JP4027851B2 - 像担持体の振動吸収方法およびプロセスカートリッジおよび画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、像担持体の振動吸収方法およびプロセスカートリッジおよび画像形成装置に関し、さらに詳しくは、薄肉構造からなるベルト状基体やドラムを用いた潜像担持体あるいは転写の際の可視像担持体などの像担持体に発生する振動共鳴による騒音発生を防止する構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機等の画像形成装置においては、帯電、書き込み、現像および転写の各工程が潜像担持体である感光体を対象として実行され、転写行程において記録紙などの記録媒体に転写されたトナー像が定着されることにより複写物あるいは印刷出力として得られるようになっている。
【0003】
感光体に対する帯電行程に用いられる構成としてはコロナチャージャを用いて気中放電を利用する非接触耐電方式を採用した構成がある。しかし、この構成では、放電時にオゾンや窒素酸化物などの放電生成物が発生し、環境悪化や感光体上での耐電特性の悪化を招く虞がある。そこで、気中放電に代えて、低電圧の印加が可能で上述した不具合を発生することがない接触帯電方式が提案されている。
接触帯電方式の一つとして、導電性のブラシやローラあるいはブレードを感光体表面に接触させて両者間に電圧を印加することにより電荷注入を行う構成が知られている。
【0004】
上記方式においては、低電圧の印加が可能で、しかも上述した放電生成物の発生がないものの、感光体と直接接触していることにより感光体上に残留しているトナーなどの付着物が逆転移しやすく、逆転移した付着物により電荷注入が阻害されて帯電特性の悪化を招く虞がある。さらに加えて、長時間帯電行程で実行されずに帯電部材が放置されてしまうと、感光体と接触している帯電部材の一部が永久歪みを生じて変形し、再度帯電行程を実行する際には感光体表面との間での一様接触が行えなくなり、これにより帯電ムラが発生する虞が生じる。
【0005】
上記不具合を解消する目的で、感光体と帯電部材との間に微小な所定間隙を維持させて帯電部材を配置し、感光体と帯電部材とを非接触名状態の帯電範囲を形成する装置が提案されている。
上記装置は、非接触帯電と接触帯電との各帯電方式の中間的な構成であり、感光体と導電性のブラシやローラあるいはブレードなどの帯電部材との間に微小な間隙を設け、直流電圧のみあるいは交流を重畳した直流電圧を印加して帯電を行う方式(近接帯電方式)が近年採用されるに至っている。
【0006】
近接帯電方式を採用する構成としては、帯電部材をローラとして場合、帯電ローラの軸方向両端に間隙設定用としての所定厚さのフィルムを捲装し、フィルムの厚さにより微小間隙の大きさを所定寸法に規定する構成が用いられている。
【0007】
上記微小間隙は所定寸法に維持されることが帯電特性を変化させないための重要な条件となる。ちなみに、上記間隙寸法が維持されていることを前提とした場合、比較的設定が容易な直流電圧の印加により一様帯電が可能となるが、その間隙寸法が大きく変化してしまうと、大きくなる変化に応じて帯電電位が変化してしまうことがある。そこで、従来では、直流電圧に対して交流電圧を重畳して間隙隙間が変化した場合でも一様な帯電特性が得られるように工夫することが行われている。
【0008】
一方、帯電装置と同様に帯電特性、つまりバイアス特性を設定する装置として、現像装置がある。
現像装置には一成分系あるいは二成分系現像剤を用いる方式が知られており、二成分系現像剤を用いる装置では、絶縁性トナーに対して磁性体からなるキャリアを含む現像剤を攪拌・混合部材により攪拌・混合してトナーをキャリアに帯電付着させたうえで感光体に現像剤を接触させるようになっている。
現像装置に用いられる現像剤担持体には、現像剤を表面に担持可能な現像スリーブが用いられ、その内部にS極とN極とが交互に複数並置された磁気ロールが設けられている。現像担持体では、磁気ロールによる磁力によって現像剤を汲み上げ、現像担持体表面上で現像剤をブラシ状に穂立ちさせた状態で磁気ブラシを形成する。
【0009】
磁気スリーブ表面に担持されている磁気ブラシは、感光体上において画像情報あるいは原稿画像に基づき形成された静電潜像に接触すると、現像剤担持体である磁気スリーブと感光体との間に印加される現像バイアスにより磁気ブラシ中のトナーが静電潜像に静電吸着されてトナー像を形成するようになっている。
【0010】
現像バイアスとしては、現像能力を増加させ、かつ静電潜像に忠実に現像を行ってドットの均一性を向上させるために、直流電圧に対して交流電圧を重畳し、現像担持体から感光体にトナーを移動させるための第1ピーク値V1と、感光体から現像担持体にトナーを移動させるための第2ピーク値V2とを有するバイアスが用いられ、現像担持体と感光体との間の現像領域に振動電界を形成して帯電したトナーを感光体上の静電潜像に付着させる方法が知られている。
【0011】
直流電圧に交流電圧を重畳する交流電圧としては、図12に示すような矩形波を用いる場合、図13に示すようなサイン波を用いる場合、図14に示すような三角波さらには、図15に示すようなデューティバイアス等が用いられる。
【0012】
図15に示したデューティバイアスを用いる場合には、波形の1/2値と時間積分平均値とが異なり、図15においては、トナーを現像スリーブから感光体に向かう方向に付勢する電界を形成する第1ピーク値V1が印加される時間とトナーを感光体から現像スリーブに向かう方向に電界を形成する第2ピーク値V2が印加される時間とで構成されるバイアスが用いられる。
【0013】
