JP4029638B2 - 発熱機器の冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン等の熱機関、電動式モータやモータ制御用のインバータ回路及び燃料電池等の発熱機器の冷却装置に関するものであり、特に、内燃機関を搭載した車両に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
エンジン用の冷却装置として、出願人は、既に特願2001−280050号を出願している。この出願は、暖機運転時には、エンジン内を循環する冷却水量を略1〜5L/minとすることにより暖機運転の促進を図るものであるが、その後、試作実験を積み重ねたところ、以下に述べる点がさらに明らかになった。
【0003】
すなわち、上記出願では、暖機運転時にエンジン内を循環する冷却水量を略1〜5L/min程度の微少流量としているので、暖機運転時に冷却水量を10〜15L/min程度とした従来に比べて、暖機運転が早期に完了するものの、暖機運転が完了した後、エンジン内を循環する冷却水量を増大させた時に、冷却水温度、つまりエンジン温度が低下してしまった。
【0004】
本発明は、上記点に鑑み、上記出願と異なる新規な構成にて、暖機運転終了後に、エンジン、つまり発熱機器の温度が低下することを防止することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記課題を達成するため、請求項1に記載の発明では、発熱機器(10)内を循環する冷却液を冷却し、その冷却した冷却液を発熱機器(10)に戻すラジエータ(20)と、発熱機器(10)から流出する冷却液をラジエータ(20)を迂回させて発熱機器(10)に戻すバイパス通路(30)と、
バイパス通路(30)及びラジエータ(20)を流れる冷却液の流量を調節す電子制御式の流量調整バルブ(40)、前記冷却液の温度を検出する温度検出手段(101、102)及び前記温度検出手段(101、102)の検出温度に基づいて前記流量調整バルブ(40)を制御する電子制御装置(100)を包含する流量制御装置(40、100、101、102)とを備え、流量制御装置(40、100、101、102)は、ラジエータ(20)に流れる冷却液の流量を略0とした状態で、発熱機器(10)に冷却液を循環させる暖機運転モードと、バイパス通路(30)及びラジエータ(20)を流れる冷却液の流量を制御して発熱機器(10)に流れ込む冷却液の温度を制御する温度制御モードとを有するとともに、冷却水の温度に基づいてモードのいずれかを選択実行し、さらに、暖機運転モードを終了させる冷却液の温度は、温度制御モード時における設定目標温度より高く設定されているとともに、前記暖機運転モードは、前記バイパス通路(30)に流れる冷却液の流量を所定流量以下として冷却液を循環させる第1暖機運転モードと、
前記バイパス通路(30)を流れる冷却液の流量を前記所定流量より大きくする第2暖機運転モードとがあり、
さらに、前記第1暖機運転モードが終了して前記第2暖機運転モードに移行する時の冷却液の温度は、前記第2暖機運転モードが終了する時の冷却液の温度より高く設定されていることを特徴とする。
【0006】
これにより、発熱機器(10)内の水路及びそれ以外の部位に溜まっていた低温の冷却液が流量の増加とともに冷却液の温度が平均化されることで、仮に冷却液の温度が大きく低下しても、その最低温度を比較的高く維持することができる。したがって、暖機運転の促進を図りながら、暖機運転終了後に、発熱機器(10)全体の温度が大きく低下することを未然に防止できる。
【0007】
また、暖機運転モードを、バイパス通路(30)に流れる冷却液の流量を所定流量以下として冷却液を循環させる第1暖機運転モードと、バイパス通路(30)を流れる冷却液の流量を所定流量より大きくする第2暖機運転モードとで構成し、第1暖機運転モードが終了して第2暖機運転モードに移行する時の冷却液の温度を、第2暖機運転モードが終了する時の冷却液の温度より高く設定することで、第1暖機運転モードが終了した後、第2暖機運転モードを経た後に温度制御モードに移行するので、発熱機器(10)内の水路の一部に溜まっていた低温の冷却液により発熱機器(10)全体の温度が大きく低下することを防止できる。
【0009】
