JP4036221B2 - クライアント - Google Patents

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Description

本発明は、ネットワークに接続された複数の印刷装置に印刷ジョブを分散する分散印刷制御装置及び分散印刷システムに関し、特に、分散印刷制御装置により決定された分散先印刷装置を、簡便な方法で特定して制御コマンドを送信する技術に関する。
近年、複数の印刷装置を同一ネットワークに接続し、ユーザが複数の印刷装置を使い分けることができる印刷システムが普及しつつある。そして、このような印刷システムにおいて印刷ジョブを各印刷装置に分散して並行処理することにより、短時間で印刷を完了する、いわゆる分散印刷も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−215369号公報
前述の分散印刷を行う分散印刷システムとして、互いにネットワークに接続された複数のプリンタ,印刷ジョブを生成するクライアント,分散印刷制御装置を備えて、この分散印刷制御装置が、クライアントから印刷ジョブを受信した後に、複数のプリンタの中から、オンライン状態である等の所定の条件を満たすプリンタを分散先プリンタとして決定し、決定した分散先プリンタに印刷ジョブを分散するシステムが提案されている。
このような分散印刷システムにおいては、分散先プリンタが決定されるのが、分散印刷制御装置において印刷ジョブを受信した後であるため、ユーザは、複数のプリンタのうち、いずれのプリンタが分散先プリンタとして決定され、印刷ジョブが分散されたのかを知ることができなかった。
その結果、例えば、印刷ジョブをキャンセルしたい場合に、ユーザは、各プリンタ毎に、それぞれのプリンタドライバが提供する印刷ジョブの処理状況等を確認するためのウィンドウをクライアントが備えるディスプレイに表示し、それぞれのプリンタにキャンセルしようとする印刷ジョブが分散されているか否かをチェックして分散先プリンタを特定しなければならず大変面倒であった。
そして、分散先プリンタを特定した後には、特定した分散先プリンタに対して、それぞれ印刷ジョブをキャンセルさせるためのコマンド(以下、「キャンセルコマンド」と呼ぶ。)を送信して印刷ジョブをキャンセルさせることになるが、上述の課題は、このキャンセルコマンドを送信する場合に限らず、分散先プリンタに対して所定の処理を実行させるための、他の制御コマンドを送信する場合にも起こり得る。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、分散印刷制御装置により決定された分散先印刷装置を、簡便な方法で特定して制御コマンドを送信することが可能な技術を提供することを目的とする。
前述の課題の少なくとも一部を解決するために、本発明のクライアントは、印刷ジョブの分散先となる分散先印刷装置の決定と、前記分散先印刷装置への前記印刷ジョブの分散と、を行うことが可能な分散印刷制御装置に対し、ネットワークを介して接続されたクライアントであって、前記印刷ジョブをキャンセルすべき旨の指示を入力することが可能な入力部と、前記キャンセルすべき旨の指示が前記入力部を介して入力された場合に、前記分散印刷制御装置に対して、決定した前記分散先印刷装置の識別情報を送信するよう要求する識別情報送信要求部と、前記識別情報送信要求部による要求の結果、前記分散印刷制御装置から、前記識別情報を受信した場合に、前記分散先印刷装置のうち、分散された前記印刷ジョブをキャンセルさせるべき前記分散先印刷装置を指定することが可能なユーザインタフェースを、受信した前記識別情報に基づき提供するユーザインタフェース部と、前記ユーザインタフェースを介して指定された少なくとも1つの前記分散先印刷装置に対して、分散された前記印刷ジョブをキャンセルさせるための第1のキャンセルコマンドを送信することが可能なコマンド送信部と、を備えることを要旨とする。
このような構成とすることで、分散先印刷装置の識別情報に基づき、分散された印刷ジョブをキャンセルさせるべき分散先印刷装置を指定することが可能なユーザインタフェースが提供されるので、ユーザは、ネットワークに接続された印刷装置のうち、いずれの印刷装置が分散先印刷装置であるか分からない場合でも、クライアントにおいて分散先印刷装置を簡単に特定することができる。また、このクライアントは、ユーザインタフェースを介して指定された少なくとも1つの分散先印刷装置に対して、分散された印刷ジョブをキャンセルさせるための第1のキャンセルコマンドを送信することが可能であるので、ユーザは、分散先印刷装置を指定して印刷ジョブをキャンセルさせることが可能となる。
なお、上記クライアントにおいて、前記コマンド送信部は、前記ユーザインタフェースを介して前記分散印刷装置が指定された場合に、まず、前記分散印刷制御装置に対して、前記印刷ジョブをキャンセルさせるための第2のキャンセルコマンドを送信し、前記第2のキャンセルコマンドを送信した場合に、指定された少なくとも1つの前記分散先印刷装置に対して、前記第1のキャンセルコマンドを送信することが好ましい。
分散印刷制御装置から分散先印刷装置に対して印刷ジョブが分散されている途中において、クライアントから第1のキャンセルコマンドが送信された場合、分散先印刷装置は、それまでに分散された印刷ジョブの一部をキャンセルする。しかしながら、キャンセルした後に、分散印刷制御装置から印刷ジョブの残りの部分が分散されることとなるため、分散先印刷装置において、この印刷ジョブの残りの部分についてはキャンセルされずに残ってしまうことになる。
そこで、上述のような構成とすることで、まず分散印刷制御装置において、格納部に格納されている印刷ジョブをキャンセルするので、分散先印刷装置に分散されていない印刷ジョブの残りの部分はキャンセルされることになる。従って、その後、分散先印刷装置において、それまでに分散された印刷ジョブの一部をキャンセルした後において、印刷ジョブの残りの部分が分散されることがないので、印刷ジョブの一部がキャンセルされずに残ってしまうことを防ぐことができる。
