JP4035458B2 - 多孔質体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質体の製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】
近年、機能性材料としての微細構造体への関心が高まっている。
こうした微細構造体の作製手法としては、フォトリソグラフィーなどの微細パターン形成技術を代表される半導体加工技術によって直接的に微細構造体を作製する手法が挙げられる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、上述の半導体加工技術とは別に、材料の自己組織化(self−organization)現象あるいは自己形成化現象を利用する手法がある。即ち、自然に形成される規則的な構造をべースに、新規な微細構造体を実現しようというものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−55545号公報(第3頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この自己組織化現象あるいは自己形成化現象を利用する手法では、ミクロンオーダーは勿論、ナノオーダーの構造体を実現できる可能性があるため、多くの研究が行われているものの、その手法は十分に確立されているとはいえず、新規な微細構造体の提供やその製造方法の確立が求められていた。
そこで、本発明の目的は、新規な多孔質体の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る多孔質体の製造方法は、多孔質体の製造方法であって、基板を用意する工程、該基板上に分散して配置されている柱状構造体と、該柱状構造体を取り囲む領域とを含み構成される膜をスパッタリング法により形成する工程、及び前記膜から前記柱状構造体を除去して多孔質体を形成する除去工程を有し、且つ前記柱状構造体は多結晶アルミニウムであり、前記領域は非晶質Si x Ge 1-x (0<x<1)で構成され、且つ前記膜には、前記Si x Ge 1-x が30atomic%以上60atomic%以下の割合で含まれるように該膜が形成されていることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、はじめに本発明に適用できる、基板上に分散して配置されている柱状構造体と、該柱状構造体を取り囲む領域とを含み構成される膜からなる構造体について説明する。
【0019】
(1)本発明に適用できる構造体
本発明に適用できる構造体は、第1の材料と第2の材料を含み構成される構造体であって、該第1の材料を含み構成される柱状の部材が、該第2の材料を含み構成される領域に取り囲まれており、且つ該構造体には該第2の材料が、該第1の材料と第2の材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれていることを特徴とする。この構造体から、上記柱状の部材を除去することにより本発明に係る多孔質体が得られる。なお、大気中等酸素を含む雰囲気中に放置しておくと多孔質体を放置しておくと、多孔質体の表層部(膜表面や孔壁面)には酸化膜が形成されやすい。
【0020】
上記割合は、構造体を構成する前記第1の材料と第2の材料の全量に対する前記第2の材料の割合のことであり、好ましくは25atomic%以上65atomic%以下、より好ましくは30atomic%以上60atomic%以下である。
【0021】
なお、実質的に柱状形状が実現していればよく、例えば柱状部材の成分として第2の材料が含まれていてもよいし、前記領域に第1の材料(後述するように例えばアルミニウム)が含まれていてもよい。また、上記柱状の部材やその周囲の領域に酸素、アルゴンなどが含まれていてもよい。
【0022】
上記割合は例えば誘導結合型プラズマ発光分析法で定量分析することにより得られる。atomic%を単位として用いているが、wt%を単位として用いる場合には、20atomic%以上70Atomic%以下とは、20.65wt%以上70.84wt%以下となる(Alの原子量を26.982、Siの原子量を28.086として換算している)。
【0023】
第1の材料としては、AlやAuやAgやMgなどが挙げられる。第2の材料としては、Si、Ge、Six Ge1-x あるいはCなどが挙げられる。特に第2の材料としては、非晶質となり得る材料であることが望ましい。第1及び第2の材料としては、両者の成分系相平衡図において、共晶点を有する材料(いわゆる共晶系の材料)であることが好ましい。特に共晶点が300℃以上好ましくは400℃以上であるのがよい。共析系の材料を用いることもできる。なお、第1の材料と第2の材料として好ましい組み合わせとしては、第1の材料としてAlを用い、第2の材料としてSiを用いる形態、第1の材料としてAlを用い、第2の材料としてGeを用いる形態、あるいは第1の材料としてAlを用い、第2の材料としてSix Ge1-x (0<x<1)を用いるのが好ましい。なお、前記多孔質体を構成する前記領域に含まれる第1の材料(例えばアルミニウム)の割合としては、1atomic%以上20atomic%以下であることが好ましい。上記割合は、第1の材料がアルミニウムで第2の材料がシリコンの場合には、Si多孔質体中に含まれるアルミニウムの割合のことである。当該割合には、多孔質体中に含まれる酸素量は除いている。
【0024】
前記柱状の部材を取り囲む領域は、非晶質であることが望ましい。
前記柱状の部材の平面形状としては円形あるいは楕円形状である。
【0025】
前記構造体には、前記第2の材料を含み構成されるマトリックス中に複数の前記柱状の部材が分散していることになる。柱状の部材の径(平面形状が円の場合は直径)は、主として前記構造体の組成(即ち、前記第2の材料の割合)に応じて制御可能であるが、その平均径は、0.5nm以上50nm以下、好ましくは0.5nm以上20nm以下、さらに好ましくは0.5nm以上10nm以下である。ここでいう径とは図1(b)における2rである。なお、楕円等の場合は、最も長い外径部が、上記範囲内であればよい。ここで平均径とは、例えば、実際のSEM写真(約100nm×100nmの範囲)で観察される柱状の部分を、その写真から直接、あるいはコンピュータで画像処理して、導出される値である。なお、上記構造体をどのようなデバイスに用いるか、あるいはどのような処理を行うかにもよるが、平均径の下限としては1nm以上、あるいは数nm以上であることが実用的な下限値である。
【0026】
また、複数の柱状の部材間の中心間距離2R(図1(b))は、2nm以上30nm以下、好ましくは5nm以上20nm以下、更に好ましくは5nm以上15nm以下である。勿論、中心間距離の下限として上記2Rは柱状の部材どうしが接触しない間隔は最低限備えている必要がある。
上記した孔径としては、20nm以下であって、孔同士の中心間距離は30nm以下であることが好適である。
【0027】
前記構造体は、膜状の構造体であることが好ましく、かかる場合、前記柱状の部材は膜の面内方向に対して略垂直になるように前記第2の材料を含み構成されるマトリックス中に分散していることになる。膜状構造体の膜厚としては、特に限定されるものではないが、1nm〜100μmの範囲で適用できる。プロセス時間等を考慮してより現実的な膜厚としては、1nm〜1μm程度である。特に300nm以上の膜厚でも柱状構造が維持されていることが好ましい。また、柱状の部材は厚さ方向に対して、実質的に分岐を持たない柱状構造である。
【0028】
前記構造体は膜状の構造体であることが好ましく、基板上に当該構造体が設けられていてもよい。基板としては、特に限定されるものではないが、石英ガラスなどの絶縁性基板、シリコン基板、ガリウム砒素、あるいはインジウム燐などの半導体基板、アルミニウムなどの金属基板あるいは支持部材としての基板上に上記構造体が形成できるのであれば、フレキシブル基板(例えばポリイミド樹脂など)も用いることができる。前記柱状の部材は基板に対して略垂直に形成されている。
【0029】
前記構造体は、非平衡状態で成膜する方法を利用して作製することができる。当該成膜方法としては、スパッタリング法が好ましいが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着(EB蒸着)、イオンプレーティング法をはじめとする任意の非平衡状態で物質を形成する成膜法が適用可能である。スパッタリング法で行う場合には、マグネトロンスパッタリング、RFスパッタリング、ECRスパッタリング、DCスパッタリング法を用いることができる。スパッタリング法で行う場合は、アルゴンガス雰囲気中で反応装置内の圧力を0.2から1Pa程度にして成膜を行うことが可能である。スパッタリングの際には、ターゲット原料として前記第1の材料と第2の材料をそれぞれ別途用意しても良いが、予め所望の割合で第1の材料と第2の材料が焼成されたターゲット材料を用いてもよい。なお、スパッタリング法の中でも、前記構造体が成長する基板に、プラズマが実質的に接しない状態でスパッタリングを行うことも好ましい。
【0030】
基板上に形成される前記構造体は、基板温度を20℃以上300℃以下、好ましくは20℃以上200℃以下、さらに好ましくは100℃以上150℃以下で形成されることが好ましい。
【0031】
前記構造体から前記柱状の部材を除去(ウェットエッチングあるいはドライエッチングなど)することにより複数の柱状の孔を有する多孔質体が形成される。エッチングには、柱状の部材を選択的に除去できればよく、エッチング液としては例えば、燐酸、硫酸、塩酸、硝酸などの酸が好適である。当該除去により形成される多孔質体の孔は、互いに連結せず独立していることが好適である。また、形成される複数の細孔においては、深さ方向が同一である。
【0032】
なお、当該多孔質体が酸素を含む雰囲気中(液体中、あるいは気体中)に晒されている場合は、孔壁面に酸化膜が形成されやすい。従って、多孔質の孔壁面に積極的に酸化膜を形成してもよい。
【0033】
(2)次に、本発明に適用できる構造体における第1の材料(第1の材料は、柱状の部材を構成する。)と第2の材料(第2の材料は、柱状の部材を取り囲む領域を構成する。)の割合について説明する。
本発明に記載の多孔質体が提供できるようになったのは、本発明者らの鋭意努力により以下に説明する構造体が得られたからである。
【0034】
ガラス基板11上に、RFマグネトロンスパッタリング法を用いて、シリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して55atomic%含んだアルミニウムシリコン混合膜を約200nm形成する。ターゲットには、図5に示すように、4インチのアルミニウムターゲット上に15mm角のシリコンチップ13を8枚おいたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:1kWとした。また、基板温度は室温とした。
【0035】
なお、ここではターゲット12として、アルミニウムターゲット上にシリコンチップ13を8枚置いたものを用いたが、シリコンチップの枚数はこれに限定されるものではなく、スパッタ条件により変化し、アルミニウムシリコン混合膜の組成が約55atomic%近辺になれば良い。また、ターゲットはアルミニウムターゲット上にシリコンチップを置いたものに限定したものではなく、シリコンターゲット上にアルミニウムチップを置いたものでも良いし、シリコンとアルミニウムの粉末を焼結したターゲットを用いても良い。
【0036】
次に、このようにして得られたアルミニウムシリコン混合膜をICP(誘導結合型プラズマ発光分析)にて、シリコンのアルミニウムとシリコンの全量に対する分量(atomic%)を分析した。その結果、シリコンのアルミニウムとシリコンの全量に対する分量は約55atomic%であった。なお、ここでは測定の都合上、基板として、カーボン基板上に堆積したアルミニウムシリコン混合膜を用いた。
【0037】
FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、アルミニウムシリコン混合膜を観察した。シリコンに囲まれた円形のアルミニウムナノ構造体が二次元的に配列していた。アルミニウムナノ構造体部分の孔径は3nmであり、その平均中心間間隔は7nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、高さは200nmであり、それぞれのアルミニウムナノ構造体部分はお互いに独立していた。
【0038】
また、X線回折法でこの試料を観察した所、結晶性を示すシリコンのピークは確認できず、シリコンは非晶質であった。なお、アルミニウムの結晶性を示すピークが複数確認でき、少なくともアルミニウムの一部は多結晶であることが示された。
【0039】
従って、シリコンに周囲を囲まれた間隔2Rが7nm、径2rが3nm、高さLが200nmのアルミニウム細線を含んだアルミニウムシリコンナノ構造体を作製することができた。
【0040】
このように、アルミニウムシリコン混合膜をスパッタ法などの非平衡状態で物質を形成する成膜法で形成することで、基板表面上のシリコンマトリックス内に数nmスケールのアルミニウム量子ドットあるいはアルミニウム量子細線などのアルミニウムナノ構造体を有するアルミニウムシリコンナノ構造体を形成することを、本発明者らは見出した。
【0041】
(比較例)
また、比較試料Aとして、ガラス基板上に、スパッタ法を用いて、シリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して15atomic%含んだアルミニウムシリコン混合膜を約200nm形成した。ターゲットには、4インチのアルミニウムターゲット上に15mm角のシリコンチップ13を2枚おいたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:1kWとした。また、基板温度は室温とした。
【0042】
FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、比較試料Aを観察した。基板真上方向から見た表面の形状は、アルミニウム部分は円形状にはなっておらず、アルミニウムが連続的に繋がった形状になっていた。即ち、アルミニウムの柱状構造体がシリコン領域内に均質に分散した微細構造体となっていなかった。さらに、その大きさは10nmを遥かに超えていた。また、断面をFE−SEMにて観察した所、アルミニウム部分の幅は15nmを超えていた。なお、このようにして得られたアルミニウムシリコン混合膜をICP(誘導結合型プラズマ発光分析)にて、シリコンのアルミニウムとシリコンの全量に対する分量(atomic%)を分析した。その結果、シリコンのアルミニウムとシリコンの全量に対する分量は約15atmic%であった。
【0043】
さらに、比較試料Bとして、ガラス基板上に、スパッタ法を用いて、シリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して75atomic%含んだアルミニウムシリコン混合膜を約200nm形成した。ターゲットには、4インチのアルミニウムターゲット上に15mm角のシリコンチップ13を14枚おいたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:1kWとした。また、基板温度は室温とした。
【0044】
FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、比較試料Bを観察した。基板真上方向から見た試料表面には、アルミニウム部分を観察することができなかった。また、断面をFE−SEMにて観察しても、明確にアルミニウム部分を観察することができなかった。なお、このようにして得られたアルミニウムシリコン混合膜をICP(誘導結合型プラズマ発光分析)にて、シリコンのアルミニウムとシリコンの全量に対する分量(atomic%)を分析した。その結果、シリコンのアルミニウムとシリコンの全量に対する分量は約75atomic%であった。
【0045】
また、比較試料Aを作製した場合と、シリコンチップの枚数の条件のみを変え、アルミニウムシリコン混合体の全量に対するシリコンの割合が、20atomic%、35atomic%、50atomic%、60atomic%、70atomic%である試料を作製した。アルミニウムの柱状構造体がシリコン領域内に分散した微細構造体となっている場合を○、なっていない場合を×としたものを以下に示す。なお、柱状構造体の均一性という点では、シリコンの割合が30以上60atomic%であることが好ましい。また、シリコンの割合が65や70atomic%の場合は、アルミニウムの結晶性が低く、アモルファス状態に近くなっていた。
【0046】
【表1】
Figure 0004035458
【0047】
このように、アルミニウムとシリコンの全量に対するシリコン含有量を、20atomic%以上70atomic%以下に調整することで、アルミニウムの柱状構造体がシリコン領域内に分散した構造体が実現できる。アルミニウムとシリコンの組成を変化させることで、柱状構造体の孔径の制御が可能であり、また、直線性に優れたアルミニウム細線の作製が可能になる。なお、構造の確認には、SEMの他にもTEM(透過型電子顕微鏡)等を利用するのがよい。
【0048】
さらに、比較試料Cとして、ガラス基板上に、スパッタ法を用いて、シリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して55atomic%含んだアルミニウムシリコン混合膜を約200nm形成した。ターゲットには、4インチのアルミニウムターゲット上に15mm角のシリコンチップ13を8枚おいたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:1kWとした。また、基板温度は350℃とした。
【0049】
FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、比較試料Cを観察した。基板真上方向から見た試料表面には、大きなアルミニウムの塊が確認できた。また、エックス線回折測定により、シリコンが結晶化していることが確認された。つまり、柱状構造を有するアルミニウムナノ構造体を確認することができず、シリコン領域も非晶質ではなく結晶化していた。即ち、基板温度が高すぎると、より安定な状態に変化してしまうため、このようなアルミニウムナノ構造体を形成する膜成長ができていないと思われる。
【0050】
なお、柱状の部材が分散した構造体を得る為に、ターゲットの組成をAl:Si=55:45などに設定することも好ましい形態である。
【0051】
第1の材料としてアルミニウムを、第2の材料としてシリコンを用いた場合を説明したが、第1あるいは第2の材料として適用できる既述の材料を用いた場合も同様であった。
【0052】
以下、上記した構造体を利用した本発明の多孔質体及びその製造方法に関して説明する。
(3)本発明に係る多孔質体
本発明に係る多孔質体は、複数の柱状の孔とそれを取り囲む領域を備え、該領域はC、Si、Geあるいはこれらの組み合わせ材料を含み構成される非晶質領域であることを特徴とする。
【0053】
図1(a)において、1は複数の柱状の孔を、2はそれを取り囲む領域(例えば、C、Si、Geあるいはこれらの組み合わせ材料により形成される。)である。3は基板である。
図1(b)は、図1(a)の破線AA’に沿って多孔質体を切断したときの模式的断面図である。
【0054】
図1(b)に示すように、本発明によれば、実質的に分岐していない孔を有する多孔質体が得られる。同図からも明らかなように、細孔がお互いに独立し、かつ膜面(あるいは基板)に対して垂直又はほぼ垂直な細孔が得られる。
【0055】
本発明によれば、前記複数の孔同士の平均中心間距離(図1中の2R)が30nm以下にしたり、前記柱状の孔の平均径が20nm以下(図1中の2r)にすることができる。
【0056】
好ましくは、細孔の径2rは0.5〜15nmであり、その中心間距離の間隔2Rは5〜20nmである。また、長さLは0.5nm〜数μm、好ましくは2nm〜5μmの範囲である。ここで平均孔径とは、例えば、実際のSEM写真(約100nm×100nmの範囲)で観察される細孔部分をコンピュータで画像処理(抽出)して、その穴を楕円と仮定し画像解析して得られた長軸の平均のことを指している。
【0057】
また、本発明に係る多孔質体内の細孔は、図1(b)に示されるように、細孔と基板を直接つなげることができるが、これに限定されるものではなく、基板と細孔をつなげなくても良い。
【0058】
また、本発明に係る多孔質体を構成している領域2の組成は、第2の材料を主成分とするが、数から数十atomic%程度の他の元素、例えばアルミニウム(Al)、酸素(O)、アルゴン(Ar)などの各種の元素を含有してもよい。特に、柱状の細孔が存在する位置にアルミニウムなどの上述した第1の材料を含み構成される柱状の部材が存在していた場合は、多孔質体内にアルミニウム等が存在する。柱状の部材を構成していた第1の材料は、多孔質の孔壁面付近でその濃度は高く、孔壁内部では低くなる。即ち、多孔質体内の第1の材料は、面内方向に濃度分布を持つことになる。勿論、熱処理等によりアルミニウムなどの上記第1の材料の拡散を促せば、その濃度分布は減少する。
【0059】
なお、多孔質体は、孔壁面付近、その内部ともに非晶質構造をとる。
第2の材料とは、C、Si、SiGe、Geあるいはこれらの組み合わせ材料などである。
【0060】
また、本発明に係る多孔質体を構成している領域2の構造は、非晶質構造であり、細孔部分の基板上面からみた形状は、図1(a)のように、ほぼ円形のものでも良いし、また楕円形など任意の形状のものでもよい。
【0061】
また、本発明のシリコン多孔質体を構成している細孔部分の基板断面からみた形状は、図1(b)のように長方形形状でも良いし、正方形や台形など任意の形状のものでもよい。
また、前記複数の孔の深さ方向が実質的に同一であることが好ましい。なお、前記領域2には、アルミニウムが含まれていてもよい。
なお、本発明によれば、前記細孔の長さと孔径の比であるアスペクト比(長さ/孔径)を0.1〜10000にすることができる。
【0062】
また、本発明に係る多孔質体は、第1の材料と第2の材料を含み構成される構造体から該第1の材料を除去して得られる多孔質体であって、該構造体は、該第1の材料を含み構成される柱状の部材が、該第2の材料を含み構成される非晶質領域に取り囲まれている構造を有し、且つ該構造体には該第2の材料が、該第1の材料と第2の材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれていることを特徴とする。
【0063】
前記第1の材料は、例えばアルミニウムであり、前記第2の材料は、例えばSi、Ge、SiGe、Cあるいは、これらの組み合わせ材料である。
【0064】
本発明のシリコン多孔質体は、平均孔径が20nm以下であり、平均間隔が30nm以下である膜面に対して垂直またはほぼ垂直な細孔を有し、また、前記細孔は柱状径状をなしており、さらに、前記細孔の長さと孔径の比であるアスペクト比(長さ/孔径)が0.1〜10000であり、かつ前記細孔がシリコンを主成分とするシリコン領域で隔てられていることを特徴とする。
【0065】
図1は、本発明に係る多孔質体の一例を示す概略図であり、図1(a)は、細孔の平均孔径が20nm以下であり、かつ互いに隣接する該細孔の平均間隔が30nm以下であり、該細孔がお互いに独立し、かつ膜面に対して垂直またはほぼ垂直である模式的平面図である。また、図1(b)は、図1(a)の破線AA’に沿って多孔質体を切ったときの模式的断面図である。図1において、1は細孔(ナノホール)、2は領域、3は基板である。
【0066】
本発明に係る多孔質体は、細孔1と領域2により構成されていることを特徴とする。また、前記細孔は、図1(b)に示されているようにシ、お互いに分離されており、互に連結しないで独立しており、また、基板に対して垂直またはほぼ垂直に形成されている。
【0067】
