JP4034562B2 - 表示装置及び階調表示方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル等の表示パネルの階調表示を行う表示装置及び階調表示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各画素がマトリクス状に形成されたプラズマディスプレイパネル(以下、PDP)の階調表示を行うPDP表示装置では、PDPの表示を行う場合、1/60秒に相当する1フレーム表示期間(表示パネルの1画面を表示する期間:1フィールド期間)を、画素の点灯期間である維持発光期間(発光輝度に比例)の相対比がそれぞれ異なる複数のサブフィールドにより構成している。
【0003】
図6の例は、1フレーム表示期間が8個のサブフィールドSF1〜SF8により構成され、8個の階調ビットにより256階調表示を行う例である。
即ち、最下位の階調ビット(1ビット目)がサブフィールドSF1に対応するとともに、以下順に、2ビット目の階調ビットがサブフィールドSF2に、3ビット目の階調ビットがサブフィールドSF3に、4ビット目の階調ビットがサブフィールドSF4に、5ビット目の階調ビットがサブフィールドSF5に、6ビット目の階調ビットがサブフィールドSF6に、7ビット目の階調ビットがサブフィールドSF7にそれぞれ対応し、最上位の階調ビット(8ビット目)がサブフィールドSF8に対応する。
【0004】
このように各サブフィールドSF1〜SF8では、維持発光期間がそれぞれ階調数(発光輝度の相対比:維持発光パルス数に比例)1(=20 ),2(=21 ),4(=22 ),8(=23 ),16(=24 ),32(=25 ),64(=26 ),128(=27 ) として重み付けされている。
【0005】
ここで、各サブフィールドSF1〜SF8は維持発光期間の他に走査期間を有している。
サブフィールドSF1の走査期間では、最下位ビット(1ビット目)の表示データに対応するPDP1の各画素への前記表示データの書き込みを行う。そしてPDP1の全画面の表示データの書き込みが終了すると、維持発光期間ではPDPの全画面に維持発光パルスを例えば1回印加して書き込みが行われた画素だけ発光表示させる。
【0006】
次に、サブフィールドSF2の走査期間では、2ビット目の表示データに対応する各画素への表示データの書き込みを行う。そしてPDP1の全画面の書き込みが終了すると、維持発光期間ではPDP1の全画面に維持発光パルスを例えば2回印加して、書き込みが行われた画素だけ発光表示させる。以下、サブフィールドSF3,SF4,SF5,SF6,SF7,SF8についても、走査期間ではそれぞれ対応するビットの表示データに応じた各画素への表示データの書き込みを行い、これが終了すると、次の維持発光期間では維持発光パルスをそれぞれ4回,8回,16回,32回,64回,128回印加して書き込みが行われた画素だけ発光表示させる。
【0007】
こうしたPDP表示装置では、CRTの発光特性と互換性を保つために、γ逆補正と呼ばれる補正を行っている。しかし、こうしたγ逆補正は低輝度部分において階調の著しい低下を招くため、誤差拡散処理と呼ばれる処理を行って低輝度部分の階調を増加させるようにしている。
【0008】
図7は、前述したγ逆補正を行うγ逆補正部と誤差拡散処理を行う誤差拡散処理部とを設けたPDP表示装置の構成を示すブロック図である。また、図8及び図9は誤差拡散処理部の動作を説明する図である。図7〜図9を用いて従来の誤差拡散処理を説明する。
【0009】
PDP表示装置では映像信号を入力すると、図7のレベル調整部11によりレベル調整が行われ、さらにA/D変換部12により図8(a)に示すような、それぞれのビット値がa〜hの8ビットデータにA/D変換される。図7のγ逆補正部13は、A/D変換された8ビットデータを入力すると、γ逆補正を行って図8(b)に示すような、それぞれのビット値がi〜tの12ビットデータに変換し誤差拡散処理部20に出力する。
【0010】
