JP4022445B2 - レーザーマーキング用樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザーマーキング用樹脂組成物及びその成形品に関する。更に詳しくは、レーザー光線の照射によって鮮明なマーキングを行うことのできるレーザーマーキング用樹脂組成物及びその成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂製品へのマーキング方法として、従来は、インクジェット方式によるインクの吹き付け、スクリーン印刷及びインク書き込み方式等のインクを用いた印刷が中心に行われてきた。
ところが、近年、レーザー光線によるマーキング法が簡便かつ効率的に行えるため、注自を集めている。
このレーザーマーキング法は、金属、セラミックス及び高分子有機材料等の表面にレーザー光線を照射してマーク、バーコード又は画像等をマーキングする方法である。
【0003】
このレーザーマーキング法として、(1)レーザー光線照射部の蝕刻による表面の状態変化〔粗面化、凹状化〕を利用してマーキングする方法がある。
しかしながら、この方法においては、レーザー光線の照射・未照射の境界が鮮明でないという難点がある。
更に、この方法の改良法として、レーザー光線照射部を異種の樹脂からなる多層構造として、その表層の樹脂層だけを削り取る方法が提案されているが、この方法では、成形品の製造工程やレーザー光線の照射条件の制御等が煩雑であるという難点がある。
【0004】
又、(2)レーザー光線照射部における顔料及び染料等の脱色、変色及び変質を利用してマーキングする方法〔例えば、特開平3−10884号公報及び特開平295274号公報〕が提案されている。
しかしながら、この場合には、レーザー光線照射部に添加することのできる顔料及び染料の種類に制約があるほか、これら顔料及び染料は熱により脱色及び着色されやすいので、変色域が広がって文字等の輪郭が不鮮明になるという難点がある。
【0005】
更に、(3)レーザー光線の照射による素材樹脂の発泡に伴う表面の状態変化〔凸状〕を利用してマーキングする方法〔特公平2−47314号公報〕が提案されている。
しかしながら、この場合、使用する素材樹脂毎に最適なレーザー光線の照射条件を選定する必要があり、しかも、素材樹脂としては1種単独の樹脂を使用することは少なく、複数の樹脂成分からなる樹脂組成物の表面をマーキングする場合には、最適なレーザー光線の照射条件の設定に多大の労力と時間を要するという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、レーザー光線の照射によって鮮明なマーキングを行うことができ、かつリサイクル性に優れたレーザーマーキング用樹脂組成物及びその成形品を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、脂肪族セグメントを有するコポリエステルカーボネート及び芳香族ポリカーボネートからなり、脂肪族セグメントの含有率が特定の割合であるレーザーマーキング用樹脂組成物によれば、上記目的を達成し得ることを見出し、これら知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、
1.(A)ポリメチレンジカルボン酸から誘導される脂肪族セグメントを有するコポリエステルカーボネートを1〜100質量%及び(B)芳香族ポリカーボネートを0〜99質量%配合してなり、脂肪族セグメントの含有率が(A)成分+(B)成分に対して2〜10モル%であるレーザーマーキング用樹脂組成物、
2.上記1に記載のレーザーマーキング用樹脂組成物を成形してなるレーザーマーキングを施すための成形品、
3.成形品が、電気・電子機器部品である上記2に記載の成形品、
4.成形品が、自動車用部品である上記2に記載の成形品、
に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物は、(A)ポリメチレンジカルボン酸から誘導される脂肪族セグメントを有するコポリエステルカーボネートを1〜100質量%及び(B)芳香族ポリカーボネートを0〜99質量%を配合してなり、脂肪族セグメントの含有率が(A)成分+(B)成分に対して2〜10モル%であるものである。
本発明の(A)脂肪族セグメントを有するコポリエステルカーボネート(以下、PC−PMDC共重合体と略記することがある。)の脂肪族セグメントとしては、上記のように、ポリメチレンジカルボン酸から誘導されるセグメントである。
本発明の(A)ポリメチレンジカルボン酸から誘導される脂肪族セグメントを有するコポリエステルカーボネートは、芳香族ポリカーボネート部と、二価フェノールと脂肪族セグメント、即ち、ポリメチレンジカルボン酸から誘導されるポリエステル部からなる共重合体であれば特に制限はないが、好ましくは、下記構造式(1)で表される構造単位からなるポリエステル部を分子内に有する共重合体を挙げることができる。
【0010】
【化1】
【0011】
ここで、式中、R1及びR2は炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を示し、同一でも異なっていてもよい。
Zは単結合、炭素数1〜20のアルキレン基又は炭素数1〜20のアルキリデン基、炭素数5〜20のシクロアルキレン基又は炭素数5〜20のシクロアルキリデン基、又は、−SO2−、−SO−、−S−、−O−、−CO−結合を示し、好ましくは、イソプロピリデン基である。
【0012】