また、本発明に係る多孔質体を構成している細孔の形状は、図1(b)に示されているように柱状形状である。また、細孔の孔径(膜面から見た細孔の平均孔径を示す)2rは20nm以下であり、細孔の間隔(膜面から見た細孔の平均中心間間隔を示す)2Rは30nm以下である。好ましくは、細孔の径2rは0.5〜15nmであり、その中心間距離の間隔2Rは5〜20nmである。また、長さLは0.5nm〜数μm、好ましくは2nm〜5μmの範囲である。ここで平均孔径とは、例えば、実際のSEM写真(約100nm×70nmの範囲)で観察される細孔部分をコンピュータで画像処理(抽出)して、その穴を楕円と仮定し画像解析して得られた長軸の平均のことを指している。
【0068】
また、多孔質体内の細孔は、図1(b)に示されるように、細孔と基板を直接つなげることができるが、これに限定されるものではなく、基板と細孔をつなげなくても良い。
【0069】
また、本発明の多孔質体を構成している領域の組成は、例えばシリコンを主成分とするが、数から数十atomic%程度の他の元素、例えばアルミニウム(Al)、酸素(O)、アルゴン(Ar)などの各種の元素を含有してもよい。
【0070】
また、本発明の多孔質体の構造は、非晶質であること。また、本発明のシリコン多孔質体を構成している細孔部分の基板上面からみた形状は、図1(a)のように、ほぼ円形のものでも良いし、また楕円形など任意の形状のものでもよい。
【0071】
また、本発明のシリコン多孔質体を構成している細孔部分の基板断面からみた形状は、図1(b)のように長方形形状でも良いし、正方形や台形など任意の形状のものでもよい。
また、細孔の長さと孔径の比であるアスペクト比(長さ/孔径)が0.1〜10000、好ましくは0.5〜1000の範囲である形状のものが望ましい。
以下、具体的に材料を特定し本発明を説明するが、本発明は、以下で説明する材料に限定されるものではない。
【0072】
(3−1)シリコン多孔質体
本発明に係るシリコン多孔質体は、柱状形状の細孔とそれを取り囲むシリコン領域を有するシリコン多孔質体であって、該細孔の平均孔径が20nm以下であり、且つ該細孔同士の平均間隔が30nm以下であることを特徴とする多孔質体である。
【0073】
前記多孔質体は、柱状形状の細孔とシリコンを含有するシリコン領域を有する膜状のシリコン多孔質体であって、前記細孔が膜面に対して垂直またはほぼ垂直に設けられ、細孔の平均孔径が20nm以下で、平均間隔が30nm以下で、細孔の長さと孔径の比であるアスペクト比(長さ/孔径)が0.1〜10000であり、かつ前記細孔が前記シリコンを主成分とするシリコン領域で隔てられているのが好ましい。上記シリコン領域の表面には酸化膜が形成されている場合がある。
【0074】
前記細孔の平均孔径が1〜15nmであり、かつ細孔の平均間隔が5〜20nmであるのが好ましい。
前記シリコン領域がシリコンを80atomic%以上含有するのが好ましい。当該割合には含有酸素量は除いている。
前記シリコン領域が少なくともシリコンとアルミニウムを含有するのが好ましい。
前記シリコンが非晶質シリコンであるのが好ましい。
【0075】
(3−2)ゲルマニウム多孔質体
本発明に係るゲルマニウム多孔質体は、柱状形状の細孔とそれを取り囲むゲルマニウム領域を有するゲルマニウム多孔質体であって、該細孔の平均孔径が20nm以下であり、且つ該細孔同士の平均間隔が30nm以下であることを特徴とする多孔質体である。
【0076】
前記多孔質体は、柱状形状の細孔とゲルマニウムを主成分とするゲルマニウム領域を有する膜状のゲルマニウム多孔質体であって、前記細孔が膜面に対して垂直またはほぼ垂直に設けられ、細孔の平均孔径が20nm以下で、平均間隔が30nm以下で、細孔の長さと孔径の比であるアスペクト比(長さ/孔径)が0.1〜10000であり、かつ前記細孔が前記ゲルマニウムを含有するゲルマニウム領域で隔てられているのが好ましい。
【0077】
前記細孔の平均孔径が1〜15nmであり、かつ細孔の平均間隔が5〜20nmであるのが好ましい。
前記ゲルマニウム領域がゲルマニウムを80atomic%以上含有するのが好ましい。当該割合には含有酸素量は除いている。
前記ゲルマニウム領域が少なくともゲルマニウムとアルミニウムを含有するのが好ましい。
前記ゲルマニウムが非晶質ゲルマニウムであるのが好ましい。
【0078】
(3−3)シリコンゲルマニウム多孔質体
本発明に係るシリコンゲルマニウム多孔質体は、柱状形状の細孔とそれを取り囲むシリコンゲルマニウム領域を有するシリコンゲルマニウム多孔質体であって、該細孔の平均孔径が20nm以下であり、且つ該細孔同士の平均間隔が30nm以下である多孔質体である。
【0079】
前記多孔質体は、柱状形状の細孔とシリコンゲルマニウムを含有するシリコンゲルマニウム領域を有する膜状の多孔質体であって、前記細孔が膜面に対して垂直またはほぼ垂直に設けられ、細孔の平均孔径が20nm以下で、平均間隔が30nm以下で、細孔の長さと孔径の比であるアスペクト比(長さ/孔径)が0.1〜10000であり、かつ前記細孔が前記シリコンゲルマニウムを主成分とするシリコンゲルマニウム領域で隔てられているのが好ましい。
【0080】
前記細孔の平均孔径が1〜15nmであり、かつ細孔の平均間隔が5〜20nmであるのが好ましい。
前記シリコンゲルマニウム領域内のシリコンとゲルマニウムの総量が80atomic%以上含有するのが好ましい。当該割合には含有酸素量は除いている。
前記シリコンゲルマニウム領域のシリコン(Si)とゲルマニウム(Ge)の組成の割合をSix Ge1-x としたとき、0<x<1の範囲であるのが好ましい。
前記シリコンゲルマニウムが非晶質シリコンゲルマニウムであるのが好ましい。
【0081】
(4)本発明に係る多孔質体の製造方法
本発明に係る多孔質体の製造方法は、第1の材料と第2の材料を含み構成される構造体であって、該第1の材料を含み構成される柱状の部材が、該第2の材料を含み構成される領域に取り囲まれている構造体を用意する工程(図2(a))、該構造体から該柱状の部材を除去する工程(図2(b))を有することを特徴とする。図2において、21は第1の材料を含み構成される柱状の部材、24は柱状の部材を取り囲む領域、22は基板、23は構造体、25は多孔質体、26は孔である。
【0082】
ここで、該構造体には該第2の材料が、該第1の材料と第2の材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれているのがよい。但し、基板に垂直方向に並んだ柱状構造体が、前記領域中に分散している構造体が得られているのであれば上記割合に限定されるものではない。本発明においては、前記構造体が、当該構造体から選択的に前記柱状構造体を除去できる材料の組み合わせにより得られている点が重要である。
【0083】
図2(b)に示すように、細孔形成後、必要に応じて当該細孔を拡大させることもできる(図2(c))。
前記第1の材料としては、例えばアルミニウムや金を、前記第2の材料としては、例えばSi、SiGe,Ge,C、あるいはこれらの組み合わせ材料を用いることができる。勿論、複数種類の材料を組み合わせてもよい。以下の説明においても同様である。
【0084】
図3において、本発明に係る多孔質体の製造方法は、下記の(a)工程〜(c)工程を有することを特徴とする。
(a)工程:第1の材料(例えばアルミニウム)と第2の材料(例えばシリコン)を用意する(図3(a))。
【0085】
(b)工程:次に、前記2つの材料を非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、基板上に成膜する(図3(b))。当該成膜により得られる構造体は、前記第1の材料を含む柱状の部材と、前記第2の材料により構成され、該柱状の部材を取り囲む領域とを有する。第1の材料と第2の材料の全量に対して、第2の材料を20〜70atomic%の割合で含有するように成膜することで、柱状の部材が分散した構造体が得られる。
【0086】
(c)工程:次に、得られた構造体から柱状の部材を除去して細孔を形成する(図3(c))。第2の材料に比べて、第1の材料を溶かしやすい酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングを施すと、主として第1の材料により形成される柱状の部材が除去されて細孔が形成される。
【0087】
なお、上記柱状の部材のエッチングなどによる除去は、実質的に柱状の部材が選択的に除去されればよく、柱状の部材の深さ方向の長さ分すべてを除去する必要はない。
【0088】
また、上記(c)工程に引き続き、前記第2の材料を溶かす酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングを行なって、形成された細孔の孔径を広げる事も可能である。
【0089】
次に、本発明に係る多孔質体の製造方法を図面に基づいて説明する。
図4は本発明に係る多孔質体の製造方法の一例を示す説明図である。図4の(a)〜(d)の順に追って説明する。
以下の工程(a)〜(d)は、図4の(a)〜(d)に対応する。
【0090】
(a)工程:成膜装置内に第1の材料(例えばアルミニウム)と、第2の材料(例えばシリコン)を用意する。
原料としての第2の材料と第2の材料を、例えば、図5に示すように、第1の材料(例えば、アルミニウム)により構成されるターゲット(基板)12上に、第2の材料(例えばシリコン)により構成されるチップ13を配置する。
【0091】
(b)工程:構造体の形成
次に、基板22上に構造体23を成膜して形成する。ここでは、非平衡状態で物質を形成する成膜法として、スパッタリング法を用いた例を示す。
基板22上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、構造体23を形成する。構造体23は、第1の材料を主成分とする組成からなる柱状の部材21と、その周囲に配置され第2の材料を主成分とする領域24から構成される。
【0092】
図5を用いて、非平衡状態で成膜する方法として、スパッタリング法を用いて本発明に係る構造体を成膜する方法について説明する。
なお、図5において、11が基板、12が第1の材料を含むスパッタリングターゲットである。スパッタリング法を用いる場合は、第1の材料と第2の材料の割合を簡単に変化させることができる。
【0093】
図5に示したように、基板11上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、構造体を形成する。
原料としての第2の材料及び第1の材料は、図5のように第1の材料を含むターゲット基板12上に、第2の材料からなるチップ13を配することで達成される。チップは、図5では、複数に分けて配置しているが、勿論これに限定されるものではなく、所望の成膜が可能であれば、1つであっても良い。但し、柱状の部材を領域24内に均一に分散させるには、基板11に対象に配置しておくのがよい。
【0094】
また、所定量の第1の材料(例えばアルミニウム)と第2の材料(例えばシリコン)との粉末を焼成して作製した焼成物を成膜のターゲット材として用いることもできる。
また、例えばアルミニウムターゲットとシリコンターゲットを別々に用意し、同時に両方のターゲットをスパッタリングする方法を用いても良い。
【0095】
形成される膜中の第2の材料の量は、第1の材料と第2の材料の全量に対して20〜70atomic%であり、好ましくは25〜65atomic%、さらに好ましくは30〜60atomic%である。第2の材料の量が斯かる範囲内であれば、領域24内に柱状の部材が分散した構造体が得られる。
【0096】
上記割合を示すatomic%とは、第2の材料(例えばシリコン)と第1の材料(例えばアルミニウム)の原子の数の割合を示し、atom%あるいはat%とも記載され、例えば誘導結合型プラズマ発光分析法(ICP法)で構造体中の2つの材料の量を定量分析したときの値である。
【0097】
