JP4037188B2 - 車両用回転シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート本体が回転可能に支持された車両用回転シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両には、図10に示すように、回転シート501が設けられていた。
【0003】
この回転シート501は、回転ロックレバー502を操作してロック解除することで、シート本体503を、車両前方に向いた前向状態から、図11に示すように側方へ向いた横向状態まで回転できるように構成されている。この横向状態において、スライドロックレバー505を操作してロック解除することで、シート本体503を車室外方へスライドできるように構成されている。また、シートクッション506には、折り畳み式の足置きステップ507が設けられており、シート回転時に足を載置できるように構成されている。
【0004】
すなわち、図12に示すように、着座者が降車する際には、足置きステップ507を傾倒して両足を載置する。次に、図13に示すように、回転ロックレバー502を引き上げてロック解除した後、シート本体503をドア開口部511へ向けて約90度手動で回転する。そして、図14に示すように、スライドロックレバー505を引き上げてロック解除した後、シート本体503を、手動で車室外方へスライドして降車する。
【0005】
図15は、この回転シート501の構成を示す図であり、シート本体503は、回転機構521を介して車体フロア522に固定されている。前記回転機構521は、図16に示すように、車体フロア522に固定されるスイベルロア523と、シートクッション506に固定されるスイベルアッパー524とによって構成されている。該スイベルアッパー524は、回転中心ベアリング525を介して、前記スイベルロア523の回転中心軸526に回転自在に支持されている。また、このスイベルアッパー524には、前記回転ロックレバー502が設けられており、該回転ロックレバー502は、スプリング527に付勢された回転ロックピン528を引き上げ可能に構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような回転シート501にあっては、シート本体503が水平面内で回転するように構成されている。
【0007】
このため、シート回転時に着座者の足を、ドア開口部511下縁のサイドシルより上方に持ち上げなければならなかった。また、シート回転後の座面地上高は、一般的に550mm〜600mmとなるように設定されており、比較的高く小柄な着座者においては、足を付きにくいという問題があった。さらに、シートクッション506の座面は、通常15〜20度の前上がりの傾斜が設定されており、立ち上がり難い一要因となっていた。
【0008】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、離座が容易な車両用回転シートを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の車両用回転シートにあっては、シート本体が回転機構を介して支持され、車両前方へ向いた前向状態と車両側部のドア開口部側へ向いた横向状態との間で回転される車両用回転シートにおいて、前記シート本体を前記前向状態から前記横向状態へ向けて回転させる際に、当該シート本体を前上がりに傾斜させた後に前下がりに傾斜させるチルト機構を備え、前記シート本体を前記前向状態から前記横向状態側へ向けて所定角回転させる間に、その回転に伴って当該シート本体を前上がりに傾斜させる第1領域を設定するとともに、前記シート本体を前記所定角から前記横向状態まで回転させる間に、その回転に伴って当該シート本体を前下がり傾斜させる第2領域を設定した。
【0010】
すなわち、着座者が降車する際には、回動機構を介して支持されたシート本体を、車両前方へ向いた前向状態から車両側部のドア開口部側へ向いた横向状態へ向けて回動する。このとき、前記シート本体は、前記シート本体を前記前向状態から前記横向状態側へ向けて所定角回転させる間に設定された第1領域において、その回転に伴って前上がりに傾斜させる。これにより、前記シート本体は、その前端部が上方に変位するため、着座者の足位置が高位置となり、ドア開口部の下縁に突設されたサイドシル等への干渉が防止される。
【0011】
