JP4022989B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、微細なデザインルールによるMIS型半導体装置等の拡散層抵抗やゲート電極抵抗を低減した高集積度半導体装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の集積度が高まり、MIS (Metal Insulator Semiconductor)型半導体装置においても各トランジスタの拡散層深さのシャロー化が進んでいる。例えば、ゲート電極長0.25μmのトランジスタにおいては、拡散層の深さは80nm以下程度が要求される。これは、ゲート電極長が縮小すると、これに応じて拡散層深さを浅くしないと、ショートチャネル効果が増大し、ソース・ドレイン耐圧が低下するためである。
【0003】
このような拡散層のシャロー化により、ソース・ドレインのシート抵抗、すなわち拡散層抵抗は増大する。MISトランジスタ動作時の抵抗成分としては、チャネル抵抗、拡散層抵抗、ゲート電極抵抗およびコンタクト抵抗に大別されるが、これらのうちのいずれが増大しても応答速度が低下する。ゲート回路の遅延時間をτpdとすると、動作周波数fは、 f〜1/τpd の関係式で表されるので、拡散層抵抗等が増大すると動作周波数の向上は望めない。したがって、拡散層抵抗等の増大は、特に高速動作が要求されるMPU (Micro Processing Unit)等では不利である。
【0004】
この対策として、ソース・ドレインの拡散層上やゲート電極上に選択的に低抵抗の金属シリサイド層を形成するSALISIDE (Selfaligned Silicide) 技術が注目されている。金属シリサイドとしては、例えばTiSi2 やCoSi2 が採用される。 サリサイドプロセスの概略を図10を参照して説明する。
【0005】
図10(a): 半導体基板1上にサイドウォール8付きのゲート電極12、素子分離領域7、および拡散層15を形成し、MISトランジスタを作成する。ゲート電極材料は多結晶シリコンである。
【0006】
図10(b): 拡散層15上やゲート電極12上の自然酸化膜(不図示)を除去し、全面にTi等の金属膜(これも不図示)を薄く形成する。
続けて熱処理を施し、拡散層15上およびゲート電極12上に選択的に金属シリサイド層17を形成する。素子分離領域7やサイドウォール8上の未反応の金属層は、ウェットエッチング等で選択的に除去し、拡散層15上およびゲート電極12上に選択的に金属シリサイド層17を残す。
この工程がサリサイドプロセスの要部である。
【0007】
図10(c): 層間絶縁膜18を形成し、ゲート電極12に臨む接続孔19を開口する。
【0008】
図10(d): 接続孔19内にコンタクトプラグ30を埋め込み、さらに上層配線層27を形成する。
【0009】
かかるサリサイドプロセスによりトランジスタを製造すると、拡散層抵抗やゲート電極抵抗を1桁程度減少させる効果が得られる。
しかしながら、素子の微細化にともない、拡散層領域も狭小化が進んでいる。このような狭隘な拡散層領域にサリサイドプロセスを適用すると、形成される金属シリサイド層の粒子が凝集し、シート抵抗の低減が充分に望めない問題点が発生する。
【0010】
また拡散層のシャロー化にともなって、この上に形成する金属シリサイド層の薄膜化も必要となる。この薄膜化も金属シリサイド層の凝集を助長する方向にはたらき、狭隘な拡散層のシート抵抗の低減は一層困難なものとなる。
【0011】
一方、多結晶シリコンからなるゲート電極およびゲート電極から延在するゲート配線(合わせてゲート電極と略記)も、サリサイドプロセスによりその表面部分が金属シリサイド層となり低抵抗化される。しかしながら、この金属シリサイド層の下部は比較的高抵抗の多結晶シリコン層とゲート絶縁膜が存在し、この部分は抵抗成分と容量成分を有する。この結果、MISトランジスタのON動作時に、ゲート電極の多結晶シリコン層部分の空乏化が発生する。すなわち、ゲート電極の容量が増し、ゲート絶縁膜の厚さが見掛け上厚くなり、MISトランジスタの電流能力が低下する問題がある。
【0012】
この問題の解決策として、多結晶シリコン層内に多量のドーパントを含有させ多結晶シリコン層の抵抗値を低減する方法がある。しかしながら、このような多結晶シリコン層にサリサイドプロセスを適用すると、金属シリサイドを形成すべき金属が、シリコンの他にドーパントととも反応して高抵抗反応生成物となり、この結果ゲート電極の抵抗は期待通り低下しない。
狭隘な拡散層領域、あるいは微細長のゲート電極にサリサイドプロセスを適用した場合に、金属シリサイドの凝集等により充分な低抵抗化が達成できない現象は、細線効果として知られている。
【0013】
近年、金属シリサイド材料として従来のTiSi2 に替わり、CoSi2 が注目されている。Coは、高濃度のドーパントを有する多結晶シリコンであっても、Tiに比較してシリサイド化反応が阻害されないと見られている。
【0014】
しかしながら、Coは下地の多結晶シリコンの微妙な表面状態や結晶状態の差によって、形成される金属シリサイドの性状が異なる。したがって、安定なCoシリサイドを形成するには、多結晶シリコンの成膜条件制御等、プロセス上の工夫が必要であり、直ちに多結晶シリコンゲート電極の低抵抗化に適用することはできない。
【0015】
ところで、高集積化に適した素子分離領域形成法として、STI (Shallow Trench Isolation) 法が注目されている。この方法を図11〜図12を参照して説明する。
【0016】
図11(a): 半導体基板1上にパッド酸化膜2および窒化シリコン膜3をこの順に形成する。パッド酸化膜2は10nm程度、窒化シリコン膜3は150nm程度の厚さでよい。