a及びbは0〜4の整数で好ましくは0である。mは5〜20の整数を示し、好ましくは8〜12である。
この(A)成分を構成するPC−PMDC共重合体の粘度平均分子量は10,000〜40,000が好ましく、更に好ましくは12,000〜30,000である。尚、測定方法は後述する。
【0013】
このPC−PMDC共重合体は、例えば、予め製造された芳香族ポリカーボネート部を構成するポリカーボネートオリゴマー(以下、PCオリゴマーと略称することがある。)と、脂肪族セグメント、即ち、ポリメチレンジカルボン酸とを、塩化メチレン、クロロベンゼン及びクロロホルム等の溶媒に溶解させ、二価フェノールの苛性アルカリ水溶液を加え、触媒として、第三級アミン(トリエチルアミン等)及び第四級アンモニウム塩(トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等)を用い、末端停止剤の存在下、界面重縮合反応することにより製造することができる。
【0014】
上記PCオリゴマーは、通常のポリカーボネート樹脂製造の場合と同様の方法で製造される。
例えば、塩化メチレン等の溶媒中で、二価フェノールとホスゲン又は炭酸エステル化合物等のカーボネート前駆体とを反応させることによって容易に製造することができる。
【0015】
即ち、例えば、塩化メチレン等の溶媒中において、二価フェノールとホスゲンのようなカーボネート前駆体との反応により、又は、二価フェノールとジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体とのエステル交換反応等によって製造される。
二価フェノールとしては、4,4'−ジヒドロキシジフェニル;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等を挙げることができる。
なかでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が好ましい。
これらの二価フェノールはそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
又、炭酸エステル化合物としては、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート及びジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネートを挙げることができる。
【0017】
本発明において、PC−PMDC共重合体の製造に供されるPCオリゴマーは、前記の二価フェノール一種を用いたホモポリマーであってもよく、又、二種以上を用いたコポリマーであってもよい。
更に、多官能性芳香族化合物を上記二価フェノールと併用して得られる熱可塑性ランダム分岐ポリカーボネートであってもよい。
その場合、分岐剤(多官能性芳香族化合物)として、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1−[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α’,α'−ビス(4"−ヒドロキシルフェニル)エチル]ベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸及びイサチンビス(o−クレゾール)等を使用することができる。
【0018】
又、分子量の調節のためには、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−デシルフェノール、p−ドデシルフェノール及びp−ペンタデシルフエノール等が用いられる。
【0019】
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物は、上記(A)成分1〜100質量%に対して、(B)芳香族ポリカーボネートが配合されたものでもよく、その配合量は、0〜99質量%である。
この場合、配合する芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は10,000〜40,000のものが好ましく、更に、好ましくは12,000〜30,000である。
又、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物全体の粘度平均分子量は10,000〜40,000が好ましく、更に好ましくは12,000〜30,000であり、特に好ましくは14,000〜26,000である。
分子量が低すぎると、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物の機械的強度、特に、耐衝撃性に劣る場合があり、分子量が高すぎると、本発明の樹脂組成物の流動性、即ち、成形性が劣る場合がある。
【0020】
又、脂肪族セグメントの含有率は、(A)成分+(B)成分(樹脂組成物全体の単量体)に対して2〜10モル%、好ましくは3〜10モル%である。
脂肪族セグメントの含有率が2モル%未満であると、レーザーマーキング性及び流動性が不十分であり、10モル%を超えると耐衝撃性及び耐熱性が低下する。
脂肪族セグメントとしては、ポリメチレンジカルボン酸から誘導されるものである。
ポリメチレンジカルボン酸としては、炭素数5〜20のポリメチレン基を有すジカルボン酸が使用され、好ましくは炭素数8〜12のポリメチレン基を有すジカルボン酸である。
【0021】
(B)芳香族ポリカーボネート(PC)としては、特に制限はなく、種々のものが挙げられるが、好ましくは、下記構造式(2)で表される構造単位からなる芳香族ポリカーボネートを挙げることができる。
