以下、本発明に係る任意ファイルを蓄積(ダウンロード)配信・受信する放送サービスの放送システムの一実施例について説明する。本実施例の放送システムの説明から、本発明に係る送信装置及び受信装置の構成も明らかになる。
[システム構成]
図1は、本発明による一実施例の放送システムの概略構成図である。放送局側送信装置1は、蓄積コンテンツの映像用データ、音声用データ、データ放送のデータ、及び字幕用データ等の各データをデジタル放送で受信装置(図1では、車載・ポータブル受信端末2−1,携帯電話機2−2を例示するが、以下の説明では、包括的に「受信装置2」として説明する)に向けて配信する装置であり、特に、EPGを構成する放送SIの情報の中に、具体例としてEIT内に新規の記述子である「ファイル伝送記述子」を追加して拡張EITを構成して伝送する装置である。「ファイル伝送記述子」の詳細については後述する。
受信装置2は、この「ファイル伝送記述子」によって、如何なるコンテンツファイルが配信されてきたのかについて把握し、コンテンツファイルの蓄積予約を管理するための「蓄積予約管理表」及び、コンテンツファイルの蓄積の有無を管理するための「蓄積コンテンツ管理表」を生成して、配信される蓄積コンテンツの蓄積をユーザの指定により、又は自動設定に基づき管理する装置である。
詳細に後述するが、「ファイル伝送記述子(file_delivery_descriptor)」は、標準化機関が設定する当該ファイル伝送記述子を利用する機関を特定するための「記述子タグ情報(descriptor_tag)」と、当該ファイル伝送記述子の長さを表す「記述子長(descriptor_length)」と、受信装置側でコンテンツファイルの内容を識別させるための「ファイル種別情報(file_type_value)」と、上記以外の任意の情報を記述するための「リザーブ(reserved_future_use)」などを含む。本実施例では、放送局側送信装置1は、既存のEITに、この「ファイル伝送記述子」を付加して「拡張EIT」を構成して伝送する。尚、EIT以外の専用テーブルを設け、この専用テーブル内に「ファイル伝送記述子」を追加して伝送するように放送システムを構築することもできる。尚、既存EITに新規に追加する「ファイル伝送記述子(file_delivery_descriptor)」は、PMTにも追加記載することも望ましく、この場合には蓄積コンテンツとの関連付けを再確認できるようになる。尚、「ファイル種別情報(file_type_value)」は、標準化機関に順ずる機関、もしくは、運用するプラットフォーム会社等が管理を行い、放送事業者、メーカー等に開示を行うのが好適である。これにより、受信装置2は実際に任意ファイルを受信する前に、配信されるファイルの内容を把握可能であり、受信の可否の判断が可能となる。
現在のデジタル放送では、番組情報を記述するEITの中に各番組をユニークに示すイベント識別子(event_id)が記述されている。イベント識別子(event_id)は一定時間、例えば24時間以内はユニークな値として放送局で運用されている。そして、一定時間が過ぎると、再度ユニークな値として再割当される。本発明においては、蓄積(ダウンロード)する任意ファイルごとにイベント識別子(event_id)を割り当てることとし、一定の時間、例えば24時間や1週間の間は、同一のファイルを繰り返し配信する場合は、同一のイベント識別子(event_id)を繰り返し使用することとする。同一ファイルを繰り返し配信することで受信装置2は移動中であっても受信できる機会が増加し確実に受信可能となる。また、受信装置2はイベント識別子(event_id)を確認することで、同一ファイルであれば既に受信済みの場合は受信しなくてもよいという判断が可能となる。なお、イベント識別子(event_id)の値をどれくらいの時間でユニークにするかについては、標準化機関等で規定されるものとする。
図2は、本発明による一実施例の放送局側送信装置1の概略図である。放送局側送信装置1は、コンテンツ編成部10と、カルーセル処理部11と、PSI/SI生成符号化部12と、多重化部13と、OFDM変調部14と、送信部15とを備える。コンテンツ編成部10は、コンテンツ生成部101と、制御データ生成部102と、EIT生成部103とを備える。制御データ生成部102は、識別子付番制御部1021と、伝送回数・周期管理部1022とを備える。EIT生成部103は、ファイル伝送記述子生成部1031を備える。
コンテンツ編成部10は、放送波で配信するための蓄積コンテンツを生成するとともに、「拡張EIT」で関連付けられた蓄積コンテンツを受信側で蓄積予約させるための基礎データとなる番組スケジュールを生成するように構成される。「拡張EIT」は、既存のEITに、「ファイル伝送記述子」を付加したものであり、従来のEITと比較して伝送容量をほとんど増大させることなしに、蓄積コンテンツに関する情報の受信又は更新の負担を大きく低減させる(詳細に後述する)。
より具体的には、コンテンツ生成部101は、蓄積コンテンツを生成し、コンテンツファイルを生成する。例としてTSファイルの場合は、蓄積コンテンツを編成する要素である映像、音声、データ、字幕、PSIを生成して符号化し、多重化(パッケージ化)を施し、TSを生成する。尚、PSIは、このTSを受信側で再生する際に必要なPAT及びPMT等の情報である。
制御データ生成部102は、コンテンツ生成部101を経て伝送するコンテンツを、カルーセル処理部11によってカルーセル方式で伝送する際に、DIIメッセージ内のダウンロードID(downloadID)とEITのイベント識別子(event_id)とを関連付けた紐付けた態様で伝送するよう制御する識別子付番制御部1021と、イベント識別子(event_id)で識別されるイベント毎にカルーセル方式で伝送するデータブロック(DBB)の伝送回数と、カルーセル方式で伝送する周期を管理する伝送回数・周期管理部1022からなる。このカルーセル方式で伝送する蓄積コンテンツをイベント識別子(event_id)で識別されるイベントとして管理するために、識別子付番制御部1021は、EIT生成部103にイベント識別子(event_id)を送出する機能を有する。即ち、コンテンツファイルは、設定される送信周期に従って一定頻度で送信され、この送信周期は、蓄積コンテンツ別に設定可能であり、例えば、5分〜120分の間で設定することができる。