【0017】
図11(b): この状態でレジストマスク4を形成し、トレンチ5をエッチングにより形成する。トレンチ5の深さは400〜500nmの浅いものである。トレンチ5は、その幅が広いものと狭いものが複数存在する。
【0018】
図11(c): レジストマスク4を除去し、酸化膜6をバイアスECR (Electron Cyclotron Resonance) CVD法等、埋め込み能力に優れた方法で形成する。酸化膜6の成膜厚さは、トレンチ5が埋まり窒化シリコン膜3表面とほぼ同一レベルとなる程度とする。この結果、広い窒化シリコン膜3上には同程度の厚さの酸化膜6が堆積する。狭い窒化シリコン膜3上の酸化膜6の厚さは薄い。
【0019】
図11(d): この状態でCMP (Chemical mechanical polishing)を施し、表面を平坦化する。すると広い窒化シリコン膜3上には酸化膜残渣6rが残留する。この酸化膜残渣6rが完全に除去されるまでCMPを施すと、広いトレンチ5部分に埋め込まれた酸化膜6表面のデイッシング(皿状の凹部形状)が顕在化し、平坦性が悪化する。
【0020】
図12(e): そこで酸化膜残渣6rの発生を防止するには、広い窒化シリコン膜3上にのみ開口を有するレジストマスク4を形成し、この部分の厚い酸化膜6を選択的に除去する。
【0021】
図12(f): レジストマスクを剥離し、この後CMPを施す。図12(e)の付加工程により、酸化膜残渣6rや極端なデイッシング形状を発生することなく、平坦化が完了する。
【0022】
図12(g): 窒化シリコン膜3をエッチング除去する。
【0023】
図12(h): パッド酸化膜2をウェットエッチング等で除去し、STI構造の素子分離領域7を残す。この状態で、半導体基板1へのトランジスタ等の素子形成工程の準備が完了する。
【0024】
しかしながら、この図12(h)の工程でトレンチ5に埋め込んだ酸化膜6のエッジ部分に過剰エッチングが発生し、ノッチングが形成される。これに起因して、後のサリサイドプロセスで金属シリサイド層を形成すると、このノッチング部分で接合リーク等が増大する。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来技術の問題点に鑑み提案するものであり、MIS型半導体装置の拡散層抵抗やゲート電極抵抗を安定して低減し、また接合リークを防止し、応答速度や消費電力あるいは動作電圧が低減した高集積度の半導体装置を提供することを課題とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述した課題を解決するために提案するものである。
すなわち、本発明の半導体装置は、半導体基板上に、複数の第1の凸部と、複数の第2の凸部とを有し、これらのうち第1の凸部は少なくともその一部が導電性材料からなり、第2の凸部はSTI(Shallow Trench Isolation)法によって形成された絶縁性材料からなる構造を具備する半導体装置であって、第1の凸部及び第2の凸部の側面は、いずれもサイドウォールを有し、第1の凸部同士間の凹部、または第2の凸部同士間の凹部、あるいは第1の凸部と第2の凸部間の凹部のうち、いずれか少なくとも一種の凹部には、エピタキシャル成長された半導体層を有し、この半導体層の表面は、金属シリサイド層を有するとともに、この金属シリサイド層表面は、先の第1の凸部および第2の凸部表面と同一平面をなし、さらに、この同一平面上には層間絶縁膜を有し、第1の凸部上の前記層間絶縁膜には溝を有し、この溝内には第1の凸部の導電性材料と電気的に一体化された配線層を有することを特徴とする。
【0027】
本発明の半導体装置では、第1の凸部はゲート電極であるとともに、第2の凸部は素子分離領域である場合に好ましく適用することができる。
【0028】
また、本発明の半導体装置によれば、第1の凸部および第2の凸部間の凹部は、エピタキシャル成長した半導体層およびこの上の金属シリサイド層により平坦化され、また凹部底面の半導体基板すなわち拡散層は実質的に低抵抗化される。また第1の凸部例えば多結晶シリコンによるゲート電極は、溝に埋め込まれたWやCu等の配線層と一体化され、低抵抗なゲート電極等が得られる。
【0029】
本発明の半導体装置では、第2の凸部、例えばSTI構造の素子分離領域の側面にサイドウォールを形成しておけば、ノッチング形状が露出することなく、接合リークが防止される。
【0030】
また、本発明の半導体装置の表面は平坦化されており、 Damascene 構造あるいは Dual Damascene 構造の上層配線層を容易に形成することができる。
【0031】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板に、STI(Shallow Trench Isolation)法によって絶縁性材料からなる第2の凸部を形成する工程と、第2の凸部の側面にサイドウォールを形成する工程と、半導体基板に、一部が導電材料からなる第1の凸部を形成する工程と、第1の凸部の側面にサイドウォールを形成する工程と、第1の凸部同士間の凹部、第2の凸部同士間の凹部、及び、第1の凸部と第2の凸部間の凹部のうち、いずれか少なくとも一種の凹部に、エピタキシャル成長により半導体層を形成する工程と、半導体層の表面に、第1の凸部及び第2の凸部表面と同一平面になるように、金属シリサイド層を形成する工程と、半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、第1の凸部上の層間絶縁膜に、溝を形成する工程と、溝内に、導電性材料によって配線層を、第1の凸部と電気的に一体化して形成する工程とを有することを特徴とする。
