JP4033758B2 - ポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジンに関する。さらに詳しくは、ε-ポリリジンの有する特性とポリオルガノシロキサンの有する特性の両方を併せ持ち、ポリカチオン系オルガノポリシロキサンとしての応用や親水基と親油基を併せ持つことから界面活性剤としての応用に有用なポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
ε-ポリリジンは、リジン同士が、そのε位のアミノ基と、隣り合うリジンのヒドロキシカルボニル基と酸アミド結合によって結合した高分子化合物である。ε-ポリリジンは、必須アミノ酸であるリジンのポリマーであることから安全性が高く、また、カチオン含量が高いので、抗菌性などの特異な物性を有する。ε-ポリリジンはその特異な物性から、トイレタリー用品、化粧品、飼料添加物、医薬、農薬、食品添加物、電子材料などへの用途が期待される。また、ポリオルガノシロキサンは、各種有機樹脂例えば熱可塑性樹脂にブレンドまたは該有機樹脂と共重合することにより、ポリオルガノシロキサンの特性である耐候性、表面撥水性、潤滑性、低磨耗性、生体適合性、抗血栓性、ガス透過性等を付与できるため、有機樹脂の改質剤として有効であり、塗料、接着剤、コーティング剤、繊維処理剤、無機材料の表面改質剤、トイレタリー用品、化粧品等への利用が知られている。これまで、ケイ素原子及びアミノ酸側鎖のアミノ基を含むポリペプチドが、例えば、下記の特許文献1、特許文献2および特許文献3等に開示されており、毛髪化粧料等に使用することが提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−223921号公報
【特許文献2】
特開平7−228508号公報
【特許文献3】
特開平11−240822号公報
【0004】
しかしながら、該化合物は、合成的に得られるアミノ酸側鎖のアミノ基を含むαタイプのポリペプチドを使用しており、ε−ポリリジンとは明らかに異なる。また、含有するシリル基もアルコキシシリル基やシラノール基であり、ポリオルガノシロキサン基ではなく、これまでに、ε−ポリリジンにポリオルガノシロキサンを含有した化合物は知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ε-ポリリジンは高い抗菌性を有しているが、水溶性のため、その使用は殆どが水系で行われており、油系での応用は殆どなされていない。また、ポリオルガノシロキサンは親油性のため、水には殆ど溶解しない。水溶性または水との親和性の高いポリオルガノシロキサンとしては、ポリエチレングリコールなどで変性したノニオン系のポリオルガノシロキサンが知られている。しかし、ポリカチオン系の水溶性ポリオルガノシロキサンは、殆ど知られておらず、さらに、抗菌性を有するポリオルガノシロキサンも殆ど知られていない。従って、これまで、ε-ポリリジンの有する特性とポリオルガノシロキサンの有する特性の両方を持たす場合には、それぞれをブレンドして使用していたが、これら二つを混合することは、非常に困難であった。そのため、さらに界面活性剤等を第三成分として使用する必要があり、また、高度な乳化技術も必要であった。そこで、ε-ポリリジンの有する特性とポリオルガノシロキサンの有する特性の両方を併せ持つ化合物が求められてきた。
【0006】
本発明者らは従来技術が有する上述の課題に鑑み鋭意研究を重ねた。その結果、ε−ポリリジンと、アミノ基と反応しうる官能基を持つポリオルガノシロキサンとを反応させることにより、下記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジンが得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0007】
(式(1)中、A1、A2、およびA3は下記一般式(2)に表される基またはアミノ基であり、A1、A2、およびA3が3つ同時にアミノ基であることはなく、aは0〜50の整数、bは0〜50の整数、a+bは10〜50の整数である。)
−X−Y−Z (2)
(式(2)中、Xは、
(R1は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数2〜5のアルケニレン基または炭素数6〜10のアリーレン基である)で表される基であり、Yは、炭素数1〜1000の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基を表し、基中の相隣接しない任意のメチレン基は−O−で置換されてもよい。Zは下記一般式(3)または下記一般式(4)で表されるポリオルガノシロキサン基である)
(式(3)中、R2、およびR3は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基であり、cは1〜1000の整数である)
(式(4)中、R2、R3は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基であり、dは0〜1000の整数、eは1〜1000の整数であり、d+eは1〜1000の整数である)。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下に示される。