なお、上記割合においては、atomic%を単位として用いているが、wt%を単位として用いる場合は、シリコンが20atomic%以上70atomic%以下の場合は、20.65wt%以上70.84wt%以下となる(atomic%からwt%への換算は、Alの原子量を26.982、Siの原子量を28.086としてAlとSiの重量比を求め、(重量比)×(atomic%)の値からwt%に換算することができる。
【0098】
また、基板温度としては、300℃以下であり、好ましくは200℃以下であるのがよい。
【0099】
なお、このような方法で前記構造体を形成すると、第1の材料と第2の材料が準安定状態の共晶型組織となり、第1の材料が第2の材料により形成されるマトリックス内に数nmレベルのナノ構造体(柱状の部材)を形成し、自己組織的に分離する。そのときの柱状の部材はほぼ円柱状形状であり、その孔径は1〜20nmであり、間隔は5〜30nmである。
【0100】
構造体に含まれる第2の材料の量は、例えば第1の材料からなるターゲット上に置くチップの量を変えることで制御できる。
また、非平衡状態で成膜を行う場合、特にスパッタリング法の場合は、アルゴンガスを流したときの反応装置内の圧力は、0.2〜1Pa程度、あるいは0.1から1Pa程度が好ましい。また、プラズマを形成するための出力は4インチターゲットでは、150〜1000W程度が好ましい。しかし、特に、これに限定されるものではなく、アルゴンプラズマが安定に形成される圧力及び出力であればよい。
【0101】
基板としては、例えば石英ガラスやプラスチックをはじめとする絶縁体基板やシリコンやガリウム砒素をはじめとする半導体基板などの基板、金属基板、カーボン基板や、これらの基板の上に1層以上の膜を形成したものが挙げられる。なお、本発明に係る構造体の形成に不都合がなければ、基板の材質、厚さ、機械的強度などは特に限定されるものではない。また、基板の形状としては平滑な板状のものに限らず、曲面を有するもの、表面にある程度の凹凸や段差を有するものなどが挙げられるが、前記構造体に不都合がなければ、特に限定されるものではない。ポリイミド樹脂などを用いたフレキシブル基板も用いることができる。なお、シリコン基板の場合は、P型、N型、高抵抗あるいは低抵抗基板を用いることができる。
【0102】
非平衡状態で物質を形成する成膜法は、スパッタリング法が好ましいが抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着(EB蒸着)をはじめとする任意の非平衡状態で物質を形成する成膜法が適用可能である。なお、スパッタリング法の中でも、前記構造体が成長する基板に、プラズマが実質的に接しない状態でスパッタリングを行うことも好ましい。
【0103】
また、成膜する方法としては、第1の材料と第2の材料を同時に形成する同時成膜プロセスを用いても良いし、両材料を数原子層づつ積層する積層成膜プロセスを用いてもよい。
上記の様にして成膜された構造体23は、第1の材料を主成分とする組成からなる柱状の部材21と、その周囲の第2の材料を主成分とするシリコン領域24を備える。
【0104】
柱状の部材部21の組成は、第1の材料を主成分とするが、柱状構造の微細構造体が得られていれば、シリコン、酸素、アルゴン、などの他の元素を含有していてもよい。なお、主成分とは、例えば柱状の部材部の成分構成比においてアルミニウムの割合が80atomic%以上、好ましくは90atomic%以上が望ましい。当該割合には含有酸素量は除いている。
【0105】
また、柱状の部材の周囲を取り囲んでいる領域24の組成は、第2の材料を主成分とするが、柱状構造の微細構造体が得られていれば、アルミニウム、酸素、アルゴン、などの各種の元素を含有してもよい。なお、主成分とは、領域24の成分構成比において、例えば第2の材料の割合が80atomic%以上、あるいは90atomic%以上である。
【0106】
(c)工程:細孔形成工程
上記構造体中の柱状の部材を選択的に除去する。その結果、前記構造体には、細孔を有する領域24が残り、多孔質体25が形成される。
なお、シリコン多孔質体中の細孔は、間隔2Rが30nm以下、孔径2rが20nm以下であるが、好ましくは、細孔の孔径2rは1〜15nmであり、その間隔2Rは5〜20nmである。また、長さLは0.5nm〜数μm、好ましくは2nm〜1000nmの範囲である。
【0107】
エッチングに用いる溶液は、例えばアルミニウムを溶かしシリコンをほとんど溶解しない、りん酸、硫酸、塩酸、クロム酸溶液などの酸が挙げられるが、エッチングによる細孔形成に不都合がなければ水酸化ナトリウムなどのアルカリを用いることができ、特に酸の種類やアルカリの種類に限定されるものではない。また、数種類の酸溶液やあるいは数種類のアルカリ溶液を混合したものを用いてもかまわない。またエッチング条件は、例えば、溶液温度、濃度、時間などは、作製するシリコン多孔質体に応じて、適宜設定することができる。
【0108】
なお、上記工程により得られる多孔質体の孔壁には、酸化膜を形成することができる。本発明によれば、多孔質体全体を酸化物にするのではなく、孔壁の表面付近に選択的に酸化物にすることができる。
また、必要に応じて、以下の工程(d)を行なってもよい。
【0109】
(d)工程:細孔径の拡大工程:
さらに上記多孔質体に対して、第2の材料を溶解する酸溶液、例えばフッ化水素を薄めた溶液など、あるいはアルカリ溶液、例えば水酸化ナトリウムなど、の中に浸すポアワイド処理により、適宜、細孔径を広げることができる。この溶液も特に細孔の拡大に問題がなければどのような酸及びアルカリを用いてもよい。また、数種類の酸溶液やあるいは数種類のアルカリ溶液を混合したものを用いてもよい。
また細孔の孔径拡大(ポアワイド処理)条件は、例えば、溶液温度、濃度、時間などは、作製する細孔の大きさに応じて、適宜設定することができる。
【0110】
(4−1)シリコン多孔質体の製造方法
本発明に係るシリコン多孔質体の製造方法は、アルミニウムとシリコンを含み構成される構造体であって、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコン領域とを有し、アルミニウムとシリコンの全量に対してシリコンを20〜70atomic%の割合で含有するアルミニウムシリコン構造体を用意する工程、及び該アルミニウムシリコン構造体から該アルミニウムを含む柱状の部材を除去する工程を有することを特徴とする。
【0111】
前記多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとシリコンを用意する工程、(b)該アルミニウムとシリコンを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコン領域とを有し、アルミニウムとシリコンの全量に対してシリコンを20〜70atomic%の割合で含有するアルミニウムシリコン構造体を形成する工程、及び(c)該アルミニウムシリコン構造体のアルミニウムをエッチングし、細孔を形成する工程を有するのが好ましい。
前記エッチングが酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
【0112】
前記多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとシリコンを用意する工程、(b)該アルミニウムとシリコンを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコン領域とを有し、アルミニウムとシリコンの全量に対してシリコンを20〜70atomic%の割合で含有するアルミニウムシリコン構造体を形成する工程、(c)該アルミニウムシリコン構造体のアルミニウムをエッチングし、細孔を形成する工程、及び(d)該細孔の孔径を広げる工程を有するのが好ましい。
【0113】
前記細孔を広げる工程が酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
前記非平衡状態で物質を形成する成膜法がスパッタリング法であるのが好ましい。
【0114】
(4−2)ゲルマニウム多孔質体の製造方法
本発明に係るゲルマニウム多孔質体の製造方法は、アルミニウムとゲルマニウムを含み構成される構造体であって、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むゲルマニウム領域とを有し、アルミニウムとゲルマニウムの全量に対してゲルマニウムを20〜70atomic%の割合で含有するアルミニウムゲルマニウム構造体を用意する工程、及び該アルミニウムゲルマニウム構造体から該アルミニウムを含む柱状の部材を除去する工程を有することを特徴とする。
【0115】
前記多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとゲルマニウムを用意する工程、(b)該アルミニウムとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むゲルマニウム領域とを有し、アルミニウムとゲルマニウムの全量に対してゲルマニウムを20〜70atomic%の割合で含有するアルミニウムゲルマニウム構造体を形成する工程、及び(c)該アルミニウムゲルマニウム構造体のアルミニウムをエッチングし、細孔を形成する工程を有するのが好ましい。
【0116】
前記エッチングが酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
【0117】
前記多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとゲルマニウムを用意する工程、(b)該アルミニウムとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むゲルマニウム領域とを有し、アルミニウムとゲルマニウムの全量に対してゲルマニウムを20〜70atomic%の割合で含有するアルミニウムゲルマニウム構造体を形成する工程、(c)該アルミニウムゲルマニウム構造体のアルミニウムをエッチングし、細孔を形成する工程、及び(d)該細孔の孔径を広げる工程を有するのが好ましい。
【0118】
前記細孔を広げる工程が酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
前記非平衡状態で物質を形成する成膜法がスパッタリング法であるのが好ましい。
【0119】
(4−3)シリコンゲルマニウム多孔質体の製造方法
本発明に係るシリコンゲルマニウム多孔質体の製造方法は、アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを含み構成される構造体であって、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコンゲルマニウム領域とを有し、アルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対してシリコンとゲルマニウムの総量を20〜70atomic%の割合で含有するアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を用意する工程、及び該アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体から該アルミニウムを含む柱状の部材を除去する工程を有することを特徴とする。
【0120】
前記多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを用意する工程、(b)該アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコンゲルマニウム領域とを有し、アルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対してシリコンとゲルマニウムの総量を20〜70atomic%の割合で含有するアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を形成する工程、及び(c)該アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体のアルミニウムをエッチングし、細孔を形成する工程を有するのが好ましい。
