JP4025306B2 - 薄膜圧電共振器の製造方法 - Google Patents

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本発明は、高周波フィルタや高周波発振器として利用することができる薄膜圧電共振器の製造方法に関する。
弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)素子は、高い共振品質を有すること及び小型化が容易であることから、特にLCフィルタや誘電体フィルタに代わるデバイスとして、急速に利用されている。SAW素子は、圧電体単結晶基板とその上に形成された1対の櫛歯電極とを基本構造として有し、その共振周波数は櫛歯間隔に反比例する。そのため、より高い周波数の信号を処理するには、櫛歯間隔を小さくしなければならない。例えば、近年、移動体通信機器において求められている1GHzを超える周波数の入力信号を処理するには、櫛歯間隔を1μm以下にする必要がある。ところが、そのような狭ピッチの櫛歯電極は、高精度な加工が困難であり、大電力の信号が入力された際に電流リークや断線が生じやすいという問題を有する。
これに対し、薄膜圧電共振器は、SAW素子の欠点を克服し、より高い周波数の信号を処理することができるデバイスである。薄膜圧電共振器は、圧電体薄膜とそれを挟んだ2つの電極とを基本構造として有し、共振周波数を決定する主要因は圧電体薄膜の膜厚である。例えば、膜厚1〜2μmでは2GHzの共振周波数を得ることができ、膜厚0.4〜0.8μmでは5GHzの共振周波数を得ることができる。数十GHzまでの高周波信号を処理することも可能である。薄膜圧電共振器は、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)またはBAW(Bulk Acoustic Wave)素子とも呼ばれている。
薄膜圧電共振器は、圧電体薄膜の弾性振動を共振エネルギーとしてその内部に閉じ込める。よって、高いQ値を得るためには、圧電体薄膜の界面(実際には、両電極の外側の表面)においてその弾性振動が効率的に反射されることが要求される。換言すれば、各電極表面の内外において、音響インピーダンスの差が大きいことが好ましい。空気は、他の媒体に比べて格段に小さい音響インピーダンスを有するので、両電極の表面が空気に接することが、薄膜圧電共振器のQ値を高めるための要件となっている。そこで、薄膜圧電共振器を支持する基板側に空洞を形成するための様々な構造および製造方法が提案されている。
薄膜圧電共振器の最も代表的な製造方法は、圧電体薄膜と電極とからなる共振器を基板上に形成し、その後、基板の裏面から異方性のウェットエッチングを行なうことによって、共振器の下面を露出させる方法である。また、他の製造方法として、基板の表面に形成した窪みに犠牲層と呼ばれる一時的な層を形成し、その犠牲層上に共振器を形成した後、選択的なウェットエッチングによってその犠牲層を除去する方法(特許文献1参照)も提案されている。
ところが、これら製造方法は、ウェットエッチングを行なう際のエッチャントとして、フッ酸を含んだ強酸を使用するため、共振器を構成する電極や圧電体薄膜が剥離する虞がある。また、ウェットエッチングは、高精度に制御することが困難であるため、歩留まり向上の点で不利である。さらに、基板の裏面から異方性のウェットエッチングを行なう方法では、エッチング側面に、基板の結晶面に依存した傾斜が生じる。換言すれば、異方性のウェットエッチングによって形成された空洞は、共振器下部の露出面の幅よりも上記傾斜を考慮した分だけ大きな開口幅を有する。これは、薄膜圧電共振器の構成要素である基板の小型化を阻む要因となる。
そこで、基板の裏面から異方性のドライエッチングを行なう方法が用いられている。この方法によれば、基板の裏面から共振器下部に向けてほぼ垂直にトレンチを形成することができ、ウェットエッチングを用いた方法よりも、薄膜圧電共振器のサイズを小さくすることができる。図8は、このドライエッチングを行なう方法によって得られた薄膜圧電共振器の断面図である。薄膜圧電共振器50は、シリコン基板500上に、シリコン窒化膜503、下部電極504、圧電体薄膜505、上部電極506が順に成膜された構造を有し、共振器下部の空洞510は、シリコン基板500の裏面からドライエッチングを行なうことにより形成される。
