以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は本発明の実施の形態における渋滞情報補完システムの構成を示す概念図である。
図において、11はサーバとしての情報提供サーバであり、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の記憶手段、通信インターフェイス等を備えるコンピュータの中に構成される。なお、該コンピュータは単一のコンピュータではなく、複数のコンピュータが有機的に結合された、いわゆる、分散型サーバであってもよい。また、前記コンピュータの中に他のシステムが構築されていてもよい。さらに、前記情報提供サーバ11は、他のコンピュータの中に構築されたシステムの1つであってもよい。
そして、28a及び28bは、ユーザとしての操作者によって操作される第1の情報端末及び第2の情報端末としての情報端末である。該情報端末は、実際には多数であるが、本実施の形態においては、説明の都合上、28a及び28bで代表する。また、前記操作者は、例えば、乗用車、トラック、バス、オートバイ等の車両の運転者、同乗者等であるが、歩行者であっても、公共交通機関の利用者であっても、いかなる者であってもよい。
なお、前記情報端末28a及び28bは、CPU、MPU等の演算装置、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の記憶装置、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、CRT等の表示装置、キーボード、ジョイスティック、十字キー、押しボタン、リモートコントローラ、タッチパネル等の入力装置、前記表示装置を制御する表示制御装置、及び、通信インターフェイス等の送受信部を備える。前記情報端末28a及び28bは、例えば、乗用車、トラック、バス、オートバイ等の車両に搭載されるナビゲーション装置であるが、据え置き電話機、携帯電話機、PHS(Personal Handy−Phone System)電話機、携帯情報端末、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、デジタルテレビ等いかなるものであってもよい。
さらに、前記情報端末28a及び28bは、図示されない現在位置検出装置を有するものであってもよい。該現在位置検出装置は、前記情報端末28a及び28bが、例えば、ナビゲーション装置である場合、一般的には、GPS(Global Positioning System)、地磁気センサ、距離センサ、ステアリングセンサ、ビーコンセンサ、ジャイロセンサ等によって現在位置を検出する。また、例えば、携帯電話機、携帯情報端末等である場合、一般的には、該携帯電話機、携帯情報端末等が在圏する基地局との通信に基づいて、該基地局の位置を現在位置として検出する。
ここで、前記情報提供サーバ11と情報端末28a及び28bとはネットワーク27を介して相互に通信可能に接続される。なお、該ネットワーク27は、有線又は無線の公衆通信回線網、専用通信回線網、携帯電話回線網、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、衛星通信回線網等いかなる通信回線網であってもよく、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。また、放送衛星によるCS放送やBS放送を利用して通信してもよく、地上波デジタルテレビ放送を利用して通信してもよく、FM多重放送を利用して通信してもよく、また、道路脇に設置されている光ビーコンや電波ビーコンを利用して通信してもよい。
そして、本実施の形態における渋滞情報補完システムは前記情報提供サーバ11と情報端末28a及び28bとによって構成される。この場合、前記操作者は、あらかじめ前記渋滞情報補完システムに登録され、登録IDを所有する者であることが望ましい。また、前記情報端末28a及び28bも、それぞれ、登録されていることが望ましい。
ここで、前記情報提供サーバ11は、機能の観点から、渋滞情報を作成するために必要なデータを格納するデータ部12、及び、該データ部12にアクセスして必要なデータを取得して渋滞情報を作成するための処理を行う処理部21を有する。なお、前記データ部12は、交通情報データベース13、交通情報提供リンクデータベース14、速度パターンデータベース15、全道路データベース16及び旅行時間データベース17を備える。
そして、前記交通情報データベース13は、例えば、VICS(R)と称される道路交通情報通信システムにおいて、警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や交通規制情報等の道路交通情報を格納する。この場合、過去に作成された道路の渋滞等に関する情報も統計的渋滞情報として蓄積される。さらに、前記交通情報データベース13は、祭り、パレード、花火大会等のイベントの開催予定場所、予定日時等のイベント予定情報、例えば、駅周辺や大型商業施設周辺の道路には週末を除く毎日の特定時刻に渋滞が発生するとか、海水浴場周辺の道路には夏季休暇時期に渋滞が発生する等の統計的渋滞情報や予測渋滞情報も格納する。この場合、前記統計的渋滞情報や予測渋滞情報は、後述されるVICS(R)リンクに対応付けられていることが望ましい。さらに、前記交通情報データベース13は、あらかじめ登録された多数の操作者から提供された情報を格納するものであってもよい。この場合、該情報は、例えば、道路の渋滞等に関する道路渋滞情報、警察による交通取締に関する交通取締情報、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の道路交通情報に関する詳細情報である。該詳細情報は、道路渋滞情報の場合、渋滞の実際の長さ、渋滞の原因、渋滞解消の見込まれる時刻等であり、交通取締情報の場合、速度違反取締、駐車違反取締等の取締の種類、場所、曜日、時間帯等であり、交通規制情報の場合、道路工事、建築工事等の継続期間、通行止め、片側交互通行、車線規制等の交通規制の種類、交通規制の時間帯等である。
