JP4036675B2 - 造粒物の製造方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バインダを使用して基粉体を造粒する造粒物の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
基粉体をバインダを使用して造粒する技術としては、内部に基粉体の循環流動部を形成し、この循環流動部内にバインダを供給して、循環流動過程でその造粒を行う技術を挙げることができる。
この種の造粒手法を採る場合、実質的には混合機と見なせる造粒機本体内の混合空間に前記基粉体を供給し、その循環流動部を形成して、形成される均一な流動層内にバインダを噴霧する。
【0003】
造粒機本体の外周部位には加熱機構が設けられており、この加熱機構から加えられる熱によりバインダが乾燥・硬化され、基粉体を出発原料とする造粒物を得ることができる。
【0004】
この種の造粒操作にあっては、バインダとして、PVA、樹脂、セルロース、澱粉、デキストリン、糖等が採用されるとともに、これらが、水、溶媒等の分散媒に溶解、希釈、分散されて使用される。別異の手法としては、バインダ粉末と基粉体原料とを混合した後、水等を加えながら混合等を行うことにより、これを処理の対象するものがある。従って、バインダに接着能を発揮させるためには加熱・乾燥処理による硬化を起こさせることが必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような造粒方法にあっては、以下のような様々な問題があった。
1.弱熱性物質への適応が困難である。
基粉体が熱による変性を受けやすい物質の場合は、造粒工程で、この影響を受けるため、実質上、製品品質を保つことが困難である場合があり造粒を施せない。
2.硬化(結合)のタイミング制御が実質上できず、制御の選択幅が非常に少ない。
加熱処理による分散媒の乾燥に伴い、バインダが硬化して、造粒のための所定の硬化が可能となるが、加熱場が所定の温度域に保たれて分散媒が常に乾燥していく環境(循環流動層中等)では、実質的に、バインダの硬化を停止させることができず、その制御の選択幅が殆ど無い。この理由は、温度制御に比較的長いタイムラグを要することにもよる。
【0006】
3.分散媒の使用量が比較的大きくなる。
バインダの粘度や供給量、溶解度の制限、その他の理由により、一定量の分散媒が必要となるが、分散媒として水等を使用する場合等にあってはその量が比較的多くなる。
4.処理時間が比較的長く掛かる。
加熱によるバインダ硬化を実現するのに比較的時間を要するとともに、上記したように、比較的多くのバインダ溶液を供給する必要があるため、分散媒の乾燥に時間が掛かり、その分、全体として処理時間が長くなる。
【0007】
本発明の目的は、上記の様々な問題を解決することにあり、特に、弱熱性物質の造粒を良好に行うことができるとともに、造粒の程度等の制御を容易に行うことができる造粒物の製造方法及び装置を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明によるバインダを使用して基粉体を造粒する造粒物の製造方法の特徴手段は、請求項1に記載されているように、
前記基粉体の循環流動部を形成するとともに、前記循環流動部の一部領域である混合部に紫外線硬化性材料からなるバインダを供給し、前記基粉体と前記バインダの混合物を得る混合工程と、
前記混合工程で得られる混合物を、紫外線が照射される紫外線照射部に導き、前記バインダを硬化させて前記造粒物を得る硬化工程とを実行することにある。
【0009】
本願の製造方法を採用する場合は、粉体が循環流動する循環部の一部領域である混合部で、基粉体とバインダとが均一に混合した混合物を生成する。この混合物は、基粉体がバインダにより結合された状態となる。
この混合物は前記混合部の上側に位置する紫外線照射部に導かれ、この部位で紫外線が照射されてバインダは硬化する。
従って、バインダにより固着した基粉体を得ることが可能となり、造粒物を得ることができる。
【0010】
ここで、紫外線をバインダの硬化に利用する場合は、熱を利用するものではないため弱熱性物質への適応に何等問題を生じるものではない。