【0121】
前記エッチングが酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
【0122】
前記多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを用意する工程、(b)該アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコンゲルマニウム領域とを有し、アルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対してシリコンとゲルマニウムの総量を20〜70atomic%の割合で含有するアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を形成する工程、及び(c)該アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体のアルミニウムをエッチングし、細孔を形成する工程、及び(d)該細孔の孔径を広げる工程を有するのが好ましい。
【0123】
前記細孔を広げる工程が酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
前記非平衡状態で物質を形成する成膜法がスパッタリング法であるのが好ましい。
【0124】
なお、上記のシリコンとアルミニウムとゲルマニウムの全量に対するシリコンとゲルマニウムの総量の割合とは、シリコンの量をSi、ゲルマニウムの量をGe、アルミニウムの量をAlとしたときに、(Si+Ge)/(Si+Ge+Al)×100で表される値のことである。つまり、Si+Ge+Alの合計を100atomic%としたときに、その中のSi+Geの割合である。
【0125】
(発明の経緯の説明)
本発明者らは、微細構造体に関して研究を進めていたところ、下記のような知見に至った。
【0126】
即ち、スパッタリング法などの非平衡状態で材料を形成する成膜方法により、基板上にアルミニウムの膜を形成する際に、シリコンを添加したところ所定条件下では自己形成的に柱状構造のアルミニウムがシリコンマトリックス内に形成される場合があることを見出したのである。そこで、本発明者らは上記知見に基づき鋭意研究を進め、本発明を成すに至ったものである。
【0127】
そこで、上記のように、アルミニウムシリコン構造体を形成する工程において、非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いた理由は、このような非平衡状態で物質を形成する成膜法で作製されたアルミニウムシリコン構造体は、アルミニウムとシリコンが準安定状態の共晶型組織となり、アルミニウムが数nmレベル程度の径を持ったナノ構造体(アルミニウムの柱状構造)を形成し、自己組織的に分離するからである。
【0128】
また、シリコンの量をアルミニウムとシリコンの全量に対して、20〜70atomic%含有したアルミニウムシリコン膜を形成する理由は、この範囲のみでアルミニウムが柱状形状をしたナノ構造体を形成するからである。つまり、シリコンの量がアルミニウムとシリコンの全量に対して20atomic%未満の場合は、アルミニウムを含む構造体の径あるいは大きさが20nmをこえて大きくなり、アルミニウムを含む柱状の部材を形成しない。一方、シリコンの量がアルミニウムとシリコンの全量に対して70atomic%を越える場合は、通常の電子顕微鏡ではアルミニウムを含む柱状の部材を確認できない。
【0129】
また、アルミニウムシリコン構造体において、りん酸や硫酸、塩酸を用いることで柱状構造をしたアルミニウムを含む柱状の部材のみを選択的に、エッチングすることができ、その結果シリコン内に細孔(ナノホール)を形成することができる。なお、前記エッチングが酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
【0130】
また、本発明にかかるシリコン多孔質体の製造方法は、非平衡状態で物質を形成する成膜法がスパッタリング法であることが望ましい。非平衡状態で物質を形成する成膜法をスパッタリング法で行うことで、真空蒸着法に比べて、アルミニウムとシリコンの組成比を維持しやすい。
【0131】
また、作製されたシリコン内の細孔(ナノホール)は、シリコンあるいは表面酸化シリコンを溶かす溶液に浸すことで、ナノホールの孔径を拡大することができる。前記細孔を広げる工程が酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
【0132】
なお、本発明において、アルミニウムを含む柱状の部材を「アルミニウム柱状部材」としても表わす。
【0133】
また、本発明に係るシリコン多孔質体は、柱状形状の細孔とそれを取り囲むシリコン領域を有するシリコン多孔質体であって、該細孔の平均孔径が0.5nm以上20nm以下であり、且つ該細孔同士の平均間隔が30nm以下であることを特徴とする。
上記平均孔径は、好ましくは0.5nm以上15nm以下である。
また、平均間隔は好ましくは20nm以下である。
【0134】
なお、本発明に至った経緯について、柱状構造を構成する第1の材料としてアルミニウムを、そして該柱状構造体を取り囲む第2の材料としてシリコンを用いて説明したが、既述の材料、例えば第2の材料として、CやSiGe、Geやこれらの組み合わせ材料を用いた場合も同様である。
【0135】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0136】
(実施例1)
本実施例は平均間隔2Rが8nmであり、平均孔径2rが5nmであり、長さLが200nmである細孔を有するシリコン多孔質体を形成した例を示す。
【0137】
図4(b)に示すように、ガラス基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、シリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して37atomic%含んだアルミニウムシリコン構造体を約200nmの厚さに形成した。ターゲットには、直径が4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムターゲット上に、15mm角のシリコンチップを6枚置いたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:1kWとした。また、基板温度は室温(25℃)とした。
【0138】
なお、ここではターゲットとして、アルミニウムターゲット上にシリコンチップを6枚置いたものを用いたが、シリコンチップの枚数はこれに限定されるものではなく、スパッタ条件により変化し、アルミニウムシリコン構造体の組成がシリコン含有量約37atomic%近辺になれば良い。また、ターゲットはアルミニウムターゲット上にシリコンチップを置いたものに限定したものではなく、シリコンターゲット上にアルミニウムチップを置いたものでも良いし、シリコンとアルミニウムを焼結したターゲットを用いても良い。
【0139】
なお、FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、アルミニウムシリコン構造体を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図4(b)のように、シリコン領域に囲まれた円形のアルミニウムを含む柱状の部材が二次元的に配列していた。アルミニウムを含む柱状の部材部分の孔径は5nmであり、その平均中心間間隔は8nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さは200nmであり、それぞれのアルミニウムを含む柱状の部材はお互いに独立していた。
【0140】
このようなシリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して37atomic%含んだアルミニウムシリコン構造体を濃硫酸98%溶液中にて24時間浸し、アルミニウム柱状構造部分のみを選択的にエッチングして細孔を形成した。この結果、シリコン多孔質体が作製された。
【0141】
次に、FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、濃硫酸エッチングしたアルミニウムシリコン構造体(シリコン多孔質体)を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図6のように、領域33に囲まれた細孔32が二次元的に配列していた。細孔の孔径2rは5nmであり、その平均間隔2Rは約8nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さLは200nmであり、それぞれの細孔部分はシリコンにより隔たれておりお互いに独立していた。また、細孔と基板の間には被膜の形成はなく、観察できず、直接つながっていた。
【0142】
なお、作製した試料をX線回折法で測定した所、シリコンは非晶質であった。シリコン領域中のシリコンとアルミニウムの全量に対するシリコンの含有量は、90atomic%程度であった。
なお、第2の材料としてシリコンを用いた場合を示したが、当該材料として炭素を用いる場合も上記方法を適用できる。
【0143】
(実施例2)
本実施例は平均間隔2Rが7nmであり、平均孔径2rが5nmであり、長さLが200nmである細孔を有するシリコン多孔質体を形成した例を示す。
【0144】
図4(b)に示すように、ガラス基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、シリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して45atomic%含んだアルミニウムシリコン構造体を約200nmの厚さに形成した。ターゲットには、直径が4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムターゲット上に15mm角のシリコンチップを8枚置いたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:1kWとした。また、基板温度は室温とした。
【0145】
なお、ここではターゲットとして、アルミニウムターゲット上にシリコンチップを8枚置いたものを用いたが、シリコンチップの枚数はこれに限定されるものではなく、スパッタ条件により変化し、アルミニウムシリコン構造体の組成がシリコン含有量約45atomic%近辺になれば良い。また、ターゲットはアルミニウムターゲット上にシリコンチップを置いたものに限定したものではなく、シリコンターゲット上にアルミニウムチップを置いたものでも良いし、シリコンとアルミニウムを焼結したターゲットを用いても良い。
【0146】
また、FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、アルミニウムシリコン構造体を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図4(b)のように、シリコン領域に囲まれた円形のアルミニウム柱状構造が二次元的に配列していた。アルミニウム部分の平均孔径は約3nmであり、その平均間隔は約7nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さは200nmであり、それぞれのアルミニウム柱状構造部分はお互いに独立していた。
【0147】
このようなシリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して45atomic%含んだアルミニウムシリコン構造体を濃硫酸98%中にて24時間浸し、アルミニウム柱状構造部分のみを選択的にエッチングして細孔を形成した。この結果、シリコン多孔質体が作製された。
【0148】