Si基板500は、その上に形成された共振器(下部電極504、圧電体薄膜505、上部電極506)を支持するために、少なくとも100μm程度の厚みを必要とする。これは、空洞510を形成するためのエッチングの深さも少なくとも100μm程度必要であることを意味する。この大きさは、図8において、シリコン基板500の裏面上の点SPからシリコン窒化膜503の裏面の点EPまでの距離に相当する。また、共振器の下面と空気との接触領域は、EP−EP領域であり、このEP−EP領域の幅は、薄膜圧電共振器50の特性を決定する要因の1つである。ところが、シリコン基板500の裏面のSP−SP領域から正確にエッチングが開始されたとしても、シリコン基板500は100μm程度もの厚みを有しているため、エッチング側面が面501aや501bのように、SP−EP面からずれてしまいやすい。即ちエッチング変換差の影響を受けてしまう。また、シリコン窒化膜503の裏面近傍にてアンダーカット502が発生することにより、EP−EP領域以上の空洞が形成される可能性もある。すなわち、共振器の下面と空気との接触領域が設計とは異なった大きさとなり、その結果、薄膜圧電共振器50の所望の特性が得られないという問題が生じている。
特開2000−69594号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、共振器の直下の空洞を所望の位置および大きさで精確に且つ容易に形成する、薄膜圧電共振器の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる薄膜圧電共振器の製造方法は、シリコン基板上に、環状に溝を形成する溝形成工程と、前記溝の内部に絶縁材料で且つエッチング停止層として機能する空洞雛型層を形成する空洞雛型層形成工程と、前記空洞雛型層で囲まれた島部分の上と前記空洞雛型層のうちの前記島部分を含む部分の上とに横たわるように、圧電体薄膜を含んだ共振器を形成する共振器形成工程と、前記シリコン基板の裏面から、前記島部分の全てをエッチングすることで、前記共振器の真下に空洞を形成する空洞形成工程と、を含み、前記共振器形成工程は、前記島部分を覆い且つその周縁が前記空洞雛型層上に位置するよう下部電極層を形成する下部電極層形成工程と、前記下部電極層の表面であって且つ前記島部分の真上に位置する領域を覆うとともに、その一部が前記空洞雛型層上に位置するよう前記圧電体薄膜を形成する圧電体薄膜形成工程と、前記圧電体薄膜の表面であって且つその一端が前記島部分の真上に位置するとともに、当該一端に対向する他端が前記空洞雛型層の真上に位置するよう上部電極層を形成する上部電極形成工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる薄膜圧電共振器の製造方法は、シリコン基板上に、環状に溝を形成する溝形成工程と、前記溝の内部に絶縁材料で且つエッチング停止層として機能する空洞雛型層を形成する空洞雛型層形成工程と、前記空洞雛型層で囲まれた島部分の上と前記空洞雛型層のうちの前記島部分を含む部分の上とに横たわるように、圧電体薄膜を含んだ共振器を形成する共振器形成工程と、前記シリコン基板の裏面から、前記島部分の全てをエッチングすることで、前記共振器の真下に空洞を形成する空洞形成工程と、を含み、前記共振器形成工程は、前記シリコン基板の上と前記空洞雛型層の上とに薄膜絶縁層を形成する薄膜絶縁層形成工程と、前記島部分の真上に位置する前記薄膜絶縁層の表面を覆い且つその周縁が前記空洞雛型層の真上に位置するよう下部電極層を形成する下部電極層形成工程と、前記下部電極層の表面であって且つ前記島部分の真上に位置する領域を覆うとともに、その一部が前記空洞雛型層の真上に位置するよう前記圧電体薄膜を形成する圧電体薄膜形成工程と、前記圧電体薄膜の表面であって且つその一端が前記島部分の真上に位置するとともに、当該一端に対向する他端が前記空洞雛型層の真上に位置するよう上部電極層を形成する上部電極形成工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、共振部の下面を所望の位置および大きさで精確に且つ容易に露出させることができる。また、共振部の下部電極層または上部電極層と共振部を支持する基板との間に生じる寄生容量を低減することができる。
以下に、本発明にかかる薄膜圧電共振器およびその製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。但し、図面は模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは現実のものとは異なる。また、図面の相互間において同じ部分を指す場合であっても、互いの寸法や比率が異なって示されている部分もある。
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる薄膜圧電共振器は、共振器の下部に環状の空洞雛型層を有し、共振器の下面と空気との接触領域が、この空洞雛型層によって囲まれた部分(環内)の位置および大きさによって決定されていることを特徴とする。