EIT生成部103は、識別子付番制御部1021から得られるイベント識別子(event_id)を、放送波で配信するための蓄積コンテンツを受信装置側で蓄積させるのに用いる既存のEITに組み入れ、且つ「ファイル種別情報(file_type_value)」を含む「ファイル伝送記述子(file_delivery_descriptor)」を生成して追加し、拡張EITを構成してEIT番組情報(EIT)としてPSI/SI生成符号化部12に送出する。ファイル伝送記述子生成部1031は、イベント識別子(event_id)によって識別されるコンテンツファイルの内容の種別を表す「ファイル種別情報(file_type_value)」を含む「ファイル伝送記述子(file_delivery_descriptor)」を生成する機能を有する。
カルーセル処理部11は、コンテンツ生成部101によって符号化した蓄積コンテンツを、制御データ生成部102によるカルーセル方式の伝送回数及び送信周期と、DIIメッセージ内のダウンロードID(downloadID)とEITのイベント識別子(event_id)とを関連付けた態様でカルーセル化して、DII及びDDBのモジュールを構築して多重化部13に送出する。
例えば、図5に示すように、蓄積コンテンツ配信のサービスIDを表すチャンネル(Ch)にて、コンテンツデータは、コンポーネントタグ(component_tag:ESm〜ESn)で識別できるように多重化され、コンテンツデータは、拡張EIT内のEPG(ただし、本実施例では、「ファイル伝送記述子」を含むEIT番組情報(EIT)から生成される)で関連付けられた複数の蓄積コンテンツについて、選局した放送ストリームから抽出したDII/DDB情報を用いてイベント識別子(event_id)によって識別される蓄積コンテンツごとにダウンロード・データブロック(DDB)を切り替えて取得することができる。尚、蓄積コンテンツは、1つ又は複数のモジュールで構成して伝送することもできる。
PSI/SI生成符号化部12は、受信装置2で放送波を受信するために必要なPSI/SI情報(即ち、EIT番組情報(EIT))を生成して符号化し、多重化部13に送出する。このEIT番組情報(EIT)は、拡張EITと、各蓄積コンテンツの放送時の開始時刻、放送持続時間、及びコンテンツファイルを蓄積(ダウンロード)する番組イベントを一意に表す「イベント識別子」とを含むPSI/SI情報として構成される。
多重化部13は、上記カルーセル化したコンテンツデータやPSI/SI等を、チャンネルごとに多重化して、TSを形成し、OFDM変調部14に送出する。
OFDM変調部14は、多重化部13を経て得られるTSを、デジタル放送のOFDM方式に従う変調方式で変調を施して、送信部15を介して外部に放送波として伝送する。
このように、放送局側送信装置1は、拡張EITを一定頻度で送信するとともに、拡張EITに基づいて蓄積コンテンツをカルーセル伝送方式で送信する。尚、詳細に後述するが、放送局側送信装置1は、拡張EITに従って、各蓄積コンテンツをダウンロードID(downloadID)と紐付けされたイベント識別子(event_id)で関連付けたデータブロックにて再放送することが可能であり、受信装置2は、再放送の回数や周期を拡張EITから知ることができる(図11参照)。
図3は、本発明に係る一実施例の受信装置2の概略図である。受信装置2は、受信用アンテナを有するOFDM復調部20と、TS復号部21と、音声復号部22と、映像復号部23と、字幕・文字スーパー復号部24と、カルーセル処理部25と、BMLブラウザ26と、提示処理部27と、SI処理部28と、コンテンツ蓄積予約制御部29と、コンテンツ蓄積部30と、蓄積コンテンツ一覧表示・再生指示部31と、ユーザI/F部32とを備える。
OFDM復調部20は、拡張EITのデータを構成するEIT番組情報(EIT)を復調して、このTSをTS復号部21に送出する機能と、この拡張EITに対応する蓄積コンテンツデータを受信し、OFDM復調部20を介して復調して、このTSをTS復号部21に送出する機能を有する。デジタル放送では、TSデータ中のPIDを検出し、このPIDを読み取ることで、コンテンツデータ、拡張EITのデータの識別を行うことができ、ES番号(component_tag)を検出し、このES番号を読み取ることで、所望するデータの識別ができる。
TS復号部21は、OFDM復調部20を経て得られるEIT番組情報(EIT)を復号して拡張EITのデータを復号し、SI処理部28に送出する機能と、OFDM復調部20を経て得られるEIT番組情報(EIT)の拡張EITに対応するコンテンツデータを復号し、それぞれ対応する機能部である音声復号部22、映像復号部23、字幕・文字スーパー復号部24及びカルーセル処理部25に送出する。音声復号部22、映像復号部23、字幕・文字スーパー復号部24は、それぞれ蓄積コンテンツを編成する音声、映像、字幕、文字スーパーを復号して提示処理部27に送出する機能を有し、カルーセル処理部25は、蓄積コンテンツを編成するデータ放送用のデータを送信側と対応するカルーセル方式に従ってカルーセル処理を施しながら復号してBMLブラウザ26に送出する機能を有する。復号したデータ放送用のデータは、BMLブラウザ26によって規定された描画方式に従って変換され、提示処理部27に送出される。提示処理部27は、外部装置(例えば、表示装置やスピーカ等)に蓄積コンテンツを編成する音声、映像、字幕、文字スーパー、その他のデータを提示する機能を有する。
ただし、カルーセル処理部25は、コンテンツ蓄積予約制御部29からの制御信号によって、当該拡張EITに対応するコンテンツデータの取得及び蓄積が制御され、当該拡張EITに対応するコンテンツデータを、コンテンツ蓄積部30に蓄積する。コンテンツ蓄積部30内に蓄積されるコンテンツデータは、コンテンツ蓄積予約制御部29によって管理され、コンテンツ蓄積予約制御部29は、当該拡張EITに従ってデータブロック単位で取得した蓄積コンテンツの上書き更新や蓄積予約の制御に用いるコンテンツファイルの蓄積予約を管理するための「蓄積予約管理表」及びコンテンツファイルの蓄積の有無を管理するための「蓄積コンテンツ管理表」をコンテンツ蓄積部30に格納及び更新する機能を有する。
コンテンツ蓄積部30に格納されたコンテンツファイルや「蓄積予約管理表」及び「蓄積コンテンツ管理表」は、ユーザがユーザI/F部32を介して指定することにより表示又は再生することができるよう蓄積コンテンツ一覧表示・再生指示部31によって表示又は再生が制御される。
尚、「蓄積予約管理表」は、放送される時間軸に従う蓄積コンテンツ別の放送時間、タイトル、シリーズ、及びジャンルを特定することができるEPGとして利用されるものである(図12参照)。また、「蓄積コンテンツ管理表」は、蓄積コンテンツ別に蓄積済みであるか否かと、未蓄積DDBの有無を管理可能な態様で構成される(図13参照)。