(1)下記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジン。
(式(1)中、A1、A2、およびA3は下記一般式(2)に表される基またはアミノ基であり、A1、A2、およびA3が3つ同時にアミノ基であることはなく、aは0〜50の整数、bは0〜50の整数、a+bは10〜50の整数である。)
−X−Y−Z (2)
(式(2)中、Xは、
(R1は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数2〜5のアルケニレン基または炭素数6〜10のアリーレン基である)で表される基であり、Yは、炭素数1〜1000の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基を表し、基中の相隣接しない任意のメチレン基は−O−で置換されてもよい。Zは下記一般式(3)または下記一般式(4)で表されるポリオルガノシロキサン基である)
(式(3)中、R2、およびR3は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基であり、cは1〜1000の整数である)
(式(4)中、R2、R3は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基であり、dは0〜1000の整数、eは1〜1000の整数であり、d+eは1〜1000の整数である)。
【0009】
(2)前記第1項記載の式(2)中のXが、
で表される基である前記第1項記載のポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジン。
【0010】
(3)前記第1項記載の式(2)中のXが、
(R1は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数2〜5のアルケニレン基または炭素数6〜10のアリーレン基である)で表される基である前記第1項記載のポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジン。
【0011】
(4)前記第1項記載の式(2)中のXが、
で表される基である前記第1項記載のポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジン。
【0018】
【発明の実施の詳細】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、下記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジンである。
(式(1)中、A1、A2、およびA3は下記一般式(2)に表される基またはアミノ基であり、A1、A2、およびA3が3つ同時にアミノ基であることはなく、aは0〜50の整数、bは0〜50の整数、a+bは10〜50の整数である。)
【0019】
−X−Y−Z (2)
(式(2)中、Xは、
(R1は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数2〜5のアルケニレン基または炭素数6〜10のアリーレン基である)で表される基であり、Yは、炭素数1〜1000の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基を表し、基中の相隣接しない任意のメチレン基は−O−で置換されてもよい。Zは下記一般式(3)または下記一般式(4)で表されるポリオルガノシロキサン基である)
(式(3)中、R2、およびR3は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基であり、cは1〜1000の整数である)
(式(4)中、R2、R3は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基であり、dは0〜1000の整数、eは1〜1000の整数であり、d+eは1〜1000の整数である)。
【0020】
前記の一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジンは、下記一般式(5)で表されるε−ポリリジンとε−ポリリジン中のアミノ基と反応しうる官能基を持つポリオルガノシロキサンとを反応させることにより得られる。
(nは2〜50の整数)
【0021】
原料であるε-ポリリジンは、例えば、具体的には、特許第1245361号公報に記載のストレプトマイセス・アルプラス・サブスピーシーズ・リジノポリメラスを、その組成が、グルコース5重量%、酵母エキス0.5重量%、硫酸アンモニウム1重量%、リン酸水素二カリウム0.08重量%、リン酸二水素カリウム0.136重量%、硫酸マグネシウム・7水和物0.05重量%、硫酸亜鉛・7水和物0.004重量%、および硫酸鉄・7水和物0.03重量%であり、pHが6.8に調整された培地にて培養し、得られた培養物からε−ポリリジンを分離・採取することによって得られる。またはそれを酸、アルカリまたは酵素により適当な分子量に分解したε-ポリリジンなども挙げられる。本発明に使用する上記一般式(5)に表されるε−ポリリジンの中のnは2〜50であり、より好ましくは10〜40である。
