JP3687242B2 - コークス炉の炉壁補修方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス炉の炉壁の貫通損傷部にSiCl4 含有ガスを侵入させ、SiO2を析出させて炉内壁を補修する方法における補修用ガス発生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コークス炉では石炭を収納する炭化室と加熱ガスを発生させる燃焼室とが炉壁を介して交互に配置されている。加熱ガスによって炉壁が加熱され、炉壁を通じて熱が炭化室の石炭に伝えられて、これが熱分解して、石炭の乾留が進行する。出来上がった高温のコークスはコークス炉両サイドの押し出し側およびガイド車側の蓋を外し、押出機によりガイド車側へ排出される。次いで、次チャージの石炭が上部の装炭口より装入され、上述と同様のサイクルが繰り返される。炉壁は押し出されるコークスによる摩耗や、加熱、冷却の繰り返しにより、目地切れ、煉瓦の破損を起こす。これが炭化室と燃焼室が貫通する亀裂損傷に至ると、乾留ガスが炭化室から燃焼室へ漏洩するので石炭の乾留は、困難となる。このため、いくつかの補修方法が適用されている。
【0003】
例えば、空にした炭化室へ耐火物粉末を空気、窒素等の媒体を使用し、気流輸送にて貫通亀裂部の閉塞を図る方法および炉蓋近傍の炉壁の補修方法として、耐火物粉末と水との混合物を損傷部に吹き付ける湿式吹き付け法が知られているが、これらは、一時的にガス漏れを減少させることは可能であるが、効果は長続きしない。
【0004】
また、耐火物粉末を酸素−燃料ガスからなる火炎中に供給するか、あるいはアルミニウムやケイ素の燃焼で半溶融または溶融状態にして炉壁へ接着させる溶射法がある。この溶射法においては、溶融した溶射材料は、被補修部に衝突し急冷凝固し、ガラス相を主体とした溶射補修体を形成する。このガラス相は、冷却過程でさらに結晶相に移転するが、その際に体積収縮が起こり、ひび割れが発生する。このため、溶射補修体は母材との結合が不十分となり、長期にわたる使用に耐えない。特に溶射に伴う局部加熱で母材が変質して強度低下した場合には、母材側から亀裂が進展して溶射体が脱落する。
【0005】
また、炉壁を構成するケイ石煉瓦の損傷が甚だしい場合には、損傷した煉瓦の積替えが行われる。積替えは煉瓦の冷却に伴う損傷を避けるために熱間で行われる。しかし、熱間での補修作業は高温重筋労働を伴うだけでなく、長時間にわたってコークスの生産を停止させるので経済的損失も大きい。
【0006】
このように、従来法には問題が多いが、従来法の中では溶射法が優れ、施工した溶射体の耐用性にも比較的優れているが、未だ不十分であり、溶射体の寿命は、溶射体自身の強度や耐スポーリング性だけでは決まらず、上述したような溶射体の脱落の問題もあり寿命は約半年である。
【0007】
本出願人は、上述した問題を解決するために、特願平07−303683号と特願平08−109813号で熱間で炉壁補修を行う方法1および2を提案した。これらの方法を図2により次に説明する。1は炭化室、2は燃焼室、3はSiO2を主成分としCaO2、Al2O3 およびFe2O3 を合計で5wt.%程度含み、開口率20%程度のケイ石煉瓦とそれを固定するSiO2を主成分とする目地からなるケイ石煉瓦の炉壁、5は石炭の装入蓋である。コークス炉は炭化室1と燃焼室2が炉壁3を間にして交互に連なっている。燃料と空気をガス入口4から燃焼室2に供給し、燃焼ガス9を発生させ、この燃焼ガスの熱により炉壁3を介して炭化室1を加熱した後、上部開口から図示しない蓄熱室に排出する。6は炉壁3に発生した1mm以上の開口部を有する貫通損傷部、7は1mm未満の微細な開口部を有する貫通損傷部である。
【0008】
方法1は、上記の貫通損傷部の中で、微細な開口部を有する貫通損傷部7の補修に適する方法であり、先ず、炭化室1を空窯の状態にして、装入蓋5に設けたガス入口8からSiCl4 含有ガス10を炭化室1に供給する。そして、炭化室1内圧力を燃焼室2内圧力より高く保持し、貫通損傷部7の内部に浸透させる。次に、炭化室1内圧力を燃焼室2内圧力より低く保持して、燃焼ガス9を燃焼室2側から貫通損傷部7に浸透させる。このように、炭化室1内圧力と燃焼室2内圧力の差を正負に変動させることにより、貫通損傷部7にSiCl4 含有ガス10と燃焼ガス9を交互に浸透させる。その結果、SiCl4 ガスと燃焼ガス中のH2O (水蒸気)が反応してSiO2が生成し、貫通損傷部7がこのSiO2により充填されて、補修がなされる。
【0009】
方法2は、上記貫通損傷部の中で、比較的大きな開口部を有する貫通損傷部6の補修に適する方法であり、先ず炭化室1を空窯の状態にして、炭化室1側から、MgO,CaO,ZrO2等の無機酸化物粉末を気流輸送して、貫通損傷部6に侵入させて無機酸化物粉末の充填体を形成させる。次いで、装入蓋5に設けたガス入口8からSiCl4 含有ガス10を炭化室3に供給し、炭化室1内圧力を燃焼室2内圧力より高く保持し、貫通損傷部6に充填された無機酸化物粉末粒子間にSiCl4 含有ガス10を浸透させる。無機酸化物粉末とSiCl4 含有ガス10とを反応させてSiO2と塩化物を生成させる。次に、炭化室1内圧力を燃焼室2内圧力より低く保持して、燃焼ガス9を燃焼室2側から貫通損傷部6の充填体に浸透させる。燃焼ガス9中のH2O (水蒸気)が充填体中に副生した塩化物と反応して非SiO2の酸化物が生成する。このように、炭化室1内圧力と燃焼室2内圧力の差を正負に変動させることにより、貫通損傷部6の充填体にSiCl4 含有ガス10と燃焼ガス9を交互に浸透させる。その結果、貫通損傷部6の充填体中にSiO2と非SiO2の酸化物が生成し、充填体の密度が向上し、補修がなされる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の方法1、2は、炭化室外に液体SiCl4 を加熱してSiCl4 含有ガスを発生させるガス発生機を設ける必要があり、設備が大掛かりとなり、または加熱源が必要となる。
【0011】
