しかしながら、上記特許文献1に記載の発明においては、中央タブやオーバーベルトといった余分な部材が外から見えるため、見た目がすっきりとせず、人によっては見栄えを損なうと感じるという問題点があった。
そこで、本発明は、見た目は通常のズボン(パンツ)等の衣服と変わることなく、連続的にウエストサイズを変化させることができる、さらには連続的にウエストサイズを変化させることができる状態とウエストサイズを固定した状態とを容易に切り替えることができるウエストサイズ調節機構付衣服の提供を課題とするものである。
請求項1の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、衣服を分離自在に結合し、前記衣服のウエストサイズを所定の範囲で調節自在とする結合具と、前記結合具により前記衣服のウエストサイズを調節自在とする範囲で形状変化を自在とし、前記衣服の上前に設けられた上下方向に伸びるタックと、前記衣服の上前に設けられたタックに縫代となる一方のファスナーテープが縫付けられ、かつ、前記衣服の下前に縫代となる他方のファスナーテープが縫付けられたファスナーと、前記衣服の下前のベルト部に弾性材を介してベルト方向に移動可能に取り付けられた所定長さの移動布と、前記移動布に所定長さの糸足または根巻きをとって縫付けられたボタンと、前記衣服の下前のベルト部表地に設けられ、前記ボタンが裏側から表側に通されて、前記弾性材の弾性力に抗して前記移動布がベルト方向に移動するのに伴って前記ボタンが移動可能な第2のボタンホールとを具備し、前記一方のファスナーテープの上端はスライディングテープ及びゴムテープによって前記衣服の上前の上端に縫付けられ、前記スライディングテープは外方向に傾斜した状態で縫付けられており、前記結合具は、前記移動布に縫付けられ前記第2のボタンホールを通して表側に出されたボタンと、前記衣服の上前のベルト部に設けられたボタンホールとからなるものである。
請求項2の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、衣服を分離自在に結合し、前記衣服のウエストサイズを所定の範囲で調節自在とする結合具と、衣服の下前のベルト部に弾性材を介してベルト方向に移動可能に取り付けられた所定長さの移動布と、前記移動布に所定長さの糸足または根巻きをとって縫付けられたボタンと、前記衣服の下前のベルト部表地に設けられ、前記ボタンが裏側から表側に通されて、前記弾性材の弾性力に抗して前記移動布がベルト方向に移動するのに伴って前記ボタンが移動可能な第2のボタンホールとを具備し、前記結合具は、前記移動布に縫付けられ前記第2のボタンホールを通して表側に出されたボタンと、前記衣服の上前のベルト部に設けられたボタンホールとからなるものである。
請求項3の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項1または請求項2の構成において、前記移動布の上下方向への振れと前記第2のボタンホールからの噴き出しを防止するために前記下前のベルト部に縦テープの両端を縫付けて、前記移動布の裏側に横方向に一または二以上の噴き出し防止テープを前記縦テープの下を横方向に移動可能に通して縫付けたものである。
請求項4の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項1または請求項2の構成において、前記移動布の上下方向への振れと前記第2のボタンホールからの噴き出しを防止するために前記下前のベルト部の前記上前のベルト部に設けられたボタンホールの位置に横テープの両端を縫付けて、前記移動布の裏側に縦方向に一または二以上の噴き出し防止テープを前記横テープの下を横方向に移動可能に通して縫付けたものである。
請求項5の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項1または請求項2の構成において、前記移動布の裏側に「く」の字形に折り曲げたテープを折り曲げ線において縫付け、前記テープの両端は前記上前のベルト部に設けられたボタンホールの位置において前記下前のベルト部に縫付け、前記縫付けられた折り曲げ線の左右の余ったテープはタック状に折り畳んだものである。
請求項6の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項5の構成において、前記移動布の裏側の前記「く」の字形に折り曲げたテープの下を一または二以上の横テープを通して前記横テープの両端を前記移動布の裏側に縫付けたものである。
請求項7の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項1乃至請求項6のいずれか1つの構成において、前記結合具は、前記移動布に縫付けられ前記第2のボタンホールを通して表側に出された前記ボタンと前記衣服の上前のベルト部に設けられた前記ボタンホールと、前記上前のベルト部に取付けられた受構成体または鉤構成体と前記衣服の下前のベルト部の裏側に取付けられた鉤構成体または受構成体とからなるものである。
請求項8の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項1乃至請求項7のいずれか1つの構成において、前記弾性材には、その最大伸びを制限する伸び止め材を並設したものである。
請求項9の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項1乃至請求項8のいずれか1つの構成において、前記移動布と前記伸び止め材としてベルト部表地と同系色の裏地を用いたものである。