デューティバイアスを用いる場合には、交流電圧の周波数やデューティ比さらには交流電圧の最大値(Vmax)−最小値(Vmin)であるピークトゥピーク(peak to peak)値を最適化することにより効率よくトナーを感光体の画像部に付着させたりあるいは非画像部にトナーを付着させないようにしたり、さらには潜像に忠実なトナードットの均一性を向上させながら画像濃度を高めるためのコントロールが可能である。
【0014】
現像剤の他の一つである一成分系現像剤を用いる方式においては、現像装置の現像剤担持体である現像スリーブを感光体と非接触に保持しながら感光体上の静電潜像を現像するジャンピング現像法が知られている。
ジャンピング現像法は、静電潜像担持体に対向した状態でS極とN極とを交互に複数配置した磁気ロールが固定配置されている現像スリーブ上に一成分現像剤を層形成し、直流成分に交流成分を重畳した現像バイアスを現像スリーブに印加することにより、現像領域においてトナーの穂(ブラシ)を形成するとともに、現像剤(トナー)が感光体上の静電潜像に飛翔、付着し、かぶりトナーを現像スリーブ方向に戻すことによって、潜像をトナー像として可視化する方法である。
【0015】
一成分系現像剤を用いる場合においても、二成分系現像剤を用いる場合と同様に、現像バイアス方式として、上述したピークトゥピーク(peak to peak)値を変化させたり、周波数やデューティ比を変化させることにより効率よくトナーを感光体の画像部に付着させたりあるいは非画像部にトナーを付着させないようにすることができ、さらには、トナードットの均一性を向上させながら画像濃度を高めたりすることが行われる。
【0016】
帯電装置および現像装置で実行されるバイアス特性の設定によっては、交流電圧を印加することにより感光体の移動時に騒音を発生することがある。これは次の理由による。
感光体は比較的軽量材質で導電性を有する芯金、具体的にはアルミニュウムを薄肉構成した円筒や、ニッケルなどの金属製のベルト状基体が用いられ、比較的共振しやすい構造が用いられている。しかも、感光体には帯電、現像行程に用いられる装置だけでなく、書き込み、転写およびクリーニング行程を実行するための装置が対向して配置されており、特に、感光体に対しては、帯電および現像行程の他にクリーニング行程を実行する装置が近接配置されている。このため、交流電圧印加時での振動電界により感光体自体が共振しやすくなり、また、クリーニング装置に設けられているクリーニングブレードなどの当接部材の存在により感光体との間でクリーニングブレードが引き摺られる際の形状変形および形状復元の繰り返しにより薄肉の円筒部で振動が発生し、感光体の共鳴により騒音を発生してしまうことになる。
【0017】
従来、上述した騒音発生を抑制するための構成として、感光体を中実、つまり、円柱状にした構成(例えば、特許文献1)、感光体の内部に少なくとも2つ以上の弾性体と円柱部材とを装填して薄肉円筒の周壁の共振を抑えるようにした構成(例えば、特許文献2)が提案されている。さらに、円筒状潜像担持体内に振動吸収部材を設けて騒音の発生を抑制するようにした構成も本出願人により提案されている(例えば、特許文献3)。
【0018】
【特許文献1】
特開平7−72641号公報(段落「0018」欄)
特開平11−184308号公報(段落「0014」欄)
【特許文献3】
特開2003−43862号公報(段落「0054」欄)
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
上記各公報に開示されている構成による騒音防止構造においては、感光体のコスト上昇や構成の複雑化を招く虞がある。つまり、中実体で感光体を構成した場合には材料コストの上昇を招くだけでなく、重量の増加により回転駆動力の増加による慣性力の増加などの弊害を招く。しかも、重量増加により感光体の交換時での可搬性の悪化を招き、感光体表面を損傷させたり交換する際に落としたりした場合にはその重量により交換する人に危害が及ぶ虞がある。
感光体内部に複数の制振構造を備えた場合には、それら各構造を設置するための部品点数や組み立て工数の増加によるコスト上昇は否めない。
さらにドラム状の潜像担持体内に振動吸収部材を配置した構成では、潜像担持体がドラム状の場合のみに対応可能であり、レイアウト自由度の高いベルト状の潜像担持体への対応は考慮されておらず、ドラムと違って展張部分での振動伝搬が顕著となるベルトへの適用はその構成上、難しいのが現状である。
【0020】
本発明の目的は、上記従来の騒音発生防止構造における問題に鑑み、ベルトなどの薄肉構造からなる像担持体を用いた場合の構成を前提として、交流バイアスによる共振現象をコスト上昇を招くことなく達成することにより騒音の発生を確実の抑制することが可能な構成を備えた像担持体の振動吸収方法およびこれを用いるプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することにある。
【0021】
請求項1記載の発明は、ベルト状基体等の薄肉部材からなる像担持体およびこれに対向近接してバイアス特性を設定される装置を備えた構成を対象とした像担持体の振動吸収方法であって、上記像担持体は、上記バイアス特性を設定される装置との対向面と反対側で上記バイアス特性を設定する装置と対向して振動吸収部材が少なくとも一部を接触させた状態で配置され、上記振動吸収部材は、上記像担持体に用いられるベルト状基体であるベルトの表面に当接するローラで構成され、該ローラは上記ベルトの表面に当接する表面が高振動吸収材で構成されていることを特徴としている。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記振動吸収部材は、上記ベルト状基体におけるベルト表面に当接するローラが用いられ、該ローラはベルトの駆動ローラが該当していることを特徴としている。
