JP4027552B2 - 透明基板検査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、透明基板、例えば液晶ディスプレイの製造工程においてガラス基板に傷がないか異物が付着していないかなどを検査する透明基板検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)は、CRT(Cathode Ray Tube)に比べて薄型化、軽量化が可能であるため、CTV(Color Television)やOA機器等のディスプレイ装置として採用され、画面サイズも10型以上の大形化が図られ、より一層の高精細化が押し進められている。液晶ディスプレイには、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、及びTFT(Thin Film Transistor)型などの種類がある。
【0003】
ガラス基板検査装置は、液晶ディスプレイに使用されるガラス基板に微小な傷や異物などが存在しないか否かを検出するものである。ガラス基板検査装置は、ガラス基板に斜下方からレーザビームを照射し、傷や異物によって発生した散乱光や反射光を上方より観察し、傷や異物の存在を検出する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなガラス基板検査装置は、照明光源として、半導体レーザ光源(LD)を用いている。半導体レーザ光源は、近視野パターンと遠視野パターンの両方で光量のバラツキを有する。近視野パターンは、半導体レーザ光源の共振器から比較的近い点のレーザビームの振幅強度分布であり、図1(A)のような特性を示す。図1(A)において、横軸はレーザ発光点位置[μm]を、縦軸は光量の相対強度を現す。図から明らかなように、半導体レーザ光源の発光点間距離が160〜180[μm]の場合、その全域に渡って光量の強度分布がばらついていることが理解できる。
【0005】
遠視野パターンは、半導体レーザ光源の共振器から相当遠い点で見られるレーザビームの振幅強度分布であり、図1(B)のような特性を示す。図1(B)において、横軸はレーザ発光点からの放射角度(θ平行方向)を、縦軸は光量の相対強度を現す。図から明らかなように、半導体レーザ光源の放射角度が約0度付近で谷の形状の極小値を示し、その両側、角度数度の付近で極大値を示すような光量の相対強度分布のばらつきを示すことが理解できる。
【0006】
従来は、このような半導体レーザ光源を照明光源として用い、一般的な照明部構成であるクリティカル照明やケラー照明を構成していた。そして、これらの照明部構成を用いて、レーザビームをθ平行方向にレンズで拡大し、欠陥検査に必要な検出点視野として長さ(長径)が50〜60[mm]、幅(短径)が約200[μm]の細長い楕円形状の照明ビームを形成し、ガラス基板に照射していた。
【0007】
図2は、一般的なクリティカル照明構成の一例を示すものである。このクリティカル照明構成は、半導体レーザ光源21から出射したレーザビームを補助集光レンズ22で平行光束とし、絞り24を通過させてコンデンサレンズ23に送り込む。コンデンサレンズ23は、平行光束をコンデンサレンズ23の後側焦点付近すなわち検出点25付近に半導体レーザ光源21の発光点の像を結像する。従って、検出点25では、図1(A)に示すような近視野パターンによる光量の強度分布のばらつきが顕著に現れる。
【0008】
図3は、一般的なケラー照明構成の一例を示すものである。このケラー照明構成は、半導体レーザ光源31の像a2,b2,c2をコンデンサレンズ33の前側焦点位置に作り、補助集光レンズ32に近接して設けられた視野絞り34の像を検出点35に一致させ、検出点35にて照明ビームが平行光となるように構成されたものである。このケラー照明構成によれば、図1(B)に示すような遠視野パターンによる光量の強度分布のばらつきが顕著に現れる。
【0009】
以上のように、ガラス基板検査装置において、照明部構成を一般的なクリティカル照明構成やケラー照明構成などのようにすると、半導体レーザ光源の有する近視野パターン及び遠視野パターンによる影響を受けて、照明強度にばらつきが生じ、それがそのまま欠陥検査能力のばらつきとなり、問題となっていた。