【0022】
また、ε−ポリリジン中のアミノ基と反応しうる官能基を持つポリオルガノシロキサンとしては、エポキシ基を持つポリオルガノシロキサン、カルボン酸またはカルボン酸誘導体を官能基に持つポリオルガノシロキサン、ハロゲン化アルキル基を持つポリオルガノシロキサンおよび不飽和基を持つポリオルガノシロキサンをあげることができる。
【0023】
アミノ基と反応しうる官能基の具体例としては、
(R1は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数2〜5のアルケニレン基または炭素数6〜10のアリーレン基であり、R4は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基もしくはトリメチルシリル基であり、Wは塩素、臭素、ヨウ素である)を挙げることができる。
【0024】
上記一般式(2)のXで表される基中のR1、およびアミノ基と反応しうる官能基の具体例に表されるR1は、炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数2〜5のアルケニレン基または炭素数6〜10のアリーレン基であるが、炭素数1〜5のアルキレン基としては、−CH2CH2−、−CH2−CH(−CH3)−、−CH2CH(−C2H5)−、−CH(−CH3)−CH(−CH3)−などの直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基が挙げられ、炭素数2〜5のアルケニレン基としては、−CH=CH−、−CH2−C(=CH2)−、−CH=C(−CH3)−、−C(CH3)=C(−CH3)−などの直鎖状もしくは分岐状のアルケニレン基が挙げられる。
【0025】
また、炭素数6〜10のアリーレン基としては、1,2−フェニレン、4−メチル−1,2−フェニレン、ジメチル−1,2−フェニレン、4−エチル−1,2−フェニレンなどが挙げられる。本発明において上記R1は特に限定されるものではないが、−CH2CH2−、−CH=CH−、−CH2−C(=CH2)−、−CH=C(−CH3)−、1,2−フェニレンであることが好ましい。
【0026】
アミノ基と反応しうる官能基の具体例に表されるR4は、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基もしくはトリメチルシリル基であるが、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、及びフェネチル基などを挙げることができ、また、炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基、およびエチルフェニル基などを挙げることができる。
【0027】
アミノ基と反応しうる官能基の具体例に表されるWは塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハロゲン原子である。
【0028】
上記一般式(2)において、Yは炭素数1〜1000の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基を表し、この基中の相隣接しない任意のメチレン基は−O−で置換されてもよい。具体例として、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、テトラデカメチレン、2−メチルエチレン、2−メチルトリメチレン、2−メチルテトラメチレン、2−メチルペンタメチレン、2−メチルヘキサメチレン、2−メチルヘプタメチレン、2−メチルオクタメチレン、2−メチルノナメチレン、2−メチルデカメチレン、2−メチルウンデカメチレン、−OCH2CH2CH2−、−OCH2CH2OCH2CH2CH2−、−CH2OCH2CH2CH2−、または−(OCH2CH2)mOCH2CH2CH2−、−(OCH(CH3)CH2)mOCH2CH2CH2−、−(OCH2CH(CH3))mOCH2CH2CH2−(mは1以上の整数である)などが挙げられる。本発明において、Yは特に限定されるものではないが、前述の基のうちトリメチレン、デカメチレン、2−メチルエチレン、−OCH2CH2CH2−、−OCH2CH2OCH2CH2CH2−、−CH2OCH2CH2CH2−、−(OCH2CH2)mOCH2CH2CH2−(mは1以上の整数である)であることが好ましい。
【0029】
上記一般式(2)において、Zは上記一般式(3)または上記一般式(4)で表されるポリオルガノシロキサン基である。一般式(3)および一般式(4)において、R2、R3で示される炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、及びフェネチル基などを挙げることができ、炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基、およびエチルフェニル基などを挙げることができる。また、上記一般式(3)において、cは1〜1000の整数であり、上記一般式(4)において、dは0〜1000の整数、eは1〜1000の整数であり、d+eは1〜1000の整数である。