【0011】
さらに、バインダの硬化状態を紫外線の照射時間、照射強度等の調節で制御でき、さらに、造粒の進行状態との関係においても、その照射制御を行うことが可能となり、結果的に、所望の製品を得るための製造過程における制御を良好に行うことが可能となる。熱を利用する場合のように、乾燥等の程度に注意を払う必要が無くなるため、結果的に所定の物性の造粒物を容易に得られる。さらに、効率的な硬化が起こるため所要時間を低減することができた。
【0012】
また、紫外線照射を伴ったバインダの硬化と、加熱によるバインダの硬化とを比較すると、バインダ自身の必要量が低くなるため、結果的に、この点からも製造時間を短くすることが可能であった。
【0014】
紫外線硬化性材料をバインダとして採用する場合、この硬化を達成するための照射手段としては、紫外線ランプ等を採用することとなるが、この場合、入手のしやすい機器、材料を使用して、上記作用・効果を得ることができる製造方法を簡便に実現できる。
【0015】
さて、バインダを使用して基粉体を造粒する造粒物の製造装置の特徴構成は、請求項に記載されているように、
前記基粉体の循環流動部を内部に形成し、前記造粒物を生成する造粒機本体を備え、
前記造粒機本体内の下部域が、紫外線硬化性材料からなるバインダを供給して基粉体と混合する混合部とされ、
紫外線を照射する紫外線照射手段を備えた紫外線照射部を前記造粒機本体内の上部域に備え、
前記混合部で生成される混合物を循環流動により前記紫外線照射部に導き、バインダを硬化させて造粒物を得るものとする。
【0016】
この装置にあっては、造粒機本体内の混合部と紫外線照射部とに亘って基粉体の循環流動部を形成する。そして、混合部で上記製造方法で説明した基粉体とバインダとを混合する混合工程を実行し、紫外線照射部で、上記バインダを硬化させる硬化工程を実行する。造粒は、循環流動過程で、順次、達成される。結果、所望の造粒物を得ることができる。
この装置にあっては、循環流動の各領域で、両工程を順次実行することができ、さらに循環の回数(即ち、処理時間等)を調整することで造粒の程度を調整できる。
【0017】
上記の装置構成にあって、請求項に記載されているように、
前記造粒機本体の下部域に、前記基粉体及びバインダを供給する供給手段を備えるとともに、前記造粒機本体内の下部域の断面積が前記上部域の最小断面積に対して、等しいか小さく設定されていることが好ましい。
【0018】
前記混合部においては、基粉体とバインダとの均一且つ十分な混合が行われ、紫外線照射部にあっては、紫外線が均等かつまんべんなく基粉体の外周に存するバインダに照射されることが好ましいが、両部位の断面積の関係を、前者が後者よりその最小断面積に対して小さいか等しいものとすることで、上記の好ましい状況を実現できる。特に紫外線照射部では、断面積を大きくすることで、均等な紫外線照射を確保しやすい。
【0019】
また、請求項に記載されている様に、前記造粒機本体の下部域における混合を実行する混合手段として、気流により混合を行う気流式混合手段もしくは機械的な混合を行う機械式混合手段、もしくはそれらの両方を備えることが好ましい。
【0020】
混合流動を形成するのに、気流式もしくは機械式の混合手段を備えることで、本願が必要とする混合を確実に実現できる。これら、混合手段が、造粒機本体内での粉体流動を誘起することとなるため、結果的に閉空間内に循環流動を形成することともなる。
【0021】
同様に、請求項に記載されているように、
前記造粒機本体の上部域を、長手方向を上下方向に配置して、上方に向けて次第に断面積を大きくした筒状に形成し、
前記造粒機本体の底部に気体供給部を配置するとともに、前記造粒機本体の頂部に気体排出部を設けてあることが好ましい。
【0022】
気体流動に基づいて、循環流動を鉛直上下方向に形成する場合、紫外線照射部を上広がりの構造とすることで、上部側において紫外線照射がまんべんなく確実に行われ、さらに紫外線照射部の頂部近傍での混合粉体の上昇移動を抑制して、良好な循環流動を形成できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明に係る造粒物の製造装置に関する実施の形態の一例について図面を参照しながら説明する。
