JP4030765B2 - 波長多重光伝送システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長距離光伝送システムおいて、中継装置間の前後に挿入した光増幅器の利得を適切に制御することにより、相互位相変調による伝送特性劣化を抑制した波長多重光伝送システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の長距離光伝送システムでは、1.5[μm]帯の光を直接増幅できるエルビウム添加ファイバ増幅器(Erubium Doped Fiber Amplifier(以下「EDFA」という。))を利用した光中継増幅伝送方式が主流となっている。さらに、広帯域に増幅可能なEDFAが出現し、これらを用いた波長多重伝送方式による大容量伝送システムが実現されている。
【0003】
しかし、さらなる大容量化と低コスト化が要求される昨今、これを実現する手段として1チャネルあたりの伝送速度の増加、増幅帯域の有効利用そして中継間隔の延伸化等が求められている。
【0004】
一方、伝送速度の増加、増幅帯域の有効利用のためには、波長多重間隔を狭窄化する必要があり、また、中継間隔の延伸化のためには、受信端での光信号対雑音比を確保する必要から、伝送路への入力パワーを増やす必要がある。しかし、波長多重間隔の狭窄化や伝送路への入力パワーの増加は、光ファイバ伝送特有の非線形効果による光パルス歪みを招くことにつながる。
【0005】
光パルス歪みを招く非線形効果としては、4光波混合、自己位相変調効果そして相互位相変調効果が挙げられる。
【0006】
列挙したこれらの非線形効果のうち、4光波混合によるパルス歪みは、光信号波長が光ファイバのゼロ分散波長と重ならないようにする方法や波長多重間隔を不等間隔に配置するといった方法により低減できることが知られている。
【0007】
また、自己位相変調効果によるパルス歪みは、送信端での光信号に対して位相変調を施すことにより伝送路内でのパルス波形変化を大きくさせ、パルスの平均パワーを低く抑える方法や光ファイバ伝送路自体を増幅媒体とし分布定数的に光増幅を行うことができるラマン増幅器をEDFAと併用し、光ファイバ伝送路直後に入るEDFAの出力パワーを低減する方法が知られている。これらのことから、4光波混合や自己位相変調による影響を低減させることが可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
4光波混合や自己位相変調による影響を低減させることができた場合には、相互位相変調によるパルス歪みが光伝送システムの性能を支配する大きな要因となる。したがって、相互位相変調による影響をいかに低減するかが、波長多重光伝送システムの1チャネルあたりの伝送速度の増加および中継間隔の延伸化等を実現できるかのキーとなる。そこで、相互位相変調による影響について、2つの異なる波長を分割して多重伝送するときを例にとり、以下に説明する。
【0009】
光ファイバの自己位相変調は、光信号の強度により光ファイバの屈折率をわずかに変化させる光カー効果に起因するものであるが、相互位相変調は、2つの波長多重信号の一方の信号光の強度変化が、もう1つの信号光の強度変化とともに作用することで光ファイバの屈折率をわずかに変化させることに起因するものである。
【0010】
図1は光パルスによる自己位相変調の現象を示す概念図である。自己位相変調が発生したとき、光パルスの立ち上がり部分(光パルスの前縁)では、光パルスの瞬時周波数は周波数が低い方にシフト(以下「レッドチャープ」という。)され、逆に光パルスの立ち下がり部分(光パルスの後縁)では光パルスの瞬時周波数は周波数が高い方にシフト(以下「ブルーチャープ」という。)される。
【0011】
一方、図2は光パルスによる相互位相変調の現象を示す概念図である。図2(a)において、λ1とλ2は2つの異なる波長の光パルスであり、λ1の光パルスの速度はλ2の光パルスより早いとする。2つの光パルスが光ファイバ内を伝送するとき、λ1の光パルスはλ2の光パルスより早く進むので図2(b)に示すように、λ1の光パルスの立ち上がり部分がλ2の光パルスの立ち下がり部分と重なり始める。そのとき、λ2の光パルスの立ち下がり部分は、λ1の光パルスの立ち上がり部分で誘起されたレッドチャープにより位相シフトを受ける。さらに、λ1とλ2の光パルスの伝送が進むと図2(c)に示されるように、λ1の光パルスはλ2の光パルスを抜き去ることになり、λ1の光パルスの立ち下がり部分がλ2の光パルスの立ち上がり部分と重なる。このとき、λ2の光パルスの立ち上がり部分は、λ1の光パルスの立ち下がり部分で誘起されたブルーチャープにより位相シフトを受けることになる。
【0012】
この2つの光パルスが伝送される光ファイバ伝送路において、光パワーの減衰がない場合には、λ2の光パルスがλ1の光パルスにより受けるレッドチャープとブルーチャープの量は等しくなるため、λ2の光パルスがλ1の光パルスに追いつかれ追い抜かれる間に発生するチャープは打ち消し合いあい、λ2の光パルスが相互位相変調効果による位相シフトを受けることはない。
【0013】
しかしながら、通常、光ファイバ伝送路において光信号は伝送するに従い光パワーは減衰してしまうため、λ1の光パルスがλ2の光パルスに追いつき、重なる間に生じるレッドチャープ量は、λ1の光パルスがλ2の光パルスと重なった状態からλ1の光パルスがλ2の光パルスを追い抜く間に生じるブルーチャープ量より大きくなり、両者のチャープ量は打ち消し合わずに、光信号パワーが高い地点で生じたレッドチャープがわずかに残留してしまう。従って、λ2の光パルスはこの残留したレッドチャープにより位相シフトが生じ、光ファイバを伝搬する群速度が変化する。この影響は各中継間隔で残留していくため、受信端においてジッタ(受信パルスの中心位置ずれ)となり伝送性能を劣化させることになる。
【0014】
このように、相互位相変調は、隣接波長間における強度歪みが位相揺らぎを生じさせ伝送特性を劣化させるため、隣接波長間における光パルスの衝突が繰り返される波長多重の長距離光伝送システムにおいては非常に問題となる。
【0015】
この相互位相変調を低減する方法としては、例えば特開2001−36468号公報(従来技術1)および特開2001 - 94511号公報(従来技術2)がある。
【0016】
従来技術1.
図11は、特開2001−36468号公報に記載の実施例を示す説明図である。同図において、111は送信装置、112−1〜112−nはそれぞれ送信機、113は合波器、114および124は光増幅器、115、119、121は分散シフトファイバ(負分散)、116、120、122は分散シフトファイバ(負、正、零分散)、117、118は光線形中継器、123は受信装置、125は分波器、126−1〜126−nは分散等化器、127−1〜127−nは受信機であり、送信装置111と受信装置123との間に、伝送光ファイバの損失を補償するために設置された光線形中継器117、118が配置されている。
【0017】
図11の構成において、送信装置111から出力される光信号は、零または正のチャープ係数を有しており、各伝送区間の入力端から有効相互作用長までの範囲においてすべての信号光波長に対し、伝送光ファイバの波長分散の局所分散値が負となるように設定された分散シフトファイバ115、119、121の中を伝送する。これにより、負分散側でパルス圧縮が生じるためアイ開口度が向上する。その後光信号は、相互位相変調の影響が最小となる分散量である零分散となるように設定された分散シフトファイバ116、120、122の中を伝送する。
【0018】
上記のような伝送システムでは、自己位相変調に対する最適総分散量を相互位相変調に対する最適分散量である零分散となるように各伝送区間の波長分散が設定されることで、相互位相変調による伝送特性劣化の低減を図っている。
【0019】
従来技術2.
