このように、水溶性高分子および多価アルコールの脂肪酸エステルを粘着剤層中に含有させることにより、貼付剤に充分な透湿性が得られる。透湿度は、60g/m2 ・24時間未満であると、貼付感として蒸れを感じるので、60g/m2 ・24時間以上であることが望ましい。
【0071】
本発明による医療用粘着テープおよびシートは、薬剤を含有せずに、絆創膏、手術用ドレープ、手術用ドレシング、テーピング用テープなどとして用いられるが、この他に必要に応じて薬物を含有していてもよい。
【0072】
用いられる薬物としては、経皮または経粘膜投与により生体膜を透過し得るものが、特に限定なく適用でき、たとえば、解熱消炎鎮痛剤、ステロイド系抗炎症剤、血管拡張剤、高血圧・不整脈用剤、血圧降下剤、鎮咳去痰剤、抗腫瘍剤、局所麻酔剤、ホルモン剤、喘息治療剤、アレルギー性鼻炎治療剤、抗ヒスタミン剤、抗凝血剤、鎮痙剤、脳循環・代謝改善剤、抗欝・抗不安剤、ビタミン製剤、経口血糖降下剤、抗潰瘍剤、睡眠剤、抗生物質、皮膚刺激薬などが例示される。
【0073】
また、本発明による粘着剤組成物、医療用粘着テープおよびシートにおける粘着剤層には、上記薬物のほかに、ポリブテンなどの液状ポリマー、酸化防止剤、充填剤などを、本発明の作用効果を阻害しない限り、適宜添加してもよい。
【0074】
本発明の医療用粘着テープおよびシートに用いられる支持体の材質としては、不織布、織布、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、有孔アルミニウム箔およびこれらのラミネートフィルムなどが例示される。これらの中で透湿性の低い材質にあっては、これに物理化学的な加工処理を施して透湿性を付与することが好ましい。この処理は皮膚の蒸れすぎによるかぶれを防ぐためである。また、上記支持体は少なくとも一方向に伸縮する機能を有するものであることが望ましく、かかる機能を有しない材質のものには適宜の伸縮付与加工を施すことがよい。支持体が伸縮機能を有すると、医療用粘着テープおよびシートを身体に貼付した時に皮膚面の伸縮に追従させることができるからである。支持体の厚みは、好ましくは5〜2,000μmである。
【0075】
本発明に用いられる後述の剥離紙としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンコート上質紙、ポリエチレンコートグラシン紙などの上面にシリコン処理を施したものなどが例示される。剥離紙の厚みは好ましくは20〜200μmである。
【0076】
本発明による医療用粘着テープおよびシートを製造する方法の代表例としては、溶剤法あるいはホットメルト法が挙げられる。
【0077】
溶剤法では、粘着剤(I)に、水溶性高分子(II)および多価アルコールの脂肪酸エステル(III)を加え、さらに必要に応じて薬物成分および/または液状ポリマー成分、その他の添加剤を加え、これらを均一に溶解ないしは分散する。用いられる溶剤の例としては、粘着剤、薬物その他と相溶性があるもの、例えば、テトラヒドロフラン、クロロホルム、塩化メチレンが挙げられる。ただし、水溶性高分子のうちポリビニルピロリドンはアルコール系溶剤でなければ溶けにくいので、先にこれをメタノールなどに溶かした後、他の成分と混合するとよい。こうして得られた溶液ないしは分散液を剥離紙または支持体上に展延し、乾燥して溶剤を除去し、得られた粘着剤層上に支持体または剥離紙をラミネートする。
【0078】
また、ホットメルト法を適用する場合は、粘着剤(I)、水溶性高分子(II)および多価アルコールの脂肪酸エステル(III)、必要に応じて液状ポリマー成分、その他の添加剤を所定量少しずつ配合し、配合物を窒素置換下、温度120〜150℃で加熱混合して溶融する。溶融後、粘着剤の温度を100〜120℃に降下し、さらに必要に応じて加えられる薬物成分を添加し、均一に混合して、溶融状態の溶液を得る。ついで、この溶液を、ホットメルトコーターを用いて、剥離紙または支持体上に展延し、得られた粘着剤層上に支持体または剥離紙をラミネートする。
【0079】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。なお、以下の説明中で添加量は重量基準で示した。
用いたポリマーの分析は以下の手段によって実施した。
13C−NMR測定は、装置は日本電子社製JNMGX−270またはα−500を用い、溶媒は重クロロホルムまたは重1,1,2,2−テトラクロロエタンを用い、TMSを基準として測定した。
ポリマー中のスチレン含量の決定は、1H−NMRで行い、装置は日本電子社製JNMGX−270またはα−500を用い、溶媒は重クロロホルムまたは1,1,2, 2−テトラクロロエタンを用い、TMSを基準として、フェニル基プロトン由来のピークとアルキル基由来のプロトンピークの強度比較で行った。