【0026】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の像担持体の振動吸収方法において、上記振動吸収部材は、損失正接tanδが0.5以上に設定されていることを特徴としている。
【0027】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のうちの一つに記載の像担持体の振動吸収方法において、上記薄肉部材からなるベルト状基体が、静電潜像担持体であることを特徴としている。
【0028】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のうちの一つに記載の像担持体の振動吸収方法において、上記薄肉部材からなるベルト状基体が、画像転写の際に用いられる像転写ベルトであることを特徴としている。
【0029】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のうちの一つに記載の像担持体の振動吸収方法を用いるベルト状基体およびこの基体に対して画像形成処理工程を実行する帯電装置、現像装置およびクリーニング装置のうちの少なくとも一つを装備して収容した収容空間を有し、これら収容された装置を一纏めにして交換可能な構成とされているプロセスカートリッジであることを特徴としている。
【0030】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至5のうちの一つに記載の像担持体の振動吸収方法を用いることを特徴としている。
【0031】
請求項8記載の発明は、請求項6記載のプロセスカートリッジを用いる画像形成装置であることを特徴としている。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図示実施例により、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す模式図であり、同図に示されている画像形成装置100は、薄肉部材からなる像担持体の一つである感光体がベルト状基体で構成されている(以下、便宜上、感光体ベルト101という)。
感光体ベルト101は、複数のローラ102〜104に掛け回されて、矢印Aで示す方向に移動することができるようになっている。感光体ベルト101の周辺には、移動方向Aに沿って画像形成処理を行うための帯電装置105,書き込み装置(図1では、光路のみが示されている)106,現像装置107,転写装置108およびクリーニング装置109がそれぞれ配置されている。
【0036】
図1に示す感光体ベルト101は、下向き三角形状となるように各ローラ102〜104の配置位置が決められており、その形状での下側頂点位置が転写位置とされている。
【0037】
帯電装置105は、バイアス特性を設定される装置の一つであり、図1および図2に示すように、感光体ベルト101に対して所定間隔(G)を設定されて近接する帯電ローラ105Aを有する非接触方式が採用された装置である。帯電ローラ105Aには、その支軸105Bの軸方向両端がバネなどの弾性体105Cにより感光体ベルト101に向けて付勢されており、この付勢による変位は、帯電ローラの軸方向両側の周面に捲装されたフィルムで構成されている突き当て部材105Dによって規定されている。突き当て部材105Dは、帯電ローラ105Aの周面から感光体ベルト101に向けて突出する突き当て部材に相当している。
【0038】
本実施形態では、突き当て部材105Dによる所定間隔(G)は、現像装置107において用いられる現像剤の形式によって設定されており、現像剤が磁性トナーのみを用いる一成分系現像剤の場合には300μm以下とされ、トナーと磁性キャリアとを混合したに成分系現像剤の場合には500μm以下とされ、この間隔は弾性体105Cの付勢により維持されるようになっている。所定間隔の違いは、共に使用される現像剤の違いに関係なく直流電圧およびこれに加えて交流電圧を印加した際の現像能力の悪化を防止することができるようになっている。
【0039】
突き当て部材105Dにより規定されている所定間隔Gを介して帯電ローラ105Aは、図示しない制御回路を介して、直流(DC)−700Vの定電圧制御により直流電圧が印加されると共に交流電圧が低電流制御により印加されることにより感光体ベルト101に対して気中放電することにより感光体ベルト101を一様帯電するようになっている。
【0040】
帯電装置105により一様帯電された感光体ベルト101は、その移動過程において書き込み装置106による光書き込みによって画像情報あるいは原稿画像に対応する静電潜像が形成され、その静電潜像が現像装置107から供給される現像剤(トナー)により可視像処理される。
可視像処理されたトナー像は図示しない給紙装置から繰り出された記録紙Sに対して感光体ベルト101における三角形の下側頂点に位置するローラ103に対向して設けられている転写ローラで構成される転写装置108を介して転写される。転写されたトナー像は図示しない定着装置により記録紙S上に定着されて排出される。転写後の感光体ベルト101は、クリーニング装置109により残留トナーおよび残留電荷を除去され、再度帯電装置105に向けて移動することにより磁界の画像形成に備えられる。
【0041】
帯電装置105の構成としては、感光体ベルト101に対して非接触な状態で設けられているローラを用いる構成に限らず、接触した状態の構成あるいは帯電部材として導電性のブラシを用いる構成さらには磁性粒子を用いた磁気ブラシを用いる構成とすることも可能である。