製造装置は、基粉体を出発原料とし、バインダを使用して、その造粒物を製造する。実施の形態では、基粉体の表面にバインダを使用して表面被覆材を固着させ、造粒物を得る例に関して説明する。
【0024】
造粒物は、図6に、その断面を模式的に示す様に、基粉体(例えば粉状樹脂)P1の表面を表面被覆材(例えばアルミフレーク)P2で被覆して成る。この表面被覆材P2の基粉体P1に対する固着は、バインダBによる。例示的には、基粉体P1は35μmを中心とする粒径の樹脂とし、表面被覆材P2は、アルミニウムを粉砕して得られる呼び粒径18μm程度の鱗片状粉末とする。
【0025】
製造装置は、造粒物を連続的に製造できるように構成されている。
図1に示すように、装置は、造粒機本体1の下部域に相当する混合部1Aと、上部域に相当するエネルギー線照射部1Bとを、上下方向に連通して構成されており、この混合部1Aが原料の攪拌・混合の用に供され、エネルギー線照射部1Bがバインダを固化させる用を成す。
目的物である造粒物Sは、本体1内を流動して循環する過程で生成される。
【0026】
この装置では、図1、2に示す様に、混合部1Aとエネルギー線照射部1Bに亘って、混合粉体(基粉体P1、表面被覆材P2及びバインダBの混合されたもの)の循環流動部が、造粒機本体1内に設けられる粉体循環空間3に形成される。
図1、2に示すように、エネルギー線照射部1Bの側部には、エネルギー線としての紫外線を混合粉体に照射する紫外線照射手段8が備えられており、エネルギー線照射部1Bにおいて、バインダBが固化され、表面被覆材P2の固着が確保される。
【0027】
前記混合部1Aとされる造粒機本体1の下部域は、図1、2に示すように、単純な円筒に形成されており、その下端近傍に通気板2を備えている。結果、比較的密度の高い混合粉体相をこの部位に形成して、比較的短時間で均一な攪拌・混合を実行できる。
【0028】
前記エネルギー線照射部1Bとされる造粒機本体1の上部域は、同じく図1、2に示すように、長手方向を鉛直上下方向とされ、上方に向けて次第に断面積を大きくした筒状に形成されている。結果、この部位1Bで造粒に有効な循環流動を主に形成できる。
【0029】
前記エネルギー照射部1Bの天面には複数のバグフィルターFを備え、このバグフィルターFを介して、造粒機本体1の内部の気体を排出できるようにされている。また、フィルターFに付着した造粒途中の基粉体を再度循環させるために、逆洗用の圧縮エアーを供給する逆洗手段F1が設けられている。
【0030】
造粒機本体1の粉体循環空間3に形成される混合粉体の上下循環流動構造に関して、以下、さらに詳細に説明する。
【0031】
粉体循環空間3内で処理する混合粉体の各出発原料を粉体循環空間3に供給する供給手段4として、基粉体P1を供給する基粉体供給手段4A、表面被覆材P2を供給する表面被覆材供給手段4Bが備えられるとともに、バインダBを供給するバインダ供給手段4Cが備えられている。
さらに、生成される造粒物Sを装置外へ排出するための排出手段5が設けられている。
【0032】
前記基粉体供給手段4A、表面被覆材供給手段4Bは、各投入物を本体内に投入するためのスクリュー式の定量供給機構とされている。
前記バインダ供給手段4Cは、液状の紫外線硬化材料をスプレー用エアーによって、混合部1Aに噴霧できるように構成されている。この手段4Cは、混合部1Aに備えられるスプレーノズル41、このノズル基端側に接続されるエアー路42と、前記バインダをスプレー先端に導く導入管43を備えて構成されており、導入管43の所定部位には搬送用のポンプPが備えられている。
以上の供給手段4A、4B、4Cを備えることで、出発原料を混合部1Aに良好に投入することができる。
【0033】
次に、循環流動を形成するための流動化手段6について説明する。
前記流動化手段6は、基粉体P1、表面被覆材P2及びバインダBを流動化させるための流動化気流を、装置下部に設けられる通気板2(気体供給部となる)から上方に向けて通気させる流動化気体通気手段6Aと、気体排出部7bとを備えて構成されている。
