JP4026289B2 - 冷凍装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特公昭62−29696号公報、特開平9−145156号公報、特開平10−69966号公報に開示されているように、誘導コイルによって高周波磁界を生成して磁性体内部に誘導電流を発生させ、この誘導電流によって生じる熱で加熱対象物を加熱する誘導加熱装置が知られている。このような誘導加熱装置は、電熱ヒーターで加熱対象物を加熱するヒーター式の加熱装置に比べて加熱効率が高く、急速加熱が可能である等の利点を有しており、近年、特に注目されている。
【0003】
上記特公昭62−29696号公報に開示された加熱装置は、磁性材料であるステンレス管の外周に誘導コイルを巻き付け、この誘導コイルで生成した高周波磁界によってステンレス管自体を発熱させ、ステンレス管の熱によって管内の水を加熱するようにしたものである。一方、上記特開平9−145156号公報、特開平10−69966号公報に開示された加熱装置は、磁性材料からなる発熱素子を配管内に別途設け、電磁誘導加熱によって当該発熱素子を発熱させ、この発熱素子の熱によって管内の水を加熱するようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、管や容器を磁性材料で形成し、管自体や容器自体を誘導加熱する装置では、管全体または容器全体が発熱してしまうことから、外部への熱損失が大きかった。そのため、構造上の理由から、加熱効率の向上に一定の限界があった。
【0005】
一方、配管や容器の内部に発熱素子を別途設けた装置では、発熱素子の設置スペースが必要であることから、配管や容器の内容積が小さくなり、装置全体が大型化する傾向があった。また、構成が複雑であることから、装置のコストが高く、信頼性が低かった。
【0006】
更に、上記装置のいずれにおいても、配管または容器の外部への熱放出を抑制する対策は何ら施されておらず、保温性が不十分であった。そのため、保温性の観点からも、加熱効率の向上に限界があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、加熱効率及び保温性の高い誘導加熱装置を備えた冷凍装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、非磁性材料からなる真空二重構造の管に磁性材料からなるコーティング層を設け、当該コーティング層を誘導加熱することとした。
【0009】
具体的には、本発明に係る冷凍装置は、圧縮機( 21 )、室外熱交換器( 23 )、膨張弁( 24 )、室内熱交換器( 25 )、及び四路切換弁( 22 )が接続された冷媒回路( 20 )を備え、該冷媒回路( 20 )は、上記四路切換弁( 22 )を切り換えることで冷媒の循環方向が切り替わるように構成されていることを前提としており、非磁性材料からなり且つ管内に冷媒を流通させると共に、上記室外熱交換器( 23 )と上記膨張弁( 24 )との間に設けられる内管(10)と、該内管(10)の外面にコーティングされた磁性材料からなるコーティング層(11)と、該コーティング層(11)を覆い且つ該内管(10)との間に真空室(51)を区画形成するように、該内管(10)の外側に設けられた非磁性材料からなる外管(50)と、該コーティング層(11)を誘導加熱するための誘導コイル(12)とを有する誘導加熱装置 (1) を更に備えていることとしたものである。
【0010】
このことにより、誘導コイル(12)によって高周波磁界が形成されると、内管(10)の外面にコーティングされたコーティング層(11)に誘導電流が流れ、当該コーティング層(11)は発熱する。そして、コーティング層(11)の熱は内管(10)の外部から内部に伝導され、管内を流れる冷媒に伝達される。これにより、冷媒の加熱が行われる。この際、誘導加熱される部分は内管(10)の外面にコーティングされたコーティング層(11)のみであり、外管(50)は誘導加熱されないので、加熱の無駄がなくなり、加熱効率は向上する。また、内管(10)と外管(50)との間には真空室(51)が形成されているので、内管(10)から外部への熱損失は著しく小さい。そのため、保温性が高く、熱が外部に漏れることが少ないので、加熱効率は著しく向上する。また、管内に発熱素子を別途設ける必要がないので、内容積を大きく確保することができ、装置の小型化が促進される。また、構成が簡易化され、信頼性が向上する。