分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて標準ポリスチレン換算の分子量を求めた。溶媒はTHFまたは1,2,4−トリクロロベンゼンを用い、カラムは東ソー社製HLC−8020またはセンシュウ科学社製GPC−7100を用いた。
【0080】
また、医療用粘着テープおよびシートの性能評価は以下の試験方法で行った。
<貼付試験>
試験用医療用粘着テープ(3×4cm)について、以下のように人の皮膚に対する貼付試験を行った。すなわち、7名(健康人、男性)の被験者の上腕に医療用粘着テープを貼り付け、12時間経過後に、貼付性、貼付感を評価した後、医療用粘着テープを剥離し、糊残り、剥離時の痛みおよび刺激性について各医療用粘着テープを評価した。
各評価基準は以下の通りである。
【0081】
貼付性は、12時間貼付後、医療用粘着テープが接着している面積の試験開始時の面積に対する割合を観察した。
良好:貼付剤の残存接着面積が95%以上
普通:貼付剤の残存接着面積が75%〜95%未満
不良:貼付剤の残存接着面積が75%未満
【0082】
糊残りは、剥離後、粘着剤が皮膚上に残るか否かを評価し、下記のように表した。
−:剥離後粘着剤が皮膚上に残らなかった
+:剥離後粘着剤が皮膚上に残った
【0083】
剥離時の痛さは、官能試験で評価し、下記のように表した。
−:特に痛みを感じなかった
±:わずかに痛みを感じた
+:非常に痛みを感じた
【0084】
刺激性は、剥離後、約1時間経過後の貼付部位の皮膚の状態を肉眼により判定し、下記のように表した。
−:変化無し
±:わずかに紅斑が認められる
+:紅斑が認められる
【0085】
貼付感は、官能試験で評価し、下記のように表した。
−:蒸れなし
±:わずかに蒸れあり
+:蒸れあり
【0086】
<透湿度試験>
透湿度試験は、JIS Z0208「防湿包装材料の透湿試験方法(カップ法)」に準じて行った。すなわち、カップに無水塩化カルシウム約12gを入れ、カップの口を医療用粘着テープで密閉する。試験カップを40℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に入れ、24時間放置後塩化カルシウムの質量増加を測定し、透湿度(g/m2 ・24時間)とした。
【0087】
合成例
<遷移金属化合物の合成A>
rac−ジメチルメチレン(1−インデニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、(別名、rac−イソプロピリデン(1−インデニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、またはrac−{Ind−C(Me)2 −BInd}ZrCl2 と記す)は以下の合成法で合成した。
A−1 イソプロピリデン(1−インデン)(4,5−ベンゾ−1−インデン)の合成
Ar雰囲気下、14mmolのインデンを50mlのTHFに溶解し、0℃で、当量のBuLiを加え、10時間攪拌した。1,1−イソプロピリデン−4,5−ベンゾインデン13mmolを溶解したTHF10mlを加え、室温で一晩攪拌した。水50ml、ジエチルエーテル100mlを加え振盪し、有機層を分離、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧下、留去した。カラムでさらに精製し、イソプロピリデン(1−インデン)(4,5−ベンゾ−1−インデン)を2.5g得た。収率は59%であった。
【0088】
A−2 rac−ジメチルメチレン(1−インデニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドの合成
Ar雰囲気下、6.5mmolのイソプロピリデン(1−インデン)(4,5−ベンゾ−1−インデン)と6.5mmolのジルコニウムテトラキスジメチルアミド、{別名、Zr(NMe2 4 }をトルエン40mlとともに仕込み、130℃で10時間攪拌した。減圧下、トルエンを留去し、塩化メチレン100mlを加え、−78℃に冷却した。ジメチルアミン塩酸塩13mmolをゆっくり加え室温にゆっくり昇温し、2時間攪拌した。溶媒を留去後、得られた固体をペンタン、続いて少量の塩化メチレンで洗浄し、燈色のrac−ジメチルメチレン(1−インデニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドを0.76g得た。収率は24%であった。
1H−NMRスペクトル測定により、7.05〜8.04ppm(m、10H、但し、7.17ppmのピークを除く)、7.17ppm(d、H)、6.73ppm(d、H)、6.25ppm(d、H)、6.18ppm(d、H)、2.41ppm(m、3H)、2.37ppm(m、3H)の位置にピークを有する。
測定は、TMSを基準とし、溶媒としてCDCl3 を用いて行なった。
【0089】
<遷移金属化合物の合成B>
