JP4025128B2 - 壁構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の壁の目地に網状シートを使用してなる壁構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の網状シートとしては、たとえばガラス繊維、カーボン繊維などの無機質繊維またはポリプロピレン繊維、ビニロン繊維などの有機質繊維を用いたものが知られている(実開昭63−101632号公報)。また、これを使用した建築の壁構造は、基板の表面に防水処理を施し、さらに、この上に無機結合材、一般骨材、合成樹脂またはラテックスあるいはアスファルトエマルジョンなどを混合した混合物層を形成し、この基板の上に網状シートを貼着したものである。この場合、網状シートは、少なくともその直交する2辺木口部に、これより任意幅だけ張り出すように、かつ突き合わせ目地を覆うように設けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような壁構造は、施工の際の手間を省くことはできるが、下地部材ないし目地材とこの上に設ける仕上材の間に網状シートを設けるので、網状シートがこれを挟む両材料に対して適合した材質、形状あるいは構造となっていないと、下地部材および目地材と仕上材の間に付着ないし密着の不足を生じるとともに、目地の強度が足りないので目地に亀裂が発生するおそれがあった。
【0004】
本発明は、壁の目地の亀裂を防止することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、壁の下地を形成する複数の下地部材と、該下地部材の目地に充填された目地材と、該目地材の上に設けられた網状シートと、該網状シートの上を含む前記下地部材の上に塗布された仕上材とを備えた壁構造において、前記網状シートは3mm以上の大きさの網目を有し、前記下地部材の前記仕上材に対向する面には凸部頂と凹部底との差が1〜4mmの範囲にある凹凸が形成されており、前記仕上材は前記網状シートの網目から該網状シートの下に入り込んで前記目地材および前記下地部材に付着し、該網状シートと該仕上材とが一体化されていることを特徴とする。
【0006】
このようにすることにより、壁の下地部材の目地を覆う網状シートの上に砂などの細かい骨材を含む仕上材を塗布したときに、仕上材の骨材は網状シートの網目に入り込み網状シートの下まで達することができる。仕上材の骨材が網状シートの下に入り込むことにより網状シートは仕上材の中に埋め込まれ、網状シートと仕上材とは一体化する。さらに、目地に目地材が充填されていれば、網状シートの網目に入り込んだ仕上材は目地材に接触し、目地材と仕上材の付着度合いに応じて付着し固着する。同時に、網状シートの網目に入り込んだ仕上材は下地部材とも付着し固着する。
【0007】
このように下地部材および目地材と仕上材とがそれぞれの付着度合いに応じて付着し固着するので、壁の目地の強度が高まる。壁の目地の強度が高まると、目地に作用する諸々の力、たとえば仕上材の乾燥に伴う収縮、下地部材自体の吸湿、乾燥に伴う膨脹、収縮、建築用構造材ないし建物自体の膨脹、収縮あるいは地震による振動などによって目地に加わる力ないしひずみに対して目地は耐えることができる。目地の強度が向上し耐えることができるので、壁の目地の亀裂を防止することができる。
【0008】
さらに、網目は一方の糸と他方の糸とが格子状に形成され、一方の糸の引張強度は他方の糸の引張強度より大きく形成され、隣接する他方の糸は一方の糸を挟んで互いに反対側に位置すると良い。一方の糸の引張強度は他方の糸の引張強度よりも大きく形成されることにより、一方の糸の方向を目地の引張力が強く働く方向に一致させて配置することができ、網状シートの合理的な使用の仕方ができる。さらに、一方の糸と他方の糸とが格子状に形成されるので網状シートの製造が容易である。隣接する他方の糸は一方の糸を挟んで互いに反対側に位置させることにより網状シートの両面に適度なすきままたは空間が形成され、そのすきままたは空間に仕上材が入り込み易い。
【0009】
また、壁の下地を形成する複数の下地部材と、この下地部材の目地に充填された目地材と、この目地材の上に設けられた上記いずれかの網状シートと、この網状シートの上を含む下地部材の上に塗布された仕上材とを備え、網状シートはこの網状シートの一方の糸の方向を目地の延材する方向に直交するように位置させるとともに目地材の幅より大きい幅の範囲を覆ってなると良い。
【0010】
