JP4033736B2 - ダイバーシチ受信機および受信方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチキャリア用のダイバーシチ受信機およびその受信方法に関するものであり、特に、ディジタル移動体通信等のディジタル無線通信機器に使用されるダイバーシチ受信機および受信方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来のダイバーシチ受信機について説明する。ディジタル移動体通信においては、電波が移動局周辺の地形や地物から反射,回折,散乱を受けることにより、受信信号の振幅や位相が激しく変動するフェージングが生じることがある。フェージング環境下での特性を改善するための技術の一つとして、複数のブランチで信号を受信し、それらを合成あるいは選択するダイバーシチ受信技術が知られている。ダイバーシチ受信では、複数のブランチ信号の合成を行うが、以下では、サンプル毎に重みを算出して合成する合成法として、たとえば、セルフビームステアリングアレーアンテナの構成と動作を説明する。
【0003】
図6は、たとえば、電子情報通信学会論文誌のB−II、Vol.J79−BIIの第448〜458頁に掲載の、三浦他による論文”DBFによる移動体衛星通信用セルフビームステアリングアレーアンテナの構成法”に開示された、セルフビームステアリングアレーアンテナの受信機の構成を示す図である。図6において、111は基準素子における受信信号101と任意の素子における受信信号102との位相差を検出する位相差検出器であり、112,113は位相差情報(位相差を表すcos成分105およびsin成分106)に含まれる雑音成分を抑圧する低域通過ディジタルフィルタ(LPF)であり、114はフィルタ通過後のcos成分107およびsin成分108から再び位相差を角度表示に戻す計算を行う位相差算出器であり、115は位相差成分109を用いて位相回転行列を求め、受信信号102の位相を回転させる位相回転器であり、116は位相回転後の受信信号103と受信信号101とを合成して合成信号104を出力する合成器である。
【0004】
ここで、上記従来の受信機の動作について説明する。受信機では、アンテナ素子毎に得られたI,Qの直交ベースバンド信号に基づいて、すべての素子における受信位相が基準素子と同相になるような回転変換行列の要素を求める。そして、この回転変換行列によって、IQ平面で各受信信号をベクトル回転することにより移相し、基準素子への同相化を行う。これを全素子で合成することにより、アレー出力を得る。
【0005】
以下、具体的に受信機の動作を説明する。直交ベースバンド信号は、Iチャネルを実部,Qチャネルを虚部とする複素数で表示できる。したがって、アレー素子数をm,同相化のための基準素子を#r(1≦r≦m),任意の素子を#j(1≦j≦m)とすると、これらの二つの素子における受信直交ベースバンド信号の複素表示は、式(1)のように表すことができる。
【0006】
【数1】
【0007】
なお、ar,ajは各素子のベースバンド信号振幅を表し、φmは変調位相を表し、θr,θjは各素子における受信信号の検波用共通ローカル信号からの位相オフセットを表し、Δθr,jは2素子間の位相差を表す。また、つぎの演算式(2)により、φmとθrを消去できる。*は複素共役を表す。
【0008】
【数2】
【0009】
そして、式(2)の実部と虚部は式(3)のようになるため、位相差Δθr,jは式(4)によって求めることができる。
【0010】
【数3】
【0011】
【数4】
【0012】
ところが、通常、受信信号には熱雑音が含まれ、受信C/N(搬送波信号電力対雑音電力比)が低い場合には式(3)の状態では誤差が大きいため、実際には、位相差検出器111およびLPF112,113を用いて式(5)により位相差を得る。
【0013】
【数5】
【0014】
なお、F(・)は位相差に含まれる誤差を抑圧するための低域通過ディジタルフィルタ(LPF)を表す。
【0015】
2素子同相化は、式(5)で得られた素子間位相差を用いて受信ベースバンド信号をベクトル回転するための変換行列を求め、この変換行列により、素子毎に受信ベースバンド信号を変換することによって実現する。すなわち、位相回転器115が、式(6)のように、素子#iの受信位相を基準位相#rの受信位相に同相化し、合成器116が、全アンテナ素子で合成することにより、最終的に、等利得合成された受信アレー出力が得られる。
