JP4034580B2 - 圧力制御弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力制御弁に関し、更に詳しくは、圧力制御弁体中に逆止弁を一体として複合弁とした圧力制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧力制御弁は蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて多用されている。例えば、特開2000-230650号公報には、弁口の開度を拡大させる向きの力を弁体に作用させるコイルバネを形状記憶合金製とし、弁口の開度が所定開度を越えて小さくなることを規制し、放熱器出口側の冷媒圧力が過度に上昇することを防止できるようにして、放熱器及び圧縮機の超臨界冷凍サイクルの高圧側に位置する機器の損傷を防止できるようにした発明が示されている。
また、特開2000-81157号公報には、放熱器出口側と内部熱交換器入口側とを連通させる第1冷媒通路に制御弁本体の感温部を位置させるとともに、内部熱交換器から流出する冷媒を上流側に導く第2冷媒通路をケーシング本体に形成し、放熱器出口側の冷媒温度変化に対して密閉空間(制御室)内の温度変化の遅れを小さくすることで、圧力制御弁の温度応答性を向上させるようにした発明が示されている。
【0003】
更に、特開2001-82835号公報には、ダイヤフラムと弁体との接合部の疲労破壊を低減することを課題として、密閉空間内に非凝縮性ガス及び所定密度の冷媒を封入し、超臨界域から凝縮域の全域に渡って密閉空間内の圧力と放熱器出口側の冷媒圧力との差圧によってダイヤフラムを変位させ、ダイヤフラムと弁体との接合部に応力が集中してしまうことを防止できるようにした発明が示されている。
【0004】
そして、上記のような従来の圧力制御弁は、一般的に冷凍システム中において逆止弁が併用されることが多いが、冷凍システムの設置上の観点から、即ち、狭いスペースでも圧力制御弁等各種弁の設置が容易であることが望ましい。また、圧力制御弁の耐久性或いはメンテナンス上、或いは、製造・費用の観点から構造が簡単であることが望ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、上記従来技術に求められているニーズを解決すべく発明されたものであり、圧力制御弁に逆止弁を一体化した技術を提案するものである。即ち、本発明は、圧力制御弁に逆止弁を内蔵させることによって、圧力制御弁と逆止弁とのどちらかを選択的に使用可能とし、狭いスペースにも適合でき、且つ、製造が容易で、メンテナンス性が優れた圧力制御弁を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明に係る可変容量型圧縮機用の圧力制御弁は、下記の手段を採用した。請求項1記載の圧力制御弁は、ダイヤフラムの作動により開閉動作する制御用主弁を具備し、該制御用主弁の動作により流体の圧力を制御する圧力制御弁において、前記制御用主弁と同軸の外周に同心円状に前記制御用主弁とは独立した逆止用副弁を配置し、正方向の流体の流れに対しては、前記逆止用副弁は閉まり、前記制御用主弁により流れが制御され、逆方向の流体の流れに対しては、前記制御用主弁は閉まり、前記逆止用副弁が開くことにより流体が流れ、前記逆止用副弁は、前記制御用主弁により開閉される弁孔が設けられた弁受本体により案内される筒状部と、該筒状部に円輪状に形成されたリブと、を具備することを特徴とする。請求項2記載の圧力制御弁は、請求項1記載の手段において、前記リブは、前記制御用主弁を閉方向に付勢する主弁閉ばねを収容するばね室が形成されている出口側ケースに設けられた副弁用弁座に接離可能であることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の圧力制御弁は、請求項2記載の手段において、前記出口側ケースに、前記副弁用弁座に開口する複数個の副弁作用孔を前記ばね室に連通させて穿設したことを特徴とする。請求項4記載の圧力制御弁は、請求項2又は3記載の手段において、前記ばね室と入口側ケースに形成されている冷媒の流入口との間、又は、前記リブに、ブリードポートを設けたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