【0042】
図3は、感光体ベルト101の支持構成に関する図であり、同図において、感光体ベルト101は、先に説明したように複数のローラ102〜104に掛け回されており、その一つである帯電装置と対峙する位置に設けられているローラ102は、その表面に振動吸収部材110が設けられている。
振動吸収部材110は、ブチルゴムあるいはニトリルゴムなどの弾性体からなる高振動吸収材110Aが用いられている。
【0043】
振動吸収部材110は、ローラ102の表面に設ける構成に代えて、図4に示すように、ローラ102が円筒状ローラである場合にその内部に圧入されることにより装填されたブロック状の高振動吸収材110B、あるいは図5に示すように中空体で構成されたブロック状の高振動吸収材110Cとすることができる。いずれの構成においても、振動吸収部材110は、ブチルゴムあるいはニトリルゴムなどの弾性体が用いられる。振動吸収部材110は、設置箇所として、ローラ102における軸方向で最も撓み変形が発生しやすい箇所にあるいはその箇所を含む領域に設けられる。
【0044】
高振動吸収材110Aあるいは高振動吸収ブロック材110B、110Cは、いずれも損失正接δが0.5以上に設定されている。
損失正接δは、高振動吸収材110A、あるいは高振動吸収ブロック材110B、110Cとして用いられる材料での応力と歪みの位相角:δ(損失角)の正接(tan(タンゼント))を意味し、材料固有の制振効果を示す値であり、大きいほど制振効果が大きいとされている。このため、本実施形態では、高振動吸収材110A、高振動吸収ブロック材110B、110Cの構成に関係なく少なくとも損失正接δを0.5以上とすることにより、耳障りな騒音の発生を抑制するようになっている、損失正接δの値設定に関する実験結果については後で説明する。
【0045】
本実施形態は、以上のような構成により、バイアス特性を設定される装置の一つである帯電装置105において直流およびこれに加えて交流電圧が印加されると、帯電装置105において振動電界により薄肉状部材に相当する感光体ベルト101が共振振動を発生する。
【0046】
感光体ベルト101において発生する共振振動は感光体ベルト101が接触しているローラ102により吸振されて抑制されることになるので、感光体ベルト101での共振振動が抑制され、共振振動による騒音の発生が防止されることになる。特に感光体ベルト101は、その構成からして薄肉状をなし、共振振動が発生しやすいものであるが、その共振振動が発生した場合にローラ102の振動吸収部材110である高振動吸収材110Aあるいは高振動吸収材110B、110Cによる吸振機能により制振されるので騒音の発生が殆どない状態を維持されることになる。
【0047】
上記実施形態における構成の変形例として、上記振動吸収部材110が設けられているローラとして感光体ベルト101の駆動ローラを用いるようにしても良い。この場合には、感光体ベルト101との間に駆動力を伝達させるために接触状態が他のローラに比べて強い状態にある駆動ローラに振動吸収部材110を設けることにより感光体ベルト101に発生している共振振動を最も良く受け止めることができるので、感光体ベルト101での共振振動を効率よく制振することができる。
【0048】
次に本発明の別の実施形態について説明する。
本実施形態は、感光体ベルト101側に振動吸収機能を持たせたことを特徴としている。
図6は、感光体ベルト101における内側の面に感光体ベルト101をガイドする機能を有する支持板111において振動吸収部材110を設けた構成を示している。つまり、支持板111は剛体からなる平板状の部材で構成され、感光体ベルト101と対向する面と反対側に前述した構成と同様な振動吸収部材110が設けられている。
【0049】
図7は、図6に示した構成におけるバイアス特性を設定される装置の一つである帯電装置105が感光体ベルト101をはさんで支持板111と対向する位置に配置されている構成を示しており、この場合においても支持板111における感光体ベルト101と対向する面と反対側に振動吸収部材110が設けられている。
【0050】
本実施形態においては上記構成により、帯電装置105による直流および交流電圧をそれぞれ重畳したバイアスが印加された際に帯電装置105で発生する振動が感光体ベルト101に伝播されると感光体ベルト101が共振振動を発生するがその共振振動は感光体ベルト101に接触している支持板11に伝わると振動吸収部材110によって吸振されることになる。これにより、感光体ベルト101の共振振動が抑制され、騒音の発生が防止されることになる。
【0051】
次に感光体ベルト101自体に騒音の発生を防止する機能を持たせた構成について説明する。
図8は、感光体ベルト101の断面を示しており、同図において、感光体ベルト101は、薄肉金属などからなる基体101Aの表面に感光層101Bが積層配置されて構成されており、基体101Aをはさんで感光層101Bと反対側にはブチルゴムやニトリルゴムなどを用いた弾性体で構成されている振動吸収部材110が接合されている。
【0052】
図8に示す構成においては、基体101Aをはさんで感光層110Bと反対側に振動吸収部材110が設けられているので、感光体ベルト101に発生する振動が振動吸収部材110による吸振によって抑制され、感光体ベルト101での共振振動が抑制されて騒音の発生が防止される。
【0053】
