JP4033266B2 - 木造家屋の暖房システム - Google Patents

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本発明は、床下の暖気によって家屋全体の暖房を実現する木造家屋の暖房システム に関するものである。
床下空間を断熱構造となるように所定の基礎を築き、家全体を高断熱高気密で構築し、暖房装置(空気加熱機)を設けた床下空間の暖気で家全体を暖房するシステムが知られている。その具体的な構成として特開平11−182872号公報(特許文献1)には、基礎と床とによって床下空間を密閉に形成し、当該床下空間の内部に放熱器を設置し、床下空間内の空気を直接加熱して、上方の居室空間の床暖房を行うようにしている構成が開示されている。更に床パネルに複数の微小孔を貫通形成して、床下空間内部の熱が床パネルの微小孔を通して直接居室内部へ放熱される手段も開示されている。
また特開平11−193936号公報(特許文献2)には、建物の基礎で形成される床下を密閉に形成し、外部空気を加熱して同床下空間に供給し、この暖気を床下空間から床材の通孔を通して下階居室の床面上に供給し、更に下階居室の天井から上階居室の床に通気路を設けて上階居室の暖房を実現する手段が開示されている。
更に登録実用新案第3075469号公報(特許文献3)には、高気密住宅において、床下空間に、外部から空気を取り入れ、当該空気を加熱する暖房装置を設置し、床面に設けられた吹き出し口から居室内に温風を供給し、2階居室は、特別に形成した間仕切壁内の通路を通して1階天井裏(2階床下)に暖気を供給し、暖気を2階居室の床面から設けた吹き出し口から2階居室内に供給し、そして各室を通った空気は2階天井に設けられた排気筒部から外部に排出されるシステムが開示されている。
特開平11−182872号公報 特開平11−193936号公報 登録実用新案3075469号公報
上記のとおり、床下空間が断熱構造となるように所定の基礎を築き、家全体を高断熱高気密で構築し、暖房装置を配置した床下空間の暖気で家全体を暖房するシステムが知られているが、その具体的手段において、省エネルギーや建築コストの点で種々の技術課題がある。
例えば換気と暖房装置の関係において、特許文献1記載の暖房装置部は、床下密閉空間内の空気加熱手段のみが開示され室内換気に関してはまったく開示されていない。特許文献2,3記載の暖房システムにおいては、外気を取り入れこれを加熱(熱交換)し、最上階居室の天井部分から放出するものであり、暖房装置を運転させている間(通常は24時間運転)、常時冷気である外気を導入し、暖気である室内空気が放出されることになり、必ずしも暖房のエネルギー効率に優れているとはいえない。
また居室への暖気供給は、床面の微小孔からの吹き出しとしているものであり(特許文献1)、特別な床材を採用しなければならなく、建築コストアップの要因となる。また床面に所定の吹き出し口を形成している場合(特許文献2,3)には、当該箇所が当然居室床として使用できないし、小物を落したりするなど居室が使い難くなる。
そこで本発明は、暖房装置の設置構造並びに換気システム、居室への暖気供給手段を組み合わせて、熱効率(暖房運転のエネルギー効率)に優れ、居室の通常通りの使用を可能とした新規な暖房システムを提案したものである。
本発明に係る木造住宅の暖房システムは、床下空間が外空間に対して断熱密閉構造となる基礎の上に、家全体を外断熱による高断熱高気密で、且つ床下空間と居室壁面内空間及び天井、小屋裏空間を連通状態に構築し、屋外ボイラと連結した温風吹き出し型の暖房装置を、適宜な室の所定箇所に設けた床面開口部に、吹き出し部分が床下空間に位置するように半露出状態で設置し、各居室の壁面の下方位置に壁面内空間と連通するガラリ部を設けると共に、各居室の天井に、動作制御可能に設けた強制排気部に接続した排気ダクトの吸気口を設け、外壁適宜箇所に、開閉機構を備えた外気導入部を設けてなることを特徴とするものである