網状シートの一方の糸の方向を目地の延材する方向に直交するように位置させることにより、他方の糸より引張強度のある一方の糸を、目地の強度のかかる方向に一致させることができるので、網状シートを合理的に配置させることができる。さらに、網状シートは目地材の幅より大きい幅の範囲を覆うので、この上に塗布された仕上材は目地材および下地部材の両方に付着・固着し目地の強度をさらに高めることができる。
【0011】
さらに、下地部材の仕上材に対向する面に凹凸が形成され、この凹凸の凸部の頂と凹部の底との差が1〜4mmの範囲にあると良い。下地部材の仕上材に対向する面に凹凸が形成されることにより、下地部材の上に塗布された仕上材は、この凹凸に食い込んで付着性を高め強固に固着し、いわゆる投錨効果を発揮する。さらに、凹凸の凸部の頂と凹部の底との差が1〜4mmの範囲、好ましくは2.5mmにすることにより、仕上材は凹凸に食い込むので、下地部材と仕上材の滑りを防止し、付着力を増すことができる。凹凸の凸部の頂と凹部の底との差が1mm未満の場合には差が小さすぎて下地部材と仕上げ材とが滑り易く十分な付着力を得ることができない。凹凸の凸部の頂と凹部の底との差が4mmを越える場合には十分な付着力を確保することができるが、下地部材の凹凸の形成が困難でありコスト高となる。
【0012】
次に本発明を構成する各要件についてさらに詳しく説明する。本発明に係る壁構造に用いる網状シートは、建物の壁の目地に使用され、目地の強度を高め補強するものである。網状シートの形状は、たとえば格子状や菱形状あるいはその他の形状としても良い。網状シートの格子は糸と糸とが直交する格子状であると良い。目地の延在する方向と直交する方向に一方の糸の方向を合わせることができる。
【0013】
網目の大きさは、糸の幅を含まない目の内側と内側の寸法で孔自体の大きさを意味する。網目の大きさは、3mm以上とするが、一般に建築関係の骨材の粒の大きさを示す区分として、細骨材の場合、5mm、2.5mm、1.2mm…が使用されている。この内5mmの区分の細骨材はふるいの呼び寸法10、5、2.5mmに対してそれぞれふるいを通るものの質量百分率は、100、90〜100、80〜100%となっている。このことから区分が5mmの細骨材でも網目の大きさが3mm以上であればほとんどの骨材粒は網目を通過する。また、砂の骨材粒の大きさは一般的には2〜0.05mmであるので網目の実用上の大きさは3〜8mmの間にすると良い。
【0014】
網目の大きさが3mm未満の場合は仕上材の骨材が十分に網目に入り込まないので網状シートを設けた部分における下地部材と仕上材との付着が不十分となる。網目の大きさが8mmを越える場合は網目(孔)の大きさが大きくなり網状シートの単位長さ当たりの引張強度が低下し、目地の補強が不十分となる。網状シートの引張強度としては、50mm幅当たり20kgf以上とすることを目安とする。これより引張強度が小さいと目地に亀裂が入るおそれがある。また、網状シートは目地材の幅より大きい範囲を覆う。その程度は、下地部材と仕上材の付着力の程度によるが、たとえば目地を覆う網状シートの幅を30〜120mmとする。
【0015】
網状シートを形成する一方の糸と他方の糸は、一方の糸の強度が他方の糸の強度より大きければ、形状、大きさは特に限定されないが、一方の糸は、たとえば1本の単位糸を2本平行に並べて一つの糸としても良い。他方の糸についても、1本の単位糸を2本平行に並べて一つの糸としても良い。この場合、一方の糸と他方の糸の厚みを同じとすると良い。一方の糸と他方の糸の厚みを同じとし、かつ、2本の糸を平行に並べて一つの糸とすることにより必要な引張強度を確保するとともに網状シート自体の厚みを小さくすることができる。網状シートの素材としては、ガラス繊維、炭素繊維などの無機質系繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維などの有機質系繊維、綿、麻などの植物性繊維あるいは鉄、銅、アルミ、その他の金属の金属繊維などを用いて形成された糸を織って形成される。
【0016】
下地部材は、仕上材との付着性が良好なものであれば特に限定されないが、たとえば合板、繊維板、石綿スレート、珪酸カルシウム板など有機質または無機質の基板の表面に合成樹脂、合成樹脂エマルジョンあるいはアスファルト、アスファルトエマルジョンまたはゴムラテックスなどを塗布して防水層を形成し、さらにこの上にセメント、石灰などの無機結合材と、砂、珪砂、パーライト、合成樹脂粒、合成樹脂発泡粒などの一般骨材と、合成樹脂エマルジョンまたはゴムラテックスあるいはアスファルトエマルジョンを添加混合した混合物を塗布して凹凸が形成されたものでも良い。凹凸は不規則な形状のものでも良い。
【0017】