また、作製されてシリコン多孔質体をFE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図4(c)のように、シリコンに囲まれた細孔が二次元的に配列していた。細孔部分の平均孔径は約3nmであり、その平均間隔は約7nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さは200nmであり、それぞれの細孔部分はお互いに独立していた。
【0149】
次に、細孔の孔径を拡大するために、25℃に保った水酸化ナトリウム1mol/l中に30分間浸し、孔径の拡大を行った。
【0150】
次に、孔径を拡大処理を行ったシリコン多孔質体をFE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図6のように、シリコン領域33に囲まれた細孔32が二次元的に配列していた。細孔の孔径2rは5nmであり、その平均間隔2Rは7nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さLは200nmであり、それぞれの細孔部分はシリコンにより隔たれておりお互いに独立していた。また、細孔と基板の間には被膜の形成はなく直接つながっていた。
【0151】
なお、作製した試料をX線回折法で測定した所、シリコンの結晶ピークは確認できず、シリコンは非晶質であった。シリコン領域中のアルミニウムとシリコンの全量に対するシリコンの含有量は、約90atomic%であった。
【0152】
(実施例3)
本実施例は平均間隔2Rが8nmであり、平均孔径2rが5nm、長さLが10nmである細孔を有するシリコン多孔質体を形成した例を示す。
【0153】
図4(b)に示すように、ガラス基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、シリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して37atomic%含んだアルミニウムシリコン構造体を約10nmの厚さに形成した。ターゲットには、直径が4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムターゲット上に15mm角のシリコンチップを6枚置いたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:1kWとした。また、基板温度は室温とした。
【0154】
なお、ここではターゲットとして、アルミニウムターゲット上にシリコンチップを6枚置いたものを用いたが、シリコンチップの枚数はこれに限定されるものではなく、スパッタ条件により変化し、アルミニウムシリコン構造体の組成がシリコン含有量約37atomic%近辺になれば良い。また、ターゲットはアルミニウムターゲット上にシリコンチップを置いたものに限定したものではなく、シリコンターゲット上にアルミニウムチップを置いたものでも良いし、シリコンとアルミニウムを焼結したターゲットを用いても良い。
【0155】
なお、FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、アルミニウムシリコン構造体を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図4(b)のように、シリコン領域に囲まれた円形のアルミニウムを含む柱状の部材が二次元的に配列していた。アルミニウムを含む柱状の部材の孔径は5nmであり、その平均中心間間隔は8nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さは10nmであり、それぞれのアルミニウム柱状部材はお互いに独立していた。
【0156】
このようなシリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して37atomic%含んだアルミニウムシリコン構造体を濃硫酸98%溶液中にて1時間浸し、アルミニウム柱状部材のみを選択的にエッチングして細孔を形成した。この結果、シリコン多孔質体が作製された。
【0157】
次に、FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、濃硫酸エッチングしたアルミニウムシリコン構造体(シリコン多孔質体)を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図6のように、シリコン領域33に囲まれた細孔32が二次元的に配列していた。細孔の孔径は5nmであり、その平均間隔は約8nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さは10nmであり、それぞれの細孔部分はシリコン領域により隔たれており互いに独立していた。また、細孔と基板の間には被膜の形成はなく直接つながっていた。
【0158】
なお、X線回折法で作製した試料を測定した所、シリコンの結晶ピークは確認できず、シリコンは非晶質であった。シリコン領域中のシリコンとアルミニウムの全量に対するシリコンの含有量は、約90atomic%であった。
【0159】
上記の各実施例に示した様に、本発明は、非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコン領域とを有し、アルミニウムに対してシリコンを20atomic%以上、70atomic%以下を含有するアルミニウムシリコン構造体を形成し、アルミニウムシリコン構造体中のアルミニウムを含む柱状の部材部分のみを選択的にエッチングすることにより、平均孔径が20nm以下、平均間隔が30nm以下のシリコン領域により互いに分離された細孔を有するシリコン多孔質体を形成できる。
【0160】
また、アルミニウムとシリコンの全量に対するシリコン含有量を調整することで、細孔の大きさ、間隔の制御が可能であり、基板に対して垂直またはほぼ垂直な細孔を大面積に配置したシリコン多孔質体を作製することが可能になる。
【0161】
(実施例4)
本実施例は平均間隔2Rが15nmであり、平均孔径2rが10nmであり、長さLが200nmである細孔を有するゲルマニウム多孔質体を形成した例を示す。
【0162】
図4(b)に示すように、ガラス基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、ゲルマニウムをアルミニウムとゲルマニウムの全量に対して37atomic%含んだアルミニウムゲルマニウム構造体を約200nmの厚さに形成した。ターゲットには、直径が4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムターゲット上に、15mm角のゲルマニウムチップを4枚置いたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:300Wとした。また、基板温度は室温(25℃)とした。
【0163】
なお、ここではターゲットとして、アルミニウムターゲット上にゲルマニウムチップを4枚置いたものを用いたが、ゲルマニウムチップの枚数はこれに限定されるものではなく、スパッタ条件により変化し、アルミニウムゲルマニウム構造体の組成がゲルマニウム含有量約37atomic%近辺になれば良い。また、ターゲットはアルミニウムターゲット上にゲルマニウムチップを置いたものに限定したものではなく、ゲルマニウムターゲット上にアルミニウムチップを置いたものでも良いし、ゲルマニウムとアルミニウムの粉末を焼結したターゲットを用いても良い。
【0164】
なお、FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、アルミニウムゲルマニウム構造体を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図4(b)のように、ゲルマニウム領域に囲まれた断面がほぼ円形のアルミニウムを含む柱状の部材が二次元的に配列していた。アルミニウムを含む柱状の部材部分の孔径は10nmであり、その平均中心間間隔は15nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さは200nmであり、それぞれのアルミニウムを含む柱状の部材はお互いに独立していた。
【0165】
このようなゲルマニウムをアルミニウムとゲルマニウムの全量に対して37atomic%含んだアルミニウムゲルマニウム構造体を濃硫酸98%溶液中にて24時間浸し、アルミニウム柱状構造部分のみを選択的にエッチングして細孔を形成した。この結果、ゲルマニウム多孔質体が作製された。
【0166】
次に、FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、濃硫酸エッチングしたアルミニウムゲルマニウム構造体(ゲルマニウム多孔質体)を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図6のように、ゲルマニウム領域33に囲まれた細孔32が二次元的に配列していた。細孔の孔径2rは10nmであり、その平均間隔2Rは約15nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さLは200nmであり、それぞれの細孔部分はゲルマニウムにより隔たれておりお互いに独立していた。
【0167】
なお、作製した試料をX線回折法で測定した所、ゲルマニウムは非晶質であった。ゲルマニウム領域中のゲルマニウムとアルミニウムに対するゲルマニウムの含有量は、約90atomic%程度であった。
【0168】
(実施例5)
本実施例は平均間隔2Rが15nmであり、平均孔径2rが12nmであり、長さLが200nmである細孔を有するゲルマニウム多孔質体を形成した例を示す。
【0169】
図4(b)に示すように、ガラス基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、ゲルマニウムをアルミニウムとゲルマニウムの全量に対して37atomic%含んだアルミニウムゲルマニウム構造体を約200nmの厚さに形成した。ターゲットには、直径が4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムターゲット上に15mm角のゲルマニウムチップを4枚置いたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7PaA投入電力:300Wとした。また、基板温度は室温とした。
【0170】
なお、ここではターゲットとして、アルミニウムターゲット上にゲルマニウムチップを4枚置いたものを用いたが、ゲルマニウムチップの枚数はこれに限定されるものではなく、スパッタ条件により変化し、アルミニウムゲルマニウム構造体の組成がゲルマニウム含有量約37atomic%近辺になれば良い。また、ターゲットはアルミニウムターゲット上にゲルマニウムチップを置いたものに限定したものではなく、ゲルマニウムターゲット上にアルミニウムチップを置いたものでも良いし、ゲルマニウムとアルミニウムを焼結したターゲットを用いても良い。
【0171】
また、FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、アルミニウムゲルマニウム構造体を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図12(b)のように、ゲルマニウム領域に囲まれた円形のアルミニウム柱状構造が二次元的に配列していた。アルミニウム部分の平均孔径は約10nmであり、その平均間隔は約15nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さは200nmであり、それぞれのアルミニウム柱状構造部分はお互いに独立していた。
【0172】
このようなゲルマニウムをアルミニウムとゲルマニウムの全量に対して37atomic%含んだアルミニウムゲルマニウム構造体を濃硫酸98%中にて24時間浸し、アルミニウム柱状構造部分のみを選択的にエッチングして細孔を形成した。この結果、ゲルマニウム多孔質体が作製された。
【0173】
