JP4033718B2 - 内燃機関の行程判別方法および行程判別装置 - Google Patents
内燃機関の行程判別方法および行程判別装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少数気筒(特に、単気筒)の内燃機関における行程の判別を行う行程判別方法および行程判別装置に関する。さらに詳細には、内燃機関のシステムコストの低減と小型・軽量化を図ることができる内燃機関の行程判別方法および行程判別装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、4サイクルエンジンでは、エンジンのクランクシャフトの位相を検出するクランク角センサと、カムシャフトの位相を検出するカム角センサとを用いて、エンジンの各行程(吸気行程、圧縮行程、爆発行程、および排気行程)を判別している。なぜなら、行程判別を行うことにより、噴射系と点火系の制御を2噴射2点火/2回転(行程)から1噴射1点火/2回転(行程)にすることができるからである。これにより、点火系の負荷が減って耐久性が向上するとともに、点火に要する電流も少なくなるので電気負荷も減るからである。特に二輪車のようなバッテリが小さい車両に対しては、燃費に寄与することが可能となる。
【0003】
ところが、二輪車用などの少数気筒のエンジンにおいては、エンジンヘッド廻りに余裕がなく、カム角センサの取付が困難であるという問題があった。また、カム角センサを取り付けるとシステムコストが高くなってしまうという問題もあった。
【0004】
そこで、このような問題を解決する技術の1つとして、特開2001−207902号公報に開示されたものがある。この技術は、単気筒4サイクルエンジン1周期中に、前回のクランク角信号の割り込み時の吸気圧信号との差が初めて所定値(例えば1130Pa)以上マイナスの場合には、吸気行程(ATDC15゜CA)であると判別するものである。これにより、行程判別に必要であったカム角センサを不要にし、上記問題を解決している。なお、ATDCは上死点後、CAはクランク角の略号である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2001−207902号公報に開示されている技術には行程判別が正しく行われないという問題があった。この技術では、TDCの時とATDC15°CAの時との吸気圧の差により行程判別を行っている。ところが、ATDC15°CAは排気バルブとのオーバーラップ領域であるため、排気からの吹き返し、あるいはバックファイヤ等が発生した場合、吹き返しあるいはバックファイヤにより、ATDC15°CAにおける吸気圧が正常値よりも高い圧力になる。したがって、TDCとATDC15°CAとにおける吸気圧変化の関係がくずれるため、行程判別が正しく行われないのである。
【0006】
ここで、本願出願人は、4サイクルのレシプロエンジンで、吸気の脈動に伴う吸気圧の変動において、その吸気圧の下限値、即ち、吸気行程の下死点付近での検出値が、実際の吸気量を最も良く反映した吸気圧となることを発見した。そして、これを利用して行程判別を行うことを考え出した。
【0007】
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、カム角センサを用いることなく内燃機関の行程判別を正確に行い、併せて、行程判別後に実際の吸気量との相関性の高い正確な内燃機関の制御を行うことができる内燃機関の行程判別方法および行程判別装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明の内燃機関の行程判別方法は、内燃機関の1周期中に少なくとも1つのTDC(上死点)信号を検出するとともに、内燃機関の運転時に脈動を伴う吸気圧につき、連続的にサンプリングされる前回の検出値と今回の検出値とを比較して、吸気圧の下降又は上昇を判断すると共に、下降から上昇への転換を判断し、下降から上昇への転換時における前回の検出値を、吸気圧脈動の下限値として検出し、前記TDC信号と前記吸気圧脈動の下限値との検出時期の関係に基づき、内燃機関の行程判別を行うことを趣旨とする。
【0009】
上記発明によれば、吸気圧脈動の下限値は内燃機関の圧縮行程中に生じることから、内燃機関の運転時における吸気圧脈動の下限値を検出することにより圧縮行程を判別することができる。そして、さらに内燃機関の1周期中に少なくとも1つのTDC(上死点)信号を検出している。これにより、TDC信号と吸気圧脈動の下限値との検出時期の関係から内燃機関の行程を判別することができる。このように、吸気圧脈動の下限値を検出することにより、カム角センサを用いることなく内燃機関の行程判別を正確に行うことができる。
【0010】