図12は、特開2001-94511号公報に記載の実施例を示す説明図である。同図において、130は光送信局、132は光受信局、134は光送信局130と光受信局132を結ぶ光伝送路、131Aは複数の光信号のそれぞれを出力する複数の光送信器(E/O)、131Bは複数の光信号を波長多重する合波器、131Cは前記合波器131Bからの波長多重信号光を所要レベルに増幅し光伝送路134に出力するポストアンプ、132Aは光伝送路134を介して伝送された波長多重信号光を所要のレベルに増幅するプリアンプ、132Bはプリアンプ132Aからの出力光を波長に応じて複数の光信号に分岐する分波器、132Cは複数の光信号をそれぞれ受信処理する複数の光受信器(O/E)である。
【0020】
ここで、光伝送路134は伝送路損失がほぼ0[dB/km]に制御されているとする。光伝送路134としては、例えば誘導ラマン散乱等の光増幅技術や、エルビウム等の希土類元素イオンをドープした光ファイバを光伝送路として用いた光増幅技術などにより、光伝送路の損失を分布的に補償する機能を備えたものである。光伝送路134は光送信局130と光受信局132の間をn分割された第1〜第n中継区間1341〜134nとを有する。
【0021】
ここで、各中継区間1341〜134nのそれぞれの光伝送路の長さを50[km]、信号波長付近の波長分散は−1.25[ps/km/nm]、信号間の周波数間隔は100[GHz]、伝送速度は10[bit/s]とした場合、1つの中継区間において波長分散により隣接波長間の光パルスの遅延量はビット周期の1/2となるため、100[km]伝送後には隣接波長間の光パルスは1ビット遅延する。このとき0[km]時において隣接する波長間の光パルスがこれから衝突しようとする状態とした場合、100[km]伝送後では1回の衝突が生じたことになる。
【0022】
いま、各中継区間1341〜134nのそれぞれの光伝送路134において隣接波長の光パルスの衝突回数が整数倍となるように、光伝送路134の波長分散特性が設定される。具体的には、1つの中継区間あたりの光伝送路134の波長分散Dが、次式で示す関係を満足するように設定する。ここで、Brは伝送速度、λは波長、Δfは光周波数間隔、cは光の速度である。
【0023】
【数1】
【0024】
例えば、(式1)において、伝送速度Brを10[Gbit/s]、信号波長を1550[nm]、光周波数間隔を100[GHz]とした場合、中継区間あたりの光伝送路の波長分散は125[ps/nm]のN倍となる。
【0025】
上記のような光伝送システムでは、1つの中継区間における隣接波長の光パルスの衝突回数が整数倍となるように、つまり隣接波長間の光パルスがNビット遅延するように光伝送路134の波長分散特性を設定することによって光パルスの追い越しの際に発生するレッドチャープおよびブルーチャープの各総量がほぼ同じになり、相互位相変調によるチャーピングを打ち消すことで、波形歪みの低減を図っている。
【0026】
しかし、実際問題として、従来技術1のように、各中継区間の光伝送路損失をすべての波長帯でほぼ0[dB/km]とすることや、従来技術2のように、隣接波長間の光パルスの衝突回数を常にNビット遅延するように光伝送路の波長分散を管理することは非常に困難である。
【0027】
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、波長多重光伝送システムにおいて発生する相互位相変調による伝送特性劣化の低減を簡易に実現する波長多重光伝送システムを提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかる波長多重光伝送システムは、複数の中継区間を有する光ファイバ伝送路を用いて波長の異なる2以上の光信号を多重伝送する波長多重光伝送システムにおいて、各中継区間の入力側に配され、光信号を集中定数的に光増幅する集中定数型光増幅器と、前記集中定数型光増幅器の利得を制御する第1の利得制御部と、前記各中継区間の出力側に配され、前記光ファイバ伝送路を増幅媒体として分布定数的に光増幅する分布定数型光増幅器と、前記分布定数型光増幅器の利得を制御する第2の利得制御部と、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を前記第1の利得制御部と前記第2の利得制御部との利得比によって制御する補償制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、各中継区間の入力側に配した集中定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第1の利得制御部により前記集中定数型光増幅器の利得を制御し、前記各中継区間の出力側に配した前記光ファイバ伝送路を増幅媒体とした分布定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第2の利得制御部により前記分布定数型光増幅器の利得を制御し、補償制御部で前記第1の利得制御部および前記第2の利得制御部との利得比を制御することにより、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を制御することができる。
【0030】
つぎの発明にかかる波長多重光伝送システムは、複数の中継区間を有する光ファイバ伝送路を用いて波長の異なる2以上の光信号を多重伝送する波長多重光伝送システムにおいて、各中継区間の入力側に配され、前記光ファイバ伝送路を増幅媒体として分布定数的に光増幅する第1の分布定数型光増幅器と、前記第1の分布定数型光増幅器の利得を制御する第1の利得制御部と、前記各中継区間の出力側に配され、前記光ファイバ伝送路を増幅媒体として分布定数的に光増幅する第2の分布定数型光増幅器と、前記第2の分布定数型光増幅器の利得を制御する第2の利得制御部と、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を前記第1の利得制御部と前記第2の利得制御部との利得比によって制御する補償制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、各中継区間の入力側に配した前記光ファイバ伝送路を増幅媒体とした第1の分布定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第1の利得制御部により前記第1の分布定数型光増幅器の利得を制御し、前記各中継区間の出力側に配した前記光ファイバ伝送路を増幅媒体とした第2の分布定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第2の利得制御部により前記第2の分布定数型光増幅器の利得を制御し、補償制御部で前記第1の利得制御部および前記第2の利得制御部との利得比を制御することにより、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を制御することができる。
【0032】
つぎの発明にかかる波長多重光伝送システムは、複数の中継区間を有する光ファイバ伝送路を用いて波長の異なる2以上の光信号を多重伝送する波長多重光伝送システムにおいて、前記各中継区間の出力側に配され、前記光ファイバ伝送路を増幅媒体として分布定数的に光増幅する分布定数型光増幅器と、前記分布定数型光増幅器の利得を制御する利得制御部と、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を前記利得制御部の利得によって制御する補償制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、前記各中継区間の出力側に配した前記光ファイバ伝送路を増幅媒体とした分布定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、前記利得制御部により前記分布定数型光増幅器の利得を制御し、補償制御部で前記利得制御部の利得を制御することにより、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を制御することができる。
【0034】
つぎの発明にかかる波長多重光伝送システムは、上記の発明において、前記光ファイバ伝送路が複数の異なる有効コア断面積から構成されることを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、上記の発明において、前記光ファイバ伝送路が複数の異なる有効コア断面積から構成されることを特徴としたことにより、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を制御することができる。
【0036】
つぎの発明にかかる波長多重光伝送システムは、上記の発明において、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間における波長分散値が正の分散値と負の分散値から構成されることを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、上記の発明において、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間における波長分散値が正の分散値と負の分散値から構成されたことを特徴とすることにより、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を制御することができる。
