JP4035255B2 - 抗ふけ洗髪用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ふけやかゆみ防止に効果がある洗髪用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、洗髪剤には、その本来の機能(洗浄力)だけではなく、毛髪や頭皮への栄養補給、水分調整、ふけ防止等の二次的効果が求められている。その中で、ふけは皮脂腺の分泌物、汗腺の分泌物、過度の洗髪行為による脱脂や乾燥からくる表皮層の剥離物などからなり、通常は皮脂腺などの分泌亢進により発生する。また、好脂性菌であるマラセチア・ファアファア(Malassezia Furfur )等の頭皮常在菌の一種には、頭皮脂中のオレイン酸やその誘導体等の特定の炭素源を栄養源にして表皮層の剥離を促す働きを有すると考えられる(J.Soc.Cosmet.Chem.Japan Vol.22,No.3,1988)。このため、従来から硫化セレン、硫化カドミウム、ジンクピリジニウム−1−チオール−N−オキサイド(ジンクピリチオン、以下、「Zpt」と略する。)などの抗菌剤や殺菌剤を添加した洗髪剤がふけ防止に効果があるものとして使用されてきた。
【0003】
例えば、特開昭56−61308号公報には、Zptとカチオン性界面活性剤又はカチオン性高分子化合物から成る通常のふけ、かゆみ防止毛髪処理用組成物に、特定のカルボン酸化合物を配合して成る組成物が記載されている。
【0004】
また、特開平2−67212号公報には、ふけ、かゆみを防止する有効成分として、特定のアミドベタイン型両性界面活性剤及びアミンオキサイド型界面活性剤に、スルホコハク酸誘導体を所定の割合で配合した組成物が記載されている。
【0005】
さらに、特開昭63−267713号公報には、ふけ、かゆみを防止する有効成分として、炭素数20〜28の飽和高級脂肪酸及びその塩の微細な粉末を物理的に頭皮に付着させことが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、殺菌剤や抗菌剤は頭皮などの皮膚に対する刺激性が高いものが多く、人体に安全であるとはいえない。このため、一般消費者が、上記の殺菌剤や抗菌剤の安全性に対して不安をもつ場合がある。さらに、洗髪の最終段階であるすすぎ行為によって、それらの成分を頭皮に有効量を残存させることは非常に困難であった。
【0007】
また、人の頭皮には、ラクトバチラス・プランタラム(Lactobacillus Plantoarum)やコクリア・クリスティニ(Kocuria Kristinae )等のふけには関与しない常在菌が存在している。これらの常在菌は、頭皮の水分調整やpHバランスに関与していると考えられているが、上記の殺菌剤や抗菌剤はこれらの常在菌にも作用する可能性があり、頭皮常在菌のバランスを崩す場合があるため、頭皮にとっては好ましいとは限らない。
【0008】
さらにまた、洗髪用組成物の主成分である洗浄成分による脱脂でおこる頭皮の乾燥が頭表皮の剥離を促し、悪化させる要因になっている。
【0009】
また、上記特開昭56−61308号公報には、ふけ、かゆみを防止する有効成分がZptであり、また、カルボン酸化合物は、前記成分による目や皮膚に対する強い刺激を緩和する作用を有する旨が記載されているのみであり、ふけ、かゆみ防止効果を有することは何ら示唆されていない。
【0010】
さらに、上記特開平2−67212号公報には、ふけ、かゆみを防止する有効成分として、特定のアミドベタイン型両性界面活性剤及びアミンオキサイド型界面活性剤に対してスルホコハク酸誘導体を所定の割合で配合することにより、ふけ原因菌に対して強い抗菌作用を有する旨記載されているのみであり、有効成分の頭皮への吸着及び頭皮の乾燥からくるふけに対して過脂肪剤的に作用し、ふけ、かゆみ防止効果を有することは何ら示唆されていない。
【0011】