また、上記クライアントにおいて、前記ユーザインタフェースを介して指定された前記分散先印刷装置に対して、分散された前記印刷ジョブの処理状況に関する、処理状況情報の送信を要求することが可能な要求部を備え、前記コマンド送信部は、前記第1のキャンセルコマンドを送信する場合において、前記要求部が前記処理状況情報の送信を要求した結果、前記分散先印刷装置から受信した前記処理状況情報に基づき、前記分散先印刷装置のうち、分散された前記印刷ジョブの処理が完了していない前記分散先印刷装置に対してのみ、前記第1のキャンセルコマンドを送信することが好ましい。
このような構成とすることで、クライアントから分散先印刷装置に対して第1のキャンセルコマンドを送信する場合に、既に印刷ジョブの処理が完了しており、キャンセルコマンドを送信する必要がない分散先印刷装置に対しては、第1のキャンセルコマンドを送信しないようにすることができ、ネットワークに不要なデータを流さないようにすることができる。
なお、本発明は、上記したクライアントとしての構成の他、コンピュータプログラムとしての態様や、そのようなコンピュータプログラムを記録した記録媒体としての態様や、上記コンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号など、種々の態様で実現することも可能である。
本発明をコンピュータプログラムまたはそのプログラムを記録した記録媒体等として構成する場合には、クライアントを制御するプログラム全体として構成するものとしてもよいし、本発明の機能を果たす部分のみを構成するものとしてもよい。また、記録媒体としては、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符合が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置などコンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。

以下、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1の実施例:
A1.分散印刷システムの概要構成と分散印刷処理の概要:
A2.プリンタの概要構成:
A3.クライアントの概要構成:
A4.印刷ジョブキャンセル処理の具体的な動作:
A5.実施例の効果:
B.第2の実施例:
B1.印刷ジョブキャンセル処理の具体的な動作:
B2.実施例の効果:
C.変形例:
A.第1の実施例:
A1.分散印刷システムの概要構成と分散印刷処理の概要:
図1は、本発明の第1の実施例としてのプリンタPRT1を備える分散印刷システムの構成を示す説明図である。この分散印刷システムでは、図示するように、クライアントPC(以下、クライアントと略す)CL、複数のプリンタPRT1〜PRT3を備えており、クライアントCL及びプリンタPRT1〜PRT3は、ローカルエリアネットワークLAN1に接続されている。各機器間の通信は、TCP/IPプロトコルをベースとしているため、各機器には、それぞれ、IPアドレスが予め固定で割り振られている。説明の便宜上、クライアントCLには、「IPc」、プリンタPRT1〜PRT3には、それぞれ「IP1」〜「IP3」なるアドレスが設定されているものとする。なお、厳密に言えば、これらIPアドレスは、クライアントCL,プリンタPRT1〜PRT3自体に設定されているわけではなく、IPのネットワークから見た場合のノード(すなわち、ネットワークボードなど)に設定されている。
これらプリンタのうち、プリンタPRT1には、カスタムネットワークボードCNBが取り付けられている。このカスタムネットワークボードCNBは、受信した印刷ジョブを他のプリンタに分散して、分散印刷を実行するための分散印刷制御機能を備えており、請求項における分散印刷制御装置に相当する。一方、他のプリンタには、それぞれ、標準のネットワークボード(図示せず)が取り付けられている。
一例として図中には、クライアントCLからプリンタPRT1に、印刷ジョブを含む通信データDT0が送信される場合を例示した。
この通信データDT0は、ヘッダ及び印刷ジョブデータから成り、ヘッダには、送信先IPアドレスとして、通信データDT0の送信先であるプリンタPRT1のIPアドレス「IP1」が、プリンタPRT1における送信先ソフトウェアを特定するポート番号(送信先ポート番号)として「19100」が、それぞれ記載されている。また、印刷ジョブデータには、印刷部数情報である印刷部数を表すQT値として「30」が、クライアントにおいて印刷ジョブを識別するために設定されたジョブID「04」が、それぞれ記載されている。
本実施例では、印刷プロトコルとして無手順プロトコルを用いている。無手順プロトコルでは、通常、ポート番号として「9100」が割り振られているが、本実施例では、クライアントCLから分散印刷制御機能を有するプリンタPRT1に印刷ジョブを送信する際、ポート番号として通常の「9100」ではなく「19100」を用いる。
プリンタPRT1のカスタムネットワークボードCNBは、この通信データDT0を受信すると、ポート番号「19100」に待機しているソフトウェアに、印刷ジョブデータを渡す。本実施例では、ポート「19100」には、分散印刷制御機能を実現するための分散印刷ソフトウェアが待機している。それにより、その分散印刷ソフトウェアに従ってCPUにより実現される機能部が、まず、印刷ジョブデータを印刷ジョブ格納部(図示せず)に格納する。そして、ローカルエリアネットワークLAN1に接続されているプリンタの中から、オンライン状態であり、かつ、プリンタPRT1と同一機種のプリンタを検索し、分散先プリンタを決定する。そして、例えば、その分散先プリンタとして、プリンタPRT2,PRT3の他、自己のプリンタPRT1が決定されたとすると、上記機能部は、プリンタPRT1〜プリンタPRT3の3台で上記30部を分散させて印刷させるために、印刷ジョブデータに含まれるQT値を「10部」に変更すると共に、送信先ポート番号を「19100」ではなく、「9100」に変更し、さらに、それぞれの印刷ジョブに対して、ジョブIDとして「04−1」〜「04−3」を新たに設定して、プリンタPRT1〜PRT3に対して、通信データDT1〜DT3を送信する。なお、この新たに設定されるジョブIDは、クライアントから受信した印刷ジョブのジョブID(04)と関連付けて設定される。