誤差拡散処理部20は、γ逆補正部13からの12ビットデータを入力すると、このビット値i〜tの12ビットデータを後述するビットシフト処理等を行うために、便宜上この12ビットデータの下位にそれぞれビット値が「0」の5ビットデータを付加して17ビットデータとする。そしてこの17ビットデータを1ビットシフトして図8(c)に示す17ビットデータを生成する。そして、この17ビットデータについて、図8(d)のように、上位の16〜8ビットからなる9ビットデータ(実質的には、ビット値i〜pの8ビットデータ)と下位の7〜0ビットからなる8ビットデータ(実質的には、ビット値q〜tの4ビットデータ)とにビット分割し、かつ上位の9ビットデータを整数部(Integer)とし、下位の8ビットデータを小数部(Decimal:誤差部分)とする。
【0011】
ここで、誤差拡散処理部20では、図8(e)に示すように、誤差部分である前記小数部の7〜0ビットの値q,r,s,tをもとに誤差拡散処理を行う。そして、この誤差拡散処理により、当該画素の誤差と前の画素の誤差拡散処理に基づく誤差とが加算された結果、キャリーが発生すると、整数部であるビット値i〜pの9ビットデータに「1」を加算する加算処理を行い、図8(f)のように、ビット値A〜Hを有する9ビットデータとして出力する。なお、前記誤差拡散処理の結果キャリーが発生しない場合は、図8(d)のビット値i〜pの9ビットデータをそのまま、図8(f)のビット値A〜Hの9ビットデータとして出力する。
【0012】
ここで、図9に示すようにPDP1のラインnに各画素(ドット)がP11,P12,P13のように配置され、ラインnの次のラインであるラインn+1に各画素がP21,P22,P23のように配置されている場合、図8(f)でビット値A〜Hの9ビットデータが値Xとして出力された画素をP12とすると、図8(e)の誤差拡散処理の結果の値の7/16を次の画素P13の誤差値に加算し、かつ前記誤差拡散処理の結果の値の3/16,5/16,1/16を、それぞれ次のラインの画素21,P22,P23の誤差値に加算する。このような誤差拡散処理部20の処理により、PDP1の低輝度部分の階調が増加する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来のPDP表示装置では、誤差拡散処理を行って低輝度部分の階調を増加させるようにしている。しかしながら、こうした従来の誤差拡散処理では、誤差拡散処理に基づくキャリーの発生に起因して低輝度部分で最小発光レベルのノイズが発生するという問題が生じ、これが粒状ノイズとして目立つことから、画質の向上が期待できないという課題があった。
【0014】
したがって、本発明は、階調表示を行うPDPにおいて低輝度部分における粒状ノイズの発生を抑制し、画質の向上を図ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために本発明は、複数の画素がマトリクス状に配列された表示パネルを備えるとともに、表示パネルの1フィールド表示期間を発光期間がそれぞれ重み付けされた複数のサブフィールドに分割し、映像信号を入力するとA/D変換しかつγ逆補正を行ってnビットの表示データとするとともに、表示データの値に適合するサブフィールドを選択して画素の発光を行う表示装置において、A/D変換されたnビットデータをγ逆補正してn+mビットデータに変換する変換手段と、n+mビットデータのうち、上位ビットを表すnビットデータを整数部データとして分割し、かつ下位ビットを表すmビットデータを小数部データとして分割するとともに、小数部データを、上位及び下位の各ビットデータを示す第1及び第2の小数部データに分割するビット分割手段と、第1の小数部データを入力してディザ処理を行うディザ処理手段と、第2の小数部データを入力して誤差拡散処理を行う誤差拡散処理手段と、隣接画素の一方に対しディザ処理手段の処理モードを選択するとともに、隣接画像の他方に対し誤差拡散処理手段の処理モードを選択する選択手段と、整数部データに対し、選択手段により選択された処理モードに基づく処理結果の値を加算する加算手段とを設けたものである。
【0016】
この場合、選択手段は、水平方向に隣接する各画素に対し互いに異なる処理モードを選択するものである。