【0010】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、半導体レーザ光源の有する近視野パターン及び遠視野パターンによる照明強度のばらつきの影響を極力少なくした透明基板検査装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る透明基板検査装置の第1の特徴は、レーザ光源から出射されたレーザ光を複数のレンズ手段を用いて傷検出用の細長い楕円形状の照明ビームとして被検査試料に照射する照明手段と、前記被検査試料に照射された前記照明ビームの散乱光又は反射光を検出レンズを用いて結像し、その像を受光素子手段で検出する結像手段とを備えた透明基板検査装置であって、前記照明手段のレンズ手段は、前記レーザ光源から放射状に出射されるレーザ光を補助的に集光する補助集光レンズ手段と、この補助集光レンズ手段によって結像された前記レーザ光源の光を前記楕円形状の長径方向に引き伸ばし、短径方向に集光するように構成された引き伸ばしレンズ手段と、前記引き伸ばしレンズ手段を通過したレーザ光が前記被検査試料上で前記楕円形状の照明ビームとなり、前記検出レンズの瞳に向かう収束光となるように集光する集光レンズ手段とから構成されるものである。
【0012】
レーザ光源の各点から出射したレーザ光は、ケラー照明構成と同じように補助集光レンズ手段によって一旦結像される。そして、この結像されたレーザ光源の像の短径方向の光は、引き伸ばしレンズ手段によってケラー照明構成の場合と同様にほぼ平行光束に集束される。一方、結像されたレーザ光源の像の長径方向の光は、引き伸ばしレンズ手段によって発散する方向に引き伸ばされる。引き伸ばしレンズ手段によって引き伸ばされた光は、集光レンズによって検出レンズの瞳に向かう収束光となるように集光され、被検査試料上に傷検出用の細長い楕円形状の照明ビームとして照射される。これによって、レーザ光源の各点から出射したレーザ光は、被検査試料上のそれぞれ異なる部分に照射されるようになるため、遠視野パターンの影響を打ち消すことができ、照明強度をほぼ一様にすることができる。また、レーザ光源の像は、無限遠ではないが、かなり遠方にできるため、クリティカル照明で問題となっていた照明むらも生じることはない。
【0013】
この発明に係る透明基板検査装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の透明基板検査装置において、前記引き伸ばしレンズ手段が、前記レーザ光の短径方向に集光する凸シリンドリカルレンズと、前記レーザ光の長径方向に対して作用し、長径方向の長さを前記集光レンズ手段の口径に合わせて引き伸ばす凹シリンドリカルレンズとから構成されるものである。これは引き伸ばしレンズ手段を具体的にしたものである。長径方向と短径方向のそれぞれに対して作用するシリンドリカルレンズを用いることによって、集光と拡散を実現したものである。
【0014】
この発明に係る透明基板検査装置の第3の特徴は、前記第1又は第の特徴に記載の透明基板検査装置において、前記照明手段のレンズ手段は、前記レーザ光の前記被検査試料上における短径方向の幅を約200[μm]、長径方向の長さを約50〜60[mm]にするものである。これは、照明手段のレンズ手段によって形成される傷検出用の細長い楕円形状の照明ビームの具体的大きさを規定したものである。
【0015】
この発明に係る透明基板検査装置の第4の特徴は、前記第1、第2又は第の特徴に記載の透明基板検査装置において、前記照明手段のレンズ手段は、前記レーザ光源の各点から出射した光を前記被検査試料上の全範囲の約10分の1程度を照射するものである。これは、最も遠視野パターンの影響を少なくし、照明強度を全範囲でほぼ一様にすることができる場合を具体的に規定したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を添付図面に従って説明する。図4及び図5は、長さ(長径)が約50〜60[mm]、幅(短径)が約200[μm]の細長い楕円形状の検出用照明ビームを透明基板40に照射し、その散乱光や反射光に基づいて、ガラス基板40上の傷や異物の存在を検出するガラス基板検査装置の概略構成を示す図である。
【0017】
図4はこのガラス基板検査装置の光学系の構成を検出用照明ビームの長径方向から見た図である。図5はこの光学系の構成を検出用照明ビームの短径方向から見た図である。図において光学系は照明光学部と検出光学部とからなる。なお、図5では、検出光学部については図示を省略してある。
【0018】
照明光学部は半導体レーザ光源1、非球面コリメートレンズ2、平凸レンズ3、凸シリンドリカルレンズ4、凹シリンドリカルレンズ5、集光レンズ6,7及び台形型全反射ミラー8から構成される。検出光学部は遮光板9、検出レンズ10及びCCD受光素子30から構成される。