以上のような実施形態においては、帯電装置105を対象として振動発生源を開示したが、感光体ベルト101に接触しながら振動を発生する装置としては、クリーニングブレードを備えたクリーニング装置109があり、クリーニングブレードの引き摺り変形およびこの変形からの形状復元時での引き摺りによる振動も帯電装置105による共振振動と同様に吸振されることになる。また、本発明における画像形成装置は、複写機やプリンタあるいはファクシミリ装置や印刷装置を含むこと勿論である。
【0054】
上述した実施形態における感光体ベルト101は、これに対する画像形成処理のうちの帯電工程、現像行程およびクリーニング行程に用いられる装置の何れか若しくはそれら各装置を纏めて収容する空間を有したプロセスカートリッジに装備されてメンテナンス時等に画像形成装置から取り出して交換することができるようになっている。
図9は、図1に示した構成を対象としてプロセスカートリッジを用いた場合の構成を示しており、同図において、感光体ベルト101の周囲に設けられている帯電装置105およびクリーニング装置109は、プロセスカートリッジ200をなすケーシングにより一体的に支持されている。
プロセスカートリッジ200は、図示しない摺動機構を介して画像形成装置100に対して挿脱可能に支持されており、画像形成装置100内に配置されている場合には、通常の画像形成処理、つまり、帯電後の書き込み処理による静電潜像形成、現像処理による可視像処理、給紙装置201から繰り出されるシートへの転写処理、定着装置202による可視像の定着処理および転写後の感光体ベルト101に対するクリーニング処理が行われる。交換時には、プロセスカートリッジ200を画像形成装置100から外部に引き出し、メンテナンス終了に伴い、再度、画像形成装置100内に挿入される。
【0055】
図10は、薄肉部材からなる像担持体として、転写される可視像を担持可能な像転写体を薄肉部材からなるベルト状基体で構成した、いわゆる、像転写ベルト(以下、転写ベルト203という)として用いた場合を示している。
図10に示す画像形成装置100’は、フルカラーなどの多色画像を形成可能な構成を備えており、このため、現像装置(便宜上、符号107’で示す)は、色分解色と補色の関係にある色の現像剤を供給可能な現像部が周方向に並置されて回転可能なリボルバー構造が用いられ、設置スペースを省スペース化する構成となっている。この場合の感光体としては、各現像部に順次対面可能なドラム(便宜上、符号205で示す)が用いられている。
【0056】
図10に示した画像形成装置100’においても、先の構成に挙げた感光体ベルト101と同様に、ベルトが掛け回されているローラに振動吸収部材を設けられており、図10に示す構成では、転写ベルト203のクリーニングに用いられるクリーニングブレード204と対峙する位置のローラ(便宜上、符号203Aで示す)の表面に、図3に示した構成の振動吸収部材が設けられている。このローラ104’に振動吸収部材を設けた理由は、クリーニングブレードの構造にある。つまり、図10に示すクリーニングブレード204は、転写ベルト203に対して接離する構成となっているためにクリーニングブレード204が転写ベルト203に接触した際に感光体ベルトの場合と同様に異音が発生することになるので、この箇所に振動吸収部材を設けることで異音の発生を防止することができる。
【0057】
図10に示した構成においても、図9に示した場合と同様に、感光体ドラム205、帯電装置105,クリーニング装置109がケーシングからなるプロセスカートリッジ200’により一体的に支持されている。プロセスカートリッジ200’は、感光体ドラム205が転写ベルト203に対して対向する場合と離間する場合とを選択できるようになっており、画像形成装置100’から取り出される際には、転写ベルト203から離れて転写ベルト203を摺擦しないようになっている。
【0058】
なお、上述した感光体ドラム205は、薄肉部材からなる円筒状部材で構成される場合があり、このような構成の感光体ドラム205に対しても上述した振動吸収部材を設けることが可能である。つまり、感光体ドラム203内に図4あるいは図5に示した構成の振動吸収部材110を設けることでクリーニング装置109との接触による振動騒音の発生を防止することができる。また、現像方式としては、上述したリボルバー回転方式を用いた構成に限らず、特許文献3に開示されているように、転写ベルトの展張面に沿って各色毎の画像形成部を並置する構成とすることも可能である。
【0059】
振動吸収部材110は、損失正接δが0.5以上に設定されている。この理由は次の通りである。
損失正接δは、前述したように、使用される材料の応力と歪みとの位相角;δ(損失角)の正接と意味し、大きいほど制振効果が高い。
【0060】
次に挙げる実験結果は損失正接δの測定結果であり、この測定は、JISK7244−4に規定された非共振振動法に順じて行った。
試験片として厚み:2mm、幅:5mm、長さ:30mmの試料料を用いて、印加周波数:30Hzにて測定して結果を得る。
実験に用いられる試料は、図4に示した円柱形状と図5に示した円筒形状としたものを損失正接δが異なるものを準備した。
図11は、実験結果を示す線図であり、同図において、縦軸が音響パワー、横軸が損失正接tanδである。この実験結果から判るように、図4に示した円柱形状のブロック状をなす高振動吸収部材110Bではtanδが0.5以上で聴感上、問題のない(高周波音が耳障りでない)レベルまで振動が抑制された。また、図5に示した円筒形状のブロック状をなす振動吸収部材110Cではtanδが0.6以上で聴感上、問題のないレベルまで振動が抑制された。また、tanδが0.8以上であればさらに高い振動抑制効果が得られる。なお、この実験結果は、現像装置による異音の他、帯電装置、クリーニングブレード等による異音とを総合して測定を行なった。
【0061】