【0032】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、半導体基板に、一部が導電材料からなる第1の凸部と、STI法により絶縁性材料からなる第2の凸部とが形成される。そして、エピタキシャル成長させた半導体層及びこの表面の金属シリサイド層が第1の凸部および第2の凸部表面と同一面に平坦化されて形成される。このため、金属シリサイド層が、エピタキシャル成長した低抵抗の半導体層上に形成されることにより、金属シリサイド層を厚く形成することができ、金属シリサイド層の凝集や細線効果を防止することができる。
また、第1の凸部は配線層と一体化されている。このため、第1の凸部と配線層との間で低抵抗な電気的接続を形成することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の半導体装置の実施形態例につき図面を参照して説明する。以下の実施例の説明の図面においては、従来例の図面中の構成部分と同様の構成要素には、同じ参照符号を付すものとする。また、以下の図面における各部の寸法の割合は説明のためのものであり、実際の半導体装置に比例したものではない。
【0038】
図1は本発明の第1の実施の形態の半導体装置を示す概略断面図である。
すなわち、半導体基板1上には、ゲート電極12(第1の凸部)およびSTI構造の素子分離領域7(第2の凸部)が形成されている。これらゲート電極12および素子分離領域7の側面にはサイドウォール8が形成され、その間の凹部にはシャロー化した拡散層15が露出しており、さらにエピタキシャル成長した低抵抗の半導体層14が埋め込まれ、半導体層14の表面には金属シリサイド層17が形成されている。この金属シリサイド層17の表面は、ゲート電極12や素子分離領域7の表面とほぼ同一平面をなしており、平坦化されている。そしてこの平坦化された面上には層間絶縁膜18が形成され、ゲート電極12上の層間絶縁膜18には溝20が形成されている。さらにこの溝20内には配線層22が埋め込まれている。
【0039】
図1の半導体装置によれば、金属シリサイド層17は浅い拡散層15上に直接形成されることなく、エピタキシャル成長した低抵抗の半導体層14上に形成される。この半導体層14は充分厚くまたその表面積は拡大されているので、金属シリサイド層は厚く形成することができ、その凝集や細線効果を防止することができる。
またゲート電極12上には、ゲート電極12と一体化して延在する配線層22が形成されているので、ゲート電極の低抵抗化が図れる。
さらに素子分離領域7の側面を含めてサイドウォール8が形成されているので、ノッチングが露出することなく、接合リークの発生が防止できる。
【0040】
図2は本発明の第2の実施の形態の半導体装置を示す概略断面図である。
この半導体装置は、第1の実施の形態の半導体装置の変形例であり、基本的な構成は変わらないが、金属シリサイド層17上に絶縁体層9が形成され、この絶縁体層9表面はゲート電極12表面や素子分離領域7表面とほぼ同一表面をなしている。絶縁体層9は溝20開口時のエッチングストッパとなるものである。
【0041】
図2の半導体装置によれば、図1の半導体装置の効果に加えて、ゲート電極12と一体化された配線層22と、金属シリサイド層17すなわち拡散層15との短絡あるいは絶縁耐圧の低下を回避できる。
【0042】
図3は本発明の第3の実施の形態の半導体装置を示す概略断面図である。
すなわち、半導体基板1上には、ゲート電極12(第1の凸部)およびSTI構造の素子分離領域7(第2の凸部)が形成されている。これらゲート電極12および素子分離領域7の側面にはサイドウォール8が形成され、その間の凹部にはシャロー化した拡散層15が形成され、この拡散層15表面には金属シリサイド層17が形成されている。さらに金属シリサイド層17上には絶縁体層9が埋め込まれ、絶縁体層9の表面は、ゲート電極12や素子分離領域7の表面とほぼ同一平面をなして平坦化されている。そしてこの平坦化された表面上には層間絶縁膜18が形成され、ゲート電極12上の層間絶縁膜18には溝20が形成されている。さらにこの溝20内には配線層22が埋め込まれている。
【0043】
図3の半導体装置によれば、素子分離領域7の側面を含めてサイドウォール8が形成されているので、ノッチングが露出することなく、接合リークの発生が防止できる。またゲート電極12上には、ゲート電極12と一体化して延在する配線層22が形成されているので、ゲート電極の低抵抗化が図れる。
【0044】
図4は本発明の第4の実施の形態の半導体装置を示す概略断面図である。
すなわち、半導体基板1上には、ゲート電極12(第1の凸部)およびSTI構造の素子分離領域7(第2の凸部)が形成されている。これらゲート電極12および素子分離領域7の側面にはサイドウォール8が形成され、その間の凹部にはシャロー化した拡散層15が露出しており、さらに金属層16が埋め込まれている。ゲート電極12上にも金属層16が形成されている。この金属層16の表面は、第2の凸部とほぼ同一平面をなしており、平坦化されている。そしてこの平坦化された面上には層間絶縁膜18が形成され、ゲート電極12上の層間絶縁膜18には溝20が形成されている。さらにこの溝20内には配線層22が埋め込まれている。溝20は、その一部に接続孔が形成されており、ゲート電極12上の金属層16と電気的に接続されている。
【0045】
図4の半導体装置によれば、拡散層15およびゲート電極12上には、ほぼその全面積におよんで金属層16が形成されている。したがって、拡散層抵抗およびゲート電極抵抗をともに低減できる。
さらに素子分離領域7の側面を含めてサイドウォール8が形成されているので、ノッチングが露出することなく、接合リークの発生が防止できる。