SI処理部28は、拡張EITのデータを入力してチャンネルごとの放送コンテンツのEIT情報と、各蓄積コンテンツの放送時の開始時刻、放送持続時間、及びコンテンツファイルを蓄積(ダウンロード)する番組イベントを一意に表す「イベント識別子」とを含むPSI/SI情報(即ち、EIT番組情報(EIT))をコンテンツ蓄積予約制御部29に送出する。
また、コンテンツ蓄積予約制御部29の詳細は後述するが、ユーザによって「蓄積予約管理表」で指定された蓄積コンテンツの蓄積予約の動作を制御する機能を有する。例えば、コンテンツ蓄積予約制御部29は、指定された蓄積コンテンツの蓄積予約状態を管理するために、「蓄積予約管理表」を生成し、蓄積コンテンツごとに蓄積予約待ちであるか否かを示すマーキングをして、蓄積コンテンツの蓄積予約の制御を管理することができる。
次に、ファイル伝送記述子について説明する。
[ファイル伝送記述子]
図19は、本発明によるファイル伝送記述子を例示する図である。
「記述子タグ情報(descriptor_tag)」は、標準化機関が設定する当該ファイル伝送記述子を利用する機関を特定する。
「記述子長(descriptor_length)」は、ファイル伝送記述子の既述子長を記述する。「ファイル種別(file_type_value)」は、伝送するファイルの種別を記述する。
「コンテンツ種別(content_type_value1)」は、伝送する蓄積コンテンツの種別を記述する。
「コンテンツ更新種別(content_type_value2)」は、伝送する蓄積コンテンツの更新の種別を記述する。
「本編・補足種別(content_type_value3)」は、伝送する蓄積コンテンツの本編・補足種別を記述する。
「コンテンツ容量(content_volume)」は、蓄積コンテンツの容量を記述する。なお、蓄積コンテンツの容量が不明な場合には“0xFFFF”を記述する。
「コンテンツビットレート(content_bit_rate)」は、蓄積コンテンツのおよその再生レートを記述する。なお、蓄積コンテンツの再生レートが可変又は不明な場合には“0xFFFF”を記述する。
「伝送ビットレート(transmission_bit_rate)」は、蓄積コンテンツのおよその伝送レートを記述する。なお、蓄積コンテンツの伝送レートが可変又は不明な場合には“0xFFFF”記述する。
「event_id枝番(ex_event_id)」は、蓄積コンテンツの項目識別値を記述する。なお、蓄積コンテンツの項目識別値を使用しない場合には“0xFFF”を記述する。
「データイベント識別子(data_event_id)」は、蓄積コンテンツのバージョン値を記述する。なお、蓄積コンテンツのバージョンを使用しない場合には、“0xF”を記述する。
「リザーブ(reserved_future_use)」は、上記以外の任意の情報を記述する。
ex_event_id及びdata_event_idのループ回数Nは、一般的な蓄積コンテンツ及び常時更新の蓄積コンテンツの場合、N=1となり、項目が更新される蓄積コンテンツの場合、N=項目数となる。また、補足情報の場合、N=1となる。なお、NはEIT全体のセクション長が4093バイト以内となる範囲で決定される。
file_type_value値の例を表1に、content_type_value1値の例を表2に、content_type_value2値の例を表3に、content_type_value3値の例を表4に示す。
リアルタイム型放送サービスにおいて番組の識別はevent_idを使用するが、蓄積(ダウンロード)サービスにおいてはevent_idに加え、event_id枝番(ex_event_id)、及びdata_event_idを用いる。すなわち、蓄積(ダウンロード)サービスではevent_id+ex_event_id+data_event_idで蓄積コンテンツを一意に特定する。蓄積(ダウンロード)サービスのコンテンツ識別情報とビット数、識別内容を表5に示す。
一般的な蓄積コンテンツを蓄積(ダウンロード)する場合、event_idを指定することで蓄積コンテンツを一意に特定することができるが、ニュース番組のように蓄積コンテンツの中の項目を一意に特定したい場合、event_idに加えてex_event_idが用いられる。例えば、event_id=“0x0001”を「全国ニュース」とした場合、ex_event_idを指定することで、「全国ニュース」の項目を一意に特定することができる。この例を以下に示す。
<event_id> <ex_event_id> 意味
0x0001 0x000 「全国ニュース」項目0
0x0001 0x001 「全国ニュース」項目1
0x0001 0x002 「全国ニュース」項目2
蓄積コンテンツの中の項目の識別が必要な場合、ex_event_idの値が必ず付与され、蓄積コンテンツの中の項目の識別が不要な場合、ex_event_id=“0xFFF”とするか、ex_event_idが使用されないものとする。なお、ex_event_idの値を12bitとすれば、異なる項目の指定は最大4096種類(正確には0xFFFを除き4095種類)とすることができる。
また、蓄積(ダウンロード)サービスでは、同じ内容の蓄積コンテンツを複数回送信し、受信装置2側で欠損データの補完として利用することが可能であるが、2回目以降の送信において内容を一部変更するなど、バージョンの異なる蓄積コンテンツが送信されるケースが想定される。この場合、バージョンの変更を受信側に知らされない状態で欠損データの補完を行うと、変更部分の映像や音声などのデータが不連続となり、蓄積コンテンツの視聴に支障をきたすことになる。そこで、バージョンの異なる蓄積コンテンツを送る場合、異なるdata_event_idの値が付与され、受信装置2側でのバージョン管理を可能とする。例えば、event_id=“0x0001”を「全国ニュース」とした場合、ex_event_idとdata_event_idを指定することで、「全国ニュース」の項目を、バージョンを含めて一意に特定することができる。この例を以下に示す。
<event_id> <ex_event_id> <data_event_id> 意味
0x0001 0x000 0x0 「全国ニュース」項目0のVer0
0x0001 0x000 0x1 「全国ニュース」項目0のVer1
0x0001 0x001 0x0 「全国ニュース」項目1のVer0
0x0001 0x002 0x0 「全国ニュース」項目2のVer0
蓄積コンテンツのバージョンの識別が必要な場合、data_event_idの値が必ず付与され、バージョンの識別が不要な場合、data_event_id=“0xF”とするか、data_event_idが使用されないものとする。なお、data_event_idの値は4bitであり、異なるバージョンの指定は最大16種類(正確には0xFを除き15種類)とすることができる。