この手段6Aを備えることで、粉体循環空間3内で、混合粉体を流動化気流の上昇に伴って浮遊上昇させ、図1に示すように、造粒機本体1の周囲部部位を介して粉体循環空間3の上部から下降させて循環流動させることができる。
【0034】
造粒機本体1の上部域における粉体の挙動に関して説明すると、この上部域は、断面拡大に伴って、流動化気流の流速が下方から上方に次第に減速し、粉体循環空間3の上部に至った粉体は、失速して造粒機本体1の外周壁1cに沿って下降する結果、上下方向の循環流動が形成される。
【0035】
また、本願にあっては、バインダBが気体搬送状態で、本体1内に導入され、造粒機本体1の頂部1bに気体排出部7bを配置して、粉体循環空間3内の気体の一部を排出する。但し、上記した循環流動に関しては、これを乱さない程度の排出流量とする。
結果、粉体循環空間3内では、混合粉体が浮遊状態で中央部側を上昇し、その上端部で失速して、流動化気体の上昇流に抗して周囲部を下降する。
一方、生成される造粒物Sに関しては、前記排出手段5を構成する製品排出口7から、適宜取り出し可能とされる。
【0036】
エネルギー線照射部1Bとされる粉体循環空間上部域の側方から紫外線を照射するために、円錐状に形成した造粒機本体1の外周壁1cに長方形の照射窓9を、長手方向を上下に向けて形成し、その照射窓9の外側に、紫外線照射手段8を構成する水銀灯ハウジング8aを取り付ける。
【0037】
照射窓9は、図示するように対向して一対形成し、水銀灯ハウジング8aも一対を夫々の照射窓9に配置する。水銀灯ハウジング8a内には、放電管内面に蛍光体被覆を施していない高圧水銀灯を配置して、紫外線照射手段8を、波長365nmのピーク波長を有する紫外線を効率的に照射するように構成する。
照射窓9は、造粒機本体1の外周壁1cに形成した長方形の開口であり、水銀灯ハウジング8aの前面に気密に保持されたガラスと、水銀灯ハウジング8aの取付具とにより外部との間の気密を保持してある。
【0038】
以上のように構成された造粒機本体1においては、基粉体供給手段4Aから供給された基粉体P1と表面被覆材供給手段4Bから供給された表面被覆材P2と、バインダ供給手段4Cから供給されたバインダBとが、流動化気流により造粒機本体中央部を搬送されて浮遊し、粉体循環空間3の上部で減速する流動化気流から周部に送り出されて、比較的低速で周部を上昇する上昇流に抗して、外周壁1cに沿って降下する。この間、3者は混合部1Aにおいて好適に混合され(具体的にはまぶされ)、さらにエネルギー線照射部1Bで、紫外線照射手段8により照射窓9を通して前記粉体循環空間3内に照射される紫外線に表面を暴露される。
結果、バインダBが固化することにより、基粉体P1の表面に表面被覆材P2が付着され、造粒物Sを生成することができる。
【0039】
尚、照射窓9には、水銀灯ハウジング8aの前面に保持したガラスの前記粉体循環空間3側の面に混合粉体が落下付着しやすいから、例えば図2に示すように、下端部から前記ガラスの粉体循環空間3側の面に沿って窓汚れ防止用気体を下方から供給する窓汚れ防止気体供給手段16を設けておくことが望ましい。
【0040】
窓汚れ防止用気体は、粉体循環空間3内に通流する流動化気流を形成するための気体と同成分であることが望ましい。窓汚れ防止用気体のガラスに沿う流速は、適宜調節する。この流速が低すぎれば、照射窓9の開口した空間内に上方から降下する混合粉体を粉体循環空間3内に送り戻すことが不十分になり、ガラスの面に混合粉体が付着するようになるので好ましくない。
また、窓汚れ防止用気体の流速が高すぎれば、それが照射窓9から粉体循環空間3内に向けての流れを形成するようになり、流動化気流を乱す要因となるので好ましくない。
【0041】
〔別実施形態〕
上記実施の形態において示さなかった本発明に係る造粒物の製造方法及び装置の他の実施の形態について以下に説明する。
【0042】
〈1〉 上記実施の形態に於いては、造粒機本体1には、粉体循環空間3内で処理する粉体の供給手段4としての、基粉体P1を供給する基粉体供給手段4A、表面被覆材P2を供給する表面被覆材供給手段4B、及びバインダBを供給するバインダ供給手段4Cとを設け、造粒物Sを適宜排出する排出手段5を設ける例について説明したが、造粒機本体1をバッチ式に構成し、頂部に開口を設けて、出発原料を粉体循環空間3内に供給出来るようにし、バッチ処理を終えた後に、任意の方法で造粒物Sを排出する(例えば頂部開口から排出)ようにしてもよい。