図1は、実施例1を示している。実施例1の圧力制御弁は、外部枠として、入口側ケース10、ハウジング60、及び出口側ケース80から形成されている。以下、実施例1の構成を説明するが、説明に当って、図面との関係から説明の都合上、「上」、「下」、「左」、又は、「右」と表現するが、具体的な設置状態においては、必ずしも「上」、「下」、「左」、又は、「右」ではない場合がある。
【0010】
圧力制御弁の最上部に位置する入口側ケース10は全体として略筒形状であり、その上部には第1流入口11が形成され、第1流入口11の内周部には、冷凍システムの管路が連結される雌ねじ部12が形成されている。また、その側部には、流出口13及び第2流入口14が形成される。上記流出口13には、例えば、冷凍システム中の熱交換器の流入口が連結され、第2流入口14には、同熱交換器の流出口が連結される。また、入口側ケース10の下端部内周には雌ネジ部16が形成され、後述のハウジング60が連結される。
【0011】
上記入口側ケース10内には、前記流出口13の下部において、感温部蓋体20が入口側ケース10内壁にOリング33を介して装着される。感温部蓋体20の上部にはキャピラリチューブ21が設けられると共に、その下部には制御用主弁70の主弁頭部70aに設けられたリング状突起部70a'に、ダイアフラム30及び補強板31がこの順にはめ込まれ、これらが一体に溶接されて制御用主弁が構成され、また、主弁頭部70aの下部にはリング状の受け枠40が配置される。そして、感温部蓋体20、制御用主弁70の主弁頭部70aと一体に溶接されたダイアフラム30の周端立下げ部、及び受け枠40が溶接されて密閉空間22が形成される。この密閉空間22には、二酸化炭素が封入されている。
上記受け枠40には、その中心部にOリング42を介して制御用主弁70が上下に移動可能に挿通され、主弁室55内の流体圧をダイアフラム30の下部受圧面に作用させる導入孔41が穿設されている。また、受け枠40に0リング42を固定させるに当っては、座金52を設け受け枠40の下端がかしめられている。なお、受け枠40と、ダイアフラム30及び主弁頭部70aとの間、及び、ダイアフラム30と感温部蓋体20との間には適宜の間隙が設けられている。
【0012】
弁受本体50は、略カップ状に形成され、その底部には制御用主弁70が挿通される弁孔53が穿設され、また、弁受本体50の側部周壁には複数個の導通孔51が穿設されている。そして、弁受本体50は、受け枠40の下部に装着される。また、弁受本体50下部で弁孔53の入り口には、弁座53aが形成され、更に、その周部には後述の主弁閉ばね73のばね受部54が形成される。
【0013】
制御用主弁70は、全体として柱形状で、ダイアフラム30が設けられる主弁頭部70a、弁受本体50の上部の弁座53aに当接して弁作用をする弁部70b、及び、下部の弁柱部70cからなり、弁柱部70c下部に装着された調節ネジ71を介してばね受け72が設けられ、このばね受け72と弁受本体50のばね受部54との間には主弁閉ばね73が配置され、制御用主弁70を下方へ押圧し、弁部70bを弁座53aに当接させる(閉止する)ように構成されている。
【0014】
入口側ケース10の下部には、前記感温部蓋体20、ダイアフラム30、受け枠40、制御用主弁70、及び、弁受本体50が装着されている状態で、ハウジング60がOリング61を介して装着されている。ハウジング60の上部は主弁閉ばね73のばね室66となっており、その下部には、Oリング82を介して後述の出口側ケース80が装着される。
ハウジング60の下底部には、順流路64がばね室66と後述の出口側ケース80の順流路84と連通するように穿設され、また、ハウジング60の下底部中心部には、円柱状の副弁用孔65が形成されている。また、ハウジング60には副弁用孔65と第2流入口14とを結ぶ第1逆止流路62及び第2逆止流路63が連通状態で穿設されている。
【0015】
ハウジング60下部には、逆止用副弁90(後述)が副弁用孔65に装着され、その後、出口側ケース80が装着される。出口側ケース80の上部外周には、ねじ部87が形成され、下部には管路取付用のねじ部88が形成される。また、その上部には前記順流路64に連通する順流路84が穿設され、また、その上部中央部には副弁作用孔85が形成されると共に、該副弁作用孔85の上端部は副弁用弁座86となる。また、出口側ケース80の下部軸芯部には、順流路84及び副弁作用孔85に連通する主流路83が形成されている。
【0016】
