JP4023027B2 - 隔壁型窯炉の炉壁補修方法 - Google Patents

隔壁型窯炉の炉壁補修方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4023027B2
JP4023027B2 JP10404799A JP10404799A JP4023027B2 JP 4023027 B2 JP4023027 B2 JP 4023027B2 JP 10404799 A JP10404799 A JP 10404799A JP 10404799 A JP10404799 A JP 10404799A JP 4023027 B2 JP4023027 B2 JP 4023027B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
chamber
pressure
carbonization chamber
repair
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP10404799A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000290656A (ja
Inventor
政章 丸岡
隆義 新保
昌俊 品川
典男 磯尾
雅章 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP10404799A priority Critical patent/JP4023027B2/ja
Publication of JP2000290656A publication Critical patent/JP2000290656A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4023027B2 publication Critical patent/JP4023027B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Furnace Housings, Linings, Walls, And Ceilings (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、隔壁型熱交換器等、炉内に隔壁を有する隔壁型窯炉の炉壁補修方法に関し、特に、隔壁に生じた貫通損傷部の補修方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、炉内に隔壁を有する炉は、一般に隔壁型熱交換器として知られ、隔壁の一方の側に加熱ガスを、他方の側に被加熱物を配して、隔壁を通じて加熱ガスより被加熱物に熱を伝達させることにより被加熱物の昇温、相変態、反応等の処理を施すことを目的としている。その中で代表的な炉にコークス炉がある。コークス炉は、石炭を乾留してコークスを製造する炉であり、石炭を収容する炭化室と、加熱ガスを発生させる燃焼室が耐火物製の隔壁を介して交互に配置されている。炉内では、燃焼室の加熱ガスにより隔壁が加熱され、その熱が隔壁の反対側の炭化室に伝達される。炭化室内の石炭は加熱により揮発分が熱分解し、コークス炉ガスを発生し石炭の乾留が進行する。
【0003】
従来、耐火物炉壁の炉壁補修方法としては、ドライシーリング法と溶射法が開発されており、コークス炉のような隔壁型窯炉の隔壁の補修にも適用されている。ドライシーリング法は、焼結性を有する耐火物粉末を隔壁の亀裂を生じた部分に吹き込み、亀裂内で焼結させて補修する方法である(以下、先行技術1という)。溶射法は、耐火物の粉末を、酸素および燃料ガスからなる火炎中またはアルミニウムや珪素の燃焼によって、半溶融または溶融状態にして、耐火物の損傷部位に接着させるものである。例えば、特公昭62−15508号公報には、このような目的に適用される火炎溶射材料が提案されており、また、特開平6−81119号公報には、溶射作業中の着火不良や補修中の消火等を防止するための溶射方法が提案されている。この技術では、純酸素気流と粉体搬送ガスとを別ラインで溶射ノズルに供給し、ノズル吐出口前で混合する方式の溶射機を用いている(両者をまとめて以下、先行技術2という)。
【0004】
上記先行技術1及び先行技術2に対して、これらとは全く別の原理による補修方法として、気相析出反応により固体化合物を得る方法(所謂CVD法)を窯炉の炉壁の補修に適用した方法が提案されている。例えば、特開平9−71781号公報には、隔壁型熱交換器の隔壁の補修方法が開示されている。同公報には、金属又は金属化合物のガスを含有するガスと、当該金属又は金属化合物のガスと反応して固体金属化合物を析出させる反応性ガスを含有するガスとを、補修対象部分に交互に供給する。こうして、上記金属又は金属化合物のガスと上記反応性ガスとを反応させて、上記固体金属化合物を析出させ、当該固体金属化合物で被補修部分を充填する方法が開示されている。そして、これをコークス炉の隔壁補修へ適用する例が開示されている。
【0005】
コークス炉の炭化室に、四塩化珪素ガスを含有するガスを供給し、他方の燃焼室に水蒸気を含有するガスを供給しておき、両室の圧力差を正負に増減させるサイクル操作を行ない、その過程において、炭化室と燃焼室との隔壁の貫通亀裂内部に、四塩化珪素ガスと水蒸気とを交互に供給して両者を反応させ、二酸化珪素SiO2 を析出させる。こうして析出生成した二酸化珪素SiO2 により、隔壁の貫通亀裂を補修する(以下、先行技術3という)。なお、コークス炉の炭化室と燃焼室との隔壁は通常、珪石煉瓦製であるから、上記二酸化珪素の亀裂内部での析出により、隔壁と補修材との結合が強固であり、好都合である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記先行技術には以下のような問題がある。
【0007】
先行技術1のドライシーリング法による補修作業では、亀裂損傷部への補修材料の供給方法が、補修対象室内への粉末吹込みによるため、亀裂の内部への補修材料の進入が十分に行なわれないという問題がある。更に、耐火物粉末の焼結を利用しているので、補修後の空窯での昇温中あるいは稼動中に、焼結が進行すると、亀裂損傷部内で補修材料である耐火物粉末が収縮するので、再び亀裂が発生するという問題もある。
【0008】