また、前記交通情報提供リンクデータベース14は、交通情報を提供するために必要なリンクに関する情報を格納する。ここで、リンクとは、道路を構成する単位であり、通常、三叉(さ)路以上の交差点を境界にして区切られている。なお、該交差点は、交通信号灯器の設置されている交差点だけでなく交通信号灯器の設置されていない交差点も含むものである。そのため、1本の道路におけるリンクの数は一定でない。なお、道路の行政道路属性が変化する点もリンクの境界として取り扱われる。そして、通常のナビゲーション装置においては、道路を構成するそれぞれのリンク、すなわち、道路リンクを識別する識別番号としての道路リンクIDが付与される。
そして、前記VICS(R)による交通情報であるVICS(R)情報には、道路種別情報、位置、渋滞区間の距離、渋滞度、旅行時間等の情報とともに、VICS(R)リンクIDが含まれる。該VICS(R)リンクIDは、道路を所定の交差点毎に分割して規格化された走行案内用リンクとしてのVICS(R)リンクに付与された識別番号である。また、前記VICS(R)情報には、各VICS(R)リンクにおける始点及び終点の座標、始点から終点までの距離等の情報も含まれている。
なお、VICS(R)リンクには、渋滞度、及び、当該VICS(R)リンクを通過するための所要時間であるリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクと、渋滞度は提供されるがリンク旅行時間が提供されないVICS(R)リンクとがある。現在では、渋滞度及びリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクの総計は約5万〔km〕であり、リンク旅行時間が提供されずに渋滞度が提供されるVICS(R)リンクの総計は約3万〔km〕である。また、前記渋滞度は、「渋滞」、「混雑」、「渋滞なし」及び「不明」の4種類であり、例えば、一般道の場合、旅行速度が10〔km/h〕未満であると「渋滞」、10〔km/h〕以上20〔km/h〕未満であると「混雑」、20〔km/h〕以上であると「渋滞なし」と定義されている。
ここで、前記道路リンクとVICS(R)リンクとは同一のものではない(一般的には、道路リンクの方がVICS(R)リンクよりも細分化されている。)。そこで、通常のVICS(R)機能を備えるナビゲーション装置においては、道路リンクIDと前記VICS(R)リンクIDとの間の変換テーブル(対照表)を有し、前記VICS(R)リンクIDに基づいて、対応する道路リンクIDを特定することができるようになっている。そのため、前記情報端末28a及び28bがナビゲーション装置のように前記変換テーブルを有するものである場合には、前記情報提供サーバ11からVICS(R)リンクIDを受信すると、該VICS(R)リンクIDに基づいてVICS(R)情報を表示すべき道路の区間を特定することができる。
ところが、前記情報端末28a及び28bが前記変換テーブルを有するものでない場合には、前記VICS(R)リンクIDに基づいて前記道路の区間を特定することができなくなってしまう。そこで、前記交通情報提供リンクデータベース14には、前記変換テーブルも格納されている。これにより、前記VICS(R)リンクIDを前記情報端末28a及び28bにおいて使用されている道路リンクIDに変換して、VICS(R)情報を送信することができる。また、前記情報端末28a及び28bが後述される地図データベース等を有しておらず、地図を作成することができないものである場合には、情報提供サーバ11において、画面に表示される地図を画像情報として作成し、該画像情報を前記情報端末28a及び28bに送信して、該情報端末28a及び28bの表示装置に前記画像情報に基づく画像を表示させるようになっている。この場合、前記交通情報提供リンクデータベース14に格納されている変換テーブルを使用し、VICS(R)リンクIDに対応する道路の区間を特定する。
そして、前記速度パターンデータベース15は、交通情報データベース13に格納されている統計的渋滞情報、及び、交通情報提供リンクデータベース14に格納されているリンクに関する情報に基づいて、後述される速度パターン作成部24が作成した速度パターンを格納する。また、前記全道路データベース16は、細街路も含めたすべての道路、例えば、日本全国のすべての道路に関するデータを格納する。さらに、前記旅行時間データベース17は、速度パターン作成部24に格納された速度パターンに基づいて、後述される補完処理部25が演算したすべての道路、例えば、日本全国のすべての道路の道路リンクに対応する旅行時間に関するデータを格納する。
また、前記処理部21は、入力処理部22、エリア分割処理部23、速度パターン作成部24、補完処理部25、及び、配信処理部26を備える。ここで、前記入力処理部22は、前記情報端末28a及び28bから受信した渋滞情報等の配信要求を入力する入力処理を行う。また、前記エリア分割処理部23は、速度パターンを作成するために全国を適切な大きさのエリアに分割するための分割処理を行う。この場合、前記エリア分割処理部23は、例えば、いわゆる、二次メッシュに基づいて分割処理を行うようになっている。
ここで、前記二次メッシュは、「JIS X 0410−1976 地域メッシュコード」に規定される統合地域メッシュにおける10倍地域メッシュである。そして、前記二次メッシュは、一辺が10〔km〕程度の矩(く)形領域であり、財団法人日本デジタル道路地図協会によって作成された「全国デジタル道路地図データベース」では、日本全国が4713枚の二次メッシュによって構成される。なお、前記VICS(R)情報は、各二次メッシュ内の交通情報を規定する情報であり、各二次メッシュ内において道路の上下線別にユニークなVICS(R)リンクIDが付与されている。なお、前記エリア分割処理部23は、都道府県単位、市町村単位に基づいて分割処理を行うこともできる。