【0038】
つぎの発明にかかる波長多重光伝送システムは、上記の発明において、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間における波長分散による隣接波長間の光パルスの遅延量がゼロとなるように設定したことを特徴とする。
【0039】
この発明によれば、上記の発明において、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間における波長分散による隣接波長間の光パルスの遅延量がゼロとなるように設定したことを特徴とすることにより、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を制御することができる。
【0040】
つぎの発明にかかる波長多重光伝送システムは、上記の発明において、前記光ファイバ伝送路内の連続した二つの中継区間の波長分散の符号が異なることを特徴とする。
【0041】
この発明によれば、上記の発明において、前記光ファイバ伝送路内の連続した二つの中継区間の波長分散の符号が異なることを特徴とすることにより、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において少なくとも隣接の波長信号間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピング量とレッドチャーピング量を打ち消すことができる。
【0042】
つぎの発明にかかる波長多重光伝送システムは、上記の発明において、前記光ファイバ伝送路内の連続した二つの中継区間の波長分散による隣接波長間の光パルスの遅延量がゼロとなるように設定したことを特徴とする。
【0043】
この発明によれば、上記の発明において、前記光ファイバ伝送路内の連続した二つの中継区間の波長分散による隣接波長間の光パルスの遅延量がゼロとなるように設定したことを特徴とすることにより、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において少なくとも隣接の波長信号間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピング量とレッドチャーピング量を打ち消すことができる。
【0044】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図3は、この発明にかかる波長多重光伝送システムの実施の形態1の説明図である。同図において、1は光ファイバ伝送路を、21〜2nは光ファイバ伝送路1をn個に分割した中継区間を、3は2つ以上の異なる波長信号光を波長多重した波長多重信号光を送出する送信部を、41〜4nは異なる波長信号光を送出する送信機を、5は送信機41〜4nから送出された複数の波長信号光を合波する合波器を、6は光ファイバ伝送路1を伝送した波長多重信号光を分波するための分波器を、71〜7nは分波器6により分波された波長の異なる信号光を受信する受信器を、8は分波器6と受信器71〜7nから構成される受信部を、それぞれ示している。
【0045】
また、同図の光ファイバ伝送路を複数に分割した各中継区間21〜2nにおいて、1aは各中継区間21〜2nの光ファイバ伝送路を、10は光ファイバ伝送路1aと接続された波長多重信号光が入力される入力端子を、11は集中定数型光増幅器を、12は分布定数型光増幅器を、13は分布定数型光増幅器12における分布定数型増幅用励起光源を、14は分布定数型増幅用励起光源13から送出された励起光と波長多重信号光を合波する光合波手段を、15は波長多重信号光が送出される光出力端子を、16aは集中定数型光増幅器11の利得を制御する利得制御部を、16bは分布定数型光増幅器12の利得を制御する利得制御部を、17は集中定数型光増幅器の利得制御部16aと、分布定数型光増幅器の利得制御部16bとを適切に制御し、光ファイバ伝送路1a内で生じた相互位相変調によるブルーチャープとレッドチャープの影響を打ち消す補償制御部を、それぞれ示している。
【0046】
図4(1)は、中継区間に生じる相互位相変調の影響による残留チャープが生じる原理の説明図である。1aは前記光ファイバ伝送路1を複数に分割された正の分散値から構成される光ファイバ伝送路で、10は前記光ファイバ伝送路1aと接続された波長多重信号光が入力される入力端子、11は集中定数型光増幅器、15は波長多重信号光が送出される光出力端子である。また、図4(1)−(a)において、Pinは入力信号パワー、Poutは出力信号パワーを、実線は光信号の伝送とともに減衰していく信号パワー曲線を示している。
【0047】
いま、図4(1)の中継間隔は100[km]とし、信号光波長近傍での波長分散は2.5[ps/km/nm]、信号波長間隔は0.8[nm]、伝送速度は20[Gbit/s]とする。このとき、隣接波長の信号光が波長分散によって生じる遅延量は、Dを波長分散、Lを伝送距離、Δλを波長間隔として、次式で表すことができる。
【0048】
【数2】
【0049】
この(式2)から、波長多重信号光が25[km]伝播されたとすると隣接波長間の遅延量は2.5[ps/km/nm]×25[km]×0.8[nm]=50[ps]となり、これは伝送速度20[Gbit/s]の信号のビット周期が50[ps]であるので、隣接する光パルスが1ビット遅延することを意味している。
【0050】
つまり、0[km]において隣接波長の光パルスがこれから衝突しようとしている場合には、25[km]を伝送する間にレッドチャープおよびブルーチャープを1回ずつ発生することになる。つまり、中継区間100[km]を伝送する間には遅延量は2.5[ps/km/nm]×100[km]×0.8[nm]=200[ps]となり、隣接する光パルスは4ビット遅延し、4回ずつブルーチャープとレッドチャープが発生することになる。
【0051】
ここで、図4(1)に示した中継区間構成例における相互位相変調効果の影響について説明する。ここで、隣接する2波長間の相互位相変調を考えるとし、2つの異なる波長多重信号の信号ビットパターンは「1」の連続であると仮定する。このとき波長多重信号光は前記集中定数型光増幅器11により所望の光レベルPinまで増幅された後、光ファイバ伝送路1a区間を伝送する。光ファイバ伝送路1a区間を伝送する間に、2つの異なる波長間で相互位相変調効果を受けるが、図4(1)−(a)に示すように、伝送に伴い生じる損失のために光信号パワーが減衰するため、光ファイバ伝送路1a区間における相互位相変調により長手方向に発生するチャープの様子は、図4(1)−(b)に示すように隣接する光パルスが1ビット遅延する間では、常にブルーチャープよりレッドチャープが強い状態となる。従って、光ファイバ伝送路1a区間を伝送する間では図4(1)−(c)に示すように、相互位相変調の影響で常にレッドチャープが残留してしまい、全体でΔCだけ残ってしまう。
【0052】
つぎに、中継区間の出力側に分布定数型光増幅器を用いた場合に、残留チャープが低減される原理について説明する。図4(2)は、図4(1)の出力側に図3で示した分布定数型光増幅器12を挿入した場合の説明図である。また、図4(2)−(a)において、波線は分布定数型光増幅を行わない場合、実線は分布定数型光増幅を行う場合のそれぞれの信号パワー曲線を示している。上述したように、入力端子10から入力される波長多重信号光は2つの異なる波長成分からなり、2つの異なる波長多重信号の信号ビットパターンは「1」の連続であると仮定する。このとき波長多重信号光は、集中定数型光増幅器11により所望の光レベルPinまで増幅された後、光ファイバ伝送路1a区間を伝送する。中継区間の出力側では分布定数型光増幅器12を備えており、励起光が分布定数型増幅用励起光源13により出力された励起光は、光合波手段14を介し、波長多重信号光と逆方向に中継区間に入力される。そのため、伝送が進行し出力端に近づくにつれ、長手方向に対して分布定数的に波長多重信号光が増幅されるため図4(2)−(a)に示すような信号パワープロファイルとなる。
【0053】
これにより分布定数型光増幅を行わないときの信号パワープロファイルと比較した場合、A点までは信号パワープロファイルが同じであるため、A点までは隣接する光パルスが1ビット遅延する間に発生するチャープは常にレッドチャープがブルーチャープより大きく、A点以前まではレッドチャープが残留することになる。しかし、A点以降では分布定数型光増幅を行うことにより次第に光信号パワーが大きくなるため、図4(2)−(b)に示すように隣接する光パルスが1ビット遅延する間に発生するチャープ量はレッドチャープよりもブルーチャープが強い状態となる。そのため、光ファイバ伝送路1a区間の長手方向に対する残留チャープの様子は図4(2)−(c)に示すようにA点以前まではレッドチャープが残留するが、A点以降ではブルーチャープが残留するため光ファイバ伝送路1a区間を伝送後の残留チャープΔC1はΔCより小さくなる。
【0054】