従って、例えば、通信データDT2には、送信先IPアドレスとして「IP2」が、送信先ポート番号として「9100」が、QT値として「10」が、ジョブIDとして「04−2」が、それぞれ記載されている。
そして、上記機能部は、新たに設定したジョブID「04−1」〜「04−3」と、それぞれの分散先プリンタのIPアドレス「IP1」〜「IP3」と、を対応付けて記載した図1に示す分散先リストを、分散先リスト格納部(図示せず)に格納する。なお、この分散先リストは、後述する印刷ジョブキャンセル処理において用いられる。
一方、プリンタPRT2の標準ネットワークボードは、前述の通信データDT2を受信すると、ポート番号「9100」に待機しているソフトウェアに、印刷ジョブデータを渡す。ポート番号「9100」は、前述したとおり、印刷プロトコルである無手順プロトコルに対して、通常割り当てられているポート番号であるので、印刷ジョブデータは、プリンタPRT2内の印刷制御ソフトウェアに渡されて、その印刷ジョブに従った印刷が実行される。
他のプリンタPRT3はもちろんのこと、分散印刷制御機能を有するプリンタPRT1においても、同様に、送信された印刷ジョブに従った印刷が実行される。
従って、各プリンタPRT1〜PRT3では、各「10部」ずつの印刷が実行されることになり、システム全体で、合計「30部」の分散印刷が実行されることになる。
A2.プリンタの概要構成:
図2は図1におけるプリンタPRT1の構成を示す説明図である。プリンタPRT1は、プリンタ本体PRBと、上述したカスタムネットワークボードCNBと、を備えている。このうち、プリンタ本体PRBは、主として、プリンタエンジン41と、プリンタコントローラ42と、メモリ43と、を備えている。プリンタエンジン41は、実際に印刷を行う機構部分である。メモリ43は、プリンタエンジン41で印刷すべき印刷ジョブデータを一時的に格納する印刷ジョブ格納部43aを備えている。
プリンタコントローラ42は、カスタムネットワークボードCNBから印刷ジョブデータを受け取り、その印刷ジョブに従ってプリンタエンジン41を制御して印刷を実行させる。また、プリンタコントローラ42は、後述するキャンセル処理部24から送信されるキャンセルコマンドを受信して、印刷ジョブをキャンセルする。
一方、カスタムネットワークボードCNBは、主として、CPU20と、メモリ30と、を備えている。また、この他、実際にはネットワーク通信を行うための通信用インタフェースなども備えているが、説明の便宜上、省略されている。
このうち、メモリ30は、クライアントCLから送信された印刷ジョブデータを一時的に格納する印刷ジョブ格納部30aと、分散先リストを格納する分散先リスト格納部30bと、を備えている。
CPU20は、メモリ30より、前述の分散印刷ソフトウェア及び印刷ジョブをキャンセルするためのソフトウェアのプログラムを読み出して実行することにより、それぞれ、TCP/IP解釈部21,分散処理部22,分散先決定部23,部数決定部25、及びキャンセル処理部24として機能する。ここで、各機能ブロック間の矢印はデータの流れを示している。なお、各機能ブロックをハードウェア的に構築しても構わない。
これら機能ブロックのうち、TCP/IP解釈部21は、TCP/IPプロトコルを解釈して、ネットワークを介して外部との通信を行う。具体的には、受信した通信データに含まれる送信先IPアドレスや送信先ポート番号を検出したり、送信する通信データに送信先IPアドレスや送信先ポート番号を付与したりする。分散先決定部23は、ローカルエリアネットワークLAN1上のプリンタから分散先プリンタを決定する。部数決定部25は、クライアントCLから受信した印刷ジョブデータで指定される総印刷部数から、各分散先プリンタに割り当てるべき分散部数を決定する。分散処理部22は、クライアントCLから受信した印刷ジョブデータを印刷ジョブ格納部30aに格納すると共に、格納した印刷ジョブの印刷部数を示すQT値及びジョブIDを書き換えた上で、分散先プリンタに対して印刷ジョブデータを分配する。なお、前述の分散処理部22は、分散先リストを生成して分散先リスト格納部30bに格納する。
そして、本発明の特徴部分であるキャンセル処理部24は、クライアントCLから受信するキャンセルコマンドに従って、分散先プリンタに対して分散された印刷ジョブのキャンセルを指示するキャンセルコマンドを送信したり、印刷ジョブ格納部30aに格納されているクライアントCLから送信された印刷ジョブをキャンセルしたりする。
なお、このキャンセル処理部24は、請求項におけるコマンド送信部及び制御部に相当する。
プリンタPRT1は、上述した機能ブロックの他、印刷プロトコルである無手順プログラムを解釈する無手順プログラム解釈部等を備えているが、説明の便宜上、省略されている。
一方、図1に示すプリンタPRT2,PRT3については、上述したプリンタPRT1におけるプリンタ本体PRBとほぼ同一の機能や構成を有している。具体的には、プリンタエンジン,プリンタコントローラ,メモリ(印刷格納部を有する)の他、機能ブロックとして、TCP/IPプロトコル解釈部や無手順プロトコル解釈部を備えている。
A3.クライアントの概要構成:
図3は、本発明の第1の実施例におけるクライアントの概要構成を示す説明図である。
クライアントCLは、コンピュータ100と、コンピュータ100にデータを入力する装置として、キーボード111及びマウス112と、データを出力する装置としてディスプレイ110と、を備えている。
コンピュータ100は、主として、CPU101,メモリ102,ハードディスク103,及び入出力インタフェース部104を備えており、それぞれ内部バス105に接続されている。ここで、入出力インタフェース部104は、コンピュータ100に対して、前述のキーボード111,マウス112,ディスプレイ110、及びローカルエリアネットワークLAN1をそれぞれ接続するためのインタフェース群から成る。
クライアントCLでは、所定のオペレーティングシステムの下、印刷ジョブをキャンセルするためのアプリケーションプログラムが実行される。なお、オペレーティングシステムには、各種ドライバが組み込まれ、前述のキーボード111,マウス112,ディスプレイ110が、それぞれ制御される。