また、先行技術2の溶射法による補修では、炉の窯口から溶射機のノズルを窯内に挿入して作業を行なうので、作業性が悪い。特にコークス炉の場合には、ノズルを炭化室の石炭装入口から挿入しなければならないので、ノズルが窯の奥までは到達せず、補修できる範囲が制限されるという問題がある。また溶射法では、溶射材料の組成が補修すべき炉壁母材と異なることが多く、溶射体と母材との結合力が不十分である。更に、母材が変質して強度が低下している場合には、被補修母材側から亀裂が進展して溶射補修体が脱落し易い。
【0009】
以上の溶射法においては、これを適用するに当たり、予め補修すべき損傷箇所を特定する必要がある。しかしながら、損傷箇所は外部から観察が可能な部位ばかりとは限らず、コークス炉の装入口のような広い開口部が無い場合は、窯内部を観察し損傷箇所を特定することは困難である。また、これらの方法では炉温を低下させずに作業を行うので、補修作業は高温環境で行なわれ作業環境がよくない。
【0010】
これに対して、先行技術3のCVD法を応用した方法を、例えばコークス炉の隔壁の貫通亀裂補修に対して、適切な条件下で用いれば、金属化合物のガスを含有するガスと、水蒸気等の反応性ガスを含有するガスとを、亀裂位置等の損傷箇所が特定されていなくても、亀裂の深奥部まで確実に到達させることができる。このように、この技術は原理的に優れた方法であり、先行技術1及び先行技術2の問題点を大幅に改善することが可能である。
【0011】
しかしながら、先行技術3の技術では、次の課題が解決されていない。
【0012】
▲1▼得られる固体金属化合物の析出層厚さが一般に薄いので、これを十分に厚くして、隔壁に発生した貫通亀裂を閉塞させ、気密性を向上させるまでには長時間を要する。従って、当該技術を実生産設備の補修に適用するためには、設備休止時間の短縮化と作業の簡便性を図ることが強く要請される。
【0013】
上記要請を満たすためには、当該技術における固体金属化合物の析出層厚さを安定して、且つ効率的に増加させる技術の開発が必要である。
【0014】
▲2▼上記技術の利点が発揮される対象設備として、コークス炉があげられる。現在、高炉一貫メーカーで稼働中の製鉄用コークス炉設備においては、1基当たり50〜100室程度の炭化室(窯)を有し、このように多数の炭化室で発生した乾留ガス、所謂コークス炉ガスは、大径ガス管(ドライメイン)に集合され、ドライメインによりコークス炉ガス貯蔵用タンクヘ輸送される。ここで、各炭化室からドライメインに至る経路には、上昇管、曲管、及び縁切りダンパーが設けられている。この縁切りダンパーは、コークス炉への石炭装入作業時及びコークス排出時、並びに炭化室の補修時にはこれを密閉して、大気中酸素の流入防止をするために、操炉上不可欠のものであり、設備コスト及び保全上の観点から殆ど例外なく、水封弁が採用されている。
【0015】
図8に、炭化室からドライメインに至るコークス炉ガスの配管系の概略鉛直断面図を示す。1は炭化室、2は上昇管、3は曲管であり、4が水封弁であって、コークス炉ガス5が炭化室1からドライメイン6に吸引される経路の縁切りダンパーとして機能する。この水封弁4の水封高さは通常、50mmH2 O程度である。従って、炭化室内の圧力を50mmH2 O程度以上に加圧する場合には、当該水封弁で炭化室1とドライメイン6とを縁切りすることはできない。
【0016】
上記理由により、コークス炉の隔壁に発生した貫通亀裂の補修に対して、先行技術3の技術を適用する場合には、コークス炉設備の水封弁4の耐圧能力が問題になる。これに対して、例えば、水封高さを大きくするための設備改造工事には、著しく高額のコストがかかる。
【0017】
従って、この発明の目的は、上記▲1▼及び▲2▼の問題を解決することにより、補修対象炉を所謂熱間補修することを前提として、隔壁型窯炉の所定の隔壁に発生した貫通亀裂損傷部位を予め特定できなくても、当該隔壁のいかなる貫通亀裂損傷に対しても、十分にこれを閉塞して、気密性、耐圧性及び耐久性に優れた補修を、効率的に行なうことができる、隔壁型窯炉の炉壁補修方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記観点から試験研究を重ねた結果、下記知見を得た。
【0019】
隔壁型窯炉の隔壁に発生した貫通亀裂損傷を、CVD法を応用して補修する例として、コークス炉の炭化室と燃焼室とを仕切る隔壁に発生した貫通亀裂損傷を次の方法で熱間補修を行なう試験をした。コークス炉は、石炭を乾留する炭化室と、加熱ガスを発生させる燃焼室とが交互に耐火物製の隔壁を介して50〜100組程度配置され並んでいる。その内で、隔壁に貫通亀裂損傷が発生している一つの隔壁を補修対象とし、その両側の炭化室及び燃焼室を試験で使用した。即ち、炭化室を空炉にし、燃焼室での加熱ガスの発生量を減らし、熱間状態において、燃焼室へ水蒸気を窒素ガスで希釈したガスを導入した。一方、炭化室に四塩化珪素ガスを窒素ガスで希釈したガスを導入した。
【0020】
次いで、炭化室を減圧装置で減圧し、水蒸気を貫通亀裂内部に供給した。所定時間吸引後、減圧操作を停止し、今度は、炭化室に四塩化珪素ガスを窒素ガスで希釈したガスを吹込むと共に、四塩化珪素を含む当該ガスで炭化室内を加圧した。四塩化珪素ガス含有の窒素ガス雰囲気の炭化室の圧力を、水蒸気含有窒素ガス雰囲気の燃焼室内圧力よりも大きくし、更に、その差圧を大きくした。貫通亀裂内部で四塩化珪素と水蒸気との反応生成物であるSiO2 を析出させて、貫通亀裂を補修した。
【0021】
上記試験において、貫通亀裂補修を気密性が高く、耐圧性が高く、また、実操業の使用条件下で耐久性のある補修を、効率的に行なうという目標を達成するに当たり、次の2点が特に重要であることを知見した。
【0022】
1.炭化室を吸引して減圧状態を継続させる時間、及び、炭化室に四塩化珪素ガス含有ガスを供給して加圧状態を継続させる時間の両者を共に適切に設定すること。
【0023】
2.燃焼室及び炭化室のそれぞれに供給するガス中の、水蒸気及び四塩化珪素ガスの濃度を、二酸化珪素の効率的な析出に適した所定値以上の値にすること。
【0024】
3.炭化室内の圧力上昇限界を上げるために、水封弁に替わるより一層耐圧性能のあるガス遮断機構を上昇管の管路途中に挿入するのが望ましいこと。
【0025】
この発明は、上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は下記の通りである。
【0026】