【0011】
上記内管(10)は、アルミニウムによって形成されていてもよい。また、上記内管(10)は、銅によって形成されていてもよい。
【0012】
このように、内管(10)を熱伝導率の高い材料で形成することにより、内管(10)の外部から内部に熱が伝導されやすくなり、管内の冷媒は更に効率よく加熱されることになる。
【0013】
本発明に係る他の冷凍装置は、圧縮機( 21 )、室外熱交換器( 23 )、膨張弁( 24 )、室内熱交換器( 25 )、及び四路切換弁( 22 )が接続された冷媒回路( 20 )を備え、該冷媒回路( 20 )は、上記四路切換弁( 22 )を切り換えることで冷媒の循環方向が切り替わるよう に構成されていることを前提としており、非磁性材料からなり且つ管内に冷媒を流通させると共に、上記室外熱交換器( 23 )と上記膨張弁( 24 )との間に設けられる内管(10)と、該内管(10)の内面にコーティングされた磁性材料からなるコーティング層(11)と、該内管(10)を介して該コーティング層(11)を覆い且つ該内管(10)との間に真空室(51)を区画形成するように、該内管(10)の外側に設けられた非磁性材料からなる外管(50)と、該コーティング層(11)を誘導加熱するための誘導コイル(12)とを有する誘導加熱装置 (1) を更を備えていることとしたものである。
【0014】
このことにより、誘導コイル(12)によって高周波磁界が形成されると、内管(10)の内面にコーティングされたコーティング層(11)に誘導電流が流れ、当該コーティング層(11)は発熱する。そして、このコーティング層(11)の熱は管内を流れる冷媒に伝達され、冷媒の加熱が行われる。この際、誘導加熱される部分は内管(10)の内面にコーティングされたコーティング層(11)のみであるので、誘導加熱の効率は高くなる。しかも、内管(10)と外管(50)との間に真空室(51)が形成されているので、内管(10)から外部への熱損失は著しく小さい。そのため、保温性が高く、熱が外部に漏れることが少ないので、加熱効率は著しく向上する。加えて、冷媒はコーティング層(11)に接触し、このコーティング層(11)によって直接加熱されるので、加熱効率は更に向上する。また、管内に発熱素子を別途設ける必要がないので、内容積を大きく確保することができ、装置の小型化が促進される。また、構成が簡易化され、信頼性が向上する。
【0015】
【発明の効果】
以上のように、一の発明によれば、非磁性材料からなる内管の外面に磁性材料からなるコーティング層を設け、当該コーティング層を誘導加熱することによって管内の冷媒を加熱することとしたので、管の全体を誘導加熱する必要がなく、加熱効率を向上させることができる。また、内管と外管とは真空断熱されているので、内管から外部への熱放出は少ない。従って、保温性の向上により、加熱効率を更に向上させることができる。また、管内に発熱素子を別途設ける必要がないので、装置の小型化及び構成の簡易化を促進することができ、コストを安価にすることができる。また、装置の信頼性を向上させることができる。
【0016】
内管をアルミニウムまたは銅によって形成することとすれば、コーティング層から冷媒へ熱が伝わりやすくなり、加熱効率を更に向上させることができる。
【0017】
また、他の発明によれば、非磁性材料からなる内管の内面に磁性材料からなるコーティング層を設け、このコーティング層を誘導加熱することにより、管内の冷媒をコーティング層で直接加熱することとしたので、加熱効率を更に向上させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
<実施形態1>
図1に示すように、実施形態1に係る誘導加熱装置(1)は、管内を流れる流体を加熱する装置である。
【0020】
