JP4028425B2 - 套体への電気接続箱の組付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車のエンジンルーム等の狭いスペースで電気接続箱を防水防塵用のカバー内にスムーズに装着するための套体への電気接続箱の組付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車のエンジンルーム等に搭載される電気接続箱組付体として、合成樹脂製のカバー(套体)の内側に電気接続箱を装着固定し、電気接続箱を外部の水や塵等の進入から保護するための構造が提案されている。
【0003】
図8は、従来の套体への電気接続箱の組付構造の一形態(特許文献1参照)を示すものであり、ロアカバー61の上部開口から電気接続箱62を下向きに挿着する構造を有している。
【0004】
すなわち、ロアカバー61の内壁面に複数の垂直方向のガイド枠部63と、ガイド枠部内の溝部64とが設けられると共に、ロアカバー61の内部に座部65が立設され、電気接続箱62の側壁に、ガイド枠部63に対する一対のスライド凹部66と、一対のスライド凹部66の間の可撓性の係止アーム67とが設けられている。
【0005】
電気接続箱62はロアカバー61の上部開口から下向きに挿入され、電気接続箱62のスライド凹部66がガイド枠部63にスライド係合し、係止アーム67の外向きの突起68がガイド枠部63の上端縁を乗り越えて溝部64内に係合する。それと同時に、電気接続箱62の下面が座部65に当接して支持される。ロアカバー61にはアッパカバー(図示せず)が装着され、両カバー内で電気接続箱62が水滴や塵等から安全に保護される。
【0006】
上記形態以外に、例えば特許文献2には、上記電気接続箱62に代わる複数のリレーブロックをケース(套体)内に水平方向に装着する構造例(図示せず)が記載されている。
【0007】
この構造においては、ケースの側壁及び隔壁の各内面に、横方向に延びる上下一対のガイド突条が設けられ、各リレーブロックの両側壁に、同じく上下一対の溝部が形成され、溝部をガイド突条にスライド係合させて、リレーブロックをカバー内に水平に装着可能である。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−140240号(第2−3頁、図1〜4)
【特許文献2】
特開2002−262435(第3−5頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記各構造においては、例えばエンジンルーム等のように電気接続箱組付体の上側や側方等に近接して他の部品や構造物やボディパネルが配置され、スペース的に狭い場所においては、套体内に電気接続箱を作業性良く装着することが難しいという問題があった。
【0010】
本発明は、上記した点に鑑み、例えばエンジンルーム等のような狭い場所でも作業性良く容易に且つ確実に套体内に電気接続箱を装着固定させることのできる套体への電気接続箱の組付構造を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る套体への電気接続箱の組付構造は、套体の壁部に切欠開口部が設けられ、該切欠開口部の内側に電気接続箱の先端側を挿入する収容部が設けられ、該収容部の両側に幅狭な壁部が設けられ、該幅狭な壁部と摺接する縁部が該電気接続箱に設けられ、該収容部から電気接続箱挿入反対方向に離間してガイド部が設けられ、該ガイド部に隣接して直交する形状の係止突部が設けられ、該係止突部の内側に係合する突起が該電気接続箱に設けられ、該幅狭な壁部に該ガイド部が設けられ、該ガイド部に対してスライド自在な係合部が該電気接続箱に設けられ、該ガイド部が、該電気接続箱の後半側を支持するガイド壁であり、該係合部が、該ガイド壁を進入させる溝部であることを特徴とする。
上記構成により、例えば套体の上側の切欠開口部に斜め上方から斜めに電気接続箱の先端側が収容部内に挿入され、次いで電気接続箱が下向きに回動されて水平になると同時に、電気接続箱の縁部が套体の幅狭な壁部に沿ってスムーズにスライドし、係止突部の内側に突起が係合して、電気接続箱が套体内に係止固定される。これにより、電気接続箱の挿入反対方向への抜け出しやガタ付きが阻止される。電気接続箱の先端側(前半)は収容部で支持され、基端側(後半)はガイド部で支持される。このように、斜め方向から電気接続箱が挿入されることで、套体回りのスペースが狭く、電気接続箱の水平挿入が困難な場合でも、容易に且つ確実に電気接続箱が套体内に組み付けられる。