また、前記速度パターン作成部24は、渋滞度及びリンク旅行時間が提供される走行案内用リンクとしてのVICS(R)リンクの統計的渋滞情報に基づいて速度パターンを作成する。具体的には、前記交通情報データベース13及び交通情報提供リンクデータベース14にアクセスしてVICS(R)情報等の統計的渋滞情報を取得し、速度パターンを作成する。この場合、前記速度パターン作成部24は、渋滞度及びリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクの統計的渋滞情報を取得し、該統計的渋滞情報を暦(カレンダー)、地域、道路種別、車線幅員、進行方向等の各種観点及び渋滞度に基づいて分類分けし、各分類を代表する速度パターンを作成し、速度パターンデータベース15に格納する。なお、VICS(R)リンクの旅行速度は、該VICS(R)リンクに対応する道路長とリンク旅行時間とに基づいて算出することができ、算出された旅行速度の出発時刻に対応する変化パターンが速度パターンとして作成される。
そして、前記補完処理部25は、前記速度パターン作成部24が作成した速度パターンに基づいて、リンク旅行時間が提供されずに渋滞度が提供される走行案内用リンクとしてのVICS(R)リンクの渋滞度に対応するリンク旅行時間を算出する。具体的には、まず、前記交通情報データベース13及び交通情報提供リンクデータベース14にアクセスして、リンク旅行時間が提供されずに渋滞度が提供されるVICS(R)リンクの統計的渋滞情報、すなわち、渋滞度の統計的データを取得する。そして、前記補完処理部25は、渋滞度の統計的データを暦、地域、道路種別、車線幅員、進行方向等の各種観点に基づいて分類分けし、各種観点について類似した渋滞度及びリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクにおける各渋滞度に対応する速度パターンを速度パターンデータベース15から取得する。さらに、前記補完処理部25は、前記速度パターンから算出された平均速度と前記VICS(R)リンクに対応する道路長とに基づいて、リンク旅行時間を算出する。このようにして算出された渋滞度のみが提供されるVICS(R)リンクに対応するリンク旅行時間は、旅行時間データベース17に格納される。
さらに、前記補完処理部25は、全道路データベース16にアクセスして、走行案内用リンクが設定されていない道路、すなわち、VICS(R)情報が提供されない道路の道路リンクの情報を取得する。そして、前記補完処理部25は、道路リンクの情報を地域、道路種別、車線幅員、進行方向等の各種観点に基づいて分類分けし、各種観点について類似した渋滞度及びリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクにおける速度パターンを速度パターンデータベース15から取得する。そして、前記補完処理部25は、前記速度パターンから算出された平均速度と前記道路に対応する道路長とに基づいて、リンク旅行時間を算出する。このようにして算出されたVICS(R)リンクに対応していない道路リンクに対応するリンク旅行時間は、旅行時間データベース17に格納される。
また、前記配信処理部26は、前記情報端末28a及び28bからの配信要求に応じて、前記情報端末28a及び28bに送信するための渋滞情報を編集したり作成したりする配信処理を行う。
なお、前記交通情報データベース13、交通情報提供リンクデータベース14、速度パターンデータベース15、全道路データベース16、旅行時間データベース17等が格納される情報提供サーバ11の記憶手段は、情報提供サーバ11の内部記憶媒体であってもよいし、外部記憶媒体であってもよい。この場合、前記内部記憶媒体及び外部記憶媒体は、磁気テープ、磁気ディスク、磁気ドラム、CD−ROM、CD−R/RW、MD、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R/RW、光ディスク、MO、ICカード、光カード、メモリカード、棒状メモリ等いかなる種類のものであってもよい。
さらに、前記情報提供サーバ11は、渋滞情報を作成する機能だけでなく、経路を探索する探索機能、地点や施設を検索する検索機能等の他の機能を有するものであってもよい。例えば、前記情報端末28a及び28bからの配信要求に応じて、出発地から目的地までの経路を探索して探索された経路の情報を地図情報とともに配信したり、レストラン等の施設を検索して検索された該施設の情報を配信したりすることができる。これにより、前記情報端末28a及び28bが、探索機能、検索機能、地図情報等を備えていない携帯電話機、PHS電話機、携帯情報端末、PDA等であっても、操作者は、前記情報端末28a及び28bを操作して、ネットワーク27を介し、前記情報提供サーバ11に配信要求を送信することによって、所望の経路の情報、施設の情報、地図情報等を取得し、前記情報端末28a及び28bの表示装置に表示させることができる。
この場合、前記情報提供サーバ11は、前記情報端末28a及び28bと情報のやり取りをする図示されない送受信部、前記情報端末28a及び28bを登録IDキー等に基づいて特定するための図示されない端末特定部等を有することが望ましい。さらに、前記情報提供サーバ11は、地図情報格納する図示されない地図データベース、図示されないPOI(Point of Interest)データベース、図示されない道路データベース等を有することが望ましい。