請求項10の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項1乃至請求項9のいずれか1つの構成において、前記衣服の下前のベルト部の上半分及び/または下半分及び/または移動布を硬めの芯で補強したものである。
請求項1の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、ウエストサイズの変化に伴ってファスナーテープが移動できるように、ファスナーテープを縫付けるズボン等の上前にタックを設けるとともに、下前のベルト部に弾性材を介してベルト方向に移動可能に取り付けられた所定長さの移動布にボタンを縫付け、下前のベルト部表地に設けられた第2のボタンホールからボタンを表に出し、上前のベルト部に設けられたボタンホールにボタンを係合することによって、弾性材が伸縮可能な範囲内でボタンが第2のボタンホール内を移動してフリーサイズとなり、ゆったりとした着用感が得られる。そして、第2のボタンホールは、ボタンを上前のベルト部のボタンホールに係合することによって隠れるので、見た目は通常の衣服と何等変わるところがない。しかも、ウエストサイズの変化に伴ってファスナーテープが移動するため、ウエスト近傍に皺等が生じることもない。
ここで、一方のファスナーテープの上端は、上前ベルト部の裏地の内側でスライディングテープ及びゴムテープによって上前の上端に縫付けられている。スライディングテープは、上前の端縁の外方向に向かって傾斜した状態で上前ベルト部の内側に挟んで縫付けられている。そして、上前ベルト部には穴かがりされたボタンホールが設けられるが、ボタンホールは上前ベルト部内に取付けられたスライディングテープ及びゴムテープの一部を貫通しており、ボタンホールの穴かがりによってスライディングテープ及びゴムテープも共に縫付けられてしまう。しかし、本発明のウエストサイズ調節機構付衣服においては、一方のファスナーテープがスライディングテープのみでなくゴムテープによっても支持されているため、タックの折り重なり部分が引き延ばされる際には、ゴムテープの伸縮力によって一方のファスナーテープもそれにつれて移動することができる。このように、上前ベルト部にボタンホールを設けて穴かがりをしても一方のファスナーテープの移動を妨げることがない。
このようにして、見た目は通常の衣服と変わることなく、見栄え良く連続的にウエストサイズを変化させることができるウエストサイズ調節機構付衣服となる。
請求項2の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、下前のベルト部に弾性材を介してベルト方向に移動可能に取り付けられた所定長さの移動布にボタンを縫付け、下前のベルト部表地に設けられた第2のボタンホールからボタンを表に出し、上前のベルト部に設けられたボタンホールにボタンを係合することによって、弾性材が伸縮可能な範囲内でボタンが第2のボタンホール内を移動してフリーサイズとなり、ゆったりとした着用感が得られる。そして、第2のボタンホールは、ボタンを上前のベルト部のボタンホールに係合することによって隠れるので、見た目は通常の衣服と何等変わるところがない。
このようにして、見た目は通常の衣服と変わることなく、見栄え良く連続的にウエストサイズを変化させることができるウエストサイズ調節機構付衣服となる。
請求項3の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、下前のベルト部に縦テープの両端を縫付けて、移動布の裏側に横方向に一または二以上の噴き出し防止テープを縦テープの下を横方向に移動可能に通して縫付けたものである。したがって、ボタンに無理な力が掛かって上方に引張られても、ボタンが縫付けられている移動布や弾性材が第2のボタンホールから外へ引き出されてしまう所謂「噴き出し」が防止される。
このようにして、見栄え良く連続的にウエストサイズを変化させることができるとともに噴き出しを防止することができるウエストサイズ調節機構付衣服となる。
請求項4の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、下前のベルト部の上前のベルト部に設けられたボタンホールの位置に横テープの両端を縫付けて、移動布の裏側に縦方向に一または二以上の噴き出し防止テープを横テープの下を横方向に移動可能に通して縫付けたものである。したがって、ボタンに無理な力が掛かって上方に引張られても、ボタンが縫付けられている移動布や弾性材が第2のボタンホールから外へ引き出されてしまう噴き出しが防止される。
このようにして、見栄え良く連続的にウエストサイズを変化させることができるとともに噴き出しを防止することができるウエストサイズ調節機構付衣服となる。
請求項5の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、移動布の裏側に「く」の字形に折り曲げたテープを折り曲げ線において縫付け、テープの両端は上前のベルト部に設けられたボタンホールの位置において下前のベルト部に縫付け、縫付けられた折り曲げ線の左右の余ったテープはタック状に折り畳んだものである。これによって、ボタンが第2のボタンホール内でウエストサイズが緩む方向に引張られたとき、テープの中央のタック状部分が上下に分散されるので、遊びが少なくなる。したがって、ボタンを無理に第2のボタンホール外へ引張っても、噴き出しが起こり難い。また、テープの中央部分がタック状に折りたたまれているため、弾性材の引張り力が強い場合の戻りが良くなる。
このようにして、見栄え良く連続的にウエストサイズを変化させることができるとともに噴き出しを防止することができるウエストサイズ調節機構付衣服となる。