そして、前述のアプリケーションプログラムが起動され、メモリ102にロードされると、CPU101は、このアプリケーションプログラムを実行することにより、印刷ジョブキャンセル部101a及び画面生成部101bとして機能することになる。
なお、クライアントCLは、機能ブロックとして、前述の印刷ジョブキャンセル部101a及び画面生成部101bの他に、無手順プロトコル解釈部,TCP/IP解釈部,印刷ジョブ生成部を備えているが、説明の便宜上、省略されている。
なお、この印刷ジョブ生成部は、例えば、ユーザがクライアントCLに対して印刷部数「30部」として印刷命令を出すと、印刷部数を示すQT値を「30」とし、また、ジョブID(例えば「04」)を設定した印刷ジョブを生成して、無手順プロトコル解釈部及びTCP/IP解釈部を介して、印刷ジョブデータをプリンタPRT1に送信する。このとき、TCP/IP解釈部は、送信先IPアドレス及び送信先ポート番号として、それぞれ、「IP1」及び「19100」を指定するので、図1に示す通信データDT0が送信されることになる。
前述のメモリ102は、送信ジョブリスト102aを予め記憶している。この送信ジョブリスト102aは、プリンタPRT1に送信した印刷ジョブについての、ジョブID,文書名,印刷部数等を記載するリストである。そして、前述の印刷ジョブ生成部は、印刷ジョブを生成してプリンタPRT1に送信する度に、送信した印刷ジョブについてのジョブID,文書名,印刷部数等の情報を、この送信ジョブリスト102aに追加して書き込む。
A4.印刷ジョブキャンセル処理の具体的な動作:
今、図1に示すように、クライアントCLからプリンタPRT1に通信データDT0が送信され、プリンタPRT1〜プリンタPRT3に通信データDT1〜DT3が分配されている。そして、プリンタPRT1〜PRT3では、それぞれ、ジョブID「04−1」〜「04−3」の印刷ジョブに従った印刷が実行されている。そして、ユーザは、クライアントCLから送信したジョブID「04」の印刷ジョブをキャンセルするために、クライアントCLにおいて、印刷ジョブをキャンセルするためのアプリケーションプログラムを起動する。
このアプリケーションプログラムが起動されると、まず、図3に示す画面生成部101bは、メモリ102から送信ジョブリスト102aを読み出し、読み出した送信ジョブリスト102aに基づき、分散印刷一覧表示ウィンドウを生成して、ディスプレイ110に表示させる。
図4は、画面生成部101bにより生成された分散印刷一覧表示ウィンドウを示す説明図である。
図4に示すように、分散印刷一覧表示ウィンドウW1には、送信ジョブリスト102aに記載されている情報である、ジョブID,文書名,印刷部数,印刷ジョブの生成を指示したユーザ名が、一覧表示されている。また、分散印刷一覧表示ウィンドウW1は、印刷のキャンセルを指示する印刷中止ボタンBT11と、閉じるボタンと、を備えている。
前述のように、キャンセルする印刷ジョブがジョブID「04」の印刷ジョブである場合、ユーザは、図3に示すキーボード111又はマウス112を用いて、この分散印刷一覧表示ウィンドウW1に表示された印刷ジョブの一覧から、ジョブID「04」の印刷ジョブを指定して印刷中止ボタンBT11を押下する。
そして、この印刷中止ボタンBT11が押下されると、クライアントCL及びプリンタPRT1〜PRT3において、印刷ジョブキャンセル処理が実行される。
図5は、第1の実施例における印刷ジョブキャンセル処理の手順を示すフローチャートである。
図5において、左側はクライアントCLにおけるフローチャートを、中央はプリンタPRT1におけるフローチャートを、右側は分散先プリンタにおけるフローチャートを、それぞれ示している。なお、前述のように、プリンタPRT1〜PRT3が分散先プリンタである場合、プリンタPRT1については、中央及び右側の両方のフローチャートに記載された処理を実行することになるが、プリンタPRT1のうち、カスタムネットワークボードCNBが中央のフローチャートに記載された処理を、プリンタ本体PRBが右側のフローチャートに記載された処理を、それぞれ実行する。
図5に示す印刷ジョブキャンセル処理が開始されると、まず、図3に示すクライアントCLにおいて、印刷ジョブキャンセル部101aは、ジョブID「04」を指定したキャンセルコマンドを、TCP/IP解釈部を介してプリンタPRT1に送信する(ステップS202)。
一方、図2に示すプリンタPRT1では、キャンセル処理部24が、TCP/IP解釈部21を介して、クライアントCLから送信されたキャンセルコマンドを受信する(ステップS302)。次に、キャンセル処理部24は、キャンセルコマンドで指定されたジョブID「04」の印刷ジョブについての分散先リストを、分散先リスト格納部30bにおいて検索する(ステップS304)。
上述したように、クライアントCLから受信した印刷ジョブが分散先プリンタに分散されている場合、分散先リスト格納部30bには、この印刷ジョブについての分散先リストが格納されており、また、クライアントCLから受信した印刷ジョブのジョブIDと、この印刷ジョブを各分散先プリンタへ分散した印刷ジョブのジョブIDと、は関連付けられている。
従って、ジョブID「04」の印刷ジョブがプリンタPRT1〜PRT3に分散されている場合、図1に示す分散先リストが分散先リスト格納部30bに格納されているので、キャンセル処理部24は、指定されたジョブID「04」に基づき、この分散先リストを見つけ出すことができる。
そして、分散先リストが見つかった場合、キャンセル処理部24は、見つけ出した分散先リストに記載されたIPアドレスの分散先プリンタに対し、キャンセルすべき印刷ジョブのジョブIDを指定してキャンセルコマンドを送信する(ステップS306)。前述のように、図1に示す分散先リストには分散先プリンタのIPアドレス「IP1」〜「IP3」が記載されており、キャンセル処理部24は、プリンタPRT1〜プリンタPRT3に対してキャンセルコマンドを送信する。なお、この場合、キャンセル処理部24は、プリンタPRT2,3に対しては、ローカルエリアネットワークLAN1を介して、それぞれ、ジョブID「04−2」,「04−3」を指定してキャンセルコマンドを送信し、プリンタPRT1のプリンタ本体PRBに対しては、プリンタPRT1の内部バス(図示省略)を介して、ジョブID「04−1」を指定してキャンセルコマンドを送信する。