【0030】
ε−ポリリジンのアミノ基と反応しうる官能基を持つポリオルガノシロキサンとしては、官能基を片末端に有する片末端変性ポリオルガノシロキサン、官能基を両末端に有する両末端変性ポリオルガノシロキサン、官能基を側鎖に有する側鎖変性ポリオルガノシロキサンを挙げることができる。本発明において、何れのポリオルガノシロキサンも使用することができるが、両末端変性ポリオルガノシロキサン及び官能基を複数持つ側鎖変性ポリオルガノシロキサンの使用は、単一分子内に官能基が複数存在するため、反応により得られたポリオルガノシロキサン含有ε-ポリリジンが、ゲル化する可能性がある。従って、上記一般式(3)で表される片末端変性ポリオルガノシロキサンまたは、上記一般式(4)で表される官能基を一つ持つ側鎖変性ポリオルガノシロキサンの使用が好ましい。
【0031】
本発明のポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジンは、上記一般式(5)で表されるε−ポリリジンと上記アミノ基と反応しうる官能基を有するポリオルガノシロキサンとを溶媒中で反応させて得られるものである。ポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジン中のポリオルガノシロキサン含有量は、ε−ポリリジンに対するアミノ基と反応しうる官能基を有するポリオルガノシロキサンの仕込比及び該ポリオルガノシロキサンの分子量で制御することができる。反応に使用する溶媒は、ε−ポリリジンが溶解する溶媒であれば特に限定されないが、例えば、メタノール、水−メタノール混合溶媒、水−エタノール混合溶媒、水−ジメチルホルムアミド混合溶媒等が挙げられる。反応溶媒の使用量は、ε−ポリリジンの重量に対して1〜100倍量、好ましくは1〜10倍量である。反応温度は、特に高温で行う必要はなく、室温でも進行すると思われるが、温度が低いほど反応時間が長くなるため、好ましくは、30〜70℃である。
【0032】
反応は、ε−ポリリジンを溶媒に溶解後、アミノ基と反応しうる官能基を持つポリオルガノシロキサンを滴下して行う。滴下時間は0.01〜2時間が好ましい。反応時間は、官能基とアミノ基との反応であることから、短時間で反応が進行すると思われるが、好ましくは、1〜24時間である。また、使用するアミノ基と反応しうる官能基を持つポリオルガノシロキサンによっては上記溶媒に溶解しない可能性がある為、十分に混合する速度で攪拌することが望ましい。反応終了後、溶媒を留去してポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジンを得ることができる。
【0033】
【実施例】
以下に実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
実施例1
磁器攪拌子、冷却管、温度計を取り付けた100ミリリットルの三ツ口フラスコに、ε−ポリリジン(数平均分子量=4090)10.0g、メタノールを30g入れ、室温にて攪拌し、ε−ポリリジンを溶解する。温度を50℃に昇温後、下記一般式(6)
で表される(3−グリシドキシプロピル)−ペンタメチルジシロキサン2.1g(8.05×10−3mol)を5分間で滴下した。50℃の温度を保持した状態で3時間反応させた。3時間経過後、反応液を冷却し、エタノールを10.0g加えた。次に、エバポレーターを用いて反応液中の揮発分を減圧溜去し、生成物として11.8gの微黄色の固体を得た。また、該生成物は、赤外吸収スペクトル法による分析によって、構造を確認した(図1)。
【0035】
実施例2
磁器攪拌子、冷却管、温度計を取り付けた100ミリリットルの三ツ口フラスコに、ε−ポリリジン(数平均分子量=4090)5.0g、メタノールを30.0g入れ、室温にて攪拌し、ε−ポリリジンを溶解する。温度を50℃に昇温後、(3−グリシドキシプロピル)−ペンタメチルジシロキサン5.0g(33.8×10−3mol)を10分間で滴下した。50℃の温度を保持した状態で3時間反応させた。3時間経過後、反応液を冷却し、エタノールを10.0g加えた。次に、エバポレーターを用いて反応液中の揮発分を減圧溜去し、生成物として10.0gの黄色の水飴状化合物を得た。
【0036】
実施例3
磁器攪拌子、冷却管、温度計を取り付けた100ミリリットルの三ツ口フラスコに、ε−ポリリジン(数平均分子量=4090)10.0g、メタノールを30.0g入れ、室温にて攪拌し、ε−ポリリジンを溶解する。温度を50℃に昇温後、下記一般式(7)
で表される片末端エポキシ基をもつ数平均分子量1000のポリジメチルシロキサン2.9gを5分で滴下した。50℃の温度を保持した状態で3時間反応させた。3時間経過後、反応液を冷却し、エタノールを10.0g加えた。次に、エバポレーターを用いて反応液中の揮発分を減圧溜去し、生成物として12.6gの微黄色の固体を得た。また、該生成物は、赤外吸収スペクトル法による分析によって、構造を確認した(図2)。
【0037】
実施例4