図1は、実施の形態1にかかる薄膜圧電共振器の断面図である。図1において、薄膜圧電共振器10は、シリコン基板100の上に、空洞雛型層102、薄膜絶縁層103、下部電極層104、圧電体薄膜105、上部電極層106がその順に積層された構造を有する。薄膜圧電共振器10の共振部は、下部電極層104、圧電体薄膜105、上部電極層106によって構成される。シリコン基板100は、空洞110を有しており、共振部は、その空洞を塞ぐように横たわって配置されている。空洞雛型層102は、その表面がシリコン基板100の主表面と同一面上となるように、シリコン基板100内に形成されている。また、空洞雛型層102によって囲まれた領域は空洞となっており、この空洞は、シリコン基板100の空洞110と連通している。換言すれば、空洞雛型層102は、シリコン基板100の空洞110と連通した穴を有する。薄膜絶縁層103もまた、空洞雛型層102の空洞と連通した穴を有しており、その穴の壁面は、空洞雛型層102の空洞の壁面と同一面上にある。また、特に、空洞110の壁面は、空洞雛型層102の空洞の壁面よりも、外側に位置している。シリコン基板100の空洞110と、空洞雛型層102の穴と、薄膜絶縁層103の穴とによって、共振部の下部、すなわち下部電極層の下面が露出している。
つぎに、この薄膜圧電共振器10の製造工程について説明する。図2−1〜図2−8は、薄膜圧電共振器10の製造工程を、その断面図によって示した図である。また、図3−1〜図3−4は、薄膜圧電共振器10の製造工程を、その平面図によって示した図である。まず、シリコン基板100上に、周知のフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程によって、環状の溝101を形成する(図2−1)。換言すれば、溝101で囲まれる領域(以下、島部分と称する)を決定する。なお、溝101の深さは、1μm程度であり十分に大きい。島部分100’は、最終的にエッチングによって取り除かれ、共振部の直下に位置する空洞の大きさを決定する。すなわち、共振部の下面と空気とが接触する領域は、島部分100’によって決定される。よって、シリコン基板100の上から見た島部分100’の平面形状は、設計どおりに正確である必要がある。そのため、溝101は、その断面が矩形となるように、RIE(Reactive Ion Etching)などのドライエッチングによって形成されることが好ましい。但し、島部分100’の平面形状を設計どおりに確実に決定することができるのであれば、溝101を、異方性のウェットエッチングによってV溝として形成しても良いし、等方性のウェットエッチングによって丸溝として形成しても良い。
この溝101内に、CVD(Chemical Vapor Deposition)などの周知の成膜工程によって、空洞雛型層102を形成する(図2−2)。空洞雛型層102は、SiO2などの酸化物材料やSi34などの窒化物材料で形成することができる。この空洞雛型層102を、その表面がシリコン基板100の主表面と同一面上となるように、CMP(Chemical Mechanical Polishing)などの周知の平坦化工程によって平坦化する。結果的に、図3−1に示すように、島部分100’を有し且つ1μm程度の厚みを有する環状の空洞雛型層102を得ることができる。
つぎに、平坦化された空洞雛型層102、シリコン基板100、および島部分100’の各表面を覆うように、薄膜絶縁層103を形成する(図2−3)。薄膜絶縁層103もまた、SiO2などの酸化物材料やSi34などの窒化物材料で形成することができる。薄膜絶縁層103の厚みは、0.3μm程度であり、空洞雛型層102の厚みよりも十分に薄い。
この薄膜絶縁層103の表面であって且つ島部分100’の真上に位置する領域に、周知のフォトリソグラフィ工程およびスパッタリング工程によって、下部電極層104をパターニングする(図2−4)。下部電極層104として、例えばアルミニウム(Al)を用いることができる。島部分100’は最終的に除去されて空洞となるため、下部電極層104は、島部分100’を完全に覆う必要がある。そのため、図3−2に示すように、下部電極層104の周縁は、空洞雛型層102上に位置する。
つぎに、下部電極層104の表面であって且つ島部分100’の真上に位置する領域に、周知のフォトリソグラフィ工程およびスパッタリング工程によって、圧電体薄膜105を形成する(図2−5)。圧電体薄膜105として、例えばアルミナイトライド(AlN)の材料を用いることができる。圧電体薄膜105の一端は、下部電極層104の一端から所定の距離だけ離れて位置する。圧電体薄膜105によって覆われていない、下部電極層104の一部は、電極パッドまたは電極配線層(図示せず)と接合される。圧電体薄膜105の上記一端に対向する他端は、図3−3に示すように、薄膜絶縁層103の表面上であって且つ空洞雛型層102の真上に位置する。空洞雛型層102の真上に位置する圧電体薄膜105の部分は、下部電極層104と上部電極層106との間を絶縁する機能を果たす。