【0043】
〈2〉 上記実施の形態に於いては、造粒機本体1に粉体循環空間3を有しており、混合粉体をその粉体循環空間3内で上下循環流動させるように構成した流動化手段6を備えるように構成し、この流動化手段6と、バインダ供給手段4Cとを別個のものとしたが、流動化手段6により、バインダBを噴霧できる構成としても良い。
【0044】
一方、装置の攪拌・混合機能を果たす混合の基本構成として、所謂、攪拌混合機を採用してもよい。
即ち、図3に示す攪拌混合機の構造を採用することができる。
この例では、蓋体20の所定部位を介して原料P1、P2を投入可能とするとともに、造粒機本体1の中間側部に設けたバインダ供給手段4CによりバインダBを噴霧供給し、旋動スクリュー6Bが逆円錐状の外周壁1cに沿って混合粉体を上方に押し上げ、造粒機本体1の内部から下方に落下させて上下循環流動させる。
この造粒機本体1では、図示のように、蓋体20に、内部に向けて紫外線を照射可能な紫外線照射手段8を設ければよい。この紫外線照射手段8に用いる高圧水銀灯の構成に関しては上記実施の形態で説明したと同様である。さらに、造粒機本体1の側部に温水ジャケットGを設けて、このジャケットGに温水を供給することで、バインダBの乾燥・固化の補助とすることができる。生成される造粒物Sは装置下部から取り出す。
この例では、造粒機本体の下部域が混合部となり、上部域がエネルギー線照射部となる。
【0045】
〈3〉 上記の他に、例えば図4に示すように、逆円錐状の外周壁1cに沿って回転し、粉体を上方に掻き上げるパドル6Cを有する攪拌混合機に、造粒機本体1の下側側部からバインダBを供給し、気体を蓋体20に向けて通気させて、蓋体20から排気するように構成してもよい。この場合、原料供給口として蓋20に備えられる排出手段5の排出開口を使用し、造粒物の排出は、装置下部から実行するものとする。
本体1の上部側部に、粉体循環空間3内に紫外線を照射可能な紫外線照射手段8を設ける。
この構造でも、造粒機本体の下部域が混合部となり、上部域がエネルギー線照射部となる。
【0046】
〈4〉 また、例えば図5に示すように、横長に配置された混合槽からなる造粒機本体1の中で横軸回りに回動するリボン状の混合翼6Dを設けた混合機に、バインダ供給手段4Cと紫外線照射手段8とを設けて製造装置を構成してもよい。
この場合には、バインダ供給手段4Cからの気体の気体排出部50を前記造粒機本体1の蓋体20に設け、バインダの噴霧は、前記混合槽である造粒機本体1の側部にスプレーノズル41を設ければよい。
紫外線照射手段8は、蓋体20に、造粒機本体1内部である粉体循環空間3に向けて照射するように配置すればよい。この混合翼6Dは、内側と外側の二重構造で、その捻り方向は互いに逆にしてある。結果、混合槽の内部に装入された混合粉体には、混合翼6Dによってその回転軸方向に両側からの力が作用し、混合粉体は、気体の上昇気流中で相互に押し付けられながら持ち上げられ、落下する上下循環流動を繰り返す。
従って、この構造でも、造粒機本体の下部域が混合部となり、上部域がエネルギー線照射部となる。
【0047】
〈6〉 これまで説明してきた実施の形態にあっては、基粉体P1と表面被覆材P2とが異なったものである例を示したが、本願の趣旨は、バインダBを伴った造粒操作を実行する場合に、このバインダの固化(原料側からすると接着)を、エネルギー線を利用したものとすることにあるため、基粉体P1と表面被覆材P2とが、材料的に同一種のもの、異種のものである場合を問うものではない。さらに、その粒径の選択に関しても任意である。
【0048】
〈7〉 上記の実施の形態にあっては、エネルギー線として紫外線を使用する例を示したが、電子線、放射線、X線等によって固化できるバインダであれば、本願で使用するエネルギー線として採用できる。
一方、バインダに関しては、これらエネルギー線で固化するものであれば、アクリル系、ポリエステル系、エポキシ系等、任意のものが本願で採用できる。
【0049】
【実施例】
以下、所謂、弱熱性樹脂の表面にアルミフレークを固着して造粒操作を行った例を説明する。