さらにまた、上記特開昭63−267713号公報には、ふけ、かゆみを防止する有効成分としては、炭素数20〜28の飽和高級脂肪酸及びその塩の微細な粉末を物理的に頭皮に付着させ、乾燥によるふけ、かゆみを防止する作用を有する旨記載されているのみであり、有効成分の静電気的吸着及び微生物的な見解からふけ、かゆみ防止効果を有することは何ら示唆されていない。
【0012】
そこで、この発明は、マラセチア・ファアファア(Malassezia Furfur )等のふけの発生に関与する頭皮常在菌に対して有効的な抑制効果が働き、他のふけの発生に関与しない常在菌の生育を妨げず、さらに過度の脱脂による乾燥からくる頭表皮の剥離を防ぐ抗ふけ洗髪用組成物を提供するのを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明は、糖質のアルケニルコハク酸エステル塩、陽イオン高分子、IOB値が1.00未満で炭素数8〜28の高級脂肪酸又はその誘導体を含有することを特徴とする。
【0014】
所定の成分からなる抗ふけ洗髪用組成物を継続的に使用すれば、洗浄成分である糖質のアルケニルコハク酸エステル塩が皮脂中に存在し、マラセチア・ファアファア(Malassezia Furfur )等のふけの発生に関与する頭皮常在菌(以下、「ふけ発生原因菌」と称する。)の炭素源である脂肪酸等を洗髪行程時に脱脂する。また、洗い流した後においても、IOB値が1.00未満で炭素数8〜28の高級脂肪酸又はその誘導体を含んだ糖質のアルケニルコハク酸エステル塩と陽イオン高分子のポリイオンコンプレックスが毛髪や頭皮に吸着する。このポリイオンコンプレックス中の糖質部分は、ラクトバチラス・プランタラム(Lactobacillus Plantoarum)等のふけに関与しない頭皮常在菌(以下、「ふけ発生不関与菌」と称する。)の特異的な炭素源であり、これによりふけ発生不関与菌が増殖することができる。この増殖は、ふけ発生原因菌の繁殖域を奪い、その結果としてふけの発生を防ぐ。さらに、IOB値が1.00未満で炭素数8〜28の高級脂肪酸又はその誘導体の付着により頭皮の乾燥からくるふけに対しても過脂肪剤的に作用するため上記作用と相乗的に働き、ふけの発生を防ぐことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を説明する。
【0016】
この発明にかかる抗ふけ洗髪用組成物は、糖質のアルケニルコハク酸エステル塩、陽イオン高分子、及び、高級脂肪酸又はその誘導体を含有する組成物である。
【0017】
上記糖質のアルケニルコハク酸エステル塩は、ラクトバチラス・プランタラム(Lactobacillus Plantoarum)やコクリア・クリスティニ(Kocuria Kristinae )等のふけに関与しない頭皮常在菌、すなわち、ふけ発生不関与菌の特異的な炭素源であり、これを頭皮に存在させることにより、ふけ発生不関与菌を増殖させることができる。
【0018】
上記糖質のアルケニルコハク酸エステル塩は、アルカリ性物質の存在下で、糖質にアルケニルコハク酸をエステル結合させることにより得られる。この糖質のアルケニルコハク酸エステル塩は、一般式〔1〕で示される。
【0019】
【化1】
【0020】
(式中、Gは糖類残基を表す。R1 及びR2 のうち、一方は炭素数1〜24のアルケニル基を表し、他方は水素原子を表す。Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、アルキルアミン又はアルカノールアミンを表す。nは1以上の整数を表す。)
糖質のアルケニルコハク酸エステル塩を製造する際に使用する糖質としては、単糖類、オリゴ糖、加水分解澱粉、酸性糖、糖アルコール、還元澱粉糖化物(還元水飴)、還元麦芽水飴等が挙げられる。これらの中でも好ましい糖質としては、デキストリン、還元水飴、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖の中から選ばれた1種又は2種以上の糖質があげられる。
【0021】