【0046】
【実施例】
以下、本発明の半導体装置につき、その製造方法をさらに詳細に説明する。以下に示す各実施例は、本発明の理解を容易にするための例示であり、本発明はこれら実施例になんら限定されない。
【0047】
〔実施例1〕本実施例は、第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を図5〜図6を参照して説明するものである。
【0048】
図5(a): シリコン等の半導体基板1上に熱酸化等によりパッド酸化膜2を10nm形成し、さらに耐酸化膜である窒化シリコン膜3を減圧CVD等により190nm形成する。この状態で素子領域を覆うレジストマスク(不図示)を形成し、これをマスクとして窒化シリコン膜3、パッド酸化膜2および半導体基板1を連続的に異方性エッチングしてトレンチ5をパターニングする。トレンチ5は、その幅が広いものと狭いものが複数個存在する。
【0049】
図5(b): バイアスECR (Electron Cyclotron Resonance) CVD法やバイアススパッタリング法等の平坦性に優れた膜堆積法により、酸化膜6をトレンチ5の深さ程度、例えば600nm形成する。これによりトレンチ5内は、酸化膜6により平坦に埋め込まれる。一方、図の中央部の素子領域上の窒化シリコン膜3上にも酸化膜6が形成される。
【0050】
図5(c): 素子領域上の不要の酸化膜6を、CMP (Chemical mechanical polishing)により除去する。前述のように、必要に応じてこの領域の酸化膜6の厚い部分をレジストパターニングとエッチングにより予め除去してからCMPを施すことにより、ディッシング形状を防ぐことができる。CMPの結果、トレンチ5内のみに酸化膜6が平坦に残される。
CMP条件の一例
スラリ シリカ粉末/過酸化水素水
スラリ流量 20 sccm
研磨ヘッド圧力 4.0 psi
キャリア回転数 20 rpm
プラテン回転数 20 rpm
この後、CMPにより露出した素子領域上の窒化シリコン膜3をエッチング除去する。さらにSiO2 膜またはSi3 N4 膜を全面に形成後エッチバックすることにより、サイドウォール8を形成後、パッド酸化膜2を除去し、素子領域を露出する。トレンチ5内には、半導体基板1表面から突出して素子分離領域7(第2の凸部)が形成される。この素子分離領域7の側面にノッチング形状が発生した場合であっても、サイドウォール8によりカバーされる。
【0051】
図5(d): 露出した素子領域を熱酸化してゲート絶縁膜を形成後、多結晶シリコン層を減圧CVD法により200nmの厚さに形成する。多結晶シリコン層の上に、後にオフセット絶縁膜となる酸化膜あるいは窒化膜を形成し、多結晶シリコン層と合わせて200nm程度の厚さとしてもよい。
多結晶シリコン層減圧CVD条件
SiH4 100 sccm
Ar 400 sccm
N2 200 sccm
圧力 70 Pa
基板温度 610 ℃
この後、レジストマスクを形成し、ECR (Electron Cyclotron Resonance) エッチング装置により、ゲート電極12およびオフセット絶縁膜11をパターニングする。
オフセット絶縁膜ドライエッチング条件
C4 F8 50 sccm
圧力 1 Pa
マイクロ波電力 850 W
RF電力 100 W
ゲート電極ドライエッチング条件
Cl2 75 sccm
O2 2 sccm
HBr 120 sccm
圧力 1 Pa
マイクロ波電力 850 W
RF電力 60 W
この後、LDD (Lightly Doped Drain)イオン注入をおこなう。
イオン注入条件
Nch領域:As 30 keV, 1×1013/cm2
Pch領域:B 30 keV, 1×1013/cm2
さらに酸化膜を全面に150nmの厚さに形成し、平行平板型RIE (Reactive Ion Etching) 装置により全面エッチバックしてゲート電極12(第1の凸部)の側面にサイドウォール8を残す。
酸化膜減圧CVD条件
TEOS 50 sccm
温度 720 ℃
圧力 40 Pa
全面エッチバック条件
C4 F8 50 sccm
圧力 2 Pa
RF電力 1200 W
【0052】
図6(e): 希フッ酸により、露出した半導体基板1上の自然酸化膜を除去した後、シリコンの選択エピタキシャル成長を施し、半導体層14を形成する。厚さは180nm程度とする。
選択エピタキシャル条件
SiH4 100 sccm
He 400 sccm
N2 200 sccm
圧力 70 Pa
温度 750 ℃
この後S/Dイオン注入を施し、1000℃の短時間熱処理をおこなって注入イオンを活性化して拡散層15を形成する。多結晶シリコンからなるゲート電極12も同時に導電化する。以上により、MOSトランジスタが形成される。
S/Dイオン注入条件
Nch領域:As 60 keV, 3×1015/cm2
Pch領域:B 40 keV, 3×1015/cm2
【0053】
図6(f): 希フッ酸により、半導体層14上の自然酸化膜を除去し、清浄なシリコン面を露出した後、Co層を20nm、あるいはTi/Co層を6/10nm、あるいはTiN/Co層を10/10nm(いずれも不図示)をスパッタリング法により全面に形成する。積層膜の場合はCo層が下層となる。
スパッタリング条件
Ar 100 sccm
圧力 0.47 Pa
スパッタリング電力 1 kW
TiN層の場合は、さらにNH3 を30sccm添加して反応性スパッタリングをおこなう。
この後、1回目のRTA (Rapid Thermal Annealing)を施し、CoSix 層(不図示)を半導体層14上に形成する。
1st. RTA条件
