JP4028641B2 - ディジタル通信システムおよび方法 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
この発明は衛星放送等のディジタル通信に関し、特にその長期番組情報を取得する処理の迅速化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図22に、衛星放送における電波の送出状態を模式化して示す。地上局2からの電波は、放送衛星4を介して地上に向けて送出される。放送衛星4からは、複数のトランスポートストリーム(周波数、偏波面などによって決定される伝送路)TS1、TS2、TS3が送出される。さらに、トランスポートストリームTS1には、複数のサービス(地上波放送のチャネルに相当する)SV11、SV12、SV13、SV14がパケット化されて時分割により多重化されている。同様に、トランスポートストリームTS2にはサービスSV21、SV22、SV23、SV24が多重化され、トランスポートストリームTS3にはサービスSV31、SV32、SV33、SV34が多重化されている。なお、トランスポートストリームには、各サービスの画像データ、音声データの他、番組情報やパケット化に伴う制御データ等も送出されている。また、図22においては、3つのトランスポートストリームのみが示されているが、実際には、より多くのトランスポートストリームが送出される。さらに、図22においては、各トランスポートストリームについて、4つのサービスが多重化されているが、実際にはより多くのサービスが多重化される。
【0003】
図23に、トランスポートストリームTS1、TS2、TS3に多重化されている画像データ、音声データ、制御データ、番組情報を示す。トランスポートストリームTS1には、サービスSV11の音声データES(A)11、画像データES(V)11、サービスSV12の音声データES(A)12、画像データES(V)12、・・・サービスSV14の音声データES(A)14、画像データES(V)14が多重化されている。また、各サービスSV11、SV12、SV13、SV14のそれぞれについて、現在放送中の番組の情報P EIT11、P EIT12、P EIT13、P EIT14および次に放送予定の番組の情報F EIT11、F EIT12、F EIT13、F EIT14が多重化されている。さらに、トランスポートストリームTS1に多重化されているサービスの詳細を記述したSDT1、トランスポートストリームTS2に多重化されているサービスの詳細を記述したSDT2、トランスポートストリームTS3に多重化されているサービスの詳細を記述したSDT3も多重化して伝送されている。
【0004】
なお、他のトランスポートストリームTS2、TS3においても、同じように、音声データ、画像データ、番組情報等が多重化されている。ただし、各サービスの長期番組情報S EIT11、S EIT12・・・S EIT14、S EIT21、S EIT22・・・S EIT24、S EIT31、S EIT32・・・S EIT34、S EIT41、S EIT42・・・S EIT44については、その情報量が大きいことから、トランスポートストリームTS2のみに多重化されている。
【0005】
なお、サービスによっては、常に同じコンテンツを放送している等の理由から長期番組情報を流していない場合もある。そのため、トランスポートストリームTS2の制御データSDT1、SDT2、SDT3には、それぞれ、サービスSV11〜SV14、サービスSV21〜SV24、サービスSV31〜SV34について、長期番組情報S EITが存在するか否かの有無情報も記述されている。ただし、有無情報が記述されるのは、長期番組情報S EITが多重化されているトランスポートストリームTS2の制御データSDT1、SDT2、SDT3だけである。他のトランスポートストリームTS1、TS3の制御データSDT1、SDT2、SDT3には有無情報を記述するための領域は設けられているが、その内容は全て「無」となっており、実質的な有無情報は記述されていない。
【0006】
また、上記の各情報は、図24の60aに示すようにパケット化されて伝送される。すなわち、各サービスの画像データおよび音声データがパケットにより多重化されて伝送される。60aによる送出が終了すると、60bによる送出が続けて行われる。なお、パケット化された各サービスのESにはパケットIDが付さる。各サービスのESのパケットIDは、制御データPAT、PMTによって認識できるようになっている。これにより、各サービスについてのESを選択的に取得することができる。なお、図24においては、トランスポートストリームTS1について示したが、他のトランスポートストリームTS2、TS3においても同様である。
【0007】
さらに、各トランスポートストリームTS1、TS2、TS3には、制御データNITが多重化されている。制御データNITには、各トランスポートストリームTS1、TS2、TS3の伝送諸元(周波数等)および当該トランスポートストリームに含まれるサービスIDが記述されている。これにより、各トランスポートストリームにどのようなサービスが含まれているのかを知ることができる。また、制御データNITには、いずれのトランスポートストリームに長期番組情報が多重化されているかを示す情報も記述されている。
【0008】
図25に、衛星放送受信装置の概要を示す。チューナー8によってトランスポートストリームが選択され、デコーダ10によって所望のサービスが分離される。デコーダ10からは、選択された音声・画像データが出力される。なお、マイクロプロセッサ(MPU)12は、所望のサービスのESのパケットIDをデコーダ10にセットする。これにより、デコーダ10は、当該サービスのESを出力する。また、制御データのパケットIDをデコーダ10にセットした場合には、分離された制御データはMPU12に与えられる。
【0009】
現在、トランスポートストリームTS3のサービスSV33を受信しているとして、トランスポートストリームTS1のサービスSV12に切り換える旨の指令がMPU12に与えられた場合の動作を、以下説明する。まず、MPU12は、デコーダ10を制御して(すなわち、制御データNITのパケットIDをセットして)、制御データNIT(図23参照)を取り込む。この制御データの記述により、受信を希望するサービスSV12がトランスポートストリームTS1に多重化されていることを知る。次に、チューナ8を制御して、トランスポートストリームTS1を受信する。さらに、デコーダ10を制御して、制御データPAT1およびPMT12を取得して、所望のサービスSV12の画像データES(A)12、音声データES(V)12のパケットIDを得る。次に、このパケットIDをデコーダ10にセットして、所望のサービスSV12の画像データES(A)12、音声データES(V)12を、デコーダ10から出力させる。上記のようにして、受信するサービスの切換が行われる。
【0010】
ところで、各サービスについての長期番組情報S EITを取得することにより、当該サービスの将来の放送予定を知ることができる。また、長期番組情報S EITには、各サービスにおいて放送される各イベント(いわゆる番組)のジャンル情報も含まれている。したがって、長期番組情報S EITを取得すれば、特定ジャンルについての放送予定を検索して表示することも可能である。
【0011】
現在、サービスSV12を受信しているとして、長期番組情報S EITを取得する場合の処理を説明する。まず、MPU12は、デコーダ10を制御して、制御データNITを分離・取得する。この制御データNITの記述により、いずれのトランスポートストリームに長期番組情報S EITが多重化されているかを知り、チューナ8を制御してトランスポートストリームTS2を受信する。さらに、デコーダ10を制御して、制御データSDT1、SDT2、SDT3を分離・取得し、各サービスについて長期番組情報の有無情報を得る。