また、作製されてゲルマニウム多孔質体をFE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図4(c)のように、ゲルマニウムに囲まれた細孔が二次元的に配列していた。細孔部分の平均孔径は約10nmであり、その平均間隔は約15nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さは200nmであり、それぞれの細孔部分はお互いに独立していた。
【0174】
次に、細孔の孔径を拡大するために、25℃に保った水酸化ナトリウム1mol/l中に15分間浸し、孔径の拡大を行った。
次に、孔径を拡大処理を行ったゲルマニウム多孔質体をFE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図6のように、ゲルマニウム領域33に囲まれた細孔32が二次元的に配列していた。細孔の孔径2rは12nmであり、その平均間隔2Rは15nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さLは200nmであり、それぞれの細孔部分はゲルマニウムにより隔たれておりお互いに独立していた。
【0175】
なお、作製した試料をX線回折法で測定した所、ゲルマニウムの結晶を示すピークは確認できず、ゲルマニウムは非晶質であった。ゲルマニウム領域中のアルミニウムとゲルマニウムの全量に対するゲルマニウムの含有量は、約90atomic%であった。
【0176】
(実施例6)
本実施例は平均間隔2Rが15nmであり、平均孔径2rが10nm、長さLが10nmである細孔を有するゲルマニウム多孔質体を形成した例を示す。
【0177】
図4(b)に示すように、ガラス基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、ゲルマニウムをアルミニウムとゲルマニウムの全量に対して30atomic%含んだアルミニウムゲルマニウム構造体を約10nmの厚さに形成した。ターゲットには、直径が4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムターゲット上に15mm角のゲルマニウムチップを3枚置いたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:300Wとした。また、基板温度は室温とした。
【0178】
なお、ここではターゲットとして、アルミニウムターゲット上にゲルマニウムチップを3枚置いたものを用いたが、ゲルマニウムチップの枚数はこれに限定されるものではなく、スパッタ条件により変化し、アルミニウムゲルマニウム構造体の組成がゲルマニウム含有量約30atomic%近辺になれば良い。また、ターゲットはアルミニウムターゲット上にゲルマニウムチップを置いたものに限定したものではなく、ゲルマニウムターゲット上にアルミニウムチップを置いたものでも良いし、ゲルマニウムとアルミニウムを焼結したターゲットを用いても良い。
【0179】
なお、FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、アルミニウムゲルマニウム構造体を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図4(b)のように、ゲルマニウム領域に囲まれた円形のアルミニウムを含む柱状の部材が二次元的に配列していた。アルミニウムナノ構造体部分の孔径は12nmであり、その平均中心間間隔は15nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さは10nmであり、それぞれのアルミニウム柱状構造部分はお互いに独立していた。
【0180】
このようなゲルマニウムをアルミニウムとゲルマニウムの全量に対して30atomic%含んだアルミニウムゲルマニウム構造体を濃硫酸98%溶液中にて12時間浸し、アルミニウム柱状構造部分のみを選択的にエッチングして細孔を形成した。この結果、ゲルマニウム多孔質体が作製された。
【0181】
次に、FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、りん酸エッチングしたアルミニウムゲルマニウム構造体(ゲルマニウム多孔質体)を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図6のように、ゲルマニウム領域33に囲まれた細孔32が二次元的に配列していた。細孔の孔径は12nmであり、その平均間隔は約15nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さは10nmであり、それぞれの細孔部分はゲルマニウム領域により隔たれており互いに独立していた。
【0182】
なお、X線回折法で作製した試料を測定した所、ゲルマニウムは非晶質であった。ゲルマニウム領域中のアルミニウムとゲルマニウムの全量に対するゲルマニウムの含有量は、約90atomic%であった。
【0183】
上記の各実施例に示した様に、本発明は、非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むゲルマニウム領域とを有し、アルミニウムに対してゲルマニウムを20atomic%以上、70atomic%以下含有するアルミニウムゲルマニウム構造体を形成し、アルミニウムゲルマニウム構造体中のアルミニウムを含む柱状の部材部分のみを選択的にエッチングすることにより、平均孔径が20nm以下、平均間隔が30nm以下のゲルマニウム領域により互いに分離された細孔を有するゲルマニウム多孔質体を形成できる。
【0184】
また、アルミニウムとゲルマニウムの全量に対するゲルマニウム含有量を調整することで、細孔の大きさ、間隔の制御が可能であり、基板に対して垂直またはほぼ垂直な細孔を大面積に配置したゲルマニウム多孔質体を作製することが可能になる。
【0185】
(実施例7)
本実施例は平均間隔2Rが10nmであり、平均孔径2rが7nmであり、長さLが200nmである細孔を有するシリコンゲルマニウム多孔質体を形成した例を示す。
【0186】
図4(b)に示すように、ガラス基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、シリコンとゲルマニウムの総量をアルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対して38atomic%含んだアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を約200nmの厚さに形成した。ターゲットには、直径が4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムターゲット上に、15mm角のゲルマニウムチップとシリコンチップを各々2枚置いたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:300Wとした。また、基板温度は室温(25℃)とした。
【0187】
なお、ここではターゲットとして、アルミニウムターゲット上にシリコンチップとゲルマニウムチップを各々2枚置いたものを用いたが、シリコンチップとゲルマニウムチップの枚数はこれに限定されるものではなく、スパッタ条件により変化し、アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体の組成がシリコンゲルマニウム含有量約38atomic%近辺になれば良い。また、ターゲットはアルミニウムターゲット上にシリコンチップ及びゲルマニウムチップを置いたものに限定したものではなく、シリコンターゲット上にゲルマニウムチップやアルミニウムチップを置いたものでも良いし、ゲルマニウムターゲット上にシリコンチップやアルミニウムチップを置いたものでも良いし、シリコンとゲルマニウムとアルミニウムの粉末を焼結したターゲットを用いても良い。
【0188】
なお、FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図4(b)のように、シリコンゲルマニウム領域に囲まれた断面がほぼ円形のアルミニウムを含む柱状の部材が二次元的に配列していた。アルミニウムを含む柱状の部材部分の孔径は7nmであり、その平均中心間間隔は10nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さは200nmであり、それぞれのアルミニウムを含む柱状の部材はお互いに独立していた。
【0189】
このようなシリコンとゲルマニウムの総量をアルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対して38atomic%含んだアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を濃硫酸98%溶液中にて24時間浸し、アルミニウム柱状構造部分のみを選択的にエッチングして細孔を形成した。この結果、シリコンゲルマニウム多孔質体が作製された。
【0190】
次に、FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、濃硫酸エッチングしたアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体(シリコンゲルマニウム多孔質体)を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図6のように、シリコンゲルマニウム領域33に囲まれた細孔32が二次元的に配列していた。細孔の孔径2rは7nmであり、その平均間隔2Rは約10nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さLは200nmであり、それぞれの細孔部分はシリコンとゲルマニウムの混合物により隔たれておりお互いに独立していた。
【0191】
なお、作製した試料をX線回折法で測定した所、シリコンゲルマニウム(シリコンとゲルマニウムの混合体)は非晶質であった。シリコンゲルマニウム領域中のシリコンとゲルマニウムとアルミニウムの全量に対するシリコンとゲルマニウムの合計の含有量は、約90atomic%程度であった。
【0192】
(実施例8)
本実施例は平均間隔2Rが10nmであり、平均孔径2rが8nmであり、長さLが200nmである細孔を有するシリコンゲルマニウム多孔質体を形成した例を示す。
【0193】
図4(b)に示すように、ガラス基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、シリコンとゲルマニウムの総量をアルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対して38atomic%含んだアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を約200nmの厚さに形成した。ターゲットには、直径が4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムターゲット上に15mm角のシリコンチップとゲルマニウムチップを各々2枚置いたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:300Wとした。また、基板温度は室温とした。
【0194】
なお、ここではターゲットとして、アルミニウムターゲット上にシリコンチップとゲルマニウムチップを各々2枚置いたものを用いたが、シリコン及びゲルマニウムチップの枚数はこれに限定されるものではなく、スパッタ条件により変化し、アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体の組成がシリコンゲルマニウム含有量約38atomic%近辺になれば良い。
【0195】
また、ターゲットはアルミニウムターゲット上にシリコンチップ及びゲルマニウムチップを置いたものに限定したものではなく、シリコンターゲット上にゲルマニウムチップやアルミニウムチップを置いたものでも良いし、ゲルマニウムターゲット上にシリコンチップやアルミニウムチップを置いたものでも良いし、シリコンとゲルマニウムとアルミニウムの粉末を焼結したターゲットを用いても良い。
