JP4025687B2 - 燃料電池セル及び燃料電池 - Google Patents

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    • Y02E60/50Fuel cells

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池セル及び燃料電池に関するもので、特に複数のセル本体に均一にガスを分配、供給できる燃料電池セル及び燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、次世代エネルギーとして、燃料電池セルのスタックを収納容器内に収容した燃料電池が種々提案されている。
【0003】
燃料電池セルは固体電解質を空気極、燃料極で挟持して構成されており、空気極に酸素含有ガスを供給し、燃料極に水素を含むガス、もしくは水素に変化しうるガスを供給することにより、固体電解質を挟んで対峙する両電極間に電位差が発生し、発電するものである。
【0004】
これらの燃料電池セルは、用いる電解質や形態により様々な組み合わせが考えられるが、ほとんどの場合、燃料電池セルに酸素含有ガスと水素を含むガス、もしくは水素に変化しうるガスを供給して発電する点は共通している。
【0005】
また、燃料電池は燃料電池セル当たりの発電量が小さいため、複数の燃料電池セルを電気的に接続して構成されている。
【0006】
そのため、発電に際し、複数の燃料電池セルに酸素含有ガスと水素を含むガス、もしくは水素に変化しうるガスをそれぞれ供給する必要がある。また、同時に、発電量並びに発電効率を向上させるため、それぞれの燃料電池セルに供給するガスの量は同じにする必要がある。
【0007】
は、従来の燃料電池セルの縦断面を示したもので、内部にガス流路31を有する円筒柱状の多孔質支持体33の表面に、多孔質の燃料極35、緻密質の固体電解質37、多孔質の空気極39が順次積層されている。この燃料電池セルのガス流路31に燃料を流し、燃料電池セルの外部に酸素含有ガスを流すことで、固体電解質37を介して燃料極35、空気極39間に電位差が生じ、発電が行われる。燃料電池はこのような燃料電池セルを収納容器内に複数収納して構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−125346号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような燃料電池では、複数の燃料電池セルに同時にガスを供給する必要があり、また、発電量並びに発電効率を安定させる為、各燃料電池セルに供給するガス量を同じにし、各燃料電池セルの燃料利用率を均一にする必要がある。各燃料電池セルに供給されるガス量が均一でない場合には、各燃料電池セルの発電量がばらつくため、総発電量が小さくなるという問題がある。また、適正なガス供給がされない燃料電池セルでは破壊が起こるなどの問題もある。
【0010】
例えば、燃料極支持型燃料電池の場合、燃料電池セルに供給される水素を含むガスが設計ガス量より少量であれば、燃料利用率が大きくなる。燃料利用率があまりにも大きくなると、燃料電池反応の燃料である水素が燃料電池セルのガス供給口側で消費され、燃料電池セルのガス排出口側には水素が供給されず、いわゆる燃料枯れの現象が生じる。
【0011】
この現象が起こると、還元されていた燃料極が酸化され、水素が供給されない部分の燃料極が絶縁体となる。燃料極が絶縁体となった場合、その燃料電池セルの電気抵抗は大きく増大し、燃料電池セルを直列に接続して構成していたスタックの電気抵抗が増大し、出力が大きく低下し、燃料電池全体の特性が低下する。
【0012】
逆に、水素を含むガスが設計量よりも多くなる場合には、燃料利用率が低下し、発電に寄与しない水素の量が増加し、発電効率が低下するという問題がある。
【0013】
また、空気極支持型燃料電池の場合、燃料電池セルに供給される酸素含有ガスが設計ガス量より少量であれば、空気利用率が大きくなる。空気利用率があまりにも大きくなると、燃料電池反応のもう一つの燃料である酸素が燃料電池セルのガス供給口側で消費され、燃料電池セルのガス排出口側には酸素が供給されず、いわゆる空気枯れの現象が生じる。
