JP3667601B2 - 毛穴ケア用の洗浄料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄剤に関し、更に詳細にはシャンプー等の頭髪用の洗浄剤に好適な洗浄剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
戦後とバブルの消費生活社会を経て、現代人の食生活は著しく変化した。その変化を概括すれば、西洋化が著しく、脂肪或いは動物性蛋白の摂取量が激増したことが挙げられ、かかる食生活の変化に伴い、現代人の生理機能も著しく変化し、この様な状況に起因する新たな疾病が、或いは疾病に至らないものの非健康状態が生まれている。この様な健康上の不都合な事象としては、循環器系疾患の急増、脳機能障害の増大、脂質代謝異常に伴う様々な不都合事象の発生が挙げられる。この内、循環器系疾患の急増、脳機能障害の増大は医薬分野の課題となっているが、化粧料の分野に於いては、脂質代謝異常に伴う不都合事象の発生が大きな課題となっている。この様な課題としては、具体的には、脂質代謝昂進による、化粧崩れの増大や毛成長の阻害などの問題が挙げられる。取り分け、脱毛の問題は、男性に於いては深刻な問題であり、ミノキシジル製剤の爆発的なヒットを例に挙げるまでもないことであろう。この様な状況を背景に毛周辺組織より過剰或いは劣化した代謝脂質を除去する技術の開発が望まれていた。
【0003】
一方、人体より代謝された脂質を除去する手段としては、通常の石鹸やアルキル硫酸塩等のアニオン界面活性剤での洗浄やクレンジングクリームなどの油性クリームによる除去、粘着性シートによる吸着除去などが既に知られている技術であるが、皮脂を特異的に溶解し除去するような成分は知られておらず、通常の洗浄剤にこの様な皮脂溶解性分を含有させて、更に皮脂除去作用を高めた洗浄剤は全く知られていなかった。
【0004】
ジプロピレングリコール及びイソプレングリコールなどの一般式(I)に表される化合物の多くは化粧料の分野で広く使用されているが、これらが皮脂除去作用を有していることは知られておらず、この様な成分を含有する洗浄剤が、毛穴の皮脂や古くなった角層などの汚れを除去する作用に優れ、健康な毛髪と皮膚の維持と脱毛の防止に有益であることも全く知られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこの様な状況下為されたものであり、皮脂除去作用を高め、健康な毛髪と皮膚の維持と脱毛の防止に有益な洗浄剤を提供することを課題とする。
【0006】
【課題の解決手段】
本発明者らは、この様な状況に鑑みて、皮脂除去作用を高め、毛髪の維持と脱毛の防止に有益な洗浄剤を提供すべく、鋭意研究努力を重ねた結果、後記一般式(I)に表される化合物群にこの様な特性を見いだし、これを製剤化することにより本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示す技術に関するものである。
(1)下記一般式(I)に表される化合物から選ばれる1種乃至は2種以上を含有することを特徴とする、洗浄剤。
(2)上記一般式(I)に表される化合物から選ばれる1種乃至は2種以上が、ジプロピレングリコール及び/又はイソプレングリコールであることを特徴とする、(1)に記載の洗浄剤。
(3)更に、ヒドロキシ酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の洗浄剤。
(4)ヒドロキシ酸がα−ヒドロキシ酸であることを特徴とする、(3)に記載の洗浄剤。
(5)α−ヒドロキシ酸が乳酸であることを特徴とする、(4)に記載の洗浄剤。
(6)洗浄剤が頭髪用のものであることを特徴とする、(1)〜(5)何れか1項に記載の洗浄剤。
(7)毛穴の皮脂の除去作用を有することを特徴とする、(1)〜(6)何れか1項に記載の洗浄剤。
(8)頭皮クレンジング料であることを特徴とする、(1)〜(7)何れか1項に記載の洗浄料。
(9)上記一般式(I)に表される化合物からなる皮脂溶解剤。
(10)一般式(I)に表される化合物が、ジプロピレングリコール又はイソプレングリコールである、(9)に記載の皮脂溶解剤。
以下、本発明について実施の形態を中心に更に詳細に説明を加える。
【0007】
【化2】
一般式(I)
(但し、式中R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、水酸基又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは酸素原子又は置換基として水酸基で水素原子が置換されていても良いメチレン基を表し、R5は水酸基を0乃至は4個有する、炭素数1〜4のアルキル基を表し、且つ、一分子内に2個以上の水酸基を有するものとする。)
【0008】
【発明の実施の形態】
(1)本発明の必須成分である一般式(I)に表される化合物
本発明は一般式(I)に表される化合物を含有することを特徴とする。この様な化合物としては、例えば、ジプロピレングリコール、エチレングリコールグリセリルエーテル、プロピレングリコールグリセリルエーテル、ソルビット、イソプレングリコール、1、4−ブタンジオールジエチレングリコールなどが例示でき、これらの内では、ジプロピレングリコールとイソプレングリコールが特に好ましい。これらの化合物は、何れも皮脂の溶解作用に優れ、毛穴などに詰まってシャンプーなどによって除去しにくい皮脂を除去しうる作用を有する。これらの化合物が、本発明の皮脂溶解剤である。本発明の洗浄剤に於いては、これら一般式(I)に表される化合物は唯一種を含有させることも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。これの化合物の本発明の洗浄剤に於ける好ましい含有量は、洗浄剤全量に対して総量で、0.1〜30重量%であり、更に好ましくは、1〜15重量%である。これは、剤形にもより異なるが、少なすぎると皮脂除去作用を発揮できない場合があり、多すぎると使用感がベタツキなどで損なわれたり、処方の自由度が損なわれたりする場合があるからである。