下式のrac−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、(別名、rac−イソプロピリデンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、またはrac−{BInd−C(Me)2 −BInd}ZrCl2 と記す)は以下の合成法で合成した。
4,5−ベンゾインデンはOrganometallics,13,964(1994)に従って合成した。
【0090】
B−1 1,1−イソプロピリデン−4,5−ベンゾインデンの合成
1,1−イソプロピリデン−4,5−ベンゾインデンの合成は、Can.J.Chem.62,1751(1984)に記載されている6,6−ジフェニルフルベンの合成を参考に行った。ただし、出発原料はベンゾフェノンの代わりにアセトンを、シクロペンタジエンの代わりに4,5−ベンゾインデンを用いた。
【0091】
B−2 イソプロピリデンビス4,5−ベンゾ−1−インデンの合成
Ar雰囲気下、21mmolの4,5−ベンゾインデンを70mlのTHFに溶解し、0℃で、当量のBuLiを加え、3時間攪拌した。1,1−イソプロピリデン−4,5−ベンゾインデン21mmolを溶解したTHFを加え、室温で一晩攪拌した。水100ml、ジエチルエーテル150mlを加え振盪し、有機層を分離、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧下、留去した。得られた黄色固体をヘキサンで洗浄、乾燥しイソプロピリデンビス4,5−ベンゾ−1−インデンを3.6g得た。収率は46%であった。
1H−NMRスペクトル測定により、7.2〜8.0ppm(m、12H)、6.65ppm(2H)、3.75ppm(4H)、1.84ppm(6H)の位置にピークを有する。
測定は、TMSを基準としCDCl3 を溶媒として行なった。
【0092】
B−3 rac−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドの合成
Ar雰囲気下、7.6mmolのイソプロピリデンビス4,5−ベンゾ−1−インデンと7.2mmolのジルコニウムテトラキスジメチルアミド、{別名、Zr(NMe2 4 }をトルエン50mlとともに仕込み、130℃で10時間攪拌した。減圧下、トルエンを留去し、塩化メチレン100mlを加え、−78℃に冷却した。ジメチルアミン塩酸塩14.4mmolをゆっくり加え室温にゆっくり昇温し、2時間攪拌した。溶媒を留去後、得られた固体をペンタン、続いて少量のTHFで洗浄し、下記の式で表される黄燈色のrac−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドを0.84g得た。収率は21%であった。
【0093】
【化16】
Figure 0004037509
【0094】
上式中、Meはメチル基を、BIndはベンゾインデニル基をあらわす。
1H−NMRスペクトル測定により、8.01ppm(m、2H)、7.75ppm(m、2H)、7.69ppm(d、2H)、7.48〜7.58ppm(m、4H)、7.38ppm(d、2H)、7.19ppm(d、2H)、6.26ppm(d、2H)、2.42ppm(s、6H)の位置にピークを有する。
測定は、TMSを基準としCDCl3 を溶媒として行なった。
元素分析は、元素分析装置1108型(イタリア、ファイソンズ社製)を用いて行い、C63.86%、H3.98%の結果を得た。なお、理論値はC65.39%、H4.16%である。
【0095】
<スチレン−エチレンランダム共重合体の合成>
参考例1
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。
脱水したトルエン2400ml、脱水したスチレン2400mlを仕込み、内温50℃に加熱攪拌した。窒素を約100Lバブリングして系内をパージし、トリイソブチルアルミニウム8.4mmol、メチルアルモキサン(東ソーアクゾ社製、MMAO−3A)をAl基準で84mmol加えた。ただちにエチレンを導入し、圧力10Kg/cm2 Gで安定した後に、オートクレーブ上に設置した触媒タンクから、前記の遷移金属化合物の合成Aで得た触媒、rac−ジメチルメチレン(1−インデニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドを8.4μmol、トリイソブチルアルミニウム0.84mmolを溶かしたトルエン溶液約50mlをオートクレーブに加えた。内温を50℃、エチレン圧を10Kg/cm2 G(エチレン圧11気圧)に維持しながら5時間重合を実施した。重合終了後、得られた重合液を激しく攪拌した過剰のメタノール中に少量ずつ投入し生成したポリマーを析出させた。減圧下、60℃で重量変化が認められなくなるまで乾燥し、ポリマー(P1)を得た。
【0096】
参考例2
トルエンを800ml、スチレンを4000L、エチレン圧を1Kgf/cm2 G、重合時間を6時間に変更した以外は、参考例1と同様に重合、後処理を行った。その結果ポリマー(P2)を得た。
【0097】
参考例3