分布定数型光増幅を行った場合でも、残留チャープが発生しているが、これは光ファイバ伝送路区間内のA点以前で残留したレッドチャープ量とA点以降で残留したブルーチャープ量が等しくないためである。A点以前で残留したレッドチャープ量がA点以降で残留したブルーチャープ量より大きい場合には、集中定数型光増幅器の利得を小さくするか、あるいは分布定数型光増幅器の利得を大きくすることで中継区間全体での残留チャープをさらに小さくすることができる。
【0055】
図5は、分布定数型光増幅器12の利得制御により残留チャープを極小化した場合の説明図である。また、図5−(a)において、実線は残留チャープ(ΔC2)が残る場合、波線は残留チャープ(ΔC1)が低減される場合の信号パワー曲線をそれぞれ示している。図5−(a)の実線の場合には、光ファイバ伝送路1a区間で相互位相変調により発生するチャープは図5−(b)の実線のようになるため、光出力端子15において残留するチャープ量は図5−(c)の実線に示すように、ΔC2だけ残ることになる。一方、図5−(a)の波線の場合のように、図5−(a)の実線の場合より、集中定数型光増幅器11の利得を下げ(Pin2<Pin)、分布定数型光増幅器12の利得比を上げることにより、光出力端子15において残留するチャープ量を図5−(c)の波線に示すように、ΔC1<ΔC2とすることができる。したがって、集中定数型光増幅器11と分布定数型光増幅器12との利得比を最適に設定した場合には、光ファイバ伝送路1a区間で発生する残留チャープ量を極小化することができる。
【0056】
以上のようにこの実施の形態1によれば、図3に示す波長多重光伝送システムにおいて、各中継区間の入力側で集中定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第1の利得制御部により集中定数型光増幅器の利得を制御し、各中継区間の出力側で光ファイバ伝送路を増幅媒体とした分布定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第2の利得制御部により分布定数型光増幅器の利得を制御し、補償制御部で第1の利得制御部および第2の利得制御部との利得比を制御することにより、光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において少なくとも隣接の波長信号間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピング量とレッドチャーピング量を打ち消すことができるので、相互位相変調効果による伝送特性劣化の少ない光伝送システムを構築できる。
【0057】
実施の形態2.
実施の形態2では、図3に示す波長多重光伝送システムにおいて、各中継区間の入力側の集中定数型光増幅器を分布定数型光増幅器に置換している。図6は、実施の形態2における残留チャープ量を極小化する場合の説明図である。同図において、10は光ファイバ伝送路1aと接続された波長多重信号光が入力される入力端子を、12aは第1の分布定数型光増幅器を、13aは第1の分布定数型光増幅器12aにおける第1の分布定数型増幅用励起光源を、14aは第1の分布定数型増幅用励起光源13aから送出された励起光と波長多重信号光を合波する光合波手段を、12は第2の分布定数型光増幅器を、13は第2の分布定数型光増幅器12における分布定数型増幅用励起光源を、14は第2の分布定数型増幅用励起光源13から送出された励起光と波長多重信号光を合波する光合波手段を、15は波長多重信号光が送出される光出力端子をそれぞれ示している。
【0058】
なお、伝送路遅延の条件は実施の形態1と同じとする。すなわち、図6において、中継間隔は100[km]とし、信号光波長近傍での波長分散は2.5[ps/km/nm]、信号波長間隔は0.8[nm]、伝送速度は20「Gbit/s」とする。したがって、実施の形態1と同様に、0[km]において隣接する光パルスが、25[km]を伝送する間に1ビット遅延するものとする。また、入力端子10から入力される波長多重信号光は2つの異なる波長から構成され、2つの異なる波長多重信号の信号ビットパターンは「1」の連続と仮定する。
【0059】
したがって、実施の形態1でも示したように、中継区間100kmを伝送する間に、隣接する光パルスは4ビット遅延し、4回ずつブルーチャープとレッドチャープが発生することとなる。
【0060】
このとき、波長多重信号光は、第1の分布定数型光増幅器12aの第1の分布定数型増幅用励起光源13aから出力された励起光と第1の光合波手段14aにおいて合波され、波長多重信号光と励起光は光ファイバ伝送路1a中を同方向に伝送される。このとき、光ファイバ伝送路1a中では励起光により分布定数的に光増幅が行われるため、波長多重信号光は第1の分布定数型増幅用励起光源13aから出力された励起光による光増幅効果が失われるまで光増幅される。
【0061】
また、光ファイバ伝送路1a区間の出力側では、第2の分布定数型光増幅器12を備えており、励起光が第2の分布定数型増幅用励起光源13により出力された励起光は光合波手段14を介し、波長多重信号光と逆方向に光ファイバ伝送路区間に入力される。そのため光ファイバ伝送路1aの出力側付近まで伝送が進行するに従い、長手方向に対して分布定数的に波長多重信号光が増幅されるため分布定数的に増幅された図6(a)に示すような信号パワープロファイルとなる。このとき図6(a)に、第1の分布定数型光増幅器12aと第2の分布定数型光増幅器12との利得比を制御することによって得られる異なる3種類の信号プロファイルを示した。この3種類の信号プロファイルでは、点線K1、実線K2そして破線K3の順に、分布定数的に増幅される点が信号入力側に位置しているところが異なっている。すなわち、第1の分布定数型光増幅器12aの利得は、K1>K2>K3と設定しており、また第2の分布定数型光増幅器12の利得は、K1<K2<K3と設定している。
【0062】
このとき3種類の利得比における発生チャープおよび残留チャープの長手方向に対するプロファイルを図6(b)および図6(c)に示した。この図6(b)から分かるように、第1の分布定数型光増幅器12aと第2の分布定数型光増幅器12との利得比に応じて、光ファイバ伝送路1aを伝送する間に、相互位相変調効果に起因して複数回のブルーチャープおよびレッドチャープが発生する。この図6(a)において分布定数的に光増幅が行われ、光ファイバの損失よりも高い利得を得られた点以降では次第に光信号パワーが大きくなるため、隣接する光パルスが1ビット遅延する間に発生するチャープ量はレッドチャープよりもブルーチャープが強い状態となる。
【0063】
点線K1では、A点以前までは相互位相変調により発生するチャープは、ブルーチャープよりレッドチャープ量が強く生じるためレッドチャープが残留する。A点以降ではレッドチャープよりブルーチャープ量が強く生じるためブルーチャープが残留する。しかし、A点以降に残留したレッドチャープ量より、A点以降に残留したブルーチャープ量が小さいため、光ファイバ伝送路1a間の伝送で残留するチャープはレッドチャープが残留する。一方、破線K3では、C点以前までは相互位相変調により発生するチャープは、ブルーチャープよりレッドチャープ量が強く生じるためレッドチャープが残留する。C点以降では、レッドチャープよりブルーチャープ量が強く生じるためブルーチャープが残留する。しかし、C点以前に残留したレッドチャープ量より、C点以降に残留したブルーチャープ量が大きいため、光ファイバ伝送路1a区間の伝送で残留するチャープは、ブルーチャープが残留する。
【0064】
したがって、図6(a)の実線K2で示される信号プロファイルのように、B点以前に相互位相変調により残留したレッドチャープ量と、B点以降に相互位相変調により発生したブルーチャープ量がほぼ同量になるように、第1の分布定数型光増幅器12aと、第2の分布定数型光増幅器12との利得比を、発生したブルーチャープとレッドチャープが打ち消し合うように適切に設定した場合には、図6(c)に示すように、残留チャープ量を低減することができる。
【0065】
以上のようにこの実施の形態2によれば、図3に示す波長多重光伝送システムにおいて、各中継区間の入力側で光ファイバ伝送路を増幅媒体とした第1の分布定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第1の利得制御部により第1の分布定数型光増幅器の利得を制御し、各中継区間の出力側で光ファイバ伝送路を増幅媒体とした第2の分布定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第2の利得制御部により第2の分布定数型光増幅器の利得を制御し、補償制御部で第1の利得制御部および第2の利得制御部との利得比を制御することにより、光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において少なくとも隣接の波長信号間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピング量とレッドチャーピング量を打ち消すことができるので、相互位相変調効果による伝送特性劣化の少ない光伝送システムを構築できる。
【0066】
実施の形態3.