【0196】
また、FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図4(b)のように、シリコンゲルマニウム領域に囲まれた円形のアルミニウム柱状構造が二次元的に配列していた。アルミニウム部分の平均孔径は約7nmであり、その平均間隔は約10nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さは200nmであり、それぞれのアルミニウム柱状構造部分はお互いに独立していた。
【0197】
このようなシリコンとゲルマニウムの総量をアルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対して38atomic%含んだアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を濃硫酸98%中にて24時間浸し、アルミニウム柱状構造部分のみを選択的にエッチングして細孔を形成した。この結果、シリコンゲルマニウム多孔質体が作製された。
【0198】
また、作製されてシリコンゲルマニウム多孔質体をFE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図4(c)のように、シリコンゲルマニウムに囲まれた細孔が二次元的に配列していた。細孔部分の平均孔径は約7nmであり、その平均間隔は約10nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さは200nmであり、それぞれの細孔部分はお互いに独立していた。
【0199】
次に、細孔の孔径を拡大するために、25℃に保った水酸化ナトリウム1mol/l中に10分間浸し、孔径の拡大を行った。
【0200】
次に、孔径を拡大処理を行ったシリコンゲルマニウム多孔質体をFE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図6のように、シリコンゲルマニウム領域33に囲まれた細孔32が二次元的に配列していた。細孔の孔径2rは8nmであり、その平均間隔2Rは10nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さLは200nmであり、それぞれの細孔部分はシリコンゲルマニウムにより隔たれておりお互いに独立していた。
【0201】
なお、作製した試料をX線回折法で測定した所、シリコンゲルマニウム(シリコンとゲルマニウムの混合物)は非晶質であった。シリコンゲルマニウム領域中のシリコンとゲルマニウムとアルミニウムの全量に対するシリコンとゲルマニウムの総量の含有量は、約90atomic%であった。
【0202】
(実施例9)
本実施例は平均間隔2Rが8nmであり、平均孔径2rが6nm、長さLが10nmである細孔を有するシリコンゲルマニウム多孔質体を形成した例を示す。
【0203】
図4(b)に示すように、ガラス基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、シリコンとゲルマニウムの総量をアルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対して33atomic%含んだアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を約10nmの厚さに形成した。ターゲットには、直径が4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムターゲット上に15mm角のシリコンチップを3枚、ゲルマニウムチップを1枚置いたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:300Wとした。また、基板温度は室温とした。
【0204】
なお、ここではターゲットとして、アルミニウムターゲット上にシリコンチップを3枚ゲルマニウムチップを1枚置いたものを用いたが、シリコン及びゲルマニウムチップの枚数はこれに限定されるものではなく、スパッタ条件により変化し、アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体の膜組成において、シリコンとゲルマニウムの総含有量が約33atomic%近辺になれば良い。
【0205】
また、ターゲットはアルミニウムターゲット上にシリコンチップ及びゲルマニウムチップを置いたものに限定したものではなく、シリコンターゲット上にゲルマニウムチップやアルミニウムチップを置いたものでも良いし、ゲルマニウムターゲット上にシリコンチップやアルミニウムチップを置いたものでも良いし、シリコンとゲルマニウムとアルミニウムの粉末を焼結したターゲットを用いても良い。
【0206】
なお、FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図4(b)のように、シリコンゲルマニウム領域に囲まれた円形のアルミニウムを含む柱状の部材が二次元的に配列していた。アルミニウムナノ構造体部分の孔径は6nmであり、その平均中心間間隔は10nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さは10nmであり、それぞれのアルミニウム柱状構造部分はお互いに独立していた。
【0207】
このようなシリコンとゲルマニウムの総量をアルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対して33atomic%含んだアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を濃硫酸98%溶液中にて1時間浸し、アルミニウム柱状構造部分のみを選択的にエッチングして細孔を形成した。この結果、シリコンゲルマニウム多孔質体が作製された。
【0208】
次に、FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、濃硫酸エッチングしたアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体(シリコンゲルマニウム多孔質体)を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図6のように、シリコンゲルマニウム領域33に囲まれた細孔32が二次元的に配列していた。細孔の孔径は6nmであり、その平均間隔は約8nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、長さは10nmであり、それぞれの細孔部分はシリコンゲルマニウム領域により隔たれており互いに独立していた。
【0209】
なお、X線回折法で作製した試料を測定した所、シリコンゲルマニウムは非晶質であった。シリコンゲルマニウム領域中のシリコンとゲルマニウムとアルミニウムの全量に対するシリコンとゲルマニウムの総含有量は、約90atomic%であった。
【0210】
上記の各実施例に示した様に、本発明は、非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコンゲルマニウム領域とを有し、アルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対してシリコンとゲルマニウムの総量を20atomic%以上、70atomic%以下含有するアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を形成し、アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体中のアルミニウムを含む柱状の部材部分のみを選択的にエッチングすることにより、平均孔径が20nm以下、平均間隔が30nm以下のシリコンゲルマニウム領域により互いに分離された細孔を有するシリコンゲルマニウム多孔質体を形成できる。
【0211】
また、アルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対するシリコンゲルマニウム含有量を調整することで、細孔の大きさ、間隔の制御が可能であり、基板に対して垂直またはほぼ垂直な細孔を大面積に配置したシリコンゲルマニウム多孔質体を作製することが可能になる。
【0212】
また、本発明は、シリコン、ゲルマニウムおよびシリコンゲルマニウム中の細孔をさまざまな形態で応用することを可能とするものであり、その応用範囲を著しく広げるものである。例えば、本発明のシリコン、ゲルマニウムおよびシリコンゲルマニウム多孔質体は、それ自体発光デバイス、光デバイス、マイクロデバイスなどの機能材料として使用可能である。さらなる新規なナノ構造体の母材、鋳型などとして用いることもできる。さらに、フィルター、エッチング用マスクなどとしても利用できる。
【0213】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、新規な多孔質体、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多孔質体の概略図である。
【図2】本発明に係る多孔質体の製造方法の一例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る多孔質体の製造方法の一例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る多孔質体の製造方法の一例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る構造体の成膜方法の一例を示す概略図である。
【図6】本発明に係る多孔質体を示す概略図である。
【符号の説明】
1 孔
2 孔を取り囲む領域
3 基板
11 基板
12 スパッタリングターゲット
13 第2の材料を含むチップ
14 Arプラズマ

Claims (8)

  1. 多孔質体の製造方法であって、基板を用意する工程、該基板上に分散して配置されている柱状構造体と、該柱状構造体を取り囲む領域とを含み構成される膜をスパッタリング法により形成する工程、及び前記膜から前記柱状構造体を除去して多孔質体を形成する除去工程を有し、且つ前記柱状構造体は多結晶アルミニウムであり、前記領域は非晶質Si x Ge 1-x (0<x<1)で構成され、且つ前記膜には、前記Si x Ge 1-x が30atomic%以上60atomic%以下の割合で含まれるように該膜が形成されていることを特徴とする多孔質体の製造方法。
  2. 前記膜の膜厚が、300nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質体の製造方法。
  3. 前記スパッタリング法がマグネトロンスパッタリング法である請求項1あるいは2に記載の多孔質体の製造方法。
  4. 前記スパッタリング法は、アルゴンガス雰囲気で、反応装置内の圧力を0.2Paから1Paの範囲にして行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の多孔質体の製造方法。
  5. 前記スパッタリング法は、基板温度を20℃以上300℃以下の範囲で行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の多孔質体の製造方法。
  6. 前記基板が、絶縁体基板、半導体基板、金属基板、あるいはフレキシブル基板であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の多孔質体の製造方法。
  7. 前記柱状構造体の径は、0.5nm以上20nm以下である請求項1から6のいずれか1項に記載の多孔質体の製造方法。
  8. 前記除去工程後、当該除去工程により形成される前記多孔質体の細孔の孔径を広げる工程を有する請求項1からのいずれかに記載の多孔質体の製造方法。
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