また、第2暖機運転モード時にはバイパス通路(30)側の流量を増大させるので、発熱機器(10)内の冷却液の温度分布を略均一にした後、温度制御モードに移行することとなる。したがって、発熱機器(10)の温度を正確に検出することができるので、冷却水温度を正確に制御することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、流量制御装置(40、100、101、102)は、冷却液の温度に基づいてヒータ(60)に冷却液を循環させるヒータモードを有しており、ヒータモードを開始する冷却液の温度は、温度制御モード時における設定目標温度より高く設定されていることを特徴とする。
【0011】
これにより、仮に、ヒータ(60)に溜まっていた低温の冷却液が発熱機器(10)に流れ込んでも、請求項1に記載の発明と同様に、暖機運転の促進を図りつつ、発熱機器(10)の温度が低下することを防止し、かつ、早期に暖房運転を開始することができる。
【0012】
なお、請求項4に記載の発明では、複数のモードのうち、第1のモードより先に実行される第2のモードを開始させる冷却液の温度は、第1のモードを開始させる冷却液の温度より高く設定されていることを特徴とするものである。
【0013】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明に係る発熱機器の冷却装置を車両走行用エンジンの冷却装置に適用したものであって、図1は本実施形態に係るエンジンの冷却装置の模式図である。
【0015】
図1中、ラジエータ20はエンジン10内を循環する冷却水を冷却し、その冷却した冷却水をエンジン10に戻す熱交換器であり、送風機21はラジエータ20に冷却風を送風する送風手段である。
【0016】
バイパス通路30はエンジン10から流出する冷却水をラジエータ20を迂回させてエンジン10に戻すバイパス手段であり、流量調整バルブ40はラジエータ20に循環させる冷却水量とバイパス通路30に循環させる冷却水量とを調節する電子制御式の流量調整バルブであり、ポンプ50はエンジン10から駆動力を得て冷却水を循環させる渦巻式のウォータポンプである。なお、流量調整バルブ40の構造は後述する。
【0017】
ヒータ60は冷却水(エンジン廃熱)を熱源として室内に吹き出す空気を加熱する暖房用熱交換器であり、電磁弁70はヒータ60に冷却水を供給する温水通路を開閉する弁手段であり、送風機61は室内に吹き出す空気を送風する空調用送風手段である。
【0018】
トルクコンバータ80はオートマチックトランスミッション用の流体継ぎ手であり、オイルクーラ90はトルクコンバータ80内の作動油(オートマチックトランスミッションフルード)と冷却水とを熱交換するオイル熱交換器である。なお、本実施形態では、オイルクーラ90はヒータ60から流出した冷却水と作動油(ATF)とを熱交換している。
【0019】
ところで、第1水温センサ101はバイパス通路30を流れる冷却水の温度を検出する検出手段であり、第2水温センサ102はポンプ50の流入側に配設されてエンジン10に戻ってくる冷却水の温度を検出する検出手段である。
【0020】
また、圧力センサ103はエンジン10の吸入負圧を検出することによりエンジン10に課せられた負荷を検出する負荷検出手段であり、回転センサ104はエンジン100の回転数を検出する回転数検出手段であり、外気温センサ105は室外空気温度を検出する外気温度検出手段である。
【0021】
そして、各センサ101〜105の検出信号及び車両用空調装置の始動スイッチ(A/Cスイッチ)106のON−OFF信号は電子制御装置(ECU)100に入力されており、このECU100は、各センサ101〜105の検出信号及び始動スイッチ106のON−OFF信号に基づいて予め設定されたプログラムに従って流量調整バルブ40、電磁弁70及び送風機21等を制御する。
【0022】
つまり、本実施形態では、流量調整バルブ40、ECU100及び第1、2水温センサ101、102等により、バイパス通路30及びラジエータ20を流れる冷却水の流量を調節する流量制御装置が構成される。
【0023】
次に、流量調整バルブ40の構造について述べる。
【0024】
図2は流量調整バルブ40の断面図であり、図3は図2の上面図である。そして、冷却水通路40aを構成するアルミニウム製のハウジング41は、図2に示すように、ラジエータ20の流出側に接続される第1流入口42aが形成された第1ハウジング41a、並びにバイパス通路30の流出側に接続される第2流入口42b及びポンプ50の吸入側に接続される流出口42c(図3参照)が形成された第2ハウジング41bを有して構成されている。
【0025】