また、蓄積(ダウンロード)サービスでは、あらかじめ指定された時間に送信が行われ、蓄積コンテンツが受信装置2に自動的に蓄積されるケースが一般的であるが、交通情報のように常時送信が行われ、最新の情報が受信装置2で常時提示されるサービスも想定される。このような常時更新蓄積コンテンツの場合、event_idは一定値が送られ、ex_event_idは蓄積コンテンツの中の項目、data_event_idは各項目のバージョンを示すものとする。例えば、event_id=“0x0002”を「交通情報」とした場合、ex_event_idとdata_event_idを指定することで、「交通情報」の各県の項目を、バージョンを含めて一意に特定することができる。この例を以下に示す。
<event_id> <ex_event_id> <data_event_id> 意味
0x0002 0x000 0x0 「交通情報」県0のVer0
0x0002 0x000 0x1 「交通情報」県0のVer1
0x0002 0x000 0xE 「交通情報」県0のVer14
0x0002 0x001 0x0 「交通情報」県1のVer0
0x0002 0x002 0x0 「交通情報」県2のVer0
上記の例の場合、県0の情報を提示する受信装置2は、Ver0のデータを受信したらVer0の情報を提示、Ver1のデータを受信したらVer1の情報を提示する。以下同様にVer14のデータを受信したらVer14のデータを提示し、Ver14の次はVer0に戻り、同様の動作を繰り返す。
なお、常時更新蓄積コンテンツにおいても、蓄積コンテンツの中の項目の識別が必要な場合、ex_event_idの値が必ず付与され、蓄積コンテンツの中の項目の識別が不要な場合、ex_event_id=“0xFFF”とするか、ex_event_idが使用されないものとする。また、蓄積コンテンツのバージョンの識別が必要な場合、data_event_idの値が必ず付与され、バージョンの識別が不要な場合、data_event_id=“0xF”とするか、data_event_idが使用されないものとする。
次に、放送局側送信装置1と受信装置2とを含む放送システムの代表的な動作について説明する。
[システム動作]
図4は、本発明による一実施例の放送システムの動作説明図である。
まず、放送局側送信装置1の動作を説明するに、放送局側送信装置1は、一定間隔で拡張EITのデータを構成するEIT番組情報(本例ではEITに含まれる拡張EIT)を配信する(ステップS1〜S3)。また、拡張EITに従って時間編成された放送される番組情報の変更の有無を含む、現在番組と次の番組の情報(EITp/f)を配信する(ステップS4)。ここで、一般的なネットワーク通信のような双方向通信によって蓄積コンテンツの再要求及び再送信するものとは異なり、放送コンテンツであるので、受信装置側で受信不良が生じた場合を予め想定して、放送局側送信装置1が備える制御データ生成部102は、拡張EITに従うイベント識別子(event_id)で管理されたコンテンツデータを、拡張EITに従う所定周期及び回数によって、カルーセル方式で送信及び再送信する(ステップS5,S6)。
例えば、図6に示すように、放送局側送信装置1は、1TS(1セグメント又は3セグメント放送)内で、リアルタイム放送の番組コンテンツを時間編成で送信するメインチャンネル(メインch1)と、このメインch1の番組コンテンツに連動する任意ファイル(例えば、動画ファイル、PDF、TSファイル、3GPP等)を多重して送信する、コンテンツ提供者が独自に利用する独自チャンネル(独自ch1)と、このメインch1の番組コンテンツに連動することなく、独立した任意ファイル(例えば、リアルタイムの更新が要求されるような交通情報等)を多重して送信する、コンテンツ提供者が独自に利用する第2の独自チャンネル(独自ch2)の3チャンネルの蓄積コンテンツを多重送信する。
これらのメインch1、独自ch1及び独自ch2の蓄積コンテンツは、EIT番組情報(EIT)として機能する本発明に係る拡張EITから、チャンネル種別をそれぞれサービスID(serviceID)で識別することができるだけでなく時間軸方向の編成についてもイベント識別子(event_id)で識別し、且つイベント識別子(event_id)によって識別されるコンテンツファイルの内容の種別を、「ファイル伝送記述子(file_delivery_descriptor)」内の「ファイル種別情報(file_type_value)」で識別することができ、例えば図6に示すように編成したEPGを直ちに構成することができる。
例えば、図7に示すように、拡張EITは、既存の記述子を有するEITに「ファイル伝送記述子(file_delivery_descriptor)」が追加された態様で構成される。「ファイル伝送記述子(file_delivery_descriptor)」は、標準化機関が設定する当該ファイル伝送記述子を利用する機関を特定するための「記述子タグ情報(descriptor_tag)」と、当該ファイル伝送記述子の長さを表す「記述子長(descriptor_length)」と、受信装置側でコンテンツファイルの内容を識別させるための「ファイル種別情報(file_type_value)」と、上記以外の任意の情報を記述するための「リザーブ(reserved_future_use)」などを含む。
従って、受信装置2は、EIT番組情報(EIT)として機能する本発明に係る拡張EITを復号して、チャンネル種別をそれぞれサービスIDで、メインch1、独自ch1及び独自ch2のチャンネル別コンテンツを把握し、各チャンネルにおける時間軸方向の編成についてイベント識別子(event_id)で識別し、且つイベント識別子(event_id)によって識別されるコンテンツファイルの内容の種別を、「ファイル伝送記述子(file_delivery_descriptor)」内の「ファイル種別情報(file_type_value)」で識別し、EPGのコンテンツ番組一覧を直ちに構成することができる。
以下、受信装置2の動作について説明する。
受信装置2は、EIT番組情報(EIT)を受信して拡張EITを復号し、チャンネル種別をそれぞれサービスIDで、メインch1、独自ch1及び独自ch2のチャンネル別蓄積コンテンツを把握し、各チャンネルにおける時間軸方向の編成についてイベント識別子(event_id)で識別し、且つイベント識別子(event_id)によって識別されるコンテンツファイルの内容の種別を、「ファイル伝送記述子(file_delivery_descriptor)」内の「ファイル種別情報(file_type_value)」で識別することにより、拡張EITにおける蓄積コンテンツがコンテンツファイルとして蓄積可能なファイルであるか否かを判断する(ステップS13)。