糖質のアルケニルコハク酸エステル塩を製造する際に使用するアルケニルコハク酸としては、特に限定されないが、アルケニル無水コハク酸を用いるのが好ましい。上記アルケニル無水コハク酸は、アルカリ性物質の存在下で開環して、一方のカルボキシル基がアルカリ性物質と反応して塩を形成し、他方のカルボキシル基は糖類とエステル結合する。上記アルケニル無水コハク酸としては、アルケニル基の炭素数が2〜20のアルケニル無水コハク酸を使用するのが好ましく、アルケニル基の炭素数が8〜18のアルケニル無水コハク酸を使用するのがより好ましい。具体的には、オクテニル無水コハク酸、デセニル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、テトラデセニル無水コハク酸、ヘキサデセニル無水コハク酸、オクタデセニル無水コハク酸等があげられ、これらを使用するのが最も好ましい。
【0022】
糖質のアルケニルコハク酸エステル塩を製造する際に使用するアルカリ性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化マグネシウムや水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属の炭酸塩、炭酸マグネシウムや炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、カリウムメトキサイド等のアルカリ金属のアルコキサイド、カルシウムエトキサイド等のアルカリ土類金属のアルコキサイド、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミンイソブチルアミン、第2級ブチルアミン、第3級ブチルアミン、アミルアミン、第2級アミルアミン、第3級アミルアミン、ヘキシルアミン等の炭素数1〜6のアルキル基を有するモノ、ジ若しくはトリアルキルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン等のジ若しくはトリアルカノールアミン等を使用することができるが、好ましくは水酸化ナトリウム、トリエタノールアミンが望ましい。
【0023】
この発明において使用する糖質のアルケニルコハク酸エステル塩として最も好ましい例は、オクテニルコハク酸デキストリンエステルナトリウム塩、オクテニルコハク酸デキストリンエステルトリエタノールアミン塩、オクテニルコハク酸還元水飴エステルナトリウム塩、オクテニルコハク酸還元水飴エステルトリエタノールアミン塩、オクテニルコハク酸フラクトオリゴ糖エステルナトリウム塩、オクテニルコハク酸フラクトオリゴ糖エステルトリエタノールアミン塩、オクテニルコハク酸ガラクトオリゴ糖エステルナトリウム塩、又はオクテニルコハク酸ガラクトオリゴ糖エステルトリエタノールアミン塩等が挙げられる。
【0024】
これらの糖質のアルケニルコハク酸エステル塩は、特開平4−273806号公報や特開平4−288092号公報に開示されているように、洗髪剤中に含有させることのできる界面活性剤であり、皮膚刺激性も非常に少ないものである。
【0025】
上記糖質のアルケニルコハク酸エステル塩の配合量は、特に限定されず広範囲に選択することができるが、洗髪用組成物の全量に対して0.05〜10%含有させることが好ましい。0.05%以下ではふけ発生防止の効果が不十分な場合があり、また、10%以上含有させてもさらにふけ発生防止の効果が上がることは少なく、経済的に好ましくない場合がある。
【0026】
上記陽イオン高分子としては、ヒドロキシエチルセルロースの4級アンモニウム誘導体、グァーガムの4級アンモニウム誘導体、デキストランの4級アンモニウム誘導体、ポリビニルピロリドン誘導体4級アンモニウム塩、ポリ塩化ジメチルメチレンピレリジニウム、加水分解たん白質4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0027】