ここで、前記地図データベースは、地図を描画するためのノード、リンク、座標、施設名称等の地図情報を格納する。また、前記POIデータベースは、出発地、目的地、通過点等となる地点を検索するための施設データ、タウンページデータ、イベントデータ等を格納する。なお、前記POIデータベースは施設や地域に関する詳細情報を含むものであってもよい。例えば、前記施設がレストラン、食堂等の飲食店である場合、前記詳細情報は、営業する曜日、営業時間、電話番号、メニュー、値段、味、サービスの良否、店内の雰囲気、駐車場の有無等であり、前記施設がコンビニエンスストア、百貨店、ホームセンタ、スーパーマーケット等の商業施設である場合、前記詳細情報は、営業する曜日、営業時間、電話番号、品揃(ぞろ)え、値段、バーゲンセール(特売)の期間、バーゲンセールの対象商品、サービスの良否、店内の雰囲気、駐車場の有無、催し物やイベントの種類及び期間等であり、前記施設がテーマパーク、ゲームセンタ、映画館、劇場等の娯楽施設である場合、前記詳細情報は、営業する曜日、営業時間、電話番号、施設の内容、値段、サービスの良否、雰囲気、駐車場の有無、催し物やイベントの種類及び期間等である。さらに、前記道路データベースは、道路の探索コスト、道路種別等の経路を探索するためのデータを格納する。
また、前記情報提供サーバ11は、前記地図情報に基づいて地図を描画する図示されない地図作成部、前記POIデータベースに格納された情報に基づいて目的地のような所定の地点の座標情報、名称、住所等の地点情報を検索する図示されないPOI検索部、及び、前記道路データベース、交通情報データベース13等に格納された情報に基づいて現在位置から目的地までの経路を探索する図示されない経路探索部を有することが望ましい。
次に、前記構成の渋滞情報補完システムの動作について説明する。
図1は本発明の実施の形態におけるすべての道路の道路リンクに対応する旅行時間に関するデータを作成する動作の概略を示すフローチャート、図3は本発明の実施の形態における渋滞度の定義を示す表、図4は本発明の実施の形態における統計的リンク旅行時間情報の第1の例を示すグラフ、図5は本発明の実施の形態における統計的リンク旅行時間情報に基づいて作成された旅行速度の例を示すグラフである。
まず、処理部21が日本全国のすべての道路の道路リンクに対応する旅行時間に関するデータを作成して旅行時間データベース17に格納する動作の概略について説明する。この場合、速度パターン作成部24は、速度パターンを作成するための速度パターン作成処理を実行する。該速度パターン作成処理において、前記速度パターン作成部24は、交通情報データベース13及び交通情報提供リンクデータベース14にアクセスしてVICS(R)情報等の統計的渋滞情報を取得する。該統計的渋滞情報は、例えば、過去2〜3年間に亘(わた)り蓄積された渋滞情報である。そして、渋滞度及びリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクの統計的渋滞情報を取得する。ここで、VICS(R)情報としての渋滞度は、図3に示される表のように、道路種別及び旅行速度に応じて、「渋滞」、「混雑」及び「渋滞なし」と定義されている。
また、統計的渋滞情報としての統計的リンク旅行時間情報は、図4に示されるグラフのようになっている。該グラフにおいて、縦軸には総旅行時間〔秒〕を、横軸には時刻を採ってある。なお、図4は、一例として、東京都心部に存在するVICS(R)リンクの2002年9月〜11月における総旅行時間の時刻に関する変化を示している。さらに、図4に示される統計的リンク旅行時間情報に基づいて、旅行速度を算出すると図5に示されるグラフのようになる。該グラフにおいて、縦軸には旅行速度としての車速〔秒〕を、横軸には時刻を採ってある。なお、旅行速度は、VICS(R)リンクに対応する道路長とリンク旅行時間とに基づいて算出することができる。
そして、速度パターン作成部24は、統計的渋滞情報を曜日、地域、道路種別、車線幅員、進行方向等の各種観点及び渋滞度に基づいて分類分けし、各分類を代表する速度パターンを作成し、速度パターンデータベース15に格納する。
続いて、補完処理部25は、渋滞度のみが提供されるVICS(R)リンクに対応するリンク旅行時間算出処理を実行する。この場合、前記補完処理部25は、前記交通情報データベース13及び交通情報提供リンクデータベース14にアクセスして、リンク旅行時間が提供されずに渋滞度のみが提供されるVICS(R)リンクの統計的渋滞情報、すなわち、渋滞度の統計的データを取得する。さらに、前記補完処理部25は、渋滞度の統計的データを曜日、地域、道路種別、車線幅員、進行方向等の各種観点に基づいて分類分けし、各種観点について類似した渋滞度及びリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクにおける各渋滞度に対応する速度パターンを速度パターンデータベース15から取得する。そして、前記補完処理部25は、前記速度パターンから算出された平均速度と前記VICS(R)リンクに対応する道路長とに基づいて、リンク旅行時間を算出して、旅行時間データベース17に格納する。
続いて、前記補完処理部25は、VICS(R)リンクに対応しない道路リンクに対応するリンク旅行時間算出処理を実行する。この場合、前記補完処理部25は、全道路データベース16にアクセスして、VICS(R)情報の提供されない道路、すなわち、VICS(R)リンクに対応していない道路リンクの情報を取得する。そして、前記補完処理部25は、道路リンクの情報を地域、道路種別、車線幅員、進行方向等の各種観点に基づいて分類分けし、各種観点について類似した渋滞度及びリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクにおける速度パターンを速度パターンデータベース15から取得する。そして、前記補完処理部25は、前記速度パターンと前記道路に対応する道路長とに基づいて、リンク旅行時間を算出して、旅行時間データベース17に格納する。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 速度パターン作成部24は、速度パターン作成処理を実行する。