【0009】
(2)本発明の洗浄料に好ましく含有されるヒドロキシ酸及び/又はその塩
本発明の洗浄料は、ヒドロキシ酸及び/又はその塩を含有することが好ましい。これは、この様な成分が皮膚を軟化させ、皮膚より皮脂汚れが離脱しやすくさせる作用を有するからである。かかるヒドロキシ酸としては、乳酸やグリコール酸、リンゴ酸等のα−ヒドロキシ酸、β−乳酸等のβ−ヒドロキシ酸等が例示でき、これらの内ではα−ヒドロキシ酸がより好ましく、乳酸とグリコール酸が特に好ましく例示できる。又、これらヒドロキシ酸の塩としては、通常化粧料で使用されている塩であれば特段の限定を受けずに使用でき、例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエチルアミン塩等の有機アミン塩、リジン塩やアルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩などが好ましく例示できる。本発明の洗浄料に於いては、これらヒドロキシ酸及び/又はその塩は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有することも出来る。これらヒドロキシ酸及び/又はその塩の、本発明の洗浄料に於ける好ましい含有量は、洗浄料全量に対して、総量で0.01〜10重量%であり、更に好ましくは0.05〜2重量%である。
【0010】
(3)本発明の洗浄料
本発明の洗浄料は、上記一般式(I)に表される化合物から選ばれる1種乃至は2種以上を含有し、任意の成分としてヒドロキシ酸及び/又はその塩を好ましくは含有することを特徴とする。ここで、本発明で言う洗浄料とは、生体上に残留していることが好ましくない、過剰に分泌された皮脂、古くなった角層などの成分や汚れ、それらの複合体などを除去する目的で使用される化粧料を意味し、例えば、シャンプー、リンス等の頭部洗浄料、石鹸やボディーシャンプーなどの体部洗浄料、洗顔料や洗顔石鹸などの顔部洗浄料などが例示できる。これの内、本発明の洗浄料としては、特に頭皮或いは頭部毛穴周辺に於ける皮脂の除去作用に優れることから、この様な頭部用の洗浄料として使用することが特に好ましい。本発明の洗浄料は、その作用として、従来のシャンプーなどのアニオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤等の界面活性剤のみを洗浄料の有効成分とするものでは落としにくい、前記頭皮或いは毛穴付近に存在する皮脂を落とす作用を有する。本発明の洗浄料は、頭部用の洗浄料として用いる場合、前記界面活性剤とともにシャンプーなどに製剤化して使用することも出来るし、非イオン界面活性剤などともにプレシャンプー用のクレンジングとして製剤化することもできる。この内特に好ましいものは、プレシャンプー用のクレンジングである。これは、本発明の洗浄料の成分が、予め皮脂や油性汚れを落としておくことにより、シャンプーが含有している界面活性剤の洗浄能力を著しく高めることが出来るためである。この様なプレシャンプー用のクレンジング剤形にするには、本発明の洗浄料の必須成分である一般式(I)に表される化合物や皮脂汚れとのなじみの良い非イオン界面活性剤をともに含有することが好ましい。この様な非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリグリセリンの脂肪酸エステルが好ましく例示できる。この場合のポリグリセリンの好ましい平均重合度は4〜20、更に好ましくは7〜15が例示できる。又、脂肪酸残基としては、ラウリン酸残基が特に好ましく例示できる。これら非イオン界面活性剤の好ましい含有量は、0.01〜20重量%、更に好ましくは0.05〜10重量%が例示できる。これは、多すぎるとべたつくなど使用感を損なう場合があり、少なすぎると添加効果が得られない場合があるからである。
【0011】
本発明の洗浄料には、上記の成分以外にも、通常化粧料で使用されている任意成分を、本発明の効果を損ねない範囲に於いて、含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、ホホバ油、カルナウバワックス,オレイン酸オクチルドデシル等のエステル類、オリーブ油、牛脂、椰子油等のトリグリセライド類、ジメチコンやフェメチコン、アモジメチコン等のシリコーン類、ステアリン酸、オレイン酸、リチノレイン酸等の脂肪酸、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、スルホコハク酸エステルやポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤類、アルキルベタイン塩等の両性界面活性剤類、ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、これらのポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール等の一般式(I)には含まれない多価アルコール類、キサンタンガム、グァーガム、カルボキシビニルポリマー、カチオン化セルロースエーテル、カチオン化グァーガムなどの増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、香料、色材、防腐剤、粉体、トウガラシチンキやメントールなどの清涼成分等が好ましく例示できる。これらの成分を常法に従って処理することにより、本発明の洗浄料は製造することが出来る。勿論、上記任意成分とともに体部洗浄料や洗顔用の洗浄料に製剤化することも出来、この様な洗浄料も、皮膚に於ける過剰分泌皮脂を除去しうることから、本発明の技術的範囲に属する。