【0016】
【数6】
【0017】
図7は、上記と同様に、電子情報通信学会論文誌のB−II、Vol.J79−BIIの第448〜458頁に掲載の、三浦他による論文”DBFによる移動体衛星通信用セルフビームステアリングアレーアンテナの構成法”に開示された、セルフビームステアリングアレーアンテナにおける近似的な最大比合成受信方法(ダイバーシチ受信機)を示す図である。図7において、117は最大比合成を実現するために受信振幅を補正する振幅補正器であり、振幅補正情報を含んだ位相差成分110を出力する。
【0018】
ここで、上記図7に示す受信機の動作について説明する。たとえば、上記式(6)で同相化された各アンテナ素子からの受信信号を合成する前に、ベースバンド信号振幅の時間平均値を求めておき、これにより重み付けを行う。具体的には、式(6)で用いた回転変換行列の代わりに、式(3)を直接行列要素とする2×2の行列Rjを考えると、同相化のための変換式は式(7)のように表すことができる。
【0019】
【数7】
【0020】
ただし、Rjは式(8)となる。
【0021】
【数8】
【0022】
また、式(8)の中辺に示した演算は、同じく右辺に示されるとおり、同相化のための回転変換に加えて、ar・ajだけ振幅変換を行う変換行列に等しくなっている。なお、式(5)と同様に、受信機雑音を抑圧するため、Rjの各要素を狭帯域のビーム形成用LPF,F(・)に通した変換行列として、式(9)を用いることとする。
【0023】
【数9】
【0024】
式(9)の行列要素における(ar・aj)とcosΔθr,jに含まれる雑音によるランダム成分の時間的変動は無相関であり、また、(ar・aj)とsinΔθr,jの間にも同様の関係が成立するため、式(10)のように近似できる。
【0025】
【数10】
【0026】
また、包絡線成分ar,ajには振幅変調または帯域通過フィルタによる全アンテナ素子で共通な包絡線変動成分とアンテナ素子毎に独立な雑音成分が含まれるが、包絡線変動が比較的小さい場合には、式(11)のようにみなすことができる。
【0027】
【数11】
【0028】
したがって、式(9)は、さらに式(12)と近似できる。
【0029】
【数12】
【0030】
F(ar)は1≦j≦mで共通の値となるため、式(12)を用いた変換を基準素子(j=r)を含むすべてのアンテナ素子の受信信号で行うこととすると、各アンテナ素子における変換行列の振幅係数は、それぞれの受信ベースバンド信号の振幅のLPF出力F(aj)に比例する。すなわち、式(9)の中辺を用いたベクトル変換を行い、これを全アンテナ素子で合成することは、近似的な最大比合成を自動的に行うことと等価となる。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記、従来の受信機におけるセルフビームステアリングアレーアンテナを用いた信号処理では、基準となるブランチを固定するため、フェージング変動により基準ブランチの受信信号の電力が落ち込んだ時にダイバーシチ合成を行うと、十分なダイバーシチゲインを得ることができない、という問題があった。
【0032】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、基準ブランチの受信信号の電力が落ち込んだ場合であっても、十分なダイバーシチ効果を得ることが可能なダイバーシチ受信機を得ることを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるダイバーシチ受信機にあっては、各ブランチの受信信号間の位相差を各ブランチにおける受信信号に応じて重み付けすることによって、ブランチ毎の位相回転量を算出する位相回転量算出手段と、前記各位相回転量に基づいて各ブランチの受信信号の位相を回転させる位相回転手段と、を備えることを特徴とする。
【0034】
つぎの発明にかかるダイバーシチ受信機にあっては、各ブランチの受信信号間の位相差における前サンプルまでの累積結果と、現サンプルにおける各ブランチの受信信号間の位相差と、に基づいて位相回転量算出用の位相差を算出し、当該位相回転量算出用の位相差を各ブランチにおける受信信号に応じて重み付けすることによって、ブランチ毎の位相回転量を算出する位相回転量算出手段と、前記各位相回転量に基づいて各ブランチの受信信号の位相を回転させる位相回転手段と、を備えることを特徴とする。
【0035】