一方、分散先プリンタでは、プリンタコントローラが、プリンタPRT1のキャンセル処理部24から送信されたキャンセルコマンドを受信する(ステップS402)。そして、プリンタコントローラは、キャンセルコマンドで指定された印刷ジョブをキャンセルする(ステップS404)。
具体的には、例えば、図2に示すプリンタコントローラ42は、キャンセル処理部24からジョブID「04−2」を指定したキャンセルコマンドを受信すると、印刷ジョブ格納部43aに格納されているジョブID「04−2」の印刷ジョブデータを削除すると共に、印刷ジョブが展開されて生成されたイメージデータを、メモリ43から削除する。
なお、前述のステップS304の処理において、キャンセルコマンドで指定された印刷ジョブについての分散先リストが、分散先リスト格納部30bにおいて見つからなかった場合、クライアントCLから受信した印刷ジョブは未だ分散されていないので、この場合、キャンセル処理部24は、印刷ジョブ格納部30に格納されている、クライアントCLから受信した印刷ジョブデータを削除してキャンセルする(ステップS308)。
以上の処理の結果、各分散先プリンタにおいて、若しくは分散前であればプリンタPRT1において、印刷ジョブがキャンセルされるので、ジョブID「04」の印刷ジョブは全てキャンセルされることとなる。
A5.実施例の効果:
上述したように、プリンタPRT1は、クライアントCLから受信した印刷ジョブを分散した場合、分散先プリンタのIPアドレスと、分散した印刷ジョブに対してプリンタPRT1が設定したジョブIDと、から成るリストを格納する。そして、このプリンタPRT1が設定したジョブIDは、クライアントCLが設定したジョブIDと関連付けられているので、プリンタPRT1は、クライアントCLからジョブIDを指定したキャンセルコマンドを受信した場合、前述のリストに基づいて分散先プリンタを特定することができ、各分散先プリンタに対してキャンセルコマンドを送信することができる。
従って、クライアントCLにおいて、キャンセルしたい印刷ジョブがいずれのプリンタに分散されているか分からないような場合でも、このキャンセルしたい印刷ジョブについて、クライアントCLが設定したジョブIDを指定して、このジョブIDを指定したキャンセルコマンドをプリンタPRT1に送信することで、プリンタPRT1から各分散先プリンタにキャンセルコマンドを送信させることができる。その結果、所望の印刷ジョブをキャンセルすることが可能となる。
B.第2の実施例:
上述した第1の実施例では、プリンタPRT1が、各分散先プリンタに対してキャンセルコマンドを送信して、印刷ジョブをキャンセルさせるようにしていたが、本実施例においては、クライアントCLから各分散先プリンタに対してキャンセルコマンドを送信する。
なお、分散印刷システムの構成、プリンタPRT1〜PRT3及びクライアントCLの構成については、それぞれ、図1〜図3に示す構成と同じであるので説明を省略する。
B1.印刷ジョブキャンセル処理の具体的な動作:
今、上述した第1の実施例と同様に、クライアントCLからプリンタPRT1に通信データDT0が送信され、プリンタPRT1〜プリンタPRT3に通信データDT1〜DT3が分配されている。そして、プリンタPRT1〜PRT3では、それぞれ、ジョブID「04−1」〜「04−3」の印刷ジョブに従った印刷が実行されている。そして、ユーザは、クライアントCLから送信したジョブID「04」の印刷ジョブをキャンセルするために、クライアントCLにおいて、印刷ジョブをキャンセルするためのアプリケーションプログラムを起動する。
このアプリケーションプログラムが起動されると、まず、図3に示す画面生成部101bは、メモリ102から送信ジョブリスト102aを読み出し、読み出した送信ジョブリスト102aに基づき、分散印刷一覧表示ウィンドウを生成してディスプレイ110に表示させる。
図6は、画面生成部101bにより生成された分散印刷一覧表示ウィンドウを示す説明図である。
図6に示す分散印刷一覧表示ウィンドウW2は、図4に示す分散印刷一覧表示ウィンドウW1とほぼ同じである。ただし、印刷中止ボタンBT11の代わりに詳細表示ボタンBT12を備えている点が異なっている。
前述のように、キャンセルする印刷ジョブがジョブID「04」の印刷ジョブである場合、ユーザは、図3に示すキーボード111又はマウス112を用いて、この分散印刷一覧表示ウィンドウW2に表示された印刷ジョブの一覧から、ジョブID「04」の印刷ジョブを指定して詳細表示ボタンBT12を押下する。
そして、この詳細表示ボタンBT12が押下されると、クライアントCL及びプリンタPRT1〜PRT3において、印刷ジョブキャンセル処理が実行される。
図7は、第2の実施例における印刷ジョブキャンセル処理の手順を示すフローチャートである。
図7において、左側はクライアントCLにおけるフローチャートを、中央はプリンタPRT1におけるフローチャートを、右側は分散先プリンタにおけるフローチャートを、それぞれ示している。なお、上述した第1の実施例と同様に、プリンタPRT1のうち、カスタムネットワークボードCNBが中央のフローチャートに記載された処理を、プリンタ本体PRBが右側のフローチャートに記載された処理を、それぞれ実行する。
図7に示す印刷ジョブキャンセル処理が開始されると、まず、図3に示すクライアントCLにおいて、印刷ジョブキャンセル部101aは、ジョブID「04」を指定して分散先プリンタのIPアドレス及びジョブIDの送信要求を、TCP/IP解釈部を介してプリンタPRT1に対して送信する(ステップS502)。
一方、図2に示すプリンタPRT1では、キャンセル処理部24が、TCP/IP解釈部21を介して、クライアントCLから送信された前述の送信要求を受信する(ステップS602)。次に、キャンセル処理部24は、キャンセルコマンドで指定されたジョブID「04」の印刷ジョブについての分散先リストを、分散先リスト格納部30bにおいて検索する(ステップS604)。
