JP4035419B2 - 石膏ボード廃材からの紙片の分離方法及び分離装置並びに分離紙片を用いた動物用敷料 - Google Patents

石膏ボード廃材からの紙片の分離方法及び分離装置並びに分離紙片を用いた動物用敷料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、石膏ボード廃材から付着石膏分の少ない紙片(紙分)を分離回収する方法に関し、更に詳しくは、適度な大きさに破砕した石膏ボード廃材を焼成することにより二水石膏を半水石膏とし、次にこれを紙片と共に空気輸送した後で篩い工程にかけるという、全てを乾式の工程とした、付着石膏分の少ない紙片の分離回収方法及びその装置に関する。
さらに、本発明は以上の方法により石膏ボード廃材から分離された付着石膏分の少ない紙片を用いた動物用敷料(敷き藁)に関する。
【0002】
【従来の技術】
石膏ボードは防耐火性、遮音性等を有し経済的であることから建築用資材として多用されている。このような石膏ボードは石膏を主体とする芯材を石膏ボード用原紙で被覆した板状の構造となっており、製品厚さ12mmの石膏ボードでは石膏量約93重量%(以下、%と略称する。)、原紙量約7%の割合で構成されている。この石膏ボードは建築物のいたるところに使用されており、建築現場においては、使用部位の寸法に合せて切断された残りの端材や塊状又は粉状の屑(以下、廃材といい、建築現場にて発生するものを特に「新築廃材」という。)が発生している。新築廃材の発生量は建築時の使用量の約10%強とも云われ、石膏ボードの年間使用量が約500万トンであることを考えると約50万トン前後の石膏ボードの廃材が産業廃棄物として発生している。また、既存建築物の解体により発生する石膏ボード廃材(以下、「解体廃材」という)があり、その発生量は日本石膏ボード工業会の見積りによれば2002年度で約90万トンであり、今後その量は増加すると見られている。
これらのうち、新築廃材についてはリサイクルシステムが確立されており、その発生量の約50%は新たな石膏ボード製造の原料に利用されている。残りの新築廃材および解体廃材については、他の産業廃棄物同様埋め立て等により処分されているが、産業廃棄物の埋め立て等による処分は地中への埋設状態において有機物による嫌気性発酵等を生じる虞れ及び処分場の受入れ容量等の事情から社会的な解決すべき問題にされている。
一方、2002年5月30日から建設リサイクル法が施行されており、現在特定建設資材には指定されていないものの石膏ボード廃材に関しても、これを産業廃棄物として処分することなく有効に利用できる処理方法の開発が切望されている。
【0003】
以上のように、今後、廃材リサイクル率の増加が見込まれているが、現在の石膏ボード廃材の原料石膏へのリサイクルは、まず、10cm角程度の大きさに粗粉砕し、次に、数cm角程度の大きさに微粉砕してから、必要により篩いにかけて紙片を分離し、その後、通常の石膏ボード用原料石膏に配合することにより行われている。
【0004】
しかし、石膏分を二水石膏のままで篩いにかけると分離した紙片の付着石膏分は50%以上となり、それをさらに篩いにかけても、石膏分は5〜10%減少するのみである。これは二水石膏のままでは石膏分が針状結晶として、原紙部分にしっかりと食い込んで接着しているためと考えられる。加えて、石膏ボード廃材が湿っていたり、濡れている場合には、輸送装置に付着したり、篩い装置が目詰まりするなどのトラブルを起こし易いという問題があった。
【0005】
また、廃材リサイクル率が約5%前後と少ないうちは、紙分もそのまま全量リサイクルしてもさほど問題ではないが、リサイクル率が約10%あるいはそれ以上となってくると、紙分を全量リサイクルしたのでは、製品コア中の紙分含有率が増加することとなり石膏ボード製品の防火性能上好ましくないばかりでなく、製造上も混練水量が多くなり好ましくない。また、製品のコア部分に紙片が散見されるようになり見栄えも悪くなるという問題がある。このように、紙分の全量リサイクルは防火性、生産性および品質等の面から限界があり、したがってリサイクル率を上げるためには廃材からの紙片の除去は不可避となりつつある。