誘導加熱装置(1)は、非磁性材料からなる内管(10)と、内管(10)の外面にコーティングされた磁性材料からなるコーティング層(11)と、このコーティング層(11)を覆い且つ内管(10)との間に真空室(51)を形成するように内管(10)の外側に設けられた非磁性材料からなる外管(50)と、外管(50)の外側に巻回された誘導コイル(12)と、誘導コイル(12)に高周波電流を供給する高周波電源(13)とを備えている。
【0021】
内管(10)は、アルミニウムや銅等の熱伝導率の高い材料で形成されていることが好ましい。コーティング層(11)は、比透磁率の大きな強磁性材料で形成されていることが好ましく、鉄、ニッケル、コバルト、及びそれらの合金等を好適に用いることができる。コーティング層(11)は、薄すぎると加熱量が不十分となる一方、厚すぎると加熱の無駄が多くなることから、その厚みは200μm〜400μm程度が好ましい。
【0022】
本誘導加熱装置(1)の運転時には、高周波電源(13)から誘導コイル(12)に高周波電流が供給され、高周波磁界が発生する。そして、この高周波磁界により、コーティング層(11)には誘導電流が流れ、コーティング層(11)は発熱する。コーティング層(11)の熱は内管(10)の内側に伝導され、内管(10)の内部を流れる流体に伝達される。これにより、管内の流体の加熱が行われる。
【0023】
このように、本実施形態によれば、管を内管(10)と外管(50)とからなる真空二重構造の二重管とし、内管(10)の外面に設けたコーティング層(11)を加熱することにより、内管(10)のみを高温に加熱することとしたので、外部への熱損失が著しく小さくなる。従って、保温性が著しく向上する。また、入力した熱量のほとんどすべてが流体の加熱に利用されるので、加熱効率が向上する。
【0024】
また、内管(10)を熱伝導性に優れた材料で形成し、強磁性材料からなるコーティング層(11)を内管(10)の外面にのみ設けることとしたので、誘導加熱による発熱部分をコーティング層(11)のみに集中することができ、このコーティング層(11)の熱を管内の流体に効率よく伝達することができる。加えて、内管(10)の内部に鉄心などの発熱素子を別途設ける必要がないので、内管(10)の容積を大きく確保することができるとともに、装置の構成の簡易化を図ることができる。その結果、装置の小型化や低コスト化を図ることができ、また、信頼性が向上する。
【0025】
なお、本誘導加熱装置(1)では、急速加熱が可能である。図2は、電熱ヒーターを用いたヒーター式の加熱装置と本誘導加熱装置(1)とを、加熱開始時からの加熱量について比較した性能比較図である。図2から明らかなように、本誘導加熱装置(1)によれば、加熱開始時から短時間の間に所定の加熱量を出力することができ、迅速な加熱が可能である。従って、本誘導加熱装置(1)によれば、比較的高速で流れる流体も十分に加熱することができる。
【0026】
<実施形態2>
図3に示すように、実施形態2に係る誘導加熱装置(2)は、実施形態1において、コーティング層(11)を内管(10)の内面に設けるようにしたものである。
【0027】
本誘導加熱装置(2)は、非磁性材料からなる内管(10)と、内管(10)の内面にコーティングされた強磁性材料からなるコーティング層(11)と、内管(10)を介してコーティング層(11)を覆い且つ内管(10)との間に真空室(51)を形成するように内管(10)の外側に設けられた非磁性材料からなる外管(50)と、外管(50)の外側に設けられた誘導コイル(12)と、高周波電源(13)とを備えている。
【0028】
本実施形態では、コーティング層(11)は内管(10)の内部を流れる流体に接触し、流体はコーティング層(11)によって直接加熱されるので、更に高効率の加熱が行われる。また、内管(10)の熱伝導特性は特に問題にならないので、内管(10)を熱伝導率の低い材料で形成することも可能となる。従って、内管(10)は銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い材料で形成されていてもよいし、ステンレス等の熱伝導率の低い材料で形成されていてもよい。
【0029】
本誘導加熱装置(2)においても、運転時には高周波電源(13)から誘導コイル(12)に高周波電流が供給され、高周波磁界が発生する。そして、この高周波磁界によりコーティング層(11)に誘導電流が流れ、コーティング層(11)は発熱する。内管(10)内を流れる流体は、高温になったコーティング層(11)と接触し、このコーティング層(11)によって直接的に加熱される。