請求項6の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、移動布の裏側の「く」の字形に折り曲げたテープの下を一または二以上の横テープを通して横テープの両端を移動布の裏側に縫付けたものである。したがって、移動布の移動がよりスムーズになるとともに、より噴き出しが起こり難くなる。
このようにして、見栄え良く連続的にウエストサイズを変化させることができるとともに噴き出しを防止することができるウエストサイズ調節機構付衣服となる。
請求項7の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、結合具として移動布に縫付けられ第2のボタンホールを通して表側に出されたボタンと上前のベルト部に設けられたボタンホールと、上前のベルト部に取付けられた受構成体または鉤構成体と下前のベルト部の裏側に取付けられた鉤構成体または受構成体とを併設したものである。
したがって、ボタンとボタンホールのみを嵌合させた場合には、弾性材の伸縮可能な範囲内で連続的にウエストサイズを変化させることができる(フリーサイズ)。また、下前または上前のベルト部に取り付けられた鉤構成体を上前または下前のベルト部に取り付けられた受構成体に係止した場合には、ウエストサイズは一定のサイズに固定される。
このようにして、見た目は通常の衣服と変わることなく、連続的にウエストサイズを変化させることができるフリーサイズ状態とウエストサイズを固定した状態とを容易に切り替えることができるウエストサイズ調節機構付衣服となる。
請求項8の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、弾性材には、その最大伸びを制限する伸び止め材を並設したものである。
したがって、ボタンが移動可能な第2のボタンホールの長さ以上に引張られないように弾性材の伸びの長さを制限することができるから、皺がよったりしてウエスト周りの見栄えが損なわれることがない。また、弾性材に過度の引っ張り力がかかるのを防止することができるから、弾性材の寿命が長くなる。
このようにして、見た目は通常の衣服と変わることなく、連続的にウエストサイズを変化させることができるとともに弾性材の寿命を長くすることができるウエストサイズ調節機構付衣服となる。
請求項9の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、移動布と伸び止め材としてベルト部表地と同系色の裏地を用いたものである。裏地は滑りが良く薄手なので嵩張らないため、弾性材の伸縮と移動布の移動が極めてスムーズに行われる。また、ベルト部表地と同系色としたため、衣服の前明を開いて第2のボタンホールが見えた場合でも内部の移動布や伸び止め材が目立たないため、見栄えを損なわずに済む。
このようにして、弾性材の伸縮と移動布の移動が極めてスムーズに行われ、第2のボタンホールが目立たないウエストサイズ調節機構付衣服となる。
請求項10の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、衣服の下前のベルト部の上半分及び/または下半分及び/または移動布を硬めの芯で補強したものである。これによって、移動布の移動がスムーズになり、また移動布が弾性材の伸びる方向に移動したときに衣服の下前のベルト部に皺がよることが防止される。さらに、上半分及び/または移動布を硬めの芯で補強することによって噴き出しが防止される。
このようにして、弾性材の伸縮と移動布の移動が極めてスムーズに行われ、見た目は通常の衣服と変わることなく、連続的にウエストサイズを変化させることができるウエストサイズ調節機構付衣服となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。本発明のウエストサイズ調節機構付衣服は、主に婦人用ズボン(婦人用パンツ)に適用されるものであるが、紳士用ズボンにも適用することができる。
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1について、図1乃至図12を参照して説明する。本発明の実施の形態1は、本発明のウエストサイズ調節機構付衣服を主に婦人用パンツに適用した場合を例示するものである。
図1(a)は本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服の前明を外した状態を示す部分正面図、(b),(c),(d),(e)は本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服の様々なバリエーションを示す図である。図2は本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服の上前部分の構造を示す説明図である。図3は本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服における上前部分に設けられたタックの構造を示す斜視図である。図4(a)は本発明の実施の形態1の変形例にかかるウエストサイズ調節機構付衣服の前明を外した状態を示す部分正面図、(b),(c),(d),(e)は本発明の実施の形態1の変形例にかかるウエストサイズ調節機構付衣服の様々なバリエーションを示す図である。