逆止用副弁90は、制御用主弁70の動作方向の延長線上に配置される副弁用孔65に内装される。逆止用副弁90は、図1に示すように円筒カップ状であり、その底部が副弁ばね91や第2流入口14からの流体圧により押圧されて副弁用弁座86に当接しているときは、流体は逆止用副弁90を通過できず、流体は流れない。なお、逆止用副弁90の側壁には連通孔93が穿設されている。
【0017】
次に、実施例1の動作について説明する。先ず、感温部の動作について説明すると、実施例1の圧力制御弁において、第1流入口11から流入した流体は、流出口13から、圧力制御弁外に流出する。その間、第1流入口11から流入した流体の温度により、密閉空間22内に密閉されている二酸化炭素は、その温度の程度に応じて膨張又は収縮し、ダイアフラム30を通じて制御用主弁70に対し下方へ押圧力を加える。換言すれば、二酸化炭素が流体の温度により仮に膨張すれば、その膨張の程度に応じて制御用主弁70を下方へ押圧し、弁孔53を閉方向に作用することになる。
【0018】
第2流入口14から流入した流体は、弁部70bが弁座53aに当接しておらず、即ち、「開」のときは、主弁室55から弁孔53を通って、ばね室66に入り、順流路64、順流路84及び主流路83から流出する。この間、弁孔53は制御用主弁70の弁部70bにより圧力制御のために開閉される。したがって、第1流入口11に流入する流体は流体温度に対応して圧力制御された流体となる。
【0019】
また、この方向の流れにおいて、流体は第1逆止流路62に分流し、分流した流体は、第2逆止流路63及び連通孔93から副弁用孔65に入り、逆止用副弁90に対して閉方向に作用する。
【0020】
次に、流体の流れが切り換えられ、流体が出口側ケース80側から第2流入口14側に逆流するときは、副弁作用孔85から流入する流体が逆止用副弁90を開とし、第2逆止流路63及び第1逆止流路62を通って第2流入口14から流出する。この間、弁孔53は制御用主弁70の弁部70bが主弁閉ばね73により閉となっており、流体の正方向の流れはない。
【0021】
実施例1は、制御用主弁70の直下に逆止用副弁90を設けたため、逆止用副弁90を収納するためのハウジング60が必要となり、その結果、部品点数が増え、且つ、圧力制御弁の全長が伸長して、大型化するものの、全体として小型化を図ることができる。
【0022】
【実施例2】
次に、実施例1を更にコンパクト化した実施例2について図2を参照して説明する。実施例2においては、入口側ケース10を構成する第1流入口11、雌ねじ部12、流出口13、第2流入口14及び雌ネジ部16は、実施例1と基本的には同一である。
【0023】
この入口側ケース10内に配置される感温部蓋体20のキャピラリチューブ21'は実施例1のものに比べて比較的長く形成されており、密閉空間22に付いては、実施例1と変わるところはない。実施例2では、キャピラリチューブ21'を長くすることによりCO2封入し、キャピラリチューブ21'先端を冷間圧接にて封止したときに、封止部の封止効果を高めることができる。また、感温部蓋体20の筒部側面にキャピラリチューブ21'をろう付けする。この構成により、感温部蓋体20の筒部にキャピラリチューブ21'を巻きつけるように配置できるため、狭いスペースの中にあっても、入口側ケース10の軸方向に余裕をもって長いキャピラリチューブ21'を収納できる。
また、ダイアフラム30が、補強板31に装着されていることは実施例1とおなじである。更に、入口側ケース10への感温部蓋体20の装着は、後述の出口側ケース80'を入口側ケース10の下部の雌ネジ部16に装着することで、弁受本体50を介して行われる。
なお、本実施例2には、実施例1の受け枠40に相当する構成部材は、単一部材としては存在しない。
【0024】
弁受本体50は、入口側ケース10の下部の雌ネジ部16に装着される出口側ケース80'(後述)により下方から支持されている。弁受本体50の軸芯部には制御用主弁70が配置されるとともに、その上下方向の中間部には複数個の導通孔56が形成され、その中央部の主弁室55には、軸芯部下部に弁孔53が穿設され、その入り口周部には弁座53aが形成される。
また、弁受本体50には、導通孔56からダイアフラム30の下部受圧面に流体圧を作用させる導入孔59が穿設され、また、弁孔53の下部周囲には、主弁閉ばね73のばね受部54が形成されている。更に、弁受本体50の肩部には副弁ばね受部57が形成されている。
なお、本実施例2には、実施例1のハウジング60に相当する構成部材は、単一部材としては存在しない。
【0025】
実施例2の制御用主弁70の構成は、基本的には、実施例1と同じである。