また、吸気圧脈動の検出値において、その下限値が実際の吸気量を最も良く反映した吸気圧となる。そして、脈動を伴う吸気圧につき、連続的にサンプリングされる前回の検出 値と今回の検出値とを比較して、吸気圧の下降又は上昇を判断すると共に、下降から上昇への転換を判断し、下降から上昇への転換時における前回の検出値を、吸気圧脈動の下限値として検出しているので、検出した下限値を吸気圧の検出値とすることにより、脈動を伴う吸気圧にも拘わらず内燃機関の制御量が不安定な値となることがない。そのため、行程判別後に実際の吸気量との相関性の高い正確な内燃機関の制御を行うことができる。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明の内燃機関の行程判別方法は、内燃機関の1周期中に少なくとも1つのTDC(上死点)信号を検出するとともに、内燃機関の運転時に脈動を伴う吸気圧につき、連続的にサンプリングされる前回の検出値と今回の検出値とを比較して、吸気圧の下降又は上昇を判断すると共に、下降から上昇への転換を判断し、下降から上昇への転換時における前回の検出値を、吸気圧脈動の下限値として検出し、前記吸気圧脈動の下限値を検出した後に前記TDC信号を最初に検出したとき、圧縮上死点であると判定することを趣旨とする。
【0012】
上記発明によれば、内燃機関の圧縮行程中に生じる吸気圧脈動の下限値を検出し、吸気圧脈動の下限値を検出した後にTDC信号を最初に検出したとき、圧縮上死点であると判定することから、カム角センサを用いなくても、正確に圧縮TDCを正確に判定することができる。
【0013】
また、吸気圧脈動の検出値において、その下限値が実際の吸気量を最も良く反映した吸気圧となる。そして、脈動を伴う吸気圧につき、連続的にサンプリングされる前回の検出値と今回の検出値とを比較して、吸気圧の下降又は上昇を判断すると共に、下降から上昇への転換を判断し、下降から上昇への転換時における前回の検出値を、吸気圧脈動の下限値として検出しているので、検出した下限値を吸気圧の検出値とすることにより、脈動を伴う吸気圧にも拘わらず内燃機関の制御量が不安定な値となることがない。そのため、行程判別後に実際の吸気量との相関性の高い正確な内燃機関の制御を行うことができる。
【0014】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明の内燃機関の行程判別装置は、内燃機関の1周期中に少なくとも1つのTDC(上死点)信号を検出する信号検出手段と、内燃機関の吸気圧を検出する吸気圧検出手段と、前記吸気圧検出手段による検出値に基づいて内燃機関の運転時における吸気圧脈動の下限値を検出する下限値検出手段と、前記下限値検出手段による前記下限値の検出時期と、前記信号検出手段による前記TDC信号の検出時期とに基づき、内燃機関の行程判別を行う行程判別手段と、を有し、前記下限値検出手段は、脈動を伴う吸気圧につき、連続的にサンプリングされる前回の検出値と今回の検出値とを比較して、吸気圧の下降又は上昇を判断すると共に、下降から上昇への転換を判断し、下降から上昇への転換時における前回の検出値を、吸気圧脈動の下限値として検出することを趣旨とする。
【0015】
上記発明の構成によれば、信号検出手段により内燃機関の1周期中に少なくとも1つのTDC(上死点)信号が検出される。また、吸気圧検出手段による検出値に基づいて下限値検出手段により内燃機関の運転時における吸気圧脈動の下限値が検出される。すなわち、脈動を伴う吸気圧につき、連続的にサンプリングされる前回の検出値と今回の検出値とが比較されて、吸気圧の下降又は上昇が判断されると共に、下降から上昇への転換が判断され、下降から上昇への転換時における前回の検出値が吸気圧脈動の下限値として検出される。この下限値は内燃機関の圧縮行程中に検出される。そして、下限値検出手段による下限値の検出時期と、信号検出手段によるTDC信号の検出時期とに基づき、行程判別手段により内燃機関の行程判別が行われる。このように、下限値検出手段により吸気圧の下限値を検出することにより、カム角センサを用いることなく内燃機関の行程判別を正確に行うことができる。
【0016】
また、実際の吸気量を最も良く反映する下限値を吸気圧の検出値とすることにより、脈動を伴う吸気圧にも拘わらず内燃機関の制御量が不安定な値となることがない。そのため、行程判別後に実際の吸気量との相関性の高い正確な内燃機関の制御を行うことができる。
【0017】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明の内燃機関の行程判別装置は、請求項3に記載の発明において、行程判別手段は、下限値検出手段が吸気圧脈動の下限値を検出した後に信号検出手段がTDC信号を最初に検出したとき、圧縮上死点であると判定することを趣旨とする。
【0018】