【0006】
一方、石膏ボード廃材から分離された紙片については、それに付着した石膏分が少ないものは、故紙原料、農業用(敷料用、肥料用)やその他の産業用途にそれをリサイクルできることが分かってきた。したがって、石膏分の少ない分離紙片を得る方法が切望されている。
【0007】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0008】
特開平06−142633号(特許文献1)は石膏ボードの廃材から石膏を回収する方法として石膏ボード廃材を加熱してボード用原紙を炭化させる方法を開示する。しかし、この方法では紙分を紙としてリサイクル利用することができなかった。
特開平06−142638号(特許文献2)は石膏ボード廃材から石膏ボード用原紙と石膏を回収する方法として、石膏ボード廃材を加熱した後、水を施して石膏芯からボード用原紙を分離させ、原紙と石膏をそれぞれ回収する方法を開示する。しかし、本方法は焼石膏が付着している紙片に水を施す処理を行うため、工程が増え、遠心分離機を用いて石膏を回収したり、また紙分からも水分を乾燥除去しなければならない場合があるという問題があった。
【0009】
また、特開平10−286553号(特許文献3)は、石膏ボード廃材を破砕して、紙を大まかに剥離し、破砕片を所定のメッシュサイズ以下に分別して取出し、取出された破砕片から紙成分を除去する廃棄石膏ボード処理方法を開示する。しかし、本方法は石膏分を回収して再利用することを主目的としており、紙成分の多くを回収して再利用することはその技術課題とはしていない。そのため所定のメッシュサイズ以上の破砕片は焼却処理され、紙片に由来する焼却灰はバグフィルターにより石膏の焼却処理で得られた石灰粉から除去される。一方、所定のメッシュサイズ以下の破砕片は搬送途中に所定風量で送風して毛玉状の紙成分を吹き飛ばし、吸引回収される。なお、本方法は、石膏ボード廃材を焼成して石膏を焼石膏とすること及び紙片等を空気輸送することで付着石膏分を低減できることについては何ら記載及び示唆していない。
【0010】
さらに、PCT特許出願公開である国際公開第00/76935 A1(特許文献4)は、スタッコ(半水石膏)から所望量の紙を分離するための方法および装置として、廃材を破砕して焼成し、その後スタッコを遠心スクリーンと振動スクリーンの二種類のスクリーンにより篩い分けて紙を取り除く方法を開示している。この方法では紙含有量が低いスタッコを製造することが達成され、第一及び第二の篩い分けの後にスタッコから取り除かれた紙も実質的にスタッコを含まないので再利用に販売可能としている。しかし、この特許文献4の記載によれば、紙は結果として、石膏及び/又はスタッコの90%超または95%までもがなくなるとしている。廃材の初期石膏分と紙分の比をそれぞれ93:7とし、紙分がすべて回収されたと仮定して計算すると、最終的に分離された紙における石膏と紙分の比は(4.65〜9.3):7となり、分離された紙片中の石膏濃度は39.9〜57.1%となり、この値は従来の石膏ボード廃材の焼成工程を経ない破砕と篩による紙片分離とほぼ同等のレベルである。
【0011】
一方、特開2001−294496号(特許文献5)は、石膏ボードの廃材を破砕して石膏と紙とを分別し、この分別後の紙を再度破砕して紙に付着していた石膏を除去した後の紙を家畜の糞尿の敷料である水分調整材として使用して堆肥を製造する方法を開示する。これは石膏ボード廃材からの回収紙を再利用するのに有効であるが、当該発明では石膏ボード廃材をそのまま破砕して石膏と紙とを分別しており、この方法を例えば有機物である石膏ボードの紙部分にカビやダニ等が付着した解体廃材に適用した場合、カビ・ダニ等がそのまま分離紙片である敷料に混入してしまうという問題が考えられる。