【0012】
また、套体の上側の切欠開口部に斜め上方から斜めに電気接続箱の先端側が収容部内に挿入され、次いで電気接続箱が下向きに回動されて水平になると同時に、電気接続箱の係合部に套体のガイド部がスムーズにスライド係合する。電気接続箱は両側のガイド部で幅方向に位置規制される。
また、ガイド壁が溝部内に進入することで、電気接続箱が挿入方向にスムーズに案内され、挿入(装着)後はガイド壁で電気接続箱の横方向の移動やガタ付きが阻止され、正確に位置決めされる。
【0013】
請求項に係る套体への電気接続箱の組付構造は、請求項記載の套体への電気接続箱の組付構造において、前記収容部内に、前記電気接続箱の先端を当接させる壁部と、該電気接続箱の先端側を支持する壁部とが設けられたことを特徴とする。
上記構成により、電気接続箱の先端面が収容部内の例えば垂直な壁部に当接してそれ以上の挿入が阻止され、電気接続箱の先端側の底面が水平な壁部で安定に支持される。
【0015】
請求項に係る套体への電気接続箱の組付構造は、請求項1又は2記載の套体への電気接続箱の組付構造において、前記係止突部が、直交する両辺部に、前記突起に対する傾斜ガイド面を有することを特徴とする。
上記構成により、被係止部である突起が傾斜ガイド面に沿ってスムーズに摺接して直交形状の係止突部内にスムーズ且つ確実に進入する。これにより、電気接続箱の斜め挿入と回動挿入(回動させながら挿入する)がスムーズに行われる。すなわち、電気接続箱が収容部内に挿入されつつ、突起が直交形状の係止突部を乗り越えて係止突部の内側に係合し、電気接続箱が套体内に係止される。電気接続箱を斜め挿入から回動させた際に、突起が係止突部の一方の辺部を乗り越えて係止突部内に係合する。また、電気接続箱を水平に挿入した場合に、突起が係止突部の他方の辺部を乗り越えて係止突部内に係合する。電気接続箱の回動挿入時に係止突部の両辺部の中間を乗り越えて、係止突部内に係合することもある。何れの場合も、突起が直交形状の係止突部に係合することで、二方向(例えば上方向と横方向)の戻り(移動)が阻止される。
【0016】
請求項に係る套体への電気接続箱の組付構造は、請求項記載の套体への電気接続箱の組付構造において、前記係止突部が可撓性の壁部に設けられたことを特徴とする。
上記構成により、電気接続箱の突起が套体の係止突部を乗り越える際に、可撓性の壁部が撓んで、小さな力で一層スムーズに突起が係止突部内に係合する。これにより、一層スムーズに電気接続箱が挿着(挿入係止)される。係止の解除は可撓性の壁部を係止反対方向に撓ませることで容易に行われる。
【0017】
請求項に係る套体への電気接続箱の組付構造は、請求項又は記載の套体への電気接続箱の組付構造において、前記電気接続箱の外縁の段差部に前記溝部が設けられ、該溝部の外側に前記突起が設けられ、前記ガイド壁の外側に前記係止突部が設けられたことを特徴とする。
上記構成により、ガイド壁に対する係合部である溝部が電気接続箱の外縁に設けられているから、電気接続箱の構造が簡素化・コンパクト化される。電気接続箱は溝部の位置である高さ方向中間部をガイド壁で支持される。電気接続箱にスライドレール等の特別な係合部を形成する必要がない。また、ガイド壁の外側に隣接して係止突部やその可撓性の壁部が配置されることで、套体が高さ方向にコンパクト化される。
【0018】
請求項に係る套体への電気接続箱の組付構造は、請求項1〜5の何れか1項に記載の套体への電気接続箱の組付構造において、前記電気接続箱の電気部品装着面を下向きにして該電気接続箱を前記套体に装着することを特徴とする。
上記構成により、套体内に水滴や塵が侵入したり、結露が生じたりした場合に、電気接続箱の上側面に水滴等が付着し、下側の電気部品装着面には付着しないから、耐防水防塵性が向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1〜図6は、本発明に係る套体への電気接続箱の組付構造の一実施形態を示すものである。
【0020】
図1において、套体である合成樹脂製のカバー(ロアカバー)1は側方と上方とに連続した開口3,4を有し、カバー1の右半部と左半部とは垂直な隔壁5で区画され、左半部の上部に、電気接続箱(ジャンクションボックス)2に対する収容部6が設けられ、収容部6から電気接続箱2の挿入反対方向に離間してガイド壁(ガイド部)19,30が設けられている。