請求項1記載の隔壁型窯炉の炉壁補修方法は、例えばコークス炉のような隔壁型窯炉の隔壁に発生した貫通型の亀裂損傷部を閉塞補修するにあたり、所謂CVD法における気相析出反応を応用する方法であり、その際、上記亀裂部に適量の気相反応物質を供給すると共に、亀裂部以外の部分に対してその気相反応物質を過剰に供給しないようにして、気相反応生成物が亀裂部の補修を阻害しないような条件下で補修するというものである。
【0027】
即ち、隔壁型窯炉の隔壁の一方の側の室内圧力(p1 )と他方の側の室内圧力(p2 )との差(p1 −p2 )を、正負に交互に増減させるサイクル操作を、下記(イ)〜(ハ)の要領で行なうことに特徴を有するものである。
【0028】
(イ)一方の室内圧力(p1 )を一定の減圧操作条件下で低下させて、上記室内圧力差(p1 −p2 )を負にし、引き続き上記減圧操作を継続し、この減圧操作の継続にもかかわらず上記室内圧力差(p1 −p2 )の絶対値が増加しなくなった時に、この当該減圧操作を中止する。
【0029】
(ロ)上記操作(イ)に次いで、一方の室内に、上記金属又は金属化合物のガスを含有するガス(G−1)を、一定の供給速度で供給して上記一方の室内圧力(p1 )を上昇させて、上記室内圧力差(p1 −p2 )を正にし、引き続き当該ガス(G−1)の一方の室内への供給を継続し、このガス供給の継続にもかかわらずその室内圧力差(p1 −p2 )が増加しなくなった時に、上記ガス(G−1)の供給を中止する。
【0030】
(ハ)上記操作(ロ)に次いで、操作(イ)及び(ロ)からなるサイクル操作を所定の複数回繰り返す。
【0031】
さらに、上記に記載の発明において、上記一方の室内に供給するガスとして、四塩化珪素ガスを18vol.%以上含み、且つこの四塩化珪素ガスと反応しないガスで希釈されたガスを用いる。更に、上記他方の室内に供給するガスとして、水蒸気を220mg/Nl(ノルマルリットル)以上含み、且つこの水蒸気と反応しないガスで希釈されたガスを用いる。そして、四塩化珪素ガスと水蒸気とが反応して生成する固体金属化合物である二酸化珪素を上記貫通亀裂内に析出させることに特徴を有するものである。
【0032】
さらに、上記に記載の発明において、隔壁型窯炉が、コークス炉の場合、即ち、隔壁の一方の室が炭化室であり、他方の室が燃焼室であり、且つ、この炭化室で発生した乾留ガスは下記配管系で貯留タンクに回収される。即ち、炭化室から順次上昇管及び曲管を通り、次いで水封弁で構成された縁切りダンパーを経て、この乾留ガスは、当該コークス炉の他の多数の炭化室で発生する乾留ガスと共に、大径ヘッダー管(所謂「ドライメイン」)に吸引される。ここで、乾留ガスが流れる上昇管の途中を機械的に密閉し得るようなガス遮断機構を設け、このガス遮断機構により、上記操作(ロ)において一方の室である炭化室内に、四塩化珪素ガスを含有するガスを供給して炭化室内の圧力を上昇させる。この時、この炭化室と上記ドライメインとの縁切りを、上記水封弁の替わりにこのガス遮断機構により行なう。そして、上記操作(ロ)以降の操作を行なうことに特徴を有するものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施の形態を図を参照しながら説明する。
【0034】
図1は、この発明の隔壁型窯炉の炉壁補修方法を実施するのに用いる隔壁型窯炉を中心とした付帯設備の概略レイアウトである。
【0035】
(1)隔壁型窯炉11の概略内部構造は、隔壁12よって仕切られた一方の側の室である窯13と他方の側の室である燃焼室14とからなる一組又は多数の各室の耐火物製室からなっている。そして、通常操業時には、各窯13からは処理中の装入原料から発生した副生ガス15が、縁切りダンパー16を経てヘッダー管17に吸引され、一方、燃焼室14へは、燃料ガス18及び空気等の酸素含有ガス19が吹き込まれ、燃焼した高温ガスの顕熱が炉壁20及び隔壁12を加熱し、窯13内の装入原料に伝熱され、燃焼排ガス21は熱交換器(図示せず)等を経て排出される。
【0036】
(2)上記操業により特定の隔壁12に発生した貫通亀裂22を次の方法により補修する。
【0037】
上記隔壁12で片側を仕切られた特定の窯13を空窯状態にし、隔壁12で窯13と仕切られた燃焼室14への吹き込み燃料ガス18の流量を低減調整する。窯13内に、金属化合物含有ガス23を当該ガス供給装置24から吹き込んで、その雰囲気中当該金属化合物の濃度を所定値以上に調整する。一方、燃焼室14内に、当該金属化合物ガスと反応して耐火性を有する固体金属化合物を気相析出する反応性ガス含有ガス25を当該ガスの供給装置26から供給して、その雰囲気中の当該反応性ガスの濃度を所定値以上に調整する。更に、窯13内及び燃焼室14内の圧力を、大気圧よりも僅かに高くして、外気の浸入を防止する。上記操作において、当初は窯13内雰囲気圧力と燃焼室14内雰囲気圧力との間には差圧を発生させないように調整する。
【0038】
次に、図1中に示した窯13及び燃焼室14に対して、下記操作を行なう。
図2に、隔壁の補修操作に伴う窯13内の圧力(p1 )と、燃焼室14内の圧力(p2 )との室内圧力差(p1 −p2 )の制御パターンの説明図を示し、図1を併用して説明する。図2は補修前半の一時期及び後半の一時期における室内圧力差(p1 −p2 )の制御パターン説明図である。同図に示すように、室内圧力差(p1 −p2 )が一定値を示したところで窯13内圧力の加圧又は減圧を停止して、それぞれ減圧又は加圧操作に入った。即ち、窯13内を減圧装置26で減圧して、燃焼室14内の圧力(p2 )よりも低くし、更に減圧操作を一定の減圧条件で継続して窯13内の圧力(p1 )と燃焼室14内の圧力(p2 )との室内圧力差(p1 −p2 )の値(負)がこれ以上小さくならず極小値となった時点で、上記減圧操作を休止する。次いで、窯13内に金属化合物含有ガス23を一定の流量で吹き込んで、窯13内の圧力を燃焼室14内の圧力よりも大きくし、更に金属化合物含有ガス23の吹き込みを継続し、室内圧力差(p1 −p2 )の値(正)がこれ以上大きくならず極大値となった時点で、金属化合物含有ガス23の吹き込みを休止する。
【0039】
上記操作を繰り返して、室内圧力差(p1 −p2 )の値を正負に交互に増減させるサイクル操作を所定の複数回行なうことにより、上記両方の室内ガスを隔壁の貫通亀裂22の内部に交互に供給して、金属化合物ガスと反応性ガスとの気相析出反応により、当該貫通亀裂部に耐火性の固体金属化合物を析出させる。こうして、隔壁12に発生した貫通亀裂22の損傷部を補修する。