つぎの発明にかかるダイバーシチ受信機にあっては、各ブランチの受信信号間の位相差における前サンプルまでの累積結果と、現サンプルにおける各ブランチの受信信号間の位相差と、に基づいて位相回転量算出用の位相差を算出し、1サンプル前の位相回転量算出用の位相差と現在の位相回転量算出用の位相差との差分を各ブランチにおける受信信号に応じて重み付けし、重み付け後の値と1サンプル前の位相回転量とを加算することによって、ブランチ毎の位相回転量を算出する位相回転量算出手段と、前記各位相回転量に基づいて各ブランチの受信信号の位相を回転させる位相回転手段と、を備えることを特徴とする。
【0036】
つぎの発明にかかる受信方法にあっては、各ブランチの受信信号間の位相差を算出する位相差算出ステップと、前記位相差を各ブランチにおける受信信号に応じて重み付けすることによって、ブランチ毎の位相回転量を算出する位相回転量算出ステップと、前記各位相回転量に基づいて各ブランチの受信信号の位相を回転させる位相回転ステップと、を含むことを特徴とする。
【0037】
つぎの発明にかかる受信方法にあっては、各ブランチの受信信号間の位相差における前サンプルまでの累積結果と、現サンプルにおける各ブランチの受信信号間の位相差と、に基づいて位相回転量算出用の位相差を算出する位相差算出ステップと、前記位相回転量算出用の位相差を各ブランチにおける受信信号に応じて重み付けすることによって、ブランチ毎の位相回転量を算出する位相回転量算出ステップと、前記各位相回転量に基づいて各ブランチの受信信号の位相を回転させる位相回転ステップと、を含むことを特徴とする。
【0038】
つぎの発明にかかる受信方法にあっては、各ブランチの受信信号間の位相差における前サンプルまでの累積結果と、現サンプルにおける各ブランチの受信信号間の位相差と、に基づいて位相回転量算出用の位相差を算出する位相差算出ステップと、1サンプル前の位相回転量算出用の位相差と現在の位相回転量算出用の位相差との差分を各ブランチにおける受信信号に応じて重み付けし、重み付け後の値と1サンプル前の位相回転量とを加算することによって、ブランチ毎の位相回転量を算出する位相回転量算出ステップと、前記各位相回転量に基づいて各ブランチの受信信号の位相を回転させる位相回転ステップと、を含むことを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかるダイバーシチ受信機および受信方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0040】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかるダイバーシチ受信機の構成を示す図である。図1において、11は受信IF(Intermediate Frequency)信号(ブランチ信号1,2)を合成する場合の重み付け係数3,4を算出する重み付け係数算出器であり、12,13はブランチ信号1,2に重み付け係数3,4を乗算する乗算器であり、14は重み付け係数乗算後のブランチ受信信号5,6を合成するブランチ合成器であり、15はダイバーシチ合成出力7の判定結果8を出力する判定器である。ここでは、一例として、シングルキャリア信号を2ブランチ受信した場合を想定する。
【0041】
また、図2は、上記重み付け係数算出器11の構成を示す図である。図2において、21はブランチ信号2の複素共役を生成する複素共役生成器であり、22は複素共役31とブランチ信号1とを複素乗算する複素乗算器であり、23は複素数表現の位相差情報32を角度表現の位相差情報33に変換する変換器であり、24は受信電力比に応じた位相回転量(重み付け係数34,35)を計算する位相回転量算出器であり、25,26は雑音成分抑圧のための低域通過ディジタルフィルタ(LPF)である。
【0042】
ここで、上記のように構成された本実施の形態のダイバーシチ受信機の動作について説明する。まず、重み付け係数算出器11では、ブランチ(1)の受信IF信号(ブランチ信号1)とブランチ(2)の受信IF信号(ブランチ信号2)を用いて、以下のように各ブランチ信号の重み付け係数を計算する。
【0043】
複素共役生成器21,複素乗算器22,変換器23では、式(13)のように、ブランチ信号間の位相差Δθ(i)を求める。
【0044】
【数13】
【0045】
なお、iはサンプル番号を表し、brA(i),brB(i)は各ブランチ信号を表し、brB(i)*はbrB(i)の複素共役を表す。
【0046】