【0021】
そして、収容部6内に電気接続箱2の先端側が水平方向又は斜め上方から挿入されつつ、電気接続箱2が下向きに回動され、電気接続箱2の基端側がガイド壁19,30で位置決め及び案内され、係止手段7,8で係止固定される。
【0022】
カバー1は図2〜図4(図2は平面図、図3は図2のA−A断面図、図4は正面図)にも示す如く、短い上側の壁部9と長い下側の壁部10と左右の壁部11,12とを有し、下側の壁部10の左半部にはエンジンルーム内の構造物を避ける凹部13が形成され、凹部13の上側に垂直な壁部14が続き、垂直な壁部14に直交して奥行きの浅い水平な壁部15が続き、水平な壁部15は外壁の一部である上側の垂直な壁部16(図3)に続き、垂直な壁部16は上側の短い水平な壁部17(図3)に続き、平行な上下の壁部15,17の間に電気接続箱2の先端部2a(図1)を側方(水平ないし斜め上方から)から挿入可能で、奥側の垂直な壁部16(図3)は電気接続箱2の先端を当接させる停止壁として作用する。
【0023】
上側の水平な壁部17(図3)は図4の枠状の壁部18を介して上側の外壁である水平な壁部9に続いている。上下の水平な壁部15,17と左右の壁部(図1で左側は外壁11、右側は隔壁5の一部)との間の空間が電気接続箱2の先端部2aに対する収容部6を構成している。
【0024】
図1の如く隔壁5の上部に略長方形のガイド壁(ガイド部)19が立設されて電気接続箱2の挿入方向に下側の水平な壁部15の手前まで水平に延び、ガイド壁19の終端はテーパ状に傾斜し、その傾斜部19aは下側の水平な幅狭の壁部20に続き、幅狭な壁部20はガイド壁19の外側でガイド壁19の始端19bから奥行き側の壁部16(図3)まで延び、ガイド壁19の奥行き側で下側の幅狭な垂直な壁部48に直交して、壁部48を含む下側の略筒状の壁部21に一体に続き、筒状の壁部21は下側隔壁5に一体に続いている。
【0025】
ガイド壁19は電気接続箱2の溝部(係合部)22(図5)にスライド自在に係合し、幅狭な壁部20は電気接続箱2の溝部外側の壁部(縁部)23(図5)をスライド自在に受ける。幅狭な壁部20(図1)の上側には、水平な上側の壁部9に続く鍔状の幅狭な壁部24が対向して設けられている。
【0026】
ガイド壁19の外側には垂直な略長方形の可撓性の壁部25が平行に設けられ、可撓性の壁部25は下側を水平なスリット27(外側の可撓性の壁部26を参照)で切欠され、可撓性の壁部25の先端25aは側方の開口3に向き、可撓性の壁部25の基端は、上下の水平な幅狭な壁部20,24を結ぶ垂直な壁部27に同一面で続き、可撓性の壁部25は板厚(左右)方向に撓み自在であり、可撓性の壁部25の先端側の内面には、ガイド壁19に対向してL字状の係止突部(係止部)7が設けられている。
【0027】
係止突部7は図3にも示す如く上側の水平な長辺部28と可撓性の壁部25の先端側の垂直な短辺部29とで構成され、両辺部28,29には外側のテーパ状のガイド傾斜面28a,29aが形成され、両辺部28,29の内側には可撓性の壁部25に直交する係止面28b,29bが形成され、ガイド傾斜面28a,29aに沿って電気接続箱2の係合突起(被係止部)8(図1)を係止突部7の内側に進入係合可能である。可撓性の壁部25は持ち式の弾性係止アームとして作用する。
【0028】
図1で隔壁5側の可撓性の壁部25と対称に左側の外壁11にも同様な可撓性の壁部26が設けられ、可撓性の壁部26の内面に同様なL字状の係止突部7が対称に設けられている。可撓性の壁部26の内側には前記同様なガイド壁(ガイド部)30がほぼ対称に設けられている(図2,図4参照)。可撓性の壁部26の基端は垂直な外壁11に続き、外壁11は上側の水平な鍔状の幅狭な壁部31に続き、上側の幅狭な壁部31に対向して下側の幅狭な壁部32が右側の幅狭な壁部20と対称に形成され、幅狭な壁部32は内側で下側の垂直な壁部49(図4)に直交して続いている。
【0029】
図4の如く左右のガイド壁19,30は隙間を存して可撓性の壁部25,26の各係止突部7に対向している。収容部6の奥側の垂直な壁部16に縦方向の突条(図示せず)を設けて、突条に電気接続箱2の先端面を突き当てて停止させることも可能である。
【0030】