図5(a)は本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服の下前ベルト部の製造方法を示す図、(b)は移動布ユニットを作製するための部品を示す図である。図6(a),(b),(c)は本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服の移動布ユニットの作製方法を裏側から見て示す図である。図7(a)は本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服の移動布ユニットの変形例を示す図、(b)は別の変形例を示す図である。図8(a)は本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服の噴き出し防止テープの取付け方を示す図、(b),(c)は噴き出し防止テープの変形例を示す図である。
図9(a)は本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服の移動布ユニットを取付けた状態を示す図、(b)はボタンの根巻きの高さを示す図である。図10(a)は本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服の移動布ユニットと噴き出し防止テープの関係を示す図、(b)はボタンの付いた移動布を弾性材の引張り力に抗して伸び止め材の長さ一杯まで移動させた状態を示す図、(c)はその斜視図である。図11(a)は本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服の噴き出し防止テープを縫付けたところを示す図、(b)はボタンを第2のボタンホールから外へ出したところを示す図である。図12(a)は本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服の上前ベルト部に持ち出しを付けた例を示す斜視図、(b)は上前ベルト部にポイントを設けた例を示す斜視図、(c)はベルト幅が3cm未満の場合の上前ベルト部の構成を示す部分図である。
図1(a)に示されるように、本実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としての婦人用パンツ1は、上前ベルト部2に通常のボタンホール(バチ穴かがり(眠り穴かがりの1種)またはハトメ穴かがり)6が設けられ、下前ベルト部3に第2のボタンホール(バチ穴かがりまたはハトメ穴かがり)5が設けられて、下前ベルト部3内部に設けられた移動布に縫付けられたボタン4(直径1.5cm)が第2のボタンホール5から外へ出ており、ボタン4は第2のボタンホール5内で移動可能となっている。このボタン4を上前ベルト部2のボタンホール6に係合して、下前にファスナーテープFaが縫付けられたファスナーFbを上前に縫付けられた図示しないファスナーと合わせて閉じることによって、婦人用パンツ1は連続的にウエストサイズが変化してゆったりとした着用感が得られる。そして、第2のボタンホール5は、ボタン4を上前ベルト部2のボタンホール6に係合することによって隠れるので、見た目は通常のパンツと何等変わるところがない。しかも、後で詳しく説明するように、ウエストサイズの変化に伴って上前のファスナーテープが移動するため、ウエスト近傍に皺等が生じることもない。
図1(b),(c),(d),(e)は婦人用パンツ1のバリエーションを示すもので、図1(b)に示されるように、婦人用パンツ1Bは下前ベルト部3に2.5cmの持ち出しを付けて、その持ち出し部分に鉤構成体としてのカギホックの雄側(ホック)8を縫付け、対応する上前ベルト部2の裏側には受構成体としてのカギホックの雌側(メンカン)7を縫付けてあり、両者を嵌合させることによって連続的にウエストサイズが変化する状態から容易にウエストサイズが固定された状態に切り替えられる。なお、第2のボタンホール5の長さは1.5cmであるため、第2のボタンホール5は上前ベルト部2に隠されて見えない。
図1(c)に示されるように、婦人用パンツ1Cも下前ベルト部3に2.5cmの持ち出しを付けて、同様にメンカン7とホック8が縫付けられており、さらに上前ベルト部2には三角形のポイント9を設けている。これによって、第2のボタンホール5の長さは2.0cmであるが、ウエストサイズが変化して上前ベルト部2が移動しても、第2のボタンホール5はポイント9に隠されて外からは見えない。そして、メンカン7とホック8を嵌合させることによって連続的にウエストサイズが変化する状態から容易にウエストサイズが固定された状態に切り替えられる。
図1(d)に示されるように、婦人用パンツ1Dも下前ベルト部3に2.5cmの持ち出しを付けて、同様にメンカン7とホック8が縫付けられているが、第2のボタンホール5の長さが2.5cmとさらに長くなっているにも関わらず、上前ベルト部2にはポイントが設けられていない。したがって、メンカン7とホック8を嵌合させた状態において、上前ベルト部2の下から第2のボタンホール5の一部が見えてしまう。しかし、この程度見えても気にならないという顧客も多いので、婦人用パンツ1Dにおいては敢えて第2のボタンホール5を隠すことはしていない。
図1(e)に示されるように、婦人用パンツ1Eにおいては下前ベルト部3には持ち出しを付けていない代わりに、上前ベルト部2に4cmの持ち出しを設けている。これによって、第2のボタンホール5を下前ベルト部3の端からずっと離れた位置に設けることができるので、下前ベルト部3の端にホック8を縫付けることができる。そして、対応する上前ベルト部2の裏側にメンカン7を縫付けて両者を嵌合させることによって、連続的にウエストサイズが変化する状態から容易にウエストサイズが固定された状態に切り替えられる。なお、第2のボタンホール5の長さは1.8cmであるため、第2のボタンホール5は上前ベルト部2の持ち出し部分に隠されて見えない。
次に、本実施の形態1のウエストサイズ調節機構付衣服としての婦人用パンツ1,1B,1C,1D,1Eにおけるファスナーテープ移動機構について、図2及び図3を参照して説明する。なお、図2においては、上前ベルト部2に設けられるボタンホール6と取付けられるメンカン7は、図示省略されている。