【0019】
半導体レーザ光源1は、波長が約800[nm]、発光点サイズが約200[μm]、θ平行方向の放射角が約6度、θ直角方向の放射角が約40度である。非球面コリメートレンズ2及び平凸レンズ3は、半導体レーザ光源1から出射された光束を凸シリンドリカルレンズ4の前側に集光し、ケラー照明のように一旦半導体レーザ光源1の像を形成させる補助集光レンズとしての役割をする。
【0020】
凸シリンドリカルレンズ4は、照明ビームの短径方向に対して作用し、検出点における短径方向の幅を200[μm]にするものであり、補助集光レンズ(非球面コリメートレンズ2及び平凸レンズ3)を通過した光をさらに集光する。なお、凸シリンドリカルレンズ4は、照明ビームの長径方向に対しては作用しないようになっている。凹シリンドリカルレンズ5は、照明ビーム長径方向に対して作用し、長径方向の長さを集光レンズ6,7の口径に合わせて引き伸ばす。なお、凹シリンドリカルレンズ5は、照明ビームの短径方向に対して作用しないようになっている。ここでは、凸シリンドリカルレンズ4及び凹シリンドリカルレンズ5のことを引き伸ばしレンズと呼ぶ。
【0021】
集光レンズは、2枚の平凸レンズ6,7で構成され、引き伸ばしレンズ(凸シリンドリカルレンズ4及び凹シリンドリカルレンズ5)を通過した照明ビームを検出レンズ10の瞳付近に集光する。このとき、検出点であるガラス基板40における照明ビームは、検出レンズ10の瞳へ向かう収束光となるように構成される。なお、検出レンズ10の瞳に向かう収束光となるのは、長径方向の照明ビームだけであり、短径方向の照明ビームはガラス基板40に集束するように構成される。
【0022】
検出光学部における検出レンズ10の欠陥検出効率確保のために、照明ビームの集光は瞳中心となるようにする。検出点すなわちガラス基板40は、検出レンズ10の瞳と集光レンズ(平凸レンズ6,7)との中間位置であって、その集光光路中に設置される。このガラス基板40において、照明ビームは長さ(長径)が約50〜60[mm]、幅(短径)が約200[μm]の細長い楕円形状の検出用照明ビームとなる。
この実施の形態では、検出レンズ10の光の入射する位置に、ガラス基板40の表面で散乱又は反射しなかった光(直接光)を遮光するための遮光板9が設けられている。従って、ガラス基板40の表面で散乱又は反射しなかった光(直接光)は、その遮光板9によって遮られ、CCD受光素子30に結像することはなく、ガラス基板40の表面で散乱又は反射した光のみが、検出レンズ10を通過してCCD受光素子30に結像する。なお、検出レンズ10は、複数のレンズ群の組み合わせで構成される。
【0023】
本発明に係るガラス基板検査装置の照明光学部の構成が従来のケラー照明構成とどのように異なるのか、その詳細について説明する。まず、ケラー照明構成の場合には、図3に示すように、半導体レーザ光源31の各点a1,b1,c1から出射したレーザ光は、補助集光レンズ32によって各点a2,b2,c2で一旦結像される。そして、この結像された各点a2,b2,c2の像の光をコンデンサレンズ33によって、平行光束として検出点35(ガラス基板)に照射している。従って、コンデンサレンズ33によって、半導体レーザ光源31の像は無限遠にできるためクリティカル照明で問題となっていた照明むらが生じることはない。
【0024】
ところが、半導体レーザ光源31の光点a1から出射したレーザ光は、検出点35上の部分a3−a4を一様に照射し、光点b1から出射したレーザ光は、検出点35上の部分a3−a4と同じ部分b3−b4を一様に照射する。同様に、光点c1から出射したレーザ光も、検出点35上の部分a3−a4,b3−b4と同じ部分c3−c4を一様に照射する。従って、前述したように、図1(B)に示すような半導体レーザ光源31の有する遠視野パターンの影響が顕著に現れる。
【0025】
これに対して、本発明に係るガラス基板検査装置の照明光学部においては、半導体レーザ光源1の各点A1,B1,C1から出射したレーザ光は、ケラー照明構成と同じように補助集光レンズ(非球面コリメートレンズ2及び平凸レンズ3)によって各点A2,B2,C2で一旦結像される。そして、この結像された像の短径方向の照明ビームは凸シリンドリカルレンズ4によってケラー照明構成の場合と同様にほぼ平行光束に集束される。一方、結像された像の長径方向の照明ビームは凸シリンドリカルレンズ4はそのまま通過し、凹シリンドリカルレンズ5によって発散する方向に引き伸ばされる。凹シリンドリカルレンズ5によって引き伸ばされた照明ビームは、集光レンズ(平凸レンズ6,7)によって集光され、検出点35(ガラス基板40)に照射される。