また、選択手段は、垂直方向に隣接する各画素に対し互いに異なる処理モードを選択するものである。
また、選択手段は、隣接画素の一方及び他方に対し、奇数フィールドと偶数フィールドとでそれぞれ異なる処理モードを選択するものである。
【0017】
また、本発明は、複数の画素がマトリクス状に配列された表示パネルの1フィールド表示期間を発光期間がそれぞれ重み付けされた複数のサブフィールドに分割するとともに、映像信号を入力するとA/D変換しかつγ逆補正を行ってnビットの表示データとし、かつ表示データの値に適合するサブフィールドを選択して画素の発光を行う階調表示方法において、映像信号を入力するとA/D変換しnビットデータを生成するとともにこのnビットデータをγ逆補正してn+mビットデータに変換する第1のステップと、第1のステップの処理に基づき変換されたn+mビットデータのうち、上位ビットを表すnビットデータを整数部データとして分割し、かつ下位ビットを表すmビットデータを小数部データとして分割するとともに、小数部データを、上位及び下位の各ビットデータを示す第1及び第2の小数部データに分割する第2のステップと、第2のステップの処理に基づき分割された第1の小数部データを入力してディザ処理を行う第3のステップと、第2のステップの処理に基づき分割された第2の小数部データを入力して誤差拡散処理を行う第4のステップと、隣接画素の一方に対し第3のステップの処理を示す処理モードを選択するとともに、隣接画素の他方に対し第4のステップの処理を示す処理モードを選択する第5のステップと、第2のステップの処理に基づき分割された整数部データに対し、第5のステップの処理に基づき選択された処理モードによる処理結果の値を加算する第6のステップとを有する方法である。
【0018】
この場合、第5のステップにおける処理は、水平方向に隣接する各画素に対し互いに異なる処理モードを選択する第7のステップを含むものである。
また、第5のステップにおける処理は、垂直方向に隣接する各画素に対し互いに異なる処理モードを選択する第8のステップを含むものである。
また、第5のステップにおける処理は、隣接画素の一方及び他方に対し、奇数フィールドと偶数フィールドとでそれぞれ異なる処理モードを選択する第9のステップを含むものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照して説明する。
一般に、プラズマディスプレイパネル(以下、PDP)の表示を行う表示装置では、1フレーム表示期間(1画面の表示期間である1フィールド期間)を、維持発光期間がそれぞれ重み付けされた複数のサブフィールドに分割するとともに、入力したアナログ映像信号をA/D変換してサブフィールド数に応じたビット数のデジタルデータとし、変換したビットデータに応じたサブフィールドによりPDPの対応の画素を発光させて所定の階調の画像を得るようにしている。
【0020】
図1は、本発明を適用したPDPの表示装置の構成を示すブロック図である。図1において、本PDP表示装置は、PDP1と、レベル調整部11と、A/D変換部12と、γ逆変換部13と、フレームメモリ14と、出力処理部15と、同期分離部16と、タイミングパルス発生部17と、メモリ制御部18と、駆動タイミング発生部19と、データ変換部30とからなる。
【0021】
ここで、レベル調整部11は、入力映像信号のレベルを調整するものである。A/D変換部12はレベル調整された映像信号のレベルをA/D変換し8ビット表示データとして出力する。γ逆補正部13は、CRTの発光特性と互換性を保つためにその8ビットデータをγ逆補正するものである。データ変換部30は、γ逆補正された12ビットデータについて後述するデータ変換処理を行いフレームメモリ14に格納する。出力処理部15はフレームメモリ14内の各データをPDP1の各画素の表示データとしてデータ電極に出力する。
【0022】