次に、キャンセル処理部24は、分散先リストが見つかった場合には、この分散先リストに記載されている分散先プリンタのIPアドレス及びジョブIDを、また、分散先リストが見つからなかった場合には、プリンタPRT1のIPアドレス及びクライアントCLから受信した印刷ジョブのジョブIDを、クライアントCLに送信する(ステップS606)。
例えば、前述のように、既にプリンタPRT1〜プリンタPRT3に印刷ジョブが分散されている場合には、図1に示す分散先リストが分散先リスト格納部30bに格納されているので、キャンセル処理部24は、分散先リストに記載されているIPアドレス「IP1」〜「IP3」及びジョブID「04−1」〜「04−3」を、互いに関連付けたままクライアントCLに送信する。
一方、仮に、印刷ジョブがまだ分散されていない場合、分散先リストは見つからないので、プリンタPRT1のIPアドレス「IP1」及びクライアントCLから受信した印刷ジョブのジョブID「04」をクライアントCLに送信する。
クライアントCLでは、印刷ジョブキャンセル部101aが、TCP/IP解釈部を介して、プリンタPRT1から送信されたIPアドレス及びジョブIDを受信し、メモリ102に記憶させる(ステップS504)。次に、画面生成部101bは、プリンタPRT1から受信したIPアドレスをメモリ102から読み出し、分散印刷詳細表示ウィンドウを生成してディスプレイ110に表示させる(ステップS506)。
図8は、画面生成部101bにより生成される分散印刷詳細表示ウィンドウを示す説明図である。
前述のように、プリンタPRT1〜PRT3に印刷ジョブが分散されている場合、図8に示すように、分散印刷詳細表示ウィンドウW3には、分散先プリンタのIPアドレス「IP1」〜「IP3」が一覧表示される。また、分散印刷詳細表示ウィンドウW3は、各分散先プリンタに対応した、印刷ジョブのキャンセルを指示するための印刷中止ボタンBT21と、全ての分散先プリンタに対して、一括して印刷ジョブのキャンセルを指示するための全印刷中止ボタンBT22と、閉じるボタンと、を備えている。
ユーザは、ジョブID「04」の印刷ジョブ全体をキャンセルしようとしているため、図3に示すマウス112を用いて、全印刷中止ボタンBT22を押下する。なお、或るプリンタに分散された印刷ジョブのみをキャンセルさせたい場合には、そのプリンタに対応した印刷中止ボタンBT21を押下すればよい。
全印刷中止ボタンBT22が押下された場合、印刷ジョブキャンセル部101aは、分散印刷詳細表示ウィンドウW3に表示された全てのIPアドレス(IP1〜IP3)が、キャンセルコマンドの送信先プリンタのIPアドレスとして指定されたものとして、この指定されたIPアドレスをメモリ102に記憶させる(ステップS508)。なお、印刷中止ボタンBT21が押下された場合には、対応するプリンタのIPアドレスをメモリ102に記憶させる。
次に、印刷ジョブキャンセル部101aは、キャンセルコマンドの送信先プリンタとして指定されたプリンタのIPアドレスをメモリ102から読み出す。ここで、上述したように、メモリ102にはプリンタPRT1から送信されたIPアドレス及びジョブIDが記憶されているので、印刷ジョブキャンセル部101aは、読み出したIPアドレスをキーとして、対応するジョブIDをメモリ102から読み出す。そして、印刷ジョブキャンセル部101aは、指定されたIPアドレスのプリンタに対して、読み出したジョブIDを指定してキャンセルコマンドを送信する(ステップS510)。
例えば、前述のように、プリンタPRT1から受信したIPアドレス「IP1」〜「IP3」及びジョブID「04−1」〜「04−3」がメモリ102に記憶されている状態で、全印刷中止ボタンBT22の押下により、IPアドレス「IP1」〜「IP3」が指定された場合、印刷ジョブキャンセル部101aは、プリンタPRT1〜PRT3に対して、それぞれ、ジョブID「04−1」〜「04−3」を指定してキャンセルコマンドを送信する。
そして、分散先プリンタでは、第1の実施例と同様に、プリンタコントローラが、クライアントCLから送信されるキャンセルコマンドを受信し(ステップS702)、キャンセルコマンドで指定された印刷ジョブをキャンセルする(ステップS704)。
なお、印刷ジョブがまだ分散されていない場合、上述したように、プリンタPRT1からはプリンタPRT1のIPアドレス「IP1」及びジョブID「04」を受信するので、分散印刷詳細表示ウィンドウW3には、この「IP1」のみが表示される。そして、この「IP1」に対応する印刷中止ボタンBT21(又は全印刷中止ボタンBT22)が押下された場合、ジョブID「04」を指定したキャンセルコマンドがプリンタPRT1に送信されることになる。この場合、キャンセル処理部24は、印刷ジョブ格納部30bに格納されているジョブID「04」の印刷ジョブを削除する。
以上の処理の結果、各分散先プリンタにおいて、若しくは分散前であればプリンタPRT1において、印刷ジョブがキャンセルされるので、ジョブID「04」の印刷ジョブは全てキャンセルされることとなる。
B2.実施例の効果:
上述したように、プリンタPRT1は、クライアントCLから受信した印刷ジョブを分散した場合、分散先プリンタのIPアドレスと、分散した印刷ジョブに対してプリンタPRT1が設定したジョブIDと、から成るリストを格納する。そして、このプリンタPRT1が設定したジョブIDは、クライアントCLが設定したジョブIDと関連付けられているので、プリンタPRT1は、クライアントCLからジョブIDを指定して、分散先プリンタのIPアドレス及び分散した印刷ジョブに設定されたジョブIDの送信を要求された場合、前述のリストに基づいて、これらIPアドレス及びジョブIDをクライアントCLに送信することができる。
従って、クライアントCLにおいて、キャンセルしたい印刷ジョブがいずれのプリンタに分散されているか分からないような場合でも、分散先プリンタのIPアドレス及びジョブIDをプリンタPRT1から取得することができる。その結果、各分散先プリンタに対してキャンセルコマンドを送信し、所望の印刷ジョブをキャンセルさせることが可能となる。