【0012】
【特許文献1】
特開平06−142633号(特許文献1)
【特許文献2】
特開平06−142638号(特許文献2)
【特許文献3】
特開平10−286553号(特許文献3)
【特許文献4】
国際公開第00/76935 A1(特許文献4)
【特許文献5】
特開2001−294496号(特許文献5)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、建築現場その他で発生する石膏ボード廃材(新築廃材及び解体廃材)を有効に再利用できる処理方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、石膏ボード廃材を粉砕後焼成して二水石膏を半水石膏としてこれを空気輸送工程にかけると、簡便な通常の篩で篩うことで、石膏分と紙分を分離したときに、付着石膏(半水石膏)分の少ない紙片を効率良く分離回収することができるとの知見に基づいてなされたものである。
【0015】
さらに、廃材を100℃以上の温度で焼成することにより、廃材に付着したカビやダニ等を滅菌あるいは死滅させ得ることから、その後分離回収した紙片が特に農業用として牛舎などの敷料にも安全に再利用できるとの知見に基づいている。
すなわち、本発明の一つの態様は、
石膏ボード廃材を焼成に適する寸法に破砕する破砕工程と、
破砕された石膏ボード廃材を焼成する焼成工程と、
焼成された石膏ボード廃材を空気輸送する輸送工程と、
空気輸送された石膏ボード廃材から石膏と紙片を分離する篩工程と
からなることを特徴とする石膏ボード廃材からの紙片の分離方法である。
【0016】
また、本発明の他の態様は、
石膏ボード廃材を焼成に適する寸法に破砕する破砕手段と、
破砕された石膏ボード廃材を焼成する焼成手段と、
焼成された石膏ボード廃材を空気輸送する輸送手段と、
空気輸送された石膏ボード廃材を石膏と紙片とに分離する篩手段
からなることを特徴とする石膏ボード廃材からの紙片の分離装置である。
【0017】
さらに本発明の他の態様は、
上記石膏ボード廃材からの紙片の分離方法により分離された石膏ボード廃材からの紙片を用いたことを特徴とする動物用敷料である。
【0018】
本発明の方法を施す対象となる石膏ボードは、一般に、石膏芯の回りを石膏ボード用原紙で被覆した形態にあり、その廃材の形状は板状、塊状または粉状である。特に、板状や塊状の場合には、均一に焼成できる大きさにするために焼成工程の前に破砕工程を設けることができる。そのときの破砕の度合いは、原紙の石膏芯との接着面に石膏が付着又は一部密着した状態のままであってもよく、石膏芯が均一に加熱できる粒径であればよい。好ましくは破砕片の長径が100mm以下、更に好ましくは20mm以下である。なお、このとき、廃材に天然石膏原石及び合成石膏の一方または両方からなる原料石膏を混合してその混合物を破砕工程に掛けても良い。このようにすることで廃材の破砕を効率的に行うことができる。
【0019】
以上により得られた、破砕品を次の焼成する焼成工程に送るが、その前にこの破砕品を篩にかけ、篩を通過した石膏(二水石膏)粉を石膏原料として再利用し、篩上に残った石膏が付着した原紙のみを次の焼成工程に送ってもよい。このような工程を採用すると、石膏ボードの廃材の処理効率を大幅に向上させることができる。
【0020】
また、この焼成工程への搬送途中において、金属除去用の磁石等を設けて、原紙から金属異物等の除去を行うことが推奨される。
【0021】
本発明の焼成工程における加熱方法としては、石膏ボードの廃材をロータリーキルンなどを用いて直接加熱してもよく、竪釜などを用いる間接加熱する方法であってもよい。又、加熱温度としては、石膏(二水石膏)を半水石膏若しくは半水石膏中に可溶性無水石膏を一部含む形態(焼石膏)にできる温度であればよく、100〜200℃の範囲が例示される。好ましい温度範囲は130〜190℃である。上記温度範囲では通常0.25〜3時間、好ましくは1〜2時間加熱するのがよい。