続いて、受信装置2は、蓄積可能なファイルについて放送される時間軸に従う蓄積コンテンツ別の放送時間、タイトル、シリーズ、及びジャンルを特定し、EPGとして利用する「蓄積予約管理表」を生成し、受信装置2のユーザに提示可能にする(ステップS14)。受信装置2は、ユーザによって指定された蓄積コンテンツを蓄積予約として「蓄積予約管理表」に設定して登録し、放送時刻の直前に蓄積予約を起動して、拡張EITに従って時間編成された放送番組の変更の有無を含む現在番組と次の番組(EITp/f)を受信する(ステップS15)。従って、受信装置2は、予約時間数分前に拡張EITを再取得して放送コンテンツの変更がないことを確認し、変更がある場合には蓄積予約管理表の登録内容を自動更新する。
受信装置2は、蓄積予約管理表の登録内容に従って、蓄積コンテンツの蓄積予約の制御を行い、放送時間になると、該当エレメンタリストリーム(ES)のDIIを取得し、DIIに記載されたイベント識別子(event_id)に紐づくダウンロードID(downloadID)で、蓄積(ダウンロード)するコンテンツファイルを特定し、該当するモジュール内のデータブロック(DDB)列を受信して蓄積コンテンツの蓄積を実行する(ステップS16)。該当蓄積コンテンツが、モジュールリンクされている場合には、対応する複数のモジュール内のデータブロック(DDB)列を受信して蓄積する。尚、受信装置2は、蓄積予約した蓄積コンテンツが放送開始時刻(start_time)に従って放送中であれば、受信して蓄積動作を実行し、放送開始時刻(start_time)外であれば(蓄積予約した蓄積コンテンツが放送中ではなければ)、蓄積予約管理表に登録して放送時間まで待機することになる。受信不良が原因で一度に蓄積コンテンツを構成する全てのデータが受信できない場合にも、蓄積コンテンツは、DDB単位で伝送されているために、カルーセル方式で伝送されるカルーセル回数内で再取得可能であれば、受信に失敗したDDB単位で蓄積を行うことができ、カルーセル回数内で受信に失敗した場合には、再放送時に取得可能である。この再放送日時の情報は、予め拡張EIT内に埋め込まれているために、受信装置2は、蓄積予約管理表の登録内容に従って自動的に再取得が可能である。
受信装置2は、蓄積が完了した蓄積コンテンツについては、蓄積予約管理表の登録を削除するとともに、蓄積コンテンツ管理表に登録して蓄積状況を管理する。例えば、蓄積コンテンツの蓄積が完了したら、蓄積コンテンツ管理表に登録し、蓄積予約管理表からマーキングを削除して再放送時の再取得を実行しないように制御する。更に、1サイクル(カルーセルサイクル)内で完全に蓄積できなかった場合は、次のサイクル(カルーセルサイクル)で再度取得する。ただし、蓄積できたデータ(DDB単位)は破棄せずに保存(一時保存)しておき、未取得DDBがある場合には当該コンテンツファイルのDDBの差分蓄積を実行する(ステップS17)。また、拡張EIT内の放送の持続時間(duration)の情報を利用して、蓄積未完了のまま当該サイクルの放送時間が終了した際に、再放送がある場合は予約蓄積の中断として判断し、再放送がない場合は予約蓄積の中止として判断する。
また、受信装置2は、ダウンロードID(downloadID)内のイベント識別子(event_id)と枝番が同一でデータイベント識別子(data_event_id)のみが更新されたコンテンツファイルの蓄積を行うときは、更新ファイルとして上書き更新蓄積を行うことができる(ステップS18)。
受信装置2は、シリーズやジャンル別に蓄積した蓄積コンテンツの一覧表(蓄積コンテンツ管理表)を作成して、ユーザに提示可能にするのが好適である(ステップS19)。ユーザは、所定の操作で、蓄積コンテンツ管理表から不要な蓄積コンテンツを削除することもできる。シリーズの蓄積コンテンツで、放送間隔の短いものは、古いものから削除するように構成することができる。(シリーズ予約時にユーザに保存数や、上書きするか否かを指定することができる)また、シリーズ単位やカテゴリ単位で複数の蓄積コンテンツを1グループとしたパターンで蓄積することも可能である。
受信装置2は、ユーザの指定された蓄積済みの蓄積コンテンツについて再生可能である(ステップS20)。例えば、受信装置2が携帯電話機で構成される場合には、ユーザインターフェースを介して、画面に表示される蓄積コンテンツのタイトルに含まれる複数の蓄積コンテンツを指定して、情報を得ることができる。当該蓄積コンテンツに映像、音声、データ放送、字幕のデータが関連付けられている場合には、これらのデータを再生することができる。例えば、蓄積コンテンツのデータ放送には、蓄積コンテンツのサムネイル画像を伝送して、受信装置2側で蓄積予約コンテンツ表の表示の際に利用可能することもできる。
このように、受信装置2は、送信される拡張EITを受信して、蓄積予約管理表を作成し、この蓄積予約管理表で蓄積予約の制御管理を行い、蓄積コンテンツを受信して自動蓄積する。特に、受信装置2が移動受信装置(例えば、携帯電話機)の場合、1回のカルーセル方式で蓄積コンテンツを完全に受信して蓄積しきれない場合も、放送局側送信装置1からの再放送のタイミングで再度の蓄積動作を自動的に行うことができる。また、図8に示すように、受信装置2は、初回で受信済みの場合はイベント識別子(event_id)を確認することで同一ファイルと認識し2回目は受信しなくてもよくなる。
ここで、コンテンツ蓄積予約制御部29の構成及び動作について、図9及び図10を参照して更に詳細に説明する。
コンテンツ蓄積予約制御部29は、EIT情報取得部2901と、時刻情報処理部2902と、EIT情報管理部2903と、蓄積予約制御部2904と、対応ファイル判定部2905と、イベント識別子判定処理部2906と、差分DDB判定処理部2907と、ダウンロードID判定処理部2908と、蓄積予約管理表生成部2909と、蓄積コンテンツ管理表生成部2910とを備える。
EIT情報取得部2901は、入力されるPSI/SI情報(即ち、EIT番組情報(EIT))から拡張EITのEIT情報を抽出してEIT情報管理部2903に送出する。
時刻情報処理部2902は、入力されるPSI/SI情報(即ち、EIT番組情報(EIT))から各蓄積コンテンツの放送時の開始時刻、放送持続時間、及びコンテンツファイルを蓄積(ダウンロード)する番組イベントを一意に表す「イベント識別子」を抽出してEIT情報管理部2903に送出する。