実施の形態3では、図3に示す波長多重光伝送システムにおいて、各中継区間の出力側にのみ分布定数型光増幅器を備えている。図7は、実施の形態3における残留チャープ量を極小化する場合の説明図である。同図において、10は光ファイバ伝送路1aと接続された波長多重信号光が入力される入力端子を、12は分布定数型光増幅器を、13は分布定数型光増幅器12における分布定数型増幅用励起光源を、14は分布定数型増幅用励起光源13から送出された励起光と波長多重信号光を合波する光合波手段を、15は波長多重信号光が送出される光出力端子をそれぞれ示している。
【0067】
なお、伝送路遅延の条件は、実施の形態1および2と同じとする。すなわち、図7において、中継間隔は100[km]とし、0[km]において隣接する光パルスが、中継区間100[km]を伝送する間に、4ビット遅延し、4回ずつブルーチャープとレッドチャープが発生するものとする。また、入力端子10から入力される波長多重信号光は2つの異なる波長から構成され、2つの異なる波長多重信号の信号ビットパターンは「1」の連続と仮定する。
【0068】
このとき波長多重信号光は、光ファイバ伝送路1aの有する減衰特性により、伝送中に光信号レベルが減衰する。しかし、光ファイバ伝送路1a区間の出力側では分布定数型光増幅器12を備えており、励起光が分布定数型増幅用励起光源13により出力された励起光は光合波手段14を介し、波長多重信号光と逆方向に光ファイバ伝送路区間に入力されるため、光ファイバ伝送路1aの出力側付近まで伝送すると、長手方向に対して分布定数的に波長多重信号光が増幅される。このときの長手方向に対する信号パワープロファイルは、図7(a)に示すようになる。
【0069】
図7に示すように、A点までは伝送に伴う損失により光信号パワーが減衰するため、光ファイバ伝送路1a区間における相互位相変調により発生する長手方向に対するチャープの様子は図7(b)に示すように隣接する光パルスが1ビット遅延する間では、常にブルーチャープよりレッドチャープが強い状態となるため、レッドチャープが残留する。しかし、A点以降では伝送するに従い分布定数的に光増幅が行われ光信号レベルが高くなっていくため、隣接する光パルスが1ビット遅延する間では、常にレッドチャープよりブルーチャープが強い状態となり、ブルーチャープが残留する。つまり、A点以前で残留したレッドチャープ量をA点以降の伝送で残留するブルーチャープによりほぼ打ち消し合う、図7(a)の信号パワープロファイルとなるように分布定数型光増幅器12の利得を設定することにより、図7(c)に示すように残留チャープ量を低減することができる。
【0070】
以上のようにこの実施の形態3によれば、図3に示す波長多重光伝送システムにおいて、各中継区間の出力側で光ファイバ伝送路を増幅媒体とした分布定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、利得制御部により分布定数型光増幅器の利得を制御し、補償制御部で利得制御部の利得を制御することにより、光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において少なくとも隣接の波長信号間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピング量とレッドチャーピング量を低減することができるので、相互位相変調効果による伝送特性劣化の少ない光伝送システムを構築できる。
【0071】
実施の形態4.
実施の形態4では、図3に示す波長多重光伝送システムにおいて、波長多重光が伝送される光ファイバ伝送路を有効コア断面積が異なる複数の光ファイバから構成している。図8は、実施の形態4における残留チャープ量を極小化する場合の説明図である。同図において、6aは有効コア面積がBである光ファイバ伝送路を、6bは有効コア面積がCである光ファイバ伝送路を、10は光ファイバ伝送路6aと接続された波長多重信号光が入力される入力端子を、11は集中定数型光増幅器を、12は分布定数型光増幅器を、13は分布定数型光増幅器12における分布定数型増幅用励起光源を、14は分布定数型増幅用励起光源13から送出された励起光と波長多重信号光を合波する光合波手段を、15は波長多重信号光が送出される光出力端子をそれぞれ示している。
【0072】
なお、伝送路遅延の条件は、実施の形態1〜3と同じとする。すなわち、図8において、中継間隔は100[km]とし、0[km]において隣接する光パルスが、中継区間100[km]を伝送する間に、4ビット遅延し、4回ずつブルーチャープとレッドチャープが発生するものとする。また、入力端子10から入力される波長多重信号光は2つの異なる波長から構成され、2つの異なる波長多重信号の信号ビットパターンは「1」の連続と仮定する。
【0073】
一般に光ファイバにおける非線形効果の影響を表す指標として非線形係数γと呼ばれるものがある。これは、n2を非線形係数、ω0を中心周波数、cを光の速度、Aeffを光ファイバの有効コア断面積として、次式で表すことができる。
【0074】
【数3】
【0075】
この(式3)からもわかるように、光ファイバにおける非線形性の強さは、光ファイバの有効コア断面積Aeffに対して反比例するため、有効コア断面積が小さければ小さい程、大きな非線形効果を得ることができる。したがって、図8に示すように光ファイバ伝送路6aと光ファイバ伝送路6bとに同じ光信号パワーが入力された場合、光ファイバ6bではより大きな非線形効果が発生する。
【0076】
図8(a)に、長手方向に対する信号パワープロファイルを示しているが、A点までは伝送に伴う損失のため光信号パワーが減衰するため、光ファイバ伝送路1a区間における相互位相変調により発生する長手方向に対するチャープの様子は図8(b)に示すように、隣接する光パルスが1ビット遅延する間では、常にブルーチャープよりレッドチャープが強い状態となり、レッドチャープが残留する。しかし、A点以降では伝送に従い分布定数的に光増幅が行われ光信号レベルが高くなっていくため、隣接する光パルスが1ビット遅延する間では、常にレッドチャープよりブルーチャープが強い状態となり、ブルーチャープが残留する。
【0077】
ここで光ファイバ伝送路6aの有効コア断面積Bと光ファイバ伝送路6bの有効コア断面積Cとが等しく、長手方向に対する信号パワープロファイルが図8(a)に示した破線2であるときを考える。このときA点以前では、前述したように常にレッドチャープがブルーチャープより大きくなることにより、図8(c)に示すような残留チャープ量ΔC1が残っている。
【0078】
このとき、A点以降の光ファイバ伝送路を光ファイバ伝送路6aより小さい6bの有効コア断面積Cを配置した場合、長手方向に対するA点以降の信号プロファイルは図8(a)の実線1のように、光ファイバ伝送路6aと、光ファイバ伝送路6bとの有効コア断面積比B/Cだけ、破線2より信号パワーレベルが大きくなる。したがって,図8(b)に示すように、A点以降の伝送において相互位相変調によって残留するブルーチャープ量は、前記有効コア断面積比B/Cだけ大きくすることができるため、図8(c)に示すように、相互位相変調により発生したブルーチャープおよびレッドチャープによる残留チャープ量を低減することができる。
【0079】
また、図8では、A点以降の光ファイバ伝送路6bの有効コア断面積を小さくしたが、逆にA点以前を構成する光ファイバ伝送路6aの有効コア断面積を大きくすることにより、A点以前の非線形効果の影響を小さく抑え、A点までに相互位相変調により発生した残留するレッドチャープを小さくすることにより、光ファイバ伝送路区間全体の残留チャープを小さくすることもできる。
【0080】
なお、実施の形態4では、光ファイバ伝送路を有効コア断面積の異なる複数の光ファイバ伝送路とする構成を実施の形態1と組み合わせ、中継区間の入力側に集中定数型光増幅器と中継区間の出力側に分布定数型光増幅器を適用した場合について説明したが、光ファイバ伝送路を有効コア断面積の異なる複数の光ファイバ伝送路とする構成を実施の形態2あるいは実施の形態3と組み合わせることも可能である。
【0081】
以上のようにこの実施の形態4によれば、図3に示す波長多重光伝送システムにおいて、光ファイバ伝送路を有効コア断面積の異なる複数の光ファイバ伝送路とし、各中継区間の入力側で集中定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第1の利得制御部により集中定数型光増幅器の利得を制御し、各中継区間の出力側で光ファイバ伝送路を増幅媒体とした分布定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第2の利得制御部により分布定数型光増幅器の利得を制御し、補償制御部で第1の利得制御部および第2の利得制御部との利得比を制御することにより、光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において少なくとも隣接の波長信号間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピング量とレッドチャーピング量を打ち消すことができるので、より効果的かつ効率的に相互位相変調効果による伝送特性劣化の少ない光伝送システムを構築できる。
【0082】
実施の形態5.