【0022】
なお、本発明の好ましい態様においては、次の空気輸送工程に移る前に、焼成した石膏ボードの廃材を予備の篩工程に掛けてボード原紙と石膏分を分離させる。このときの分離法は乾式であれば何でもよく、例えば振動篩や回転篩が挙げられる。篩目のサイズとしては2〜20mmであり、好ましくは5〜8mmである。回収した焼石膏は石膏ボード等の原材料として再利用できる。また、このとき、原紙の接着面から焼石膏を容易に分離できるように、焼成した石膏ボードの廃材を更に破砕することができる。破砕後の廃材の大きさは生産性や上記予備の篩の目詰まり防止等を考慮して長径を約25mm以下、好ましくは10mm以下の大きさに破砕するのがよい。このような破砕方法は、通常の圧縮、衝撃、剪断、摩擦及び切断によるものでよく、特に限定されない。この後、破砕品を上記の予備の篩工程にかけ、篩を通過した焼石膏粉を回収し、篩上に残った焼石膏の付着した原紙のみを、金属等の異物除去を目的として一時的に異物等沈降箱に通す。この異物等沈降箱は内部が空洞の円柱状または角柱状の筒体であって、その頂上部に紙片の投入口が開口しており、底部には異物抜き出し口が設けられ、且つ、その側面の上記投入口と底部の中間の適当な高さに空気流入口と空気排出口がそれぞれ設けられ、一定風量以上に調整された空気が前記流入口から排出口に向かって流れている。この箱内に投入された紙片は、箱の中で比重の大きい金属異物等が箱底部に沈降し、一方比重の小さい紙片は空気流により空気排出口から箱の外へ搬出される。このように比重差を利用して金属異物等から分別された紙片を順に次の空気輸送工程に送る。
【0023】
本発明では、次いで上記焼成した破砕廃材またはそれを予備の篩工程にかけて篩上に分離したボード原紙を次に空気輸送する。空気輸送の工程にかけることにより、驚くべきことにその後の篩工程によって付着石膏を紙片から効率良く分離できる。
【0024】
この空気輸送は、輸送物紙片を管状の輸送路を使い、空気を媒体として輸送するものであり、従来から一般的に使われている低圧輸送(低密度輸送)方式が好ましい。これは輸送用空気の速度エネルギーを利用した輸送方式で、輸送風速は輸送物紙片及び輸送距離に応じ5〜50m/秒程度必要で、配管内を輸送物紙片が浮遊しながら飛んで行く。また、例えば輸送物重量(kg)を輸送物密度(kg/m)と毎分当たりの空気量(m)と輸送時間(分)を乗じた値で除して得られる混合比は、5以下と低く、通常1以下で設計する。濃度が低い為、輸送圧力は0.10MPa(1kgf/cm)以下となり、空気源としては圧力変動に対して、風量が比較的一定なルーツブロワを採用する。
【0025】
この方式には、管内の圧力をプラス圧で輸送する圧送式と、マイナス圧で輸送する吸引式、さらにその組み合わせで輸送する吸引圧送式があり、そのいずれでも良い。また輸送風速は5〜50m/秒、輸送物と輸送空気の混合比は5以下で、輸送配管の長さは10〜300mとする。
輸送風速が5m/秒未満では紙片の攪拌が不十分で紙からの石膏の分離が促されないことがありまた輸送効率も悪く、一方50m/秒を超えてもそれ以上は紙からの石膏の分離や紙片の空気輸送で効率が格別には向上しない。
また輸送物と輸送空気の混合比は特に限定するものではないが、その比が5を超えると、例えば圧送法の場合では単位圧縮空気容量当りの輸送量が多すぎて付着石膏の紙片からの分離効率が劣る結果となる。
空気輸送距離に関して、その距離が10m未満ではその後の篩工程での石膏分の分離効率が不十分な結果となり、空輸の効果が出ない。またその距離は長ければ長いほど好ましいが、300mを超えると設備やスペースが大きなものとなるため、費用対効果の関係からあまり合理的なものでなくなる。空気輸送の距離は好ましくは50〜150mである。