上記発明の構成によれば、請求項3に記載の発明の作用において、行程判別手段により、下限値検出手段が吸気圧脈動の下限値を検出した後に信号検出手段がTDC信号を最初に検出したとき、圧縮上死点であると判定されることから、カム角センサを用いなくても、正確に圧縮TDCを正確に判定することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内燃機関の行程判別方法、その判別方法を使用した行程判別装置、およびその行程判別装置を使用した内燃機関の制御装置を具体化した最も好適な実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1に、本実施の形態のエンジンシステムの概略構成を示す。車両に搭載されたエンジンシステムは燃料を貯留する燃料タンク1を備える。燃料タンク1に内蔵された燃料ポンプ2は、タンク1に貯留された燃料を吐出する。内燃機関であるレシプロタイプの単気筒エンジン3には、燃料噴射弁(インジェクタ)4が設けられる。燃料ポンプ2から吐出された燃料は、燃料通路5を通じてインジェクタ4に供給される。供給された燃料は、インジェクタ4が作動することにより、吸気通路6へ噴射される。吸気通路6には、エアクリーナ7を通じて外部から空気が取り込まれる。吸気通路6に取り込まれた空気とインジェクタ4から噴射された燃料は可燃混合気を形成して燃焼室8に吸入される。
【0021】
吸気通路6には、所定のアクセル装置(図示略)により操作されるスロットルバルブ9が設けられる。スロットルバルブ9が開閉されることにより、吸気通路6から燃焼室8に吸入される空気量(吸気量)が調節される。吸気通路6には、スロットルバルブ9を迂回してバイパス通路10が設けられる。バイパス通路10には、アイドル・スピード・コントロール・バルブ(ISCバルブ)11が設けられる。ISCバルブ11は、アイドル運転時、即ち、スロットルバルブ9の全閉時に、エンジン3のアイドル回転速度を調節するために作動させるものである。
【0022】
燃焼室8に設けられた点火プラグ12は、イグニッションコイル13から出力される点火信号を受けてスパーク動作する。両部品12,13は、燃焼室8に供給される可燃混合気に点火するための点火装置を構成する。燃焼室8に吸入された可燃混合気は、点火プラグ12のスパーク動作により爆発・燃焼する。燃焼後の排気ガスは、燃焼室8から排気通路14を通じて外部へ排出される。排気通路14には、排気ガスを浄化するための三元触媒15が設けられる。燃焼室8における可燃混合気の燃焼に伴い、ピストン16が運動してクランクシャフト17が回転することにより、車両を走行させる駆動力がエンジン3で得られる。
【0023】
車両には、エンジン3を始動させるためのイグニションスイッチ18が設けられる。車両には、エンジン3の各種制御を司る電子制御装置(ECU)20が設けられる。車両用電源としてのバッテリ19は、イグニションスイッチ18を介してECU20に接続される。イグニションスイッチ18がオンされることにより、バッテリ19からECU20に電力が供給される。
【0024】
エンジン3に設けられる各種センサ21,22,23,24は、エンジン3の運転状態に関する各種運転パラメータを検出するためのものであり、それぞれECU20に接続される。即ち、吸気通路6に設けられた吸気圧検出手段である吸気圧センサ21は、スロットルバルブ9より下流側の吸気通路6における吸気圧pmを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。エンジン3に設けられた水温センサ22は、エンジン3の内部を流れる冷却水の温度(冷却水温)THWを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。エンジン3に設けられた回転速度検出手段およびTDC信号検出手段である回転速度センサ23は、クランクシャフト17の回転速度(エンジン回転速度)NEを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力するとともに、TDC信号を検出する。排気通路14に設けられた酸素センサ24は、排気通路14へ排出された排気ガス中の酸素濃度(出力電圧)Oxを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。この酸素センサ24は、エンジン3の燃焼室8に供給される可燃混合気の空燃比A/Fを得るために使用される。
【0025】
この実施の形態で、ECU20は、前述した各種センサ21〜24から出力される各種信号を入力する。ECU20は、これらの入力信号に基づき、吸気圧検出制御、燃料噴射制御及び点火時期制御等を実行するために、燃料ポンプ2、インジェクタ4、ISCバルブ11及びイグニションコイル13等をそれぞれ制御するとともに、行程判別を行う。この実施の形態で、ECU20は、本発明の下限値検出手段および行程判別手段を構成する。
【0026】
ここで、吸気圧検出制御とは、吸気圧センサ21で検出される吸気圧pmに基づいて吸気脈動の影響を排除した吸気圧の検出値を得るための制御である。燃料噴射制御とは、エンジン3の運転状態に応じてインジェクタ4による燃料噴射量及びその噴射タイミングを制御することである。点火時期制御とは、エンジン3の運転状態に応じてイグニションコイル13を制御することにより、各点火プラグ12による点火時期を制御することである。
【0027】