また、前記シート本体を前記所定角から前記横向状態まで回転させる間に設定された第2領域では、その回転に伴って当該シート本体が前下がり傾斜される。これにより、シート本体は、その前端部が下方に変位するため、当該前端部から地面までの高低差が抑えられる。
【0012】
また、請求項2の車両用回転シートにおいては、前記回転機構を、車体フロアに固定されるスイベルロアと、該スイベルロアに回転自在に支持されたスイベルアッパーとで構成する一方、前記シート本体固定用のシートレッグアッパーを、フロントリンク及びリアリンクを介して前記スイベルアッパーに支持して前記チルト機構を構成し、前記フロントリンクの下端部を前記スイベルアッパー前部に軸支し、かつ上端部を前記シートレッグアッパーの中央部分に軸支するとともに、前記リアリンクの一端部を前記スイベルアッパーの後部に軸支し、他端部を前記シートレッグアッパーの後部に軸支した。
【0013】
このように、シート本体の傾きを変動するチルト機構を、シートレッグアッパーを回転機構のスイベルアッパーに支持するフロントリンク及びリアリンクによって構成することができる。また、スイベルアッパー前部に軸支されたフロントリンクの上端部は、前記シートレッグアッパーの中央部分に軸支されているので、前記シート本体は、前記フロントリンクの回動に応じて前方へ移動される。
【0014】
さらに、請求項3の車両用回転シートでは、前記フロントリンクを、前記スイベルアッパーに軸支されたフロントリンク軸支点を中心に回転自在に支持し、かつ前記リアリンクを、前記スイベルアッパーに軸支されたリアリンク軸支点を中心に回転自在に支持し、前記フロントリンク上端部の描く作動軌跡が、前記フロントリンク軸支点の上部を通過するように設定するとともに、前記リアリンク他端部の描く作動軌跡が、前記リアリンク軸支点の下部を通過するように設定した。
【0015】
すなわち、前記フロントリンク上端部が、前記フロントリンク軸支点の上部を通過することによって、前記シート本体が前方へ移動される。また、シート本体前端部は、前記フロントリンク軸支点の上部通過後に、下方へ変位される。
【0016】
一方、前記リアリンク他端部の作動軌跡は、前記リアリンク軸支点の下部を通過するように設定されているため、前記リアリンク他端部が、前記リアリンク軸支点下部へ近づくに従って、前記シート本体の後端部が下方へ変位される。
【0017】
また、請求項4の車両用回転シートにあっては、前記リアリンク他端部が描く作動軌跡において、前記シート本体を傾斜させる以前の初期位置を、前記リアリンク軸支点より後方に設定し、シート前上がり時の第1作動位置を前記リアリンク軸支点より下方に設定するとともに、シート前下がり時の第2作動位置を前記第1作動位置より前方に設定する一方、前記初期位置から前記第2作動位置へ移行する間に前記フロントリンク上端部が描く作動軌跡を、前記フロントリンク軸支点より後方から真上を通過して前方に達するように設定した。
【0018】
すなわち、シート本体を傾斜させる以前の初期位置において、前記リアリンク他端部は、前記リアリンク軸支点より後方に位置し、シート前上がり時の第1作動位置に近付くに従って、前記リアリンク軸支点より下方へ回動される。これにより、シート本体後部の下方への変位に伴い、シート本体の前端部が上動される。さらに、前記リアリンクを回動して前記第1作動位置を通過させた際には、前記リアリンク他端部は上動する。これにより、シート本体後部の上方への変位に伴い、シート本体の前端部が下方に移動される。
【0019】
このとき、前記第2作動位置は、前記第1作動位置より前方に設定されている。このため、前記リアリンク他端部はさらに上動され、シート本体の前端部がさらに下方に変位される。
【0020】
さらに、請求項5の車両用回転シートにおいては、前記フロントリンクにリンク側ローラーを設け、前記シート本体を前記前向状態から前記横向状態側へ向けて回転させるに従って前記フロントリンクが前記シート本体前方へ向けて回動するように前記リンク側ローラーを案内するリンク側ローラー用案内部を前記スイベルロアに設けた。
【0021】
これにより、フロントリンクを回動する駆動部を別途設けること無く、シート本体を回転を利用して、フロントリンクが回動される。
【0022】
加えて、請求項6の車両用回転シートでは、前記リンク側ローラーを案内する前記リンク側ローラー用案内部を、前記シート本体を前記前向状態から前記横向状態側へ向けて回転させる方向へ向かうに従って高くなる螺旋状のプレートで構成した。
【0023】