【0030】
従って、本実施形態では、実施形態1と同様の効果を得ることができるだけでなく、コーティング層(11)の熱が管内の流体に直接伝達されるので、更に迅速かつ高効率な加熱が実現される。
【0031】
参考形態1
図4に示すように、本発明の参考となる参考形態1に係る誘導加熱装置(3)は、容器(15)に収容した加熱対象物を誘導加熱を利用して加熱するものである。
【0032】
本誘導加熱装置(3)は、加熱対象物としての水を収容する非磁性材料からなる容器(15)を備えている。この容器(15)は、いわゆる真空二重構造に形成されており、非磁性材料からなる内壁(15A)と外壁(15B)との間に、真空室(51)が区画形成されている。容器(15)の内壁(15A)の内面には、強磁性材料からなるコーティング層(11)が設けられている。そして、容器(15)の外側には、誘導コイル(12)と、図示しない高周波電源とが設けられている。
【0033】
本誘導加熱装置(3)においても、運転時には上記高周波電源から誘導コイル(12)に高周波電流が供給され、高周波磁界が発生する。そして、この高周波磁界によりコーティング層(11)に誘導電流が流れ、コーティング層(11)は発熱する。その結果、容器(15)内の水はコーティング層(11)によって加熱される。
【0034】
従って、本参考形態においても、実施形態2と同様の効果を得ることができる。
【0035】
容器(15)における熱の溜まりやすい部分ではコーティング層(11)の厚みを薄くし、逆に、熱の溜まりにくい部分ではコーティング層(11)の厚みを厚くするようにしてもよい。例えば、容器(15)の中央部ではコーティング層(11)の厚みを薄くし、容器(15)の端部ではコーティング層(11)の厚みを厚くしてもよい。このようにコーティング層(11)の厚みに変化を持たせることとすれば、容器(15)の全体を均一に加熱することができ、特に好適である。
【0036】
なお、容器(15)に収容する加熱対象物は、水に限らず他の液体であってもよく、液体に限らず、固体または気体であってもよい。
【0037】
参考形態2
図5に示すように、本発明の参考となる参考形態2に係る誘導加熱装置(4)は、プレート(17)に載置した加熱対象物を誘導加熱を利用して加熱するものである。
【0038】
本誘導加熱装置(4)は、上板(17A)と下板(17B)との間に真空室(51)が区画形成された真空二重構造のプレート(17)を備えている。このプレート(17)は非磁性材料によって形成されており、上板(17A)の上面には強磁性材料からなるコーティング層(11)が設けられている。そして、プレート(17)の下側には、誘導コイル(12)と、図示しない高周波電源とが設けられている。
【0039】
本誘導加熱装置(4)においても、運転時には上記高周波電源から誘導コイル(12)に高周波電流が供給され、高周波磁界が発生する。そして、この高周波磁界によってコーティング層(11)に誘導電流が流れ、コーティング層(11)は発熱する。その結果、プレート(17)上の加熱対象物は、当該コーティング層(11)によって加熱される。
【0040】
従って、本実施形態によれば、誘導加熱の効率が高く、また、プレート(17)から外部への熱漏洩が少ないので、加熱効率及び保温性は著しく向上する。
【0041】
また、本実施形態においても、熱の溜まりやすい部分のコーティング層(11)の厚みを薄くし、熱の溜まりにくい部分のコーティング層(11)の厚みを厚くしてもよい。このようにコーティング層(11)の厚みを調節することにより、加熱対象物を均一に加熱することが容易になる。
【0042】
なお、本参考形態のプレート(17)は、例えば調理用のホットプレートとして利用することができる。
【0043】
【実施例】
次に、上記各実施形態の誘導加熱装置(1,2,3)を応用した実施例について説明する。
【0044】
<実施例1>