【0022】
【化2】
【0023】
ここで、式中、R1及びR2は炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を示し、同一でも異なっていてもよい。
Zは単結合、炭素数1〜20のアルキレン基又は炭素数1〜20のアルキリデン基、炭素数5〜20のシクロアルキレン基又は炭素数5〜20のシクロアルキリデン基、又は、−SO2−、−SO−、−S−、−O−、−CO−結合を示し、好ましくは、イソプロピリデン基である。
a及びbは0〜4の整数で好ましくは0である。mは5〜20の整数を示し、好ましくは8〜12である。
【0024】
芳香族ポリカーボネートは、通常、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネートを用いることができる。
即ち、二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法又は溶融法、即ち、二価フェノールとホスゲンの反応、二価フェノールとジフェニルカーボネート等とのエステル交換法により反応させて製造されたものを使用することができる。
【0025】
二価フェノールとしては、様々なものが挙げられるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル及びビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。
この他、二価フェノールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン及びカテコール等が挙げられる。
これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0026】
特に、好ましい二価フェノールとしては、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特に、ビスフェノールAを主原料としたものである。
又、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、又はハロホルメート等であり、具体的には、ホスゲン、二価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等である。
【0027】
尚、芳香族ポリカーボネートは、分岐構造を有していてもよく、分岐剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ビドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸及びイサチンビス(o−クレゾール)等が挙げられる。
又、分子量の調節のためには、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−デシルフェノール、p−ドデシルフェノール及びp−ペンタデシルフエノール等が用いられる。
【0028】
又、本発明に用いられる芳香族ポリカーボネートとしては、テレフタル酸等の2官能性芳香族カルボン酸又はそのエステル形成誘導体等のエステル前駆体の存在下でポリカーボネートの重合を行うことによって得られる芳香族ポリエステル−ポリカーボネート等の共重合体、又は、種々のポリカーボネートの混合物であってもよい。
【0029】
更に、芳香族ポリカーボネートとしては、特に、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(以下、PC−PDMS共重合体と略記することがある。)を例示することができる。
PC−PDMS共重合体は、ポリカーボネート部とポリオルガノシロキサン部からなるものであり、例えば、ポリカーボネートオリゴマーとポリオルガノシロキサン部を構成する末端に反応性基を有するポリオルガノシロキサン(ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン及びポリメチルフェニルシロキサン等)とを、塩化メチレン等の溶媒に溶解させ、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を加え、トリエチルアミン等の触媒を用い、界面重縮合反応することにより製造することができる。
このPC−PDMS共重合体については、特開平3−292359号公報、特開平4−202465号公報、特開平8−81620号公報、特開平8−302178号公報及び特開平10−7897号公報等に開示されている。
【0030】
PC−PDMS共重合体のポリカーボネート部の重合度としては、3〜100、ポリジメチルシロキサン部の重合度としては、2〜500程度のものが好ましく用いられる。
又、PC−PDMS共重合体中のポリジメチルシロキサンの含有量としては、通常0.5〜30質量%、好ましくは1〜20質量%の範囲である。
本発明に用いられるPC−PDMS共重合体等の粘度平均分子量は、通常10,000〜40,000、好ましくは12,000〜30,000である。
ここで、(A)成分及び(B)成分のポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度〔η〕を求め、次式にて算出するものである。
〔η〕=1.23×10-5Mv0.83
【0031】