造粒物の製造装置としては、上記実施の形態で説明した装置を使用した。
1.原料関係諸量、2.バインダ条件、3.装置運転条件,4.製品物性の順に箇条書きする。ここで、D50とは篩下が50%になる粒径を示す。
【0050】
Figure 0004036675
【0051】
Figure 0004036675
【0052】
Figure 0004036675
【0053】
上記実施例に対する比較例を以下に示す。記載形式は、上記の記載形態に倣ったものとし、異なる箇所のみ示す。原料関係の条件は同一であり、主には、バインダ種が異なるとともに、装置の運転時間、処理温度が異なる。
【0054】
Figure 0004036675
【0055】
Figure 0004036675
【0056】
Figure 0004036675
さらに、得られた製品の電子顕微鏡写真を図8に、出発原料のものを図7に示した。生成に際して熱の影響を受けることなく、造粒が良好に実行されるとともに、その所要時間も短縮される良好な結果を示した。
さらに、エネルギー線の照射時間を制御することで、硬化度合いを造粒の程度に従って調節できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造装置につき一例を示す構成説明用縦断面図
【図2】図1に示した製造装置の要部縦断面図
【図3】本発明に係る製造装置につき他の例を示す構成説明用縦断面図
【図4】本発明に係る製造装置につき他の例を示す構成説明用縦断面図
【図5】本発明に係る製造装置につき他の例を示す構成説明用縦断面図
【図6】造粒物構成の摸式図
【図7】使用する原料の外観を示す電子顕微鏡写真による図
【図8】本願による製品の外観を示す電子顕微鏡写真による図
【符号の説明】
1 造粒機本体
4 供給手段
4A 基粉体供給手段
4B 表面被覆材供給手段
4C バインダ供給手段
5 排出手段
6 流動化手段
8 紫外線照射手段
P1 基粉体
P2 表面被覆材
B バインダ
S 造粒物

Claims (5)

  1. バインダを使用して基粉体を造粒する造粒物の製造方法であって、
    前記基粉体の循環流動部を形成するとともに、前記循環流動部の一部領域である混合部に紫外線硬化性材料からなるバインダを供給し、前記基粉体と前記バインダの混合物を得る混合工程と、
    前記混合工程で得られる混合物を、紫外線が照射される紫外線照射部に導き、前記バインダを硬化させて前記造粒物を得る硬化工程とを実行する造粒物の製造方法。
  2. バインダを使用して基粉体を造粒する造粒物の製造装置であって、
    前記基粉体の循環流動部を内部に形成し、前記造粒物を生成する造粒機本体を備え、
    前記造粒機本体内の下部域が、紫外線硬化性材料からなるバインダを供給して前記基粉体と混合する混合部とされ、
    紫外線を照射する紫外線照射手段を備えた紫外線照射部を前記造粒機本体内の上部域に備え、
    前記混合部で生成される混合物を循環流動により前記紫外線照射部に導き、前記バインダを硬化させて造粒物を得る造粒物の製造装置。
  3. 前記造粒機本体内の下部域に、前記基粉体及びバインダを供給する供給手段を備えるとともに、前記造粒機本体内の下部域の断面積が前記上部域の最小断面積に対して、等しいか小さく設定されている請求項に記載の造粒物の製造装置。
  4. 前記造粒機本体内の下部域における混合を実行する混合手段として、気流により混合を行う気流式混合手段もしくは機械的混合を行う機械式混合手段、もしくはそれらの両方を備える請求項又はに記載の造粒物の製造装置。
  5. 前記造粒機本体内の上部域を、長手方向を上下方向に配置して、上方に向けて次第に断面積を大きくした筒状に形成し、
    前記造粒機本体の底部に気体供給部を配置するとともに、前記造粒機本体の頂部に気体排出部を備える請求項又はに記載の造粒物の製造装置。
JP2002133079A 2002-05-08 2002-05-08 造粒物の製造方法及び装置 Expired - Fee Related JP4036675B2 (ja)

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