図6に示すように、本実施例は、実施形態1の誘導加熱装置(1)を冷媒の加熱装置として使用するものである。冷媒回路(20)は、圧縮機(21)、四路切換弁(22)、室外熱交換器(23)、膨張弁(24)、及び室内熱交換器(25)が接続されてなる閉回路であり、暖房運転及び冷房運転が可能なように、四路切換弁(22)を切り替えることによって冷媒の循環方向が切り替わるように構成されている。誘導加熱装置(1)は、室外熱交換器(23)と膨張弁(24)との間に設けられている。
【0045】
本冷媒回路(20)は、暖房運転の冷媒循環を維持したまま室外熱交換器(23)のデフロストを行ういわゆる正サイクルデフロスト運転を実行する冷媒回路であって、誘導加熱装置(1)は、デフロスト運転の際の冷媒の加熱手段として利用されている。すなわち、本誘導加熱装置(1)は、冷媒回路(20)のデフロスト運転の際に、膨張弁(24)から室外熱交換器(23)に向かって流れる冷媒を加熱する。
【0046】
デフロスト運転の際には、圧縮機(21)から吐出された冷媒は、室内熱交換器(25)で凝縮して室内の暖房を行い、膨張弁(24)で膨張した後、誘導加熱装置(1)によって加熱されてホットガスとなり、室外熱交換器(23)に供給される。そして、このホットガスは室外熱交換器(23)に生じた霜を融解した後、圧縮機(21)に吸入される。
【0047】
このように、冷媒回路(20)に高効率の誘導加熱装置(1)を設けることにより、高効率のデフロスト運転が可能となり、冷凍装置の省エネルギー化を促進することができる。また、外部への熱の漏洩が少ないので、冷媒回路(20)の他の部分を加熱してしまうことがなく、冷凍装置の信頼性が向上する。
【0048】
なお、実施形態1の誘導加熱装置(1)を実施形態2の誘導加熱装置(2)に置き換えてもよいことは勿論である。
【0049】
上記実施例は誘導加熱装置(1)をデフロスト用の加熱手段として利用した形態であったが、実施形態1または2の誘導加熱装置(1または2)を、インジェクション回路を備えた冷媒回路の暖房補助ヒーターとして利用してもよい。つまり、図7に示すように、ガスインジェクション回路(27)を備えた冷媒回路(20a)において、高圧膨張弁(24a)と気液分離器(26)との間に、実施形態1または2の誘導加熱装置(1または2)を設けるようにしてもよい。なお、図7において、(24b)は低圧膨張弁である。
【0050】
参考実施例1
本発明の参考となる他の実施例として、図8に示すように、実施形態1または2の誘導加熱装置(1または2)を、水道管(31)、貯湯タンク(30)、蛇口の先端(32)等に取り付けるようにしてもよい。本参考実施例によれば、加熱効率が向上するので省エネルギー化が促進されるとともに、水を急速に加熱することができるので、所望の温度の温水を瞬時に得ることが可能となる。
【0051】
参考実施例2>
本発明の参考となる他の実施例として、図9に示すように、実施形態1または2の誘導加熱装置(1または2)を、温水便器(33)の温水供給管(34)に設けるようにしてもよい。本参考実施例によれば、加熱効率が向上するので省エネルギー化が促進されるとともに、水の急速加熱が可能であるので、所望の温度の温水を瞬時に得ることができる。そのため、温水を貯留しておくための貯湯タンクを省略することが可能となる。従って、温水便器の構成を簡易化することができる。また、貯湯タンクを省略することにより、供給する温水をより衛生的にすることができる。
【0052】
参考実施例3
本発明の参考となる他の実施例として、図10に示すように、実施形態1または2の誘導加熱装置(1または2)を、食器洗浄機(35)の温水供給管(36)に設けるようにしてもよい。本参考実施例によれば、食器洗浄機(35)の省エネルギー化を促進することができるとともに、食器洗浄機(35)の運転開始直後から、高温の温水を供給することが可能となる。
【0053】
参考実施例4
寒冷地等では、水道管の凍結防止のために、水道管として真空二重管構造の不凍パイプがよく用いられている。しかし、このような真空二重管は、管内でいったん凍結が起こると、そのままでは凍結した氷を除去することができず、管内の閉塞を防止することができないものであった。そこで、本発明の参考となる他の実施例として、図11に示すように、実施形態1または2の誘導加熱装置(1または2)を、不凍パイプ(60)に適用してもよい。本参考実施例によれば、パイプ(60)内における凍結を未然に防止することができることは勿論、たとえパイプ(60)内で凍結が発生したとしても、パイプ(60)内の氷を誘導加熱により融解させることができるので、パイプ(60)の閉塞を事後的に防止することもできる。