触媒として前記の遷移金属化合物の合成Bで得た触媒、rac−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを用い、触媒量を2.1μmol、トルエンを4000L、スチレンを800L、重合時間を4時間に変更した以外は参考例1と同様に重合、後処理を行った。その結果ポリマー(P3)を得た。
【0098】
参考例4
触媒として前記の遷移金属化合物の合成Bで得た触媒、rac−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを用い、触媒量を21μmol、トルエンを800L、スチレンを4000L、エチレン圧を0.5kgf/cm2 Gに、重合時間を8時間に変更した以外は参考例1と同様に重合、後処理を行った。その結果ポリマー(P4)を得た。
【0099】
参考例5
触媒として前記の遷移金属化合物の合成Bで得た触媒、rac−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを用い、触媒量を21μmol、トルエンを4400L、スチレンを400L、重合時間を4時間に変更した以外は参考例1と同様に重合、後処理を行った。その結果ポリマー(P5)を得た。
【0100】
参考例6
容量150L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付の重合缶を用いて重合を行った。
脱水したシクロヘキサン60L、脱水したスチレン12Lを仕込み、内温33℃に加熱攪拌した。トリイソブチルアルミニウム84mmol、メチルアルモキサン(東ソーアクゾ社製、MMAO−3A)をAl基準で840mmol加えた。ただちにエチレンを導入し、圧力9Kg/cm2 Gで安定した後に、重合缶上に設置した触媒タンクから、前記の遷移金属化合物の合成Bで得た触媒、rac−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを78μmol、トリイソブチルアルミニウム2mmolを溶かしたトルエン溶液約100mlを重合缶に加えた。直ちに発熱が開始したので、ジャケットに冷却水を導入した。内温は最高80℃まで上昇したが、以降約70℃を維持し、エチレン圧を9Kg/cm2 G(エチレン圧10気圧)に維持しながら2.5時間重合を実施した。
重合終了後、得られた重合液を脱気した後、以下のようにクラムフォーミング法で処理し、ポリマ−を回収した。
重合液を激しく攪拌した分散剤を含む300Lの85℃の加熱水中に1時間かけて投入した。その後97℃で1時間攪拌した後に、クラムを含む熱水を冷水中に投入し、クラムを回収した。クラムを50℃で風乾し、その後60℃で真空脱気することで、数mm程度の大きさのクラム形状が良好なポリマ−(P6)を得た。
【0101】
得られたエチレン−スチレン共重合体P1〜P6の分析値を表1に示した。
【0102】
【表1】
Figure 0004037509
【0103】
実施例1〜18および比較例1〜3
薬物以外の成分を、それぞれ表2〜5に示す割合で配合し、得られた配合物を窒素雰囲気下で120〜160℃の温度で加熱撹拌し、溶融した。溶融後、温度を100〜120℃に降下し、薬物を添加し、均一混合により溶液を得た。なお、実施例1〜6では、薬物が含有されていないため、上記加熱撹拌後配合物を溶融することにより溶液を得た。
【0104】
次に、ホットメルトコーターを用いて溶融状態の溶液を、冷却後の厚みが約200μmとなるようにポリエチレンコート上質紙からなる剥離紙上に展延し、ついで粘着剤層上に支持体として厚み30μmのポリウレタンフィルムをラミネートした。こうして実施例1〜12および比較例1〜3の医療用粘着テープを作製した。
【0105】
【表2】
Figure 0004037509
【0106】
【表3】
Figure 0004037509
【0107】
【表4】
Figure 0004037509
【0108】
【表5】
Figure 0004037509
【0109】
なお、表2〜5において、使用したエチレン−スチレン共重合体(P1〜P4)以外の成分の詳細は以下の通りである。
【0110】
重質流動パラフィン:(日興製薬社製)
脂環族飽和炭化水素樹脂:商品名、アルコンP−90(軟化点90℃、荒川化学工業社製)
ポリブテン:商品名、日石ポリブテン(平均分子量1350、日本石油化学社製)
メチルセルロース:商品名、メトローズ SM−15(信越化学社製)
グリセリンモノステアレート:商品名、グリセリンモノステアレート MGS−B(日光ケミカルズ社製)
ポリビニルピロリドン:商品名、コリドンK90(BASF社製)
ソルビタンモノステアレート:ソルビタンモノステアレート SS−10(日光ケミカルズ社製)
ポリエチレングリコール モノステアレート:商品名、POE(2)モノステアレート YMS−2(日光ケミカルズ社製)