【0026】
なお、空気輸送中の紙分と石膏の分離効率を上げるために、直管中にじゃま板を設けること、圧縮空気を送るときにエアーノズルを使用して空気を旋回させること、及びその他空輸途中において空気の気流や風力を利用した各種の流動層式、回転式またはサイクロン型の分級や選別のための装置を介在させることで、紙片と空気との攪拌や衝撃を高めることができる。
【0027】
輸送物紙片は、サイクロン又はサイクロンとバグフィルターを組合わせたもので捕集する。
【0028】
空輸後の篩工程は前記予備の篩工程と同様の遠心式篩や振動式篩装置等で行う。篩の目のサイズは2〜8mm、好ましくは2〜4mmである。
【0029】
ここで実際の実験において、上記予備の篩工程の篩い上の紙片は約40%(以下単に%と表示する)の石膏分が付着している。これを空気輸送した後篩にかけると篩上に残る紙片の石膏付着分は少なくとも30%以下とすることができ、好ましくは最終的に10%以下、さらに好ましくは5%以下とすることができ、再利用に極めて有用なレベルとなる。
【0030】
上記の空気輸送の工程を経ないで、第2の篩工程にかけた場合、複数回の篩を行ったとしても篩上に残る紙片の石膏付着分が30%を下回ることは稀であり、20%以下は困難である。
【0031】
ところで近年の建築物や住宅における高断熱、高気密化の室内では、湿気によりカビが生えやすく、さらにそのカビにより、喘息やアトピー性皮膚炎等を起こしやすくなると言われている。このようなカビは建築物や家屋の内装建材として使用される石膏ボードの解体廃材に付着していることがある。このような建物や住宅内に発生するカビの主なものは、アレルギー患者の原因になる黒色のかびであるクラドスポリウム、喘息の原因にもなるススカビと呼ばれるアルテルナリアおよび繊維質や木材、紙、クロス表面、畳、エアコンや加湿器などから多く検出されるトリコデルマ(ツチアオカビ)などである。
またカビ以外にも、屋内の湿気のあるところで増殖するダニ類やその他の害虫類が解体廃材には付着していることがある。ダニ類としては室内塵に最も多く発生し、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性疾患の主な原因とされているヒョウヒダニや畳やワラ積にも大発生するケナガコナダニおよび屋内の塵・畳・家畜小屋・倉庫などに発生し、皮疹を起こすツメダニ等が例示される。
上記カビの滅菌法としては、加熱法、ろ過法、照射法、ガス法及び薬液法などがあるが、本発明の焼成工程はこの内の加熱法に分類される乾熱法に相当するものである。この乾熱滅菌によれば、前記のとおり加熱温度は100〜200℃の範囲が例示され、好ましい温度範囲は130〜190℃である。上記温度範囲で通常0.25〜3時間、好ましくは1〜2時間加熱するため全てのカビを死滅、除去することができる。この場合、カビの胞子や芽胞など休眠状態のものも死滅させる。またこれは同様に上記ダニ類や害虫類の完全死滅にも有効である。
したがって、本発明において、焼成工程を経た廃材はカビやダニ類が完全に滅菌・死滅状態になり、その後分離される紙片もカビ等が死滅、除去されたものとなっており、カビ等の残存による家畜の健康への悪影響等の不都合を気にすることなく再利用に供することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態及び実施例を説明する。
【0033】
図1は本発明の実施形態における石膏ボード廃材からの石膏と紙の分離工程を示すフローチャートである。
【0034】
以下、図1に示すフローチャートに従って具体的に実施した実施例について説明する。
(実施例1)