同期分離部16は、入力映像信号から同期信号を分離する。タイミングパルス発生部17は同期分離部16により抽出された垂直同期信号をもとにA/D変換部12及びデータ変換部30によるデータ変換の際のタイミング等の各種タイミング信号を生成する。メモリ制御部18は、タイミングパルス発生部17のタイミング信号に基づきフレームメモリ14内の表示データを出力処理部15側へ出力させる。駆動タイミング発生部19は、タイミングパルス発生部17及びメモリ制御部18からのタイミング信号に基づき前述のサブフィールドのタイミングや、PDP1の各走査電極及び維持電極を駆動するためのパルス信号などを生成する。
【0023】
一般に、この種のPDP表示装置は、周知のように、入力映像信号をA/D変換部12によりA/D変換して8ビットの表示データにした後、この8ビット表示データをCRTの発光特性と互換性を保つためにγ逆補正部13によりγ逆補正を行い、さらにこのγ逆補正に伴う誤差の拡散処理を行っている。本実施の形態では、γ逆補正されたデータについて図6に示すような、発光期間がそれぞれ階調数1(=20 ),2(=21 ),4(=22 ),8(=23 ),16(=24 ),32(=25 ),64(=26 ),128(=27 )として重み付けされた8個のサブフィールドSF1〜SF8によりPDP1内の各画素の階調表示を実現するものである。また、本実施の形態では、γ逆補正後の誤差拡散処理に起因する低輝度部分での粒状ノイズを抑制し画質の向上を図るものである。
【0024】
図2は、このPDP表示装置の要部構成を示す図であり、γ逆補正部13によりγ逆補正された表示データの変換を行うデータ変換部30の構成を示すブロック図である。データ変換部30は、図2に示すように、データシフト部31と、誤差拡散処理部32と、加算処理部33と、処理モード選択部34とからなる。
【0025】
ここで、データシフト部31は、γ逆補正部13によりγ逆補正された12ビットのデータを入力すると、入力した12ビットデータに、下位ビットとしてそれぞれ値「0」の6ビット分のデータを付加して合計18ビットデータとし、この18ビットデータを1ビット分シフトして出力する。このデータシフト部31の出力データのうち、17〜8ビットの上位10ビットデータを加算処理部33に分割出力し、7〜0ビットの下位8ビットデータを第2の小数部(Decimal)のデータとして誤差拡散処理部32に分割出力するように構成する。また、データシフト部31は、加算処理部33に出力される17〜8ビットの上位10ビットデータのうち、17〜9ビットの9ビットデータを整数部(Integer)のデータとして分割出力し、8ビット目のビットデータを第1の小数部のデータとして分割出力するように構成する。
【0026】
誤差拡散処理部32では第2の小数部のデータを入力すると誤差拡散(Error Diffusion)処理を行う。この誤差拡散処理では、今回入力した当該画素の第2の小数部のデータと、既にラインメモリ14Aに格納され他の画素の誤差分散結果である第2の小数部のデータとを加算する。そして、この加算の結果を誤差拡散して後続の各画素への誤差としてラインメモリ14Aに格納する。なお、前記加算の結果キャリーが発生した場合はキャリー信号を加算処理部33に出力する。処理モード選択部34は、後述するディザ処理(ディザ法(Dither Technique Methed)による処理:濃淡画像を2値に量子化し、マクロ的にみた場合入力画像の濃淡が感じられるように量子化する符号化方式)による処理モードである第1の処理モードと、誤差拡散処理部32の処理モードである第2の処理モードの何れか一方を、PDP1のフレームの奇偶毎、PDP1のラインの奇偶毎、及びPDP1の各隣接画素毎に交互に選択し加算処理部33に出力する。
【0027】
加算処理部33は、処理モード選択部34により第1の処理モードが選択された場合は、整数部の9ビットデータに対し、ディザ処理の処理結果である第1の小数部の値を加算して9ビットのデータとしフレームメモリ14に出力する。また、加算処理部33は、処理モード選択部34により第2の処理モードが選択された場合は、整数部の9ビットデータに対し、誤差拡散処理部32による誤差拡散処理結果に基づく値を加算して(キャリー信号の場合は「1」が加算され、それ以外は何も加算されない)9ビットのデータとしてフレームメモリ14に出力する。ここで、加算処理部33から出力される9ビットデータのうち最上位ビットである8ビット目のデータは「0」であるため、その8ビット目のデータを除く8ビットデータがフレームメモリ14に格納される。