周知のように、ECU20は中央処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、バックアップRAM、外部入力回路及び外部出力回路等を備える。ECU20は、CPU、ROM、RAM及びバックアップRAMと、外部入力回路及び外部出力回路等とをバスにより接続してなる論理演算回路を構成する。ROMは、エンジン3の各種制御に関する所定の制御プログラムを予め記憶したものである。RAMは、CPUの演算結果を一時記憶するものである。バックアップRAMは、予め記憶したデータを保存するものである。CPUは、入力回路を介して入力される各種センサ21〜24の検出信号に基づき、所定の制御プログラムに従って前述した各種制御等を実行する。
【0028】
次に、ECU20が実行する各種制御のうち、吸気圧検出制御のための処理内容について説明する。この処理中に吸気圧の下限値が検出されるようになっている。図2に吸気圧検出(下限値pmlo検出)制御のプログラムをフローチャートに示す。ECU20は、図2に示すルーチンを所定期間毎に周期的に実行する。この実施の形態では、「1ms」の周期でこのルーチンを実行する。
【0029】
先ず、ステップ100で、ECU20は、吸気圧センサ21で検出される吸気圧pmについて今回のAD値pmadを読み込む。
【0030】
次に、ステップ101で、ECU20は、今回のAD値pmadが前回のAD値pmadoより大きいか否かを判断する。この判断結果が肯定の場合、吸気圧pmが上昇しているものとして、ステップ102で、ECU20は、今回の圧力上昇フラグXPMUPを「1」に設定する。
【0031】
次に、ステップ103で、ECU20は、前回の圧力上昇フラグXPMUPOが「0」であるか否かを判断する。この判断結果が否定である場合、前回に引き続いて吸気圧pmが上昇中であることから、ECU20は処理をステップ107へ移行する。上記判断結果が肯定である場合、吸気圧pmが下降から上昇に転じたものとして、処理をステップ104へ移行する。
【0032】
ステップ104では、ECU20は、前回のAD値pmadoがAD値pmadの上限値pmhi以下であるか否かを判断する。この判断結果が否定である場合、吸気脈動に伴い吸気圧pmが下降しているものとして、ECU20は処理をステップ107へ移行する。上記判断結果が肯定である場合、ステップ105で、ECU20は、前回のAD値pmadoをAD値pmadの下限値pmloとして設定する。そして、ステップ105aで、ECU20は、下限値pmloの検出フラグをオンする。かくして、下限値pmloが検出される。
【0033】
そして、ステップ106で、ECU20は、下限値pmloを最終的に求めるべき吸気圧PMとして設定する。
【0034】
一方、ステップ101の判断結果が否定である場合、吸気圧pmが下降しているものとして、ステップ111で、ECU20は、今回の圧力上昇フラグXPMUPを「0」に設定する。
【0035】
次に、ステップ112で、ECU20は、前回の圧力上昇フラグXPMUPOが「0」であるか否かを判断する。この判断結果が肯定である場合、前回に引き続いて吸気圧pmが下降中であるものとして、ECU20は処理をステップ107へ移行する。上記判断結果が否定である場合、吸気圧pmが上昇から下降に転じたものとして、ステップ113で、ECU20は、前回のAD値pmadoをAD値pmadの上限値pmhiとして設定する。
【0036】
そして、ステップ103,104,106,112,113から移行してステップ107で、ECU20は、今回のAD値pmadを前回のAD値pmadoとする。
【0037】
次に、ステップ108で、ECU20は、今回の圧力上昇フラグが「1」であるか否かを判断する。この判断結果が肯定である場合、ステップ109で、ECU20は、前回の圧力上昇フラグXPMUPOを「1」に設定し、その後の処理を一旦終了する。上記判断結果が否定である場合、ステップ110で、ECU20は、前回の圧力上昇フラグXPMUPOを「0」に設定し、その後の処理を一旦終了する。
【0038】
即ち、上記ルーチンでは、エンジン3の運転時に吸気圧pmの脈動の下限値pmloを検出し、その下限値pmloを吸気圧pmの検出値としての最終的な吸気圧PMとするようにしている。そのために、図3に示すように、脈動を伴う吸気圧pmにつき、連続的にサンプリングされる前回のAD値pmadoと今回のAD値pmadとを比較して、吸気圧pmの下降又は上昇を判断すると共に、上昇から下降への転換又は下降から上昇への転換を判断する。そして、上昇から下降への転換時における前回のAD値pmadoを上限値pmhiとして設定し、下降から上昇への転換時における前回のAD値pmadoを下限値pmloとして設定し、その下限値pmloを最終的な吸気圧PMの値として設定するようにしている。
【0039】
この実施の形態のエンジンシステムでは、上記のように検出される吸気圧PMを利用して行程判別が行われる。そこで、次に、この行程判別の処理内容について説明する。この実施の形態のエンジンシステムでは、TDC信号を検出するために、図4に示すように、クランクシャフト17に取り付けた5個の歯25からの信号に基づきTDCを検出するようにしている。これらの歯25は、90゜CAごとに1歯ずつ取り付けられ、残りの1歯が前記4歯のいずれかの歯から30゜CA位相がずれた(遅れた)位置に取り付けられている。