即ち、制御用主弁70は、全体として柱形状で、ダイアフラム30が設けられる主弁頭部70aと、弁受本体50の弁座53aに離接して弁作用をする弁部70bと、下部の弁柱部70cと、からなる一体物である。そして、制御用主弁70には、弁柱部70c下部に装着された調節ネジ71を介してばね受け72が設けられ、このばね受け72と弁受本体50のばね受部54との間には主弁閉ばね73が配置され、制御用主弁70を下方へ押圧する。上記構成により、弁部70bを弁受本体50の弁座53aに当接させる(閉止する)ように構成されている。
【0026】
実施例2では、出口側ケース80'は、全体として筒状に形成され、その軸芯部の上部には弁受本体50が連結され、且つ、その上部外周には、入口側ケース10の雌ネジ部16と螺合するねじ部87'が形成される。そして、軸芯部の中間部は、ばね室83'が形成されると共に、その下部には主流路83が形成されている。
また、ばね室83'の側壁には、流路溝部85aがリング状に形成され、更に、該流路溝部85aに連通して、複数本の副弁作用孔85が第2流入口14に連通するように形成される。更に、ばね室83'と流入口14との間には、ブリードポート89が形成されている。
【0027】
また、出口側ケース80'の上面で弁受本体50の外周には、副弁用弁座86'がリング状に形成され、この副弁用弁座86'に蓋体状で、副弁作用孔85の上部の開口部を閉止可能な逆止用副弁90'が載置される。
又、出口側ケース80'の下部外周にはねじ部88が形成されている。また、出口側ケース80'を入口側ケース10に取り付け(螺合し)た後は、溶接部100により、両部材は固着・密閉される。なお、入口側ケース10と出口側ケース80'との螺合部にそれぞれ開先が形成され、該両開先部が溶接部100とされている。
【0028】
本実施例2の逆止用副弁90'は、制御用主弁70と同軸の外周に同心円状に配置され、上記弁孔53が設けられた弁受本体50により案内される筒状部94と、該筒状部94に円輪状に形成されたリブ95とを具備する。上記リブ95は、主弁閉ばね73用のばね室83'が形成されている出口側ケース80'に形成された副弁用弁座86'に当接可能である。
通常は、逆止用副弁90'と副弁ばね受部57との間に縮装される副弁ばね91'により、副弁作用孔85を閉止している。なお、上記出口側ケース80'に設けたブリードポート89に代えて、逆止用副弁90'の一部(副弁作用孔85の開口部相当部分)にブリードポート90'aを形成してもよい。
また、実施例2の逆止用副弁90'は、プレス成形や樹脂成形ができ、部品としてもコスト低減できる。また、逆止用副弁90'を金属素材で加工・成形する場合は、シール面に樹脂又はゴム等をコーティング、もしくは焼付けてもよい。
【0029】
次に、実施例2の動作について説明する。
実施例2の圧力制御弁において、第1流入口11から流入し流出口13から流出する流体の温度に伴う感温部の作動は、実施例1の圧力制御弁の場合と同じである。
圧力制御弁の第2流入口14から再度流入した流体は、弁部70bが弁座53aに当接しておらず、即ち、制御用主弁70が「開」のときは、主弁室55から弁孔53を通って、ばね室83'に入り、主流路83から流出する。この間、弁孔53は制御用主弁70により圧力制御のために開閉される。したがって、第1流入口11に流入する流体は流体温度に対応して圧力制御された流体となる。
【0030】
また、この方向の流れにおいて、副弁用弁座86'に当接する逆止用副弁90'のリブ95の背面に印加される圧力及び副弁ばね91'のばね荷重により逆止用副弁90'を閉方向に作用する。
【0031】
次に、流体の流れが切り換えられ、出口側ケース80'側から第2流入口14側に逆流するときは、副弁作用孔85から流入する流体が逆止用副弁90'を開とし、第2流入口14から流出する。この間、弁孔53は制御用主弁70の弁部70bが主弁閉ばね73により閉となっており、流体の正方向の流れはない。
【0032】
実施例2では、全体として実施例1と比べて小型化を図ることができる。即ち、実施例1は、制御用主弁70の下部に逆止用副弁90を設けたため、逆止用副弁90を収納するためのハウジング60が必要となり、その結果、部品点数が増え、圧力制御弁の全長が伸長して、大型化するのに対して、実施例2では、逆止用副弁90'と副弁ばね91'とを制御用主弁70と同軸の外周に配置したことにより、実施例1で必要なハウジング60が不要となる。そのため、小型軽量化が可能となり、圧力制御弁の製作コストの低減を図ることができる。