【0028】
図3は、加算処理部33の構成を示す回路図である。加算処理部33は、図3に示すように、加算器33Aと、インバータ回路33Bと、論理積回路33Cと、論理和回路33Eとから構成される。
図3において、加算処理部33の加算器33Aには、画素Pの整数部のデータが入力されている。このとき、処理モード選択部34により第1の処理モードを表す「H」レベルが選択されている場合は論理積回路33Dの一方の入力端子は「H」レベルとなる。この場合、ディザ処理の処理結果である第1の小数部の値が「1」となることにより、「H」レベル信号が論理積回路33Dの他方の入力端子に入力されると論理積回路33Dの出力は「H」レベルとなる。これにより、論理和回路33Eを介して「H」レベル、即ち値「1」が加算器33Aに入力されている画素Pの整数部のデータに加算され、フレームメモリ14側に前記画素Pの表示データとして出力され記憶される。
【0029】
一方、加算処理部33の加算器33Aに画素Pの整数部のデータが入力されているときに、処理モード選択部34により第2の処理モードを表す「L」レベルが選択されている場合は、論理積回路33Cの一方の入力端子は「H」レベルとなる。この場合、この画素Pまたはこの画素P以前に入力された画素データの第2小数部についての誤差拡散処理部32による誤差拡散処理の結果キャリーが発生し、「H」レベル信号が論理積回路33Cの他方の入力端子に入力されると論理積回路33Cの出力は「H」レベルとなる。これにより、論理和回路33Eを介して「H」レベル、即ち値「1」が加算器33Aに入力されている画素Pの整数部のデータに加算され、フレームメモリ14側に前記画素Pの表示データとして出力され記憶される。
【0030】
図4は、PDP表示装置の処理動作を示す図である。また、図5は、データ変換部30の前記処理モード選択部34による選択対象となる画素の配置例を示す図である。図4を中心に、図1〜図3及び図5を用いてPDP表示装置の処理動作をさらに詳細に説明する。
【0031】
PDP表示装置では映像信号を入力すると、図1のレベル調整部11によりレベル調整が行われ、さらにA/D変換部12により図4(a)に示すような、それぞれのビット値がa〜hの8ビットデータにA/D変換される。図1のγ逆補正部13は、A/D変換された8ビットデータを入力すると、γ逆補正を行って図4(b)に示すような、それぞれのビット値がi〜tの12ビットデータに変換しデータ変換部30に出力する。
【0032】
データ変換部30は、γ逆補正部13からの12ビットデータを入力すると、このビット値i〜tの12ビットデータについてビットシフト等を行うために、便宜上この12ビットデータを上位ビットとしてその下位にビット値が「0」の6ビット分を付加し18ビットデータとする。そして、データシフト部31によりこの18ビットデータを1ビットシフトして図4(c)に示すような18ビットデータを生成する。
【0033】
ここで、この18ビットデータについて、データ変換部30は、図4(d)のように、上位の17〜9ビットからなる9ビットデータ(実質的には、ビット値i〜pの8ビットデータ)と、ビット値qの8ビット目のデータと、下位の7〜0ビットからなる8ビットデータ(実質的には、ビット値r〜tの3ビットデータ)とにビット分割する。そして、ビット値i〜pの9ビットデータを整数部(Integer)とし、ビット値qの8ビット目のデータ及びビット値r〜tの8ビットデータをそれぞれ第1及び第2の小数部(Decimal)とし、第2の小数部のデータを誤差拡散処理部32へ与え、整数部のデータ及び第1の小数部のデータを加算処理部33へ与える。
【0034】