この発明で使用する陽イオン高分子の配合量は、特に限定されず広範囲に選択することができるが、洗髪用組成物の全量に対して0.01〜1.0%含有させることが好ましい。0.01%以下では糖質のアルケニルコハク酸エステル塩とのポリイオンコンプレックスの生成量が少なくなり、頭皮への静電気的吸着効果が不十分となる場合があり、1.0%以上含有させてもさらに効果が上がることは少なく、ぬめり感があらわれるなど使用感上、また経済的にも好ましくない場合がある。
【0028】
この発明で使用する高級脂肪酸又はその誘導体は、IOB値が1.00未満で炭素数8〜28の高級脂肪酸又はその誘導体である。上記高級脂肪酸としては、飽和型、不飽和型、分枝型等何れの高級脂肪酸でもよく、また、上記誘導体としては、上記高級脂肪酸の塩やエステル等が挙げられる。高級脂肪酸とエステルを形成するアルコールとしては、モノアルコール、ネオペンチルグリコール等のジオール、グリセリン等のトリオール、ジグリセリンやペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のテトラオール、ヘキサオール等ポリオールが挙げられ、また、これらエステルの縮合物のオリゴエステルなども挙げられる。
【0029】
上記高級脂肪酸又はその誘導体の中には、マラセチア・ファアファア(Malassezia Furfur )等のふけの発生に関与する頭皮常在菌、すなわち、ふけ発生原因菌の炭素源となるものがある。この場合、炭素源となる高級脂肪酸又はその誘導体は除外するのが好ましい。例えば、マラセチア・ファアファア(Malassezia Furfur )の炭素源は、オレイン酸又はその誘導体であるので、ふけ発生原因菌がマラセチア・ファアファア(Malassezia Furfur )である場合、この発明で使用される高級脂肪酸又はその誘導体としては、オレイン酸又はその誘導体を除く高級脂肪酸又はその誘導体とすることが好ましい。
【0030】
IOB値は有機概念図上の無機性値/有機性値の比を示したものであり、1未満は無機性値に対し有機性値が高いことを表す。したがって、極性が低く、親油性が高いため過脂肪剤として十分な働きを有する。これに対し1以上の場合は、有機性値に対し無機性値が高いことを表す。したがって、極性が高く、親油性が低いため過脂肪剤として十分な働きを有さない。
【0031】
なお、過脂肪剤とは、洗髪中に頭皮皮脂の過度な脱脂によりおこる乾燥から頭皮を守るために配合される油性剤をいい、この過脂肪剤により、頭皮からの水分蒸散が抑制され、頭皮の乾燥が防止される。
【0032】
また、炭素数8未満の高級脂肪酸又はその誘導体は頭皮に対して刺激を与えるので安全性の面から好ましくない。さらに、炭素数28より大きい高級脂肪酸又はその誘導体は組成物中に大きな粒子として析出するためポリイオンコンプレックス中に取りこまれることがなく、頭皮に対する付着性が弱く好ましくない。
【0033】
この発明で使用する高級脂肪酸又はその誘導体の配合量は特に限定されず広範囲に選択することができるが、洗髪用組成物の全量に対して0.01〜5.0%含有させることが好ましい。0.01%以下では過脂肪剤的に頭皮を乾燥から保護するに効果が不十分な場合があり、5.0%以上含有させてもさらに効果が上がることは少なく、残油感があらわれるなど使用感上、また経済的にも好ましくない場合がある。
【0034】
この発明の抗ふけ洗髪用組成物は、例えば油分、紫外線吸収剤、酸化防止剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、増粘剤、香料、水、アルコール、色剤、薬剤等を必要に応じて適宜配合してふけ防止用化粧料を作成することができる。
【0035】
【実施例】
次に実施例並びに比較例によりこの発明をさらに詳細に説明するが、この発明はこれにより限定されるものではない。
【0036】
〔製造例1〜8〕 各種糖質のオクテニルコハク酸エステル塩の作製
特開平4−273806号公報に示された方法によって各種糖質のオクテニルコハク酸エステル塩を作製した。すなわち、表1に記載の糖質及びオクテニル無水コハク酸(以下、「OSA」と略する。)の混合液中に、40℃でpH7〜8となるようにアルカリ性物質を入れてコントロールし、反応させた。
【0037】