EIT情報管理部2903は、拡張EITのEIT情報を基に、蓄積予約管理表生成部2909を機能させて蓄積予約管理表を生成して、コンテンツファイルを格納するコンテンツ蓄積部30に格納する機能と、対応ファイル判定部2905を機能させて拡張EITのEIT情報から蓄積予約可能なファイルがあるか否かを判定させる機能と、蓄積予約制御部2904からの指示に応じて蓄積予約を行うコンテンツファイルについて蓄積予約管理表をマーキングする機能と、イベント識別子判定処理部2906を機能させてDII内のイベント識別子を判定させる機能と、差分DDB判定処理部2907を機能させて複数DDBで伝送されるコンテンツファイルについて未蓄積の差分のDDBを判定させ蓄積させる機能と、EITp/fを取得し、予約情報の変更の有無を確認し、変更があれば蓄積予約管理表を更新する機能とを有する。
蓄積予約制御部2904は、ユーザに提示された蓄積予約管理表について、ユーザによって指定された蓄積コンテンツの蓄積の予約の制御をEIT情報管理部2903に指示する機能を有する。
対応ファイル判定部2905は、拡張EITのEIT情報から蓄積予約可能なファイルがあるか否かを判定する機能を有する。
イベント識別子判定処理部2906は、DII内のダウンロードIDにおけるイベント識別子(event_id)を判定し、且つイベント識別子(event_id)によって識別されるコンテンツファイルの内容の種別を、「ファイル伝送記述子(file_delivery_descriptor)」内の「ファイル種別情報(file_type_value)」で識別する機能を有する。また、イベント識別子判定処理部2906は、ダウンロードID(downloadID)内のイベント識別子(event_id)と枝番が同一でデータイベント識別子(data_event_id)のみが更新されたコンテンツファイルが存在するか否かを判別し、存在する場合に蓄積を行う上書き蓄積判定部2906aを有する。
差分DDB判定処理部2907は、蓄積できたデータ(DDB単位)は破棄せずに保存(一時保存)しておき、未取得DDBがある場合には当該コンテンツファイルのDDBの差分蓄積を実行する機能を有する。
ダウンロードID判定処理部2908は、蓄積予約を行うコンテンツファイルについてカルーセル処理部25から得られるDIIを取得してダウンロードID(downloadID)を抽出してイベント識別子判定処理部2906及び差分DDB判定処理部2907に送出する機能と、イベント識別子判定処理部2906からの指示に従って、当該拡張EITに対応するコンテンツファイルのDDBを取得及び蓄積を制御すべく制御信号をカルーセル処理部25に送出する機能を有する。また、ダウンロードID判定処理部2908は、差分DDB判定処理部2907からの指示に応じて複数DDBで伝送されるコンテンツファイルについて未蓄積の差分のDDBの取得及び蓄積を制御すべく制御信号をカルーセル処理部25に送出する機能を有する。
蓄積予約管理表生成部2909は、EIT情報管理部2903の制御によって拡張EITのEIT情報を基に蓄積予約管理表を生成する機能を有する。
蓄積コンテンツ管理表生成部2910は、EIT情報管理部2903の制御によって、蓄積予約管理表に従って蓄積した蓄積コンテンツを管理するための蓄積コンテンツ管理表を生成する機能を有する。
図10は、コンテンツ蓄積予約制御部29の動作フローを示す図である。コンテンツ蓄積予約制御部29は、蓄積予約を実行するために、まず、EIT番組情報(本例ではEITに含まれる拡張EIT)を受信して復号した拡張EITのEIT情報をメモリに展開する(ステップS31)。続いて、コンテンツ蓄積予約制御部29は、対応ファイル判定部2905によって、蓄積予約可能なファイルがあるか否かを判定し、蓄積不能の情報は破棄する(ステップS32)。コンテンツ蓄積予約制御部29は、イベント識別子判定処理部2906によって、蓄積予約可能なコンテンツファイルについて、チャンネル種別をそれぞれサービスIDで、メインch1、独自ch1及び独自ch2のチャンネル別蓄積コンテンツを把握し、各チャンネルにおける時間軸方向の編成についてイベント識別子(event_id)で識別し、且つイベント識別子(event_id)によって識別されるコンテンツファイルの内容の種別を、「ファイル伝送記述子(file_delivery_descriptor)」内の「ファイル種別情報(file_type_value)」で識別して、蓄積予約管理表生成部2909によって、蓄積予約管理表を生成してユーザに提示し、ユーザによる予約の設定、又は蓄積予約管理表の生成と同時に対応ファイルの自動予約の設定を行う(ステップS33,S34)。
続いて、コンテンツ蓄積予約制御部29は、時刻情報処理部2902にて取得したイベント識別子に基づいて蓄積予約時刻の数分前にEIT情報管理部2903を起動させ(ステップS35)、EITp/fを取得し(ステップS36)、予約情報の変更の有無を確認し(ステップS37)、変更があれば蓄積予約管理表を更新する(ステップS37)。
続いて、コンテンツ蓄積予約制御部29は、上書き蓄積判定部2906aによって、蓄積済み蓄積コンテンツと同一のダウンロードID(downloadID)の蓄積コンテンツの有無を判別し(ステップS39)、蓄積済み蓄積コンテンツと同一のダウンロードID(downloadID)の蓄積コンテンツが有る場合には、上書き蓄積する(ステップS40)。これは、同一コンテンツファイル名で内容が更新されるニュース番組などが想定される。
続いて、コンテンツ蓄積予約制御部29は、イベント識別子判定処理部2906及びダウンロードID判定処理部2908によって、イベント識別子(event_id)に紐づくダウンロードID(downloadID)のDIIを含むカルーセル方式のESを取得し(ステップS41)、差分DDB判定処理部2907によって、DDBの蓄積を完了するまで実行し(ステップS42)、未完了である場合には、差分のDDBを取得して蓄積する(ステップS43)。例えば図14(A)に示すように、ファイル種別情報で判別されるコンテンツファイルの内容の種別が、時間編成のコンテンツファイルのうち同一のコンテンツファイルの蓄積(ダウンロード)放送が予定されているものである場合、図14(B)に示すように、EITのイベント識別子(event_id)を、図14(C)に示すように、カルーセル方式のDII内のダウンロードID(downloadID)に関連付けておくことで、EITのイベント識別子(event_id)ごとにDDBを特定し、同一ファイル名に対して上書き蓄積を行うことや、差分のDDB受信を行うことが可能となる。