【0012】
MPU12は、この有無情報に基づいて、長期番組情報の存在するサービスについてのみ、デコーダ10を制御して長期番組情報を取得する。
【0013】
以上のようにして、各サービスについての長期番組情報を取得することができる。取得した長期番組情報をそのまま表示したり、ジャンル情報にしたがって検索を行い特定ジャンルの番組情報のみを表示したりすることができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術においては、長期番組情報を取得するためには、(1)長期番組情報の有無情報が多重化されているトランスポートストリームを受信するように切り換える、(2)切り換えたトランスポートストリームにおいて有無情報を取得する、(3)当該有無情報に基づいて必要なサービスについての長期番組情報を取得する、という処理を行わなければならなかった。このため、受聴者が長期番組情報を表示させるべく受信機の操作を行ってから、画面上に長期番組情報が表示されるまでの時間が長くかかるという問題があった。
【0015】
この発明は、上記の問題点を解決して、迅速に長期番組情報を取得することが可能なディジタル通信システムを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
この発明では、
送信側において、少なくとも1つのトランスポートストリ−ムを特定トランスポートストリームとして、当該特定トランスポートストリームに、各サービスの長期番組情報を多重化するとともに、各サービスについて、長期番組情報が特定トランスポートストリームに多重化されているか否かの有無情報を、少なくとも一つのサービスを含む全てのトランスポートストリームに多重化し、
受信側において、受信中のトランスポートストリームに多重化されている各サービスの有無情報を取得して保持しておき、サービスについて長期番組情報が存在するか否かを得る必要がある場合には、予め保持されている有無情報により、当該サービスについての長期番組情報が存在するか否かを判断するようにしたこと
を特徴としている。
【0017】
長期番組情報の有無情報が特定トランスポートストリーム以外のトランスポートストリームにも多重化されているので、特定トランスポートストリーム以外のストリームを受信している時であっても、有無情報を取得することができる。特に、全てのトランスポートストリームに多重化しておけば、何れのトランスポートストリームを受信している時であっても、予め有無情報を取得して保持しておくことができる。したがって、長期番組情報が必要な場合には、トランスポートストリームを切り換えた後、保持されている有無情報に基づいて、直ちに長期番組情報の取得を行うことができる。よって、長期番組情報を迅速に得ることができる。
【0018】
さらに、サービスを含まない全てのトランスポートストリームにも有無情報を多重化することにより、このようなトランスポートストリームを受信している際にも有無情報の取得を行うことができる。
【0019】
この発明では、有無情報を、サービス・デスクリプション・テーブル(SDT)に記述するようにしている。いずれのトランスポートストリームにおいても、サービス・デスクリプション・テーブルは、全てのトランスポートストリームの全てのサービスについて記述する領域を有している。したがって、各サービスについての有無情報を容易に記述することができる。
【0020】
この発明では、有無情報を、ネットワーク・インフォメーション・テーブル(NIT)に記述するようにしている。いずれのトランスポートストリームにおいても、ネットワーク・インフォメーション・テーブルは、全てのトランスポートストリームの全てのサービスについて記述する領域(トランスポートストリーム毎の記述ループ)を有している。したがって、各サービスについての有無情報を容易に記述することができる。
【0021】
この発明において、受信側は、受信動作中、所定時間毎に全サービスについての有無情報を取得して保持するようにしている。したがって、有無情報を所定時間ごとに最新のものに更新することができる。
【0022】
この発明において、受信側は、電源オフの際に、全サービスについての有無情報を取得して保持するようにしている。電源オフという受聴者が受聴を行わなくなる際であるから、有無情報の取得に時間をかけることができる。
【0023】
この発明では、受信側において、取得した長期番組情報の検索を行うようにしている。したがって、ジャンルを限定した長期番組情報の表示等を迅速に行うことができる。
【0024】
この発明において「長期番組情報多重化手段」とは、トランスポートストリームに長期番組情報を多重化する手段をいう。実施形態においては、図1のSI生成部SG2、多重化部MX2がこれに該当する。
【0025】
「長期番組情報」とは、少なくとも現在番組の次に放送予定の番組よりも未来に放送される予定の番組についての情報を含む情報をいう。実施形態においては、図20のS EITがこれに該当する。ここで、「番組」とは、放送において送出する内容のインデックス情報をいうものである。コンピュータプログラムやデータ等を予定を定めて放送する場合などの放送予定も、ここにいう番組の概念に含まれる。
【0026】
「有無情報多重化手段」とは、有無情報をトランスポートストリームに多重化する手段をいう。実施形態においては、図1のSI生成部SG1、SG3多重化部MX1、MX3がこれに該当する。
【0027】
「有無情報」とは、サービスについての長期番組情報が、特定トランスポートストリームに多重化されているか否かを示す情報である。実施形態においては、図14、図15、図16のdescriptors()がこれに該当する。また、図15のEIT
Schedule Flagもこれに該当する。
【0028】
「特定トランスポートストリーム」とは、長期番組情報を多重化しているトランスポートストリームをいう。実施形態においては、トランスポートストリームTS2がこれに該当する。また、実施形態では、特定トランスポートストリームは1つだけであるが、複数存在してもかまわない。
【0029】
「有無情報保持手段」とは、有無情報を取得して保持する手段をいう。実施形態においては、図8のCPU847(特にステップS34、S35、S36)、サービス情報管理メモリ842がこれに対応する。
【0030】
「長期番組情報取得手段」とは、有無情報に基づいて、サービスについての長期番組情報の有無を判断し、長期番組情報が存在するサービスについてのみ、長期番組情報の取得を行う手段をいう。実施形態においては、図8の、CPU847(特にステップS47、S48)がこれに該当する。
【0031】
「受信装置」とは、すくなくとも、複数のトランスポートストリームから所望のトランスポートストリームおよびサービスを選択的に受信することのできる装置をいい、いわゆるセットトップボックスやCRTを含んだ受像機等を含む概念である。
【0032】
「プログラムを記録した記録媒体」とは、CPUによって実行可能なプログラムを記録した、ROM、RAM、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM等の記録媒体をいう。また、プログラムは、CPUによって直接実行可能なものだけでなく、一旦インストールが必要なもの、圧縮されているもの、暗号化されているものも含まれる。
【0033】
【発明の実施の形態】
1.システムの全体構成
(1)送信装置