而して暖房装置を作動させると、温風が床下空間に吹き出され、床下空間が温められると、一階居室は床暖房効果によって温められ、更に床下暖気が壁面内を通過して上昇し1階天井(2階床下)に暖気が達すると2階居室は床暖房効果によって暖房がなされる。同時に各居室のガラリ部から居室内に壁内空間の暖気が入り込み居室の暖房がなされる。特に暖房装置は、床上に対して半露出状態で設置されているので、暖気吹き出しに際して床上空間の空気も床下に引き込むことになり、結果的には暖気の対流が実現するので、換気(冷気である外気の取り込み)を行わない状態で暖房が実施されることになり、暖房効率が高められるものである。更に換気は強制排気部を動作させることで、居室内空気が屋外に放出されると、屋内外の圧力差によって外気導入部から外壁に添った壁面内空間に外気が導入され、暖気と混合して各居室に流れていくことになる。
また本発明は、特に前記暖房装置の設置開口部をリビングルームの隅部に配置し、当該開口部の上方部分をテレビ台として使用可能な棚部としてなるもので、最も人の出入りが多くドアの開放回数が多いリビングの空気が床下に送り出されることになり、家屋内全体の暖気対流が促進される。
更に本発明は、暖房装置の吹き出しによる暖気流を、布基礎立ち上がり部に衝突させ、床下暖気の温度分布を所望の居室下において高くするようにしてなるもので、老人居室のように居室温度を高く維持したい居室を選択的に設定することができる。
本発明は上記の構成であり、非換気状態(冷たい外気の取り込みを行わない状態)で暖房運転がなされ、且つ床上空間(居室空間)の空気を床下に吹き込むので家屋内全体の暖気対流が行われ、効果的な暖房が実現される。また屋内換気も必要なときにのみ実施することになり、簡易な強制換気装置で充分であって、通常の高断熱高気密住を構築する以外の暖房システムの組み込みコストは安価ですむものである。
次に本発明の実施形態について説明する。本発明が実施される建物は、軸組工法による高気密高断熱の木造家屋が適するものである。尚枠組壁工法の家屋であっても、特に壁内空間に通気路が形成されるように構築することで本発明を実施できる。
以下軸組工法の家屋を例にして説明する。建物の基礎1は、基本的に従前の基礎と同様であるが、床下面部分(べた基礎としても良い)及び布基礎1の床下側面を発泡樹脂の断熱板2で被覆する。また外壁部3は、柱の間や間柱の間を発泡樹脂断熱板で密閉断熱構造とし、更に所定の外壁材やシーリング板等を張着して形成するものである。
更に屋根4においても野地板(垂木間)に発泡樹脂板を貼り付けた部材を使用して、且つ外壁部3と連続箇所を密閉状態として断熱密閉構造に形成するものである。
従って家屋内全体は、外気と遮断された密閉空間として、高断熱高気密住宅とするものである。但し台所にはコンロ上に排気ダクトを設置する強制排気機構を組み込み、浴室にも強制排気機構を組み込む。
居室等の屋内構築は、床下の布基礎1a部分については、床下空間A全体が連通状態となり、また後述する床下空間の温風流の状態と、1階居室の使用目的等に合わせて布基礎1aの立ち上がり範囲を定める(設計段階で、基礎と束の組み合わせを考慮する)。
1階居室5及び2階居室6は、外壁部3との間や、隣接居室間の仕切り壁内に通気路(壁内空間)Bを有するように構築し、更に2階床下空間Cや小屋裏空間Dも前記壁内空間Bと連通させてなる。
暖房機構7は、屋外のボイラ71と接続した温風吹き出し型の暖房装置72を備え、前記暖房装置72を、リビングルーム5aの隅部に設けた床面開口部73内に、床下空間Aに温風が吹き出されるように半露出状態で設置し、当該開口部73の上方部分はテレビ台として使用可能な棚部74としてなる。更に各居室5,6の壁面適宜箇所(壁面下方で、家具の置き場所などを考慮して決める)に壁面内空間と連通するガラリ部75を設ける。
換気機構8は、小屋裏空間Dに設置して外気への排気を行う排気管81と、同所に設置した動作制御可能な強制排気部82と、各居室5,6の天井に設けた吸気口83と前記強制排気部82とを接続する排気ダクト84とで構成した排気機構を備え、更に外壁部3の適宜箇所に設けて開閉機構(強制開閉又は差圧による自動開閉)を備え、外気dを壁内空間Bに導入する外気導入部85と、所定のリビング5aの壁面に設けた給気部86を設けたものである。