N2 5 slm
温度 550 ℃
時間 30 秒
この後さらに、硫酸/過酸化水素混合溶液に浸漬し、素子分離領域7やオフセット絶縁膜11上等の未反応のCo層、もしくはTi/Co層あるいはTiN/Co層を選択的に除去する。
さらに、2回目のRTAを施し、低抵抗かつ安定なCoSi2 からなる金属シリサイド層17を半導体層14上に形成する。オフセット絶縁膜11を省略した場合は、ゲート電極12上にも金属シリサイド層17が形成される。
2nd. RTA条件
N2 5 slm
温度 700 ℃
時間 30 秒
金属シリサイド層17の表面は、ゲート電極12表面のオフセット絶縁膜11あるいはこの部分に形成された金属シリサイド層(第1の凸部)および素子分離領域(第2の凸部)の表面と略同一平面をなす。
【0054】
図6(g): 減圧CVDにより、200nmの厚さのSiO2 膜および50nmの厚さのSi3 N4 膜の積層膜からなる層間絶縁膜18を形成する。
SiO2 膜の減圧CVD条件
TEOS 50 sccm
圧力 40 Pa
温度 720 ℃
Si3 N4 膜の減圧CVD条件
SiH2 Cl2 50 sccm
NH3 200 sccm
N2 200 sccm
圧力 70 Pa
温度 760 ℃
この後、ゲート電極12上の層間絶縁膜18をエッチングして溝20を形成する。この際、オフセット絶縁膜11も同時にエッチングする。
層間絶縁膜のエッチング(溝形成)条件
C4 F8 50 sccm
圧力 2 Pa
RF電力 1200 W
つぎに、バリアメタル層として、Ti層を10nm、TiN層を70nm順次スパッタリング法により成膜し、さらに配線層としてブランケットCVD法によりW膜を400nmの厚さに形成する。
Ti層スパッタリング条件
Ar 100 sccm
圧力 0.67 Pa
スパッタリング電力 8 kW
温度 150 ℃
TiN層スパッタリング条件
Ar 80 sccm
N2 30 sccm
圧力 0.67 Pa
スパッタリング電力 5 kW
温度 150 ℃
W層CVD条件
WF6 75 sccm
H2 500 sccm
Ar 2200 sccm
N2 300 sccm
圧力 10.64 kPa
温度 450 ℃
この後、成膜したW層、TiN層およびTi層を順次エッチバックして、溝20内にのみ残し、バリアメタル層21および配線層22とする。配線層22の平面形状は、ゲート電極12の平面形状とほぼ一致し、また電気的にも一体化されたものである。
エッチバック条件
SF6 50 sccm
圧力 1.33 Pa
RF電力 150 W
なおエッチバックでなく、CMPにより平坦化して溝20内にバリアメタル層21および配線層22を残してもよい。
【0055】
ところで、配線層22の材料としてはCuを用いてもよい。この場合には、上述の条件でTi層およびTiN層をスパッタリング成膜し、シード層(通電層)としてCu膜を10nmスパッタリング成膜し、さらに電界めっき法によりCu層を600nm成膜する。
Cu層スパッタリング条件
Ar 40 sccm
圧力 0.67 Pa
スパッタリング電力 5 kW
温度 300 ℃
Cu層電界めっき条件
メッキ液 CuSO4 を主体とする水溶液
電圧 10 V
電流密度 30 A/dm2
温度 30 ℃
つぎにCMPによりCu層、TiN層およびTi層を平坦化して溝20内に埋め込み、バリアメタル層21および配線層22とする。
CMP条件の一例
スラリ 硝酸鉄/過酸化水素水
スラリ流量 20 sccm
研磨ヘッド圧力 4.0 psi
キャリア回転数 20 rpm
プラテン回転数 20 rpm
Cuを配線層22の材料とした場合には、酸化防止のキャッピング膜としてTiN膜あるいはSi3 N4 膜を形成しておくことが望ましい。
【0056】
図6(h): 上層層間絶縁膜23を減圧CVDにより形成する。上層層間絶縁膜23は、下から200nmの厚さのSiO2 膜、50nmの厚さのSi3 N4 膜および400nmの厚さのSiO2 膜の積層からなる。この場合、中層のSi3 N4 膜を形成した段階で、配線層22との間の接続孔を形成する部分のSi3 N4 膜を選択的にエッチング除去してから、400nmの厚さのSiO2 膜を形成する。この後、接続孔上の上層溝等をエッチングするためのレジストマスク(不図示)を形成し、これをマスクとして上層層間絶縁膜23をエッチングする。エッチング条件は、先に層間絶縁膜18に溝20を形成した際のエッチング条件に準じてよい。この結果、上層溝25および接続孔19が同時にパターニングされる。この際、上層層間絶縁膜23の中層のSi3 N4 膜は、エッチングストッパとなる。
この後、上層バリアメタル層26としてTi層を30nmおよびTiN層を70nm、スパッタリング法により形成する。このスパッタリング条件は上述したバリアメタル層21のスパッタリング条件に準じてよい。
さらに上層配線層27としてCu層を610nm、スパッタリングおよび電界めっき法により形成する。成膜条件は先に配線層22の別の形成方法で示した方法に準拠する。
つぎにCu層、TiN層およびTi層をCMPにより平坦化研磨し、接続孔19および上層溝25内に埋め込む。このCMP条件も先に配線層22(Cu層による)のCMP条件として例示したものに準じてよい。
以上の工程は、Dual Damascene Processをゲート電極上の接続孔(ビアホール)に適用したものである。
この後、上層配線層27の酸化防止用のキャップ層28として、プラズマCVD法やスパッタリング法等によりSi3 N4 膜またはTiN膜を30nmの厚さに形成する。
TiN膜スパッタリング条件
Ar 80 sccm
N2 30 sccm
圧力 0.67 Pa
スパッタリング電力 5 kW
温度 150 ℃