ここで、誤差拡散処理部32は、図4(e)に示すように、誤差部分である第2の小数部の7〜5ビットの3ビットデータ値r,s,tをもとに前述した誤差拡散処理を行い、この誤差拡散処理の結果をラインメモリ14Aに格納するとともに、キャリーが発生するとキャリー信号を加算処理部33に出力する。また、加算処理部33にはディザ処理の処理結果である第1の小数部の値(ビット値がqである8ビット目のデータ値)が出力される。さらに、加算処理部33には、整数部のデータ(ビット値i〜pの9ビットデータ)が出力される。
【0035】
加算処理部33では、処理モード選択部34により第1の処理モードが選択されると、図4(d)に示す整数部データ(ビット値i〜pの9ビットデータ)に対して、ディザ処理に基づく第1の小数部のデータ値を加算し、図4(f)のように、ビット値A〜Hを有する9ビットデータとして出力する。また、処理モード選択部34により第2の処理モードが選択されると、図4(d)に示す整数部データに対して、誤差拡散処理部32での誤差拡散処理の結果の値を加算し、図4(f)のように、ビット値A〜Hを有する9ビットデータとして出力する。なお、処理モード選択部34は、隣接する各画素に対し異なる処理モードを選択する。
【0036】
このように、映像信号をA/D変換部12により8ビットデータに変換するとともに、γ逆補正部13により12ビットのデータに変換し、データ変換部30がこの12ビットデータを上位の8ビットの整数部データと、下位の4ビットの小数部データに分割し、さらにこの4ビットの小数部データについて上位の1ビットの第1の小数部データと、下位3ビットの第2の小数部データとに分割し、隣接画素の一方においては第1の小数部データの値を整数部データに加算する処理を行い、隣接画素の他方においては第2の小数部データの誤差拡散処理に基づく処理結果の値を整数部データに加算する処理を行うようにしたので、従来の誤差拡散処理で加算される最小発光レベルの半分の値のみが加算されるのみであり、かつ誤差拡散の分布密度を密にできることから、従来の誤差拡散処理のように低輝度部分での最小発光レベルのノイズが目立つという現象が緩和され、この結果、PDP1の画質を向上させることができる。
【0037】
ここで、処理モード選択部34は、図5(a)に示す奇数フレーム2n−1においては、奇数ラインであるライン2n−1の隣接画素P11,P12の表示データ(整数部データ)に対し、第1,第2の処理モードでの処理結果をそれぞれ加算すると、次のラインである偶数ライン2nの隣接画素P21,P22の表示データに対しては、第2,第1の処理モードでの処理結果をそれぞれ加算するように構成する。すなわち、水平方向に隣接する各画素(P11とP12、P21とP22)毎にそれぞれ異なる処理モードでの処理結果を加算し、かつ垂直方向に隣接する各画素(P11とP21、P12とP22)毎にそれぞれ異なる処理モードでの処理結果を加算する。
【0038】
また、処理モード選択部34は、図5(b)に示す偶数フレーム2nにおいては、奇数フレーム2n−1の場合と逆に、奇数ラインであるライン2n−1の隣接画素P11,P12の表示データに対し、第2,第1の処理モードでの処理結果をそれぞれ加算すると、次のラインである偶数ライン2nの隣接画素P21,P22の表示データに対しては、第1,第2の処理モードでの処理結果をそれぞれ加算するように構成する。
【0039】
なお、本実施の形態では、映像信号をA/D変換部12により8ビットデータに変換するとともに、γ逆補正部13により12ビットのデータに変換し、データ変換部30がこの12ビットデータを上位の8ビットの整数部データと、下位の4ビットの小数部データに分割し、さらにこの4ビットの小数部データについて上位の1ビットの第1の小数部データと、下位3ビットの第2の小数部データとに分割し、隣接画素の一方においては第1の小数部データの値を整数部データに加算する処理を行い、隣接画素の他方においては第2の小数部データの誤差拡散処理に基づく処理結果の値を整数部データに加算する処理を行うようにしているが、γ変換された12ビットデータを、8ビットの整数部データと、下位の4ビットの小数部データに分割するとともに、この下位4ビットの小数部データについてさらに上位の2ビットの第1の小数部データと、下位2ビットの第2の小数部データとに分割し、隣接画素の一方において第1の小数部データのディザ処理に基づく処理結果の値を整数部データに加算する処理を行い、隣接画素の他方において第2の小数部データの誤差拡散処理に基づく処理結果の値を整数部データに加算する処理を行うようにしても同様の効果を奏する。