【0040】
このように、上記補修操作においては、窯13内の減圧と窯13内への金属化合物含有ガス23の吹き込みとのそれぞれを、両室内の圧力差(p1 −p2 )の値が、それぞれ極小値及び極大値となる時点で休止して、窯13内に対する操作を切り替える。その理由は、次の通りである。即ち、窯13に対する単一操作要因の補修特性に及ぼす影響に関して、
【0041】
▲1▼減圧時間が短すぎ、圧力差(p1 −p2 )の値が極小値に到達する前に、減圧操作を停止すると、隔壁の亀裂内部に反応性ガスが十分に供給されず、従って、補修速度が遅くなり、補修に長時間を要する。
【0042】
▲2▼減圧時間が長すぎ、圧力差(p1 −p2 )の値が極小値に到達した以降も減圧操作を継続すると、窯13内への反応性ガスの流入量が過剰となり、窯13内炉壁及び隔壁の表面に多量の固体金属化合物が析出して、窯13側の隔壁貫通亀裂の開口部が塞がれる。そのため、以降の補修操作において亀裂内部への固体金属化合物の析出が阻害される。
【0043】
▲3▼金属化合物含有ガス23の吹き込み時間が長すぎ、圧力差(p1 −p2 )の値が極大値に到達した以降もガス吹き込みを継続すると、金属化合物ガスの補修利用率が低下し、補修コスト高となる。
【0044】
▲4▼金属化合物含有ガス23の吹き込み時間が短すぎ、圧力差(p1 −p2 )の値が極大値に到達する前にガス吹き込みを停止すると、貫通亀裂内部における固体金属化合物の析出量が減少して、補修完了までに長時間と超過労力を要する。
【0045】
(3)隔壁型窯炉内に設けられた隔壁の材質が、珪石レンガ等SiO2 成分が主体である場合には、図1に示した隔壁12の貫通亀裂22の補修に対しては、金属化合物ガスとして四塩化珪素SiCl4 ガスを、且つ、反応性ガスとして水蒸気を用いるのが望ましい。ここで、窯13に供給するガスは、四塩化珪素ガスを18vol.%以上含み、そして燃焼室14に供給するガスは、水蒸気を220mg/Nl(ノルマルリットル)以上含むガスを用いる。そして、四塩化珪素ガス及び水蒸気の希釈用ガスとしては、それぞれのガスと反応しないガスであることが必要であり、例えば窒素ガスやArガスが適している。なお、四塩化珪素ガスは希釈せずに、四塩化珪素のガスのみで使用してもよい。四塩化珪素ガスと水蒸気とは下記(1)式の反応により、固体の二酸化珪素SiO2 が生成する。このようにして貫通亀裂内部に析出したSiO2 は、熱膨張係数その他の物性が隔壁耐火物のそれと類似しているので、これとの結合力が強く補修特性に優れている。
【0046】
SiCl4 (g)+2H2 O(g)→SiO2 (s)+4HCl(g)……(1)
この発明における四塩化珪素ガスを含有するガス中に含まれる四塩化珪素の濃度は、18vol.%以上とする。これは、四塩化珪素の濃度がこれ未満では、反応速度が遅すぎるからである。一方、水蒸気を含有するガス中に含まれる水蒸気の濃度は、220mg/Nl(ノルマルリットル)以上とする。これは、水蒸気の濃度がこれ未満では、反応速度が遅すぎるからである。
【0047】
(4)コークス炉は、隔壁型窯炉の代表例である。そして、隔壁の耐火物には、通常、珪石煉瓦が使用されている。
【0048】
図3に、本発明の炉壁補修方法によりコークス炉の隔壁に発生した貫通亀裂を補修するのに用いた補修装置の概略レイアウトを示す。炭化室1と燃焼室14とが隔壁12を挟んで交互に多数配置されている。
【0049】
各炭化室1からは上昇管2及び曲管3を通り、ドライメイン6に至る配管系があり、曲管3からドライメイン6に入る前に水封弁4が設けられている。炭化室1の上部には、石炭の装入蓋が設けられており、その上方には装炭車8とその集塵フード9が配設され、装炭車集塵機10に集塵用配管28が敷設されている。また、補修対象とする隔壁12で仕切られた炭化室1には、四塩化珪素ガス供給タンク29とこれの希釈用窒素ガス供給タンク30が、ガス流量・圧力調節器31a,bを介して配管接続され、これらの混合ガス配管がガス流量・圧力調節器31cを介して配管接続されている。
【0050】
一方、各燃焼室14には、燃料ガス配管33及び空気配管34を伴なう燃料ガスバナー32が設けられ、、そして、補修対象とする隔壁12で仕切られた燃焼室14には更に水蒸気供給配管35が敷設され、各配管にはそれぞれガス流量・圧力調節器31d,e,fが設けられている。
【0051】
炭化室1及び燃焼室14にはそれぞれの室内圧力を検知する圧力計36a,bが取り付けられており、各室内圧力p1 及びp2 が、制御装置37に電送される。また、上記各ガス配管(四塩化珪素ガス、窒素ガス、四塩化珪素と窒素との混合ガス、燃料ガス、空気及び水蒸気の供給配管)に取り付けられたガス流量・圧力調節器31a〜31fと制御装置37との間には制御回線が敷設されている。
【0052】
上記装置を備えたコークス炉設備において、隔壁12を補修対象とする。炭化室1を空炉にし、燃焼室14への燃料ガス供給を通常運転時よりも減らし、隔壁温度が600℃以上、望ましくは900℃程度に保持するように調節し、燃焼室14内雰囲気中の水蒸気濃度が220mg/Nl(ノルマルリットル)以上となるように制御する。一方、炭化室1内には、四塩化珪素ガスを窒素ガスで希釈した混合ガスを供給し、炭化室1内雰囲気中の四塩化珪素ガス濃度が18vol.%以上となるように制御する。
【0053】
次いで、装炭車集塵機10の吸引機(図示せず)により炭化室1内を減圧し、燃焼室14内雰囲気ガスを隔壁12の貫通亀裂22内部に吸引し、この亀裂内部に水蒸気を供給する。炭化室1内圧力p1 と燃焼室14内圧力p2 との室内圧力差p1 −p2 の値が負となり、やがて極小値になったところで、炭化室1内の減圧を停止し、吸引配管系を遮断する。直ちに、炭化室1内に四塩化珪素ガス含有窒素ガスを吹き込み、その室内を加圧してゆき、上記室内圧力差p1 −p2 の値を正とし、上記貫通亀裂22内部に四塩化珪素ガスを供給する。そしてこの室内圧力差が極大値になったところで、そのガス吹き込みを停止する。
【0054】
なお、本発明における炭化室内又は窯内の加圧操作はすべて、上記のように、炭化室内に四塩化珪素ガスを含有するガスを所定流量で吹き込むことによるか、又は窯内に金属若しくは金属化合物のガスを含有するガスを所定流量で吹き込むことによる、当該炭化室内又は窯内の加圧操作を指す。
【0055】