すなわち、シート本体を前向状態から横向状態側へ向けた回転方向へ向かうに従って高くなる螺旋状のプレートを設けることにより、シート本体の回転に伴うフロントリンクの回動構造が構成される。
【0024】
また、請求項7の車両用回転シートにおいては、前記シートレッグアッパーにシートレッグ側ローラーを設け、前記シート本体を前記前向状態から前記横向状態側へ向けて回転させるに従って前記シートレッグアッパー後部が上方へ変位するように前記シートレッグ側ローラーを案内するシートレッグ側ローラー用案内部を前記スイベルロアに設けた。
【0025】
これにより、シートレッグアッパー後部を上動する駆動部を別途設けること無く、シートレッグアッパーに支持されたシート本体後部は、当該シート本体の回転を利用して上動される。
【0026】
さらに、請求項8の車両用回転シートでは、前記シートレッグ側ローラーを案内するシートレッグ側ローラー用案内部を、前記シート本体を前記前向状態から前記横向状態側へ向けて回転させる方向へ向かうに従って高くなる螺旋状のプレートで構成した。
【0027】
すなわち、シート本体を前向状態から横向状態側へ向けた回転方向へ向かうに従って高くなる螺旋状のプレートを設けることにより、シート本体の回転に伴うシートレッグアッパー後部の上動構造が構成される。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる車両用回転シート1を示す図である。
【0029】
この車両用回転シート1は、車体フロア11に固定されるスイベルロア12と、該スイベルロア12の回転中心軸13に回転中心ベアリング14(図5参照)のハウジング15を介して回動自在に支持されたスイベルアッパー16と、該スイベルアッパー16に支持されたフットレスト17付きのシートレッグアッパー18と、該シートレッグアッパー18に固定されたシート本体19とによって構成されており、前記スイベルアッパー16は、回転支持ローラー20,20(図5参照)を介して、前記スイベルロア12に回動自在に支持されている。
【0030】
前記スイベルロア12と前記スイベルアッパー16との間には、図2に示すように、回転機構21が設けられており、前記シート本体19を、図3に示すように、車両前方Fへ向いた前向状態22と、図4に示すように、車両側部のドア開口部23側へ向いた横向状態24との間で回転できるように構成されている。前記スイベルアッパー16と前記シートレッグアッパー18との間には、図1に示したように、前記シート本体19を傾斜させるチルト機構25が設けられており、該チルト機構25によってシート本体19のシートクッション26を、前上がり及び前下がりに傾斜できるように構成されている。
【0031】
前記回転機構21は、図2に示したように、前記スイベルロア12にブラケット31を介して固定された回転駆動用モータ32を備えてなり、該回転駆動用モータ32の出力ギア33は、回転駆動用アイドラギア34、第1及び第2減速ギヤ35,36を介して、スイベルアッパー16に固定された回転被駆動ギア37に接続されている。該回転被駆動ギア37は、前記回転中心軸13を中心とした円弧状に形成されており、前記回転駆動用モータ32を正反転することによって、シート本体19を支持する前記スイベルアッパー16を、前記回転中心軸13を中心として回動できるように構成されている。
【0032】
前記チルト機構25は、図1に示したように、前記スイベルアッパー16に前記シートレッグアッパー18を支持する左右フロントリンク41,42と左右リアリンク43,44とを備えてなる。前記両フロントリンク41,42の下端部は、前記スイベルアッパー16に設けられた起立壁45,45前部の外側に配置された状態で、当該起立壁45,45に回動自在に軸支されており、両フロントリンク41,42の上端部は、シャフト46を介して、前記シートレッグアッパー18のほぼ中央部に回動自在に支持されている。これにより、前記両フロントリンク41,42は、上端部が前記シャフト46で連結されており、図5に示すように、両フロントリンク41,42下端部に設定されたフロントリンク軸支点47を中心に回動した際に、当該フロントリンク41,42上端部の描くフロントリンク作動軌跡48が、前記フロントリンク軸支点47の上部を通過するように設定されている(図6〜図9参照)。
【0033】