そして、位相回転量算出器24では、上記式(13)で求めた位相差を、各ブランチ信号1,2に応じて重み付けし、各ブランチ信号1,2を位相回転させるための回転量(重み付け係数)を計算する。重み付けの一例としては、たとえば、図3に示す方法が考えられる。たとえば、各ブランチ信号BrA,BrBの位相差をそれぞれの受信電力により重み付けする。ここでは、電力の強いブランチ信号BrAに対する重み付けを大きくする。具体的にいうと、位相回転量算出器24では、式(14)を用いて位相回転量(重み付け係数)ΔθA(i),ΔθB(i)を算出し、この位相回転量を用いて位相回転行列を求める。
【0047】
【数14】
【0048】
つぎに、乗算器12,13では、位相回転行列と各ブランチ信号とを式(15)のように乗算する。
【0049】
【数15】
【0050】
なお、IA(i),QA(i),IB(i),QB(i)はそれぞれブランチA、Bにおける受信信号を表し、IA´(i),QA´(i),IB´(i),QB´(i)はそれぞれ位相回転後のブランチA、Bの受信信号を表す。
【0051】
つぎに、ブランチ合成器14では、各ブランチ用の重み付け係数と各ブランチ信号とを式(16)のようにブランチ合成し、合成後信号I(i),Q(i)を出力する。そして、合成後の信号は判定器15にて検波される。
【0052】
【数16】
【0053】
なお、受信信号の振幅成分を用いた振幅補正器を用いることにより、位相成分だけではなく振幅成分についても最大比合成を実現できる。
【0054】
このように、本実施の形態においては、検波前合成を行う構成とし、さらに、基準信号にその他の信号を同相合成させる従来方式と異なり、信号電力に応じた重み付け係数(位相回転量)を算出し、当該重み付け係数乗算後のブランチ信号を合成する構成とした。これにより、特定のブランチ信号の電力が落ち込んだ場合であっても、合成後の信号において十分なダイバーシチ効果を得ることができる。
【0055】
なお、本実施の形態は、シングルキャリア信号を2ブランチ受信した場合のダイバーシチ受信機に関して説明したが、これに限らず、マルチキャリア信号を複数ブランチ受信した場合のダイバーシチ受信機に対しても適用可能である。この場合は、複数の重み付け係数算出器が必要となる。
【0056】
実施の形態2.
実施の形態2では、たとえば、フェージング伝送路においてドップラー変動が高速な場合に対応したダイバーシチ受信機について説明する。具体的にいうと、ドップラー変動が高速な場合に、位相の連続性を保つために位相差情報を累積して重み付け係数を算出する。なお、本実施の形態の全体構成については、先に説明した実施の形態1の図1と同一である。ここでは、内部構成の異なる重み付け係数算出器11の動作についてのみ説明する。
【0057】
図4は、実施の形態2の重み付け係数算出器11の構成を示す図である。図4において、41は位相差情報33の累積および剰余計算を行う位相差累積/剰余算出器であり、24は累積および剰余計算を行った後の位相差情報51を受け取り、受信電力比に応じた位相回転量を計算する位相回転量算出器である。
【0058】
まず、複素共役生成器21,複素乗算器22,変換器23では、式(17)のように、最新のブランチ信号間の位相差Δθnewを求める。
【0059】
【数17】
【0060】
つぎに、位相差累積/剰余算出器41では、前サンプルまでの位相差情報の累積結果Δθoldを用いて、現サンプルの位相差との差Δθtmpを求める(式(18)参照)。その後、2πで剰余を計算し、その結果をΔθoldに足し合わせてブランチ信号の重み付け係数算出用の位相差Δθ(i)を算出する(式(19)参照)。そして、求めたΔθ(i)を次サンプルにおけるΔθoldとする(式(20)参照)。なお、mod(・)は位相角の−π〜πの範囲における剰余を表す。
【0061】
【数18】
【0062】
【数19】
【0063】
【数20】
【0064】
なお、受信信号の振幅成分を用いた振幅補正器を用いることにより、位相成分だけではなく振幅成分についても最大比合成を実現できる。
【0065】
このように、本実施の形態においては、前サンプルまでの位相差情報の累積結果を用いて重み付け係数を算出する構成とした。これにより、前述した実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、フェージング変動が高速な場合であっても、十分なダイバーシチ効果を得ることができる。
【0066】
実施の形態3.