【0014】
この現象が起こると、空気極が還元されて体積変化が起き、大気中で共焼結されていた電解質と空気極の界面に、空気極の体積変化に伴う応力が発生し、燃料電池セルの破壊に至る。
【0015】
以上の理由から、各燃料電池セルに同じ量のガスを供給する必要がある。しかしながら、燃料電池セルの内部に形成されたガス流路の断面積にばらつきがある場合には、仮に、同じ圧力で燃料電池セルにガスを供給したとしても、燃料電池内部に形成されたガス流路を流れるガス量は、燃料電池セルごとにばらつくことになる。
【0016】
特に、生産性の高い押し出し成形などで支持体を作製する場合には、燃料電池セルのガス流路の断面積は、ばらつきが多くなりやすいという問題がある。
【0017】
そのため、燃料電池セルのガス流路のばらつきを管理し、管理範囲内の燃料電池セルのみが用いられている。しかしながら、燃料電池セルのガス流路のばらつきを検査するには時間とコストがかかり、生産性の点で問題がある。また、良品率の低下によるコストの上昇の問題もある。
【0018】
この問題を解決するため、例えば、各々の燃料電池セルに供給されるガス量を測定し、弁などを用いてガス量を制御するなどの手法が考えられるが、構造が複雑になり、また、制御用のシステムが必要となるため、装置が大型化したり、高コストになるなどの問題がある。
【0019】
本発明は、簡単な構造で複数のセル本体に均一にガスを供給することができる燃料電池セル及び燃料電池を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池セルは、一方側が供給口とされ、他方側が排出口とされた複数のガス流路が長手方向に形成されるとともに、固体電解質が燃料極及び空気極で挟持された発電部を有する中空平板状のセル本体と、該セル本体の前記供給口側端部に設けられ、前記複数のガス流路を流れるガス流通量のばらつきを抑制するためのガス供給抑制孔を備えるガス供給抑制部材とを具備することを特徴とする。
【0021】
このような燃料電池セルでは、仮に、セル本体の内部に設けられた複数のガス流路の断面積にばらつきがあったとしても、セル本体のガス供給口側端部に、セル本体の内部に設けられたガス流路のガス流通量を抑制し、流体抵抗を増大させるガス供給抑制孔を有するガス供給抑制部材を設けたことで、燃料電池セルに供給されるガス量は、セル本体の複数のガス流路の断面積のばらつきに影響されず、ガス供給抑制孔を有するガス供給抑制部材によって制御される。
【0022】
そのため、複数の燃料電池セルにそれぞれ供給されるガス量を容易に均一にすることができ、各燃料電池セルの発電量のばらつきを容易に抑制することができるため、発電量の低下や、発電効率の低下、燃料電池セルの破壊を防止できる。
【0023】
また、本発明の燃料電池セルは、前記ガス供給抑制部材が、蓋部と前記ガス供給抑制孔が設けられたガス供給抑制部とを有し、前記ガス供給抑制が、前記セル本体の前記ガス流路に挿入され、前記蓋部が前記セル本体の前記ガス供給口側の端部に接続されていることを特徴とする。
【0024】
このような携帯の燃料電池セルでは、ガス供給抑制部をセル本体のガス流路に挿入することで、ガス供給抑制部材とガス流路との接続のずれが生じることがなくなるため、ガス供給抑制部材とガス流路とを、容易に正確に接続することができる。
【0025】
また、本発明の燃料電池セルは、ガス流通方向に直角な前記ガス供給抑制孔の断面積/ガス流通方向に直角な前記セル本体の供給口の断面積の関係が9/10以下であることを特徴とする。
【0026】
ガス流通方向に直角なガス供給抑制孔の断面積をガス流通方向に直角なセル本体の供給口の断面積の9/10以下にすることで、セル本体の供給口の断面積がばらついていたとしてもセル本体の供給口の断面積よりも、ガス供給抑制孔の断面積を小さくすることができ、燃料電池セルに供給されるガス量は、セル本体のガス流路の断面積のばらつきに影響されず、ガス供給抑制孔を有するガス供給抑制部材によって制御される。
【0027】
また、本発明の燃料電池セルは、ガス流通方向の前記ガス供給抑制孔の長さが2mm以上であることを特徴とする。