図2に示されるように、本実施の形態1の婦人用パンツ1においては、上前裏側31aにタック(フラシ)30を縦方向に設けて、このタック30にファスナーテープFaを縫付けている。図3に示すように、タック30は、上前31aの生地を外側の折り返し部分30aと内側の折り返し部分30bの2箇所で折り返すことによって、折り返し部分30aから折り返し部分30bの区間で折り重なり部分を生ぜしめ、この折り重なり部分が引き延ばされることによって婦人用パンツ1のウエストサイズを調節自在とする範囲で形状変化を自在としたものである。図に示すように、この折り重なり部分はタック30の上端で最も幅が大きく、下方に行くにしたがって小さくなり下端で消滅する。
図3に示すように、一方のファスナーテープFaはタック30の折り重なり部分の上側において、上前31aに縫付けられる。一方のファスナーテープFaに沿って並ぶ複数のむしFbと噛み合う他方のファスナーテープFaは、図示しない下前に縫付けられる。そして、婦人用パンツ1の前明は、各ファスナーテープFaの複数のむしFbを噛み合わせて2つのファスナーテープFaを結合するスライダーFcを上下動することによって開閉できるようになっている。
さらに、図2に示すように一方のファスナーテープFaの上端は、上前ベルト部2の裏地の内側でスライディングテープ32及びゴムテープ32aによって上前31aの上端に縫付けられている。スライディングテープ32は、上前31aの端縁の外方向に向かって傾斜した状態で上前ベルト部2の内側に挟んで縫付けられている。ここで、上前ベルト部2には穴かがりされたボタンホール6(図示省略)が設けられるが、ボタンホール6は上前ベルト部2内に取付けられたスライディングテープ32及びゴムテープ32aの一部を貫通しており、ボタンホール6の穴かがりによってスライディングテープ32及びゴムテープ32aも共に縫付けられてしまう。しかし、本実施の形態1の婦人用パンツ1においては、一方のファスナーテープFaがスライディングテープ32のみでなくゴムテープ32aによっても支持されているため、タック30の折り重なり部分が引き延ばされる際には、ゴムテープ32aの伸縮力によって一方のファスナーテープFaもそれにつれて移動することができる。このように、上前ベルト部2にボタンホール6を設けて穴かがりをしても一方のファスナーテープFaの移動を妨げることがない。
このようにファスナーテープFaのタック30に縫付けられた部分は、折り重なり部分による余長分の長さの範囲内で、図3において矢印で示すように、上前31aの端縁の外方向に向かって、引いて移動させることができる。即ち、タック30がファスナーテープFaを介して上前31aの端縁の外側に引張られることで、タック30の折り重なり部分が引き延ばされ、ファスナーテープFaを上前31aの端縁の外方向に向かって移動させることができる。また、上前31aに縫付けられているスライディングテープ32は、上前31aの端縁の外方向に向かって傾斜した状態で上前ベルト部2の内側に挟んで縫付けられているので、ファスナーテープFaのタック30への縫付け部分が上前31aの端縁の外方向に向かって移動することが、ゆとり方向への移動となるから、その移動を妨げることがない。
タック30によれば、スライダーFcを上げてファスナーFで前明を閉じた状態において、婦人用パンツ1のウエストベルトを広げる方向に外力を加えると、ファスナーテープFaの下にタック30が形成されている領域で、タック30の折り重なり部分を引き延ばせる長さの範囲内で婦人用パンツ1のウエストサイズが長くなり、ウエストベルトの下部もそのサイズが広くなる。これによって、着用する人の腰周り寸法に合わせてパンツ等の腰周り寸法を移動布によって調節し、同時に着用する人の腰の下部周りの寸法をタックによってファスナーテープを適宜動かすことによって調節することができる。
次に、本実施の形態1の変形例にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としての婦人用パンツについて、図4を参照して説明する。
図4(a)に示されるように、本実施の形態1の変形例にかかる婦人用パンツ11は、上前ベルト部2に通常のボタンホール(バチ穴かがりまたはハトメ穴かがり)6が設けられ、下前ベルト部3に第2のボタンホール(玉縁ボタンホール)12が設けられて、下前ベルト部3内部に設けられた移動布に縫付けられたボタン4(直径1.5cm)が第2のボタンホール12から外へ出ており、ボタン4は第2のボタンホール12内で移動可能となっている。このボタン4を上前ベルト部2のボタンホール6に係合して、下前にファスナーテープFaが縫付けられたファスナーFbを上前に縫付けられた図示しないファスナーと合わせて閉じることによって、婦人用パンツ11は連続的にウエストサイズが変化してゆったりとした着用感が得られる。そして、第2のボタンホール12は、ボタン4を上前ベルト部2のボタンホール6に係合することによって隠れるので、見た目は通常のパンツと何等変わるところがない。しかも、図2,図3で詳しく説明したように、ウエストサイズの変化に伴って上前のファスナーテープが移動するため、ウエスト近傍に皺等が生じることもない。
図4(b),(c),(d),(e)は婦人用パンツ11のバリエーションを示すもので、図4(b)に示されるように、婦人用パンツ11Bはカギホック7,8を取付けないので、婦人用パンツ1Bのように持ち出しを付けることもない。なお、第2のボタンホール12の長さは1.5cmであるため、第2のボタンホール12は上前ベルト部2に隠されて見えない。図4(c)に示されるように、婦人用パンツ11Cも下前ベルト部3に持ち出しは付けず、上前ベルト部2には三角形のポイント9を設けている。これによって、第2のボタンホール12の長さは2.0cmであるが、ウエストサイズが変化して上前ベルト部2が移動しても、第2のボタンホール12はポイント9に隠されて外からは見えない。