コンテンツ蓄積予約制御部29は、蓄積が完了した場合には(ステップS44)、蓄積予約管理表から対応ファイルの予約制御の旨を削除し、蓄積コンテンツ管理表生成部2910によって、蓄積予約管理表に従って蓄積した蓄積コンテンツを管理するための蓄積コンテンツ管理表を生成して、コンテンツ蓄積部30に格納する。蓄積コンテンツ管理表は、ユーザの指示によって提示可能なテーブルである。
従って、コンテンツ蓄積予約制御部29は、ユーザによって指定された蓄積コンテンツの蓄積予約を実行する際に、カルーセル伝送方式で伝送される「本放送(1回目の放送)」の蓄積コンテンツの取得と、カルーセル伝送方式で伝送される「再放送(2回目以降の放送)」の蓄積コンテンツの取得で、蓄積予約の動作を制御することができる。
ユーザによって、コンテンツ蓄積部30に記憶した蓄積コンテンツ管理表の読出しの指定が可能であり、コンテンツ蓄積部30に記憶した蓄積コンテンツは、図3に示す蓄積コンテンツ一覧表示・再生指示部31によって、再生制御が為され、ユーザに対して提示させることができる。
このように、受信装置2は、蓄積コンテンツの蓄積予約(映像等の場合、予約録画を含む)に必要な情報を拡張EITから取得することができる。拡張EITには「ファイル伝送記述子(file_delivery_descriptor)」が追加され、さらに「ファイル伝送記述子(file_delivery_descriptor)」内の「ファイル種別情報(file_type_value)」でファイル種別を直ちに識別して、蓄積コンテンツの蓄積予約のための蓄積予約管理表を直ちに作成して、直ちに蓄積コンテンツを取得することもできるようになる。このため、受信装置2の受信処理負担を軽減させ、且つ受信不良のリスクを軽減させると共に、受信不良で未取得のDDBのみを取得してコンテンツファイルを受信完了させることが可能となる。
例えば、図15(A)に示す独自チャンネル(ch1)の動画ファイルを、図15(B)に示すように複数個のデータブロック(DDB)に分割して伝送する場合、ブロック番号(blocknumber)が付与されたDDBを図15(B)に示すようなカルーセル方式で伝送する。この際、現在のデジタル放送の運用では、ダウンロードID(downloadID)は28bit〜31bitにデータイベント識別子(data_event_id)を規定しているが、それ以外のbitは全て1で埋めており使用していない。そこで、例として、図16に示すように、0bit〜15bit目までにイベント識別子(event_id)を埋め込むことで、ダウンロードID(downloadID)とイベント識別子(event_id)とを紐づけることが可能である。これにより、イベント識別子(event_id)ごとに、ダウンロードID(downloadID)+ブロック番号(blocknumber)でモジュールをユニークに特定可能であり、差分受信が可能となる。また、16bit〜27bit目までをイベント識別子(event_id)の枝番として、さらに、データイベント識別子(data_event_id)を用いることで上書きすべきファイルであるか、新規のファイルであるかの判別ができるようになる。また、モジュール毎にmoduleID単位で、ダウンロードID(downloadID)+moduleIDでモジュールをユニーク管理することも可能である。
受信環境が不安定な移動受信においては、ファイルサイズの大きいものを長時間かけて配信するより、ファイルのサイズが小さいものを短時間で配信する方が受信できる可能性が高くなる。そのため、ニュース番組などは、個々のニュース項目ごとに番組を分割して配信する方が効率的である。
つまり、配信されるファイルは、編成時間軸上のEIT情報のイベント識別子(event_id)と、イベント識別子(event_id)を埋め込んだDIIのダウンロードID(downloadID)を用いてユニークに特定されるため、項目ニュースなどのファイルサイズが小さく配信時間が短いファイルの場合、編成時間軸上のEITの情報が多数必要となり、EITの情報量が大きくなってしまう。そこで、ダウンロードID(downloadID)の16bit〜27bit目までをイベント識別子(event_id)の「枝番」を設けることで、イベント識別子(event_id)ではニュース番組などの大項目を指定し、枝番を用いて、項目ニュースの個々のニュースを特定することで、EITの情報量を増やさずに詳細なファイルを配信可能となる。例えば、図17(A)に示すように、枝番を考慮しない場合にはイベント識別子(event_id)とカルーセルが1対1のため、EITの情報量が増えるが、図17(B)に示すように枝番を考慮する場合には、イベント識別子(event_id)に対して複数のカルーセルを対応可能になるためEITの情報量は増えないことになる。
さらに、図18に示すように、交通情報などを、車載受信装置のような常に最新情報を受信するような受信装置2においては、蓄積(ダウンロード)されるファイルの更新情報を常に監視し、情報が更新された場合は蓄積受信を行い情報の上書き更新をする必要がある。そこで、DIIのダウンロードID(downloadID)の中に埋め込まれるデータイベント識別子(data_event_id)の4bitを用いて更新情報とすることにより、受信装置はファイルの更新を監視可能となる。また、ダウンロードID(downloadID)の中に埋め込まれる、イベント識別子(event_id)と枝番を見ることにより、上書き更新すべきファイルか、新規のファイルかを判別することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、受信装置2は、蓄積予約に使用するために事前EITの情報を取得し、EITに記述された、実際に蓄積(ダウンロード)放送される時間情報や、「ファイル伝送記述子」からファイルの情報及びイベント識別子を識別して、これらの情報を元に蓄積(ダウンロード)されるファイルが対応しているかどうかを判断した上で蓄積予約を行うので、EPGの情報から、実際に蓄積(ダウンロード)する任意ファイルを含む放送信号全体を受信することなく、EITに記載されている放送スケジュール内の「ファイル伝送記述子」から、受信装置が対応可能なファイルが蓄積(ダウンロード)されるか否かの判断を事前に把握することができ、効率的な蓄積(ダウンロード)放送の予約を行うことが可能となる。
また、放送局側送信装置1によって既存のEITに対して「ファイル伝送記述子」を追加して拡張したEITを放送するとともに、この拡張したEITに関連付けられた蓄積(ダウンロード)放送の任意ファイルをカルーセル方式で複数回放送することで、受信装置は、例えば不安定な移動受信環境下においても繰り返し受信することができ、確実に任意ファイルを受信できるようになる。