上記操作において、炭化室1内加圧時期の燃焼室14内圧力は、大気圧よりも僅かにプラス圧にして、外気の侵入を防止する。そして、炭化室1内の減圧と加圧とを繰り返すにつれて二酸化珪素の析出により貫通亀裂の隙間が狭く小さくなるので、炭化室1の加圧時期における炭化室1内圧力p1 は、加圧と減圧とのサイクル操作の回数を重ねるにつれて次第に大きくなる。なお、この時室内圧力差p1 −p2 の値もそれにつれて大きくなる。貫通亀裂のガスシール性、耐圧性及び耐久性を望ましい水準に到達するまで、効率的に補修するためには、上記室内圧力差p1 −p2 が極値をとるまで炭化室1内を加圧又は減圧することが必要である。このとき、炭化室1内の圧力p1 の最大値は、100mmH2 O(但し、大気圧を基準としたプラス圧力で表示。以下、同じ。)程度以上に上昇する。コークス炉の補修の場合には、通常、50〜70サイクル程度の処理を行なう。
【0056】
ところが、製鉄用コークス炉設備における水封弁4(図8参照)の水封高さは前述したように、通常、50mmH2 O程度と低い。従って、炭化室1内圧力を100mmH2 O以上に昇圧すると、水封弁4は破れる。そして、ドライメイン6(図8参照)に空気が混入するので、コークス炉ガスの爆発の危険性が発生する。また、装炭車集塵機10の吸引機(図示せず)により炭化室1内を減圧した場合に、その室内圧力が大気圧に対して、マイナス50mmH2 O程度よりも低くなって水封弁が破れると、その水分が吸引され上昇管内等の高温下で水蒸気となり、炭化室内に多量に流入すると、炭化室内壁全面に二酸化珪素が析出する。そのため、貫通亀裂の傷口が塞がれて以降の補修効果が阻害されたり、また四塩化珪素ガスが無駄に消費される。
【0057】
そこで、この発明の方法を実施するにあたり、上記危険性を完全に解消するために、図4に示すように、炭化室1上部に設けられた上昇管2の途中位置に、上昇管2の内部通路を強力に密閉することができる、ガス遮断機構38を設けている。ガス遮断機構38はその所要機能から、各種構造のものがあり得る。その中で大気圧との差圧がプラス100mmH2 O以上の条件下で完全なガスシール性を発揮するガス遮断機構として、機械的密閉構造が望ましい。図4に示したガス遮断機構38は上記条件を満たすものである。同図において、ジグ39の先端にガス遮断蓋40を取り付け、上昇管2内部に挿入する。ガス遮断蓋40は、形状可変式の円盤状のものである。これを上昇管2内部で曲管3分岐位置よりも低い場所にセットする。なお、ガス遮断蓋40を上昇管2内へ挿入・セットするときに、炭化室からの熱風吹き上げ防御策として、当該蓋の下面から冷却用空気42を噴射させながら行なう。
【0058】
図5に、上記ガス遮断蓋40の上昇管2内部へのセット方法説明図を示す。上昇管2内部の所定高さ位置に、ガス遮断蓋40を図5(a)に示すように、形状可変式蓋の分割部分40aを直径方向中心側に縮めた状態で水平に保持し、次いで図5(b)に示すように、それを円周方向に延ばして1枚の円盤状の蓋に形成させる。分割部分40aの延出調整の操作は、ジグ39の他端の遠隔操作ハンドル43で行なう。そして、ガス遮断蓋40外周縁と上昇管2内周面とのシール部、及び分割蓋の継ぎ目を、モルタル41a,41bの吹き付け等により完全に密封する(図4参照)。上記ガス遮断蓋40ないしこれに準じたガス遮断蓋により、従来の水封高さに応じた圧力よりもはるかに大きな圧力まで耐えられるガス遮断効果が安定して得られる。しかも、補修対象とする隔壁に隣接する炭化室の上昇管毎に、安価で簡便に作業性よく施工できる。
【0059】
【実施例】
次に、この発明を実施例によって更に詳細に説明する。高炉製鉄用コークス炉の炉壁の定常補修は通常の操業期間内に行なわれる。このチャンスを利用して、炭化室と燃焼室との貫通隔壁の亀裂補修を行なった。炉壁補修は、本発明の方法で行なった試験(実施例1)、及び本発明の範囲外の条件で行なった試験(比較例1〜4及び5)に分けて行なった。
【0060】
[1]実施例1の試験条件
実施例1の補修試験条件は次の通りである。図3に示したコークス炉及び補修装置を用い、また上昇管のガス遮断蓋として、図4及び図5に示した装置を用い、上述した実施の形態の項で述べた方法に準じて隔壁を補修した。次いで、炭化室内にドライシーリング材(溶融石英微粉末を主成分とした800〜950℃で焼結する無機粉末)を吹込み、隔壁の亀裂の内部を予備充填した。
【0061】
燃焼室内雰囲気は、コークス炉貯留タンクから供給されるコークス炉ガスの燃焼ガスと、これに水蒸気供給装置からの水蒸気富化により、水蒸気濃度を220mg/Nl以上の所定値に制御した。一方、炭化室内へは、四塩化珪素ガスを窒素ガスで希釈した混合ガスを吹込み、炭化室内雰囲気の四塩化珪素ガス濃度を18vol.%以上の所定値に制御した。
【0062】
そして、炭化室内を装炭車集塵機で減圧して、燃焼室内圧力との圧力差(負)を下げていき、その圧力差が極小値となったところで集塵用配管を閉止した。次いで直ちに炭化室内へ上記四塩化珪素ガス含有窒素ガスを吹込み、炭化室内圧力を上げていき、燃焼室内圧力との圧力差(正)が極大値となったところで、上記四塩化珪素ガス含有窒素ガスの吹込みを停止した。ここで、四塩化珪素ガス含有窒素ガスの吹込み速度(Nl/sec)は、所定の一定値とした。なお、図4に示した上昇管のガス遮断蓋は、当該ガスを炭化室へ吹き込む前に密閉し、水封弁への管路を完全に遮断しておく。上記炭化室内圧力の減圧と加圧とを交互に繰り返す操作(サイクル操作)を所要回数行なった。実施例における上記試験条件は次の通りである。
【0063】
燃焼室内の水蒸気濃度:220〜250mg/Nl
炭化室内の四塩化珪素ガス濃度:20〜25vol.%
そして、炭化室への四塩化珪素ガス含有窒素ガス吹込み速度(Nl/sec)を一定に保持したとき、当該炭化室内圧力の昇圧速度が、一定値となったところで補修操作を終了した。
【0064】
図6及び図7のそれぞれに、実施例1及び比較例3の補修時における炭化室内圧力の加減圧サイクル回数と、同室内加圧時の昇圧速度との関係を示す。
【0065】
[2]比較例1〜4の試験条件