ステップS2 補完処理部25は、渋滞度のみが提供されるVICS(R)リンクに対応するリンク旅行時間算出処理を実行する。
ステップS3 補完処理部25は、VICS(R)リンクに対応しない道路リンクに対応するリンク旅行時間算出処理を実行する。
次に、図1のステップS1における速度パターン作成処理のサブルーチンについて説明する。
図6は本発明の実施の形態における統計的リンク旅行時間情報の第2の例を示すグラフ、図7は本発明の実施の形態における道路構造と旅行速度との関係を示す第1の表、図8は本発明の実施の形態における道路構造と旅行速度との関係を示す第2の表、図9は本発明の実施の形態における速度パターンの第1の例を示すグラフ、図10は本発明の実施の形態における速度パターンの第2の例を示すグラフ、図11は本発明の実施の形態における速度パターン作成処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、速度パターン作成部24は、交通情報データベース13及び交通情報提供リンクデータベース14にアクセスして渋滞度及びリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクの統計的渋滞情報を取得する。該統計的渋滞情報としての統計的リンク旅行時間情報、過去の所定の期間に亘って取得され蓄積されたリンク旅行時間は、図4に示されるグラフのようになっている。
そして、速度パターン作成部24は、取得した統計的渋滞情報に暦情報(カレンダー情報)が付与されているか否かを判断する。ここで、該暦情報は、月日、曜日、祝祭日、季節等を示す情報であり、例えば、年末、盆休み、月末、五十日(ごとうび)等の特定の季節や時期を示す情報を含むものであってもよいが、本実施の形態においては、暦情報が月及び曜日である場合についてのみ説明する。そして、暦情報としての月が付与されている場合には、前記統計的リンク旅行時間情報を月に基づいて分類分けする。すなわち、過去の所定の期間に亘るリンク旅行時間を取得された月毎に分けてグループ化する。そして、各分類、すなわち、各グループを代表するリンク旅行時間の時刻に応じて変化するパターンをリンク旅行時間の代表パターンとして作成する。なお、代表パターンは、例えば、同一の分類に属するすべてのリンク旅行時間の時刻に応じて変化するパターンの平均値を取ることによって作成することができるが、いかなる統計的手法によって作成されたものであってもよい。また、月が付与されていない場合には、統計的リンク旅行時間情報の月に基づく分類分け、代表パターンの作成等を行わない。
続いて、暦情報としての曜日が付与されている場合には、前記統計的リンク旅行時間情報を曜日に基づいて分類分けする。すなわち、過去の所定の期間に亘るリンク旅行時間を取得された曜日毎に分けてグループ化する。そして、各分類、すなわち、各グループを代表するリンク旅行時間の時刻に応じて変化するパターンをリンク旅行時間の代表パターンとして作成する。なお、代表パターンは、例えば、同一の分類に属するすべてのリンク旅行時間の時刻に応じて変化するパターンの平均値を取ることによって作成することができるが、いかなる統計的手法によって作成されたものであってもよい。また、曜日が付与されていない場合には、統計的リンク旅行時間情報の曜日に基づく分類分け、代表パターンの作成等を行わない。
続いて、速度パターン作成部24は、取得した統計的リンク旅行時間情報に地域情報が付与されているか否かを判断する。ここで、該地域情報は、都道府県単位、市町村単位等の行政区画に則った地域を示すものであってもよいし、○○地方、○○市中心部、○○近郊、○○交差点付近、○○地区等の社会的に通称されている地域を示すものであってもよいし、二次メッシュであってもよい。
一般的に、ある道路において渋滞が発生した場合、該道路の周辺の道路にも渋滞が波及すると考えることができるので、同一地域内におけるリンク旅行時間の出発時刻に応じて変化するパターンは、同様の傾向を有するものと考えることができる。また、前記リンク旅行時間の時刻に応じて変化するパターンは、地域毎に特徴を有するものと考えることもできる。
図6には愛知県岡崎市に存在するあるVICS(R)リンクの2002年9月〜11月における旅行時間の時刻に関する変化を示している。これを図4に示された東京都心部に存在するVICS(R)リンクの旅行時間の時刻に関する変化と比較すると、旅行時間の変化から、渋滞の度合いや渋滞の発生する時間帯が地域によって相違することが分かる。
そして、速度パターン作成部24は、地域情報が付与されている場合には、前記統計的リンク旅行時間情報を地域情報に基づいて分類分けする。すなわち、過去の所定の期間に亘るリンク旅行時間を取得された地域毎に分けてグループ化する。そして、各分類、すなわち、各グループを代表するリンク旅行時間の時刻に応じて変化するパターンをリンク旅行時間の代表パターンとして作成する。なお、地域情報が付与されていない場合には、統計的リンク旅行時間情報の地域情報に基づく分類分け、代表パターンの作成等を行わない。
続いて、速度パターン作成部24は、取得した統計的リンク旅行時間情報に天気情報が付与されているか否かを判断する。そして、天気情報が付与されている場合には、前記統計的リンク旅行時間情報を天気に基づいて分類分けする。すなわち、過去の所定の期間に亘るリンク旅行時間を天気毎に分けてグループ化する。そして、各分類、すなわち、各グループを代表するリンク旅行時間の時刻に応じて変化するパターンをリンク旅行時間の代表パターンとして作成する。また、天気情報が付与されていない場合には、統計的リンク旅行時間情報の天気情報に基づく分類分け、代表パターンの作成等を行わない。