【0033】
また、実施例2の逆止用副弁90'は、プレス成形や樹脂成形ができ、部品としてもコストを低減できる。また、逆止用副弁90'を金属素材で加工・成形する場合は、シール面に樹脂又はゴム等をコーティング、もしくは焼付けてもよい。更に、実施例1は、出口側ケース80に逆止用副弁90の副弁用弁座86を切削加工していたのに対し、実施例2は、出口側ケース80'の管路用のねじ部88に対極する円輪面の同心円上に、複数個の副弁作用孔85を等分割で穿設したことにより副弁用弁座86'を形成できるので、加工が容易となりコスト低減を図れる。
【0034】
更に、実施例1では、受け枠40と弁受本体50を別個に製作し、ねじにて締結していたため、部品点数・工数共に増加する傾向にあった。更に加えて、二部品を組合わせて一体化するため、組合せによる寸法誤差が生じ、精度が低下するという惧れがあったが、実施例2では、受け枠40と弁受本体50とを一体加工するため、部品点数は1個で済み、また寸法精度も組合せによる誤差がないので高精度が確保され、信頼性の高い圧力制御弁を提供できる。
更に、実施例1は、感温部蓋体20の大径側外周をOリング33でシールする一方、弁受本体50とハウジング60とは、それぞれに設けてある雄ねじと雌ねじを螺合させ、締付けることにより内部シールしているため、感温部蓋体20については、Oリング33の関連加工が加わり、更にシール材としてのOリング33が必要である。
【0035】
また、弁受本体50とハウジング60については、内部シールのため、締着させるには、弁受本体50には雄ねじ、ハウジング60には雌ねじ加工をしなければならず、更にシール性を確保するために、トルク管理をしてねじを締付けるという工数まで加わるため、製造コストが高くなる。
しかし、実施例2に於いては、感温部蓋体20と入口側ケース10の内部シール部、及び、弁受本体50と出口側ケース80'の内部シール部をメタルシールとし、また、入口側ケース10と出口側ケース80'をねじ締結する際のねじ締付けトルクを、各メタルシール部への突き当て荷重に変換し、メタルシール面を固着させるため、感温部蓋体20についてはOリング溝、及びOリング33が不要となり、また弁受本体50及び出口側ケース80'を接続するためのねじ加工が必要なくなるので、コスト低減が図れる。
【0036】
更に、実施例1は、Oリング61とOリング82とを装着し、外部シールしているため、Oリング部材からのガス透過による外部へのスローリークが発生する惧れが考えられる。しかし、実施例2では、入口側ケース10と出口側ケース80'をねじ締結後、両ねじ合わせ部に開先を設けて外周を溶接するため、Oリング溝加工やOリングが不要となり、コスト低減が図れ、また、溶接により外部シールするので外部へのリークを零にできる。
また、実施例2では、出口側ケース80'にブリードポート89を加工するため、その加工が容易である。したがって、実施例2のように、出口側ケース80'にブリードポート89を設けることにより、エアセット作業は内機組立品(感温部蓋体20、弁受本体50,ダイアフラム30,制御用主弁70等組立品)のみで専用治具で調整できるので、ブリードポート89からの流出がなく、素早く作業でき効率的である。出口ケース80'のブリードポート89を廃止し、逆止用副弁90'aを設けても同等の効果が得られる。
【0037】
また、実施例2では、キャピラリチューブ21'を長くすることによりCO2封入し、キャピラリチューブ21'先端を冷間圧接にて封止したときに、封止部の封止効果が高まるという効果もある。更に、感温部蓋体20の筒部側面にキャピラリチューブ21'をろう付けすることにより、感温部蓋体20の筒にキャピラリチューブ21'を巻きつけるように配置できるため、狭いスペースの中にあっても、入口側ケース10の軸方向に余裕をもって長いキャピラリチューブ21'を収納できるという効果もある。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明は、全体として小型化を図ることができる。即ち、逆止用副弁と副弁ばねとを制御用主弁と同軸の外周に配置したことにより、ハウジングが不要となり、小型軽量化が可能となり、圧力制御弁の製作コストの低減を図ることができる。
【0039】
また、本発明は、出口側ケースの管路用雄ねじ部に対極する円輪面の同心円上に、複数個の副弁作用孔を等分割で穿設したことにより副弁用弁座を形成できるので、加工が容易となりコスト低減を図れる。