Si3 N4 膜のプラズマCVD条件
SiH4 265 sccm
NH3 100 sccm
N2 400 sccm
圧力 565 Pa
RF電力 800 W
温度 400 ℃
【0057】
本実施例によれば、STIによる素子分離領域およびゲート電極の側面にサイドウォールが形成され、ここに半導体層がエピタキシャル成長されてその表面に金属シリサイド層が形成されて平坦化されている。またゲート電極は配線層22と一体化されている。したがって、拡散層抵抗およびゲート電極抵抗をいずれも低減することができる。さらに層間絶縁膜表面と配線層表面とは平坦化されており、Dual Damascene Processを適用することも容易である。
【0058】
〔実施例2〕
本実施例は第2の実施の形態の半導体装置の製造方法を図5および図7を参照して説明するものである。本実施例の前半の工程、すなわち図5(a)〜(d)までの工程は前実施例と同様であり、説明を省略する。
【0059】
図7(e): つぎに希フッ酸により、露出した半導体基板上の自然酸化膜を除去した後、シリコンの選択エピタキシャル成長を施し、半導体層14を形成する。ただし本実施例では半導体層14の厚さは実施例1より薄く、120nm程度とする。
選択エピタキシャル条件やその後のイオン注入条件、活性化アニール条件、金属シリサイド層17形成条件等は実施例1に準じてよい。
【0060】
図7(f): この後、本実施例においてはプラズマCVD法等によりSi3 N4 等の絶縁体層を100nmの厚さに形成し、これをエッチバックあるいはCMP等で平坦化する。これにより、ゲート電極12(第1の凸部)と素子分離領域7(第2の凸部)間の凹部には、半導体層14、金属シリサイド層17および絶縁体層9が平坦に埋め込まれる。
絶縁体層の材料としては、オフセット絶縁膜11やサイドウォール8とエッチング選択比のとれる材料であればSi3 N4 以外でもよい。
図7(g): SiO2 膜およびSi3 N4 膜の積層膜からなる層間絶縁膜18を形成する。この工程は実施例1と同様でよい。
この後、溝形成用のレジストマスク(不図示)を形成し、これをマスクとしてゲート電極12上の層間絶縁膜18をエッチングして溝20を形成する。この際、オフセット絶縁膜11も同時にエッチングする。
本工程において、レジストマスクのアライメントずれにより、形成される溝20がゲート電極12直上からはみ出し、金属シリサイド層17上にかかる場合がある。図7(g)はこの状態を示すが、金属シリサイド層17上には絶縁体層9が形成されており、これがエッチングストッパとして機能するので、溝20底部に金属シリサイド層17が露出する虞れはない。
つぎに、実施例1に準じバリアメタル層21、配線層22を溝20内に埋め込む。
【0061】
図7(h): 上層層間絶縁膜23を形成し、接続孔19および上層溝25を開口する。さらに上層バリアメタル層26および上層配線層27を埋め込み、キャップ層28を形成する。
【0062】
本実施例によれば、実施例1の効果に加え、溝20の開口位置がゲート電極直上から大幅にずれても、ゲート電極12と拡散層15とがショートするあるいは絶縁耐圧が低下する不都合が回避できる。
【0063】
〔実施例3〕
本実施例は第3の実施の形態の半導体装置の製造方法を図5および図8を参照して説明するものである。本実施例も前半の工程、すなわち図5(a)〜(d)までの工程は前実施例と同様であり、説明を省略する。
【0064】
図8(e): ソース・ドレインイオン注入およびRTAの工程を経て拡散層15を形成し、MOSトランジスタを形成する。この後、拡散層15上の自然酸化膜を除去し、Co層、Ti/Co層あるいはTiN/Co層の形成とシリサイド化熱処理により、金属シリサイド層17を形成する。これらの工程は、実施例1において半導体層上に金属シリサイド層を形成した手順に準じてよい。
【0065】
図8(f): この後、減圧CVD法等によりSiO2 等の絶縁体層を250nmの厚さに形成し、これをエッチバックあるいはCMP等で平坦化する。これにより、ゲート電極12(第1の凸部)と素子分離領域7(第2の凸部)間の凹部には、絶縁体層9が平坦に埋め込まれる。
絶縁体層の材料としては、SiO2 以外にSi3 N4 等でもよい。
図8(g): SiO2 膜およびSi3 N4 膜の積層膜からなる層間絶縁膜18を形成する。
この後、溝形成用のレジストマスク(不図示)を形成し、これをマスクとしてゲート電極12上の層間絶縁膜18をエッチングして溝20を形成する。この際、オフセット絶縁膜11も同時にエッチングする。
つぎに、実施例1に準じバリアメタル層21、配線層22を溝20内に埋め込む。これらの工程は実施例1と同様でよい。
【0066】
図8(h): 上層層間絶縁膜23を形成し、接続孔19および上層溝25を開口する。さらに上層バリアメタル層26および上層配線層27を埋め込み、キャップ層28を形成する。これらの工程も実施例1と同様でよい。
【0067】
本実施例によれば、ゲート電極は配線層と一体的に形成され、ゲート電極抵抗を低減できる。また拡散層は金属シリサイド層により低抵抗化されている。素子分離領域の側面にサイドウォールが形成されているので、接合リークが低減できる。さらに層間絶縁膜表面と配線層表面とは平坦化されており、Dual Damascene Processを適用することも容易である。
【0068】
〔実施例4〕
本実施例は第4の実施の形態の半導体装置の製造方法を図5および図9を参照して説明するものである。
【0069】
図5(a)〜(b)に示したトレンチ5形成工程および酸化膜6の形成工程までは実施例1と同様である。
【0070】