まず、石膏ボード廃材からの石膏と紙の分離方法について説明する。家や建築物の新築現場または家屋などの解体工事現場で発生する廃材および端材などの石膏ボード廃材(厚さ12mmの石膏ボードの端材の場合、原紙は全体の約7%)を、搬送して処理施設に収集する。そこで、計量、異物混入の確認、除去を行った後、4軸破砕機により廃材を一次破砕する(一次破砕工程)。このときの破砕は、一辺が30mm以下となる程度の大きさとし、両側の紙とその間に挟まれた石膏とが分離する状態になるまで破砕する。この一次破砕で分離した石膏は全量が20mm未満の粉粒状となる。
【0035】
一次破砕後、篩目20mmの振動篩で石膏と紙(一部石膏が付着している)に一次分別し、回収した粉粒状の石膏は再生利用する。
【0036】
なお、次の焼成工程前に、一次分別した紙片を更に二次破砕しても良い。このように紙片を二次破砕することにより、次の加熱工程への送り出しの円滑化やその後に行う篩工程での目詰まり等の軽減をすることができる。
【0037】
上記一次分別後の紙にはまだ石膏が少量付着しているが、これをロータリードライヤーに投入し、焼き上げ温度165℃、加熱時間1.0時間の条件で焼成して、二水石膏を半水石膏(焼石膏)に転位させた。この加熱品の石膏部分をX線回析で確認したところ、二水石膏及びII型無水石膏はなく全て半水石膏(焼石膏)であった。塊状又は粒状の石膏はすべて粉末となり、原紙は4〜8mm程度の紙片となってこの焼石膏中に混在していた。
【0038】
上記加熱品を5mm目篩の遠心式篩にかけ石膏分を篩って篩上に紙分を分離回収した。以上の2度の篩で分離された石膏分は若干紙分を含むもののそのまま石膏ボード製造の原料として使用した。
【0039】
続いて、篩上に回収した原紙は前記異物等沈降箱を通し、比重差を利用した空気分別により金属異物等を除去して引続き空気輸送を行った。
【0040】
空気輸送は圧送式とし、円形の内径10cmのステンレス管中を風速25m/秒、空気混合比0.5にて、100m輸送した。輸送した原紙はサイクロン及びバグフィルターで捕集した。
【0041】
引続き、空気輸送した原紙を4mm目篩の遠心式篩にかけることにより紙分の付着石膏を除去し、さらに続けて4mm目篩の振動篩にかけて、篩上に原紙を回収した。
【0042】
このようにして最終的に回収した紙片には依然少量の焼石膏が付着していた。一方、篩下品は若干の紙分を含むものの大半が焼石膏粉末であるため、そのまま石膏ボード用焼石膏として利用できるものであった。
【0043】
次に、上記焼石膏が付着している最終分離紙片から適当量を採取し、その重量(W0)を測定した。次にこれを多量の0.5%の希塩酸に15時間浸漬して、流水で洗浄して石膏分を除去した後、40℃24時間の条件下に静置して水分を乾燥除去して紙片を得、この重量(W1)を測定した。洗浄前の総重量との差を石膏分として、上記篩上に残った回収紙片中の石膏分割合を次式により計算で求めた。
【0044】
紙片中の石膏分割合=(W0−W1)/W0×100(%)
(実施例2)
予備の篩工程を省略し、空気輸送の距離を60mとした以外はすべて実施例1と同様とした。
【0045】
(実施例3)
空気輸送の距離を50mとした以外はすべて実施例1と同様とした。
【0046】
(実施例4)
空気輸送の距離を20mとした以外はすべて実施例1と同様とした。
【0047】
(比較例1)
空気輸送を実施しなかった以外は、すべて実施例1と同様にした。
【0048】
(比較例2)
焼成を実施しなかった以外は、すべて実施例1と同様とした。
【0049】
(比較例3)
焼成および空気輸送を実施しなかった以外は、すべて実施例1と同様とした。
【0050】
以上の実施例及び比較例の結果を(表1)にまとめて示す。
【0051】
【表1】
Figure 0004035419
表1に示した結果からわかるように、本発明の実施例1〜4では、比較例1〜3に比べて石膏ボード廃材から紙片と石膏とを効果的に分離することができ、したがって、石膏の付着の少ない紙片を回収することが可能となる。
(実施例5)
[動物用敷料]
<解体廃材からの紙片分離>