磁器攪拌子、冷却管、温度計を取り付けた100ミリリットルの三ツ口フラスコに、ε−ポリリジン(数平均分子量=4090)5.0g、メタノールを15.0g入れ、室温にて攪拌し、ε−ポリリジンを溶解する。温度を50℃に昇温後、実施例3で用いたのと同様の片末端エポキシ基をもつ数平均分子量1000のポリジメチルシロキサン5.0gを5分間で滴下した。50℃の温度を保持した状態で3時間反応させた。3時間経過後、反応液を冷却し、エタノールを10.0g加えた。次に、エバポレーターを用いて反応液中の揮発分を減圧溜去し、生成物として9.9gの微黄色の固体を得た。また、該生成物は、赤外吸収スペクトル法による分析によって、構造を確認した(図3)。
【0038】
実施例5
磁器攪拌子、冷却管、温度計を取り付けた100ミリリットルの三ツ口フラスコに、ε−ポリリジン(数平均分子量=4090)3.0g、メタノールを20.0g入れ、室温にて攪拌し、ε−ポリリジンを溶解する。温度を50℃に昇温後、実施例3で用いたのと同様の片末端エポキシ基をもつ数平均分子量1000のポリジメチルシロキサン10.0gを10分間で滴下した。50℃の温度を保持した状態で3時間反応させた。3時間経過後、反応液を冷却し、エタノールを10.0g加えた。次に、エバポレーターを用いて反応液中の揮発分を減圧溜去し、生成物として12.6gの黄白色の高粘度な液体を得た。
【0039】
実施例6
磁器攪拌子、冷却管、温度計を取り付けた100ミリリットルの三ツ口フラスコに、ε−ポリリジン(数平均分子量=4090)10.0g、メタノールを30.0g入れ、室温にて攪拌し、ε−ポリリジンを溶解する。温度を30℃に昇温後、下記一般式(8)
で表される片末端にカルボン酸基をもつ数平均分子量1000のポリジメチルシロキサン3.1gを5分で滴下した。30℃の温度を保持した状態で1時間反応させた。1時間経過後、反応液を冷却し、エタノールを10.0g加えた。次に、エバポレーターを用いて反応液中の揮発分を減圧溜去し、生成物として11.6gの微黄色の固体を得た。また、該化合物の赤外吸収スペクトルにおいて、ε−ポリリジンに起因する吸収とポリジメチルシロキサン起因の吸収が認められた(図4)。また、該化合物は水には全く溶けない為、水洗により未反応のε−ポリリジンを除去後、ヘキサンに溶解し、0.1N塩酸水にて処理したところ、水層にε−ポリリジンが得られた。従って、本反応で得られた化合物はε−ポリリジンと式(8)のアンモニウム塩であることが判った。
【0040】
【発明の効果】
本発明の一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジンは、ε-ポリリジンの有する特性とポリオルガノシロキサンの有する特性の両方を併せ持っており、これにより、ε−ポリリジンの有する特性を油系で応用できることが可能となり、また、ポリカチオン系オルガノポリシロキサンとしての応用も期待される。さらに、該化合物は親水基と親油基を併せ持つことから界面活性剤としての応用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られたポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジンのIRチャートを示す。
【図2】 実施例3で得られたポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジンのIRチャートを示す。
【図3】 実施例4で得られたポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジンのIRチャートを示す。
【図4】 実施例6で得られたポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジンのIRチャートを示す。
【図5】 本発明で使用したε−ポリリジンのIRチャートを示す。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサン含有ε−ポリリジン。
(式(1)中、A1、A2、およびA3は下記一般式(2)に表される基またはアミノ基であり、A1、A2、およびA3が3つ同時にアミノ基であることはなく、aは0〜50の整数、bは0〜50の整数、a+bは10〜50の整数である。)
−X−Y−Z (2)
(式(2)中、Xは、
(R1は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数2〜5のアルケニレン基または炭素数6〜10のアリーレン基である)で表される基であり、Yは、炭素数1〜1000の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基を表し、基中の相隣接しない任意のメチレン基は−O−で置換されてもよい。Zは下記一般式(3)または下記一般式(4)で表されるポリオルガノシロキサン基である)
(式(3)中、R2、およびR3は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基であり、cは1〜1000の整数である)
(式(4)中、R2、R3は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基であり、dは0〜1000の整数、eは1〜1000の整数であり、d+eは1〜1000の整数である)。
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