比較例の補修試験条件は次の通りである。実施例と同様、図3に示したコークス炉及び補修装置を用い、また上昇管のガス遮断蓋として、図4及び図5に示した装置を用いた。炭化室を空窯にした後、燃焼室の燃料を絞った。燃焼室内雰囲気中水蒸気濃度を220mg/Nl以上の所定値に制御した。炭化室内は、雰囲気の四塩化珪素ガス濃度を18vol.%以上の所定値に制御した。そして、燃焼室内を減圧して、燃焼室内圧力との圧力差(負)を下げていく操作、及び、炭化室内へ四塩化珪素ガス含有窒素ガスを吹込み、炭化室内圧力を上げて燃焼室内圧力との圧力差(正)を上げていく操作を行なった。但し、比較例においては、炭化室内の減圧時及び加圧時における燃焼室内圧力との圧力差が、極値をとる前及び極値をとった後所定時間経過後に、それぞれ所定の次操作に入った。そして、炭化室内圧力の減圧及び加圧のサイクル操作を続行し、実施例1における場合と同じく、炭化室内圧力の昇圧速度一定値になったところで補修操作を終了した。即ち、比較例1〜4の下記4条件の試験を行なった。
【0066】
比較例1:炭化室内圧力が極小値に未達の状態で、次の混合ガス吹込み操作に入った。
【0067】
比較例2:炭化室内圧力が極小値になっても、次の混合ガス吹込み操作に入らず、減圧操作を続けた。
【0068】
比較例3:炭化室内圧力が極大値に未達の状態で、次の減圧操作に入った。
【0069】
比較例4:炭化室内圧力が極大値になっても、次の減圧操作に入らず、混合ガス吹込み操作を続けた。
【0070】
なお、比較例1〜4においては、ドライシーリングによる隔壁の予備充填は実施例1と同じく行なわず、その他の試験条件は次の通りであり、実施例1とほぼ同じである。
【0071】
燃焼室内水蒸気濃度:220〜250mg/Nl
炭化室内雰囲気の四塩化珪素ガス濃度:20〜25vol.%
【0072】
[3]比較例5の試験条件
比較例5の補修試験条件は、炭化室内圧力の減圧と加圧とのサイクル操作を所要回数より少なくい段階で終了した場合である。即ち、炭化室内圧力の昇圧速度が、一定値になる前に補修操作を終了した場合である。但し、その他の試験条件は、実施例1と同じにした。
【0073】
[4]試験結果の評価方法
実施例1及び比較例1〜5の各々につき、下記▲1▼〜▲3▼の各事項を試験・調査した。
【0074】
▲1▼炭化室内圧力の加圧時における昇圧速度が、一定値に達するまでに要したサイクル操作の回数を調査した。回数の少ないほど補修効率が上がったことを示す。但し、比較例5においては、一定値に達する前に補修を終了した。
【0075】
▲2▼補修後のコークス炉操業時に、コークス炉煙道出口における燃焼排ガス中のSOX 濃度の測定を行なった。SOX 濃度が低いほど、貫通亀裂の閉塞補修が良好であったことを示し、良否を○×で表記した。
【0076】
▲3▼補修作業終了後のコークス炉操業において、補修済み隔壁の耐久性を調査した。
【0077】
[5]実施例1及び比較例1〜5の試験結果
表1に、上記試験結果をまとめて示す。
【0078】
【表1】
Figure 0004023027
【0079】
実施例1においては、炭化室の昇圧速度が早期に一定値に到達しており、補修効率が良好である。燃焼排ガス中SOX 濃度も低くて良好であり、気密性が良好であり、また耐久性も良好で補修効果が十分に発揮されている。
【0080】
これに対して、比較例1及び比較例3においては、炭化室内の加圧・減圧サイクル操作を著しく多数回行なわないと貫通亀裂の閉塞補修効果が発揮されない。即ち、比較例1及び比較例3では補修作業効率が劣っている。比較例2においては、補修後の隔壁を稼動させたところ、1回の石炭装入により、補修前におけるガス漏れと同じレベルのガス漏れが発生した。即ち、補修効果はなかった。比較例4においては、未反応の四塩化珪素ガスが多く、補修材料費のコストが高くなる。比較例5においては、炭化室で発生した乾留ガス中のSOX 成分が燃焼室側に混入している。従って、貫通亀裂の閉塞補修効果が短期間に失われ、耐久性に乏しい。
【0081】
以上のように、本発明の範囲外の条件で補修された比較例1〜5においてはいずれも、効率的な補修が行なわれなかったか、あるいは補修効果が不十分であった。これに対して、本発明の補修条件で補修された実施例1においては、貫通亀裂補修が良好に、しかも効率よく行なわれたことがわかる。
【0082】
【発明の効果】
上述したように、この発明の方法によれば、隔壁に貫通亀裂等の損傷を有する隔壁型窯炉を、損傷部位を特定することができなくても、熱間において、当該損傷部分を確実に、均一に、しかも良好な補修を効率よく行なうことができる。従って、短期間の設備休止中に簡便に施工できる。そして高熱条件下での作業が回避され、安全に、低コストで補修することができる。このような隔壁型窯炉の炉壁補修方法を提供することができ、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の隔壁型窯炉の炉壁補修方法を実施するのに適した当該隔壁型窯炉を中心とした付帯設備の概略レイアウトである。
【図2】本発明の隔壁型窯炉の炉壁補修方法において、補修のサイクル操作の前半及び後半の各一時期における、隔壁を挟んだ両室内の圧力差の制御パターンを説明する図である。
【図3】本発明の炉壁補修方法によりコークス炉の隔壁に発生した貫通亀裂を補修するのに用いた補修装置の概略レイアウトである。
【図4】本発明の炉壁補修方法において使用したコークス炉上昇管のガス遮断機構の例を説明する図である。
【図5】図4におけるガス遮断機構の蓋の特徴を説明する概略見取図である。
【図6】実施例1における炭化室内圧力の昇圧速度の経時変化を示すグラフである。
【図7】比較例3における炭化室内圧力の昇圧速度の経時変化を示すグラフである。
【図8】炭化室からドライメインに至るコークス炉ガスの配管系を例示する概略鉛直断面図である。
【符号の説明】
1 炭化室
2 上昇管
3 曲管
4 水封弁
5 コークス炉ガス
6 ドライメイン
7 装入蓋
8 装炭車
9 集塵フード
10 装炭車集塵機
11 隔壁型窯炉
12 隔壁
13 窯
14 燃焼室
15 副生ガス
16 縁切りダンパー
17 ヘッダー管
18 燃料ガス
19 酸素含有ガス
20 炉壁
21 燃焼排ガス
22 貫通亀裂
23 金属化合物含有ガス
24 金属化合物含有ガス供給装置
25 反応性ガス含有ガス
26 反応性ガス含有ガス供給装置
27 減圧装置
28 集塵用配管
29 四塩化珪素ガスタンク
29’四塩化珪素ガス補給タンク
30 窒素ガスタンク
31a,b,c,d,e,f ガス流量・圧力調節器
32 燃料ガスバーナー
33 燃料ガス配管
34 空気配管
34’ 空気
35 水蒸気供給配管
35’ 水蒸気
36a,b 圧力計
37 制御装置
38 ガス遮断機構
39 ジグ
40 ガス遮断蓋
40a 分割部分
41 モルタル
42 冷却用空気
43 遠隔操作ハンドル