図1に、この発明の一実施形態によるディジタル放送システムにおける送信装置のブロック図を示す。図において、映像/音声データSVD11は、サービスSV11のコンテンツである。同様に、映像/音声データSVD12、SVD13、SVD14、SVD21、SVD22、SVD23、SVD24、SVD31、SVD32、SVD33、SVD34は、それぞれ、サービスSV12、SV13、SV14、SV21、SV22、SV23、SV24、SV31、SV32、SV33、SV34のコンテンツである。なお、サービスによっては、音声データだけがコンテンツとなる場合、映像だけがコンテンツとなる場合もある。
【0034】
映像/音声データSVD11は、エンコーダ部E11において、MPEG等により圧縮処理される。同様に、映像/音声データSVD12、SVD13、SVD14も、それぞれ、エンコーダ部E12、E13、E14において、圧縮処理される。これら圧縮されたデータは、多重化部MX1において、パケット化されて多重化され、トランスポートストリームTS1とされる。トランスポートストリームTS1は、変調部MD1において変調されて送信される。衛星放送の場合であれば、人工衛星を介して受信機に送られる。
【0035】
映像/音声データSVD21、SVD22、SVD23、SVD24についても、同様に、エンコーダ部E2において圧縮され、多重化部MX2において多重化された後、変調部MD2において変調されトランスポートストリームTS2として送信される。映像/音声データSVD31、SVD32、SVD33、SVD34についても、同様に、トランスポートストリームTS3として送信される。
【0036】
なお、SI生成部SG1は、ネットワークに関する情報(各トランスポートストリームの周波数、偏波面や各トランスポートストリームに多重化されるサービス名の情報など)、各トランスポートストリームに多重化されるサービスについての情報(長期番組情報の有無情報やサービス名など)、番組情報(各サービスにおける放送予定の番組名など)を受けて、これらに基づき、制御データを生成する。多重化部MX1は、映像/音声データの多重化を行う際に、SI生成部SG1によって生成された制御データも併せて多重化する。同様に、多重化部MX2、MX3は、それぞれ、SI生成部SG2、SG3によって生成された制御データも併せて多重化する。
【0037】
SI生成部SG2は、与えられた番組情報に基づいて、各サービスについての長期番組情報S EIT(Schedule Event information Table)を生成する。ただし、長期番組情報が必要でないサービスについては、これを生成しない。
【0038】
なお、長期番組情報S EIT(Schedule Event information Table)は、SI生成部SG2のみにおいて生成され、SI生成部SG1、SG3においては生成されない。したがって、トランスポートストリームTS2だけに各サービスの長期番組情報S EIT(Schedule Event information Table)が多重化される。すなわち、この実施形態においては、トランスポートストリームTS2が特定トランスポートストリームとなる。
【0039】
また、SI生成部SG2は、長期番組情報S EITを生成した際に、各サービスについて長期番組情報S EITが存在するか否かの有無情報を生成する。この有無情報も、制御データの一部として、多重化部MX2において多重化される。
【0040】
さらに、SI生成部SG2において生成された有無情報は、SI生成部SG1、SG3に与えられる。SI生成部SG1、SG3は、この有無情報を制御データの一部として、多重化部MX1、MX3において多重化する。このようにして、全てのトランスポートストリームに有無情報が多重化される。
【0041】
図1の実施形態においては、SI生成部SG2と多重化部MX2によって長期番組情報多重化手段が構成され、SI生成部SG1、SG3と多重化部MX1、MX3によって有無情報多重化手段が構成されている。なお、図1においては、1つのトランスポートストリームに4つのサービスが多重化されているが、3つ以下、5つ以上であってもよい。また、3つのトランスポートストリームTS1、TS2、TS3が示されているが、衛星放送では、より多くの(たとえば数十〜百個程度の)トランスポートストリームが生成される。
【0042】
(2)受信装置
図2に、この発明の一実施形態によるディジタル放送システムにおける受信装置のブロック図を示す。送信装置から、地上波としてあるいは衛星を介して送られてきた電波はアンテナ18において捕捉される。トランスポートストリーム選択部20は、周波数を選択して、1つのトランスポートストリームを選択的に受信する。サービス選択部22は、トランスポートストリームに多重化されている複数のサービスから、1つのサービスを選択して出力部24に与える。出力部24は、圧縮されているデータを解凍(伸張)して選択されたサービスの映像/音声を出力する。
【0043】
有無情報保持部26は、トランスポートストリームに多重化されている長期番組情報S EITの有無を示す有無情報をトランスポートストリームから分離・取得し、保持する。これにより、全てのサービスそれぞれについて、長期番組情報S EITが、特定トランスポートストリーム(ここではトランスポートストリームTS2)において多重化されているか否かを知ることができる。なお、前述のように、有無情報は全てのトランスポートストリームに多重化されているので、何れのサービスを受信していても、有無情報を取得して保持しておくことができる。
【0044】
長期番組情報取得部28は、予め有無情報保持部26に保持されている有無情報に基づいて、各サービスについて長期番組情報があるか否かを判断する。その後、特定トランスポートストリームを受信し、長期番組情報S EITが存在するサービスについてのみ、長期番組情報を取得する処理を行う。得られた長期番組情報は、検索等の処理を行った後に出力部24において表示される。
【0045】
上記のように、この実施形態における通信システムでは、全てのトランスポートストリームに、各サービスごとの長期番組情報の有無情報を多重化しており、受信装置において、予め、この有無情報を保持しておくことができるので、長期番組情報の取得処理を迅速に行うことができる。
【0046】
この実施形態においては、有無情報保持部26によって有無情報保持手段が構成され、長期番組情報取得部28によって長期番組情報取得手段が構成されている。
【0047】
2.送信装置の詳細
図3に、図1の送信装置のトランスポートストリームTS1を生成する部分の詳細を示す。サービスSV11の映像データSVD11(V)は、映像エンコーダ30においてデータ圧縮される。圧縮された映像データは、ES(エレメンタリーストリーム)として、FIFOメモリ(ファーストイン・ファーストアウト・メモリ)34に可変レートにて与えられる。FIFOメモリ34は、映像データのESを、固定レートにてパケット化回路38に出力する。
【0048】
パケット化回路38は、映像データのESを固定長のパケットに区切り(たとえば、188バイト長のパケット)、PES(パケット化されたES)としてメモリ42に書き込む。この際、各PESにはパケット識別子(PID)が付されて書き込まれる。
【0049】
映像データと同じようにして、サービスSV11の音声データSVD11(A)は、音声エンコーダ32によりデータ圧縮され、FIFOメモリ36に与えられる。さらに、パケット化回路40において固定長のパケットにされ、PIDを付してメモリ44に書き込まれる。
【0050】
パケット多重コントローラ46は、メモリ42、44に記憶されている映像データおよび音声データのPESをエンコード速度に応じて読み出す。また、映像データおよび音声データのPESに付されているPIDをPMT生成回路48に与える。PMT生成回路48は、これを受けて、制御データPMT(Program Map Table)を生成する。制御データPMTには、当該サービスの映像データ、音声データのPESに付されたPIDが記述される。パケット多重コントローラ46は、読み出した映像データ、音声データのPESおよびこれらの制御データPMTを、時分割多重化してメモリ50に書き込む。