以上の結果から、損失正接tanδを0.5以上に設定することにより、実用上充分な制振効果を得ることができ、損失正接tanδを0.8以上とした場台にはさらに高い制振効果が得られる。これにより、帯電装置やクリーニングブレードをも含めて発生する共振振動(騒音)を抑制することができる。なお、振動吸収部材を転写ベルトの捲装用ローラに設けるだけでなく、図10に示したような感光体ドラムを対象とした場合においても同様な傾向の結果が得られる。
【0062】
ちなみに、振動吸収部材110が装填される像担持体の一つである薄肉部材からなる円筒状の感光体ドラムを用いた場合の感光体ドラムの構成について説明すると次の通りである。
電子写真方式による画像形成処理において使用される感光体としてはセレンやアモルファスシリコン等の無機系半導体材料を使用したもの、有機系半導体材料を使用したもの、或いはその両者を組み台わせたもの等、種々知られているが、近年では、コストの低さ、感光体設計の自由度の高さ、無公害性等から有機系感光体が広く利用されるようになってきている。
有機系の電子写真用感光体には、ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニンーバインダーに代表される顔料分散型、電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体などが知られており、特に機能分離型の感光体が注目されている。この機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後光照射すると、光は透明な電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され、光を吸収した電荷発生物質は電荷担体を発生し、この電荷担体は電荷輸送層に注入され、帯電によって生じている電界にしたがって電荷輸送層中を移動し、感光体表面の電荷を中和することにより静電潜像を形成するものである。
【0063】
機能分離型感光体においては、主に紫外部に吸収を持つ電荷輸送物質と、主に可視部に吸収を持つ電荷発生物質とを組み台わせて用いることが知られており、かつ有用である。
【0064】
一方、有機系の電子写真感光体の弱点として、機械的、化学的な耐久性に乏しいという点が知られている。即ち、電荷輸送物質は多くが低分千化含物として開発されているが、低分子化合物は単独で製膜性がないため、通常、不j舌性高分子に分散・混合して用いられる。低分子電荷輸送物質と不活性高分子からなる電荷輸送層は一般に柔らかく、機械的耐久性に乏しく、電子写真プロセスにおいては繰り返し使用による種々接触部材(現像・帯電・転写紙・クリーニングブラシ・クリーニングブレード等)から受ける機械的な負荷により、膜削れを生じやすい。そこで、感光層の保護及び耐久性の向上を目的にフィラーを含有する保護層を、表層として感光層の上に設けることもある。この保護層に使用される材料としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィンービニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチン樹脂、ポリエテレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリメテルペンテン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、AS樹脂、AB樹脂、BS樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。保護層の耐摩耗性を更に向上する目的で添加されるフィラーとしては、ポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、これら樹脂に酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム、シリカ、アルミナ等の無機材料を分散したもの等が挙げられる。保護層に添加されるフィラーの量は、重量基準で通常は、10〜40%、好ましくは、20〜30%である。フィラーの量が、10%未満では、摩耗が大きく耐久性に劣り、40%を越えると、露光時における明部電位の上昇が著しくなって、感度低下が無視できなくなるので望ましくない。さらに保護層には、フィラーの分散性を向上させるために分散助剤を添加することができる。添加される分散助剤は塗料等に使用されるものが適宜利用できその量は重量基準で通常は含有するフィラーの量に対して0.5〜4%、好ましくは、1〜2%である。また、保護層には、電荷輸送材料を添加することも有効であり、さらに酸化防止剤も必要に応じて添加することができる。保護層の形成法としては、スプレー法等通常の塗布法が採用される。
【0065】
保護層の厚さは、0.5〜10μm、好ましくは4〜6μm程度が適当である。上記実施形態において適用される感光体においては感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブテラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく通常の塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0066】
本発明者は、以上に挙げた組成からなる感光体を用いて、内部に振動吸収部材を装填した場合の騒音抑制効果について実験したところ、次の通りの結果を得た。まず、騒音抑制効果の実験に用いられる感光体に関して説明する。なお、以下の説明中に使用する「部」は、すべて重量部を表わす。さらに評価用感光体は、前述の実施形態の説明に挙げたものと同様に、外形寸法が30mm、内径28.5mm、周壁の厚さが0.75mmの薄肉円筒構造が用いられる。