前記両リアリンク43,44の一端部は、図1にも示したように、山型に形成された前記起立壁45,45後部の外側に配置された状態で、当該起立壁45,45に軸支ピン51を介して回動自在に支持されている。前記両リアリンク43,44の他端部外側には、前記シートレッグアッパー18後部より下方に延出した一対の下方延出部52,52が配置されており、前記両リアリンク43,44の他端部は、前記下方延出部52,52に連結ピン53,53を介して回動自在に支持されている。これにより、前記両リアリンク43,44は、他端部が前記シートレッグアッパー18を介して連結されており、図5に示したように、両リアリンク43,44の一端部に設定されたリアリンク軸支点54を中心に回動した際に、当該リアリンク43,44他端部の描くリアリンク作動軌跡55が、前記リアリンク軸支点54の下部を通過するように設定されている(図6〜図9参照)。
【0034】
前記右フロントリンク42には、図1に示したように、後方の突出した部位にリンク側ローラー61が回転自在に設けられており、このリンク側ローラー61は、前記回転中心軸13を中心とする円周の接線方向に転動するように設けられている。また、前記シートレッグアッパー18の右方の前記下方延出部52には、シートレッグ側ローラー62が回転自在に設けられており、このシートレッグ側ローラー62も、前記回転中心軸13を中心とする円周の接線方向に転動するように設けられている。
【0035】
一方、前記スイベルロア12には、前記起立壁45,45前部の右方から前方を覆うように延在する支持壁71が立設されており、該支持壁71の内側面には、リンク側ローラー用案内部72と、シートレッグ側ローラー用案内部73と、上壁部74とが下方から順に離間して延設されている。前記リンク側ローラー用案内部72、シートレッグ側ローラー用案内部73、及び上壁部74は、金属プレートによって形成されており、前記シート本体19を前記前向状態か22ら前記横向状態24側へ向けて回転させる方向へ向かうに従って高くなる螺旋状に形成されている。
【0036】
前記リンク側ローラー用案内部72上には、前記右フロントリンク42に設けられた前記リンク側ローラー61が転動するように構成されており、該リンク側ローラー61が、前記リンク側ローラー用案内部72を前記前向状態22から前記横向状態24側へ向けて転動するに従って、前記両フロントリンク41,42が前記シート本体19前方へ向けて回動するように構成されている。また、前記シートレッグ側ローラー用案内部73上には、前記シートレッグアッパー18に設けられた前記シートレッグ側ローラー62が転動するように構成されており、該シートレッグローラー62が、前記シートレッグ側ローラー用案内部73を前記前向状態22から前記横向状態24側へ向けて転動するに従って、前記シートレッグアッパー18後部が上方へ変位するように構成されている。
【0037】
このシートレッグ側ローラー用案内部73は、前記リンク側ローラー用案内部72上を転動する前記リンク側ローラー61の上方への離脱を防止するとともに、前記上壁部74は、前記シートレッグ側ローラー用案内部73上を転動する前記シートレッグ側ローラー62の上方への離脱を防止するように構成されている。
【0038】
これにより、前記シート本体19を、図6に示した前記前向状態22から前記横向状態24側へ向けて30度回転させた時点で、図7に示したように、その回転に伴って当該シート本体19が前上がりに傾斜され、さらに60度まで回転させた際には、図8に示したように、前上がりのシート本体19が当該シート本体19の前方へ変位し、ドア開口部23下縁のサイドシル81上を超えて車室外Oに延在するように構成されており、前記シート本体19を前記前向状態22から前記横向状態24側へ向けて所定角である60度回転させる間の範囲に本発明の第1領域が設定されている。また、前記シート本体19を、図8に示した60度の位置から図9に示した90度の位置まで回転させた際には、その回転に伴って当該シート本体19が前下がり傾斜されるように構成されており、前記シート本体19を、所定角である60度から前記横向状態24である90度まで回転させる間に、その回転に伴って当該シート本体19を前下がり傾斜させる第2領域が設定されている。
【0039】
そして、前記両リアリンク43,44の他端部が描くリアリンク作動軌跡55において、図6に示したように、前記シート本体19を傾斜させる以前の初期位置91が前記リアリンク軸支点54より後方に位置し、図7に示したように、シート前上がり時の第1作動位置92が前記リアリンク軸支点54より下方に位置するとともに、図9に示したように、シート前下がり時の第2作動位置93が、第1作動位置92より前方に位置するように、前記リアリンク43,44と前記シートレッグアッパー18との関係が設定されている。