【0051】
上記のようにして、サービスSV11についての時分割多重化データが生成され、メモリ50に記憶される。
【0052】
他のサービスSV12、SV13、SV14についても同じように、エンコーダE12、E13、E14によって、映像データSVD12(V)、音声データSVD12(A)、映像データSVD13(V)、音声データSVD13(A)、映像データSVD14(V)、音声データSVD14(A)が圧縮される。圧縮されたESは、パケット化部PT12、PT13、PT14によってパケット化されてPESとされ、映像・音声多重化部AVMX12、AVMX13、AVMX14によって時分割多重化される。サービスSV12、SV13、SV14についての時分割多重化データは、それぞれ、メモリ52、54、56に記憶される。
【0053】
なお、エンコーダE12、E13、E14の構成は、エンコーダE11と同様である。パケット化部PT12、PT13、PT14の構成は、パケット化部PT11と同様である。映像・音声多重化部AVMX12、AVMX13、AVMX14の構成は、映像・音声多重化部AVMX11と同様である。
【0054】
SI生成回路SG1は、ネットワーク情報、サービス情報、番組情報などを受けて、制御データNIT、SDT、P EIT、F EITなどを生成する。制御データP EIT(Present EIT)は、現在放送中の番組を示す情報であり、各サービスごとに生成される。また、制御データF EIT(Following EIT)は、現在放送中の番組の次に放送予定の番組を示す情報であり、各サービスごとに生成される。SI生成回路SG1は、このトランスポートストリームTS1に多重化されるサービスSV11〜SV14についての制御データP EIT11〜P
EIT14、F EIT11〜F EIT14を生成する。
【0055】
制御データSDT(サービス・ディスクリプション・テーブル、Service Description Table)は、各トランスポートストリームに多重化されている各サービスについてその詳細を記述した情報であり、各トランスポートストリームごとに生成される。つまり、SI生成回路SG1では、トランスポートストリームTS1についての制御データSDT1、トランスポートストリームTS2についての制御データSDT2、トランスポートストリームTS3についての制御データSDT3が生成される。他のSI生成回路SG2、SG3(図1参照)においても、制御データSDT1、SDT2、SDT3が生成される。
【0056】
制御データNIT(ネットワーク・インフォメーション・テーブル、Network Information Table)は、各トランスポートストリームTS1〜TS3の周波数、偏波面等の情報や各トランスポートストリームに多重化されているサービスID等の情報を記述している。制御データNITにより、何れのサービスが、どのトランスポートストリームに多重化されているかを知ることができる。また、制御NITには、何れのトランスポートストリームが特定トランスポートストリーム(長期番組情報を多重化しているトランスポートストリーム)であるかも記述されている。
【0057】
これらの制御データNIT、SDT、P EIT、F EITは、パケット化回路PTSにおいてパケット化される。さらに、PIDが付されて、メモリ58に記憶される。
【0058】
総合パケット多重コントローラ60は、メモリ50、52、54、56、58に記憶されているPESおよび制御データのパケットを読み出す。また、各パケットに付されているPIDをPAT生成回路62に与える。PAT生成回路62は、これを受けて、制御データPAT(Program Association Table)を生成する。制御データPATには、各サービスのPESのパケット識別子(PID)を記述した制御データPMT(PMT生成回路48参照)のPIDが記述される。総合パケット多重コントローラ60は、読み出した各サービスのPESおよびこれらの制御データPATを、時分割多重化して端子64から出力する。
【0059】
上記のようにして、トランスポートストリームTS1が生成される。なお、トランスポートストリームTS2、TS3についても、図3と同様の構成によって生成が行われる。ただし、トランスポートストリームTS2は、長期番組情報を多重化する特定トランスポートストリームであるため、SI生成回路SG2は、必要なサービスについての長期番組情報S EITを生成する。また、SI生成回路SG2によって生成される制御データSDTの記述は、他のSI生成回路SG1、SG3によって生成される制御データの記述と一部異なっている。この点については、後述する。
【0060】
図4に、上記のようにして生成されたトランスポートストリームTS1、TS2、TS3のそれぞれに多重化されているデータを示す。ES(A)が音声データ、ES(V)が映像データである。NIT、PAT、PMT、SDT、P EIT、F EIT、S EITは、上記において説明した制御データである。これらのうち、長期番組情報S EITは、特定トランスポートストリームTS2だけに多重化されていることが、図より明らかである。
【0061】
図5に、SI生成回路によって生成される制御データNITのデータ構造を示す。上段302に示すデータを記述するため、下段303に示すビット数が割り当てられている。「table id」304には、この制御データがNITであることを識別するための識別子を記述する。「network id」305は、このネットワークを識別するための識別子である。「descriptor tag」「descriptor length」「descriptor()」306には、長期番組情報S EITが多重化される特定トランスポートストリームが何れであるかが、領域307に記述される。「Transport stream毎の記述」308は、トランスポートストリームの数K(ここでは3個)だけ繰り返して記述領域が確保されている。i=0:i<K:i++がこれを表している。「Transport stream毎の記述」308には、サービスリスト・ディスクリプターの領域(図示せず)において、各トランスポートストリームに多重化されるサービスID(識別子、有効なサービスを特定するためのもの)の情報が記述される。
【0062】
図4に示すように、制御データNITは、各トランスポートTS1、TS2、TS3において、同じ内容のものが多重化されて伝送される。
【0063】
図6に、SI生成回路によって生成される制御データSDTのデータ構造を示す。上段202に示すデータを記述するため、下段203に示すビット数が割り当てられている。「table id」204には、この制御データがSDTであることを示すための識別子が記述される。制御データSDTは、各トランスポートストリームTS1、TS2、TS3のそれぞれに関して、SDT1、SDT2、SDT3として生成される。各トランスポートストリームには、自分のトランスポートストリームに関するSDTだけでなく、他のトランスポートストリームに関するSDTも多重化される(図4参照)。「table id」204には、自分のトランスポートストリームに関するSDTの場合には「0x42」が記述され、他のトランスポートストリームに関するSDTの場合には「0x46」が記述される。
【0064】