なお、第1、2ハウジング41a、41bは、Oリング等のパッキン41cを介してボルト41d(図3参照)により締結されている。
【0026】
また、ハウジング41内のうち第1ハウジング41aのフランジ部41eには、第1流入口42a側と流出口42c側とを仕切るアルミニウム製のシートプレート43が配設されている。
【0027】
そして、このシートプレート43は、図4に示すように、段付き部43cが形成された円筒部43d、及びこの円筒部43dの軸方向一端側に位置する円盤状のシート面43bが形成されており、シート面43bには、第1流入口42a側と流出口42c側と連通させる連通口43aが形成されている。
【0028】
このとき、連通口43aは、その外縁が描く図形の図心がシート面43bの図心と一致するように形成されているとともに、連通口43aの外縁部には、連通口43aを縁取るようにゴム製のパッキン44が焼き付け固着されている。
【0029】
因みに、図形の図心とは、周知のごとく、平面図形において面積モーメントが釣り合う点であり、本実施形態では、シート面43bは円盤状であるので、その図心は中心と一致する。
【0030】
なお、シートプレート43を挟んで上流側と下流側とは、フランジ部41eとシートプレート43との間に配設されたOリング等のパッキン43fにより密閉されている。このため、シートプレート43の上流側から下流側に流れる冷却水の全ては、連通口43aを通過することとなる。
【0031】
また、シートプレート43より冷却水流れ下流側には、連通口43aの開口面積、すなわち開度を調節するバルブ45が配設されており、このバルブ45は、図5に示すように、シート面43bと平行に配置されてパッキン44と接触しながら平行移動するように回転する円盤状の第1バルブ面45a、第2流入口42b側に繋がる開口部41f(図2参照)の開口面積を調節する第2バルブ面45b、並びに第1バルブ面及び第2バルブ面45bを回転させるシャフト部45c等からなるもので、これら45a〜45cは金属にて一体形成されている。
【0032】
このとき、第1バルブ面45aには、連通口43aに対応するように扇状の開口部45dがシャフト45cに対して対称に形成されており、第2バルブ面45bは、第1バルブ面45aの外縁部に位置してシャフト45cの長手方向と平行な方向に延出する円筒状の一部をなす壁部であり、シャフト45cの先端側には、後述する減速機47の出力軸を固定するためのネジ穴が形成されている。
【0033】
ところで、シートプレート43のシート面43bに形成された連通口43aのうち、第1バルブ面45aに形成された扇状の開口部45dと対応する部位からずれた位置、すなわちシート面43bの中心部の開口部(図4(a)の二点鎖線で示された部位)43eは、シートプレート43を挟んで上流側と下流側とを連通させる連通口43aとしての機能に加えて、シート面43bの流入口42a側の面に作用する水圧よる力を調節する受圧面積調節穴として機能する。そこで、以下、開口部43eを受圧面積調節穴43eと表記する。
【0034】
つまり、シート面43bの現状の受圧面積は、図4(a)において斜線で示された面積であるが、受圧面積調節穴43eを大きくすれば、受圧面積が減少してシート押圧力が減少し、逆に受圧面積調節穴43eを小さくすれば、受圧面積が増大してシート押圧力が増大する。
【0035】
また、図2において、モータ46はバルブ45を回転駆動する動力を発生するステッピングモータであり、減速機47はモータ46の出力を減速してバルブ45のシャフト45cに伝達する複数枚の歯車からなる変速機であり、この減速機47及びモータ46によりバルブ45を回転駆動させるアクチュエータが構成されている。
【0036】
軸受48はシャフト45cを回転可能に支持する転がり軸受であり、リップシール49は流体通路40a内の冷却水がアクチュエータ内に流入することを防止するシール手段である。
【0037】
以上に述べた構成により、シートプレート43は、バルブ45より上流側に位置してバルブ45に対してシート面43bと直交する方向に微少、つまりパッキン43fの弾性変形量程度に変位することができる。このとき、図2に示すように、シートプレート43の変位方向一端側、つまり下流側への変位はバルブ45により規制され、シートプレート43の変位方向他端側、つまり上流側への変位はフランジ部41eにより規制される。
【0038】