また、クライアントCLでは、プリンタPRT1から分散先プリンタのIPアドレス及びジョブIDを受信した場合、分散印刷詳細表示ウィンドウW3において、プリンタPRT1から受信した分散先プリンタのIPアドレスと、各分散先プリンタに対応付けられた印刷中止ボタンと、全印刷中止ボタンと、を表示する。従って、ユーザは、印刷ジョブがいずれのプリンタに分散されているか分からないような場合でも、分散先プリンタを簡単に知ることができると共に、分散先プリンタのうち、一部または全てのプリンタを指定して、キャンセルコマンドの送信を簡単に指示することが可能となる。
C.変形例:
なお、本発明は、前述の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の態様において実施することが可能であり、例えば以下のような変形も可能である。
C1.変形例1:
上述した第1及び第2の実施例では、分散先プリンタに印刷ジョブが分散されている場合、各分散先プリンタに対してキャンセルコマンドを送信するようにしていたが、各分散先プリンタのみならず、分散印刷制御機能を有するプリンタPRT1に対してキャンセルコマンドを送信するようにしてもよい。なお、この場合、プリンタPRT1にキャンセルコマンドを送信した後に各分散先プリンタにキャンセルコマンドを送信すればよい。
各分散先プリンタへの印刷ジョブの分散が開始され、プリンタPRT1から各分散先プリンタに対して印刷ジョブデータが送信されている途中において、上述した印刷ジョブキャンセル処理が開始された場合、各分散先プリンタは、キャンセルコマンドを受信すると、それまでにプリンタPRT1から受信して印刷ジョブ格納部に格納した印刷ジョブデータの一部を削除する。しかしながら、削除後にプリンタPRT1から送信される残りの印刷ジョブデータについては、印刷ジョブ格納部に格納され、削除されずに残ってしまうことになる。
そこで、上述の構成とすることで、まず、プリンタPRT1において、分散先プリンタに送信していない残りの印刷ジョブデータが削除され、次に、各分散先プリンタにおいて、それまでにプリンタPRT1から受信した印刷ジョブデータの一部が削除されるので、各分散先プリンタにおいて印刷ジョブデータの一部が削除された後に、プリンタPRT1から残りの印刷ジョブデータが送信されることがない。従って、印刷ジョブデータの一部が各分散先プリンタの印刷ジョブ格納部に残ってしまうことを防ぐことができる。
C2.変形例2:
上述した第1及び第2の実施例においてキャンセル処理部24は、分散先リストで特定される全ての分散先プリンタに対してキャンセルコマンドを送信するようにしていたが、これに代えて、まず、分散先リストで特定される全ての分散先プリンタに対して、分散された印刷ジョブの処理状況を問い合わせて、その結果に応じて、印刷ジョブの処理が完了していないプリンタに対してのみキャンセルコマンドを送信するようにしてもよい。なお、このような構成において、キャンセル処理部24は、請求項における送信要求部に相当する。
このような構成とすることで、既に印刷ジョブの処理が完了しておりキャンセルコマンドを送信する必要がないプリンタに対しては、キャンセルコマンドを送信しないようにすることができ、ローカルエリアネットワークLAN1に不要なデータを流さないようにすることができる。
C3.変形例3:
上述した第1及び第2の実施例では、印刷ジョブをキャンセルするためのキャンセルコマンドを、各分散先プリンタに対して送信していたが、キャンセルコマンドに限定するものではなく、他の制御コマンドを送信するようにしてもよい。
具体的には、例えば、分散された印刷ジョブを処理している際には、クライアント等から送信される他の印刷ジョブを受け付けないようにさせるためのコマンド(またはその逆に、受け付けない状態を受け付ける状態に戻すためのコマンド)を、各分散先プリンタに対して送信するような場合にも、本発明を適用することができる。
C4.変形例4:
上述した第1及び第2の実施例では、分散先リストにおいて、分散先プリンタの識別情報としてIPアドレスを記載するようにしていたが、IPアドレスに代えて、プリンタ名やMAC(Media Access Control)アドレスなど、他の情報を記載するようにしてもよい。また、第2の実施例における分散印刷詳細表示ウィンドウW3においても、各分散先プリンタを示す情報として、IPアドレスに代えて、プリンタ名などを表示するようにしてもよい。
C5.変形例5:
上述した第1及び第2の実施例では、キャンセルの対象となる印刷ジョブのジョブIDを指定してキャンセルコマンドを送信するようにしていたが、各プリンタにおいて、印刷ジョブ格納部に格納可能な印刷ジョブ数が1つであり、印刷ジョブの処理が完了した後に次の印刷ジョブを受信することができるような構成の場合、ジョブIDを指定せずにキャンセルコマンドを送信するようにしてもよい。このような構成の場合、ジョブIDを指定しなくともキャンセルの対象となる印刷ジョブは、各プリンタにおいて一意に特定されるからである。なお、この場合、分散先リストも分散先プリンタのIPアドレスを記載するだけでよい。
C6.変形例6:
上述した第1及び第2の実施例において、クライアントCL及びプリンタPRT1〜PRT3は、キャンセルコマンドを送信する場合に、TCP/IP解釈部を介して送信するものとしたが、これに限らない。例えばSNMP(Simple Network Management Protocol)で規定されるコマンドを、キャンセルコマンドとして用いるような場合、SNMPはトランスポート層におけるプロトコルとしてUDP(User Datagram Protocol)を用いるので、このUDPプロトコルを解釈するUDP/IP解釈部を備えるようにして、このUDP/IP解釈部を介して送信すればよい。
なお、SNMPで規定されるコマンドをキャンセルコマンドとして用いる場合として、例えば、各プリンタのステータスや故障等の管理情報を示すMIB(Management Information Base)において、印刷ジョブのキャンセル指示を受け付けたか否かを管理対象とするために、キャンセル指示受付の有無を管理属性(オブジェクト)として予め設定しておく。そして、クライアント又は分散印刷制御機能を有するプリンタは、キャンセルコマンドとして、このオブジェクトを指定して「キャンセル受付有り」を示す値を設定させるSetRequestコマンドを送信先のプリンタに対して送信する。そして、このコマンドを受信したプリンタが、前述のオブジェクトに「キャンセル受付有り」を示す値を設定すると共に、印刷ジョブをキャンセルするようにする。
C7.変形例7:
上述した第1及び第2の実施例では、分散印刷制御装置を、プリンタPRT1に内蔵されたカスタムネットワークボードCNBとして構成するようにしていたが、本発明は、この構成に限定するものではなく、分散印刷制御装置をプリンタPRT1と別体とし、USB接続,IEEE1394接続,パラレル接続,シリアル接続などの有線接続や、ブルートゥース接続,無線LAN接続,赤外線接続などの無線接続でプリンタPRT1に接続するような構成でも構わない。また、プリンタPRT1と別体として、ローカルエリアネットワークLAN1に接続されたサーバを分散印刷制御装置とする構成であってもよい。
本発明の第1の実施例としてのプリンタPRT1を備える分散印刷システムの構成を示す説明図。 図1におけるプリンタPRT1の構成を示す説明図。 本発明の第1の実施例におけるクライアントの概要構成を示す説明図。 画面生成部101bにより生成された分散印刷一覧表示ウィンドウを示す説明図。 第1の実施例における印刷ジョブキャンセル処理の手順を示すフローチャート。 画面生成部101bにより生成された分散印刷一覧表示ウィンドウを示す説明図。 第2の実施例における印刷ジョブキャンセル処理の手順を示すフローチャート。 画面生成部101bにより生成される分散印刷詳細表示ウィンドウを示す説明図。
符号の説明
20,101...CPU
21...TCP/IP解釈部
22...分散処理部
23...分散先決定部
24...キャンセル処理部
25...部数決定部
30,43,102...メモリ
30a,43a...印刷ジョブ格納部
30b...分散先リスト格納部
41...プリンタエンジン
42...プリンタコントローラ
100...コンピュータ
101a...印刷ジョブキャンセル部
101b...画面生成部
102a...送信ジョブリスト
103...ハードディスク
104...入出力インタフェース部
105...内部バス
110...ディスプレイ
111...キーボード
112...マウス
BT11,BT21...印刷中止ボタン
BT12...詳細表示ボタン
BT22...全印刷中止ボタン
CL...クライアント
CNB...カスタムネットワークボード
DT0〜DT3...通信データ
LAN1...ローカルエリアネットワーク
PRB...プリンタ本体
PRT1〜PRT3...プリンタ
W1,W2...分散印刷一覧表示ウィンドウ
W3...分散印刷詳細表示ウィンドウ

Claims (5)

  1. 印刷ジョブの分散先となる分散先印刷装置の決定と、前記分散先印刷装置への前記印刷ジョブの分散と、を行うことが可能な分散印刷制御装置に対し、ネットワークを介して接続されたクライアントであって、
    前記印刷ジョブをキャンセルすべき旨の指示を入力することが可能な入力部と、
    前記キャンセルすべき旨の指示が前記入力部を介して入力された場合に、前記分散印刷制御装置に対して、決定した前記分散先印刷装置の識別情報を送信するよう要求する識別情報送信要求部と、
    前記識別情報送信要求部による要求の結果、前記分散印刷制御装置から、前記識別情報を受信した場合に、前記分散先印刷装置のうち、分散された前記印刷ジョブをキャンセルさせるべき前記分散先印刷装置を指定することが可能なユーザインタフェースを、受信した前記識別情報に基づき提供するユーザインタフェース部と、
    前記ユーザインタフェースを介して指定された少なくとも1つの前記分散先印刷装置に対して、分散された前記印刷ジョブをキャンセルさせるための第1のキャンセルコマンドを送信することが可能なコマンド送信部と、
    を備えるクライアント。
  2. 請求項に記載のクライアントであって、
    前記コマンド送信部は、前記ユーザインタフェースを介して前記分散印刷装置が指定された場合に、まず、前記分散印刷制御装置に対して、前記印刷ジョブをキャンセルさせるための第2のキャンセルコマンドを送信し、前記第2のキャンセルコマンドを送信した場合に、指定された少なくとも1つの前記分散先印刷装置に対して、前記第1のキャンセルコマンドを送信することを特徴とするクライアント。
  3. 請求項に記載のクライアントであって、
    前記ユーザインタフェースを介して指定された前記分散先印刷装置に対して、分散された前記印刷ジョブの処理状況に関する、処理状況情報の送信を要求することが可能な要求部を備え、
    前記コマンド送信部は、前記第1のキャンセルコマンドを送信する場合において、前記要求部が前記処理状況情報の送信を要求した結果、前記分散先印刷装置から受信した前記処理状況情報に基づき、前記分散先印刷装置のうち、分散された前記印刷ジョブの処理が完了していない前記分散先印刷装置に対してのみ、前記第1のキャンセルコマンドを送信することを特徴とするクライアント。
  4. ネットワークを介して送信される印刷ジョブについて、分散印刷制御装置において前記印刷ジョブの分散先となる分散先印刷装置が決定され、決定された前記分散先印刷装置に前記印刷ジョブが分散されている場合に、前記分散先印刷装置に対して、コンピュータにより、分散された前記印刷ジョブをキャンセルさせるためのコンピュータプログラムであって、
    前記印刷ジョブをキャンセルすべき旨の指示が前記コンピュータに入力された場合に、前記分散印刷制御装置に対して、決定した前記分散先印刷装置の識別情報を送信するよう要求する機能と、
    前記要求の結果、前記分散印刷制御装置から前記識別情報を受信した場合に、前記分散先印刷装置のうち、分散された前記印刷ジョブをキャンセルさせるべき前記分散先印刷装置を指定することが可能なユーザインタフェースを、受信した前記識別情報に基づき提供する機能と、
    前記ユーザインタフェースを介して指定された少なくとも1つの前記分散先印刷装置に対して、分散された前記印刷ジョブをキャンセルさせるためのキャンセルコマンドを送信する機能と、
    を前記コンピュータに実現させるためのプログラム。
  5. 請求項に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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