実施の形態5においては、図3の波長多重光伝送システムにおいて、波長多重光が伝送される光ファイバ伝送路区間を正の分散値を持つ光ファイバ伝送路と負の分散値を持つ光ファイバ伝送路とから構成している。図9は、実施の形態5における残留チャープ量を極小化する場合の説明図である。同図において、7aは正の分散値を持つ光ファイバ伝送路を、7bは負の分散値を持つ光ファイバ伝送路を、10は光ファイバ伝送路7aと接続された波長多重信号光が入力される入力端子を、11は集中定数型光増幅器を、12は分布定数型光増幅器を、13は分布定数型光増幅器12における分布定数型増幅用励起光源を、14は分布定数型増幅用励起光源13から送出された励起光と波長多重信号光を合波する光合波手段を、15は波長多重信号光が送出される光出力端子をそれぞれ示している。
【0083】
図9の中継間隔は100[km]とし、光ファイバ伝送路7aの長さは75[km]、信号光波長近傍での波長分散は2.5[ps/km/nm]、光ファイバ伝送路7bの長さは25[km]、信号光波長近傍での波長分散は−1.25[ps/km/nm]、信号波長間隔は0.8[nm]、伝送速度は20[Gbit/s]とし、0[km]において隣接する光パルスは、25kmを伝送する間に1ビットだけ遅延があるとする。
【0084】
光ファイバ伝送路7aの長さ75[km]を伝送する間に、隣接する光パルスの遅延量は2.5[ps/km/nm]×75[km]×0.8[nm]=150[ps]となるため、隣接する光パルスは3ビット遅延し、光ファイバ伝送路7bの長さ25[km]を伝送する間における隣接する光パルスの遅延量は−1.25[ps/km/nm]×25[km]×0.8[nm]=−25[ps]となるため、隣接する光パルスは−0.5ビット遅延し、レッドチャープが3回、ブルーチャープが4回発生することになる。
【0085】
いま、波長多重信号が正の分散を有する光ファイバと負の分散を有する光ファイバを伝送するときを考える。正の波長分散を有する分散において隣接する光パルス間で衝突が起こるとき、レッドチャープそしてブルーチャープの順にチャープが発生するが、引き続いて負の波長分散を伝送されるときには、隣接する光パルスは元の位置に戻ろうとする効果が働くため、正の波長分散の伝送路を伝搬するときに、波長の異なる光パルスを追い越した光パルスは、負の波長分散中では時間方向に対して逆向きに再び衝突を始める。このとき、追い抜かれる光パルスは追い抜こうとする光パルスの立ち下がり部分のブルーチャープを受けた後、続いて立ち上がり部分のレッドチャープを受けるため、ブルーチャープそしてレッドチャープの順に相互位相変調によるチャープを受けることになる。
【0086】
したがって、75[km]長の前記光ファイバ伝送路7aを伝送する間では、隣接する光パルスの遅延量は3ビットであり、正の波長分散を有する光ファイバ伝送路を伝送するので、レッドチャープ、ブルーチャープの順番で相互位相変調によるチャープを受ける。このときの長手方向に対する信号プロファイルは図9(b)であるため、隣接する光パルス間で残留するチャープはレッドチャープとなる。そして、残りの25[km]長の前記光ファイバ伝送路7bを伝送するときには、負の波長分散を有する光ファイバ伝送路を伝送し、かつ、隣接する光パルスの遅延量が0.5ビットなので、相互位相変調により受けるチャープはブルーチャープのみとなる。
【0087】
したがって、光ファイバ伝送路区間が図9に示すような正の分散値と負の分散値で構成されるときにおいて、A点以前で残留したレッドチャープのほとんどをA点以降で残留するブルーチャープにより打ち消すように、集中増幅型光増幅器11と分布定数型光増幅器12との利得比を適切に制御することにより、少なくとも隣接する波長間で相互位相変調により生じるブルーチャープとレッドチャープによる残留チャープ量を低減することができる。
【0088】
なお、光ファイバ伝送路区間を正の分散値と負の分散値で構成させたとき、光ファイバ伝送路区間の隣接波長間の光パルスの遅延量がゼロとなるようにしても構わない。
【0089】
実施の形態5では、光ファイバ伝送路区間を正の分散値と負の分散値とする構成を実施の形態1に適用し、中継区間の入力側に集中定数型光増幅器と中継区間の出力側に分布定数型光増幅器を適用した場合について説明したが、この光ファイバ伝送路区間を正の分散値と負の分散値とする構成を実施の形態2あるいは実施の形態3と組み合わせることも可能である。
【0090】
さらに,実施の形態4で説明したように、各中継区間における光ファイバ伝送路は、複数の有効コア断面積が異なる光ファイバ伝送路で構成することも可能である。
【0091】
以上のようにこの実施の形態5によれば、図3に示す波長多重光伝送システムにおいて、光ファイバ伝送路を正の波長分散値と負の波長分散値を持つ光ファイバ伝送路の組合せとし、各中継区間の入力側で集中定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第1の利得制御部により集中定数型光増幅器の利得を制御し、各中継区間の出力側で光ファイバ伝送路を増幅媒体とした分布定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第2の利得制御部により分布定数型光増幅器の利得を制御し、補償制御部で第1の利得制御部および第2の利得制御部との利得比を制御することにより、光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において少なくとも隣接の波長信号間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピング量とレッドチャーピング量を打ち消すことができるので、より効果的かつ効率的に相互位相変調効果による伝送特性劣化の少ない光伝送システムを構築できる。
【0092】
実施の形態6.