つぎに、圧電体薄膜105の表面に、周知のフォトリソグラフィ工程およびスパッタリング工程によって、上部電極層106をパターニングする(図2−6)。上部電極層106として、例えばアルミニウム(Al)を用いることができる。上部電極層106の一端は、圧電体薄膜105の一端から所定の距離だけ離れ、且つ島部分100’の真上方向に位置する。また、上部電極層106の上記一端に対向する他端は、図3−4に示すように、薄膜絶縁層103上であって且つ空洞雛型層102の真上方向に位置する。
つぎに、島部分100’を含むシリコン基板100の一部分を、シリコン基板100の裏面から、RIEなどの選択エッチングを行なうことによって除去し、空洞110aを形成する(図2−7)。この選択エッチングの開始領域は、島部分100’を完全にエッチングし、且つ空洞雛型層102の一部が露出するような領域である。換言すれば、共振部の直下に位置する空洞の位置と大きさは、このエッチング開始領域によって決定されない。空洞雛型層102はエッチング停止層としても機能するため、この選択エッチングの結果、空洞110aは、凸形の縦断面を有する。図2−7に示すエッチング工程は、空洞雛型層102によって決定された島部分100’を完全に除去するための工程にすぎず、空洞雛型層102は、共振部の直下に位置する空洞の位置と大きさを決定するための雛型として機能する。
つぎに、島部分100’上に位置する薄膜絶縁層の部分を、シリコン基板100の裏面から、RIEなどの選択エッチングを行なうことによって除去し、新たな空洞110bを形成する(図2−8)。空洞110bの壁面は、島部分100’に相当する空洞の壁面と同一面上に位置する。すなわち、これら2つの空洞は連通している。この結果、共振部の下部電極層104の下面が露出する。
以上の工程によって、下部電極層104の下面と空気が接触する領域は、図1に示すように、島部分100’の幅wによって決定される。また、空洞110内のシリコン基板100の壁面は、幅wよりも外側に位置する。特に、シリコン基板100の壁面上であって且つ空洞雛型層102と接触する位置は、空洞110bの壁面よりも距離dだけ外側に位置する。
図4は、この実施の形態1にしたがって得られた薄膜圧電共振器の特性を示すグラフである。このグラフからわかるように、鋭いピークを持つ2.220GHzの共振点と2.275GHzの反共振点を持つ周波数応答が観測され、これらデータから計算された電気機械結合係数は6.5%、品質係数Qは700と、大変優れた特性を示すことがわかった。特に、これら良好な特性は、共振部の直下に位置する空洞がほぼ正確に設計どおりの位置および大きさで得られたことによることも確認できた。
以上に説明したように、実施の形態1にかかる薄膜圧電共振器の製造方法によれば、共振部の直下に位置する空洞の位置と大きさは、エッチングによって形成されたシリコン基板100の壁面で決定されるのではなく、共振部の直下にあらかじめ形成された環状の空洞雛型層102の環内(島部分100’)の壁面によって決定される。換言すれば、共振部の直下に所望の位置および大きさの空洞を形成するのに、シリコン基板100のエッチングを高精度に制御する必要はなく、シリコン基板100のエッチング開始領域を、単に島部分100’が全て取り除かれるように適当に決定するだけでよい。よって、シリコン基板100の裏面側からのエッチングを、ドライエッチングではなく、等方性または異方性のウェットエッチングとしたとしても同じ結果を得ることができる。これにより、共振部の下面を所望の位置および大きさで精確に且つ容易に露出させることが可能になる。
シリコン基板100が導電性を示す安価な基板である場合には、下部電極層104または上部電極層106とシリコン基板100との間において寄生容量が生じ、これが薄膜圧電共振器の共振特性に悪影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、この薄膜圧電共振器10では、下部電極層104または上部電極層106とシリコン基板100との間に、十分に厚い空洞雛型層102が介在しているので、そのような寄生容量を低減することができる。
なお、シリコン基板100が高絶縁性を示す場合には、薄膜絶縁層103を形成しなくてもよい。この場合、共振部の下面は、空洞雛型層102の表面に接する。
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2にかかる薄膜圧電共振器について説明する。実施の形態2にかかる薄膜圧電共振器は、寄生容量の低減という観点から、上部電極層および下部電極層のそれぞれからそれらと接続される電極パッドに至るまでのすべての配線層の下にも空洞雛型層を形成することを特徴とする。