【0040】
また、A/D変換部12により8ビットデータに変換された映像信号データを、γ逆補正部13により例えば14ビットのデータに変換し、データ変換部30がこの14ビットデータを、上位の8ビットの整数部データと、下位の6ビットの小数部データとに分割するとともに、この下位6ビットデータについて例えば上位2ビットの第1の小数部データと、下位4ビットの第2の小数部データとに分割し、隣接画素の一方において第1の小数部データのディザ処理に基づく処理結果の値を整数部データに加算する処理を行い、隣接画素の他方において第2の小数部データの誤差拡散処理に基づく処理結果の値を整数部データに加算する処理を行うようにしても同様の効果を奏する。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、複数の画素がマトリクス状に配列された表示パネルを備えるとともに、表示パネルの1フィールド表示期間を発光期間がそれぞれ重み付けされた複数のサブフィールドに分割し、映像信号を入力するとA/D変換しかつγ逆補正を行ってnビットの表示データとするとともに、表示データの値に適合するサブフィールドを選択して画素の発光を行う表示装置において、A/D変換されたnビットデータをγ逆補正してn+mビットデータに変換し、このγ逆変換されたn+mビットデータのうち、上位ビットを表すnビットデータを整数部データとして分割し、かつ下位ビットを表すmビットデータを小数部データとして分割するとともに、この小数部データを、上位及び下位の各ビットデータを示す第1及び第2の小数部データに分割する一方、第1の小数部データを入力してディザ処理を行うディザ処理手段と、第2の小数部データを入力して誤差拡散処理を行う誤差拡散処理手段とを設け、隣接画素の一方に対しディザ処理手段の処理モードを選択するとともに、隣接画像の他方に対し誤差拡散処理手段の処理モードを選択し、前記整数部データに対し、選択された処理モードに基づく処理結果の値を加算するようにしたので、従来の誤差拡散処理で加算される最小発光レベルの半分の値のみが加算され、かつ誤差拡散の分布密度を密にできることから、従来の誤差拡散処理のように低輝度部分での最小発光レベルのノイズが目立つという現象が緩和され、この結果、表示パネルの画質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 上記表示装置の要部であるデータ変換部の構成を示すブロック図である。
【図3】 上記データ変換部を構成する加算処理部の回路図である。
【図4】 データ変換部の変換処理を示す図である。
【図5】 データ変換部の変換対象となる画素の配置例を示す図である。
【図6】 表示装置におけるサブフィールドの配列構成を示す図である。
【図7】 従来の表示装置のブロック図である。
【図8】 従来の表示装置における誤差拡散処理を説明する図である。
【図9】 従来の誤差拡散処理の対象となる画素の配置例を示す図である。
【符号の説明】
1…PDP、12…A/D変換部、13…γ逆補正部、14…フレームメモリ、14A…ラインメモリ、15…出力処理部、16…同期分離部、17…タイミングパルス発生部、18…メモリ制御部、19…駆動タイミング発生部、30…データ変換部、31…データシフト部、32…誤差拡散処理部、33…加算処理部、34…処理モード選択部、33A…加算器、33B…インバータ回路、33C,33D…論理積回路、33E…論理和回路、P11,P22,P21,P22…画素。

Claims (8)

  1. 複数の画素がマトリクス状に配列された表示パネルを備えるとともに、前記表示パネルの1フィールド表示期間を発光期間がそれぞれ重み付けされた複数のサブフィールドに分割し、映像信号を入力するとA/D変換しかつγ逆補正を行ってnビットの表示データとするとともに、前記表示データの値に適合するサブフィールドを選択して前記画素の発光を行う表示装置において、前記A/D変換されたnビットデータを前記γ逆補正してn+mビットデータに変換する変換手段と、