続いて、速度パターン作成部24は、取得した統計的リンク旅行時間情報に道路種別情報が付与されているか否かを判断する。ここで、該道路種別情報は、一般道、都市高速、都市間高速等の道路種別を示す情報である。そして、道路種別情報が付与されている場合には、前記統計的リンク旅行時間情報を道路種別に基づいて分類分けする。すなわち、過去の所定の期間に亘るリンク旅行時間を道路種別毎に分けてグループ化する。そして、各分類、すなわち、各グループを代表するリンク旅行時間の出発時刻に応じて変化するパターンをリンク旅行時間の代表パターンとして作成する。また、道路種別情報が付与されていない場合には、統計的リンク旅行時間情報の道路種別情報に基づく分類分け、代表パターンの作成等を行わない。
続いて、速度パターン作成部24は、取得した統計的リンク旅行時間情報に道路構造としての車線幅員情報が付与されているか否かを判断する。ここで、該車線幅員情報は、両側一車線(狭い、広い)、片側一車線(狭い、広い)、片側二車線、片側三車線、片側四車線、片側五車線以上等の車線数や幅員を示す情報である。一般に、道路の車線数や幅員に応じて、同一の渋滞度であっても、旅行速度が変化する。例えば、東京都心部における月曜日の午前8時における渋滞度と旅行速度との関係は、図7に示される表のように道路の車線数や幅員に応じて変化する。また、愛知県岡崎市における月曜日の午前8時における渋滞度と旅行速度との関係は、図8に示される表のように道路の車線数や幅員に応じて変化する。そして、車線幅員情報が付与されている場合には、前記統計的リンク旅行時間情報を車線数や幅員に基づいて分類分けする。すなわち、過去の所定の期間に亘るリンク旅行時間を車線数や幅員毎に分けてグループ化する。そして、各分類、すなわち、各グループを代表するリンク旅行時間の出発時刻に応じて変化するパターンをリンク旅行時間の代表パターンとして作成する。また、車線幅員情報が付与されていない場合には、統計的リンク旅行時間情報の車線幅員情報に基づく分類分け、代表パターンの作成等を行わない。
続いて、速度パターン作成部24は、取得した統計的リンク旅行時間情報に進行方向情報が付与されているか否かを判断する。ここで、該進行方向情報は、上り下り、内回り外回り、都心方向、東行き西行き等の車線の方向を示す情報である。一般に、車線の方向に応じて、同一の道路であっても、渋滞の程度や旅行時間が変化する。例えば、大都市の都心と郊外とを結ぶ道路の場合、週日の朝は都心方向の車線が渋滞し、週日の夕方は都心と反対方向の車線が渋滞する。そして、進行方向情報が付与されている場合には、前記統計的リンク旅行時間情報を進行方向に基づいて分類分けする。すなわち、過去の所定の期間に亘るリンク旅行時間を進行方向毎に分けてグループ化する。そして、各分類、すなわち、各グループを代表するリンク旅行時間の時刻に応じて変化するパターンをリンク旅行時間の代表パターンとして作成する。また、進行方向情報が付与されていない場合には、統計的リンク旅行時間情報の進行方向情報に基づく分類分け、代表パターンの作成等を行わない。
続いて、速度パターン作成部24は、取得した統計的リンク旅行時間情報に渋滞度情報が付与されているか否かを判断する。ここで、該渋滞度情報は、VICS(R)情報としての渋滞度であって、道路種別及び旅行速度に応じて、「渋滞」、「混雑」及び「渋滞なし」の3つに区別されている。そして、渋滞度情報が付与されている場合には、前記統計的リンク旅行時間情報を渋滞度に基づいて分類分けする。すなわち、過去の所定の期間に亘るリンク旅行時間を渋滞度毎に「渋滞」、「混雑」及び「渋滞なし」の3つに分けてグループ化する。そして、各分類、すなわち、各グループを代表するリンク旅行時間の出発時刻に応じて変化するパターンをリンク旅行時間の代表パターンとして作成する。また、渋滞度情報が付与されていない場合には、統計的リンク旅行時間情報の渋滞度情報に基づく分類分け、代表パターンの作成等を行わない。
続いて、速度パターン作成部24は、作成したリンク旅行時間の代表パターンに対応する旅行速度の代表パターン、すなわち、各分類を代表する速度パターンを作成する。なお、旅行速度は、VICS(R)リンクに対応する道路長とリンク旅行時間とに基づいて算出することができる。これにより、月、曜日、地域、天気、道路種別、車線幅員、進行方向等の各種観点に基づいて分類分けされた統計的リンク旅行時間情報の各分類を代表する旅行速度の出発時刻に応じて変化する図9に示されるようなパターンを、各分類を代表する速度パターンとして得ることができる。
なお、速度パターン作成部24は、リンク旅行時間の代表パターンを作成することなく、各分類を代表する速度パターンを作成することができる。この場合、月、曜日、地域、天気、道路種別、車線幅員、進行方向等の各種観点に基づいてグループ化された統計的リンク旅行時間情報のそれぞれに対応する旅行速度を算出する。例えば、地域に基づいて分類分けされた統計的リンク旅行時間情報のグループが図4に示されるグラフのようになっている場合、地域に基づいて分類分けされた旅行速度のグループは図5に示されるグラフのようになる。そして、前記旅行速度のグループを代表する旅行速度の時刻に応じて変化するパターンを旅行速度の代表パターン、すなわち、各分類を代表する速度パターンとして作成する。例えば、グループにおける旅行速度の各時刻での平均値を算出して該平均値を結ぶことによって各分類を代表する速度パターンを作成することができる。なお、各分類を代表する速度パターンは、例えば、同一の分類に属するすべての旅行速度の出発時刻に応じて変化するパターンの平均値を取ることによって作成することができるが、いかなる統計的手法によって作成されたものであってもよい。