実施の形態3では、たとえば、フェージング伝送路においてドップラー変動が高速な場合に対応した、前述の実施の形態2とは異なるダイバーシチ受信機について説明する。具体的にいうと、位相差情報を累積し、さらに前サンプルにおける位相差情報と現サンプルにおける位相差情報との差分を用いて重み付け係数を算出する。なお、本実施の形態の全体構成については、先に説明した実施の形態1の図1と同一である。ここでは、内部構成の異なる重み付け係数算出器11の動作についてのみ説明する。
【0067】
図5は、実施の形態3の重み付け係数算出器11の構成を示す図である。図5において、61は前サンプルにおける位相差情報と現サンプルにおける位相差情報との差分を計算する位相差情報差分算出器であり、24は前サンプルにおける位相差情報と現サンプルにおける位相差情報との差分71を受け取り、受信電力比に応じた位相回転量を計算する位相回転量算出器である。たとえば、過去の位相差情報の蓄積結果を利用することにより、位相変動が高速にならないような各ブランチ信号に対する重み付け係数を算出できる。このような重み付け係数算出器を用いることにより、高速フェージング環境下においてもダイバーシチ合成を行うことができる。
【0068】
まず、位相差情報差分算出器61では、位相差累積/剰余算出器41から位相差Δθ(i)を受け取り(式(19)参照)、1サンプル前のブランチ間位相差と現在のブランチ間位相差の差分Δθ´を式(21)のように計算する。
【0069】
【数21】
【0070】
そして、式(22)のように式を変形し、実施の形態1における式(14)へ代入する。代入後の計算過程を式(23)に示す。なお、位相回転量ΔθA(i)とΔθB(i)については同じ操作なので、ここでは、ΔθA(i)についてのみ説明する。
【0071】
【数22】
【0072】
【数23】
【0073】
なお、式(24)に示すとおり、サンプルレートが位相の変動に対して比較的速い場合には、1サンプル間の電力の変動が小さく、1サンプル前の電力を現サンプルの電力とみなすことができる。
【0074】
【数24】
【0075】
したがって、ブランチAおよびブランチBの位相回転量は、式(25)に示すとおり、1サンプル前の位相回転量と、1サンプル前のブランチ間位相差と現在のブランチ間位相差の差分を電力比で重み付けした値と、を加算した値になる。
【0076】
【数25】
【0077】
なお、受信信号の振幅成分を用いた振幅補正器を用いることにより、位相成分だけではなく振幅成分についても最大比合成を実現できる。
【0078】
このように、本実施の形態においては、前サンプルにおける位相差情報と現サンプルにおける位相差情報との差分を用いて重み付け係数を算出する構成とした。これにより、前述した実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、フェージング変動が高速な場合であっても、十分なダイバーシチ効果を得ることができる。
【0079】
【発明の効果】
以上、説明したとおり、本発明によれば、検波前合成を行う構成とし、さらに、基準信号にその他の信号を同相合成させる従来方式と異なり、たとえば、信号電力に応じた重み付け係数(位相回転量)を算出し、当該重み付け係数乗算後のブランチ信号を合成する構成とした。これにより、特定のブランチ信号の電力が落ち込んだ場合であっても、合成後の信号において十分なダイバーシチ効果を得ることが可能なダイバーシチ受信機を得ることができる、という効果を奏する。
【0080】
つぎの発明によれば、前サンプルまでの位相差情報の累積結果を用いて重み付け係数を算出する構成とした。これにより、さらに、フェージング変動が高速な場合であっても、十分なダイバーシチ効果を得ることが可能なダイバーシチ受信機を得ることができる、という効果を奏する。
【0081】
つぎの発明によれば、前サンプルにおける位相差情報と現サンプルにおける位相差情報との差分を用いて重み付け係数を算出する構成とした。これにより、フェージング変動が高速な場合に、さらに大きなダイバーシチ効果を得ることが可能なダイバーシチ受信機を得ることができる、という効果を奏する。
【0082】
つぎの発明によれば、検波前合成を行う構成とし、さらに、基準信号にその他の信号を同相合成させる従来方式と異なり、たとえば、信号電力に応じた重み付け係数(位相回転量)を算出し、当該重み付け係数乗算後のブランチ信号を合成することとした。これにより、特定のブランチ信号の電力が落ち込んだ場合であっても、合成後の信号において十分なダイバーシチ効果を得ることができる、という効果を奏する。
【0083】