【0026】
従って、半導体レーザ光源1の各点A1,B1,C1から出射したレーザ光は、一旦各点A2,B2,C2で結像し、検出点35上のそれぞれ異なる部分A3−A4,B3−B4,C3−C4に照射されるようになっている。このような構成によって、半導体レーザ光源1の像は、無限遠ではないが、かなり遠方にできるため、クリティカル照明で問題となっていた照明むらが生じることはない。また、この照明構成だと、前述したように、図1(B)に示すような半導体レーザ光源1の有する遠視野パターンの影響を打ち消すことができ、照明強度をほぼ一様にすることができる。なお、図では、半導体レーザ光源1の各点から出射した光が検出点35上の全範囲の約5分の1を照射する場合を示しているが、実際は検出点35上の全範囲の約10分の1程度を照射するように構成することによって、最も遠視野パターンの影響を少なくし、照明強度を全範囲でほぼ一様にすることができるという効果がある。
【0027】
なお、上述の実施の形態では、補助集光レンズを非球面コリメートレンズ2及び平凸レンズ3で構成し、引き伸ばしレンズを凸シリンドリカルレンズ4及び凹シリンドリカルレンズ5で構成し、集光レンズを2枚の平凸レンズ6,7でそれぞれ構成する場合について説明したが、これは一例であり、本発明の目的とする照明を行うことができるのであれば、これ以外の組合せで構成してもよいことは言うまでもない。また、上述の実施の形態では、ガラス基板について説明したが、プラスチック基板等の透明なものであってもよい。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体レーザ光源の有する近視野パターン及び遠視野パターンによる照明強度のばらつきの影響を極力少なくすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 半導体レーザ光源が示す近視野パターン及び遠視野パターンの特性を示す図である。
【図2】 一般的なクリティカル照明構成の一例を示す図である。
【図3】 一般的なケラー照明構成の一例を示す図である。
【図4】 本発明のガラス基板検査装置の光学系の構成を検出用照明ビームの長径方向から見た図である。
【図5】 本発明のガラス基板検査装置の光学系の構成を検出用照明ビームの短径方向から見た図である。
【符号の説明】
1…半導体レーザ光源
2…非球面コリメートレンズ
3…平凸レンズ
4…凸シリンドリカルレンズ
5…凹シリンドリカルレンズ
6,7…集光レンズ(平凸レンズ)
9…遮光板
10…検出レンズ
30…CCD受光素子
40…ガラス基板(検出点)

Claims (3)

  1. レーザ光源から出射されたレーザ光を複数のレンズ手段を用いて傷検出用の細長い楕円形状の照明ビームとして被検査試料に照射する照明手段と、
    前記被検査試料に照射された前記照明ビームの散乱光又は反射光を検出レンズを用いて結像し、その像を受光素子手段で検出する結像手段とを備えた透明基板検査装置であって、
    前記照明手段のレンズ手段は、
    前記レーザ光源から放射状に出射されるレーザ光を補助的に集光する補助集光レンズ手段と、
    この補助集光レンズ手段によって結像された前記レーザ光源の光を前記楕円形状の長径方向に引き伸ばし、短径方向に集光するように構成された引き伸ばしレンズ手段と、
    前記引き伸ばしレンズ手段を通過したレーザ光が前記被検査試料上で前記楕円形状の照明ビームとなり、前記検出レンズの瞳に向かう収束光となるように集光する集光レンズ手段とから構成され
    前記引き伸ばしレンズ手段は、前記レーザ光の短径方向に集光する凸シリンドリカルレンズと、前記レーザ光の長径方向に対して作用し、長径方向の長さを前記集光レンズ手段の口径に合わせて引き伸ばす凹シリンドリカルレンズとから構成されていることを特徴とする透明基板検査装置。
  2. 請求項において、
    前記照明手段のレンズ手段は、前記レーザ光の前記被検査試料上における短径方向の幅を約200[μm]、長径方向の長さを約50〜60[mm]にすることを特徴とする透明基板検査装置。
  3. 請求項1又は2において
    前記照明手段のレンズ手段は、前記レーザ光源の各点から出射した光が前記被検査試料上の全範囲の約10分の1程度を照射することを特徴とする透明基板検査装置。
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