(1)評価用感光体(No.1)の作製
φ30(mm)のアルミニュウムドラム上に、以下に挙げる組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層を形成して、評価用の電子写真感光体(感光体No.1)を得る。
(下引き層用塗工液)
アルキッド樹脂:6部(ベッコゾール1307−60−EL:大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂:4部(スーパーベッカミンG−821−60:大日本インキ化学工業製)
酸化テタン:40部
メチルエチルケトン:200部
(電荷発生層用塗工液)
化学式1に示す構造のトリスアゾ顔料:2.5部
【0067】
【化1】
【0068】
ポリビニルビチラール(UCC:XYHL):0,25部
シクロヘキサノン:200部
メチルエチルケトン:80部
(電荷輸送層用塗工液)
ビスフェーノルA型ポリカーボネート:10部(帝人:パンライトK1300)
化学式2に示す構造の低分子電荷輸送物質:10部
【0069】
【化2】
【0070】
塩化メチレン:100部
(2)評価用感光体(No.2)の作製
上述した評価用感光体(NO.1)における電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を用い、2μmの保護層を積層した以外は、評価用感光体(No.1)と同様に感光体を作製し、評価用の感光体(感光体N0.2)を得た。
(保護層塗工液)
化学式3に示す構造の電荷輸送物質:2部
【0071】
【化3】
【0072】
A型ポリカーボネート:4部
塩化メチレン 100部
(3)評価用感光体(No.3)の作製
価用感光体NO.1の電荷輸送層上に化学式3に示す組成の保護層塗工液を用い、2μmの保護層を積層した以外は、評価用感光体No.1と同様に感光体を作製し、評価用の感光体(感光体N0.3)を得た。
(保護層塗工液)
化学式2に示した構造の電荷輸送物質:4部
A型ポリカーボネート:4部
酸化チタン:1部
塩化メチレン 100部
(4)評価用感光体(No.4)の作製
(3)で挙げた評価用感光体(No.3)において保護層に分散するフィラーの酸化チタンを酸化アルミに変えた以外は同様にして感光体を作製し、評価用の感光体(感光体N0.4)を得た。
【0073】
本発明者は、No.1〜4の評価用感光体を使用して、評価用感光体での画像品質の実験および、この評価用感光体を対象として振動吸収部材を装填した場合の騒音発生に関する実験を行ったところ、次の結果を得た。
実験は、(株)リコー製、デジタル複写機イマジオMF200(商品名)により連続通紙試験を行ない、画像品質に関しては非常に良好(画像濃度・解像度等を総合的に評価)、感光体表面のフッ素と炭素原子の比で、感光体表面に存在するフッ素系材料付着量の指標となる「F/C比」はO、また、実機ランニングによる感光層膜厚の初期値からの減少量△dも適当で、高精細のハードコピーを長期間安定して得ることができた。
【0074】
上記No.1〜4の感光体に対して、図4,5に示した状態で振動吸収部材110を装填し、実機で直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスを印加したところ、感光体ドラムの共振が抑制され、また、クリーニングブレードの振動伝搬も防止され、騒音の発生を防げることが確認できた。
【0075】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、像担持体におけるバイアス特性を設定される装置との対向面と反対側に振動吸収部材が配置されているので、バイアス特性において、交流電圧が印加された際に発生する振動電界による像担持体の振動が一部を像担持体に接触させている振動吸収部材により吸収される。これにより、像担持体の共振振動が抑制されて騒音の発生を防止することが可能となる。特に、像担持体がベルト状基体などの薄肉部材からなる構成であっても、像担持体の質量増加や構造の複雑化を招くことなく騒音の発生を防止することができる。
【0076】
請求項2および3記載の発明によれば、振動吸収部材がローラで構成され、その表面あるいは内部に高振動吸収材が設けられているので、像担持体と接触した場合でも像担持体への振動伝播が防止される。これにより、像担持体での共振振動による騒音の発生が防止される。
【0077】
請求項4記載の発明によれば、ベルト状基体等の薄肉部材からなる像担持体である場合に駆動ローラが振動吸収部材として用いられるので、像担持体との接触状態が最も高い部材を制振部材とすることができる。これにより、像担持体で発生する振動を最も吸収しやすい状態が得られやすくなることにより像担持体での共振振動を既存構成を利用して抑制することが可能となる。
【0078】
請求項5記載の発明によれば、ベルト状基体などの薄肉部材からなる像担持体である場合にベルトに当接する平板状の剛体からなる支持板における像担持体と接触する面と反対側に振動吸収部材が設けられているので、ベルトの移動を損ねることなくベルトに発生した振動を吸収して像担持体に発生する共振振動を抑制することが可能となる。
【0079】
請求項6記載の発明によれば、振動吸収部材が像担持体に対するバイアス特性を設定されている装置と対向する位置に配置されているので、バイアス特性による像担持体の共振振動発生源の位置で最も効率よく抑制することが可能となる。
【0080】