    前記n+mビットデータのうち、上位ビットを表すnビットデータを整数部データとして分割し、かつ下位ビットを表すmビットデータを小数部データとして分割するとともに、前記小数部データを、上位及び下位の各ビットデータを示す第1及び第2の小数部データに分割するビット分割手段と、
    前記第1の小数部データを入力してディザ処理を行うディザ処理手段と、
    前記第2の小数部データを入力して誤差拡散処理を行う誤差拡散処理手段と、
    隣接画素の一方に対し前記ディザ処理手段の処理を示す第1の処理モードを選択するとともに、隣接画素の他方に対し前記誤差拡散処理手段の処理を示す第2の処理モードを選択する選択手段と、
    前記整数部データに対し、前記選択手段により選択された処理モードに基づく処理結果の値を加算する加算手段と
    を備えたことを特徴とする表示装置。
  2. 請求項1において、
    前記選択手段は、水平方向に隣接する各画素に対し互いに異なる処理モードを選択することを特徴とする表示装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記選択手段は、垂直方向に隣接する各画素に対し互いに異なる処理モードを選択することを特徴とする表示装置。
  4. 請求項1ないし3の何れかにおいて、
    前記選択手段は、隣接画素の一方及び他方に対し、奇数フィールドと偶数フィールドとでそれぞれ異なる処理モードを選択することを特徴とする表示装置。
  5. 複数の画素がマトリクス状に配列された表示パネルの1フィールド表示期間を発光期間がそれぞれ重み付けされた複数のサブフィールドに分割するとともに、映像信号を入力するとA/D変換しかつγ逆補正を行ってnビットの表示データとし、かつ前記表示データの値に適合するサブフィールドを選択して前記画素の発光を行う階調表示方法において、
    映像信号を入力するとA/D変換しnビットデータを生成するとともにこのnビットデータをγ逆補正してn+mビットデータに変換する第1のステップと、前記第1のステップの処理に基づき変換されたn+mビットデータのうち、上位ビットを表すnビットデータを整数部データとして分割し、かつ下位ビットを表すmビットデータを小数部データとして分割するとともに、前記小数部データを、上位及び下位の各ビットデータを示す第1及び第2の小数部データに分割する第2のステップと、
    前記第2のステップの処理に基づき分割された第1の小数部データを入力してディザ処理を行う第3のステップと、
    前記第2のステップの処理に基づき分割された第2の小数部データを入力して誤差拡散処理を行う第4のステップと、
    隣接画素の一方に対し前記第3のステップの処理を示す第1の処理モードを選択するとともに、隣接画素の他方に対し前記第4のステップの処理を示す第2の処理モードを選択する第5のステップと、
    前記第2のステップの処理に基づき分割された整数部データに対し、前記第5のステップの処理に基づき選択された処理モードによる処理結果の値を加算する第6のステップと
    を有することを特徴とする階調表示方法。
  6. 請求項5において、
    前記第5のステップにおける処理は、水平方向に隣接する各画素に対し互いに異なる処理モードを選択する第7のステップを含むことを特徴とする階調表示方法。
  7. 請求項5または6において、
    前記第5のステップにおける処理は、垂直方向に隣接する各画素に対し互いに異なる処理モードを選択する第8のステップを含むことを特徴とする階調表示方法。
  8. 請求項5ないし7の何れかにおいて、
    前記第5のステップにおける処理は、隣接画素の一方及び他方に対し、奇数フィールドと偶数フィールドとでそれぞれ異なる処理モードを選択する第9のステップを含むことを特徴とする階調表示方法。
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