なお、バルブ45が回転すると、パッキン44と第1バルブ面45aとの摩擦量によりシートプレート43が回転するおそれがあるので、本実施形態では、シートプレート43の外周側に外方側に突出する突起部43hを形成し、この突起部43hを図2に示すように第2ハウジング41bに設けた溝部41gに摺動可能に嵌合させることによりシートプレート43が回転することを防止している。
【0039】
また、捩りコイルバネ47aは、減速機47の歯車列の外側に配置されて、モータ46に電圧が印加されていないとき、つまりエンジン停止時及び流量制御バルブ40の組み立てが完了したときに、バルブ45がバイパス通路30及びラジエータ20の両者に冷却水が流れ得る位置となるように自動的にバルブ45を回転させる弾性力をバルブ45に作用させるリターン用の弾性手段である。
【0040】
次に、本実施形態に係る流量調整バルブ40の概略作動について述べる。
【0041】
バルブ45が第1バルブ面45aの中心を中心として回転すると、シートプレート43の連通口43aとバルブ45の開口部45dとの重なり合う面積、すなわち連通口43aの開口面積、及び開口部41fの開口面積がバルブ45の回転角に比例して変化し、流量調整バルブ40内を流れる冷却水量が調節される。
【0042】
このとき、第1バルブ面45aはパッキン44と接触しているので、第1バルブ面45aとシート面43bとの隙間から冷却水が下流側に流れてしまうことを防止できる。したがって、バルブ45の回転角、つまり連通口43aの開口面積に応じてラジエータ20を流れる冷却水量を調節することができる。
【0043】
そして、エンジン10が停止してモータ46に電圧が印加されていないときには、捩りコイルバネ47aの弾性力により、バルブ45が図6に示すような位置で停止するため、バイパス通路30及びラジエータ20の両者に冷却水が流れ得る状態となる。
【0044】
次に、流量調整バルブ40の制御方法及びその特徴を述べる。
【0045】
図7はバルブ45の回転角度と、バイパス通路30及びラジエータ20を流れる冷却水の流量、つまりバイパス通路30側の開口面積とラジエータ20側の開口面積との関係を示すチャートである。
【0046】
1.第1暖機運転モード
このモードは、ラジエータ20に冷却水が流れることを停止させた状態で、エンジン10内を流れるの冷却水の流量を略1〜5L/min程度としてエンジン10を早期に暖機するものである。
【0047】
2.第2暖機運転モード
このモードは、ラジエータ20に流れる冷却液の流量を略0とした状態で、バイパス通路30側を全開としてバイパス通路30を流れる冷却水の流量を第1暖機運転モードより大きくするものである。
【0048】
3.温度制御モード
このモードは、バイパス通路30及びラジエータ20を流れる冷却水の流量を制御してエンジン10に流れ込む冷却水の温度を制御するものである。
【0049】
そして、本実施形態では、第1暖機運転モード、第2暖機運転モード及び温度制御モードのいずれのモードを選択するかは、冷却水温度に基づいて決定されているため、少なくとも冷却水が冷えた冷間始動時には、時間的に、第1暖機運転モード→第2暖機運転モード→温度制御モードの順に各モードが実行されることとなる。
【0050】
さらに、第1暖機運転モードが終了して第2暖機運転モードに移行する時の冷却水温度(以下、この温度を第1目標温度と呼ぶ。)は、第2暖機運転モードが終了して温度制御モードに移行する時の冷却水温度(以下、この温度を第2目標温度と呼ぶ。)より高く、かつ、第1目標温度及び第2目標温度は、温度制御モード時における設定目標温度より高く設定されている(第1目標温度>第2目標温度>設定目標温度)。
【0051】
つまり、前記した複数のモードのうち、第1のモードより先に実行される第2のモードを開始させる冷却液の温度は、第1のモードを開始させる冷却液の温度より高く設定されている。
【0052】
具体的には、温度制御モードより先に実行される第2暖機運転モードを開始させる冷却液の温度、つまり第1目標温度は、温度制御モードを開始させる冷却液の温度、つまり第2目標温度より高く設定されている。
【0053】
次に、本実施形態の作用効果を述べる。
【0054】
第1暖機運転モード時においては、微少な流量のみを循環させているので、バイパス通路30を流れる冷却水の温度は、十分に高い温度まで上昇しているものの、エンジン10内の水路中の一部及びラジエータ20内には低温の冷却水が溜まっている。
【0055】
なお、微少流量では、エンジン10内の水路内に溜まっている低温の冷却水を全て流し出すことはできず、低温の冷却水がエンジン10内の水路中に部分的に滞留したままになっている。
【0056】