図1で、カバー1の上下には、車両ボディに対する固定用のブラケット33や孔部34が設けられている。カバー1の右半部には例えばリレーブロック(図示せず)が水平方向にスライド挿着される。カバー1の上下の壁部9,10にはアッパカバー50(図7)やサブロアカバー51(図7)を係止させるための係止枠部35,36が設けられている。これらの構造については別出願で提案する。
【0031】
電気接続箱2は図5(平面図),図6(側面図)の如く、矩形状のケース38の水平な基壁(電気部品装着面)39上に複数のブレード型のヒューズ40やリレー41といった電気部品や雌型のコネクタ42を有し、ケース38の内部にこれらヒューズ40やリレー41に接続した回路基板等(図示せず)を有している。コネクタ42内の端子43も回路基板の回路(図示せず)に続いている。
【0032】
コネクタ42に外部ワイヤハーネス等のコネクタ(図示せず)が接続される。各電気部品40,41やコネクタ42はケース38の先端側部分を除く部分に配置されている。
【0033】
図6の如くケース38の電気部品装着部とは反対側に一回り大きな面積の矩形状のカバー44が設けられ、カバー44の前後左右の周壁45とケース38の周壁46との段差部分47に図5の矩形環状の溝部22が形成され、溝部22が図1のカバー1のガイド壁19,30にスライド係合する。カバー44の表面は平坦に形成されている。カバー44の両側の外面に係合突起8が設けられている。係合突起8はL字状の係止突部7に対する摺接用のテーパ面(図示せず)を有していてもよい。
【0034】
電気接続箱2を図5とは上下逆にし、電気接続箱2の先端部を図1のカバー1の収容部6に挿入した状態で、外部ワイヤハーネスのコネクタからの導出電線(図示せず)が収容部6の下側の水平な壁部15の手前側の空室を経て外部に導出される。なお、電気接続箱1はジャンクションブロックや接続ユニット等と呼ばれてもよく、あるいはECU(電子制御ユニット)等を含むものであってもよい。
【0035】
以下にカバー1への電気接続箱2の組付方法を説明する。
先ず、組付作業者やメンテナンス作業者は図5の電気接続箱2を上下逆にして持ち、図1のカバー1に対して電気接続箱2をやや斜め上方から収容部6に向けて挿入する。カバー1は予め車両ボディ等に固定されている。カバー1の上壁9は大きく切欠されているから、その切欠開口部4a(図2)から電気接続箱2の先端部2aが収容部6内に斜めに挿入される。
【0036】
次いで電気接続箱2を下向きに回動させることで、カバー1の左右一対のガイド壁19,30が電気接続箱2の左右の溝部22に進入し、電気接続箱2が左右のガイド壁19,30に沿って収容部6内に水平な姿勢で挿入され(斜めから水平に移行する)、電気接続箱2の後半の溝部22がガイド壁19,30で安定に支持され、電気接続箱2の前半(挿入先端側)の平坦な基壁39(図5)が左右の水平な細幅の壁部20,32(図1)及び/又は下側の水平な壁部15で安定に支持される。
【0037】
さらに電気接続箱2は左右のガイド壁19,30で左右の位置決めがなされ、横方向のガタ付きが防止される。ガイド壁19,30が電気接続箱2(図5)の溝部22に進入することで、電気接続箱1が左右方向に位置ずれやガタ付きなく確実に保持される。
【0038】
また、電気接続箱2は挿入と同時にカバー1の左右の可撓性の壁部25,26のL字状の係止突部7で係止される。すなわち、電気接続箱2の挿入完了直前に係合突起8(図1)がL字状の係止突部7の傾斜面28a,29a(図3)に沿って移動しつつ可撓性の壁部25,26を外側に撓ませつつ、係止突部7を乗り越えて、挿入完了と同時に可撓性の壁部25,26が弾性的に復元して、係止突部7の内側の凹部空間内に係合突起8が係合する。これにより、電気接続箱2の後部が上向き及び後退方向に不動に固定される。電気接続箱2の前部は収容部6の前側及び上下左右の壁部15〜17(図3),48〜49(図4)に当接して固定される。
【0039】
また、L字状の係止突部7には上側と後側とにそれぞれテーパ状のガイド傾斜面28a,29a(図3)が形成されているから、電気接続箱1を斜め上方から斜め下向きに収容部6内に挿入する際に、上側の水平なガイド傾斜面28aに沿って係合突起8(図1)がスムーズに摺接し、それによって斜め方向の挿入が可能となり、斜め上方からではなく水平に電気接続箱2を挿入する場合には、後側の垂直なガイド傾斜面29a(図3)に沿って係合突起8がスムーズに摺接し、それによって水平方向からの挿入も可能となる。好ましくは斜め上方から挿入する方が後部開口3側の外部構造物等に電気接続箱2を干渉させることなく、小さなスペースでスムーズに挿着可能である。