得られた各種糖質のオクテニルコハク酸エステル塩の起泡力、泡の安定性、アルブミン未変性率(皮膚の一次刺激の指標となる)について調べた。起泡力、泡の安定性については各種糖質のオクテニルコハク酸エステル塩0.5%液(固形分換算)を調製し、JIS K−3362−1990に準拠した起泡力測定装置で30℃における起泡力及び泡の安定性を測定した。アルブミン未変性率については各種糖質のオクテニルコハク酸エステル塩(最終濃度1.0%)、卵白アルブミン(最終濃度0.0225%)をリン酸バッファー(pH 7.0)中で30℃20分間攪拌し、10倍希釈した液をHPLC(カラム:AsahipakGS−320)(カラム温度:40℃、移動層:リン酸バッファー(pH 7.0)、流速:0.5ml/分、検出器:UVIDEC−100−、波長:215nm)を用いて未変性率を求めた。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
結果
表1の結果より、製造例1〜8の糖質のオクテニルコハク酸エステル塩は洗髪剤用基材として充分に起泡力があり、低刺激性であることがわかる。
【0040】
〔実施例1、比較例1〕 糖質のオクテニルコハク酸エステル塩を炭素源とする各菌体の培養
下記の生育培地1で培養されたマラセチア・ファアファア(Malassezia Furfur 、IFO No.0656、培養条件:30℃)、下記の生育培地2で培養されたラクトバチラス・プランタラム(Lactobacillus Plantoarum、IFO No.12011、培養条件:30℃)、下記の生育培地3で培養されたコクリア・クリスティニ(Kocuria Kristinae 、IFO No.15354、培養条件:37℃)の生育培地に上記製造例1〜8の糖質のオクテニルコハク酸エステル塩を1%(固形分換算)添加し、生育度合を濁度(波長660nmの吸収)で追跡した。なお、糖質のオクテニルコハク酸エステル塩を添加せずに各種菌体について同条件で培養したものを比較例1とした。結果を表2に示す。
【0041】
なお、表2に記載の数値は、水で3倍希釈した場合の吸光度の値を示す。また、表2に記載の数値の左欄は培養直後の吸光度の値を、右欄は培養1日後の吸光度の値を示す。さらに、表2中の記号は下記の意味を示す。
【0042】
− :生育せず
± :やや生育
+ :生育
++:よく生育
生育培地1
ペプトン 0.5%
酵母エキス 0.3%
麦芽エキス 0.3%
グルコース 1.0%
pH 6.0
生育培地2
ペプトン 1.0%
肉汁エキス 1.0%
酵母エキス 0.5%
グルコース 2.0%
Tween80 0.1%
酢酸ナトリウム 0.5%
クエン酸二アンモニウム 0.2%
K2 HPO4 0.2%
MgSO4 ・7HO2 0.02%
MnSO4 ・nH2 O 0.005%
pH 5.8
生育培地3
ポリペプトン 1.0%
酵母エキス 0.2%
MgSO4 ・7HO2 0.1%
pH 7.0
【0043】
【表2】
【0044】
結果
表2の結果より実施例1〜8の糖質のオクテニルコハク酸エステル塩は、ふけ発生原因菌であるマラセチア・ファアファア(Malassezia Furfur )の生育は阻害するが、ふけ発生不関与菌であるラクトバチラス・プランタラム(Lactobacillus Plantoarum)、コクリア・クリスティニ(Kocuria Kristinae )の生育は阻害しないということがわかる。
【0045】
〔実施例2、比較例2〜4〕
毛髪への吸着量試験
まず、約2mmに細砕した毛髪を洗浄し、すすいだ後エタノールで脱脂した。その後、温風で乾燥したものをΦ7.5×75mmのステンレスカラムに1.5g充填し、HPLC用ポンプに接続した。そして、表3に記載の成分を有する2%水溶液を循環させた。時間ごとに循環液からサンプリングを行い、有効成分の液中濃度をゲルろ過分析(カラム:TSKgel G3000PW×L、移動層:0.1%トリフルオロ酢酸―45.0%アセトニトリル水溶液、流速:0.5ml/分、検出器:UVIDEC−100−、波長:210nm)で定量し、液中濃度の低下から毛髪への吸着量を求めた。結果を表3に示す。