前記の(B)成分として、PC−PDMS共重合体が配合される場合のポリオルガノシロキサン含有率は、(A)成分+(B)成分全体の0.1〜10質量%の範囲が、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物の難燃性の点で好ましい。更に好ましくは0.2〜5質量%であり、特に、好ましくは0.3〜3質量%である。
【0032】
又、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物には、必要に応じて、フェノール系、リン系及びイオウ系酸化防止剤、可塑剤、安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤及び防曇剤等を添加することができる。
これら添加剤には、一般に用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂用の添加剤を通常の添加割合において使用すればよい。
【0033】
次に、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を製造する場合には、芳香族ポリカーボネート樹脂の混合や溶融混練に用いられている機器、例えば、バンバリーミキサー、ロール、単軸押出機又は多軸押出機等により、混合や溶融混練をする方法を採用することができる。
又、レーザーマーキング用樹脂組成物を用いて各種成形品を成形するにあたっては、公知の芳香族ポリカーボネート樹脂の射出成形法、押出成形法及びブロー成形法等と同様に成形することができる。
【0034】
このようにして得られた成形品にマーキングする際に使用するレーザーマーキング装置としては、エキシマレーザー、窒素レーザー、Nd:YAGレーザー、クリスタルレーザー及び炭酸ガスレーザー等のレーザー光線を用いたマーキング用の機器を用いることができる。
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物は、カーボンブラック等の色材を使用しない場合は、透明材料又は半透明材料からなる成形品に、白色の鮮明なマーキング施すことができる。
従って、この成形品としては、特に、透明又は半透明な材料からなるオフィス・オートメーション機器のハウジング及び光ディスク等の各種の電気・電子機器部品及び機械部品、自動車部品、携帯電話部品及び内装部品等にも好適に用いられる。
【0035】
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を成形してなる成形品は、透明又は半透明な材料からなるので、使用済み後のリサイクルに際して、不純物の混入が少ない。
従って、再生品の物理的な性質及び外観が良好であり、リサイクル性に優れたものである。
勿論、透明又は半透明な材料には、白色以外の好みの色材を用いて着色して使用することもできる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明について製造例,実施例及び比較例により、更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
製造例1
[PCオリゴマーの製造]
400リットルの5質量%水酸化ナトリウム水溶液に、60kgのビスフェノールAを溶解させ、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
次いで、室温に保持したこのビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を138リットル/時間の流量で、又、塩化メチレンを69リットル/時間の流量で、内径10mm、管長10mの管型反応器にオリフィス板を通して導入し、これにホスゲンを並流して10.7kg/時間の流量で吹き込み、3時間連続的に反応させた。
ここで用いた管型反応器は二重管となっており、ジャケット部分には冷却水を通して反応液の排出温度を25℃に保った。
又、排出液のpHは10〜11となるように調整した。
このようにして得られた反応液を静置することにより、水相を分離、除去し、塩化メチレン相(220リットル)を採取して、PCオリゴマー(濃度317g/リットル)を得た。ここで得られたPCオリゴマーの重合度は2〜4であり、クロロホーメイト基の濃度は0.7規定であった。
【0037】
[コポリエステルカーボネート:PC−PMDC(1)の製造]
上記のようにして得られたPCオリゴマー10リットルに、デカンジカルボン酸の水酸化ナトリウム水溶液(デカンジカルボン酸317g、水酸化ナトリウム110g、水2リットル)とトリエチルアミン5.8ミリリットルを加え、室温で1時間300rpmで攪拌し、反応させた。
その後、上記系にビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液(ビスフェノールA534g、水酸化ナトリウム312g、水5リットル)及びp−クミルフェノール136gを混合し、更に、塩化メチレン8リットルを加え、1時間500rpmで攪拌し反応させた。
反応後、塩化メチレン7リットル及び水5リットルを加え、10分間500rpmで攪拌した。攪拌停止後静置し、有機相と水相を分離した。
得られた有機相を0.03規定水酸化ナトリウム水溶液5リットルでアルカリ洗浄、0.2規定塩酸5リットルで酸洗浄、及び水5リットルで2回水洗を順次行い、最後に塩化メチレンを除去し、フレーク状のポリマーを得た。
粘度平均分子量は17,000であり、全モノマーに対するデカンジカルボン酸の含有率は5.2モル%であった。
【0038】
製造例2