「transport stream id」205には、このSDTに記述されているサービスが多重化されているトランスポートストリームの識別子が記述される。制御データSDT1であればトランスポートストリームTS1の識別子が、制御データSDT2であればトランスポートストリームTS2の識別子が、制御データSDT3であればトランスポートストリームTS3の識別子が記述される。なお、「service id」206〜「descripters()」209の記述は、サービスの数N(ここでは4)だけ繰り返される。i=0:i<N:i++の記述がこれを表している。
【0065】
「service id」206は、サービスの識別子である。「EIT schedule flag」208には、このSDTが多重化されるトランスポートストリームが特定トランスポートストリーム(ここではTS2)であれば、各サービスについての長期番組情報の有無を示すフラグ(有無情報)が記述される。すなわち、トランスポートストリームTS2に多重化されているSDT1、SDT2、SDT3では、長期番組情報が有る(多重化されている)場合には「EIT schedule flag」208に「1」が、無い(多重化されていない)場合には「EIT schedule flag」208に「0」が、サービス毎に記述される。
【0066】
また、このSDTが多重化されているトランスポートストリームが特定トランスポートストリームでなければ(ここではTS1、TS3)、「EIT schedule flag」208には、長期番組情報の有無に拘わらず全てのサービスにおいて「0」が記述される。すなわち、トランスポートストリームTS1、TS3に多重化されているSDT1、SDT2、SDT3では、「EIT schedule flag」208にすべて「0」が記述される。
【0067】
なお、特定トランスポートストリームTS2のSI生成回路SG2は、各サービスについての長期番組情報の有無を示すフラグを、他のSI生成回路SG1、SG3に送出する。これを受けて、SI生成回路SG1、SG3は、このフラグを、制御データSDT1、SDT2、SDT3の「descripters()」209に記述する。したがって、トランスポートストリームTS1、TS3のSDT1、SDT2、SDT3においても、この「descripters()」209の記述を見ることにより、各サービスについての長期番組情報の有無を知ることができる。
【0068】
図7に、SI生成回路SGによる制御データSDT生成処理を、フローチャートにて示す。まず、ステップS1において、入力されたサービス情報を基に、当該トランスポートストリームのSDTセクションを生成する。次に、サービスについて、長期番組情報の有無情報を取得する(ステップS2)。取得した有無情報を「descriptors()」に記述する(ステップS3)。
【0069】
次に、当該トランスポートストリーム中の全てのサービスについてステップS2、S3を実行したかを判断する(ステップS4)。未処理のサービスが有れば、次のサービスを対象として(ステップS5)、ステップS2以下を繰り返し実行する。
【0070】
当該トランスポートストリーム中の全てのサービスについて処理が終了すれば、当該トランスポートストリームに関する1つのSDTの生成が終了する。次に、ステップS6に進み、全てのトランスポートストリームについてSDTを生成したかどうかを判断する。未処理のトランスポートストリームが有れば、次のトランスポートストリームを対象として、ステップS1以下を繰り返し実行する。
【0071】
以上のようにして、各トランスポートストリームに対応するSDTが生成される。
【0072】
図14、図15、図16に、図4のように多重化されている場合において、上記の処理によって生成されたSDTの記述を抜粋して示す。図14にはトランスポートストリームTS1に多重化されるSDT1、SDT2、SDT3を示し、図15にはトランスポートストリームTS2に多重化されるSDT1、SDT2、SDT3を示し、図16にはトランスポートストリームTS3に多重化されるSDT1、SDT2、SDT3を示す。
【0073】
なお、上記実施形態では、SI生成回路SG2によって有無情報を生成し、他のSI生成回路SG1、SG3に与えているが、他の回路やソフトウエアによって有無情報を生成し、SI生成回路SG1、SG2、SG3に与えるようにしてもよい。
【0074】
なお、特定トランスポートストリームTS2に多重化されるSDT1、SDT2、SDT3の「descripters()」209には、有無情報を記述しておかなくともよいが、受信処理の簡素化を考慮すれば、これらにも有無情報を記述しておくことが好ましい。
【0075】
また、上記の実施形態においては、「descripters()」209に有無情報を記述するようにしているが、サービスと対応づけて記述できる領域で有れば、他の領域に記述してもよい。たとえば、「reserved future use」207に記述するようにしてもよい。あるいは、図5に示す制御データNITの領域308中の「descriptors()」309に記述するようにしてもよい。領域308は、トランスポートストリーム毎に繰り返して記述される領域(トランスポート毎の記述ループ)であり、「descriptors()」309は、さらに、サービス毎に繰り返して記述される領域である。
【0076】
図20に、SI生成回路SG2によって生成される長期番組情報S EITのデータ構造を示す。上段2002に示すデータを記述するため、下段2003に示すビット数が割り当てられている。「table id」2004には、この制御データがS EITであることを示すための識別子が記述される。S EITは、各サービス毎に生成されるので、「service id」2005には、このS EITによって長期番組情報が記述されているサービスのIDが記述される。「event id」2006〜「descriptor()」2009までは、イベント(つまり番組)毎に繰り返して領域が確保されている。したがって、イベントID(event id)によって識別される番組毎に、その開始時刻「start time」2007、継続時間「duration」2008、内容の詳細「descriptor()」2009が記述されている。なお、「descriptor()」2009には、その番組のジャンル(たとえば、洋画、邦画、スポーツなど)も記述される。
【0077】
なお、この実施形態においては、1つのS EITに4日分の番組情報を記述するようにしている。また、1つのサービスについて、1週間先の番組情報までS EITに記述するようにしている。したがって、1つのサービスに対して、本日を含む4日分の番組情報を記述したS EIT、その後の4日分のS EITというように、複数のS EITが生成される。これらのS EITには、異なるテーブルID(table id)が付されて、区別できるようになっている。
【0078】
図4においては、1つのサービスに対して、1つのS EITのみが示されているが、実際には、テーブルID(table id)の異なる複数のS EITが多重化されている。
【0079】
なお、上記実施形態では、サービスの含まれるトランスポートストリームの全てに有無情報を多重化している。しかしながら、全トランスポートストリームでなくとも、特定トランスポートストリーム以外の1以上のトランスポートストリームに有無情報を多重化するようにしてもよい。また、サービスを含むトランスポートストリーム全てだけでなく、サービスを含まないトランスポートストリーム(たとえば、制御データのみを含むトランスポートストリーム)の全てについても有無情報を多重化するようにしてもよい。
【0080】
3.受信装置の詳細
図8に、図2の受信装置をCPUを用いて実現した場合のハードウエア構成を示す。アンテナ831は、送信装置からの電波を捕捉して、チューナー832に供給する。チューナー832は、CPU847の指示に従って、1つのトランスポートストリームを選択的に受信する。さらに、チューナー832は、復調処理や誤り訂正処理などを行い、TSデコーダ841に出力する。