仕上材は、建物の壁に使用され、下地部材への付着性が良好で骨材を含むものであれば特に限定されないが、たとえば砂とセメントと水でつくられた普通モルタルまたは軽量セメントモルタル、漆喰などを使用することができる。軽量セメントモルタルの粉体組成は、たとえば普通ポルトランドセメント37〜65wt%、パーライト、珪砂、混和材などの無機質混和材30〜60wt%、有機質骨材、有機質繊維などの有機質混和材12wt%以下のものを使用することができる。有機質骨材は軽量セメントモルタルの重量を軽くしたい場合に、有機質繊維は強度を重視する場合にそれぞれ用い、必要に応じた配合量とすると良い。
【0018】
仕上材に含ませる骨材として砂を用いる場合、粗粒率(FM)で1.5〜3.5程度が良い。ここで、粗粒率は、骨材の粒度を表す指標の一つで、粗粒率(FM)=(40、20、10、5、2.5、1.2、0.6、0.3、0.15mmの各ふるいに溜まる試料の重量の百分率の和)/100であり、値が大きいほど粗粒の骨材を示す。目地は目地材が充填されるが、目地材としてはアクリル系、アクリルウレタン系、ポリウレタン系、その他変性シリコーン系などが使用される。
【0019】
以下、本発明に係る壁構造の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図1〜5において、同一または同等部分には同一符号を付けて示す。
【0020】
図1は、本発明に係る壁構造に用いる網状シートの一例を示す正面図である。網状シート2は、壁の下地部分の目地を覆い、目地の強度を高めるため補強するものである。網状シート2の形状は横糸(一方の糸)4と縦糸(他方の糸)8とが直交する格子状に形成される。ここで、横糸4と縦糸8とが直交し、交差する箇所11は、これら糸の素材に適した接着剤、たとえばアクリル系やウレタン系などの接着剤で固定される。網状シートの網目(孔)の大きさは、下地部材に塗布されるモルタル(仕上材)を形成する砂(骨材)の粗粒率の値をミリ単位で表した1.5〜3.5mmより大きくし、たとえばB1=3.5mm、B2=4mm程度である。また、網状シート2の材質は、ビニロン繊維、ガラス繊維、綿などである。
【0021】
さらに、横糸4の引張強度は縦糸8の引張強度より大きく形成される。このため、横糸は、たとえば2本の単位糸6を平行に並べて一つの糸とし、その糸幅は1.6mmである。したがって、1本の単位糸6の幅は0.8mmとなる。縦糸の幅は、たとえば横糸の幅の二分の一とし、0.8mmとする。縦糸も2本の単位糸10を平行に並べて一つの糸としている。したがって、1本の単位糸10の幅は0.4mmとなる。この場合、横糸4と縦糸8(または単位糸6、10)の厚みは同じとし、たとえば0.45mmとする。こうすることにより、横糸4の引張強度は縦糸8の引張強度の2倍となる。
【0022】
図2は、図1における X−X 線断面図である。図3は、図1における Y−Y 線拡大断面図である。図2に示すように、隣接する縦糸8は横糸4を挟んで互いに反対側に位置し、いわば横糸4を挟んで千鳥状に配置される。また、図2または3の断面図から分かるように、横糸の単位糸6は扁平な形状であり、その厚みtは先に記したように0.45mmである。また、縦糸の単位糸10についても同様に扁平な形状であり、その厚みtは0.45mmである。
【0023】
図4は、本発明に係る壁構造の一実施形態を示す断面図である。壁構造1は、上記網状シート2を使用して下地部材12の目地28を補強したものである。すなわち、本壁構造1は、柱38に対して透湿防水シート32を介して固定された通気用の受材40と、この受材40の外側に釘34などを用いて固定された複数の下地部材12とを備える。さらに、この下地部材12の目地に充填された目地材30と、この目地材30の上および目地材30の両側に跨って下地部材12の上に設けられた網状シート2と、この網状シート2の上を含む下地部材12の上に塗布されたモルタル(仕上材)36とを備える。
【0024】
網状シート2は、横糸4の方向を目地の延材する方向(紙面に垂直な方向)に直交する方向42に一致させて位置させて設けられる。図4から分かるように、網状シート2は目地材の幅W1より大きい幅W2を覆う。網状シートの覆う幅W2は、目地材の幅W1によるが、たとえば30〜120mmである。
【0025】
下地部材12は、合板や繊維板などの基板に防水層16を設け、さらにこの防水層16の上に凹凸層18を設けたものである。防水層16は、合成樹脂、合成樹脂エマルジョンあるいはアスファルト、アスファルトエマルジョンあるいはゴムラテックスの塗布などにより形成され、その厚みはたとえば0.03〜0.1mmである。
【0026】