【0046】
なお、表3中のナチラルニスクNRは、日澱化学(株)社製 オクテニルコハク酸デキストリンエステルナトリウム30%水溶液の商品名を表す。
【0047】
また、表3中の、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウムの欄のカッコ書内の「2E.O.」は、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム1molに対し、2molのエチレンオキシドを付加したことを表す。
【0048】
さらに、イソステアリン酸トリグリセリドのIOB値は、0.1651であり、また、オレイン酸トリグリセリドのIOB値は、0.1632である。
【0049】
【表3】
【0050】
結果
表3の結果より糖質のオクテニルコハク酸エステル塩と陽イオン高分子を併用することにより毛髪へのラクトバチラス・プランタラム(Lactobacillus Plantoarum)、コクリア・クリスティニ(Kocuria Kristinae )の炭素源となる糖質の吸着量があがることがわかる。
【0051】
ふけ発生実験
表3に示される実施例2及び比較例2〜4の各成分比からなる組成物を常法により調整し、洗髪剤を作製した。対象者として比較的ふけの出やすい成人男女30名(各15名)を選び、上記各洗髪剤を1ケ月間使用させ、1ケ月後に官能評価を行った。評価項目はふけの出具合、使用感について下記の3段階の評価で行い、結果を表4に示す。
【0052】
ふけの出具合
A 出難くなった
B 変わらない
C 余計出易くなった
使用感
A 良い
B 普通
C 悪い
【0053】
【表4】
【0054】
結果
表4の結果より明らかなように、実施例2の場合、すなわち、この発明にかかる糖質のアルケニルコハク酸エステル塩、陽イオン高分子、及び、IOB値が1.00未満でオレイン酸を除く炭素数8〜28の高級脂肪酸又はその誘導体の配合物を用いることにより、ふけの発生防止効果が見出され、その効果も優れ、また使用感もよくなることがわかる。
【0055】
これに対し、比較例2又は3では、ふけの発生防止効果が見られず、さらに、比較例3の場合は、使用感も悪かった。
【0056】
また、対象者のふけ発生原因菌がマラセチア・ファアファア(Malassezia Furfur )であるため、高級脂肪酸としてオレイン酸トリグリセリドを用いた比較例4の場合は、ふけがより出るようになった。これは、オレイン酸トリグリセリドが、マラセチア・ファアファア(Malassezia Furfur )生育のための炭素源となったからであると考えられる。
【0057】
【発明の効果】
この発明によれば、糖質のアルケニルコハク酸エステル塩、陽イオン高分子、IOB値が1.00未満で炭素数8〜28の高級脂肪酸又はその誘導体を含有することで、ふけ発生の原因となるマラセチア・ファアファア(Malassezia Furfur )の生育は阻害するが、皮膚常在菌であるラクトバチラス・プランタラム(Lactobacillus Plantoarum)、コクリア・クリスティニ(Kocuria Kristinae )の生育は阻害しない。例えば、この糖質のアルケニルコハク酸エステル塩、陽イオン高分子、IOB値が1.00未満で炭素数8〜28の高級脂肪酸又はその誘導体を含有する洗髪剤を継続的に使用すれば、頭皮上の細菌環境が変化し、ふけの発生しにくい頭皮の環境に改善される。
【0058】
また、IOB値が1.00未満で炭素数8〜28の高級脂肪酸又はその誘導体の付着により頭皮の乾燥からくるふけに対しても過脂肪剤的に作用するため上記作用と相乗的に働き、ふけの発生を防ぐことができる。
Claims (1)
- 糖質のアルケニルコハク酸エステル塩、陽イオン高分子、及びイソステアリン酸トリグリセリドを含有することを特徴とする抗ふけ洗髪用組成物。
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