【0081】
TSデコーダ841は、トランスポートストリームに多重化されている複数のサービス(映像および音声データ)から、CPU847によってセットされたパケット識別子(PID)にしたがって、所望のサービスの映像・音声データを分離する。分離された映像データは、FIFOメモリ836を介して、映像デコーダ837に与えられ、圧縮が解かれる(解凍もしくは伸張される)。映像データは、D/A変換器838によってアナログ信号にされ、画面合成回路839を経て、液晶ディスプレイやCRTなどのモニタ840において表示される。なお、ビデオRAM(VRAM)846に書き込まれた文字データは、D/A変換器845によってアナログ信号に変換され、画面合成回路839に与えられる。これにより、文字等を映像の上に重ねて表示することができる。
【0082】
分離された音声データは、FIFOメモリ833を介して、音声デコーダに与えられ、圧縮が解かれる(伸張される)。音声データは、スピーカ835において、音声として出力される。
【0083】
サービス情報管理メモリ842には、サービスの一覧や各サービスについての長期番組情報の有無情報が記録される。また、番組情報メモリ843には、取得した長期番組情報が記録される。
【0084】
リモコン操作部849は、視聴者の視聴開始、サービスの指定、長期番組情報の表示指令や番組情報のジャンル検索の指示などを受け付け、受信装置本体のマイクロコンピュータ848に出力する。
【0085】
CPU847は、チューナ832、TSデコーダ841などを制御するものである。制御のためのプログラムは、メモリ844に記録されている。なお、この制御プログラムは、単独で機能するプログラムであってもよいが、オペレーティングシステム(マイクロソフト社のwindows CEなど)を前提として機能するものであってもよい。また、メモリ844には、図9に示すように、各種バッファとしての領域が設けられている。
【0086】
図10に、メモリ844に記録された受信基本処理のプログラムのフローチャートを示す。以下、トランスポートストリームTS3のサービスSV33を受信しているとして、トランスポートストリームTS1のサービスSV12に切り換える旨の指令がリモコン操作部849から出されたものとして説明を行う。なお、各トランスポートストリームTS1、TS2、TS3には、図4に示すように、制御データおよび画像・音声データが多重化されているものとする。
【0087】
リモコン操作部849からのサービス切換の指令は、マイクロコンピュータ848に与えられ、メモリ844のリモコン入力バッファ906(図9参照)に保持される。また、この指令はCPU847に与えられる。
【0088】
まず、CPU847は、TSデコーダ841に制御データPAT3のPIDをセットして、現在受信中のトランスポートストリームのPAT3を取得し、メモリ844のPAT受信バッファ902に保持する(ステップS11)。次に、取得したPAT3に、所望のサービスSV12が記述されているかどうかを判断する。すなわち、現在受信中のトランスポートストリームTS3に、所望のサービスSV12が多重化されているかどうかを判断する(ステップS12)。ここでは、トランスポートストリームTS3にサービスSV12は多重化されていないので、ステップS13に進む。
【0089】
ステップS13においては、取得したPAT3の記述に基づいて、NITのPIDを得る。次に、CPU847は、TSデコーダ841にNITのPIDをセットして、トランスポートストリームTS3に多重化されている制御データNITを取り込み、メモリ844のNIT受信バッファ901に記録する(ステップS14)。制御データNITには、各トランスポートストリームに多重化されているサービスIDが記述されている。CPU847は、これを受けて、受信を希望するサービスSV12がトランスポートストリームTS1に多重化されていることを知る(ステップS15)。
【0090】
次に、CPU847は、チューナー832を制御して、トランスポートストリームTS1を受信させる(ステップS16)。さらに、制御データPAT1(図4参照)のパケットIDをTSデコーダ841にセットして、制御データPAT1を取り込み、メモリ844のPAT受信バッファに記録する(ステップS17)。この制御データPAT1には、さらに、制御データPMT11、PMT12、PMT13、PMT14のパケットIDが記述されている。
【0091】
CPU847は、取り込んだ制御データPAT1より、受信を希望するサービスSV12の制御データPMT12のパケットIDを得る(ステップS18)。次に、CPU847は、このパケットIDをTSデコーダ841にセットし、制御データPMT12を取り込む(ステップS19)。さらに、CPU847は、この制御データPMT12より、受信を希望するサービスSV12の画像データES(A)12、音声データES(V)12のパケットIDを得る(ステップS20)。
【0092】
次に、CPU847は、このパケットIDをTSデコーダ841にセットする。これにより、TSデコーダ841からは、サービスSV12の画像データES(A)12、音声データES(V)12が出力され、FIFOメモリ836、833に与えられる。上記のようにして、受信するサービスの切換が行われる。
【0093】
図11に、メモリ844に記録された有無情報記録処理プログラムのフローチャートを示す。この有無情報記録処理プログラムは、受信基本処理を行っている間に、タイマ割り込み等により、所定時間毎(たとえば2時間毎)に繰り返し実行されるものである。
【0094】
ここでは、現在、トランスポートストリームTS1のサービスSV12を受信しているものとして説明を行う。まず、CPU847は、メモリ844のPAT受信バッファ902に記録された制御データPATを解析し、現在受信中のトランスポートストリームがTS1であることを認識する。つまり、トランスポートストリームのIDを認識する(ステップS31)。なお、有無情報記録処理は、受信基本処理の最中に行われるので、メモリ844には、制御データPAT、NITが記録されている。
【0095】
次に、CPU847は、メモリ844のNIT受信バッファ901に記録された制御データNITを解析し、サービスの一覧と当該サービスが多重化されているトランスポートストリームとをサービス情報管理表としてサービス情報管理メモリ842に記録する。図12に、サービス情報管理表を示す。サービス、トランスポートストリームともにそのIDを記録している。
【0096】
次に、CPU847は、サービス情報管理表の最初に現れるトランスポートストリームIDを取得し(ここでは0x0001、つまりTS1)これが、現在受信中のトランスポートストリームIDと等しいかどうかを判断する(ステップS33)。現在、トランスポートストリームTS1を受信中であり、両者は等しいのでステップS34に進む。
【0097】
ステップS34においては、SDTのPIDをTSデコーダ841にセットするとともに、table id=「0x42」、サービスID(service id)=「0x0011」を、TSデコーダ841にセットする。これにより、トランスポートストリームTS1のSDT1を取得して、メモリ844のSDT受信バッファ904に記録することができる。CPU847は、次に、取得した制御データSDT1(図14参照)の「descriptors()」領域を解析して、有無情報を取得する。この「descriptors()」領域には、トランスポートストリームTS1に多重化されているサービスSV11〜SV14の有無情報が記述されている。これをサービス情報管理表のサービスSV11〜SV14の有無情報の欄に記録する(ステップS36)。