実施の形態6では、図3に示す波長多重光伝送システムの各中継区間において、連続した二つの中継区間の光ファイバ伝送路の波長分散符号が異なるものとしている。図10は、実施の形態6における残留チャープ量を極小化する場合の説明図である。同図において、8aは複数に分割された光ファイバ伝送路1のうちの1つの中継区間であり、正の分散値を持つ第1の光ファイバ伝送路を、8bは8aと連続する1つの中継区間であり、負の分散値を持つ光ファイバ伝送路を、10は光ファイバ伝送路8aと接続された波長多重信号光が入力される入力端子を、11aは第1の集中定数型光増幅器を、11bは第2の集中定数型光増幅器を、12aは第1の分布定数型光増幅器を、12bは第2の分布定数型光増幅器を、13aは分布定数型光増幅器12aにおける分布定数型増幅用励起光源を、13bは分布定数型光増幅器12bにおける分布定数型増幅用励起光源を、14aは分布定数型増幅用励起光源13aから送出された励起光と波長多重信号光を合波する光合波手段を、14bは分布定数型増幅用励起光源13bから送出された励起光と波長多重信号光を合波する光合波手段を、15は波長多重信号光が送出される光出力端子をそれぞれ示している。
【0093】
図10において各中継間隔は100[km]とし、連続する中継区間のうち、第1の中継区間にある第1の光ファイバ伝送路8aの信号光波長近傍での波長分散を2.5[ps/km/nm]、第2の中継区間にある第2の光ファイバ伝送路8bの信号光波長近傍での波長分散は−1.25[ps/km/nm]とし、信号波長間隔は0.8[nm]、伝送速度は20[Gbit/s]とし、0[km]において隣接する光パルスは、1ビットだけ遅延がある場合とする。
【0094】
図10に示した第1の光ファイバ伝送路8aの中継区間100[km]を伝送する間には遅延量は2.5[ps/km/nm]×100[km]×0.8[nm]=200[ps]となるため、隣接する光パルスは4ビット遅延し、4回ずつブルーチャープとレッドチャープが発生することになる。また、前記第2の光ファイバ伝送路8bの中継区間100[km]を伝送する間には、遅延量は−1.25[ps/km/nm]×100[km]×0.8[nm]=100[ps]となるため、隣接する光パルスは−2ビット遅延し、2回ずつブルーチャープとレッドチャープが発生することになる。
【0095】
波長多重信号光は、光ファイバ伝送路8aおよび光ファイバ伝送路8bの有する減衰特性により光信号レベルが減衰する。しかし、光ファイバ伝送路8a区間および光ファイバ伝送路8b区間の各出力側ではそれぞれ第1の分布定数型光増幅器12a、第2の分布定数型光増幅器12bを備えており、それぞれ第1の分布定数型増幅用励起光源13aおよび第2の分布定数型増幅用励起光源13bにより出力された励起光はそれぞれ第1の光合波手段14aおよび第2の光合波手段14bを介し、波長多重信号光と逆方向に光ファイバ伝送路区間に入力されるため、光ファイバ伝送路8a区間および光ファイバ伝送路8b区間の出力側付近まで伝送が進行するに従い、長手方向に対して分布定数的に波長多重信号光が増幅される。このときの長手方向に対する信号パワープロファイルは図10(a)に示すようになる。
【0096】
ここで、図10(a)に示すようにA点およびB点までは、伝送に伴う損失のために光信号パワーが減衰するため、光ファイバ伝送路8aおよび光ファイバ伝送路8bにおける相互位相変調により発生する長手方向に対するチャープの様子は、図10(b)に示すように、隣接する光パルスが1ビット遅延する間では、常にブルーチャープよりレッドチャープが強い状態となるため、レッドチャープが残留する。しかし、A点以降では伝送するに従い分布定数的に光増幅が行われ光信号レベルが高くなっていくため、隣接する光パルスが1ビット遅延する間では、常にレッドチャープよりブルーチャープが強い状態となるため、ブルーチャープが残留する。
【0097】
一方、B点以降ではブルーチャープのみしか発生しない。つまり、光ファイバ伝送路8a間では、A点以前で残留したレッドチャープ量をA点以降の伝送で残留するブルーチャープにより、ほぼ打ち消し合うように、光ファイバ伝送路8b間では、B点以前で残留したブルーチャープ量をB点以降の伝送で残留するレッドチャープにより、ほぼ打ち消し合うように、第1の集中定数型光増幅器11aと第1の分布定数型光増幅器12aの利得比および第2の集中定数型光増幅器11bと第2の分布定数型光増幅器12bの利得比を制御することにより、図10(c)に示すように、光ファイバ伝送路8a間および光ファイバ伝送路8b間における残留チャープ量を低減することができる。
【0098】
なお、連続する二つの前記光ファイバ伝送路区間における各光ファイバ伝送路の正の分散値と負の分散値の和に関しては、分散補償によるコストを考慮すれば、二つの連続する中継区間のトータル分散値が小さくなる方が好ましい。
【0099】
さらに実施の形態6では、中継区間の1区間を正の分散値を持つ光ファイバ伝送路とし、もう1つの区間を負の分散値を持つ光ファイバ伝送路とする構成を実施の形態1に適用して、中継区間の入力側に集中定数型光増幅器と中継区間の出力側に分布定数型光増幅器を適用した場合について説明したが,中継区間の1区間を正の分散値を持つ光ファイバ伝送路とし、もう1つの区間を負の分散値を持つ光ファイバ伝送路とする構成を、実施の形態2あるいは実施の形態3に適用した場合についても同様な効果が得ることができる。
【0100】
さらに,実施の形態4で説明したように各中継区間における光ファイバ伝送路は、複数の有効コア断面積が異なるファイバ伝送路で構成すると、さらに効果的に相互位相変調による伝送特性劣化を低減できる。
【0101】
以上のようにこの実施の形態6によれば、図3に示す波長多重光伝送システムにおいて、各中継区間において連続する中継区間の1区間を正の分散値を持つ光ファイバ伝送路で構成し、もう1つを負の分散値を持つ光ファイバ伝送路で構成し、各中継区間の入力側で集中定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第1の利得制御部により集中定数型光増幅器の利得を制御し、各中継区間の出力側で光ファイバ伝送路を増幅媒体とした分布定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第2の利得制御部により分布定数型光増幅器の利得を制御し、補償制御部で第1の利得制御部および第2の利得制御部との利得比を、各中継区間においてそれぞれ制御することにより、光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において少なくとも隣接の波長信号間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピング量とレッドチャーピング量を打ち消すことができるので、より効果的かつ効率的に相互位相変調効果による伝送特性劣化の少ない光伝送システムを構築できる。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明にかかる波長多重光伝送システムによれば、各中継区間の入力側に配した集中定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第1の利得制御部により前記集中定数型光増幅器の利得を制御し、前記各中継区間の出力側に配した前記光ファイバ伝送路を増幅媒体とした分布定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第2の利得制御部により前記分布定数型光増幅器の利得を制御し、補償制御部で前記第1の利得制御部および前記第2の利得制御部との利得比を制御することにより、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を制御することができるので、相互位相変調による伝送特性劣化を抑制することができる。
【0103】
つぎの発明にかかる波長多重光伝送システムによれば、各中継区間の入力側に配した集中定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第1の利得制御部により前記集中定数型光増幅器の利得を制御し、前記各中継区間の出力側に配した前記光ファイバ伝送路を増幅媒体とした分布定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第2の利得制御部により前記分布定数型光増幅器の利得を制御し、補償制御部で前記第1の利得制御部および前記第2の利得制御部との利得比を制御することにより、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を制御することができるので、相互位相変調による伝送特性劣化を抑制することができる。
【0104】