【0040】
更に、本発明は、受け枠と弁受本体とを一体加工するため、部品点数は1個で済み、また寸法精度も組合せによる誤差がないので高精度が確保され、信頼性の高い圧力制御弁を提供できる。
【0041】
また、本発明に於いては、感温部蓋体と入口側ケースの内部シール部、及び、弁受本体と出口側ケースの内部シール部をメタルシールとし、また、入口側ケースと出口側ケースをねじ締結する際のねじ締付けトルクを、各メタルシール部への突き当て荷重に変換し、メタルシール面を固着させるため、感温部蓋体についてはOリング溝、及びOリングが不要となり、また弁受本体及び出口側ケースを接続するためのねじ加工が必要なくなるので、コスト低減が図れる。
【0042】
更に、本発明は、入口側ケースと出口側ケースをねじ締結後、両ねじ合わせ部に開先を設けて外周を溶接するため、Oリング溝加工やOリングが不要となり、コスト低減が図れ、また、溶接により外部シールするので外部へのリークを零にできる。
【0043】
また、本発明は、出口側ケース又は逆止用副弁にブリードポートを加工するため、加工が容易である。従来、弁受本体に相当する部分にブリードポートを設けた圧力制御弁もあるが、エアセット作業時、ブリードポートからのエア流出量が多く、セット作業に手間取るという問題があったが、本発明のように、出口側ケースにブリードポートを設けることにより、エアセット作業は内機組立品(感温部蓋体、弁受本体,ダイアフラム,制御用主弁等組立品)のみの専用治具で調整できるので、ブリードポートからの流出がなく、素早く作業ができて効率的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例1の縦断面図。
【図2】本発明に係る実施例2の縦断面図。
【符号の説明】
10・・入口側ケース 11・・第1流入口 12・・雌ねじ部
13・・流出口 14・・第2流入口 16・・雌ネジ部
20・・感温部蓋体 21,21'・・キャピラリチューブ
22・・密閉空間
30・・ダイアフラム(センサー部) 31・・補強板
33・・Oリング
40・・受け枠 41・・導入孔 42・・Oリング
50・・弁受本体 51・・導通孔 52・・座金
53・・弁孔 53a・・弁座
54・・ばね受部 55・・主弁室
56・・導通孔 57・・副弁ばね受部 59・・導入孔
60・・ハウジング 61・・Oリング 62・・第1逆止流路
63・・第2逆止流路 64・・順流路 65・・副弁用孔
66・・ばね室 70・・制御用主弁
70a・・主弁頭部 70a'・・リング状突起
70b・・弁部 70c・・弁柱部
71・・調節ネジ 72・・ばね受け 73・・主弁閉ばね
80,80'・・出口側ケース
82・・Oリング 83・・主流路 83'・・ばね室
84・・順流路 85・・副弁作用孔
85a・・流路溝部 86,86'・・副弁用弁座
87,87',88・・ねじ部 89・・ブリードポート
90,90'・・逆止用副弁 90'a・・ブリードポート
91,91'・・副弁ばね 93・・連通孔
94・・筒状部 95・・リブ 100・・溶接部

Claims (4)

  1. ダイヤフラムの作動により開閉動作する制御用主弁を具備し、該制御用主弁の動作により流体の圧力を制御する圧力制御弁において、前記制御用主弁と同軸の外周に同心円状に前記制御用主弁とは独立した逆止用副弁を配置し、正方向の流体の流れに対しては、前記逆止用副弁は閉まり、前記制御用主弁により流れが制御され、逆方向の流体の流れに対しては、前記制御用主弁は閉まり、前記逆止用副弁が開くことにより流体が流れ
    前記逆止用副弁は、前記制御用主弁により開閉される弁孔が設けられた弁受本体により案内される筒状部と、該筒状部に円輪状に形成されたリブと、を具備することを特徴とする圧力制御弁。
  2. 前記リブは、前記制御用主弁を閉方向に付勢する主弁閉ばねを収容するばね室が形成されている出口側ケースに設けられた副弁用弁座に接離可能であることを特徴とする請求項1記載の圧力制御弁。
  3. 前記出口側ケースに、前記副弁用弁座に開口する複数個の副弁作用孔を前記ばね室に連通させて穿設したことを特徴とする請求項2記載の圧力制御弁。
  4. 前記ばね室と入口側ケースに形成されている冷媒の流入口との間、又は、前記リブに、ブリードポートを設けたことを特徴とする請求項2又は3記載の圧力制御弁。
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