【0098】
次に、全てのトランスポートストリーム(つまり全てのサービス)について処理を行ったかどうかを判断する(ステップS37)。まだであれば、次のトランスポートストリームを対象として、ステップS33以下を繰り返し実行する(ステップS38)。
【0099】
なお、対象とするサービスのトランスポートストリームID(transport stream id)が、現在受信中のトランスポートストリームID(transport stream id)と等しくない場合には、ステップS35において、テーブルID(table id)は「0x46」とセットする。これにより、SDTを取得することができる。
【0100】
全てのトランスポートストリームについて処理を終了すると、有無情報記録処理を終了する。このようにして得られた、サービス情報管理表を図13に示す。
【0101】
上記では、トランスポートストリーム毎に記録処理を行う場合について説明したが、サービス毎に記録処理を行ってもよい。
【0102】
なお、この実施形態においては、所定時間毎に有無情報記録処理を行うようにしているが、特定の制御データを受信する毎に有無情報記録処理を行うようにしてもよい。また、CPUの処理に余裕ができた際に有無情報記録処理を行うようにしてもよい。
【0103】
さらには、受信装置の電源をオフにする命令がリモコン操作部849から与えられた際に、電源をオフにする前にこの有無情報記録処理を行うようにしてもよい。
【0104】
図17に、メモリ844に記録されたジャンル検索処理プログラムのフローチャートを示す。ここで、ジャンル検索処理とは、長期番組情報に含まれるジャンル情報に基づいて、所望のジャンルの番組みを選択して表示する処理である。以下では、現在、トランスポートストリームTS1のサービスSV12を受信している状態において、ジャンル検索を行うものとして説明を進める。
【0105】
リモコン操作部849から、ジャンル検索の指令が出されると、マイクロコンピュータ848はこれをCPU847に伝える。CPU847は、これを受けて、図17のジャンル検索処理を開始する。
【0106】
まず、CPU847は、ステップS41において、ジャンル検索画面のデータをVRAM846に書き込む。これにより、モニタ840には、図18に示すようなジャンル検索画面が表示される。受聴者は、リモコン操作部849のカーソルキー(矢印キー)を操作することにより、検索したいジャンルを選択することができる。なお、図18では、ジャンルとして洋画が選択された状態となっている。この状態にて、リモコン操作部849の決定ボタン(検索実行指令)が押されると、洋画のジャンルに属する番組の検索実行命令が、マイクロコンピュータ848に与えられる。CPU847は、マイクロコンピュータ848から検索実行命令を受けて、ステップS43以下に進む。
【0107】
CPU847は、メモリ844のNIT受信バッファ901に記憶されているNITを解析し、長期番組情報S EITがいずれのトランスポートストリームに多重化されているかを認識する。次に、CPU847は、現在受信中のトランスポートストリーム(ここではTS1)が、長期番組情報S EITを多重化している特定トランスポートストリーム(ここではTS2)と一致するか否かを判断する(ステップS44)。ここでは、一致しないので、チューナー832を制御し、特定トランスポートストリームTS2を受信する(ステップS45)。
【0108】
次に、サービス情報管理表(図13)の1行目のサービスについて、有無情報の内容を取得する(ステップS46)。1行目は、サービスSV11についての記述であり、有無情報は「有」である。これにより、このサービスSV11についての長期番組情報S EITが、多重化されていることを知ることができる。
【0109】
この実施形態では、有無情報を予めサービス情報管理表に記録しているので、必要なときに、直ちにメモり842から読み出して用いることができる。よって、処理を迅速化することができる。
【0110】
有無情報が「有」の場合には、ステップS47からステップS48に進み、TSデコーダ841にS EITのPIDをセットするとともに、TSデコーダ841にテーブルID(table id)およびサービスID(service id)をセットする。これにより、TSデコーダ84は、S EITのうち、table idおよびservice idの合致するS EITのみを取得する。
【0111】
service idとしては、現在対象としているサービスSV11のサービスID(service id)、つまり「0x0011」をセットする。また、1つのS EIT11には、4日分の長期番組情報が記述されており、これを複数送出することによって1週間分の長期番組情報が取得できるようになっている。したがって、これら複数のS EIT11のテーブルID(table id)をセットして、1週間分の長期番組情報を得る。
【0112】
CPU847は、取得したS EITの記述を解析して、当該サービスについての番組情報を、図21に示すように番組情報表に書き込む。番組情報表には、サービスID、イベントID、放送日、放送時間、番組名、ジャンル等が記述され、番組情報メモリ843に記憶される。
【0113】
上記のように、有無情報「有」のサービスについては、ステップS48において、S EITを取得して、その内容を番組情報表に記録する。その後、ステップS49に進む。
【0114】
なお、有無情報「無」のサービスについては、ステップS48の取得処理を行わずに、ステップS49に進む。
【0115】
ステップS49においては、全てのサービスについて処理を行ったか否かを判断する。サービス情報管理表において未処理のサービスが残っていれば、次の行のサービスを対象として、ステップS46以下を繰り返し実行する(ステップS50)。
【0116】
以上の処理を繰り返し、全てのサービスについての処理を終えると、図21に示すような番組情報表が番組情報メモリ843に記録される。次に、CPU847は、検索内容の指示に従って、番組情報表のジャンル情報の検索を行う。ここでは、ジャンルが洋画となっている番組のみを抽出する。CPU847は、このようにして抽出した番組情報をVRAM846に書き込んで、モニタ840に表示する。
【0117】
図19に、検索結果の表示画面を示す。受聴者は、この検索結果表示画面において、リモコン操作部849によって番組を選択することにより、当該番組の受信を予約することができる。すなわち、CPU847は、選択された番組のサービスID、イベントID、放送日、放送開始時間等をメモり844に保持することによって、受信装置のカレンダーおよび時計を参照して、当該時刻に当該番組を自動的に受信する。
【0118】
なお、上記では、有無情報や長期番組情報が必要となる場合として、ジャンル検索を例として説明した。しかし、ジャンル検索以外に、放送日による検索、放送時間による検索、サービスによる検索などS EITの記述内容に基づく検索を行う場合一般に適用することができる。
【0119】
また、検索だけでなく、全てのサービスについての長期番組情報を表示したい場合にも適用することができ、処理の迅速化を図ることができる。いずれにしても、この実施形態によれば、有無情報が必要となる場合の処理を迅速化できる。
【0120】
上記実施形態では、リモコン操作部849からジャンル検索の指令が出される毎に、有無情報を参照して、S EITの取得を行って番組情報表を番組情報メモリ843に記録するようにしている。しかしながら、一旦、番組情報表を記憶した後に、リモコン操作部849からジャンル検索指令が出された場合には、すでに番組情報メモリ843に記録された番組情報を用いて検索することにより、検索結果の表示を迅速にすることができる。この場合、たとえば、受信装置の電源をオフにする指令が与えられる毎に、S EITの取得処理を行って、番組情報表の更新を行うようにすればよい。あるいは、S EITが多重化されているトランスポートストリームを受信している際に、所定のタイミング(たとえば定期的に)にて、S EITの取得処理を行って、番組情報表の更新を行うようにしてもよい。