金属等の異物を除去した解体廃材で、ボード原紙へのカビの付着とそれに基づく黒い変色が認められるものが混入した廃材を用いた以外はすべて実施例1と同様にして紙片を分離した。この分離紙片を目視により観察したが、当初のカビは認められず、また変色の度合いも軽減されていた。
【0052】
<牛舎の敷料への利用>
上記のようにして得られた分離紙片をおがくずと共に混合して牛舎の敷料として使用した。この敷料は牛の健康状態に影響を与えること無く使用できた。またこの敷料を牛糞とともに搬出して堆肥として堆積し、敷料の敷き込みと搬出を2週間ごとに繰り返した。堆肥材は発酵の後、完熟して最終的に牛糞60重量%、分離紙片20重量%及びおがくず20重量%からなる堆肥が得られた。
(比較例4)
[動物用敷料]
<解体廃材からの紙片分離>
実施例5で使用したものと同じ廃材を用い、焼成工程を除いた以外はすべて実施例1と同様にして紙片を分離した。この分離紙片を目視により観察したが、カビの付着と黒色の変色が残っていることが認められた。
【0053】
なお、この分離紙片は牛の健康状態への悪影響が懸念されたため牛舎の敷料としての再利用はしなかった。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、建築現場その他で発生する石膏ボードの廃材を、粉砕して、焼成後、焼成した廃材を空気輸送して篩い分けするという簡便な全乾式の方法により、従来より石膏付着分を少なくした紙片を分離回収することができる。このようにして回収した石膏は種々の石膏製品の原材料として再使用でき、また紙片は、故紙としてあるいは農業用資材(敷料や肥料用)またはその他の産業用途に使用可能である。したがって、本発明によれば今後増大が予想される建築工事に伴い排出される石膏ボード廃材を石膏と清浄な紙に分離回収することから、石膏ボード廃材の大部分の再利用を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における石膏ボード廃材からの石膏と紙の分離工程を示すフローチャートである。

Claims (3)

  1. 石膏ボード廃材を焼成に適する寸法に破砕する破砕工程と、
    破砕された石膏ボード廃材を焼成する焼成工程と、
    前記焼成工程で焼成された石膏ボード廃材を石膏付着紙片と石膏に分離する予備の篩工程と、
    前記予備の篩工程により分離された石膏付着紙片を空気輸送する輸送工程と、
    空気輸送された石膏付着紙片から分離された石膏と紙片を分離する篩工程とからなり、
    前記空気輸送の条件が、輸送風速5〜50m/秒、輸送物重量(kg)を輸送物密度(kg/m)と毎分当たりの空気量(m)と輸送時間(分)を乗じた値で除して得られる混合比が5以下で、輸送配管の長さが10〜300mであることを特徴とする石膏ボード廃材からの紙片の分離方法。
  2. 破砕工程を石膏ボード廃材を原料石膏と混合して破砕するようにしたことを特徴する請求項1記載の石膏ボード廃材からの紙片の分離方法。
  3. 石膏ボード廃材を焼成に適する寸法に破砕する破砕手段と、
    破砕された石膏ボード廃材を焼成する焼成手段と、
    前記焼成工程で焼成された石膏ボード廃材を石膏付着紙片と石膏に分離する予備の篩工程手段と、
    前記予備の篩工程で分離された石膏付着紙片を空気輸送する輸送手段と、
    空気輸送された石膏付着紙片から分離された石膏と紙片を分離する分離する篩手段からなり、
    前記空気輸送の条件が、輸送風速5〜50m/秒、輸送物重量(kg)を輸送物密度(kg/m)と毎分当たりの空気量(m)と輸送時間(分)を乗じた値で除して得られる混合比が5以下で、輸送配管の長さが10〜300mであることを特徴とする石膏ボード廃材からの紙片の分離装置。
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