【0040】
このとき、図6に示した前記初期位置91から図9に示した前記第2作動位置93へ移行する間に、前記フロントリンク41,42上端部の描くフロントリンク作動軌跡48が、図5に示すように、前記フロントリンク軸支点47より後方から真上を通過して前方に達するように設定されている。
【0041】
以上の構成にかかる本実施の形態において、着座者Mが降車する際には、スイッチ操作により回転駆動用モータ32の出力ギア33を回転し、回転駆動用アイドラギア34、第1及び第2減速ギヤ35,36を回転して、回転機構21を作動させ、回転被駆動ギア37を回動する。すると、該回転被駆動ギア37が固定された前記スイベルアッパー16が、回転中心軸13を中心に回動し、シート本体19を、車両前方へ向いた前向状態22から車両側部のドア開口部23側へ向いた横向状態24へ向けて回動することができる。
【0042】
このとき、前記シート本体19は、該シート本体19を前記前向状態22から前記横向状態24側へ向けて60度回転させる間に設定された第1領域において、図6〜図8に示したように、その回転に伴って前上がりに傾斜され、30度から60度の範囲において、シートクッション26が前上がり状態となる。これにより、シートクッション26前端部が上方に変位するため、着座者Mの足位置を高位置に維持することができる。このため、シート本体19を車両側部のドア開口部23側へ向けた状態で、ドア開口部23の下縁に突設されたサイドシル81への足の干渉を防止することができる。
【0043】
また、前記シート本体19を60度から横向状態24である90度まで回転させる間に設定された第2領域では、その回転に伴って当該シート本体19が前下がり傾斜される。これにより、シートクッション26の前端部を、図9に示したように、下方に変位させることができ、当該前端部から地面Gまでの高低差を抑えることができる。よって、地面Gへの足付き性を向上することができる。
【0044】
このとき、一般的に前上がりの傾斜が設定されたシートクッション26を、前下がりとすることで、シート本体19からの立ち上が性をも向上することができる。したがって、降車時の離座が容易な車両用回転シート1となり得る。
【0045】
また、シート本体19の傾きを変動するチルト機構25を、シートレッグアッパー18をスイベルアッパー16に支持する左右フロントリンク41,42及び左右リアリンク43,44によって構成することができる。そして、スイベルアッパー16に軸支された両フロントリンク41,42の上端は、前記シートレッグアッパー18の中央部分に軸支されているので、前記シート本体19を、両フロントリンク41,42の回動に応じて前方へ移動することができる。
【0046】
このため、シート本体19が車両側部のドア開口部23側へ向いた横向状態24において、シート本体19を前下がりとすることで、当該シート本体19を、図9に示したように、車室外O方向へ突出させることができる。よって、シート本体19を車室外O方向へ突出できない場合と比較して、降車時の離座を容易とすることができる。
【0047】
さらに、前記両フロントリンク41,42上端部を、前記フロントリンク軸支点47の上部を通過させることで、前記シート本体19を前方へ移動することができるとともに、シート本体19前端部を、前記フロントリンク軸支点47の上部通過後に下方へ変位させることができる。これにより、前述した前下がり状態を形成することができる。
【0048】
一方、前記両リアリンク43,44他端部のリアリンク作動軌跡55は、前記リアリンク軸支点54の下部を通過するように設定されているため、前記リアリンク43,44他端部が、前記リアリンク軸支点54下部へ近づくに従って、前記シート本体19の後端部を下方へ変位させることができる。これにより、前述した前上がり状態を形成することができる。
【0049】
したがって、前記各リンク41〜44を回動するだけで、シート本体19の前下がり状態及び前上がり状態を形成することができる。
【0050】
また、シート本体19を傾斜させる以前の初期位置91において、図6に示したように、前記各リアリンク43,44他端部は、前記リアリンク軸支点54より後方に位置し、シート前上がり時の第1作動位置92に近付くに従って、前記リアリンク軸支点54下部へ回動することができる。これにより、シートクッション26の前端部を上方に変位することができる。さらに、前記リアリンクを回動して前記第1作動位置92を通過させた際には、前記リアリンク43,44他端部を上動させることができる。これにより、シートクッション26の前端部を下方に変位させることができる。