図5は、実施の形態2にかかる薄膜圧電共振器の平面図である。図5において、薄膜圧電共振器20は、シリコン基板200の上に、空洞雛型層202、薄膜絶縁層、下部電極層204、圧電体薄膜205、上部電極層206がその順に積層された構造を有しており、図1に示した薄膜圧電共振器10と同一の基本構造を有している。但し、発明の理解を容易にするために、薄膜絶縁層は図示されていない。薄膜圧電共振器20では、上部電極層206との電気的接続を果たす電極パッド210aと下部電極204との電気的接続を果たす電極パッド210bとが形成され、尚且つ、これら電極パッド210a,210bの下層と薄膜絶縁層上に位置する上部電極層206および下部電極204の各部分の下層とに、絶縁材料からなる空洞雛型層202が形成されている。この点が図1に示した薄膜圧電共振器10と異なる。
このように、電極配線に関わるすべての層の下層にも、絶縁材料からなる十分に厚い空洞雛型層202が形成されているので、シリコン基板200が導電性を示す安価な基板である場合であっても、それら電極配線に関わる層とシリコン基板200との間に生じる寄生容量を低減させることができる。すなわち、良好な共振特性を示す薄膜圧電共振器を得ることができる。
本発明にかかる薄膜圧電共振器は、例えば、高周波フィルタや高周波発振器として利用することができる。図6は、本発明にかかる薄膜圧電共振器を用いた高周波フィルタの等価回路図である。図6に示すように、高周波フィルタは、薄膜圧電共振器60a,60bを直列に接続し、薄膜圧電共振器60cを並列に接続したラダー型の構成により実現することができる。例えば、薄膜圧電共振器60a,60bの中心周波数と薄膜圧電共振器60cの中心周波数とをわずかにずらし、薄膜圧電共振器60a,60bの共振周波数と薄膜圧電共振器60cの反共振周波数とを一致させることで、帯域通過フィルタを実現することができる。
図7は、本発明にかかる薄膜圧電共振器を用いた高周波発振器の等価回路図である。図7に示すように、高周波発振器は、薄膜圧電共振器80、帰還抵抗R1、ダンピング抵抗R2、負荷容量C1,C2、CMOSインバータ増幅器70によって実現することができる。特に、この高周波発振器は、移動通信機器に使用する電圧制御発振器として有用である。
また、本発明にかかる薄膜圧電共振器は、周知の薄膜圧電共振器の有する利点のすべてを享受することができる。例えば、薄膜圧電共振器は、その共振部が半導体基板上に形成されるため、トランジスタやICなどの他の半導体回路とともに同一の半導体基板上に集積することができる。
以上のように、本発明にかかる薄膜圧電共振器およびその製造方法は、小型の高周波フィルタや高周波発振器を提供するのに有用であり、特に、設計どおりの良好な共振特性を得るのに適している。
実施の形態1にかかる薄膜圧電共振器の断面図である。 実施の形態1にかかる薄膜圧電共振器の製造工程のうち、環状の溝を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 実施の形態1にかかる薄膜圧電共振器の製造工程のうち、空洞雛型層を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 実施の形態1にかかる薄膜圧電共振器の製造工程のうち、薄膜絶縁層を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 実施の形態1にかかる薄膜圧電共振器の製造工程のうち、下部電極層を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 実施の形態1にかかる薄膜圧電共振器の製造工程のうち、圧電体薄膜を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 実施の形態1にかかる薄膜圧電共振器の製造工程のうち、上部電極層を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 実施の形態1にかかる薄膜圧電共振器の製造工程のうち、第1の空洞を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 実施の形態1にかかる薄膜圧電共振器の製造工程のうち、第2の空洞を形成する工程を、その断面図によって示した図である。 実施の形態1にかかる薄膜圧電共振器の製造工程のうち、空洞雛型層を形成する工程を、その平面図によって示した図である。 実施の形態1にかかる薄膜圧電共振器の製造工程のうち、下部電極層を形成する工程を、その平面図によって示した図である。 実施の形態1にかかる薄膜圧電共振器の製造工程のうち、圧電体薄膜を形成する工程を、その平面図によって示した図である。 実施の形態1にかかる薄膜圧電共振器の製造工程のうち、上部電極層を形成する工程を、その平面図によって示した図である。 実施の形態1にかかる製造工程にしたがって得られた薄膜圧電共振器の特性を示すグラフである。 実施の形態2にかかる薄膜圧電共振器の平面図である。 本発明にかかる薄膜圧電共振器を用いた高周波フィルタの等価回路図である。 本発明にかかる薄膜圧電共振器を用いた高周波発振器の等価回路図である。 ドライエッチングを行なう方法によって得られた従来の薄膜圧電共振器の断面図である。
符号の説明