このようにして作成された速度パターンの数は、分類分けの各種観点に応じて変化する。例えば、暦情報が曜日及び祝日である場合、すなわち、月火水木金土日祝である場合、速度パターンの数は8である。また、地域情報が二次メッシュである場合、渋滞度及びリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクが含まれる二次メッシュの数が、現時点で約1,500なので、速度パターンの数は約1,500である。さらに、道路種別情報が一般道、都市高速及び都市間高速の3種類であり、一般道についてのみ車線幅員情報が付与されている場合、該車線幅員情報が両側一車線(狭い)、両側一車線(広い)、片側一車線(狭い)、片側一車線(広い)、片側二車線、片側三車線、片側四車線及び片側五車線以上の8種類であるとすると、速度パターンの数は10である。したがって、このような暦情報、地域情報、道路種別情報及び車線幅員情報に基づいて分類分けされて作成された速度パターンの数は、前述された速度パターンの数をすべて乗算するので、12万となる。すなわち、図9に示されるような速度パターンが12万個作成されることになる。
さらに、渋滞度情報に基づいて分類分けすると、該渋滞度情報が「渋滞」、「混雑」及び「渋滞なし」の3つであるので、速度パターンの数は3である。したがって、図10に示されるように、前述された12万個の速度パターンが3種類作成されるので、速度パターンが36万個作成されることになる。
続いて、速度パターン作成部24は、各分類を代表する速度パターンを速度パターンデータベース15に格納するとともに、前記速度パターンのそれぞれに対応する平均速度を算出する。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1−1 速度パターン作成部24は、渋滞度及びリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクの統計的渋滞情報を取得する。
ステップS1−2 速度パターン作成部24は、月が付与されたか否かを判断する。月が付与された場合はステップS1−3に進み、月が付与されない場合はステップS1−4に進む。
ステップS1−3 統計的リンク旅行時間情報を月に基づいて分類分けし、各分類の代表パターンを作成する。
ステップS1−4 速度パターン作成部24は、曜日が付与されたか否かを判断する。曜日が付与された場合はステップS1−5に進み、曜日が付与されない場合はステップS1−6に進む。
ステップS1−5 統計的リンク旅行時間情報を曜日に基づいて分類分けし、各分類の代表パターンを作成する。
ステップS1−6 速度パターン作成部24は、地域情報が付与されたか否かを判断する。地域情報が付与された場合はステップS1−7に進み、地域情報が付与されない場合はステップS1−8に進む。
ステップS1−7 統計的リンク旅行時間情報を地域情報に基づいて分類分けし、各分類の代表パターンを作成する。
ステップS1−8 速度パターン作成部24は、天気情報が付与されたか否かを判断する。天気情報が付与された場合はステップS1−9に進み、天気情報が付与されない場合はステップS1−10に進む。
ステップS1−9 統計的リンク旅行時間情報を天気情報に基づいて分類分けし、各分類の代表パターンを作成する。
ステップS1−10 速度パターン作成部24は、道路種別情報が付与されたか否かを判断する。道路種別情報が付与された場合はステップS1−11に進み、道路種別情報が付与されない場合はステップS1−12に進む。
ステップS1−11 統計的リンク旅行時間情報を道路種別情報に基づいて分類分けし、各分類の代表パターンを作成する。
ステップS1−12 速度パターン作成部24は、車線幅員情報が付与されたか否かを判断する。車線幅員情報が付与された場合はステップS1−13に進み、車線幅員情報が付与されない場合はステップS1−14に進む。
ステップS1−13 統計的リンク旅行時間情報を車線幅員情報に基づいて分類分けし、各分類の代表パターンを作成する。
ステップS1−14 速度パターン作成部24は、進行方向情報が付与されたか否かを判断する。進行方向情報が付与された場合はステップS1−15に進み、進行方向情報が付与されない場合はステップS1−16に進む。
ステップS1−15 統計的リンク旅行時間情報を進行方向情報に基づいて分類分けし、各分類の代表パターンを作成する。
ステップS1−16 速度パターン作成部24は、渋滞度情報が付与されたか否かを判断する。渋滞度情報が付与された場合はステップS1−17に進み、渋滞度情報が付与されない場合はステップS1−18に進む。
ステップS1−17 統計的リンク旅行時間情報を渋滞度情報に基づいて分類分けし、各分類の代表パターンを作成する。
ステップS1−18 速度パターン作成部24は、各分類を代表する速度パターンを速度パターンデータベース15に格納するとともに平均車速を算出する。
次に、図1のステップS2における渋滞度のみが提供されるVICS(R)リンクに対応するリンク旅行時間算出処理のサブルーチンについて説明する。
図12は本発明の実施の形態における渋滞度のみが提供されるVICS(R)リンクに対応するリンク旅行時間算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、補完処理部25は、交通情報データベース13及び交通情報提供リンクデータベース14にアクセスして、リンク旅行時間が提供されずに渋滞度のみが提供されるVICS(R)リンクについての統計的渋滞情報、すなわち、渋滞度の統計的データを取得する。そして、各VICS(R)リンクについての渋滞度の統計的データを曜日、地域、道路種別、車線幅員、進行方向等の各種観点に基づいて分類分けする。なお、分類分けの各種観点及び分類分けの動作は、図1のステップS1における速度パターン処理のサブルーチンに関する説明と同様であるので、説明を省略する。
続いて、補完処理部25は、各種観点で分類分けされた各VICS(R)リンクについての渋滞度に対応する速度パターンを速度パターンデータベース15から取得する。これにより、曜日、地域、道路種別、車線幅員、進行方向等の各種観点について渋滞度のみが提供されるVICS(R)リンクと類似した渋滞度及びリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクにおける「渋滞」、「混雑」及び「渋滞なし」の各渋滞度に対応する速度パターンを取得することができる。そして、補完処理部25は、前記速度パターンに基づいて、「渋滞」、「混雑」及び「渋滞なし」の各渋滞度に対応する平均速度を算出する。