【0040】
このようなTDC判別を行う場合における行程判別のプログラムを図5のフローチャートに示す。また、本実施の形態のエンジンシステムでの各種パラメータの変化を図6に示す。図6は、回転信号、吸気圧、吸気圧下限値検出フラグ、およびクランクNo.を時間の経過に従って示したものである。なお、ECU20は、図5に示すルーチンを所定期間毎に周期的に実行する。
【0041】
先ず、ステップ150で、ECU20は、TDCの判定が終了しているか否かを判断する。この判断結果が肯定である場合、TDCの判定が終了していることから、ECU20は、処理をステップ151に移行する。上記判断結果が否定である場合、ECU20は、TDCの判定が終了していないので処理をステップ157に移行し、別途のTDC判定ルーチンを実行してTDCの判定を行う。
【0042】
ステップ151では、ECU20は、今回はTDC信号の割り込みか否かを判断する。この判断結果が肯定である場合、今回はTDC信号が検出されたことから、処理をステップ152に移行する。具体的には、図6に示すように、0°CAと360°CAのときにTDC信号が検出されるから、このとき、ECU20は、ステップ151で肯定の判断を行う。一方、上記判断結果が否定である場合、今回はTDC信号が検出されていないことから、処理をステップ158に移行する。
【0043】
そして、ステップ152で、ECU20は、吸気圧下限値pmloの検出フラグがオンになっているか否かを判断する。この判断結果が肯定である場合、ステップ153で、ECU20は、下限値pmloの検出フラグをオフする。さらに、ステップ154で、クランクNo.を「0」に設定する。そして、ステップ155で、ECU20は、現時点が圧縮TDCであると判定して行程判別フラグをオンし、その後の処理を一旦終了する。ここで、吸気圧下限値pmloは、図6に示すように、圧縮行程で検出され、その後、下限値pmloの検出フラグがオンされる。この状態で、TDC信号が検出されると、そのときが圧縮TDCであると判定することができる。したがって、上記処理により、ECU20は、圧縮TDCを正確に判別することができるのである。
【0044】
一方、上記判断結果が否定である場合、吸気圧が下限値になっていないことから、ステップ156で、ECU20は、クランクNo.を「4」に設定する。そして、ステップ155で、ECU20は、現時点が排気TDCであると判定して行程判別フラグをオンし、その後の処理を一旦終了する。ここで、吸気圧下限値pmloは、図6に示すように、圧縮行程で検出されて下限値pmloの検出フラグがオンされ、圧縮TDCのときに下限値pmloの検出フラグがオフされる。このため、下限値pmloの検出フラグがオフの状態で、TDC信号が検出されると、そのときが排気TDCであると判定することができる。したがって、上記処理により、ECU20は、排気TDCを正確に判別することができるのである。
【0045】
また、ステップ158では、ECU20は、今回は+1歯信号の割り込みか否かを判断する。この判断結果が肯定である場合、+1歯信号が検出されたことから、処理をステップ152に移行し、クランクNo.を「+1」する。上記判断結果が否定である場合、今回は信号の割り込みがなかったものとして、その後の処理を一旦終了する。
【0046】
このようにして、実施の形態のエンジンシステムでは、吸気圧の下限値pmloの検出フラグとTDC信号とにより行程判別を行うことができるようにしている。そのため、噴射系と点火系の制御を1噴射1点火/2回転(行程)にすることができるので、点火系の負荷が減り耐久性が向上するとともに、点火に要する電流も少なくなるので電気負荷も減る。特に二輪車のようなバッテリが小さい車両では、電気負荷が大きくなる燃費も悪化するため、電気負荷を低減することにより燃費を向上させることができる。また、従来、行程判別に必要であったカム角センサが不要となる。これにより、エンジンシステムの低コスト化、小型・軽量化を図ることができる。
【0047】
さらに、圧縮TDCと排気TDCとを正確に判別(行程判別)することができるので、燃料噴射タイミングの制御を高精度に行うことができる。つまり、暖機状態あるいは運転状態で異なる燃料噴射タイミングを設定することができる。具体的には、低温始動時およびアクセル全開時(WOT)には、吸気バルブが開いているときに燃料を噴射するように制御し、暖気後の通常運転時には、吸気バルブが閉じているときに燃料を噴射するように制御することが可能になる。このように燃料噴射タイミングを制御するのは、エンジンの暖機状態あるいは運転状態に応じて、燃料噴射タイミングの要求が異なるからである。
【0048】
そして、上記のように燃料噴射タイミングを制御することにより、低温時においては、吸気バルブが開いているときに燃料が噴射されるので、吸気の流れに同期するため、燃料の微粒化の促進が図られるとともに、壁面に付着した燃料のボタ落ちが減少する。このため、燃焼状態が改善されて、図7に示すように、排気ガス中のHC濃度が減少する。ひいては、低温始動性を向上させ、低温時の燃費を向上させることができる。
