JP4037486B2 - 詰衿服 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、中高校生の男子が着用する学生服等の詰衿服に関する。
【0002】
【従来の技術】
学生服等の詰衿服は、詰衿の表地と裏地との間に、腰が強く張りのある芯材を縫い込み、この芯材で詰衿のシルエットを整えるようにしている。
詰衿服は、その詰衿のシルエットを良好に保つことが商品として重要なポイントであり、このため従来においては、詰衿の芯材として腰が強く張りのある材料、つまり硬度の高い材料を用いている。そしてこの芯材により、詰衿の保形性を高め、学校生活等における頻度の高い洗濯や、動きの大きな着用に対しも容易に型崩れが生じないようにしている。
【0003】
詰衿を良好な環形状に維持するための保形性は、芯材の長手方向である横方向の張り(曲げ)の強さにより保たれ、このため従来においては、芯材の材料として、全体に硬度が高く強い張りをもつ材料を用いるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、詰衿の芯材の硬度が高く張りが強い材料であれば、それだけ詰衿の保形性を高める点では有利となるが、しかし芯材の縦方向の張りが強すぎると、詰衿服の着用者が頭部を前後左右に傾倒させたときの首回りの動きが芯材の縦方向の張りにより妨げられ、この結果、窮屈感が生じ、着用感が悪くなってしまうという弊害が生じる。
【0005】
この発明はこのような点に着目してなされたもので、その目的とするところは、首回りの動きが楽で窮屈感を伴うことなく快適に着用することができる詰衿服を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明はこのような目的を達成するために、詰衿内に縫い込む芯材として、ナイロンとポリウレタンを原料とした人工皮革と、ポリエステルの繊維を用いた織布とを貼り合せた構造で、その長手方向である横方向の張りが強く、縦方向の張りが弱い材料を用いるようにしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1には、詰衿服の衿回り部分を示してあり、身頃1の衿ぐり2に詰衿3が縫着されている。詰衿3は、表地4と裏地5との間に帯状をなす芯材6を縫い込んでなる。
【0008】
芯材6は、その張り(曲げ)の強さに方向性をもち、その長手方向である横方向の張りの強さが強く、縦方向の張りの強さが弱い構造に構成されている。
なお、図1に示す詰衿3は、樹脂製のカラーを用いずに、その代替えとして、詰衿3の上端縁に白色の生地をライン状に縫い込んだタイプとなっている。
芯材6の構造を図2に示してあり、この芯材6は芯地Aと芯地Bとを貼り合わせた構造となっている。芯地Aはポリエステル100%の繊維を横糸および縦糸として織った織布であり、芯地Bはナイロン65%、ポリウレタン35%の原料を加熱および加圧してシート状に成形した人工皮革である。
【0009】
人工皮革からなる芯地Bは、その硬さが比較的硬く、張りの強さは縦横ともほぼ同じで、特に張りの強さに方向性はない。
織布からなる芯地Aは、全体に柔軟であるが、その横糸と縦糸との打込み本数を変えたり、横糸と縦糸との太さやフィラメントの長さを変えることにより、その張りの強さに方向性をもたすことができる。この例の場合の芯地Aにおいては、横方向の張りが強く、縦方向の張りが弱くなる処理を施してある。そしてこの芯地Aを前記芯地Bに接着剤で貼り合わせて詰衿用の芯材6として構成してある。
【0010】
したがって、この芯材6は芯地Bの張りの方向性に基づいて横方向の張りの強さが強く、縦方向の張りの強さが弱い特性を有する複合生地となっている。
この例の場合における芯地Aおよびこの芯地Aを芯地Bに貼り合わせて構成した芯材6のそれぞれの横方向の張り(曲げ)の強さと、縦方向の張り(曲げ)の強さを示すと下記の表1の通りである。なお、この表1に示す張りの強さは、曲げ反発試験法による測定値(g・cm)で、数値が高いほど張りの強さが強いことを示している。
【0011】
【表1】
Figure 0004037486
【0012】
芯材6の張りの強さは、芯地Aの張りの強さに比べてはるかに大きいが、これは芯地Bの硬さ、および芯地Aと芯地Bとを貼り合わせた接着剤層の硬さにより生じているものである。
【0013】
図3には、他の構造例による芯材6を示してあり、この例の芯材6は前記と同様の芯地Aの両面に、ポリエステル100%の繊維を横糸および縦糸として織った織布からなる芯地Cを貼り合わせて三層構造の生地に仕上げたものである。
【0014】
芯地Cは、張りの方向性がなく硬度の低い織布であり、この芯地Cを芯地Aの両面に接着剤で貼り合わせて詰衿用の芯材6として構成してある。
この例の場合における芯地Aおよびこの芯地Aの両面に芯地Cを貼り合わせて構成した芯材6のそれぞれの横方向の張り(曲げ)の強さと、縦方向の張り(曲げ)の強さを示すと下記の表2の通りである。
【0015】
【表2】
Figure 0004037486
【0016】
この場合においても、芯材6の張りの強さは、芯地Aの張りの強さに比べて大きいが、これは芯地Aの両面に貼り合わせた芯地Cの硬さ、およびその各芯地Cの貼り合わせ用の接着剤層の硬さにより生じているものである。
【0017】
図4には、さらに異なる芯材6の構造例を示してあり、この例の芯材6は、ナイロン65%、ポリウレタン35%を原料とし、これを加熱および加圧してシート状に成形した人工皮革の材料からなり、その片面には高圧・高熱プレス加工により、芯材6の長手方向に沿って延びる複数のリブ6aを平行に揃えて成形したものである。このような芯材6においても、各リブ6aの成形により、芯材6の横方向の張りが強く、縦方向の張りが弱くなる。
【0018】
このように、横方向の張りが強く、縦方向の張りが弱い材料を詰衿3の芯材6として使用すると、その横方向の張りの強さにより詰衿3の保形性を充分かつ確実に維持して良好なシルエットを保持することができるとともに、縦方向の張りが弱くソフトな状態となるから、詰衿服の着用者が頭部を前後左右に傾倒させたときの首回りの動きの自由度が増し、窮屈感がなく、快適な着用感が得られる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、芯材の横方向の強い張りにより詰衿を良好に保形して整ったシルエットを保つことができるともに、縦方向の張りのソフトさにより首回りの動きが楽で窮屈感のない快適な着用感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る詰衿服の衿回り部分の正面図。
【図2】詰衿の芯材の構造の一例を示す斜視図。
【図3】詰衿の芯材の構造の他の例を示す斜視図。
【図4】詰衿の芯材の構造のさらに異なる他の例を示す斜視図。
【符号の説明】
1…身頃
2…衿ぐり
3…詰衿
4…表地
5…裏地
6…芯材

Claims (1)

  1. 詰衿内に帯状の芯材が縫い込まれている詰衿服において、
    前記詰衿の芯材は、ナイロンとポリウレタンを原料とした人工皮革と、ポリエステルの繊維を用いた織布とを貼り合せた構造で、その長手方向である横方向の張りが強く、縦方向の張りが弱くなっていることを特徴とする詰衿服。
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