このため、第1暖機運転モードが終了して第2暖機運転モードに移行すると、エンジン10の水路中の一部に溜まっていた低温の冷却水が流れ始めるので、冷却水の温度が平均化されて大きく低下してしまう。
【0057】
同様に、第2暖機運転モードが終了して温度制御モードに移行すると、ラジエータ20内に多量に溜まっていた低温の冷却水が流れ始めるので、エンジン10に流れ込む冷却水の温度が大きく低下してしまう。
【0058】
これに対して、本実施形態では、第1目標温度>第2目標温度>設定目標温度となるように設定しているので、例えば第1暖機運転モードが終了して第2暖機運転モードに移行したときに、仮に冷却水温度が大きく低下しても、その最低温度を比較的高く維持するこができる。同様に、第2暖機運転モードが終了して温度制御モードに移行したときにおいて、仮に冷却水温度が大きく低下しても、その最低温度を比較的高く維持するこができる。
【0059】
したがって、第1暖機運転モード時に微少流量として暖機運転の促進を図りながら、暖機運転終了後に、エンジン10の温度が低下することを未然に防止できる。延いては、エンジン10の燃費を向上させることができる。因みに、図8は、本実施形態における冷却水温度の変化を示すグラフである。
【0060】
なお、設定目標温度は、エンジン負荷に加えてエンジンの耐久性を考慮して決定されるのに対して、第1目標温度及び第2目標温度は早期に暖機運転を終了させることを主眼に設定された温度である。
【0061】
このとき、暖機運転(第1暖機運転モード及び第2暖機運転モード)は、エンジン10の運転時間全体から見ると、僅か僅かな時間であるので、第1目標温度及び第2目標温度を高め設定しても、実用上、問題ない。
【0062】
また、本実施形態では、第1暖機運転モードが終了した後、第2暖機運転モードを経た後に温度制御モードに移行するので、エンジン10内の水路中に部分的に溜まっていた低温の冷却水によりエンジン10全体の温度が大きく低下することを防止できる。
【0063】
また、第2暖機運転モード時にはバイパス通路30側の流量を増大させるので、エンジン10内の冷却水温度分布を略均一にした後、温度制御モードに移行することとなる。したがって、第1水温センサ101にてエンジン10を流れる冷却水の温度を正確に検出することができるので、エンジン10の温度、つまり冷却水温度を正確に制御することができる。
【0064】
(第2実施形態)
本実施形態は、図9、10に示すように、暖房用ヒータ60へ供給するエンジン冷却水量も制御することができる流量制御バルブ40に本発明を適用したものである。
【0065】
このため、本実施形態では、図10(a)に示すように、暖房用ヒータ60から流出した冷却水が流入する第3流入口42dを第1ハウジング41aに設けるとともに、バルブ45に第3流入口42dを開閉する第3バルブ面45eを設けている。
【0066】
ところで、図11はバルブ45の回転角度と、バイパス通路30、ラジエータ20及びヒータ60を流れる冷却水の流量との関係を示すチャートであり、本実施形態では、新たに、ヒータ60に冷却水液を循環させるヒータモードが追加されている。そして、第1暖機運転モードからヒータモードに移行する際の第3目標温度を第1目標温度より高く設定している。
【0067】
これにより、仮に、ヒータ60に溜まっていた冷水が流れ込んでも、第1実施形態と同様に、暖機運転の促進を図りつつ、エンジン10の温度が大きく低下することを防止し、かつ、早期に暖房運転を開始することができる。
【0068】
なお、本実施形態においても、時間的に先に実行されるモード(例えば、ヒータモード)を開始させる目標温度(例えば、第3目標温度)は、このモードより後に実行されるモード(例えば、第2暖機運転モード)を開始させる目標温度(第1目標温度)より高く設定されている。
【0069】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、第1暖機運転モードが終了した後、第2暖機運転モードに移行した、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば第2暖機運転モードを廃止して、第1暖機運転モードが終了した後、直ぐに温度制御モードに移行してもよい。
【0070】
また、上述の実施形態では、発熱機器としてエンジンを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば電動式モータやモータ制御用のインバータ回路及び燃料電池等を発熱機器としてもよい。