【0049】
一方、暖気後の通常運転時においては、低温時とは逆に、吸気バルブが閉じているときに燃料が噴射される。暖気後の通常運転時にはエンジン本体が十分に暖まっているため、このタイミングで燃料を噴射した方が、エンジンの熱をより受けるため燃料の霧化(気化)が向上する。これにより、燃焼が改善されて、図7に示すように、排気ガス中のHC濃度を減少させることができる
【0050】
また、アクセル全開時(WOT)においては、吸気バルブが開いているときに燃料が噴射されるので、吸入空気の流れの中に噴射された燃料の気化潜熱により空気密度が高くなる。このため、エンジンの充填効率が向上する。これにより、図7に示すように、軸トルク(出力)を向上させ、ドライバビリティーおよび燃費を向上させることができる。
【0051】
そして、この実施の形態のエンジンシステムでは、上記のようにして検出される吸気圧PMを使用して燃料噴射量制御が行われる。そこで、次に、この燃料噴射量制御の処理内容について説明する。図8には燃料噴射量制御のプログラムをフローチャートに示す。ECU20は、図8に示すルーチンを所定期間毎に周期的に実行する。
【0052】
先ず、ステップ200で、ECU20は回転速度センサ23の検出値に基づきエンジン回転速度NEの値を読み込む。
【0053】
ステップ210で、ECU20は、最終的な吸気圧PMの値を読み込む。即ち、脈動を伴う吸気圧pmの下限値pmloを吸気圧PMの値として読み込む。このステップ210の読み込み処理は、前述した図2のルーチンを割り込み処理することにより行われる。
【0054】
ステップ220で、ECU20は、読み込まれたエンジン回転速度NEの値と吸気圧PMの値とに基づいて基本燃料噴射量TAUBSEを算出する。ECU20は、この基本燃料噴射量TAUBSEの算出を、予め定められた関数データ(噴射量マップ)を参照することにより行う。この関数データでは、エンジン3の燃焼室8に吸入される吸気量が、吸気圧PMの値とエンジン回転速度NEの値から決定され、その吸気量に応じた基本燃料噴射量TAUBSEが決定されるようになっている。
【0055】
ステップ230で、ECU20は、水温センサ22の検出値に基づき冷却水温THWの値を読み込む。そして、ステップ240で、ECU20は、読み込まれた冷却水温THWの値に基づき、エンジン3の暖機状態に応じて基本燃料噴射量TAUBSEを補正するための暖機補正係数KTHWを算出する。
【0056】
ステップ250で、ECU20は、燃焼室8に供給される空気と燃料との可燃混合気の空燃比A/Fを補正するための空燃比補正係数FAFの値を読み込む。この空燃比補正係数FAFは、酸素センサ24の検出値から読み込まれる酸素濃度Oxの値に基づいて別途のルーチンで算出されるものである。
【0057】
ステップ260で、ECU20は、上記のように算出された基本燃料噴射量TAUBSEを、暖機補正係数KTHW及び空燃比補正係数FAF等に基づいて補正することにより最終燃料噴射量TAUの値を算出する。
【0058】
その後、ステップ270で、ECU20は、算出された最終燃料噴射量TAUの値に基づいてインジェクタ4を制御することにより、インジェクタ4から噴射される燃料量を制御するのである。
【0059】
この実施の形態のエンジンシステムでは、上記のように検出される吸気圧PMを使用して点火時期制御が行われる。そこで、この点火時期制御の処理内容について説明する。図9には点火時期制御のプログラムをフローチャートに示す。ECU20は、図9に示すルーチンを所定期間毎に周期的に実行する。
【0060】
先ず、ステップ300で、ECU20は回転速度センサ23の検出値に基づきエンジン回転速度NEの値を読み込む。
【0061】
ステップ310で、ECU20は、最終的な吸気圧PMの値を読み込む。即ち、脈動を伴う吸気圧pmの下限値pmloを吸気圧PMの値として読み込む。このステップ310の読み込み処理は、前述した図2のルーチンを割り込み処理することにより行われる。
【0062】
ステップ320で、ECU20は、読み込まれたエンジン回転速度NEの値と吸気圧PMの値とに基づいて基本点火時期ITBSEを算出する。ECU20は、この基本点火時期ITBSEの算出を、予め定められた関数データ(点火時期マップ)を参照することにより行う。この関数データでは、エンジン3の燃焼室8に吸入される吸気量が、吸気圧PMの値とエンジン回転速度NEの値から決定され、その吸気量に応じた基本点火時期ITBSEが決定されるようになっている。
【0063】
ステップ330で、ECU20は、水温センサ22の検出値に基づき冷却水温THWの値を読み込む。そして、ステップ340で、ECU20は、読み込まれた冷却水温THWの値に基づき、エンジン3の暖機状態に応じて基本点火時期ITBSEを補正するための暖機補正係数K1を算出する。
【0064】
ステップ350で、ECU20は、上記のように算出された基本点火時期ITBSEを、暖機補正係数K1等に基づき補正することにより、最終点火時期ITの値を算出する。
【0065】