下地部材の凹凸層18は、セメント、石灰などの無機結合材と、砂、珪砂、パーライト、合成樹脂粒、合成樹脂発泡粒などの一般骨材と、合成樹脂エマルジョンまたはゴムラテックスあるいはアスファルトエマルジョンを添加混合した混合物を塗布して不規則な形状の凹凸が形成されたものである。凹凸層18の凸部の頂と凹部の底との高低差(差)は略2.5mmである。また、凹凸層18の厚みは高低差2.5mmに対して底に対応する部分の厚み、たとえば0.1mmを加えて全体として2.6mmとしても良い。
【0027】
目地材30としてはアクリル系、アクリルウレタン系、ポリウレタン系、その他変性シリコーン系などが使用される。モルタル36は、骨材を含んだ材料で、たとえば先に記載した軽量セメントモルタルが使用される。モルタルの骨材としては粗粒率で1.5〜3.5程度の砂が使用される。
【0028】
透湿防水シート32は、水蒸気を通過させることが可能であるが水は通過させない材料で、多孔性材料に保護材料を被覆ないし貼着したものである。多孔性材料は、ポリオレフィン系やポリエステル系あるいはポリ塩化ビニール系などとし、保護材料は不織布などの合成繊維などを使用しても良い。多孔性材料の孔の径は、たとえば10μmとする。保護材料は、多孔性材料と同じように多数の孔を有するもので、孔径としては、たとえば0.15mm以上とする。因みに、保護材料には、防臭剤または抗菌剤を含ませたものとしても良い。透湿性材料の厚さは、たとえば多孔性材料50μmに保護材料として2.5mmのものを貼り合わせたものとする。
【0029】
以上の構造を有する網状シート2を使用した本実施形態の壁構造1は、次のように作用する。すなわち、図1において、横糸4の引張強度は縦糸8の引張強度より大きく形成されるので、横糸4の方向を目地の引張力が強く働く方向に一致させて配置することにより、合理的な使用の仕方をすることができる。さらに、横糸4と縦糸8とが直交する格子状に形成されるので網状シート2の製造が容易である。
【0030】
図4に示すように、網状シート2で壁の下地部材12の目地を覆い、網状シート2の上にモルタル36を塗布したときには、モルタル36の骨材が網状シート2の網目に浸入して網状シート2の下に入り込む。モルタル36の骨材が網状シートの下に入り込むことにより網状シート2はモルタル中に埋め込まれ、網状シート2とモルタル36とは一体化する。
【0031】
さらに、目地に目地材30が充填されていれば、網状シート2の網目に浸入したモルタル36は目地材30に付着し、モルタル36と目地材30との付着度合いに応じて付着し固着する。同時に、網状シート2の網目に浸入したモルタル36は下地部材12とも付着し固着する。また、隣接する縦糸8は横糸4を挟んで互いに反対側に位置させることにより網状シート2の両面に適度なすきま(または空間)が形成され、そのすきまにモルタル36が入り込み、一体化し易い。
【0032】
このように下地部材12および目地材30とモルタル36とがそれぞれの付着度合いに応じて付着し固着するので壁の目地の強度を高めることができる。壁の目地の強度が高まると、目地に作用する諸々の力、たとえばモルタル36の乾燥に伴う収縮、下地部材12自体の吸湿、乾燥に伴う膨脹、収縮、建築用構造材ないし建物自体の膨脹、収縮あるいは地震による振動などによって目地に加わる力ないしひずみに対して目地は耐えることができる。目地の強度が向上し耐えることができるので、目地の亀裂の発生が防止される。
【0033】
さらに、横糸4と縦糸8の厚みを同じとし、かつ、2本の単位糸を平行に並べて一つの糸とすることにより必要な引張強度を確保するとともに網状シート2自体の厚みを小さくすることができるので、網状シート2を配置した部分のモルタル36の厚みを十分に確保し易い。
【0034】
また、網状シート2は目地材の幅W1より大きい幅W2を覆うことにより、この上に塗布されたモルタル36は目地材30および下地部材12の両方に付着・固着し目地の強度をさらに高めることができる。また、下地部材12のモルタル36に対向する面に凹凸22(または凹凸層18)が形成されることにより、下地部材12の上に塗布されたモルタル36は、この凹凸22に食い込んで付着性を高めることができ強固に固着する。この場合、凹凸の凸部の頂24と凹部の底26との差Dを2.5mmにすることにより、凹凸における滑りを無くし、投錨効果を発生させ、付着力を増すことができる。
【0035】
【実施例】
次に、各種素材の網状シートを壁の目地に使用した壁構造について、その目地に発生する亀裂の有無とその程度を経時的に観察し試験を行ったので、その結果を述べる。
【0036】
1 供試材
網状シートを形成する糸の素材として、次の5種類を選定し試験に供した。因みに、網状シートを使用しない壁構造についても亀裂の程度を測定し、観察した。