請求項7記載の発明によれば、ベルト状基体などの薄肉部材からなる像担持体の表面に感光層を有する場合にベルト状基体が高振動吸収材で構成されているので、像担持体自体の共振振動を抑制することができ、特別な制振構造を必要としないようにでき、コスト上昇を防止することが可能となる。
【0081】
請求項8記載の発明によれば、制振効果に影響する損失正接δを0.5以上とすることにより、聴感上で問題のない、つまり耳障りな高周波音の発生が生じない周波数帯域に共振周波数を変化させることができるので、像担持体からの騒音が発生した場合でもその騒音を抑制したと同じ作用を得ることが可能となる。
【0082】
請求項9および10記載の発明によれば、ベルト状基体が静電潜像担持体あるいは像転写ベルトである場合に、異音の発生を押さえて静音効果を有する潜像担持体および像点シャベルとを得ることが可能となる。
【0083】
請求項11記載の発明によれば、像担持体として円筒状の薄肉部材である場合には、薄肉による振動の発生を抑えて静音効果を有する像担持体を得ることが可能となる。
【0084】
請求項12および14記載の発明によれば、異音の発生を抑えた装置を収納するプロセスカートリッジとすることで静音効果の優れた装置の交換操作等のメンテナンス作業を容易化することが可能となる。
【0085】
請求項13記載の発明によれば、ベルト状基体における振動騒音を抑制して静音効果を有する画像形成装置を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を説明するための模式図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に用いられる感光体ベルトが掛け回されるローラの構成を説明するための模式図である。
【図3】図2に示したローラの他の構成を説明するための模式図である。
【図4】図2に示したローラの別の構成を説明するための模式図である。
【図5】図2に示したローラのさらに他の構成を説明するための模式図である。
【図6】図1に示した画像形成装置における騒音防止構成を説明するための模式図である。
【図7】図6に示した騒音防止構成の他の例を説明するための模式図である。
【図8】図1に示した画像形成装置に用いられる感光体ベルトの構成を説明するための模式的な断面図である。
【図9】ベルト状基体などの薄肉部材からなる像担持体をはじめとした画像形成処理機器を収納するプロセスカートリッジの構成を示す模式図である。
【図10】図9に示したプロセスカートリッジに用いられるベルト状基体の変形例を説明するための模式図である。
【図11】図4,図5に示したベルト状基体を用いた潜像担持体の構成による騒音特性を説明するための線図である。
【図12】現像バイアスの一形態を説明するための線図である。
【図13】現像バイアスの他の形態を説明するための線図である。
【図14】現像バイアスの別の形態を説明するための線図である。
【図15】現像バイアスのさらに他の形態を説明するための線図である。
【符号の説明】
100,100’ 画像形成装置
25C 潜像担持体としての感光体ドラム
27C、105 帯電装置
26C 現像装置
26C3 現像担持体としての現像スリーブ
101 潜像担持体としての感光体ベルト
101A 基体
101B 感光層
102 感光体ベルトの駆動ローラ
110,110’ 振動吸収部材
110A、110B、110C 高振動吸収材
200,200’ プロセスカートリッジ
Claims (8)
- ベルト状基体等の薄肉部材からなる像担持体およびこれに対向近接してバイアス特性を設定される装置を備えた構成を対象とした像担持体の振動吸収方法であって、
上記像担持体は、上記バイアス特性を設定される装置との対向面と反対側で上記バイアス特性を設定する装置と対向して振動吸収部材が少なくとも一部を接触させた状態で配置され、
上記振動吸収部材は、上記像担持体に用いられるベルト状基体であるベルトの表面に当接するローラで構成され、該ローラは上記ベルトの表面に当接する表面が高振動吸収材で構成されていることを特徴とする像担持体の振動吸収方法。 - 請求項1記載の像担持体の振動吸収方法において、
上記振動吸収部材は、上記ベルト状基体におけるベルト表面に当接するローラが用いられ、該ローラはベルトの駆動ローラが該当していることを特徴とする像担持体の振動吸収方法。 - 請求項1または2に記載の像担持体の振動吸収方法において、
上記振動吸収部材は、損失正接tanδが0.5以上に設定されていることを特徴とする像担持体の振動吸収方法。 - 請求項1乃至3のうちの一つに記載の像担持体の振動吸収方法において、
上記薄肉部材からなるベルト状基体が、静電潜像担持体であることを特徴とする像担持体の振動吸収方法。 - 請求項1乃至4のうちの一つに記載の像担持体の振動吸収方法において、
上記薄肉部材からなるベルト状基体が、画像転写の際に用いられる像転写ベルトであることを特徴とする像担持体の振動吸収方法。 - 請求項1乃至5のうちの一つに記載の像担持体の振動吸収方法を用いるベルト状基体およびこの基体に対して画像形成処理工程を実行する帯電装置、現像装置およびクリーニング装置のうちの少なくとも一つを装備して収容した収容空間を有し、これら収容された装置を一纏めにして交換可能な構成とされていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1乃至5のうちの一つに記載の像担持体の振動吸収方法を用いることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項6記載のプロセスカートリッジを用いることを特徴とする画像形成装置。
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