〔コポリエステルカーボネート:PC−PMDC(3)の製造〕
製造例1と同様にして、デカンジカルボン酸量とビスフェノール量を変化させ、全モノマーに対するデカンジカルボン酸の含有率が10.5モル%となるようにし、コポリエステルカーボネートを製造した(ビスフェノールの含有率は56モル%)。
粘度平均分子量は17,000であった。
【0039】
実施例1〜5及び比較例1〜2
上記製造例で製造したPC−PMDC(1)、PC−PMDC(3)、市販PC−PMDC(2)〔ゼネラル・エレクトリック社製、レキサンSP1010、コモノマーはデカンジカルボン酸で全モノマーに対するデカンジカルボン酸の含有率は8.2モル%、粘度平均分子量;18,800、末端停止剤;p−クミルフェノール、ビスフェノールの含有率は58モル%〕、及びPC〔出光石油化学製、タフロンA1900、ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、MFR=19g/10分(温度:300℃、荷重:11.77N)、粘度平均分子量:19,000、末端停止剤;p−tert−ブチルフェノール〕及び必要に応じてカーボンブラックを所定量配合し、東芝製TEM35を用いて、混練温度260〜280℃で溶融混練し、ペレット化した。
このペレットを120℃で4時間乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製100−EN)に供給して、成形温度250℃〜280℃、金型温度80℃の条件下に、厚さ2mm、一辺の長さが15cmの正方形の板状のサンプル板(試験片)に成形した。
【0040】
次に、このサンプル板(試験片)に、炭酸ガスレーザーマーキング装置(TDK社製:CLM−03)を用いて、「出光石油化学2000」のマーキングを施した。
この場合のレーザーマーキング装置の操作条件は、レーザー光の波長:波長10.6μm、スキャン速度:200mm/秒、出力:1〜8W(ステップ:0.2W)とした。
この結果、自色のマーキングが得られた。
【0041】
このマーキングについての評価は、(a)下地に蛍光灯を置いた場合の識別可能なマ−キングができる最小のレーザー出力〔w〕、及び(b)下地にグレーの紙を置いた場合の識別可能なマ−キングができる最小のレーザー出力〔w〕を測定してマーキングの視認性を評価した。
更に、このマーキングの目立ち易さを、3人の判定者により目視判定し、その平均値から、◎=ベース色とマーキング文字色のコントラストが非常に良好、○=ベース色とマーキング文字色のコントラストが良好、△=ベース色とマーキング文字色のコントラストがやや良好、×=ベース色とマーキング文字色のコントラストが不良、の4段階の評価を行なった。
【0042】
その他の成形品の評価方法は次の通りである。
(1)ヘーズ
JIS K 7105に準拠した。
(2)IZOD(アイゾット衝撃強度)
ASTM D256に準拠した。23℃(肉厚:3.2mm)、単位:kJ/m2
(3)SFL(流れ値:スパイラルフロー長さ)
出光法(成形温度:280℃、金型温度:80℃、金型(厚み:2mm、巾:10mm、射出圧力:7.85MPa)、単位:cm
(4)HDT(熱変形温度)
JIS K7207に準拠した(荷重:18.6kg/cm2)。単位:℃
上記の各種評価の結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
実施例1〜5の結果から、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物は、レーザーマーキング性に優れ、耐熱性(HDT)は100℃以上、衝撃強度(IZOD)は30kJ/m2以上、流動性(SFL)15cm以上と、共に物性のバランスが取れており、オフィス・オートメーション機器のハウジング等種々の用途に利用可能である。
又、比較例1から、通常のポリカーボネートのみでは、レーザーマーキングにおいて表面が削れるのみで発色せず、流動性も低い。
更に、比較例2から、デカンジカルボン酸が10モル%以上でも、レーザーマーキングは優れているが、耐熱性及び衝撃強度が低下する。
【0045】
【発明の効果】
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を成形した成形品は、透明で簡単な操作で鮮明なマーキングを行うことができ、カーボンブラック等の色材を必ずしも必要としないため、成形品に色が付かず、好きな色に着色できる。
又、流動性が高く、大型製品及び薄肉製品も容易に成形することができる。
更に、レーザーでマーキングした成形品をリサイクルする場合、従来の塗料等を用いたマーキングによる黒点等の外観不良及び物性低下が減少する。
Claims (4)
- (A)ポリメチレンジカルボン酸から誘導される脂肪族セグメントを有するコポリエステルカーボネートを1〜100質量%及び(B)芳香族ポリカーボネートを0〜99質量%配合してなり、脂肪族セグメントの含有率が(A)成分+(B)成分に対して2〜10モル%であるレーザーマーキング用樹脂組成物。
- 請求項1に記載のレーザーマーキング用樹脂組成物を成形してなるレーザーマーキングを施すための成形品。
- 成形品が、電気・電子機器部品である請求項2に記載の成形品。
- 成形品が、自動車用部品である請求項2に記載の成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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