続いて、補完処理部25は、前記平均速度と前記渋滞度のみが提供されるVICS(R)リンクに対応する道路長とに基づいて、リンク旅行時間を算出して、旅行時間データベース17に格納する。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS2−1 補完処理部25は、渋滞度のみが提供されるVICS(R)リンクについての渋滞度を各種観点で分類分けする。
ステップS2−2 補完処理部25は、各種観点において類似した速度パターンを取得し、各渋滞度に対応する平均速度を算出する。
ステップS2−3 補完処理部25は、平均速度と、道路長からリンク旅行時間を算出して旅行時間データベース17に格納する。
次に、図1のステップS3におけるVICS(R)リンクに対応しない道路リンクに対応するリンク旅行時間算出処理のサブルーチンについて説明する。
図13は本発明の実施の形態におけるVICS(R)リンクに対応しない道路リンクに対応するリンク旅行時間算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、補完処理部25は、全道路データベース16にアクセスして、VICS(R)情報の提供されない道路、すなわち、VICS(R)リンクに対応していない道路リンクの情報を取得する。
続いて、補完処理部25は、道路リンクの情報を地域、道路種別、車線幅員、進行方向等の各種観点に基づいて分類分けし、各種観点について類似した渋滞度及びリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクにおける速度パターンを速度パターンデータベース15から取得する。そして、前記速度パターンに基づいて平均速度を算出する。この場合、「渋滞」、「混雑」及び「渋滞なし」の各渋滞度を考慮することなく、平均速度を算出する。
続いて、補完処理部25は、前記平均速度と前記道路リンクに対応する道路長とに基づいて、リンク旅行時間を算出して、旅行時間データベース17に格納する。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS3−1 補完処理部25はVICS(R)リンクに対応していない道路リンクの情報を取得する。
ステップS3−2 補完処理部25は、各種観点において類似した速度パターンを取得し、各渋滞度に対応する平均速度を算出する。
ステップS3−3 補完処理部25は、平均速度と、道路長からリンク旅行時間を算出して旅行時間データベース17に格納する。
このように、本実施の形態においては、渋滞度及びリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクの統計的渋滞情報が各種観点及び渋滞度に基づいて分類分けされ、各分類を代表する速度パターンが速度パターンデータベース15に格納される。そして、渋滞度のみが提供されるVICS(R)リンクの統計的渋滞情報が各種の観点に基づいて分類分けされ、各種観点について類似した渋滞度及びリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクにおける渋滞度に対応する速度パターンを速度パターンデータベース15から取得され、前記速度パターンから算出された平均速度と前記VICS(R)リンクに対応する道路長とに基づいて、リンク旅行時間を算出して、旅行時間データベース17に格納される。
そのため、該旅行時間データベース17にアクセスすることによって、リンク旅行時間が提供されず渋滞度のみが提供されるVICS(R)リンクについても、渋滞度に対応するリンク旅行時間を取得することができる。したがって、渋滞度のみが提供されるVICS(R)リンクについても、渋滞を考慮して所要時間が最短となるように経路を設定することができる。
この場合、リンク旅行時間は、曜日、地域、道路種別、車線幅員、進行方向等の各種観点について渋滞度のみが提供されるVICS(R)リンクと類似した渋滞度及びリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクにおける「渋滞」、「混雑」及び「渋滞なし」の各渋滞度に対応する速度パターンに基づいて算出されている。そのため、リンク旅行時間は、類似の程度が極めて高い速度パターンに基づいて算出され、精度の高いものとなる。したがって、渋滞度のみが提供されるVICS(R)リンクについても、渋滞を考慮して適切に経路を設定することができる。
また、VICS(R)リンクに対応していない道路リンクの情報が各種の観点に基づいて分類分けされ、各種観点について類似した渋滞度及びリンク旅行時間が提供されるVICS(R)リンクにおける速度パターンが速度パターンデータベース15から取得され、該速度パターンから算出された平均速度と前記道路リンクに対応する道路長とに基づいて、リンク旅行時間を算出して、旅行時間データベース17に格納される。
そのため、該旅行時間データベース17にアクセスすることによって、VICS(R)リンクに対応していない道路リンクについても、リンク旅行時間を取得することができる。したがって、VICS(R)リンクに対応していない道路リンクについても、所要時間が最短となるように経路を設定することができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
例えば、本実施の形態において、統計的渋滞情報が暦、地域、道路種別、車線幅員、進行方向等の各種観点に基づいて分類される旨を説明したが、前記観点は暦、地域、道路種別、車線幅員又は進行方向に限定されることなく、イベント、事故、規制等も含むものである。
また、例えば、本実施の形態においては、情報提供サーバ11がデータ部12及び処理部21を有し、各種処理を行う場合について説明したが、情報端末28a及び28bが前記処理を行うようにすることもできる。