SIS(スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体):商品名、カリフレックスTR1107(溶液粘度=約1600cP(25重量%トルエン溶液)、スチレン/ゴム重量比=14/86、シェル化学社製)
【0111】
表2〜5中、エチレン−スチレン共重合体、SIS、重質流動パラフィン、脂環族飽和炭化水素樹脂、ポリブテンはこれらの成分の総和に対する重量%で示した。
また、水溶性高分子、多価アルコールの脂肪酸エステルおよび薬物の含有量は、粘着剤層全体に対する重量%で示した。
【0112】
<性能試験>
実施例および比較例で得られた医療用粘着テープについて行った性能試験の結果を表6〜9に示す。
【0113】
【表6】
Figure 0004037509
【0114】
【表7】
Figure 0004037509
【0115】
【表8】
Figure 0004037509
【0116】
【表9】
Figure 0004037509
【0117】
表6〜9から明らかなように、実施例の医療用粘着テープはいずれの試験項目においても優れていることが認められる。
【0118】
これに対し、比較例2では多価アルコールの脂肪酸エステルとしてのグリセリモノステアレートの添加量が30重量%を超えるため、グリセリンモノステアレートが粘着剤よりブリードし、貼付性が不良であり、糊残りも生じた。
【0119】
比較例3は特公昭54−44688号公報記載の医療用粘着テープであり、グリセリンが粘着剤層よりブリードし、貼付性が不良であった。
【0120】
【発明の効果】
本発明によれば、以上示したようにゴム系粘着剤の粘着性を損なうことなく貼付時の透湿性を付与し、さらに剥離時の毛むしりや皮膚角質剥離などの物理的刺激の殆どない低刺激性の医療用粘着テープおよびシートが得られる。

Claims (6)

  1. (A)炭素数10〜30のパラフィン系および/または炭素数10〜30のナフテン系炭化水素、および粘着付与樹脂の合計を粘着剤中75〜95重量%と、(B)下記の芳香族ビニル化合物−エチレンランダム共重合体を粘着剤中5〜25重量%含む粘着剤(I)を粘着剤組成物全体の96〜40重量%と、水溶性高分子(II)を粘着剤組成物全体の2〜30重量%および多価アルコールの脂肪酸エステル(III)を粘着剤組成物全体の2〜30重量%含むことを特徴とする粘着剤組成物。(B)芳香族ビニル化合物−エチレンランダム共重合体は、1)〜3)を特徴とする。
    1)芳香族ビニル化合物含量が1〜99.9モル%未満であり、2個以上の芳香族ビニル化合物ユニットのヘッド−テイルの連鎖構造を有する。
    2)共重合体の構造中に含まれる下記の一般式(1)で示される芳香族ビニル化合物とエチレンの交互構造のフェニル基の立体規則性が、アイソタクテックダイアッド分率mで0.75より大きく、かつ下記の式(i)で与えられる交互構造指数λが70より小さく、1より大きい。
    λ=A3/A2×100 式(i)
    ここでA3は、13C−NMR測定により得られる、下記の一般式(2)で示される芳香族ビニル化合物−エチレン交互構造に由来する3種類のピークa、b、cの面積の総和である。また、A2はTMSを基準とした13C−NMRにより0〜50ppmの範囲に観測される主鎖メチレン及び主鎖メチン炭素に由来するピークの面積の総和である。
    Figure 0004037509

    (式中、Phはフェニル基等の芳香族基、xは繰り返し単位数を示し2以上の整数を表す。)
    Figure 0004037509

    (式中、Phはフェニル基等の芳香族基、xは繰り返し単位数を示し2以上の整数を表す。)
    3)TMSを基準とした13C−NMR測定によって40〜41ppm及び/または42〜44ppmに現れるピークにより帰属される芳香族ビニル化合物ユニットの連鎖構造を有する。
  2. (B)芳香族ビニル化合物−エチレンランダム共重合体の芳香族ビニル化合物含量が、モル分率で1%以上20%未満であり、かつポリスチレン換算平均重量分子量が6万以上であることを特徴とする請求項記載の粘着剤組成物。
  3. (B)芳香族ビニル化合物−エチレンランダム共重合体の芳香族ビニル化合物含量が、モル分率で20%以上99.9%未満であり、かつポリスチレン換算重量平均分子量が3万以上であることを特徴とする請求項記載の粘着剤組成物。
  4. (B)芳香族ビニル化合物−エチレンランダム共重合体の芳香族ビニル化合物ユニットの連鎖構造の立体規則性がアイソタクティクであることを特徴とする請求項記載の粘着剤組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有することを特徴とする医療用粘着テープ。
  6. 請求項1〜のいずれか1項記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有することを特徴とする医療用粘着シート。
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