つぎの発明にかかる波長多重光伝送システムによれば、各中継区間の入力側に配した前記光ファイバ伝送路を増幅媒体とした第1の分布定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第1の利得制御部により前記第1の分布定数型光増幅器の利得を制御し、前記各中継区間の出力側に配した前記光ファイバ伝送路を増幅媒体とした第2の分布定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、第2の利得制御部により前記第2の分布定数型光増幅器の利得を制御し、補償制御部で前記第1の利得制御部および前記第2の利得制御部との利得比を制御することにより、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を制御することができるので、相互位相変調による伝送特性劣化を抑制することができる。
【0105】
つぎの発明にかかる波長多重光伝送システムによれば、前記各中継区間の出力側に配した前記光ファイバ伝送路を増幅媒体とした分布定数型光増幅器を用いて光信号を光増幅し、前記利得制御部により前記分布定数型光増幅器の利得を制御し、補償制御部で前記利得制御部の利得を制御することにより、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を制御することができるので、相互位相変調による伝送特性劣化を抑制することができる。
【0106】
つぎの発明にかかる波長多重光伝送システムによれば、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間における波長分散値が正の分散値と負の分散値から構成されたことを特徴とすることにより、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を制御することができるので、相互位相変調による伝送特性劣化を抑制することができる。
【0107】
つぎの発明にかかる波長多重光伝送システムによれば、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間における波長分散による隣接波長間の光パルスの遅延量がゼロとなるように設定したことを特徴とすることにより、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を制御することができるので、相互位相変調による伝送特性劣化を抑制することができる。
【0108】
つぎの発明にかかる波長多重光伝送システムによれば、前記光ファイバ伝送路内の連続した二つの中継区間の波長分散の符号が異なることを特徴とすることにより、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において少なくとも隣接の波長信号間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピング量とレッドチャーピング量を打ち消すことができるので、より効果的かつ効率的に相互位相変調による伝送特性劣化を抑制することができる。
【0109】
つぎの発明にかかる波長多重光伝送システムによれば、前記光ファイバ伝送路内の連続した二つの中継区間の波長分散による隣接波長間の光パルスの遅延量がゼロとなるように設定したことを特徴とすることにより、前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において少なくとも隣接の波長信号間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピング量とレッドチャーピング量を打ち消すことができるので、より効果的かつ効率的に相互位相変調による伝送特性劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光パルスによる自己位相変調の現象を示す概念図である。
【図2】 光パルスによる相互位相変調の現象を示す概念図である。
【図3】 波長多重光伝送システムの実施の形態1の説明図である。
【図4】 (1) は中継区間に生じる相互位相変調の影響による残留チャープが生じた場合の説明図である。(2)は図4(1)の出力側に図3で示した分布定数型光増幅器を挿入した場合の説明図である。
【図5】 図4(2)の構成で分布定数型光増幅器の利得制御により残留チャープ量を極小化した場合の説明図である。
【図6】 実施の形態2における残留チャープ量を極小化する場合の説明図である。
【図7】 実施の形態3における残留チャープ量を極小化する場合の説明図である。
【図8】 実施の形態4における残留チャープ量を極小化する場合の説明図である。
【図9】 実施の形態5における残留チャープ量を極小化する場合の説明図である。
【図10】 実施の形態6における残留チャープ量を極小化する場合の説明図である。
【図11】 従来技術1の実施例を示す説明図である。
【図12】 従来技術2の実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
1,1a,6a,6b,7a,7b,8a,8b 光ファイバ伝送路、21〜2n 中継区間、3 送信部、41〜4n 送信機、5 合波器、6 分波器、71〜7n 受信機、8 受信部、10 入力端、11,11a,11b 集中定数型光増幅器、12,12a,12b 分布定数型光増幅器、13,13a、13b 分布定数型増幅用励起光源、14,14a、14b 光合波手段、15 光出力端子。
Claims (8)
- 複数の中継区間を有する光ファイバ伝送路を用いて波長の異なる2以上の光信号を多重伝送する波長多重光伝送システムにおいて、
各中継区間の入力側に配され、光信号を集中定数的に光増幅する集中定数型光増幅器と、
前記集中定数型光増幅器の利得を制御する第1の利得制御部と、
前記各中継区間の出力側に配され、前記光ファイバ伝送路を増幅媒体として分布定数的に光増幅する分布定数型光増幅器と、
前記分布定数型光増幅器の利得を制御する第2の利得制御部と、
前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を前記第1の利得制御部と前記第2の利得制御部との利得比によって制御する補償制御部と、
を備えたことを特徴とする波長多重光伝送システム。 - 複数の中継区間を有する光ファイバ伝送路を用いて波長の異なる2以上の光信号を多重伝送する波長多重光伝送システムにおいて、
各中継区間の入力側に配され、前記光ファイバ伝送路を増幅媒体として分布定数的に光増幅する第1の分布定数型光増幅器と、
前記第1の分布定数型光増幅器の利得を制御する第1の利得制御部と、
前記各中継区間の出力側に配され、前記光ファイバ伝送路を増幅媒体として分布定数的に光増幅する第2の分布定数型光増幅器と、
前記第2の分布定数型光増幅器の利得を制御する第2の利得制御部と、
前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を前記第1の利得制御部と前記第2の利得制御部との利得比によって制御する補償制御部と、
を備えたことを特徴とする波長多重光伝送システム。 - 複数の中継区間を有する光ファイバ伝送路を用いて波長の異なる2以上の光信号を多重伝送する波長多重光伝送システムにおいて、
前記各中継区間の出力側に配され、前記光ファイバ伝送路を増幅媒体として分布定数的に光増幅する分布定数型光増幅器と、
前記分布定数型光増幅器の利得を制御する利得制御部と、
前記光ファイバ伝送路内の各中継区間の1つの区間において残留するチャープの符号を前記利得制御部の利得によって制御する補償制御部と、
を備えたことを特徴とする波長多重光伝送システム。 - 前記光ファイバ伝送路が複数の異なる有効コア断面積から構成されることを特徴とした請求項1〜3のいずれか一つに記載の波長多重光伝送システム。
- 前記光ファイバ伝送路の各中継区間における波長分散値が正の分散値と負の分散値から構成されることを特徴とした請求項1〜4のいずれか一つに記載の波長多重光伝送システム。
- 前記光ファイバ伝送路の各中継区間における波長分散による隣接波長間の光パルスの遅延量がゼロとなるように設定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の波長多重光伝送システム。
- 前記光ファイバ伝送路の連続した二つの中継区間の波長分散の符号が異なることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の波長多重光伝送システム。
- 前記光ファイバ伝送路の連続した二つの中継区間の波長分散による隣接波長間の光パルスの遅延量がゼロとなるように設定したことを特徴とする請求項1〜4または7のいずれか一つに記載の波長多重光伝送システム。
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