而して屋外ボイラー71及び暖房装置72を作動させると、温風aが床下空間Aに吹き出され、床下空間Aが温められ、一階居室5は床暖房効果によって温められることになる。
特に暖房装置72からの吹き出しによる暖気流aを、床下空間A内の布基礎立ち上がり部1aに衝突させると、当該衝突で暖気流aの流れが変化し、特に暖気流同士が衝突すると滞留しやすい状態となり、当該滞留空間は他の空間より温度が高くなるので、老人居室のように居室温度を高く維持したい場合などは、家の設計段階で前記の基礎の配置を決定する。
床下空間Aに吹き出された暖気流aは、壁面内空間Bを通過して2階床下空間Cに侵入し、2階居室は床暖房効果によって暖房がなされる。
更に上下階の各居室5,6は、壁面に設けたガラリ部75から居室5,6内に暖気bが入り込み、これによって室温維持の暖房効果を奏するものである。
本発明は、暖房装置72が床上に半露出状態で設置されているので、暖気流aの吹き出しに際して、床上空間の空気cも床下に引き込むことになり、結果的には家全体の暖気の対流が実現するものである。特にドアの開閉によって他の居室空間との空気流通が行われやすいリビング5aに暖房装置72を設置することによって、前記した家全体の暖気対流が効率的に行われることになり、また同時にリビングにおいてガラリ部75からの暖気侵入量が多くなり、家族が集うことが多いリビングの暖房が他の居室に比較して速やかに行われることになる。
屋内空気の換気は、強制排気部82を作動させると、各居室5,6から排気ダクト84を通じて屋外に居室内空気が排出される。同時に外気導入部85から新鮮な外気dが壁面内空間Bに導入され、換気が実施される。
この導入外気dは、壁面内空間で暖気流aと混合し、ガラリ部75から各居室5,6に導入される。特に人が集うリビング5aにおいては、壁面に給気部86を設け、導入外気dが混合している壁面内空間Bからの換気用空気の導入を速やかに行えるようにしているものである。
以上の構成によって、冷たい外気を遮断した非換気状態で、家屋内全体の暖気対流を実現することで、エネルギー効率に優れ暖房経費を低減できる暖房システムを提供できたものである。
本発明の実施形態の説明図。 同要部拡大図。
符号の説明
1 基礎
1a 屋内布基礎
2 断熱板
3 外壁部
4 屋根
5 1階居室
5a リビング
6 2階居室
7 暖房機構
71 屋外ボイラ
72 暖房装置
73 床面開口部
74 棚部
75 ガラリ部
8 換気機構
81 排気管
82 強制排気部
83 吸気口
84 排気ダクト
85 外気導入部
86 給気部
A 床下空間
B 壁内空間
C 2階床下空間
D 小屋裏空間

Claims (1)

  1. 床下空間が外空間に対して断熱密閉構造となる基礎の上に、家全体を外断熱による高断熱高気密で、且つ床下空間と居室壁面内空間及び天井、小屋裏空間を連通状態に構築し、屋外ボイラと連結した温風吹き出し型の暖房装置を、リビングルームとする特定の居室の外壁近傍の隅部に設けた床面開口部に、吹き出し部分が床下空間に位置し、且つ吸い込み部分が当該開口部の床面上方となる位置に半露出状態で設置すると共に、前記床面開口部の上方部分をテレビ台として使用可能な棚部とし、暖房装置からの床下空間への吹き出し暖気流が、衝突によって所望の特定の居室下でのみ一時的に滞留しやすく、且つ床下空間全体が連通状態となるような建物の布基礎立ち上がり部を備えた居室設計を行い、各居室の壁面の下方位置に壁面内空間と連通するガラリ部を設けると共に、各居室の天井に、動作制御可能に設けた強制排気部に接続した排気ダクトの吸気口を設け、外壁適宜箇所に、壁内空間と連通を開閉する機構を備えた外気導入部を設けると共に、リビングルームの上方壁面にのみ更なる給気部を設けてなる木造家屋の暖房システム。
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