その後、ステップ360で、ECU20は、算出された最終点火時期ITの値に基づいてイグニションコイル13を制御することにより、点火プラグ12による点火時期を制御する。
【0066】
以上説明したように本実施の形態のエンジンシステムにおいて、エンジン3の運転時には吸気通路6で吸気の脈動が発生して、吸気圧センサ21で検出される吸気圧pmも脈動を伴ったものとなる。このため、脈動を伴った吸気圧pmを、エンジン3の各種制御を実行するための運転パラメータの一つとしてそのまま使用したのでは、各種制御が不安定となる。
【0067】
ここで、本願出願人は、脈動を伴う吸気圧pmの検出値において、その下限値pmloが実際に燃焼室8に吸入される吸気量を最も良く反映した吸気圧となり、その下限値pmloはエンジンの圧縮行程中に検出されることを発見した。そこで、このエンジンシステムでは、吸気圧脈動、即ち、脈動を伴う吸気圧pmについてその下限値pmloを検出し、その下限値pmloを最終的な吸気圧PMの検出値とするとともに、その下限値pmloの検出時期(検出フラグ)を利用してエンジンの行程を判別している。このことから、脈動を伴う吸気圧pmにも拘わらず、最終的な吸気圧PMとして吸気量に相関した適正な値と挙動が得られるとともに、正確に行程判別を行うことができる。これによって、燃料噴射量制御、燃料噴射時期制御、および点火時期制御などのエンジンの各種制御を非常に精度良く行うことができる。
【0068】
上記した実施の形態では、クランクシャフト17に5つの歯25(90゜CA+1歯)取り付けているが、図10に示すように、クランクシャフト17に1つ歯25のみを取り付ければ、本発明を適用することによりエンジン3の行程判別を行うことができる。すなわち、本発明によれば、クランクシャフトに少なくとも1歯のみを取り付ければ、エンジンの行程判別を行うことができるのである。そこで、クランクシャフトに1歯のみを取り付けた場合における行程判別の処理内容について簡単に説明する。
【0069】
この別の実施の形態のエンジンシステムにおける行程判別のプログラムを図11のフローチャートに示す。また、この別の実施の実施の形態のエンジンシステムでの各種パラメータの変化を図12に示す。図12は、回転信号、吸気圧、および吸気圧下限値検出フラグを時間の経過に従って示したものである。なお、ECU20は、図11に示すルーチンを所定期間毎に周期的に実行する。
【0070】
ECU20は、吸気圧下限値pmloの検出フラグがオンになっているか否かを判断する。この判断結果が肯定である場合、ECU20は、下限値pmloの検出フラグをオフして、現時点が圧縮TDCであると判定する。ここで、吸気圧下限値pmloは、図12に示すように、圧縮行程で検出され、その後、下限値pmloの検出フラグがオンされる。この状態で、TDC信号が検出されると、そのときが圧縮TDCであると判定することができる。したがって、上記処理により、ECU20は、圧縮TDCを正確に判別することができるのである。
【0071】
一方、上記判断結果が否定である場合、吸気圧が下限値になっていないことから、ECU20は、現時点が排気TDCであると判定する。ここで、吸気圧下限値pmloは、図12に示すように、圧縮行程で検出されて下限値pmloの検出フラグがオンされ、圧縮TDCのときに下限値pmloの検出フラグがオフされる。このため、下限値pmloの検出フラグがオフの状態で、TDC信号が検出されると、そのときが排気TDCであると判定することができる。したがって、上記処理により、ECU20は、排気TDCを正確に判別することができるのである。
【0072】
このように、クランクシャフト17に1歯のみを取り付けた場合であっても、下限値pmloの検出フラグを利用することにより、圧縮TDCと排気TDCとを正確に判別することができ、上記の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、以下のように実施することもできる。
【0074】
(1)前記実施の形態では、本発明の行程判別方法、行程判別装置等を単気筒のエンジン3を含むエンジンシステムに具体化したが、2気筒や3気筒、或いはそれ以上の気筒数のエンジンを含むエンジンシステムに具体化することもできる。
【0075】
(2)前記実施の形態では、TDCを検出するために、5歯(90゜CA+1歯)、あるいは1歯のみをクランクシャフト17に取り付けたが、クランクシャフト17に取り付ける歯は、2歯、3歯、4歯、あるいは6歯以上としてもよい。より多くの歯を取り付けることにより、エンジンの制御を高精度に行うことができるが、コスト面では不利になる。したがって、要求される制御精度とコストとを考慮して、最適な数の歯を取り付ければよい。なお、2歯の場合には、対称となる位置に取り付けるとTDCの判別ができなくなるので、対称となる位置以外に取り付ける必要がある。
【0076】
(3)前記実施の形態では、図2のフローチャートにおいて、脈動を伴うAD値pmadの生の下限値pmlo及び上限値pmhiそのものを検出するようにした。これに対し、エンジンの全負荷時のように燃焼室からの吹き返し等の影響で上限値pmhi及び下限値pmloを正確に取り込めないときのために、上限値pmhiと下限値pmloとの差にガード値を設定して、そのガード値の範囲で得られる上限値pmhi及び下限値pmloを検出することにより、吸気圧PMの誤検出を防止するようにしてもよい。