Claims (1)

  1. 隔壁型窯炉の隔壁であって貫通損傷部が内部に形成された隔壁を、CVD法を用いて補修する方法において、前記隔壁の一方の側の室内圧力(p1 )と他方の側の室内圧力(p2 )との差(p1 −p2 )を、正負に交互に増減させるサイクル操作を、下記(イ)〜(ハ)の要領で行ない、
    前記一方の室内に供給するガスとして、四塩化珪素ガスを18vol.%以上含み、且つ当該四塩化珪素ガスと反応しないガスで希釈されたガスを用い、前記他方の室内に供給するガスとして、水蒸気を220mg/Nl(ノルマルリットル)以上含み、且つ当該水蒸気と反応しないガスで希釈されたガスを用い、そして、前記固体金属化合物として二酸化珪素を析出させ
    前記隔壁型窯炉は、前記一方の室が炭化室であり、前記他方の室が燃焼室であり、且つ、当該炭化室で発生した乾留ガスは当該炭化室から順次上昇管及び曲管を通り、次いで水封弁で構成された縁切りダンパーを経て、当該乾留ガスの大径ヘッダー管(以下、「ドライメイン」という)に導かれる配管系が設けられているコークス炉であり、前記上昇管内部の前記乾留ガス通路の途中を機械的に密閉し得る、ガス遮断機構を設け、当該ガス遮断機構により、記操作(ロ)において前記一方の室である炭化室内に、前記四塩化珪素ガス有するガスを供給して当該炭化室内の圧力を上昇させた時に、当該炭化室と前記ドライメインとの縁切りを、前記水封弁の替わりに前記ガス遮断機構により行ない、そして、当該操作(ロ)以降の操作を行なうことを特徴とする、隔壁型窯炉の炉壁補修方法。
    (イ)前記一方の室内圧力(p1 )を一定の減圧操作条件下で低下させて、前記室内圧力差(p1 −p2 )を負にし、引き続き前記減圧操作を継続し、当該減圧操作の継続にもかかわらず当該室内圧力差(p1 −p2 )の絶対値が増加しなくなった時に、当該減圧操作を中止する。
    (ロ)上記操作(イ)に次いで、当該一方の室内に、前記金属又は金属化合物のガスを含有するガス(G−1)を、一定の供給速度で供給して当該一方の室内圧力(p1 )を上昇させて、前記室内圧力差(p1 −p2 )を正にし、引き続き当該ガス(G−1)の当該一方の室内への供給を継続し、当該ガス供給の継続にもかかわらず当該室内圧力差(p1 −p2 )が増加しなくなった時に、前記ガス(G−1)の供給を中止する。
    (ハ)上記操作(ロ)に次いで、上記操作(イ)及び(ロ)からなるサイクル操作を所定回数繰り返す。
JP10404799A 1999-04-12 1999-04-12 隔壁型窯炉の炉壁補修方法 Expired - Fee Related JP4023027B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10404799A JP4023027B2 (ja) 1999-04-12 1999-04-12 隔壁型窯炉の炉壁補修方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10404799A JP4023027B2 (ja) 1999-04-12 1999-04-12 隔壁型窯炉の炉壁補修方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000290656A JP2000290656A (ja) 2000-10-17
JP4023027B2 true JP4023027B2 (ja) 2007-12-19