【0054】
また、保温性に優れているので、わずかな加熱量により、長時間にわたってパイプ(60)を不凍温度(0℃よりも高温)に維持することができる。
【0055】
なお、誘導加熱装置(1または2)の加熱量を適宜調節することとすれば、パイプ(60)から取り出す水の温度を変更することができ、所望の温度の水を容易に得ることが可能となる。
【0056】
参考実施例5
本発明の参考となる他の実施例は、図12に示すように、参考形態1の誘導加熱装置(3)を炊飯器(61)に利用したものである。すなわち、真空二重構造の容器(15)を炊飯器(61)の釜としたものである。本参考実施例によれば、高効率の炊飯が可能となるので、炊飯器(61)の省エネルギー化を促進することができる。
【0057】
参考実施例6
本発明の参考となる他の実施例として、図13に示すように、実施形態1または2の誘導加熱装置(1または2)を、ポット(62)の温水供給管(63)に設けるようにしてもよい。また、参考形態1の誘導加熱装置(3)の容器(15)を温水タンク(15a)とし、誘導加熱を利用して温水タンク(15a)の水の加熱及び保温を行うようにしてもよい。
【0058】
参考実施例によれば、水をいったん温水タンク(15a)で加熱し、さらに温水供給管(63)を流通する際に誘導加熱装置(1または2)によって再加熱することができるので、温水タンク(15a)の温水の温度を比較的低く抑えることができる。従って、温水タンク(15a)には温度の低い温水を貯めておけば足りるので、温水タンク(15a)の内外の温度差が小さくなり、外部への放熱ロスは少なくなる。そのため、本参考実施例によれば、加熱効率の向上に加え、保温効果が向上するので、一層の省エネルギー化を達成することができる。
【0059】
また、誘導加熱装置(1または2)は加熱量の調節が容易であるので、温水タンク(15a)の温水の温度を比較的低く設定しておき、温水タンク(15a)から温水を取り出す際に誘導加熱装置(1または2)の加熱量を適宜調節することとすれば、ポット(62)から供給される温水の温度を自由に変更することができる。そのため、本参考実施例によれば、使用目的に応じた温度の温水を自由に取り出すことができるので、利便性が向上する。
【0060】
参考実施例7
本発明の参考となる他の実施例は、図14に示すように、参考形態1を応用し、外部からの加熱が可能な水筒(64)を実現したものである。本参考実施例に係る水筒(64)は、非磁性材料からなる内壁(15A)と外壁(15B)との間に真空室(51)が区画形成され、内壁(15A)の内面に強磁性体のコーティング層(11)が設けられた真空二重構造に形成されている。そして、水筒(64)の周りには、誘導コイル(12)によって形成された加熱台(65)が設けられている。加熱台(65)は、水筒(64)が加熱台(65)に対して挿抜自在なように、水筒(64)よりも一回り大きく形成されている。
【0061】
水筒(64)が加熱台(65)に収容されている状態で誘導コイル(12)に高周波電流を供給すると、水筒(64)の内面にコーティングされたコーティング層(11)が発熱し、水筒(64)内の水は加熱される。従って、本参考実施例によれば、水筒(64)を適宜加熱することができるので、水筒(64)の水を常に一定の温度に保つことができる。また、水筒(64)を加熱台(65)に挿入するだけで、水筒(64)を容易に加熱状態におくことができる。また、水筒(64)を加熱台(65)から引き抜くだけで、水筒(64)を容易に取り出すことができる。従って、電熱ヒーターを内蔵したような水筒に比べて、電線等の接続器具が不要であるので、利便性が著しく高い。また、水筒(64)の内壁(15A)のみが高温となり、外壁(15B)は加熱されないので、取り扱いが容易である。
【0062】
参考実施例8