図9(c): 素子領域上の不要の酸化膜6(不図示)をCMPで除去し、露出した窒化シリコン膜3を選択的にエッチング除去する。この後、本実施例では再び窒化シリコン膜3を全面に形成する。窒化シリコン膜3の厚さは150nm程度でよい。素子分離領域7上をカバーする程度のレジストマスク(不図示)を形成し、素子領域上の窒化シリコン膜3のみ除去する。これにより、素子分離領域7上に窒化シリコン膜3が残されるとともに、素子分離領域7側面に窒化シリコンのサイドウォール8が形成される。
つぎに実施例1と同様にサイドウォール8付きのMOSトランジスタを形成する。ただし本実施例においては、オフセット絶縁膜11は酸化膜で形成し、その厚さも150nm程度とする。
【0071】
図9(d): ゲート電極12上のオフセット絶縁膜11を希フッ酸水溶液を用いてエッチング除去する。あるいはCDE (Chemical Dry Etching) 等の等方性ドライエッチングにより除去してもよい。エッチングガスとしてはHFを用い、時間は10分程度でよい。
【0072】
図9(e): Ti層を10nm、TiN層を70nm形成してバリアメタル層21とし、さらにW層あるいはCu層を400nm形成して金属層16とする。さらにCMPにより平坦化し、ゲート電極12(第1の凸部)上のオフセット絶縁膜が除去された凹部、および素子分離領域7間の凹部に金属層16を埋め込む。埋め込まれた金属層16の表面は、素子分離領域7および窒化シリコン膜3による第2の凸部の表面とほぼ同一表面をなしている。
この後、金属層16の酸化防止用としてSi3 N4 あるいはTiN等によりキャップ層28を30nmの厚さに形成する。
なお金属層としては、Cu以外にAl、Ag、W、Mo、Taやこれらの組み合わせでもよい。
【0073】
図9(f): 層間絶縁膜18として200nmの厚さのSiO2 膜、50nmの厚さのSi3 N4 膜および400nmの厚さのSiO2 膜を形成する。この場合も、中層のSi3 N4 膜を形成した段階で、配線層22との間の接続孔を形成する部分のSi3 N4 膜を選択的にエッチング除去してから、400nmの厚さのSiO2 膜を形成する。この後、接続孔上の上層溝等をエッチングするためのレジストマスク(不図示)を形成し、これをマスクとして層間絶縁膜18をエッチングする。この結果、溝20および接続孔19が同時にパターニングされる。この際、層間絶縁膜18の中層のSi3 N4 膜は、エッチングストッパとなる。
この後、バリアメタル層21としてTi層を30nmおよびTiN層を70nm、スパッタリング法により形成する。さらに配線層22としてCu層を610nm、スパッタリングおよび電界めっき法により形成する。Cu層、TiN層およびTi層等の形成条件は実施例1と同様でよい。
つぎにCu層、TiN層およびTi層をCMPにより平坦化研磨し、接続孔19および溝20内に埋め込む。
この工程は、Dual Damascene Processをゲート電極上の接続孔(ビアホール)に適用したものである。
この後、配線層22の酸化防止用のキャップ層28として、Si3 N4 膜またはTiN膜を30nmの厚さに形成する。
【0074】
本実施例によれば、STIによる素子分離領域およびゲート電極の側面にサイドウォールが形成され、これらの間に金属層が埋め込まれている。またゲート電極上にも金属層が形成されている。したがって、拡散層抵抗およびゲート電極抵抗をいずれも低減することができる。これらの表面は平坦化されており、Dual Damascene Processを適用することも容易である。
【0075】
〔実施例5〕
ところで、多結晶シリコンゲート電極上にW等の配線層を形成して一体化した構造の金属/多結晶シリコンゲート電極は、ゲート電極抵抗低減に有効である。しかしながら、両者の中間に形成するTi系のバリアメタル層は、形成直後は結晶性であるため、W等の金属配線層を形成後の熱処理に対しては安定性が高いが、逆に低抵抗の固溶体化層となりにくく、低抵抗化には限界があった。
本実施例はこの金属/多結晶シリコンゲート電極のゲート電極抵抗をさらに低減する方法を示す。
【0076】
例えば、実施例1において半導体層14上に金属シリサイド層17を形成する工程まで、すなわち図5(a)〜図6(f)の工程までをおこなう。
この後、減圧CVDにより、200nmの厚さのSiO2 膜および50nmの厚さのSi3 N4 膜の積層膜からなる層間絶縁膜18を形成する。
この後、ゲート電極12上の層間絶縁膜18をエッチングして溝20を形成する。この際、オフセット絶縁膜11も同時にエッチングする。
つぎに、バリアメタル層として、Ti層を10nm、TiN層を70nm順次スパッタリング法により成膜する。Ti層およびTiN層はいずれも微細結晶構造を有する。以上の工程は実施例1に準じてよい。
【0077】
本実施例においてはこの後、全面にGeのイオン注入を施す。Geイオン注入条件は加速電圧40keV、ドーズ量3×1014/cm2 程度でよい。このイオン注入により、Ti層およびTiN層はいずれもアモルファス状態となる。
この後W層を400nmの厚さにスパッタリングあるいはCVD法により形成し、CMPを施して平坦化し、図6(g)の状態とする。
この後の上層配線層等の形成工程は前実施例1に準じてよい。
【0078】
本実施例によると、W層形成後の例えば800℃程度の熱処理工程で、バリアメタル層は多結晶シリコン層およびW層と固溶体化し、窒化シリサイド化金属層となる。この固溶体化層は以後の熱処理に対して安定である。
またGeイオン注入を施す前の多結晶シリコン層/バリアメタル層/W層のシート抵抗は2〜3Ω/□であったものが、イオン注入を施すことにより、約1桁のシート抵抗低減が達成された。実施例2、実施例3においても同様のイオン注入によりゲート電極抵抗を低減することができる。