【0071】
また、ヒータモードを開始するタイミングを第2暖機運転モードを開始するタイミングより遅くして第3目標温度を第1目標温度より低く設定しもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る冷却水回路を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る流体バルブの断面図である。
【図3】図2の上面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るシートプレートの二面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るバルブの二面図である。
【図6】エンジン停止時における図2のA−A断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態におけるバルブの回転角とバイパス通路及びラジエータ側に流れる冷却水量との関係を示すチャートである。
【図8】エンジン冷却水温度の変化を示すグラフである。
【図9】本発明の第2実施形態に係る冷却水回路を示す模式図である。
【図10】(a)は本発明の第2実施形態に係る流体バルブの断面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態におけるバルブの回転角とバイパス通路及びラジエータ側に流れる冷却水量との関係を示すチャートである。
【符号の説明】
10…エンジン、20…ラジエータ、30…バイパス通路、
40…流量調整バルブ、100…ECU。

Claims (3)

  1. 発熱機器(10)内を循環する冷却液を冷却し、その冷却した冷却液を前記発熱機器(10)に戻すラジエータ(20)と、
    前記発熱機器(10)から流出する冷却液を前記ラジエータ(20)を迂回させて前記発熱機器(10)に戻すバイパス通路(30)と、
    前記バイパス通路(30)及び前記ラジエータ(20)を流れる冷却液の流量を調節する電子制御式の流量調整バルブ(40)、前記冷却液の温度を検出する温度検出手段(101、102)及び前記温度検出手段(101、102)の検出温度に基づいて前記流量調整バルブ(40)を制御する電子制御装置(100)を包含する流量制御装置(40、100、101、102)とを備え、
    前記流量制御装置(40、100、101、102)は、前記ラジエータ(20)に流れる冷却液の流量を略0とした状態で、前記発熱機器(10)に冷却液を循環させる暖機運転モードと、
    前記バイパス通路(30)及び前記ラジエータ(20)を流れる冷却液の流量を制御して前記発熱機器(10)に流れ込む冷却液の温度を制御する温度制御モードとを有するとともに、冷却水の温度に基づいて前記モードのいずれかを選択実行し、
    前記暖機運転モードにおける冷却液の循環流量よりも前記温度制御モード時における冷却液の循環流量を大きくし、
    さらに、前記暖機運転モードを終了させる冷却液の温度は、前記温度制御モード時における設定目標温度より高く設定されているとともに、前記暖機運転モードは、前記バイパス通路(30)に流れる冷却液の流量を所定流量以下として冷却液を循環させる第1暖機運転モードと、
    前記バイパス通路(30)を流れる冷却液の流量を前記所定流量より大きくする第2暖機運転モードとがあり、
    さらに、前記第1暖機運転モードが終了して前記第2暖機運転モードに移行する時の冷却液の温度は、前記第2暖機運転モードが終了する時の冷却液の温度より高く設定されていることを特徴とする発熱機器の冷却装置。
  2. 前記流量制御装置(40、100、101、102)は、冷却液の温度に基づいてヒータ(60)に冷却液を循環させるヒータモードを有しており、
    前記ヒータモードを開始する冷却液の温度は、前記温度制御モード時における設定目標温度より高く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の発熱機器の冷却装置。
  3. 前記複数のモードのうち、第1のモードより先に実行される第2のモードを開始させる冷却液の温度は、前記第1のモードを開始させる冷却液の温度より高く設定されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の発熱機器の冷却装置。
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