【0040】
電気接続箱2をカバー1内に装着した後、カバー1に略L字状のアッパカバー50(図7)を装着する。少なくとも各カバー1,50,51と電気接続箱2とで電気接続箱組付体70(図7)が構成される。電気接続箱2は下面側にヒューズ40やリレー41等の電気部品やコネクタ43を有しているから、万一、水滴等がカバー1内に浸入等しても、電気部品40,41やコネクタ42に水滴等が直接付着する心配はない。
【0041】
図7の如く、他方の套体(カバー)であるアッパカバー50は上側の壁部53と後側の壁部54と左右の短い壁部55とで略L字状に形成され、上側と後側の各壁部53,54の交差部の近傍において後側の壁部54の内面側に、電気接続箱2のカバー44の後端面(基端)44aに対する押え部52を有している。
【0042】
押え部52は後側の壁部54から内向きに膨出形成され、アッパカバー50の閉止状態で垂直に位置する長方形状の平坦な押え面(符号52で代用)を有している。アッパカバー50を閉止することで、押え部52が電気接続箱2の後端面44aに当接し、電気接続箱2の後方へのガタ付きを防止し、前記係止手段7,8による電気接続箱2の係止を補助する。
【0043】
電気接続箱2はロアカバー1の収容部6内の上下の壁部17,15(図3)で上下方向のガタ付きなく固定され(ガタ規制され)、且つロアカバー1の左右の可撓性の壁部25,26やガイド壁19,30で左右方向のガタ付きなく固定され、且つアッパカバー50の押え部52とロアカバー1の前側の壁部16とで前後方向に挟持されて前後方向のガタ付きなく固定される。
【0044】
メンテナンス等で電気接続箱2をカバー1から引き出す際は、アッパカバー50を外し、左右一対の可撓性の壁部25,26を手で外側に撓ませて係止を解除させることで、引き出しを容易に行うことができる。電気接続箱2の引き出し方向は挿入方向とは逆に斜め上向きに行うことで、狭いスペースに対応して容易に且つ確実に電気接続箱2の脱着を行うことができる。
【0045】
なお、カバー1側のL字状の係止突部7の外側形状は略L字でもよく、各ガイド傾斜面28a,29aはテーパ状ではなく湾曲状の面でもよく、略L字状に滑らかに続いていてもよい。また、可撓性の壁部25,26と係止突部7は一対ではなく左右何れか一方だけとすることも可能である。また、ガイド壁19,30に板厚方向のある程度の可撓性を付与すれば、電気接続箱2の溝部22との位置ずれ(位置誤差)を吸収して、電気接続箱2のよりスムーズな装着が可能である。また、サブロアカバー51をロアカバー1の一部として一体に形成することも可能である。
【0046】
また、上記電気接続箱組付体は自動車のエンジンルームに限らず、あらゆる狭いスペース位置に適用可能である。また、図1でカバー1を90゜反転して上側の壁部を前側又は側方に位置させたり、あるいは180゜反転して上下逆して使用することも可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、套体に対して斜め方向から電気接続箱を挿入可能としたことで、たとえ套体回りのスペースが狭く、電気接続箱の水平挿入が困難な場合でも、容易に且つ確実に電気接続箱の組み付けを行うことができる。また、電気接続箱を装着と同時に套体内に係止固定して、套体からの電気接続箱の抜け出しを阻止できると共に、抜け出し方向のガタ付きを防止して、車両走行中の振動等に対処することができる。
【0048】
また、電気接続箱の係合部に套体のガイド部をスライド係合させることで、電気接続箱を幅方向に位置規制して、電気接続箱の幅方向のガタ付きを防止することができる。また、ガイド壁を溝部に係合させて電気接続箱の横方向の移動やガタ付きを確実に阻止できるから、車両の振動等に対する固定性や耐震性が向上する。また、電気接続箱を套体内に正確に位置決めできるから、係止手段に対する位置等が正確に規定され、電気接続箱の係止固定が確実に行われる。
【0049】
請求項記載の発明によれば、電気接続箱の先端側を套体の収容部内に安定に保持させることができるから、套体の前記ガイド部で電気接続箱の基端側を支持させて、電気接続箱を水平方向に安定に保持させることができる。