また、放送局側送信装置1は、この拡張したEITに関連付けられた任意ファイルの配信を、MPEG‐2のDSM‐CC規格に準じてデータカルーセル方式にて配信することができる。より具体的には、データカルーセルを構成するDIIメッセージの中のダウンロードID(downloadID)について、現行のデジタル放送の運用から拡張して利用することにより、受信装置2は、現行のデジタル放送の運用に準じた態様で比較的簡単に拡張して構成することが可能となり、データカルーセルで配信する任意ファイルを一意に特定することができるようになる。これにより、受信装置2は、カルーセル方式で配信されるデータの配信ブロック単位である個々のDDBを、例えばテンポラリメモリ等に一時蓄積することにより、1度目の配信で一部のDDBが受信不可の場合でも、差分のDDBを受信することで任意ファイルを完結すべく連結又は更新することが可能となる。
その際、カルーセルをユニークに特定するダウンロードID(downloadID)にイベント識別子(event_id)を埋め込むことにより、イベント識別子(event_id)と、DIIメッセージのダウンロードID(downloadID)の紐付けを行うことで、編成時間軸で複数回、同一ファイルを同一のイベント識別子(event_id)で配信した場合でも、既にファイルを受信完了済みかどうかの判断が受信装置2で可能となる。
また、データカルーセルの中の全てのDDBは、当該データカルーセルの中ではユニークなブロック番号(blocknumber)を持つため、イベント識別子(event_id)毎に、ユニークなDDBを受信装置で管理することが可能であり、受信状態が不安定な場合でも、繰り返し送出されるデータカルーセルの中で、差分のDDBのみを取得することで効率的にファイルを蓄積(ダウンロード)可能である。
特に、放送局側送信装置1が、交通情報など常に新しい同一種類のファイルを蓄積(ダウンロード)放送する場合、受信装置側で蓄積(ダウンロード)すべきコンテンツファイルが同一種類のものであると把握できるファイル種別の情報(file_type_value)を「ファイル伝送記述子」に含めるととともに、EITのイベント識別子(event_id)とダウンロードIDとを一致させた情報として配信することで、現行のデジタル放送の運用に準じた態様で比較的簡単に拡張して、効率的に任意ファイルの上書き更新が可能となる。
従って、包括的には、放送局側送信装置1において、番組スケジュールテーブル(拡張EIT又はその同等物)は、各コンテンツファイルを放送するサービスを一意に指定するサービスIDと、開始時刻、放送持続時間、及びコンテンツファイルを蓄積(ダウンロード)する番組イベントを一意に表すイベント識別子と、ファイル伝送記述子とを含み、該ファイル伝送記述子は、コンテンツファイルの内容を識別させるためのファイル種別情報を含み、番組スケジュールテーブル(拡張EIT又はその同等物)を所定間隔で送信する番組スケジュールテーブル送信し、番組スケジュールテーブル(拡張EIT又はその同等物)内のファイル種別情報で関連付けたイベント識別子を有するコンテンツファイルをデータブロックにてカルーセル方式で送信するように構成される。
また、包括的には、受信装置2において、番組スケジュールテーブル(拡張EIT又はその同等物)を受信して、該番組スケジュールテーブル(拡張EIT又はその同等物)で関連付けられた蓄積コンテンツを蓄積予約可能なコンテンツファイルにおける時間軸方向の編成についてイベント識別子で識別し、イベント識別子によって識別されるコンテンツファイルの内容の種別を、ファイル種別情報で識別して、蓄積予約するための蓄積予約管理表を生成するとともに、蓄積予約するべく規定された蓄積コンテンツを、所定の開始時刻で蓄積予約の開始を制御し、開始時刻で蓄積予約した蓄積コンテンツの蓄積をカルーセル方式のデータブロック単位で実行するように構成される。
尚、放送局側送信装置1において、番組スケジュールテーブル(拡張EIT又はその同等物)は、EITにファイル伝送記述子を追加して構成することで、現行のEPGシステムからの変更負担をほとんど生じることなく実現可能である。
また、放送局側送信装置1において、イベント識別子は、ファイル種別情報で識別されるコンテンツファイルの内容を更に細分化した内容を表す枝番と関連付けておくことで、該枝番は、カルーセル方式のDIIにて、ダウンロードIDに関連付けて付加することができ、受信装置2側では、ファイル種別情報で判別されるコンテンツファイルの内容の種別が、時間編成のコンテンツファイルのうち同一のコンテンツファイルの蓄積(ダウンロード)放送が予定されているものである場合、前記枝番に従うコンテンツファイルの上書き蓄積を行うように構成することができる。
また、放送局側送信装置1において、イベント識別子は、前記カルーセル方式のDIIにて、ダウンロードIDに関連付けて付加しておくことで、受信装置2側では、カルーセル方式の当該蓄積するコンテンツファイルのDDBの蓄積を完了するまで、当該カルーセル方式の予め定められた放送回数の範囲内で、未取得のDDBを表す差分のDDBを取得して蓄積するように構成することができる。
更に、本発明の一態様として、コンテンツ蓄積予約制御部をコンピュータとして構成させることができる。コンピュータに、前述したコンテンツ蓄積予約制御部を実現させるためのプログラムは、コンピュータの内部又は外部に備えられる記憶部(メモリ)に記憶される。そのような記憶部は、外付けハードディスクなどの外部記憶装置、或いはROM又はRAMなどの内部記憶装置で実現することができる。コンピュータに備えられる制御部は、中央演算処理装置(CPU)などの制御で実現することができる。即ち、CPUが、各構成要素の機能を実現するための処理内容が記述されたプログラムを、適宜、記憶部から読み込んで、各構成要素の機能をコンピュータ上で実現させることができる。ここで、各構成要素の機能をハードウェアの一部で実現してもよい。
また、この処理内容を記述したプログラムを、例えばDVD又はCD−ROMなどの可搬型記録媒体の販売、譲渡、貸与等により流通させることができるほか、そのようなプログラムを、例えばネットワーク上にあるサーバの記憶部に記憶しておき、ネットワークを介してサーバから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、流通させることができる。
また、そのようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶部に記憶することができる。また、このプログラムの別の実施態様として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、更に、このコンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。