つぎの発明によれば、前サンプルまでの位相差情報の累積結果を用いて重み付け係数を算出することとした。これにより、さらに、フェージング変動が高速な場合であっても、十分なダイバーシチ効果を得ることができる、という効果を奏する。
【0084】
つぎの発明によれば、前サンプルにおける位相差情報と現サンプルにおける位相差情報との差分を用いて重み付け係数を算出することとした。これにより、フェージング変動が高速な場合に、さらに大きなダイバーシチ効果を得ることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるダイバーシチ受信機の構成を示す図である。
【図2】 実施の形態1の重み付け係数算出器の構成を示す図である。
【図3】 重み付けの一例を示す図である。
【図4】 実施の形態2の重み付け係数算出器の構成を示す図である。
【図5】 実施の形態3の重み付け係数算出器の構成を示す図である。
【図6】 従来の受信機の構成例を示す図である。
【図7】 従来の受信機の構成例を示す図である。
【符号の説明】
11 重み付け係数算出器、12,13 乗算器、14 ブランチ合成器、15 判定器、21 複素共役生成器、22 複素乗算器、23 変換器、24 位相回転量算出器、25,26 低域通過ディジタルフィルタ(LPF)、41位相差累積/剰余算出器、61 位相差情報差分算出器。
Claims (6)
- 検波前合成を行うダイバーシチ受信機において、
各ブランチの受信信号間の位相差を各ブランチにおける受信信号に応じて重み付けすることによって、ブランチ毎の位相回転量を算出する位相回転量算出手段と、
前記各位相回転量に基づいて各ブランチの受信信号の位相を回転させる位相回転手段と、
を備えることを特徴とするダイバーシチ受信機。 - 検波前合成を行うダイバーシチ受信機において、
各ブランチの受信信号間の位相差における前サンプルまでの累積結果と、現サンプルにおける各ブランチの受信信号間の位相差と、に基づいて位相回転量算出用の位相差を算出し、当該位相回転量算出用の位相差を各ブランチにおける受信信号に応じて重み付けすることによって、ブランチ毎の位相回転量を算出する位相回転量算出手段と、
前記各位相回転量に基づいて各ブランチの受信信号の位相を回転させる位相回転手段と、
を備えることを特徴とするダイバーシチ受信機。 - 検波前合成を行うダイバーシチ受信機において、
各ブランチの受信信号間の位相差における前サンプルまでの累積結果と、現サンプルにおける各ブランチの受信信号間の位相差と、に基づいて位相回転量算出用の位相差を算出し、1サンプル前の位相回転量算出用の位相差と現在の位相回転量算出用の位相差との差分を各ブランチにおける受信信号に応じて重み付けし、重み付け後の値と1サンプル前の位相回転量とを加算することによって、ブランチ毎の位相回転量を算出する位相回転量算出手段と、
前記各位相回転量に基づいて各ブランチの受信信号の位相を回転させる位相回転手段と、
を備えることを特徴とするダイバーシチ受信機。 - 検波前合成を行うダイバーシチ受信機の受信方法において、
各ブランチの受信信号間の位相差を算出する位相差算出ステップと、
前記位相差を各ブランチにおける受信信号に応じて重み付けすることによって、ブランチ毎の位相回転量を算出する位相回転量算出ステップと、
前記各位相回転量に基づいて各ブランチの受信信号の位相を回転させる位相回転ステップと、
を含むことを特徴とする受信方法。 - 検波前合成を行うダイバーシチ受信機の受信方法において、各ブランチの受信信号間の位相差における前サンプルまでの累積結果と、現サンプルにおける各ブランチの受信信号間の位相差と、に基づいて位相回転量算出用の位相差を算出する位相差算出ステップと、
前記位相回転量算出用の位相差を各ブランチにおける受信信号に応じて重み付けすることによって、ブランチ毎の位相回転量を算出する位相回転量算出ステップと、
前記各位相回転量に基づいて各ブランチの受信信号の位相を回転させる位相回転ステップと、
を含むことを特徴とする受信方法。 - 検波前合成を行うダイバーシチ受信機の受信方法において、各ブランチの受信信号間の位相差における前サンプルまでの累積結果と、現サンプルにおける各ブランチの受信信号間の位相差と、に基づいて位相回転量算出用の位相差を算出する位相差算出ステップと、
1サンプル前の位相回転量算出用の位相差と現在の位相回転量算出用の位相差との差分を各ブランチにおける受信信号に応じて重み付けし、重み付け後の値と1サンプル前の位相回転量とを加算することによって、ブランチ毎の位相回転量を算出する位相回転量算出ステップと、
前記各位相回転量に基づいて各ブランチの受信信号の位相を回転させる位相回転ステップと、
を含むことを特徴とする受信方法。
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