10,20,50,60a,60b,60c,80 薄膜圧電共振器
70 CMOSインバータ増幅器
100,200,500 シリコン基板
100’ 島部分
102,202 空洞雛型層
103 薄膜絶縁層
104,204,504 下部電極層
105,205,505 圧電体薄膜
106,206,506 上部電極層
110,110a,110b 空洞
210a,210b 電極パッド
503 シリコン窒化膜
R1 帰還抵抗
R2 ダンピング抵抗
C1,C2 負荷容量

Claims (9)

  1. シリコン基板上に、環状に溝を形成する溝形成工程と、
    前記溝の内部に絶縁材料で且つエッチング停止層として機能する空洞雛型層を形成する空洞雛型層形成工程と、
    前記空洞雛型層で囲まれた島部分の上と前記空洞雛型層のうちの前記島部分を含む部分の上とに横たわるように、圧電体薄膜を含んだ共振器を形成する共振器形成工程と、
    前記シリコン基板の裏面から、前記島部分の全てをエッチングすることで、前記共振器の真下に空洞を形成する空洞形成工程と、
    を含み、
    前記共振器形成工程は、
    前記島部分を覆い且つその周縁が前記空洞雛型層上に位置するよう下部電極層を形成する下部電極層形成工程と、
    前記下部電極層の表面であって且つ前記島部分の真上に位置する領域を覆うとともに、その一部が前記空洞雛型層上に位置するよう前記圧電体薄膜を形成する圧電体薄膜形成工程と、
    前記圧電体薄膜の表面であって且つその一端が前記島部分の真上に位置するとともに、当該一端に対向する他端が前記空洞雛型層の真上に位置するよう上部電極層を形成する上部電極形成工程と、
    を含むことを特徴とする薄膜圧電共振器の製造方法。
  2. シリコン基板上に、環状に溝を形成する溝形成工程と、
    前記溝の内部に絶縁材料で且つエッチング停止層として機能する空洞雛型層を形成する空洞雛型層形成工程と、
    前記空洞雛型層で囲まれた島部分の上と前記空洞雛型層のうちの前記島部分を含む部分の上とに横たわるように、圧電体薄膜を含んだ共振器を形成する共振器形成工程と、
    前記シリコン基板の裏面から、前記島部分の全てをエッチングすることで、前記共振器の真下に空洞を形成する空洞形成工程と、
    を含み、
    前記共振器形成工程は、
    前記シリコン基板の上と前記空洞雛型層の上とに薄膜絶縁層を形成する薄膜絶縁層形成工程と、
    前記島部分の真上に位置する前記薄膜絶縁層の表面を覆い且つその周縁が前記空洞雛型層の真上に位置するよう下部電極層を形成する下部電極層形成工程と、
    前記下部電極層の表面であって且つ前記島部分の真上に位置する領域を覆うとともに、その一部が前記空洞雛型層の真上に位置するよう前記圧電体薄膜を形成する圧電体薄膜形成工程と、
    前記圧電体薄膜の表面であって且つその一端が前記島部分の真上に位置するとともに、当該一端に対向する他端が前記空洞雛型層の真上に位置するよう上部電極層を形成する上部電極形成工程と、
    を含むことを特徴とする薄膜圧電共振器の製造方法。
  3. 前記空洞雛型層形成工程は、
    前記溝の内部に絶縁材料を積層する積層工程と、
    積層された絶縁材料の表面を、該表面が前記シリコン基板の表面と同一面上となるように平坦化する平坦化工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
  4. 前記シリコン基板の裏面側から、前記薄膜絶縁層の部分であって前記島部分の上に位置する部分をエッチングする薄膜絶縁層エッチング工程を、さらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
  5. 前記空洞形成工程は、前記シリコン基板の裏面上の前記島部分よりも大きな領域を、エッチング開始領域とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
  6. 前記空洞形成工程は、前記シリコン基板および前記島部分の全ての領域に対してドライエッチングを行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
  7. 前記空洞形成工程は、前記シリコン基板および前記島部分の全ての領域に対してウェットエッチングを行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
  8. 前記空洞雛型層は、酸化物材料で形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
  9. 前記空洞雛型層は、窒化物材料で形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
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