【0028】
このように、ガス流通方向のガス供給抑制孔の長さを2mm以上とすることで、ガス供給抑制孔を通過するガスの流通抵抗を大きくできるため、ガス供給抑制孔のガス供給抑制効果を十分に大きくすることができる。
【0029】
また、本発明の燃料電池セルは、一方側が供給口とされ、他方側が排出口とされた複数のガス流路が長手方向に形成されるとともに、固体電解質が燃料極及び空気極で挟持された発電部を有する中空平板状のセル本体と、該セル本体の前記供給口側の端部に設けられた、ガス供給抑制孔と該ガス供給抑制孔からのガスを分配するためのガス分配室とを備えるガス供給抑制部材とを具備することを特徴とする。
【0030】
このような燃料電池セルでは、ガス供給抑制孔はそれぞれセル本体のガス流路1に独立して設けられてはいないが、ガス供給抑制孔により、ガス分配室に供給されるガス量は制御されるため、燃料電池セルに供給されるガス量をほぼ均一にすることができ、複数の燃料電池セル間のガス供給量のばらつきを抑制することができる。
【0031】
また、本発明の燃料電池は、上記の燃料電池セルを収納容器内に複数収納してなることを特徴とする。
【0032】
このような燃料電池では、各燃料電池セルに供給されるガス量が均一となり、発電能力が向上する。また、ガスの供給不足や供給過多による燃料電池セルの破壊や性能劣化を抑制することができる。特に、燃料電池セルを電気的に直列に接続する場合には、一つの燃料電池セルの性能劣化が燃料電池全体の発電能力に大きく影響するため、燃料電池セルの電気的抵抗の増大を防止することができる本発明の燃料電池は、特に、燃料電池セルが直列接続された燃料電池では、大幅な性能劣化を防止できる。また、特別な制御装置を必要とせず、簡単な構造で、発電効率の向上、燃料電池の小型化や、低コスト化を達成できる。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1、2に本発明の燃料電池セルの一形態を示す。
【0034】
本発明の燃料電池セルでは、例えば、内部に複数のガス流路1が軸長方向に形成された中空平板状の支持体3表面に、多孔質の燃料極5、緻密質の固体電解質7、多孔質の空気極9が順次形成されてセル本体Aが構成されている。このセル本体Aのガス供給口側端部には、ガス供給抑制孔11が形成されたガス供給抑制部材13が設けられている。
【0035】
ガス供給抑制部材13は、セル本体Aとの接続及びガスシールを実現するための蓋部13aと、ガス供給抑制孔11が設けられたガス供給抑制部13bからなる。
【0036】
即ち、セル本体Aの端面に蓋部13aが接合され、蓋部13aの貫通孔であるガス供給抑制孔11とガス流路1内に位置するガス供給抑制部13bの貫通孔が連通するように蓋部13aとガス供給抑制部13bとが接合されている。
【0037】
このような燃料電池セルでは、セル本体A内部に供給されるガスは、セル本体Aの供給口側端部に設けられたガス供給抑制部材13のガス供給抑制孔11を通過して、ガス流路1に導入され、ガス排出口を通過して、燃料電池セル外に排出される。また、燃料電池セルの外部には、他のガスが供給され、多孔質の燃料極5、緻密質の固体電解質7、多孔質の空気極9が積層された発電部で、燃料極5と空気極9間の酸素濃度差に基づく発電が行われる。
【0038】
この燃料電池セルでは、燃料電池セルの内外でのガスの混入を防ぐため、セル本体Aの端部にまで緻密質の固体電解質7が形成されている。
【0039】
このような燃料電池セルでは、支持体3は一般的に生産性の高い押し出し成形法を用いて作製されるが、この成形法は寸法精度が低く、燃料電池セル内部のガス流路1の形状は燃料電池セルによって大きくばらつく傾向にある。
【0040】
このように、ガス流路1の形状がばらついた複数の燃料電池セルを用いてスタックを作製し、このスタックをマニホールドに固定して燃料電池セル内部にガスを流す場合、ガスが、各燃料電池セル間で均等に流れないという問題が生じていた。例えば、スタックを形成する燃料電池セルの本数分の設計ガス量をスタックに供給しても、ガス流路1の大きな燃料電池セルにはガスが多く流れるが、ガス流路1の小さな燃料電池セルには少量のガスしか流れないという現象が生じる。
【0041】
この現象は、狭いガス流路1を流れるガスの圧力損失が、広いガス流路1を流れるガスの圧力損失より大きくなることに起因し、圧力損失が大きくなることで、燃料電池セル内部のガス流路1を流れるガスの流速は遅くなる。
【0042】
ガス流路1を通過するガス量は、ガスの流速とガス流路1の断面積の積となるので、狭いガス流路1を流れるガス量は、広いガス流路1を流れるガス量に比べて少なくなる。この傾向は、ガス流路1の流れ方向長さが長いほど顕著に表れる。
【0043】
このようなガス流路1の形状のばらつきによるガス流通量のばらつきは、例えば、一つのガスタンクに複数の燃料電池セルを接続し、一つのガスタンクから複数の燃料電池セルのガス流路1にガスを供給する場合、特に顕著になり、ガスが流れにくい燃料電池セルが一本でも存在すると、この燃料電池セルには、ガスはほとんど流れず、他の燃料電池セルのみに過剰に供給されることになり、燃料電池全体の発電量、発電効率が低下するという問題があった。
【0044】
本発明の燃料電池セルは、仮にガス流路1の断面積が異なる場合でも、セル本体Aの供給口側端部にガス排出抑制孔11を有するガス供給抑制部材13を設けることで、供給されるガス量を制御することができるため、複数の燃料電池セル間の供給されるガス量のばらつきを抑制することができ、ガス流通量が多すぎることによる燃料利用率の低下に伴う発電効率の低下や、ガス流通量が少なすぎることにより発生する燃料枯れに伴う燃料電池セルの破壊や、電気的抵抗の増大に伴う燃料電池セルの性能劣化、空気枯れに伴う燃料電池の破壊を防止することができる。また、それぞれの燃料電池セルに均一にガスを分配、供給することができるため、燃料電池の発電能力の向上と、燃料電池セルの破壊防止とを同時に達成できる。特に、その効果は一本の燃料電池セルの特性劣化が燃料電池全体の特性に大きく影響する直列接続型の燃料電池では絶大である。
【0045】
また、図1に示した形態ではセル本体Aに形成された複数のガス流路1のそれぞれに対して、均一にガスを供給することができるため、セル本体A内部でのガス供給の不均一を防止でき、セル本体A内部での発電のばらつきも防止することができる。
【0046】
図3に本発明の燃料電池セルの他の形態の縦断面図を示す。この燃料電池セルは、図1で示した形態と同様にセル本体A内部に複数のガス流路1が形成され、セル本体Aの供給口側端部に、ガス流路1にそれぞれ対応する複数のガス供給抑制孔11が形成されたガス供給抑制部材13が設けられている。この形態では、図1に示したセル本体Aとガス供給抑制部材13との接続及びガスシールを実現するための蓋部13aと、ガス供給抑制孔11が設けられたガス供給抑制部13bとが、一体化されており、簡単な構造で、図1の形態と同様に燃料電池セルに均一にガスを分配、供給することができる。
【0047】
また、ガス供給抑制部材13には、枠部13cがセル本体Aの端部を囲むように設けられ、燃料電池セル本体Aとガス供給抑制部材13とをより簡便に接続し、ガスシール性を向上させることができる。
【0048】
図4に本発明の燃料電池セルの他の形態の縦断面図を示す。この燃料電池セルは、セル本体A内部に複数のガス流路1が形成され、セル本体Aの供給口側端部に、ガス供給抑制孔11とガス分配室13dとを具備するガス供給抑制部材13が設けられている。このような燃料電池セルでは、ガス供給抑制孔11はそれぞれセル本体Aのガス流路1に独立して設けられてはいないが、ガス供給抑制孔11により、ガス分配室13dに供給されるガス量は制御されるため、各ガス流路1に供給されるガス量には、ばらつきがでるものの、燃料電池セルに供給されるガス量を、ほぼ、均一にすることができ、複数の燃料電池セル間のガス供給量のばらつきは抑制することができる。
【0049】
図5に、ガス供給抑制部材13の種々の形態を示す。ガス供給抑制部材13に設けられた貫通孔であるガス供給抑制孔11は、図5(a)、(b)のように円状の穴であってもよく、図5(c)、(d)、(e)のようにスリット状であってもよい。
【0050】
また、ガス排出抑制孔11の数は、図5(b)、(c)、(d)のように一つであっても、図5(a)、(e)のように複数であってもよい。例えば、ガス供給抑制部材13に設けられたガス供給抑制孔11の数を一つにすることで、ガス供給抑制部材13の構造が簡単になり、ガス供給抑制孔11の数が減ることで、ガス供給抑制部材13の作製が容易になり、また、ガス供給抑制部材13の強度も向上する。
【0051】
なお、セル本体Aに複数のガス流路1が設けられ、ガス供給抑制部材13に設けられたガス供給抑制孔11の数がガス流路1の数よりも少ない場合には、ガス流路1とガス供給抑制孔11との間にガス分配室13dを設けることが必要である。
【0052】
また、以上説明したガス供給抑制部材13は、複数のガス流路1を有するセル本体A当たりに、一つの部材を取り付ける形態を示したが、各々のガス流路1に対して、それぞれ個別にガス供給抑制部材13を取り付けてもよいことは勿論である。
【0053】
さらに、このガス供給抑制部材13は、熱伝導率が高いという点から、熱膨張係数をセル本体Aと近似させた耐熱金属等が好適に用いられる。また、耐熱性、耐熱衝撃性、強度に優れ、酸化雰囲気、還元雰囲気での安定性に優れるアルミナやジルコニア、安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニアなどのセラミック部材も好適に用いられる。
【0054】
また、ガス流通量の抑制効果の観点から、ガス流通方向に直角なガス供給抑制孔の断面積/ガス流通方向に直角なセル本体の供給口の断面積の関係が9/10以下、さらに6/10以下、特に3/10となるようにすることが望ましい。
【0055】
なお、ガス流路1が複数ある場合、ガス供給抑制孔11が複数ある場合には、それぞれの断面積の合計の関係が上記の範囲となるようにすればよい。
【0056】
ガス供給抑制部材13に設けられたガス供給抑制孔11の形状は、孔の深さが2mm以上であることが望ましく、さらに、4mm以上であることが望ましい。また、ガス供給抑制孔11の深さと垂直方向の幅は1mm以下であることが望ましく、さらに0.7mm以下であることが望ましい。
【0058】
本発明の燃料電池は、本発明の燃料電池セルを収納容器内に複数収納して構成される。このような燃料電池では、燃料電池セル内あるいは燃料電池セル間に、ガスを均一に、分配、供給することができ、各燃料電池セル間の発電量のばらつきを抑制することができ、燃料電池セルの破損を防ぐことができるとともに、発電能力を高めることができる。
【0059】
さらに、燃料電池セルごとにガス流路1の検査をする必要がなくなり、生産性が向上する。
【0060】
なお、本発明は上記形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、セル本体端部からガスを供給する形態であれば、片端封止型や折り返し型のセル本体であっても、同様の効果が得られる。また、ガス供給抑制部材13はガス供給抑制の機能を有するものであればよく、例えば、ガス供給抑制孔11として、多孔体や、網状の部材を用いてもよい。
【0061】
【実施例】
まず、図3に示すような内部に三つのガス流路を有するYとNiとからなる中空平板状の幅25mm、厚さ3mm、長さ150mm、ガス流路の直径1.5mmの支持体を作製した。
【0062】
次に、支持体の外周面にYを8モル固溶したZrOからなる緻密体を形成して、ガス流通試験用支持体を作製した。
【0063】
このガス流通試験用支持体の下部に、図3に示すようなガス供給抑制孔を具備するガス供給抑制部材を接合した。
【0064】
ガス流路のガス流通方向に直交する面の断面積と、ガス供給抑制部材のガス供給抑制孔のガス流通方向に直交する面の断面積の比(断面積比)を表1に示すように変化させ、各条件で、それぞれ10本のガス流通試験用支持体とガス供給抑制部材とを接合し、さらに、それぞれ各10本のガス流通試験用支持体とガス供給抑制部材との接合体を連通したマニホールドに接続し、毎分1Lの水素ガスを流通させ、各ガス流通試験用支持体の各ガス流路を流通するガス量のばらつきと、各ガス流通試験用支持体間のガス量のばらつきとを測定し、表1に示した。
【0065】
【表1】
Figure 0004025687
【0066】
本発明の範囲外のガス供給抑制能力のない、ガス流路の断面積以上の断面積となる試料No.1〜3のガス供給抑制部材(注:ガス供給抑制部材として機能していない)を用いた場合には、それぞれのガス流通試験用支持体のガス流路のガス流量のばらつきはいずれも大きく、また、ガス流通試験用支持体間のガス流路のばらつきも大きくなっている。
【0067】
一方、本発明のガス供給抑制部材を用いた試料No.4〜9では、ガス流通試験用支持体内、ガス流通試験用支持体間ともに、ガス流量のばらつきは抑制され、断面積比が9/10の試料No.4では、試料No.1〜3に比べ、ばらつきが半減しており、6/10の試料No.5、3/10の試料No.6では、さらにばらつきが抑制されている。
【0068】
また、ガス供給抑制孔のガス流通方向の長さ、即ち、深さが1mmの試料No.7に比べ、2mmの試料No.5、4mmの試料No.9においてばらつきが小さくなる傾向にある。
【0069】
【発明の効果】
本発明では、各燃料電池セルに供給されるガス量が均一となり、発電能力に優れ、ガスの供給不足や供給過多による燃料電池セルの破壊を抑制することができる。また、特別な制御装置を必要とせず、簡単な構造で、発電効率の向上、燃料電池の小型化や、低コスト化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池セルを示す縦断面図である。
【図2】図1の燃料電池セルの斜視図である。
【図3】複数のガス流路に対応するように、ガス供給抑制孔が形成された本発明の燃料電池セルの他の形態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の燃料電池セルのさらに他の形態を示す縦断面図である。
【図5】(a)〜(e)は本発明の扁平柱状の燃料電池セルに用いられるガス供給抑制部材の種々の形態を示す平面図である。
【図6】(a)は本発明の円筒柱状の燃料電池セルの形態を示す縦断面図であり、(b)はガス供給抑制部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
A・・・セル本体
1・・・ガス流路
3・・・支持体
5・・・燃料極
7・・・固体電解質
9・・・空気極
11・・・ガス供給抑制孔
13・・・ガス供給抑制部材

Claims (6)

  1. 一方側が供給口とされ、他方側が排出口とされた複数のガス流路が長手方向に形成されるとともに、固体電解質が燃料極及び空気極で挟持された発電部を有する中空平板状のセル本体と、該セル本体の前記供給口側端部に設けられ、前記複数のガス流路を流れるガス流通量のばらつきを抑制するためのガス供給抑制孔を備えるガス供給抑制部材とを具備することを特徴とする燃料電池セル。
  2. 前記ガス供給抑制部材が、蓋部と前記ガス供給抑制孔が設けられたガス供給抑制部とを有し、前記ガス供給抑制が、前記セル本体の前記ガス流路に挿入され、前記蓋部が前記セル本体の前記ガス供給口側の端部に接続されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池セル。
  3. ガス流通方向に直角な前記ガス供給抑制孔の断面積/ガス流通方向に直角な前記セル本体の供給口の断面積の関係が9/10以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の燃料電池セル。
  4. ガス流通方向の前記ガス供給抑制孔の長さが2mm以上であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の燃料電池セル。
  5. 一方側が供給口とされ、他方側が排出口とされた複数のガス流路が長手方向に形成されるとともに、固体電解質が燃料極及び空気極で挟持された発電部を有する中空平板状のセル本体と、該セル本体の前記供給口側の端部に設けられた、ガス供給抑制孔と該ガス供給抑制孔からのガスを分配するためのガス分配室とを備えるガス供給抑制部材とを具備することを特徴とする燃料電池セル。
  6. 収納容器内に請求項1乃至5のうちいずれかに記載の燃料電池セルを複数収納してなることを特徴とする燃料電池。
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