本発明は、大掛かりな設備とガスを発生させるための特別な加熱源を必要としない炉壁補修用ガス発生方法を用いたコークス炉の炉壁補修方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を、炉壁の補修に係る炭化室を空にした後、液体SiCl4 をスプレーノズルを介して炭化室内に噴霧し、炭化室の保有熱によりガス化するコークス炉の炉壁補修用ガス発生方法を用いたコークス炉の炉壁補修方法により達成する。
【0013】
「作用」
液体SiCl4 の沸点は、57.6℃であり、炭化室の雰囲気温度は、800〜900℃の高温であるから、液体SiCl4 をスプレーノズルを介して炭化室内に噴霧すれば、直ちにガス化する。
【0014】
液体SiCl4 を噴霧せずに供給すると、液体SiCl4 が炉壁煉瓦に付着し、その部分が局部的に急冷されて煉瓦に割れが生じる危険性がある。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。図1は、本発明方法の説明図である。図では炭化室を断面図で示している。1は炭化室、5は装入蓋、11は上昇管、12は上昇管11の頂部に設けられたガス放散弁、13は水封弁である。本発明方法を実施するために、炭化室1外に以下の機器が配設される。
【0016】
20は液体SiCl4 を貯蔵するタンク、21は炭化室1とタンク20の間に配設された配管、22はタンク20の液体SiCl4 を配管21を介して炭化室1に、加圧して供給するポンプ、23はポンプ22の吐出側の配管21の途中に設けられた電磁弁、24は炭化室1内の配管21の先端に取付けられたスプレーノズルである。25は液体SiCl4 の供給量を計測する流量指示計、26は炭化室1の温度を計測する温度指示計、27は炭化室1の圧力を計測する圧力指示計である。28は、流量指示計25、温度指示計26および圧力指示計27の計測値により電磁弁の開閉を制御する制御器である。制御器28には、炭化室の容積から算出された液体SiCl4 の供給量、電磁弁23に閉の信号を出す温度値、電磁弁23に一定開度減の信号を出す圧力値が設定されている。閉の信号を出す温度値は、温度低下による炉壁煉瓦の割れ防止のため、700℃に設定され、また一定開度減の信号を出す圧力値は、水封弁13の水封切れ防止のため、50mmAQに設定される。
【0017】
本発明方法を次に説明する。
(1)炉壁の補修に係わる炭化室を空にした後、装入蓋5、炉蓋14および水封弁13を閉じ、ガス放散弁12を開ける。
(2)ポンプ22を運転して液体SiCl4 を炭化室1内に供給する。このとき、液体SiCl4 はスプレーノズル24により微粒となって炭化室内に散布され、炭化室の雰囲気温度により直ちにガス化する。このガスは、炭化室にある空気の比重より重いので、ガスは、液体SiCl4 供給当初は炭化室の底部に溜まり、その後上方に体積を増加してゆく。これにより、炭化室内の空気は体積を増加するガスに排除され、上昇管11を介して大気中に放散される。
(3)流量指示計25からの積算流量が、その炭化室の供給量に達すると、制御器28から電磁弁23に閉信号が出され電磁弁23が閉となり、またポンプ22に停止信号が出されポンプ22は運転停止する。
(4)ガス放散弁12を閉じる。
【0018】
【発明の効果】
本発明は、液体SiCl4 を炭化室内に噴霧し、炭化室の保有熱利用してガス化するから、大掛かりな設備を必要とせず、またガス化するための加熱源が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の説明図である。
【図2】 SiCl4 ガスによるコークス炉の炉壁補修方法を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 炭化室
5 装入蓋
11 上昇管
12 ガス放散弁
13 水封弁
14 炉蓋
20 タンク
21 配管
22 ポンプ
23 電磁弁
24 スプレーノズル
25 流量指示計
26 温度指示計
27 圧力指示計
28 制御器
Claims (1)
- コークス炉の炉壁の貫通損傷部に SiCl 4 含有ガスを侵入させ、前記貫通損傷部に SiO 2 を析出させて炉内壁を補修する方法において、前記炉壁の補修に係る炭化室を空にした後、液体SiCl4をスプレーノズルを介して前記炭化室内に噴霧し、炭化室の保有熱により前記液体 SiCl 4 をガス化することを特徴とするコークス炉の炉壁補修方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34864296A JP3687242B2 (ja) | 1996-12-26 | 1996-12-26 | コークス炉の炉壁補修方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP34864296A JP3687242B2 (ja) | 1996-12-26 | 1996-12-26 | コークス炉の炉壁補修方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10183132A JPH10183132A (ja) | 1998-07-14 |
JP3687242B2 true JP3687242B2 (ja) | 2005-08-24 |
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ID=18398379
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34864296A Expired - Fee Related JP3687242B2 (ja) | 1996-12-26 | 1996-12-26 | コークス炉の炉壁補修方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3687242B2 (ja) |
-
1996
- 1996-12-26 JP JP34864296A patent/JP3687242B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10183132A (ja) | 1998-07-14 |
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