【0012】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明が、これら実施例にのみ限定を受けないのは言うまでもない。
【0013】
<実施例1>
以下に示す処方に従って、本発明の洗浄料である、プレシャンプー用のクレンジング1を作成した。即ち、処方成分を70℃で加熱、攪拌して可溶化し、攪拌冷却してプレシャンプー用のクレンジング1を得た。別途、このもののジプロピレングリコールを全て1,3−ブタンジオールに置換した比較例1も作成した。これらを用いて、脂性の人の頭皮より、脂質を除去する検討を行った。即ち、頭の半分を本発明のクレンジング1を5mlふりかけ、良くマッサージした後、洗い流した。同様にして残りの頭部の半分を比較例1で処理し、これらの処理後の写真をビデオマイクロスコープで撮影した。図1にクレンジング1で処理した部位の写真を示す。図2に比較例1で処理した部位の写真を示す。これらを比較すると、本発明の洗浄料である、クレンジング1による処理が有意に脂質汚れを除去していることが判る。
ジプロピレングリコール 15 重量部
エタノール 15 重量部
カルボキシビニルポリマー 0.5重量部
10%苛性カリ水溶液 2 重量部
シリコーンエマルジョン 3 重量部
L−メントール 1 重量部
キサンタンガム 0.1重量部
乳酸ナトリウム 0.1重量部
デカグリセリンラウリン酸エステル 10 重量部
トウガラシチンキ 1 重量部
水 53.3重量部
【0014】
<実施例2>
下記に示す、処方のシャンプーを用いて、上記実施例1のクレンジング1で前処理を行ってシャンプーした場合と、前処理無しでシャンプーした場合の皮脂汚れの残り方を観察した。脂性のパネラーの頭の半分はクレンジング1で前処理を行い、残り半分は前処理をせずに、下記シャンプーで引き続き洗髪し、ビデオマクロスコープで観察を行った。図3に前処理した後シャンプーしたものの写真を、図4に前処理無しで洗髪したものの写真を示す。これより、本発明のプレシャンプー用のクレンジング脂質除去効果が判る。
(シャンプー処方)
ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム 10 重量部
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 5 重量部
ラウリル硫酸ナトリウム 2 重量部
1,3−ブタンジオール 10 重量部
水 73 重量部
【0015】
<実施例3>
以下に示す処方に従って、本発明の洗浄料である、プレシャンプー用のクレンジング2を作成した。即ち、処方成分を70℃で加熱、攪拌して可溶化し、攪拌冷却してプレシャンプー用のクレンジング2を得た。実施例1と同様に処理後の写真をビデオマイクロスコープで撮影した。このものは実施例1と同様の脂質除去効果を有していた。
イソプレングリコール 15 重量部
エタノール 15 重量部
カルボキシビニルポリマー 0.5重量部
10%苛性カリ水溶液 2 重量部
シリコーンエマルジョン 3 重量部
L−メントール 1 重量部
キサンタンガム 0.1重量部
乳酸ナトリウム 0.1重量部
デカグリセリンラウリン酸エステル 10 重量部
トウガラシチンキ 1 重量部
水 53.3重量部
【0017】
<実施例4>
以下に示す処方に従って、本発明の洗浄料である、シャンプー1を作成した。即ち、処方成分を70℃で加熱、攪拌して可溶化し、攪拌冷却してシャンプー1を得た。このものの洗髪後の写真ビデオマイクロスコープで撮影した。このものは通常のシャンプーより脂質除去作用にすぐれるものの、プレシャンプー処理をした後シャンプーしたものには及ばなかった。。
イソプレングリコール 5 重量部
乳酸ナトリウム 0.5重量部
ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム 10 重量部
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 5 重量部
ラウリル硫酸ナトリウム 2 重量部
1,3−ブタンジオール 5 重量部
水 72.5重量部
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、皮脂除去作用を高め、毛髪の維持と脱毛の防止に有益な洗浄剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のクレンジング1で処理した結果を示す図である。(図面代用写真)
【図2】 実施例1の比較例1で処理した結果を示す図である。(図面代用写真)
【図3】 実施例2前処理した後シャンプー結果を示す図である。(図面代用写真)
【図4】 実施例2前処理なしでシャンプー結果を示す図である。(図面代用写真)
Claims (4)
- ジプロピレングリコールおよび/またはイソプレングリコールと、ヒドロキシ酸および/またはその塩を含有する頭皮用の洗浄剤であって、ヒドロキシ酸が乳酸および/またはグリコール酸である、頭皮用の洗浄剤。
- 乳酸および/またはグリコール酸が、乳酸であることを特徴とする、請求項1に記載の頭皮用の洗浄剤。
- プレシャンプー用のクレンジング料であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の、頭皮用の洗浄剤。
- 更にポリグリセリン脂肪酸エステルを非イオン界面活性剤として含有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の頭皮用の洗浄剤。
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