【0077】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、カム角センサを用いることなく内燃機関の行程を判別することができ、併せて、安定性と応答性に優れ、実際の吸気量との相関性の高い正確な内燃機関の制御を実行することができる。
【0078】
請求項2に記載の発明によれば、カム角センサを用いることなく内燃機関の圧縮上死点を正確に判別することができ、併せて、安定性と応答性に優れ、実際の吸気量との相関性の高い正確な内燃機関の制御を実行することができる。
【0079】
請求項3に記載の発明の構成によれば、カム角センサを用いることなく内燃機関の行程を判別することができ、併せて、安定性と応答性に優れ、実際の吸気量との相関性の高い正確な内燃機関の制御を実行することができる。
【0080】
請求項4に記載の発明の構成によれば、カム角センサを用いることなく内燃機関の圧縮上死点を正確に判別することができ、併せて、安定性と応答性に優れ、実際の吸気量との相関性の高い正確な内燃機関の制御を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施の形態に係り、エンジンシステムを示す概略構成図である。
【図2】 吸気圧(下限値)検出制御のプログラムを示すフローチャートである。
【図3】 脈動を伴う吸気圧とそのAD値等を示す説明図である。
【図4】 クランクシャフトに対する歯の取り付け位置を示す説明図である。
【図5】 行程判別のプログラムを示すフローチャートである。
【図6】 本実施の形態のエンジンシステムにおける各種パラメータの挙動を示すタイムチャートである。
【図7】 最適な燃料噴射時期を示す説明図である。
【図8】 燃料噴射制御のプログラムを示すフローチャートである。
【図9】 点火時期制御のプログラムを示すフローチャートである。
【図10】 別の実施の形態のエンジンシステムにおけるクランクシャフトに対する歯の取り付け位置を示す説明図である。
【図11】 別の実施の形態のエンジンシステムにおける行程判別のプログラムを示すフローチャートである。
【図12】 別の実施の形態のエンジンシステムにおける各種パラメータの挙動を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
3 エンジン
6 吸気通路
17 クランクシャフト
20 ECU(下限値検出手段、行程判別手段)
21 吸気圧センサ(吸気圧検出手段)
23 回転速度センサ(信号検出手段)
Claims (4)
- 内燃機関の1周期中に少なくとも1つのTDC(上死点)信号を検出するとともに、内燃機関の運転時に脈動を伴う吸気圧につき、連続的にサンプリングされる前回の検出値と今回の検出値とを比較して、吸気圧の下降又は上昇を判断すると共に、下降から上昇への転換を判断し、下降から上昇への転換時における前回の検出値を、吸気圧脈動の下限値として検出し、
前記TDC信号と前記吸気圧脈動の下限値との検出時期の関係に基づき、内燃機関の行程判別を行うことを特徴する内燃機関の行程判別方法。 - 内燃機関の1周期中に少なくとも1つのTDC(上死点)信号を検出するとともに、内燃機関の運転時に脈動を伴う吸気圧につき、連続的にサンプリングされる前回の検出値と今回の検出値とを比較して、吸気圧の下降又は上昇を判断すると共に、下降から上昇への転換を判断し、下降から上昇への転換時における前回の検出値を、吸気圧脈動の下限値として検出し、
前記吸気圧脈動の下限値を検出した後に前記TDC信号を最初に検出したとき、圧縮上死点であると判定することを特徴する内燃機関の行程判別方法。 - 内燃機関の1周期中に少なくとも1つのTDC(上死点)信号を検出する信号検出手段と、
内燃機関の吸気圧を検出する吸気圧検出手段と、
前記吸気圧検出手段による検出値に基づいて内燃機関の運転時における吸気圧脈動の下限値を検出する下限値検出手段と、
前記下限値検出手段による前記下限値の検出時期と、前記信号検出手段による前記TDC信号の検出時期とに基づき、内燃機関の行程判別を行う行程判別手段と、
を有し、
前記下限値検出手段は、脈動を伴う吸気圧につき、連続的にサンプリングされる前回の検出値と今回の検出値とを比較して、吸気圧の下降又は上昇を判断すると共に、下降から上昇への転換を判断し、下降から上昇への転換時における前回の検出値を、吸気圧脈動の下限値として検出することを特徴する内燃機関の行程判別装置。 - 請求項3に記載する内燃機関の行程判別装置において、
前記行程判別手段は、前記下限値検出手段が前記吸気圧脈動の下限値を検出した後に前記信号検出手段が前記TDC信号を最初に検出したとき、圧縮上死点であると判定することを特徴する内燃機関の行程判別装置。
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