また、図4(d)に示されるように、婦人用パンツ11Dも下前ベルト部3に持ち出しは付けず、第2のボタンホール12の長さが2.5cmとさらに長くなっているにも関わらず、上前ベルト部2にはポイントが設けられていない。したがって、上前ベルト部2の下から第2のボタンホール12の玉縁ボタンホールの一部が見えてしまうが、この程度なら見えても気にならないという顧客も多いので、婦人用パンツ11Dにおいては敢えて第2のボタンホール12を隠すことはしていない。さらに、図4(e)に示されるように、婦人用パンツ11Eにおいては下前ベルト部3には持ち出しを付けていない代わりに、上前ベルト部2に4cmの持ち出しを設けている。これによって、第2のボタンホール12を下前ベルト部3の端からずっと離れた位置に設けることができ、第2のボタンホール12の長さは1.8cmであるため、第2のボタンホール12は上前ベルト部2の持ち出し部分に隠されて見えない。
このようにして、本実施の形態1及びその変形例にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としての婦人用パンツにおいては、見た目は通常のパンツと変わることなく、連続的にウエストサイズを変化させることができ、ウエストサイズが変化してもファスナーテープが移動することによって、ウエスト周りに皺がよることもない。
次に、本実施の形態1にかかる婦人用パンツ1の製造方法について、図5乃至図11を参照して説明する。
図5(a)に示されるように、下前ベルト部3は、まず下前ベルト布13の内側になる方の上半分に3cm幅のインベル芯または硬めの芯14aを貼り、下半分に補強用のインベル芯または硬めの芯14bを貼る。本実施の形態1においては、伸びたときの皺防止用のインベル芯または硬めの芯14bを途中まで1.5cm幅として貼っているが、皺防止用のインベル芯または硬めの芯14bを全長に亘って2.8cm幅として貼っても良い。次に、2cmの長さの眠り穴かがり(バチ穴)を下前ベルト布13の表側から開けて、第2のボタンホール5を形成する。
続いて、図5(b)に示されるように、移動布ユニットの材料として幅2cm・長さ7.5cmの弾性材としてのオペロンゴム16、幅2.5cm・長さ9.5cmの伸び止め材17、そして移動布ユニットの中心となる補強用の硬めの芯19を貼り付けたテープ布(移動布)18を用意する。ここで、伸び止め材17とテープ布18としては婦人用パンツ1の表地と同系色の裏地を用いて、それぞれの上辺・下辺をロック始末しておく。次に、図6(a)に示されるように、オペロンゴム16、伸び止め材17、テープ布18を重ねて、オペロンゴム16と伸び止め材17の端をミシンステッチ16aで仮止めする。そして、オペロンゴム16と伸び止め材17をテープ布18の縫代で包んで2本のミシンステッチ18aを掛ける。
次に、図6(b)に示されるように、補強用の硬めの芯19の周囲をミシンステッチ19aで押えて剥がれないようにし、さらに図6(c)に示されるように、テープ布18の上に5cmの長さの2本の噴き出し防止テープ22をセットして、左端から1cmの位置で頑丈にミシンステッチ22aを掛けて止める。この段階では、右端から1cmの位置のミシンステッチ22bはまだ掛けないでおく。
ここで、移動布ユニット15Aのその他の例を図7に示しておく。図7(a)に示されるように、移動布ユニット15Bは伸び止め材17を筒状に縫って、中にオペロンゴム16を入れてステッチ17aを掛けてシャーリングにしたものである。また、図7(b)に示されるように、移動布ユニット15Cは伸び止め材17の上下辺をロック始末したものをオペロンゴム16と合わせてステッチ17bを掛けてシャーリングにしたものである。
さて、次に図8(a)に示されるように、図5(a)の下前ベルト部3に縦方向の噴き出し防止テープ21を、前記2本の噴き出し防止テープ22を通すために、4本のステッチ21aで縫付ける。変形例として、図8(b)に示されるように、横方向の噴き出し防止テープ22を1本としたり、図8(c)に示されるように、3本としても良い。
続いて、図9(a)に示されるように、図6(c)の移動布ユニット15Aを下前ベルト部3にセットしてオペロンゴム16と伸び止め材17の端を2本ステッチ16bで止め、所定位置にボタン4を縫付ける。ここで、図9(b)に示されるように、ボタン4の根巻き4aの長さは、第2のボタンホール5の中を左右へ移動しやすいために、0.3cm〜0.5cmにする。
次に、図10(a)に示されるように、右端をまだ止めていない2本の噴き出し防止テープ22を縦方向の噴き出し防止テープ21の下を通す。図10(b)は、伸び止め材17の長さ一杯までオペロンゴム16を伸ばした状態を示す図である。これを斜視図で示すと図10(c)のようになる。後は、図11(a)に示されるように、2本の噴き出し防止テープ22を右端から1cmの位置のミシンステッチ22bを掛けて止め、婦人用パンツの身頃にウエストベルト布を縫い、移動布18に縫付けたボタン4を、図11(b)に示されるように第2のボタンホール5から出して、下前端ベルト布3aを縫えば完成である。
このようにして、ボタン4に引張り力が掛かってもボタン4が縫付けられた移動布18が第2のボタンホール5から外へ出てしまう「噴き出し」を防止するために、横方向の2本の噴き出し防止テープ22と縦方向の噴き出し防止テープ21が設けられた婦人用パンツ1となる。なお、噴き出し防止テープ21,22の素材としては、滑りが良く丈夫なことから、片面繻子テープが好ましい。