本発明の参考となる他の実施例として、図15に示すように、実施形態1または2の誘導加熱装置(1または2)を、コーヒーメーカー(66)の温水供給管(67)に設けるようにしてもよい。また、参考形態1の誘導加熱装置(3)を、コーヒーメーカー(66)のポット(15b)に応用してもよい。つまり、ポット(15b)を非磁性材料によって形成し、その内面に強磁性材料からなるコーティング層を設けてもよい。誘導コイル(12)は、参考形態1のように、容器としてのポット(15b)の底部及び側部を覆うように配置してもよく、また、図15に示すようにポット(15b)の底部のみを覆うように配置してもよい。
【0063】
このように、本参考実施例によれば、コーヒーメーカー(66)の省エネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1に係る誘導加熱装置の構成図である。
【図2】 ヒーター式加熱装置と誘導加熱装置との性能比較図である。
【図3】 実施形態2に係る誘導加熱装置の構成図である。
【図4】 参考形態1に係る誘導加熱装置の構成図である。
【図5】 参考形態2に係る誘導加熱装置の構成図である。
【図6】 実施例1に係る冷媒回路図である。
【図7】 インジェクション回路を備えた冷媒回路の回路図である。
【図8】 参考実施例1に係る給湯器の構成図である。
【図9】 参考実施例2に係る温水便器の構成図である。
【図10】 参考実施例3に係る食器洗浄機の構成図である。
【図11】 参考実施例4に係る不凍パイプの構成図である。
【図12】 参考実施例5に係る炊飯器の構成図である。
【図13】 参考実施例6に係るポットの構成図である。
【図14】 参考実施例7に係る水筒の構成図である。
【図15】 参考実施例8に係るコーヒーメーカーの構成図である。
【符号の説明】
(10) 内管
(11) コーティング層
(12) 誘導コイル
(13) 高周波電源
(15) 容器
(15A) 内壁
(15B) 外壁
(17) プレート
(17A) 上板
(17B) 下板
(50) 外管
(51) 真空室

Claims (4)

  1. 圧縮機( 21 )、室外熱交換器( 23 )、膨張弁( 24 )、室内熱交換器( 25 )、及び四路切換弁( 22 )が接続された冷媒回路( 20 )を備え、該冷媒回路( 20 )は、上記四路切換弁( 22 )を切り換えることで冷媒の循環方向が切り替わるように構成されている冷凍装置であって、
    非磁性材料からなり且つ管内に冷媒を流通させると共に、上記室外熱交換器( 23 )と上記膨張弁( 24 )との間に設けられる内管(10)と、該内管(10)の外面にコーティングされた磁性材料からなるコーティング層(11)と、該コーティング層(11)を覆い且つ該内管(10)との間に真空室(51)を区画形成するように、該内管(10)の外側に設けられた非磁性材料からなる外管(50)と、該コーティング層(11)を誘導加熱するための誘導コイル(12)とを有する誘導加熱装置 (1) を更に備えている冷凍装置
  2. 圧縮機( 21 )、室外熱交換器( 23 )、膨張弁( 24 )、室内熱交換器( 25 )、及び四路切換弁( 22 )が接続された冷媒回路( 20 )を備え、該冷媒回路( 20 )は、上記四路切換弁( 22 )を切り換えることで冷媒の循環方向が切り替わるように構成されている冷凍装置であって、
    非磁性材料からなり且つ管内に冷媒を流通させると共に、上記室外熱交換器( 23 )と上記膨張弁( 24 )との間に設けられる内管(10)と、該内管(10)の内面にコーティングされた磁性材料からなるコーティング層(11)と、該内管(10)を介して該コーティング層(11)を覆い且つ該内管(10)との間に真空室(51)を区画形成するように、該内管(10)の外側に設けられた非磁性材料からなる外管(50)と、該コーティング層(11)を誘導加熱するための誘導コイル(12)とを有する誘導加熱装置 (1) を更に備えている冷凍装置
  3. 請求項1又は2に記載の冷凍装置において、
    内管(10)は、アルミニウムによって形成されている冷凍装置
  4. 請求項1又は2に記載の冷凍装置において、
    内管(10)は、銅によって形成されている冷凍装置
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