【0051】
請求項記載の発明によれば、突起が係止突部の傾斜ガイド面を摺接することで、套体への電気接続箱の斜め挿入と回動挿入(回動させながら挿入する)がスムーズ且つ確実に行われ、電気接続箱の組付作業性が向上する。また、套体に対する電気接続箱の斜め挿入と回動挿入に対応して、電気接続箱の突起が套体の係止突部に確実に係合し、係止後は二方向(例えば上方向と横方向)への電気接続箱の戻り(移動)が確実に阻止されて、係止の信頼性が向上する。
【0052】
請求項記載の発明によれば、突起と係止突部との係合時に可撓性の壁部が撓むことで、電気接続箱が套体内に一層スムーズに挿着され、電気接続箱の組付作業性が一層向上する。また、係止の解除も可撓性の壁部を係止反対方向に撓ませることで容易に行うことができる。
【0053】
請求項記載の発明によれば、溝部が電気接続箱の外縁に設けられ、電気接続箱にスライドレール等の特別な係合部を形成する必要がないから、電気接続箱の構造が簡素化・コンパクト化・低コスト化される。また、ガイド壁の外側に隣接して係止部(係止突部)やその可撓性の壁部を配置したことで、套体が高さ方向にコンパクト化される。
【0054】
請求項記載の発明によれば、電気接続箱を水滴等から容易に且つ安全に保護することができ、電気接続箱の経時的な品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る套体への電気接続箱の組付構造の一実施形態としてのカバーと電気接続箱の形態を示す斜視図である。
【図2】同じくカバーを示す平面図である。
【図3】同じくカバーを示す図2のA−A断面図である。
【図4】同じくカバーを示す正面図である。
【図5】電気接続箱の一形態を示す平面図である。
【図6】同じく電気接続箱を示す側面図である。
【図7】電気接続箱を収容したカバーに他方のカバーを閉止させる状態を示す斜視図である。
【図8】従来の套体への電気接続箱の組付構造の一形態を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 カバー(ロアカバー又は一方の套体)
2 電気接続箱
4a 切欠開口部
6 収容部
7 係止突部(係止部)
8 係合突起(被係止部)
9 壁部
15,16 壁部
19,30 ガイド壁(ガイド部)
22 溝部(係合部)
23 壁部(縁部)
25,26 可撓性の壁部
28,29 辺部
28a,29a 傾斜ガイド面
39 電気部品装着面
47 段差部

Claims (6)

  1. 套体の壁部に切欠開口部が設けられ、該切欠開口部の内側に電気接続箱の先端側を挿入する収容部が設けられ、該収容部の両側に幅狭な壁部が設けられ、該幅狭な壁部と摺接する縁部が該電気接続箱に設けられ、該収容部から電気接続箱挿入反対方向に離間してガイド部が設けられ、該ガイド部に隣接して直交する形状の係止突部が設けられ、該係止突部の内側に係合する突起が該電気接続箱に設けられ、該幅狭な壁部に該ガイド部が設けられ、該ガイド部に対してスライド自在な係合部が該電気接続箱に設けられ、該ガイド部が、該電気接続箱の後半側を支持するガイド壁であり、該係合部が、該ガイド壁を進入させる溝部であることを特徴とする套体への電気接続箱の組付構造。
  2. 前記収容部内に、前記電気接続箱の先端を当接させる壁部と、該電気接続箱の先端側を支持する壁部とが設けられたことを特徴とする請求項記載の套体への電気接続箱の組付構造。
  3. 前記係止突部が、直交する両辺部に、前記突起に対する傾斜ガイド面を有することを特徴とする請求項1又は2記載の套体への電気接続箱の組付構造。
  4. 前記係止突部が可撓性の壁部に設けられたことを特徴とする請求項記載の套体への電気接続箱の組付構造。
  5. 前記電気接続箱の外縁の段差部に前記溝部が設けられ、該溝部の外側に前記突起が設けられ、前記ガイド壁の外側に前記係止突部が設けられたことを特徴とする請求項又は記載の套体への電気接続箱の組付構造。
  6. 前記電気接続箱の電気部品装着面を下向きにして該電気接続箱を前記套体に装着することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の套体への電気接続箱の組付構造。
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