【0051】
このとき、前記第2作動位置93は、図9に示したように、前記第1作動位置92より前方に設定されている。このため、前記リアリンク43,44他端部をさらに上動することができ、シートクッション26の前端部をさらに下方へ変位することができる。したがって、シートクッション26前部の下方への移動に寄与することができる。
【0052】
さらに、右フロントリンク42にリンク側ローラー61を設けるとともに、シート本体19を回転させるに従って、両フロントリンク41,42をシート本体19前方へ向けて回動するように前記リンク側ローラー61を案内するリンク側ローラー用案内部72をスイベルロア12に設けることによって、両フロントリンク41,42を回動する為の駆動部を別途設けること無く、シート本体19の回転を利用してフロントリンク41,42を回動することができる。
【0053】
このとき、前記リンク側ローラー61を案内するリンク側ローラー用案内部72を、シート本体19の回転方向へ向かうに従って高くなる螺旋状の金属プレートで構成するだけで、シート本体19の回転に伴うフロントリンク41,42の回動構造を構成することができる。これにより構造の簡素化を図ることができる。
【0054】
また、シートレッグアッパー18にシートレッグ側ローラー62を設けるとともに、シート本体19を回転させるに従ってシートレッグアッパー18後部が上方へ変位するように前記シートレッグ側ローラー62を案内するシートレッグ側ローラー用案内部73をスイベルロア12に設けることによって、シートレッグアッパー18後部を上動する為の駆動部を別途設けること無く、シートレッグアッパー18に支持されたシート本体19後部を、当該シート本体19の回転を利用して上動することができる。
【0055】
この場合も前述同様に、前記シートレッグ側ローラー62を案内するシートレッグ側ローラー用案内部73を、前記シート本体19の回転方向へ向かうに従って高くなる螺旋状の金属プレートで構成するだけで、シート本体19の回転に伴うシートレッグアッパー18後部の上動構造を構成することができる。これにより構造の簡素化を図ることができる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1の車両用回転シートにあっては、降車時のシート本体の回転に応じてシート本体を前上がりに傾斜させ、その前端部を上方に変位させることで、着座者の足位置を高位置に維持することができる。このため、シート本体を車両側部のドア開口部側へ向けた状態で、ドア開口部の下縁に突設されたサイドシル等への足の干渉を防止することができる。
【0057】
そして、シート本体をさらに回動することで、シート本体を前下がりに傾斜させることができる。これにより、シート本体の前端部を下方に変位させることができ、当該前端部から地面までの高低差を抑えることができる。よって、地面への足付き性を向上することができる。
【0058】
このとき、一般的に前上がりの傾斜が設定されている座面を、前下がりとすることで、シート本体からの立ち上が性をも向上することができる。したがって、降車時の離座が容易な車両用回転シートとなり得る。
【0059】
また、請求項2の車両用回転シートにおいては、シート本体の傾きを変動するチルト機構を、シートレッグアッパーを回転機構のスイベルアッパーに支持するフロントリンク及びリアリンクによって構成することができる。また、スイベルアッパーに軸支されたフロントリンクの上端は、前記シートレッグアッパーの中央部分に軸支されているので、前記シート本体を、前記フロントリンクの回動に応じて前方へ移動することができる。
【0060】
このため、シート本体が車両側部のドア開口部側へ向いた横向状態において、シート本体を前下がりとすることで、当該シート本体を、車室外方向へ移動することができる。よって、シート本体を車室外方向へ移動できない場合と比較して、降車時の離座を容易とすることができる。
【0061】
さらに、請求項3の車両用回転シートでは、前記フロントリンク上端部を、前記フロントリンク軸支点の上部を通過させることで、前記シート本体を前方へ移動することができるとともに、シート本体前端部を、前記フロントリンク軸支点の上部通過後に下方へ変位させることができる。これにより、前述した前下がり状態を形成することができる。