図12(a)は、図1(e)で説明した婦人用パンツ1のバリエーションの1つ婦人用パンツ1Eの前明を開けた状態を示す斜視図である。上前ベルト部2に4cmの持ち出しが設けられているため、下前ベルト部3には持ち出しを設けなくとも、カギホック7,8を取付けることができる。ここで、強化のため、受構成体としてのメンカン7を2つ並べて取付ける場合もある。また、図12(b)は、図1(c)で説明した婦人用パンツ1のバリエーションの1つ婦人用パンツ1Cの前明を開けた状態を示す斜視図である。この場合には下前ベルト部3に2.5cmの持ち出しを付けて、さらに上前ベルト部2にポイント9を設けることによって、第2のボタンホール5の長さが2.0cmあるにも関わらず、ポイント9に隠されて外からは見えない。この例においても、メンカン7を2つ並べて取付けても良い。
これらの例は、いずれもベルト部の幅が3cm以上であり、ファスナーテープの移動機構が付いているものである。しかし、ベルト部の幅が3cm未満の場合には上前ベルト部2にボタンホール6を開けるとファスナーテープの移動のときに引っ掛かってしまうため、図12(c)に示されるように、上前ベルト部2に持ち出し9aを付けてボタンホール6を開け、上前ベルト部2には穴を開けないようにする。
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2について、図13を参照して説明する。本発明の実施の形態2も、本発明のウエストサイズ調節機構付衣服を主に婦人用パンツに適用した場合を例示するものである。
図13(a)は本発明の実施の形態2にかかるウエストサイズ調節機構付衣服の移動布ユニットを裏側から示す図、(b)は噴き出し防止テープを縫付けた状態を示す図、(c)は移動布ユニットを下前ベルト部に取付けた状態を示す図である。
図13(a)に示されるように、本実施の形態2にかかるウエストサイズ調節機構付衣服の移動布ユニット23Aは、実施の形態1と同様に、幅2cm・長さ7.5cmの弾性材としてのオペロンゴム16、幅2.5cm・長さ9.5cmの伸び止め材17、そして移動布ユニットの中心となる補強用の硬めの芯19を貼り付けたテープ布(移動布)18から構成されている。ここで、伸び止め材17とテープ布18としては婦人用パンツの表地と同系色の裏地を用いて、それぞれの上辺・下辺をロック始末しておく。そして、オペロンゴム16と伸び止め材17の端をミシンステッチ16aで仮止めする。さらに、補強用の硬めの芯19の周囲をミシンステッチ19aで押えて剥がれないようにし、テープ布18の上に縦方向に噴き出し防止テープ24をセットして、上下端にミシンステッチを掛けて止める。
次に、図13(b)に示されるように、実施の形態1と同様に構成された下前ベルト部3に横方向に噴き出し防止テープ25をセットして、左端のみステッチ25aで縫付けておく。続いて、図13(c)に示されるように、下前ベルト部3に移動布ユニット23Aをセットしてオペロンゴム16と伸び止め材17の端を2本ステッチ16bで止め、所定位置にボタン4を縫付ける。そして、左端しか止められていない噴き出し防止テープ25を噴き出し防止テープ24と移動布18の間を通して、右端を下前ベルト部3にステッチ25bで縫付ける。後は、婦人用パンツの身頃にウエストベルト布を縫い、移動布18に縫付けたボタン4を第2のボタンホール5から出して、下前端ベルト布を縫えば完成である。
以上説明したように、本実施の形態2にかかる婦人用パンツと実施の形態1の婦人用パンツ1の相違点は、噴き出しを防止するための縦テープと横テープのうち、横テープを下前ベルト部3に固定して縦テープを移動布18の裏側に一体に移動可能に取付けるか、縦テープを下前ベルト部3に固定して横テープを移動布18の裏側に一体に移動可能に取付けるか、という点にある。いずれにしても、移動布18の移動をスムーズにするとともに、移動布18に縫付けられたボタン4に引張り力が掛かった場合でも移動布18までが第2のボタンホール5から外へ出てしまう噴き出しを防止するという作用効果には変わりがない。
このようにして、本実施の形態2にかかる婦人用パンツにおいては、見た目は通常のパンツと変わることなく、連続的にウエストサイズを変化させることができ、ウエストサイズが変化してもファスナーテープが移動することによって、ウエスト周りに皺がよることもない。また、ボタン4に引張り力が掛かってもボタン4が縫付けられた移動布18が第2のボタンホール5から外へ出てしまう噴き出しを確実に防止することができる。
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3について、図14を参照して説明する。
ここでも、本発明の実施の形態3のウエストサイズ調節機構付衣服としては、婦人用パンツの事例として説明するが、キュロットスカート等の各種スカートにおけるウエストサイズ調節機構付スカートについても同様である。
図14(a)は下前ベルト部を開いて移動布の裏側に噴き出し防止テープを縫付けたところを示す図、(b)は噴き出し防止テープを両側で下前ベルト部に縫付けたところを示す図、(c)は噴き出し防止テープにタック状部分を作って折り曲げたところを示す拡大図、(d)は移動布を移動させたときの噴き出し防止テープの変形の様子を示す拡大図である。
図14(a)に示されるように、本実施の形態3においては、移動布18のボタン4が縫付けられる近傍の裏側に噴き出し防止テープ35の中心を移動布18の中心線に合わせて、ミシンステッチ35aで縫付ける。次に、図14(b)に示されるように、噴き出し防止テープ35を「く」の字形に折り曲げて、両側を下前ベルト部3にミシンステッチ35bで縫付ける。このとき、図14(c)に示されるように、折り曲げ部分の両側にタック状部分35cを作って折り畳む。これによって、このタック状部分35cがクッションとなって移動布18の移動が楽になる。移動布18を弾性材が伸びる方向へ移動させると、図14(d)に示されるように、タック状部分35cが上下に分散して噴き出し防止テープ35の弛みが少なくなり、噴き出しが防止される。
このようにして、本実施の形態3にかかる婦人用パンツにおいては、見た目は通常のパンツと変わることなく、連続的にウエストサイズを変化させることができ、ウエストサイズが変化してもファスナーテープが移動することによって、ウエスト周りに皺がよることもない。また、ボタン4に引張り力が掛かってもボタン4が縫付けられた移動布18が第2のボタンホール5から外へ出てしまう噴き出しを確実に防止することができる。
実施の形態4
次に、本発明の実施の形態4について、図15を参照して説明する。
図15(a)は下前ベルト部を開いて移動布の裏側に縦横2枚の噴き出し防止テープを縫付けたところを示す図、(b)は縦の噴き出し防止テープを両側で下前ベルト部に縫付けたところを示す図、(c)は横の噴き出し防止テープを移動布の上から下前ベルト部に縫付けたところを示す図である。
図15(a)に示されるように、本実施の形態4においては、移動布18のボタン4が縫付けられる近傍の裏側に縦の噴き出し防止テープ35の中心を移動布18の中心線に合わせてミシンステッチ35aで縫付けた後、横の噴き出し防止テープ36の前中心から遠い側をミシンステッチ36aで縫付ける。次に、図15(b)に示されるように、縦の噴き出し防止テープ35を「く」の字形に折り曲げて、両側を下前ベルト部3にミシンステッチ35bで縫付ける。そして、図15(c)に示されるように、移動布18を平らに置いて、横の噴き出し防止テープ36とともに、ミシンステッチ36bで下前ベルト部3に縫付ける。
これによって、より強力に噴き出しを防止することができる。このようにして、本実施の形態4にかかる婦人用パンツにおいては、見た目は通常のパンツと変わることなく、連続的にウエストサイズを変化させることができ、ウエストサイズが変化してもファスナーテープが移動することによって、ウエスト周りに皺がよることもない。また、噴き出しをより確実に防止することができる。
ここで、本発明のウエストサイズ調節機構付衣服にかかる実施の形態における様々な移動布ユニットの構成について、図16を参照して説明する。図16(a)〜(j)は様々な移動布ユニットの構成を示す説明図である。
図16(a)〜(c)に示されるのは、伸び止め材を用いず、弾性材としてのオペロンゴム(以下、単に「ゴム」とも略する。)のみを使用した例で、図16(a)がゴム16に硬めの芯(以下、単に「芯」とも略する。)19を移動布としての裏地18で包んだものを縫付けた構成を示し、図16(b)がゴム16を芯19と重ねて奥まで入れ、裏地18で包んで縫付けたもの、図16(c)がやはりゴム16を芯19と重ねるが裏地18で包まないで裏地18の上下にロック始末しただけの1枚物で縫付けたものを示している。なお、図示省略するが、芯19と重ねる裏地18と別布の裏地18を接いでも良い。
図16(d)に示されるのは、ゴム16に伸び止め材17を併設して、芯19を移動布としての裏地18で包んだものを縫付けた構成を示し、このように伸び止め材17を使用したものにも、図16(b),(c)に対応する構成がそれぞれ存在する。以下の図16(e)〜(j)においては伸び止め材を用いない例のみを説明するが、これらにもそれぞれ伸び止め材17を併設した例が存在する。
図16(e)はゴム16の部分に縦方向の噴き出し防止テープ37を下前ベルト部3に縫付けた構成で、図16(f)は実施の形態3と同様に移動布18の裏側に噴き出し防止テープ38を縫付けて、「く」の字形に折り曲げて両側を下前ベルト部3に縫付けたものである。図16(g)は実施の形態1と同様に移動布18の裏側に2本の横方向の噴き出し防止テープ40の両端を縫付けて、縦方向の噴き出し防止テープ39の下を潜らせたもの、図16(h)は同様に2本の横方向の噴き出し防止テープ41を縫付けて、縦方向の噴き出し防止テープ38を「く」の字形に折り曲げて縫付けたものである。
図16(i)は1本の横方向の噴き出し防止テープ42を移動布18の裏側に縫付けて、縦方向の噴き出し防止テープ38を「く」の字形に折り曲げて縫付けたものである。そして、図16(j)は図16(g)における2本の横方向の噴き出し防止テープ40を1本の幅の広い噴き出し防止テープ44として移動布18の裏側に両端を縫付けて、縦方向の噴き出し防止テープ43の下を潜らせたものである。
上記各実施の形態においては、本発明のウエストサイズ調節機構付衣服を婦人用パンツに適用した場合について説明したが、本発明のウエストサイズ調節機構付衣服は衣服全般について適用できるものであり、紳士用ズボン、Gパン、綿パン、スカート、ワンピース等にも適用することができる。
また、上記各実施の形態においては、弾性材としてオペロンゴム16を所定の大きさに裁ち切ったものを用いているが、その他のゴムテープ等を用いても良い。
さらに、上記各実施の形態においては、ウエストサイズの変化に伴ってファスナーテープが移動できるように、ファスナーテープを縫付けるズボン等の上前にタックを設けた例について説明したが、必ずしもウエストサイズの変化に伴ってファスナーテープが移動できる構造でなくても構わない。
ウエストサイズ調節機構付衣服のその他の部分の構造、形状、数量、材質、大きさ、接続関係等についても、上記各実施の形態に限定されるものではない。