【0121】
上記各実施形態においては、一方向性の無線放送に適用した場合について説明したが、双方向性の放送にも適用することができる。また、無線放送だけでなく、ケーブルテレビ等の有線放送にも同じように適用することができる。
【0122】
さらに、上記実施形態では、映像・音声データを放送する場合について説明したが、コンピュータプログラムやデータを放送する場合であっても、番組の概念があるものについては適用することができる。
【0123】
上記実施形態においては、図2の各ブロックの機能をCPUを用いて実現したが、その一部または全部をハードウエアロジックによって構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による送信装置のブロック図である。
【図2】この発明の一実施形態による受信装置のブロック図である。
【図3】送信装置の詳細を示すブロック図である。
【図4】各トランスポートストリームに多重化される映像・音声データ、制御データを示す図である。
【図5】制御データNITのデータ構造を示す図である。
【図6】制御データSDTのデータ構造を示す図である。
【図7】制御データSDTの生成処理を示すフローチャートである。
【図8】受信装置のハードウエア構成を示す図である。
【図9】メモリ844に設けられたバッファを示す図である。
【図10】受信基本処理のフローチャートである。
【図11】有無情報記録処理のフローチャートである。
【図12】サービス情報管理表を示す図である。
【図13】サービス情報管理表を示す図である。
【図14】トランスポートストリームTS1に多重化されているSDTの記述内容を示す図である。
【図15】トランスポートストリームTS2に多重化されているSDTの記述内容を示す図である。
【図16】トランスポートストリームTS3に多重化されているSDTの記述内容を示す図である。
【図17】ジャンル検索処理のフローチャートを示す図である。
【図18】ジャンル検索画面を示す図である。
【図19】検索結果を示す画面である。
【図20】長期番組情報S EITのデータ構造を示す図である。
【図21】番組情報表を示す図である。
【図22】衛星放送の概念を示す図である。
【図23】各トランスポートストリームに多重化されるデータを示す図である。
【図24】パケット化を模式的に示す図である。
【図25】受信装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
E1、E2、E3・・・エンコーダ部
MX1、MX2、MX3・・・多重化部
SG1、SG2、SG3・・・SI生成部
20・・・トランスポートストリーム選択部
22・・・サービス選択部
24・・・出力部
26・・・有無情報保持部
28・・・長期番組情報取得部
Claims (8)
- 少なくとも一つのサービスを含むトランスポートストリームを複数送信する(a)送信装置と、これらトランスポートストリームに含まれる複数のサービスの中からサービスを選択して受信する(b)受信装置とを備えた放送システムにおいて、
前記送信装置は、
(a1)少なくとも1つのトランスポートストリ−ムを特定トランスポートストリームとして、当該特定トランスポートストリームに、サービスにおいて現在の番組の次に放送される番組よりも将来に放送される番組の情報を少なくとも含む長期番組情報を多重化する長期番組情報多重化手段と、
(a2)前記各サービスに関し、前記長期番組情報が前記特定トランスポートストリームに多重化されているか否かの有無情報を、全てのトランスポートストリームに多重化する有無情報多重化手段と、を備えており、
前記受信装置は、
(b1)受信中のトランスポートストリームに多重化されている前記各サービスに関する前記有無情報を取得して保持する有無情報保持手段と、
(b2)サービスについて長期番組情報を得る必要がある場合には、前記有無情報保持手段に保持されている前記有無情報により、当該サービスについての前記長期番組情報が存在するか否かを判断し、前記長期番組情報が存在するものについて前記長期番組情報の取得処理を行う長期番組情報取得手段と、
を備えていることを特徴とする放送システム。 - 請求項1の放送システムにおいて、
前記有無情報多重化手段は、さらに、サービスを含まないトランスポートストリームにも、前記有無情報を多重化することを特徴とするもの。 - 送信装置が、少なくとも一つのサービスを含むトランスポートストリームを複数送信し、受信装置が、これらトランスポートストリームに含まれる複数のサービスの中からサービスを選択して受信する放送方法において、
前記送信装置は、
少なくとも1つのトランスポートストリ−ムを特定トランスポートストリームとして、当該特定トランスポートストリームに、サービスにおいて現在の番組の次に放送される番組よりも将来に放送される番組の情報を少なくとも含む長期番組情報を多重化するとともに、
前記各サービスに関し、前記長期番組情報が前記特定トランスポートストリームに多重化されているか否かの有無情報を、全てのトランスポートストリームに多重化し、
前記受信装置は、
受信中のトランスポートストリームに多重化されている前記各サービスに関する前記有無情報を取得して保持しておき、
サービスについて前記長期番組情報を取得する必要がある場合には、予め保持されている前記有無情報により、当該サービスについての前記長期番組情報が存在するか否かを判断し、前記長期番組情報が存在するものについて長期番組情報の取得処理を行うこと
を特徴とするディジタル放送方法。 - 請求項3の放送方法において、
前記送信装置は、前記有無情報を、さらに、サービスを含まない全てのトランスポートストリームにも多重化することを特徴とするもの。 - 少なくとも一つのサービスを含むトランスポートストリームを複数送信する送信装置において、
少なくとも1つのトランスポートストリ−ムを特定トランスポートストリームとして、当該特定トランスポートストリームに、サービスにおいて現在の番組の次に放送される番組よりも将来に放送される番組の情報を少なくとも含む長期番組情報を多重化する長期番組情報多重化手段と、
前記各サービスに関し、前記長期番組情報が前記特定トランスポートストリームに多重化されているか否かの有無情報を、全てのトランスポートストリームに多重化する有無情報多重化手段と、
を備えた送信装置。 - 請求項5の送信装置において、
前記有無情報多重化手段は、さらに、サービスを含まない全てのトランスポートストリームにも、前記有無情報を多重化することを特徴とするもの。 - 送信装置が、少なくとも一つのサービスを含むトランスポートストリームを複数送信する通信方法において、
前記送信装置は、
少なくとも1つのトランスポートストリ−ムを特定トランスポートストリームとして、当該特定トランスポートストリームに、サービスにおいて現在の番組の次に放送される番組よりも将来に放送される番組の情報を少なくとも含む長期番組情報を多重化するとともに、
前記各サービスに関し、前記長期番組情報が前記特定トランスポートストリームに多重化されているか否かの有無情報を、全てのトランスポートストリームに多重化すること、
を特徴とする送信方法。 - 請求項7の送信方法において、
前記送信装置は、前記有無情報を、さらに、サービスを含まない全てのトランスポートストリームにも多重化することを特徴とする送信方法。
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