【0079】
なおバリアメタル層としてはTi層/TiN層の他に、TiON、WN、WON等の高融点金属窒化物、高融点金属酸窒化物等の材料を積層あるいは単層で用いてもよい。これらの材料は、高融点金属ターゲットを用い反応性スパッタリング等により成膜することができる。
また注入するイオン種はGe以外にAsやSi、あるいはTi、WやMo等の金属を用いることができる。
【0080】
以上本発明の半導体装置につき詳細な説明を加えたが、ゲート電極(第1の凸部)あるいは素子分離領域(第2の凸部)同士間の凹部に半導体層をエピタキシャル成長、あるいは金属層を形成してもよい。また本発明を適用する半導体装置は、MIS型半導体装置の他にバイポーラ型半導体装置、BiCMOS型半導体装置、CCD (Charge Coupled Device)型半導体装置等、各種半導体装置に適用できる。また各構成部分の材料や形成法も実施例に限定されず、各種材料や方法を用いてよい。例えば金属シリサイド層材料としてはCoやTiの他に各種遷移金属、例えばNi、W、Mo、Zr、HfあるいはPt等のシリサイドであってよい。
【0081】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の半導体装置によれば、ゲート電極抵抗あるいは拡散層抵抗を安定に低減することができ、応答速度や消費電力、あるいは動作電圧を低減した高集積度の半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の半導体装置の要部を示す概略断面図である。
【図2】 本発明の第2の実施の形態の半導体装置の要部を示す概略断面図である。
【図3】 本発明の第3の実施の形態の半導体装置の要部を示す概略断面図である。
【図4】 本発明の第4の実施の形態の半導体装置の要部を示す概略断面図である。
【図5】 本発明の第1の実施の形態の半導体装置の要部の製造工程を示す概略断面図である。
【図6】 本発明の第1の実施の形態の半導体装置の要部の製造工程を示す概略断面図であり、図5に続く工程を示す。
【図7】 本発明の第2の実施の形態の半導体装置の要部の製造工程を示す概略断面図である。
【図8】 本発明の第3の実施の形態の半導体装置の要部の製造工程を示す概略断面図である。
【図9】 本発明の第4の実施の形態の半導体装置の要部の製造工程を示す概略断面図である。
【図10】従来の半導体装置の要部の製造工程を示す概略断面図である。
【図11】STIの製造工程を示す概略断面図である。
【図12】STIの製造工程を示す概略断面図であり、図11に続く工程を示す。
【符号の説明】
1…半導体基板、2…パッド酸化膜、3…窒化シリコン膜、4…レジストマスク、5…トレンチ、6…酸化膜、6r…酸化膜残渣、7…素子分離領域(第2の凸部)、8…サイドウォール、9…絶縁体層、11…オフセット絶縁膜、12…ゲート電極、13…第1の凸部、14…半導体層、15…拡散層、16…金属層、17…金属シリサイド層、18…層間絶縁膜、19…接続孔、20…溝、21…バリアメタル層、22…配線層、23…上層層間絶縁膜、25…上層溝、26…上層バリアメタル層、27…上層配線層、28…キャップ層、30…コンタクトプラグ
Claims (3)
- 半導体基板上に、複数の第1の凸部と、複数の第2の凸部とを有し、前記第1の凸部は少なくともその一部が導電性材料からなり、前記第2の凸部はSTI(Shallow Trench Isolation)法によって形成された絶縁性材料からなる構造を具備する半導体装置であって、
前記第1の凸部及び前記第2の凸部の側面は、いずれもサイドウォールを有し、
前記第1の凸部同士間の凹部、前記第2の凸部同士間の凹部、および前記第1の凸部と第2の凸部間の凹部のうち、いずれか少なくとも一種の凹部には、エピタキシャル成長された半導体層を有し、
前記半導体層の表面は、金属シリサイド層を有するとともに、該金属シリサイド層表面は、前記第1の凸部および第2の凸部表面と同一平面をなし、
さらに、前記同一平面上には層間絶縁膜を有し、前記第1の凸部上の前記層間絶縁膜には溝を有し、該溝内には前記第1の凸部の導電性材料と電気的に一体化された配線層を有する
ことを特徴とする半導体装置。 - 前記第1の凸部はゲート電極であるとともに、前記第2の凸部は素子分離領域であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 半導体基板に、STI(Shallow Trench Isolation)法によって絶縁性材料からなる第2の凸部を形成する工程と、
前記第2の凸部の側面にサイドウォールを形成する工程と、
前記半導体基板に、一部が導電材料からなる第1の凸部を形成する工程と、
前記第1の凸部の側面にサイドウォールを形成する工程と、
前記第1の凸部同士間の凹部、前記第2の凸部同士間の凹部、及び、前記第1の凸部と第2の凸部間の凹部のうち、いずれか少なくとも一種の凹部に、エピタキシャル成長により半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の表面に、前記第1の凸部及び第2の凸部表面と同一平面になるように、金属シリサイド層を形成する工程と、
前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の凸部上の前記層間絶縁膜に、溝を形成する工程と、
前記溝内に、導電性材料によって配線層を、前記第1の凸部と電気的に一体化して形成する工程とを有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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