a ガラス繊維
b ビニロン繊維
c ポリプロピレン繊維
d 綿
e 麻
【0037】
2 試験方法と期間
図5は、目地の亀裂の有無とその程度を試験するための試験用壁構造を示す断面図である。試験用壁構造は、約455mmピッチで設けた柱56および間柱57に下地部材12を釘などの固定手段で固定する。さらに、下地部材12同士の目地28に目地材30を充填し、この目地材30の上を供試材を用いた網状シート58で覆う。そして、この網状シート58の上を含む下地部材12の上に仕上材として普通モルタル59を塗布し形成したものである。
【0038】
下地部材12の大きさは、厚さ9mm、幅910mm(紙面に平行な方向)、長さ200mm(紙面に垂直な方向)である。また、下地部材同士の目地28を50mm幅の網状シートで覆った。普通モルタルは、セメント:砂=1:3のものを使用し、塗布厚さは10mmとした。このようにして設けた試験用壁構造を10日間の間の目地部分の亀裂の発生有無とその程度を観察した。
【0039】
3 試験結果
図6は、上記試験用壁構造による試験結果を示すもので、各種素材の目地亀裂幅の経時変化を示すグラフである。このグラフによると、ガラス繊維とビニロン繊維を用いた網状シートにより補強した目地は経過日数10日目で亀裂が0.150mmとなり、網状シートを使用しない場合の0.600mmに比べ四分の一の値となった。同様に、ポリプロピレン繊維は0.300mm、綿は0.350mmで網状シートを使用しない場合の略二分の一の値となった。また、麻は0.500mmの値であった。
【0040】
本試験用壁構造においては、仕上材として普通モルタルを使用し、軽量セメントモルタルや漆喰などに比べて目地の亀裂を発生し易く、かつ亀裂幅も大きく発生するようにした。このため図6に示した各種素材の目地亀裂幅は大きく発生しているものと考えられる。
【0041】
以上の結果から、本試験で用いた各種素材の網状シートを使用した壁構造は、網状シートを使用しない壁構造に比べ、いずれも小さい亀裂幅を示し、各素材を使用した場合の効果が表れている。特に、ガラス繊維とビニロン繊維による網状シートを使用した壁構造は、亀裂が発生しにくく良好な結果が得られた。
【0042】
以上この発明を図示の実施形態について詳しく説明したが、それを以ってこの発明をそれらの実施形態のみに限定するものではなく、この発明の精神を逸脱せずして種々改変を加えて多種多様の変形をなし得ることは云うまでもない。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、網状シートを壁の目地に使用することにより、下地部材ないし目地材と仕上材とが付着し、目地の亀裂を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る壁構造に用いる網状シートの一例を示す正面図である。
【図2】図1における X−X 線断面図である。
【図3】図1における Y−Y 線拡大断面図である。
【図4】本発明に係る壁構造の一実施形態を示す断面図である。
【図5】目地の亀裂の有無とその程度を試験するための試験用壁構造を示す断面図である。
【図6】各素材の目地亀裂幅の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 壁構造
2 網状シート
4 横糸(一方の糸)
8 縦糸(他方の糸)
12 下地部材
20 対向する面
22 凹凸
24 頂
26 底
28 目地
30 目地材
36 モルタル(仕上材)
D 高低差(差)
Claims (2)
- 壁の下地を形成する複数の下地部材と、該下地部材の目地に充填された目地材と、該目地材の上に設けられた網状シートと、該網状シートの上を含む前記下地部材の上に塗布された仕上材とを備えた壁構造において、前記網状シートは3mm以上の大きさの網目を有し、前記下地部材の前記仕上材に対向する面には凸部頂と凹部底との差が1〜4mmの範囲にある凹凸が形成されており、前記仕上材は前記網状シートの網目から該網状シートの下に入り込んで前記目地材および前記下地部材に付着し、該網状シートと該仕上材とが一体化されていることを特徴とする壁構造。
- 前記網状シートは一方の糸と他方の糸とが格子状をなすことにより前記網目を形成しており、隣接する他方の糸は前記一方の糸を挟んで互いに反対側に位置しており、一方の糸の引張強度は他方の糸の引張強度より大きく形成され、該網状シートは前記一方の糸が目地の延在する方向に直交する方向に一致するように位置することを特徴とする請求項1記載の壁構造。
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