【0062】
一方、前記リアリンク他端部の作動軌跡は、前記リアリンク軸支点の下部を通過するように設定されているため、前記リアリンク他端部が、前記リアリンク軸支点下部へ近づくに従って、前記シート本体の後端部を下方へ変位させることができる。これにより、前述した前上がり状態を形成することができる。
【0063】
したがって、前記各リンクを回動するだけで、シート本体の前下がり状態及び前上がり状態を形成することができる。
【0064】
また、請求項4の車両用回転シートにあっては、シート本体を傾斜させる以前の初期位置において、前記リアリンク他端部は、前記リアリンク軸支点より後方に位置し、シート前上がり時の第1作動位置に近付くに従って、前記リアリンク軸支点より下方へ回動することができる。これにより、シート本体の前端部を上方に変位することができる。さらに、前記リアリンクを回動して前記第1作動位置を通過させた際には、前記リアリンク他端部を上動させることができる。これにより、シート本体の前端部を下方に変位させることができる。
【0065】
このとき、前記第2作動位置は、前記第1作動位置より前方に設定されている。このため、前記リアリンク他端部をさらに上動することができ、シート本体の前端部をさらに下方へ変位することができる。したがって、シート本体前部の下方への移動に寄与することができる。
【0066】
さらに、請求項5の車両用回転シートにおいては、フロントリンクにリンク側ローラーを設けるとともに、シート本体を回転させるに従ってフロントリンクをシート本体前方へ向けて回動するように前記リンク側ローラーを案内するリンク側ローラー用案内部をスイベルロアに設けることによって、フロントリンクを回動する駆動部を別途設けること無く、シート本体の回転を利用してフロントリンクを回動することができる。
【0067】
加えて、請求項6の車両用回転シートのように、リンク側ローラーを案内するリンク側ローラー用案内部を、シート本体の回転方向へ向かうに従って高くなる螺旋状のプレートで構成するだけで、シート本体の回転に伴うフロントリンクの回動構造を構成することができる。これにより構造の簡素化を図ることができる。
【0068】
また、請求項7の車両用回転シートにおいては、シートレッグアッパーにシートレッグ側ローラーを設けるとともに、シート本体を回転させるに従ってシートレッグアッパー後部が上方へ変位するように前記シートレッグ側ローラーを案内するシートレッグ側ローラー用案内部をスイベルロアに設けることによって、シートレッグアッパー後部を上動する駆動部を別途設けること無く、シートレッグアッパーに支持されたシート本体後部を、当該シート本体の回転を利用して上動することができる。
【0069】
さらに、請求項8の車両用回転シートでは、シートレッグ側ローラーを案内するシートレッグ側ローラー用案内部を、前記シート本体の回転方向へ向かうに従って高くなる螺旋状のプレートで構成するだけで、シート本体の回転に伴うシートレッグアッパー後部の上動構造を構成することができる。これにより構造の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の一実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】同実施の形態の平面を示す透視図である。
【図3】同実施の形態のシート本体を前向状態にした平面を示す透明図である。
【図4】同実施の形態のシート本体を横向状態にした平面を示す透明図である。
【図5】同実施の形態の要部の側面を示す透明図である。
【図6】同実施の形態のシート本体を前向状態にした側面を示す透明図である。
【図7】同実施の形態のシート本体を30度回転させた状態を示す透明図である。
【図8】同実施の形態のシート本体を60度回転させた状態を示す透明図である。
【図9】同実施の形態のシート本体を横向状態にした状態の透明図である。
【図10】従来の回転シートが車両前方に向けられた状態を示す外観図である。
【図11】図10の回転シートが車両側方に向けられた状態を示す外観図である。
【図12】同従来例の回転シートの操作手順を示す図である。
【図13】図12に続く操作手順を示す図である。
【図14】図13に続く操作手順を示す図である。
【図15】同従来例の回転シートを示す分解斜視図である。
【図16】同従来例の回転機構部分を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 車両用回転シート
11 車体フロア