Family

ID=14370315

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10404799A Expired - Fee Related JP4023027B2 (ja) 1999-04-12 1999-04-12 隔壁型窯炉の炉壁補修方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4023027B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101974563B1 (ko) * 2017-12-14 2019-05-02 주식회사 포스코 보수장치 및 보수방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000290656A (ja) 2000-10-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN111719029A (zh) 高炉炉缸用冷却壁受损和炭砖浸水或脆断后的修复方法
JP4023027B2 (ja) 隔壁型窯炉の炉壁補修方法
US10746469B2 (en) Regenerators with pressurized cavity in partition walls
CN207316903U (zh) 改进的欧冶炉喷煤气炉
JP3613006B2 (ja) 隔壁型窯炉の炉壁補修方法
US6128822A (en) Method for repair and/or reinforcement of partition-type heat exchanger
CN106244174A (zh) 一种碳化炉墙喷补装置及方法
CN1060524C (zh) 热风炉烘炉装置
JP3674167B2 (ja) 熱風管の補修構造
JP4134474B2 (ja) 室炉式コークス炉炉頂部の壁の補修方法
CN111879133A (zh) 清洁型碳素制品焙烧炉
JP3209087B2 (ja) 窯炉のケイ石煉瓦壁の補修方法および強化方法
JP3687242B2 (ja) コークス炉の炉壁補修方法
JP3209062B2 (ja) 隔壁型熱交換器の隔壁の補修および/または強化方法
CN111363563B (zh) 焦炉煤气下喷管砖煤气道满浆法灌浆密封系统及方法
CN219194875U (zh) 一种复合结构的焦炉煤气管砖通道
CN100451132C (zh) 高炉炉缸及炉底的局部在线修复方法
CN212158296U (zh) 一种防止荒煤气全通道结焦的节能设备
CN211823822U (zh) 一种青瓷窑炉炉体
CN2514283Y (zh) 高炉富余煤气焙烧窑
JP2009235437A (ja) 大減尺休風時の高炉操業管理方法
CN205825691U (zh) 真空燃烧炉
CN117625215A (zh) 一种防止蓄热室滑动层漏气装置
JP4720246B2 (ja) コークス炉の炉壁補修方法
JP3787933B2 (ja) 隔壁耐火物の補修強化方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041027

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20060920

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070607

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070619

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070816

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070911

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070924

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101012

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101012

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111012

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111012

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121012

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121012

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131012

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees