JP4035972B2 - 書籍およびその流通管理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は店頭管理、蔵書管理、流通管理等に共通して利用できる書籍の管理手段および管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図14に従来の書籍の返本の流れを示した。一般の書籍流通における再販制度によれば、書店Aは書籍を出版社あるいは取次店から仕入れ、売れなかった書籍を返本することで仕入れ費用が返金される。このとき、小林一博著「出版大崩壊」(2001年6月20日、イースト・プレス社発行)に述べられているように、一旦販売された書籍あるいは盗難などにあった書籍を、書店Bなどを介して還流させ、それらを売れ残った書籍と併せて返本する不正が行われることがある。
【0003】
上記不正は、出版社や取次店での入出庫の管理が不十分であるために、売れ残りの書籍と一旦売られてから還流してくる書籍との厳密な確認が行われていないことで助長されているものと考えられる。その要因として、書籍に付けられているバーコードなどの認識符号の読み取りが書籍のような膨大な発行量の物品の管理には適していないことが上げられる。
【0004】
従来の書籍の蔵書管理、流通管理に利用されてきたバーコードは、汚れや傷がついた場合に読みとりにくい、バーコードの方向に併せて読み込む必要があり、扱いにくいといった欠点がある。方向に関係なくバーコードの読み込みができる高性能な読みとり器もあるが、それらは非常に高価である。
【0005】
また、バーコードは可視光領域での読み取りのために、複数の書籍を扱う場合、それらを順次個別に読みとり器にかける必要があるなど、作業性の点で問題があった。さらに、コピーあるいはプリントすることで簡単に複製が作られてしまうなどのセキュリティ確保の上でも問題があり、高い信頼度が要求される場合などには適さなかった。
【0006】
以上のような理由から、バーコードで書籍の一冊ずつを管理するやり方では、大量の書籍を扱う流通業務、店舗管理業務、返本処理業務などで処理時間がかかりすぎ、正確かつ迅速な管理ができなかったと言える。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のようなバーコードによる書籍管理方法の弱点を克服し、比較的低コストで迅速かつ正確なデータ処理を可能とし、不正返本の防止などを容易にする書籍管理手段および方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の目的は、バーコードの代わりに、記憶情報量が大きく、かつ書き込まれた情報の管理が高い秘匿性を持って実現でき、読み取りにおける方向性が少なく、電波の透過性などの利点を生かして複数冊を一括処理できる無線タグを用いた安価で高信頼度の書籍管理システムを提供することで達成される。
【0009】
上記無線タグとしては、空間波長で決まるアンテナの大きさを小さく安価にでき、電波を効率よく授受できる準マイクロ波帯の電波を使った無線タグが好ましい。また、無線タグを書籍の表紙あるいはカバーに点数券の形で作り込み、書籍の購入者が点数券を金券と同価値で利用できるようにし、購入者の利便を図るとともに、一度販売された書籍が販売されなかった書籍として返本処理される際に容易に発見できるようにする。
【0010】
無線タグを導入することで、出版社や取り次ぎ店における書籍の管理が高速かつ高信頼度、高セキュリティで実現でき、不正返本などの検出処理が容易になる。
【0011】
また、書店において一旦売却された書籍が書店の返本ルートに還流することがないようにするためには、売却された書籍であることの証を売却された書籍自体に残す必要がある。そのために本発明においては、書籍の顔である表紙あるいはそのカバー紙に無線タグが装着された点数券の領域を設け、これを切り離して使用するようにする。
【0012】
図15に本発明の無線タグを装着した点数券を持つ書籍による不正返本抑止の構図を示した。出版社あるいは取次店は無線タグを使った書籍の管理システムを構築しておく。この管理システムは書籍の製造段階から物流、店舗管理、不正返本管理まで全管理行程において効果を発揮できる。
【0013】
本発明によれば、出版社あるいは取次店が扱う書籍はすべてカバー紙あるいは表紙に無線タグを装着した点数券を備えており、すべての書籍の無線タグが持っている点数券を識別できる番号を読み取り、書籍とのひも付けを行い、管理端末に格納しておく。
【0014】
点数券に付された無線タグの持つ識別番号は、書籍の識別が可能な情報に対して管理端末上でひも付けされる。書店Aが点数券の付いた書籍を購入者に売却すると、購入者は図14の場合のように書店Bに売却することで得られる利益よりも高い利益が約束されれば、書籍から点数券を切り離して点数券を有効に活用でき、書籍が不要になれば、書籍のみを書店Bに売却することもできる。
【0015】
点数券は、たとえば一般の物品購入においての購入金額の補充分、あるいは会員カードなどへの点数の蓄積などの形で、点数に応じて金銭に代わるサービスが提供されるものとする。購入者が無線タグの装着された点数券でのサービスを要求すると、出版社あるいは取次店は管理端末の格納情報と無線タグの読み取り情報を比較し、真券である場合には点数保証がなされ、券面の点数に応じたサービスが提供される。盗難などに遭った書籍に付された点数券によるサービス要求が出された場合は、あらかじめ書籍にひも付けされた識別番号と盗難情報が出版社あるいは取次店の管理端末で確認されることによって、その点数券は無効とされ、サービス提供が拒否される。ここで、本発明においては、書店の書棚の書籍から点数券だけが持ち去られるような盗難を防止する工夫も必要となるが、この点については後述する。本発明によれば、点数券のなくなった書籍が書店B、書店Aを介して出版社もしくは取次店に還流してきても、それらは売れ残りの書籍とは認められず、返本処理から除外され、出版社や取次店は書店Aに対して返金の義務はなくなる。
【0016】
図16は不正返本の関係者相互の関係を時間軸で見たものである。書店Aが出版社あるいは取り次ぎから点数券付きの書籍を仕入れ、購入者がこれを購入して点数券の価値を認めた場合には点数券を書籍から切り離す。この場合、この購入者が書籍を書店Bに売却し、書店Bがさらにそれを書店Aに売却しても、書店Aは点数券がない書籍を返本することはきない。書籍の購入者は点数券を使ったサービスを要求し、出版社や取次店の管理端末に格納された情報から未使用の点数券で盗難に遭ったものでないことが分かれば点数保証がなされ、物品購入や点数蓄積などのサービスが付与される。
【0017】
図17は不正返本の関係者相互の関係をフローチャートで見たものである。出版社あるいは取次店から無線タグ付き書籍の物品管理システム下に置かれた無線タグ付き書籍を書店Aが仕入れて購入者に販売した場合、購入者は書籍の点数券を書籍のカバー紙あるいは表紙などから切り離し、これを物品購入や点数券蓄積などのサービスを受けることができる。購入者の点数券利用に際しては出版社あるいは取り次の管理システムに対して公衆網などを介して、有効あるいは無効などの点数保証がなされる。点数券の付いていない書籍で、購入者が不要とする書籍は書店Bなどに売却して購入者が利益を得ることができる。このとき、本発明により点数券のない書籍が返本できない仕組みが構築されていると分かれば、書店Aでは書店Bから買い上げて不正返本に回すことがなくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は書籍本体の外面を覆う書籍カバーに本発明を実施した例を示す。図2は図1のカバー1の裏面を示す。図1において、1は書籍カバー全体、2はカバー1の一部をなす点数券、3は無線タグ、4,5はミシン目あるいは切取線である。
【0019】
カバー1には、書籍の題名、作者、訳者、発行所、発行人などの情報が印刷される。点数券2はミシン目あるいは切取線4,5によってカバー1から容易に分離可能である。上記点数券2には点数などが印刷され、その内部に点数や発行元、書籍のID番号などの情報を書き込んだ無線タグ3が挿入され、書籍の店頭管理、蔵書管理、流通管理、製造管理における固有番号として利用される。この無線タグ3は、図2のようにカバー2の紙の厚さ内に封止できる薄く折り曲げにも強い小型の無線タグである。上記無線タグ3に記録されるID番号等は、ネットワーク上の版元などの管理部署のサーバーにおいて集中的に管理され、固有値であることが保証される。ここで、雑誌などの場合は図1のカバー紙をそのまま表紙として使用することができる。
【0020】
図3は本実施例において紙の厚さ内に封止される無線タグの一構成例を示し、(a)はその平面図、(b)は断面図をである。図3において6はアンテナ導体、7はICチップ、8は高周波整合線路、9はカバーコート、10は誘電体基板である。ICチップ7は電波の照射によって電力を発生させると同時にクロックを生成し、内蔵する論理回路を駆動し、論理回路内のメモリ情報を必要に応じて送信する機能を持った無電池型の無線タグを構成する。
【0021】
アンテナ導体6は2.45GHzの空間波長のほぼ1/2の長さで、アンテナ導体6の途中からICチップ7と高周波的な整合をとるための整合線路8を備えており、ICチップ7とアンテナ6との電力のやり取りを効率的に行っている。アンテナ導体6と読みとり器との通信距離が短くてもよい場合は、アンテナ導体6の長さは必ずしも空間波長の1/2の長さが必要ではなく、場合に応じて、アンテナ導体6の長さを短くすることが可能である。
【0022】
アンテナ導体6は誘電体基板10の上に蒸着やメッキなどの技術で形成された銅などの導電性の良好な導体層をエッチング技術によりパターン成形する。当該パターンの高周波整合線路8とアンテナ導体6の中央部の低電位点との間にICチップ7を異方性導電フィルムによる接合技術やハンダ接続技術により電気的、機械的に接続し、カバーコート9により銅導体表面の保護や接続部の保護をする。
【0023】
図4は図3の無線タグをカバー1の紙内部に実装した構造を示す。図4において、(a)は平面図、(b)は平面図におけるA−A断面図を示す。図4において、11,12はミシン目あるいは切取線で切り離された点数券2のミシン目あるいは切断面を示す。(b)の断面に示すように、本実施例では無線タグ3が背表紙の紙の間に内装され、無線タグ3実装部位においても紙の厚さ程度になっている。
【0024】
本実施例に示したカバー紙あるいは表紙の材料には一般的に紙が用いられるが、点数券部分だけ、簡単に切り取られるおそれがあることを考えると、書店の書棚から不正に持ち出されないように、合成樹脂の繊維質の材料を使って点数券部分を容易には切り離せない構成とすることもできる。無論ナイフやはさみなどを使えば切り取ることは容易にしておく。
【0025】
図1〜図4までの実施例の無線タグ3はアンテナ6を備えているが、無線タグICチップに電力およびクロックを伝送するための回路として複同調回路方式を導入し、複同調回路の信号源を含む一次側同調回路を読みとり器側に設け、負荷回路を含む二次側同調回路を無線タグICチップ上に設けて無線タグシステムを構築することもできる。
【0026】
図5は複同調型の共振回路を使って電力、情報のやり取りを行うICチップ型無線タグを点数券2の内部に配置した構成例である。図5において、(a)は点数券2に実装された平面図、(b)はその断面図を示す。13はICチップで、(b)の断面図に示すように背表紙またはカバーの折り返し部の紙材のほぼ中央部に実装可能なICチップの大きさで構成した。
【0027】
上記ICチップ13には、半導体能動部に発電回路、変調・復調回路、メモリ回路が集積化され、これら半導体の上部に誘電体層と導体層を交互に積みかねてコイルおよびコンデンサを形成し、マイクロ波の周波数帯で共振する複同調回路の二次側回路を構成する。当該無線タグICチップ13に対して、質問器の複同調回路の一次側同調回路を近接させ、電力を供給するとともに情報のやり取りを行い、ICチップ13に書き込まれたメモリにアクセスして情報を読みとったり、書き込んだり、あるいは論理回路動作に指示を与えるなどの一連の通信を行う。
【0028】
図6は無線タグICチップ13を直接紙に実装せず、テープ状の台紙に一旦固定し、台紙ごと点数券2に張り付ける例を示す。図6において(a)は平面図、(b)は断面図で、14はテープ状の紙あるいは樹脂製の台紙で、ミシン目15などの切取線により無線タグICチップを個別に切り出す。無線タグICチップ13は台紙に接着層16を介して直接固定される。接着層16は無線タグICチップ13を点数券の表面あるいは裏面に台紙14で保護して固定する。
【0029】
図7は台紙に固定された無線タグICチップが取り付けられた様子を示す。(a)は平面図、(b)は断面図である。図7において17は無線タグICチップが実装された台紙で、(b)の断面図に示すように点数券2の券面に接着層により固定される。
【0030】
図8は図1に示したカバー1を装着した書籍を、裏表紙の内側が見えるように開いた状態で示した斜視図である。図8において、2は点数券、3は無線タグ、18は書籍本体、19は裏表紙である。無線タグ3が放射アンテナを備える場合、背表紙の材質、書籍本体の材質が大抵の場合マイクロ波などの高周波信号を若干の減衰量を持って通過する紙などを使用しており、カバー1を装着したまま、書籍を閉じた状態または書籍を複数冊積み重ねた状態でも、質問器との間でほとんどあらゆる方向から同時に複数の無線タグ3に対して電力を供給し、情報のやり取りをすることが可能である。
【0031】
ただし、無線タグのアンテナが図3に示すような直線偏波対応のアンテナの場合、アンテナの長手方向に感度が低下するために長手方向からの電波に対しては通信がしにくくなる。また、質問器のアンテナが直線偏波の場合、無線タグの偏波面とお互いの偏波面を合わせなければならないが、質問器アンテナに円偏波のアンテナを使えば、偏波面の合わせは不要となる。
【0032】
また、図5あるいは図7の例のように複同調型の無線タグICチップ13を使う場合には、質問器コイルは密着状態で無線タグICチップ13のコイルと近接配置しなければ無線タグIC13を動作させるのに十分な電力供給ができず、情報のやり取りが困難になる。この場合には、無線タグICチップ13と質問器を1対1で近接させ、通信させる必要がある。
【0033】
図9は図1に示したカバー1を表紙あるいは裏表紙を持つ書籍などに装着し、裏表紙の内側に折り曲げたカバー紙1が見えるように書籍を開いた状態で示した斜視図である。図9において、2は点数券、3は無線タグ、18は書籍本体、19は裏表紙である。無線タグ3が内装された点数券2が書籍の裏表紙19の内側に入り込む形になるが、応答器となる無線タグ3と質問器間の電波を使った情報のやり取りは図8の例と同様に可能である。
【0034】
図10は本発明の実施例で、無線タグ3を配した書籍のタグ情報を読み取り、あるいは書き込む質問器を含むシステムのデータのやり取りを示す図である。図において、20は無線タグ3を個々に持つ複数の書籍、21は質問器、22はパソコン、23は公衆網、24はサーバー、25,26はパソコン、27は携帯電話、28は携帯情報端末、29,30は質問器である。質問器21,29,30は、パソコンによって動作が制御されており、無線タグ3からの情報の読み出しや書き込み、無線タグ3に対する動作コマンドの送信などを行う。
【0035】
質問器を直接持たない携帯電話27や携帯情報端末28は質問器を内蔵しており、手に持ったままでタグに対して情報を書き込むあるいは読み出すなどの処理を行い、端末でデータの処理を行い、公衆網を介してさらに上位の他のコンピュータなどとのデータのやり取りを行う。パソコンの場合も上位との情報のやり取りは同様に行うことができる。携帯電話27や携帯情報端末28では、駆動電池の容量が少ないために、質問器から発する電力を少なくしてより近接状態で無線タグとの通信を行う。これに対して、パソコンを介した質問器の場合は、比較的大きな駆動電力が得られるので、据え置き型として比較的長い距離を保って無線タグとの通信が可能となる。
【0036】
パソコン22,25,26あるいは携帯電話27、携帯端末28は、それぞれ認証のためのIDを備えている。書籍のカバー1あるいは書籍本体を通した電波による通信で書籍20から読みとられた個々の無線タグ3の情報は、パソコンのIDとともにサーバー24に蓄積され、書籍の売買店頭での棚卸し、配送などのデータとして利用することができるとともに、版元などのサーバーにデータとして蓄積でき、返本処理時や購読者が点数券を利用するときの管理データとして利用できる。
【0037】
図11は無線タグを備えている書籍から、質問器を使って情報を読みとる別の例を示す。31はパソコン、32は質問器、33は制御線である。この例では、サーバー24がパソコンと直結しているが、公衆網23を介して接続されていてもよい。図11において書籍20は、たとえば返本されてきた書籍で、版元においてサーバー24に蓄えられた情報と、質問器32で読みとった情報を比較して無線タグの付いていない書籍を特定するなどの処理プロセスを実施する構成である。
【0038】
無線タグの付いていない書籍がある場合、書籍20に対して質問器32から電波を照射することで重なったままの書籍からこの書籍のタグの情報を読みとることができ、員数合わせやカバーの点数券の有無を確認するなどして無線タグの実装された点数券のない書籍を特定することができる。また、書籍20を一冊ずつバラバラにして、一冊ずつ質問器32に近づけて高速で読み取り確認を行うことでも、無線タグのない書籍を特定できる。
【0039】
返本された書籍の中に、無線タグ3の入った点数券のないものが混じっていれば、一度販売されたものが過って返本の書籍に入り込んだか、書店において点数券のみが抜き取られたかのいずれかであると判断される。無線タグが故障で読み取りができないものについては、点数券の有無から判断でき、上記両者のいずれでもないことがわかる。
【0040】
図12は点数券の利用に関する例である。図において23は公衆網、24は版元のサーバー、34はパソコン、35は金融機関などのサーバー、36は第1の点数券、37は第2の点数券、38はクレジットカードやプリペイドカード、39は現金、40は書籍、66は質問器である。上記構成において、読者が過去に書籍を購入して点数券を2枚得て、この2枚の点数券36、37とクレジットカードあるいはプリペイドカード38あるいは現金39を使って、書店にて新たに書籍40を購入するものとする。
【0041】
書籍40を購入することで点数券36,37は初めて使用されることになる。このとき、点数券36,37の情報は質問器66によって読み込まれ、パソコン34から公衆網23を介して版元のサーバー24で点数券の確認が行われ、正券で未使用であることが確認されると点数に対応する金額の書籍の販売が行われる。このとき、上記点数券に対応する金額が書籍の価格に満たない場合には、クレジットカードやプリペイドカード38または現金39などでの決済が行われる。また、点数券に対応する金額以下の価格の書籍の場合は、プリペイドカード38などに、差額に相当する点数が補充されるなどのサービスが可能である。プリペイドカードに補充された点数は版元サーバーの了解を得て金融機関のサーバー35から書店に補充がなされる。
【0042】
ここで、書店において書籍販売時点で書籍の無線タグの確認ができれば、書店のIDとともに無線タグ情報を公衆網を通して版元のサーバーに蓄積でき、書店にも情報が残される。また、書店で陳列中に点数券だけが抜き取られた場合は、換金時点で書店のパソコンあるいは他の店舗を介して版元のサーバーで確認がとれるため、点数券の不正使用は防止できる。また、書店での点数券の抜き取りは、棚卸し時に図11に示した処理を実施することでも確認できる。この結果を版元サーバーに問い合わせることで、書店店頭にて無くなった点数券の情報を確認でき、不正使用を防ぐことができる。本発明の点数券によるサービスを、一般の店舗、通信販売あるいはオンラインショッピングなどの決済においても利用可能にすることもできる。
【0043】
書店店頭にて点数券2が容易に持ち去られないようにする方策としては、図1から図9までの例で示しているようなミシン目による点数券の切り離しをなくし、ミシン目部分を切り取り用のガイドラインとすることで、書店店頭において容易に持ち去られることは少なくなると考えられる。
【0044】
図13は点数券の利用に関する別の例である。図13において図12の例と異なる点は、41のプリペイドカードあるいはポイントカード(会員カード)を用いる点である。23は公衆網、24は版元のサーバー、34はパソコン、35は金融機関などのサーバー、36は第1の点数券、37は第2の点数券、38はプリペイドカード、66は質問器である。図13は書籍の読者が書籍を購入して点数券を2枚得て、この2枚の点数券36、37をプリペイドカードあるいはポイントカード41に点数券の点数相当を蓄積する場合の例である。
【0045】
店舗のパソコン34より公衆網23を介して版元のサーバー24に点数券の確認が行われ、正券で未使用であることが確認されると券面相当の点数の補充がプリペイドカードあるいはポイントカード41に対して行われる。プリペイドカードあるいはポイントカード41に補充された点数は版元サーバーの了解を得て金融機関のサーバー35より店舗に補充がなされる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、書籍のカバー紙あるいは表紙にマイクロ波帯などを利用した無線タグを適用することにより書籍の流通における管理および書店店頭における在庫管理が遠隔点から無線タグ情報の読み込み、書き込みとして行うことができる。書籍が複数冊重なった場合でも複数の書籍を通して無線タグの読み取りが可能で、バーコードのように無線タグを直視する必要がない。
【0047】
当該無線タグを内蔵する背表紙の点数券部分を背表紙から切り離して金券として利用することで、書籍購入者が一般店舗における商品の売買におけるクレジットカードあるいはプリペイドカードの補完としても使用することができ、プリペイドカードに対して、点数の上積みとしても利用できる。点数券を切り取り方式にして、店頭にて陳列中に容易に切り離しができないようにすることで書店店頭からの不正持ち出しを抑止できる。
【0048】
また、一度金券として使われた点数券は書籍から切り離されるために点数券の有無での確認と複数の書籍のタグを一括してあるいは個別に読み込むなどして無線タグの情報を読み込み、当該情報を照合することで販売済みの書籍の確認ができるので、版元への返本の際に正規の返本の書籍の確認が容易かつ迅速にできる。
【0049】
この結果、点数券だけが不正に持ち去られることなく、版元における不正返本の書籍の発見が容易になり書籍に関する不正の抑止効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の書籍カバー表面の展開図。
【図2】本発明の一実施例の書籍カバーの裏面展開図。
【図3】本発明の一実施例の無線タグの構成を示す平面図と断面図。
【図4】本発明の一実施例の無線タグを内装する点数券の平面図と断面図。
【図5】本発明の一実施例の無線タグICチップを内装する点数券の平面図と断面図。
【図6】本発明の一実施例の無線タグICチップ実装部の平面図と断面図。
【図7】本発明の一実施例の無線タグICチップと点数券を示す平面図と断面図。
【図8】本発明の一実施例におけるカバー装着状態を示す書籍の斜視図。
【図9】本発明の一実施例におけるカバー装着状態を示す書籍の斜視図。
【図10】本発明の一実施例のシステム構成例を示す模式図。
【図11】本発明の一実施例のシステム構成例を示す模式図。
【図12】本発明の一実施例のシステム構成例を示す模式図。
【図13】本発明の一実施例のシステム構成例を示す模式図。
【図14】書籍販売と返本のルートを示す流れ図。
【図15】本発明の一実施例による書籍販売と返本のルートを示す流れ図。
【図16】不正返本の関係者相互の関係を時間軸で見た説明図。
【図17】不正返本の関係者相互の関係示す流れ図。
【符号の説明】
1…カバー、2…点数券、3…無線タグ、4、5、11、12、15…ミシン目あるいは切取線、6…アンテナ導体、7無線タグICチップ、8…インピーダンス整合線路、9…カバーコート、10…誘電体基板、13…無線タグICチップ、14…台紙、16…接着層、17…台紙、18…書籍、19…裏表紙、20…書籍、21、29、30、32…質問器、22、25、」26、31、34…パソコン、23…公衆網、24…サーバー、27…携帯電話、28…携帯端末、33…制御線、35…サーバー、36、37…点数券、38…クレジットカード、39…現金、40…書籍、41…プリペイドカード。
Claims (10)
- 書籍の表紙および裏表紙の内側に一部が折り込まれて、書籍の表紙および裏表紙を覆うカバー紙を備え、上記カバー紙の一部に点数券の領域を設け、上記領域内に無線タグを取り付けた書籍であって、
上記無線タグには、外部からの電磁波を電力源として動作する電源回路、論理回路、発信回路およびメモリ部を有し、上記メモリ部に、点数券の券面表記の点数情報および書籍の管理情報が記憶されていることを特徴とする書籍。 - 書籍の表紙および裏表紙を構成し、上記表紙または裏表紙の内側に折り返し部を有するカバー紙の、上記折り返し部の一部に点数券の領域を設け、上記領域内に無線タグを取り付けた書籍であって、
上記無線タグには、外部からの電磁波を電力源として動作する電源回路、論理回路、発信回路およびメモリ部を有し、上記メモリ部に、点数券の券面表記の点数情報および書籍の管理情報が記憶されていることを特徴とする書籍。 - 請求項1または2において、無線タグがカバー紙のいずれか一方の面に張り付ける構造で設けられていることを特徴とする書籍。
- 請求項1または2において、無線タグがカバー紙の紙の内部に埋め込まれるように実装されていることを特徴とする書籍。
- 請求項1または2において、無線タグがカバー紙の折り込み部分に貼付あるいは内装されていることを特徴とする書籍。
- 請求項1ないし5のいずれかにおいて、上記無線タグが放射型のアンテナを持つ無線タグであることを特徴とする書籍。
- 請求項1ないし5のいずれかにおいて、上記無線タグが二次側同調回路を設けた無線タグICチップからなることを特徴とする書籍。
- 書籍の表紙あるいは裏表紙の内側に一部が折り込まれる部分を有し、書籍の表紙および裏表紙を覆うか、もしくはそれ自体が表紙または裏表紙を構成するカバー紙カバー紙の、上記折り返し部の一部に無線タグを貼付あるいは内装した点数券の領域を設け、書籍の購入者が上記点数券の領域にあらかじめ設けられたミシン目あるいは切取線に沿って点数券を切り離し、一般の店舗や通信販売、オンラインショッピングなどの買い物の支払いにおいて提示することで、上記購入者に点数券の券面点数に応じたサービスが提供され、上記点数券のない書籍が返本された場合には、点数券がないことを目視や無線タグのデータが読出されないことから認識し、当該書籍が一度販売された書籍であることを確認することを特徴とする書籍の流通管理方法。
- 請求項8において、上記無線タグには外部からの電磁波の照射を受けて動作する電源回路、論理回路、発信回路およびメモリ部を有し、上記メモリ部に当該書籍の点数券に表記される点数の情報および書籍の店頭管理、蔵書管理、流通管理、製造管理のいずれかに所要の管理情報が記憶されていることを特徴とする書籍の流通管理方法。
- 請求項8記載の書籍の無線タグに記憶させた情報を管理する出版社または取次店サーバーと、上記点数券の券面記載の点数に応じたサービスを提供する店舗等に設置され、公衆網を介して上記サーバーに対するクライアントとなるコンピュータと、上記クライアントコンピュータに上記無線タグの記憶情報を供給する読み取り装置を用いることを特徴とす る書籍の流通管理方法。
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