12 スイベルロア
16 スイベルアッパー
18 シートレッグアッパー
19 シート本体
21 回転機構
22 前向状態
23 ドア開口部
24 横向状態
25 チルト機構
41 左フロントリンク
42 右フロントリンク
43 左リアリンク
44 右リアリンク
47 フロントリンク軸支点
48 フロントリンク作動軌跡
54 リアリンク軸支点
55 リアリンク作動軌跡
61 リンク側ローラー
62 シートレッグ側ローラー
72 リンク側ローラー用案内部
73 シートレッグ側ローラー用案内部
91 初期位置
92 第1作動位置
93 第2作動位置
Claims (8)
- シート本体が回転機構を介して支持され、車両前方へ向いた前向状態と車両側部のドア開口部側へ向いた横向状態との間で回転される車両用回転シートにおいて、
前記シート本体を前記前向状態から前記横向状態へ向けて回転させる際に、当該シート本体を前上がりに傾斜させた後に前下がりに傾斜させるチルト機構を備え、
前記シート本体を前記前向状態から前記横向状態側へ向けて所定角回転させる間に、その回転に伴って当該シート本体を前上がりに傾斜させる第1領域を設定するとともに、前記シート本体を前記所定角から前記横向状態まで回転させる間に、その回転に伴って当該シート本体を前下がり傾斜させる第2領域を設定したことを特徴とする車両用回転シート。 - 前記回転機構を、車体フロアに固定されるスイベルロアと、該スイベルロアに回転自在に支持されたスイベルアッパーとで構成する一方、
前記シート本体固定用のシートレッグアッパーを、フロントリンク及びリアリンクを介して前記スイベルアッパーに支持して前記チルト機構を構成し、
前記フロントリンクの下端部を前記スイベルアッパー前部に軸支し、かつ上端部を前記シートレッグアッパーの中央部分に軸支するとともに、前記リアリンクの一端部を前記スイベルアッパーの後部に軸支し、他端部を前記シートレッグアッパーの後部に軸支したことを特徴とする請求項1記載の車両用回転シート。 - 前記フロントリンクを、前記スイベルアッパーに軸支されたフロントリンク軸支点を中心に回転自在に支持し、かつ前記リアリンクを、前記スイベルアッパーに軸支されたリアリンク軸支点を中心に回転自在に支持し、
前記フロントリンク上端部の描く作動軌跡が、前記フロントリンク軸支点の上部を通過するように設定するとともに、
前記リアリンク他端部の描く作動軌跡が、前記リアリンク軸支点の下部を通過するように設定したことを特徴とする請求項2記載の車両用回転シート。 - 前記リアリンク他端部が描く作動軌跡において、前記シート本体を傾斜させる以前の初期位置を、前記リアリンク軸支点より後方に設定し、シート前上がり時の第1作動位置を前記リアリンク軸支点より下方に設定するとともに、シート前下がり時の第2作動位置を前記第1作動位置より前方に設定する一方、
前記初期位置から前記第2作動位置へ移行する間に前記フロントリンク上端部が描く作動軌跡を、前記フロントリンク軸支点より後方から真上を通過して前方に達するように設定したことを特徴とする請求項3記載の車両用回転シート。 - 前記フロントリンクにリンク側ローラーを設け、前記シート本体を前記前向状態から前記横向状態側へ向けて回転させるに従って前記フロントリンクが前記シート本体前方へ向けて回動するように前記リンク側ローラーを案内するリンク側ローラー用案内部を前記スイベルロアに設けたことを特徴とする請求項2、3又は4記載の車両用回転シート。
- 前記リンク側ローラーを案内する前記リンク側ローラー用案内部を、前記シート本体を前記前向状態から前記横向状態側へ向けて回転させる方向へ向かうに従って高くなる螺旋状のプレートで構成したことを特徴とする請求項5記載の車両用回転シート。
- 前記シートレッグアッパーにシートレッグ側ローラーを設け、前記シート本体を前記前向状態から前記横向状態側へ向けて回転させるに従って前記シートレッグアッパー後部が上方へ変位するように前記シートレッグ側ローラーを案内するシートレッグ側ローラー用案内部を前記スイベルロアに設けたことを特徴とする請求項2から5にいずれか記載の車両用回転シート。
- 前記シートレッグ側ローラーを案内するシートレッグ側ローラー用案内部を、前記シート本体を前記前向状態から前記横向状態側へ向けて回転させる方向へ向かうに従って高くなる螺旋状のプレートで構成したことを特徴とする請求項7記載の車両用回転シート。
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