JP4022355B2 - レーザ加工装置およびレーザ加工方法およびこの加工方法による光導波路の製造方法 - Google Patents

レーザ加工装置およびレーザ加工方法およびこの加工方法による光導波路の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆる導波路グレーティング、ファイバーグレーティングなどの屈折率グレーティング、あるいは回折格子ネガフィルムなどを製作するためのレーザ加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は例えば特開平9−311238号公報の「光導波路型回折格子の作成方法」に示された従来の導波路グレーティングあるいはファイバーグレーティングの加工装置の説明図である。図において1は被加工物である光ファイバで、図示しないコア部分が光照射によって屈折率に変化を起こしやすくするGeO2が数%程度添加されたSiO2で構成されている。2は加工するために照射する照射光束、12は加工の種類
(目的)に応じて使い分ける各種の特性を持った露光マスク、13は光学系(例えばレンズ)であり、露光マスク12上の光分布を光ファイバ1に転写するものである。
【0003】
露光マスク12として、例えば格子状の光強度分布を生じるものを使用しておくと、照射光束2は露光マスク12を透過したのち格子状の強度分布に変調される。光学系13として例えば縮小転写レンズが用いられているとファイバ1の上に所望の寸法の格子状の光が照射され、ファイバ1のGeO2が添加されているコア部分のうち照射光束に照射された部分のみが選択的に屈折率変化を生じ、格子状の光強度分布に対応した縞状の屈折率変化部即ちグレーティングが形成される。
【0004】
以上のようにして製作されたグレーティングの光学性能は形成された露光マスク12の格子周期の寸法精度に大きく依存する。例えば長周期ファイバーグレーティングと呼ばれる光デバイスの格子周期Λは数10〜数100(μm )であり、デバイスで使用する中心波長λとの間で以下の近似式(1)のような比例関係が成り立つ。ここで波長λは通信用の光デバイスの場合、1.55μm 近傍である。
λ≒(Δn+δn)Λ …(1)
【0005】
ここでΔnはファイバ1の図示しないコア部とクラッド部の実効屈折率の差、δnは照射光束に照射されてコア部で選択的に生じた屈折率変化量で、それぞれ典型的な値として、例えば実効屈折率の差Δnは5×10−4程度、屈折率変化量δnは1×10−4である。
また、グレーティング形成部の周期方向の全長は、典型的なサイズとしては20〜60mm程度である。
【0006】
ここで、露光用マスク12の一般的なものの製作精度は±100nm程度である。従って光学系13として用いる縮小転写レンズの転写倍率が1/4倍とすると、被加工部での格子周期Λの精度は
±100nm×1/4=±25nm
となる。式(1)のΛに25nmを代入してλの精度を求めると±0.13nmとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述の通り一般的な通信用の光デバイスの場合、波長λは1.55μm 近傍であるので精度は0.1nmより良い値となることが望まれている。更に、最近は波長間隔が1nm以下の複数波長を用いる要求も生じてきており、この面からも高い精度が要求されるようになっている。
しかし説明したとおり、従来の方法によって製作されるファイバグレーティングの精度は0.13nmなので精度としては不十分であるという問題があった。 また、今後さらに波長λの高精度化が求められる趨勢にあるが、従来のレーザ加工方法では精度の向上が期待できず、今後の高精度化に対応できないという問題があった。
【0008】
また、光デバイスの中心波長λは1.55±0.3μm 程度の範囲で任意に製作できることが求められているが、従来の方法では予め用意された露光用マスクによって決まる周期でしか波長を変更できず、波長を自由に変更することが困難であった。
【0009】
また、従来の技術では、格子状の光強度パターンを持つ照射光の強度分布形状を自由に制御することは困難であった。ここでいう照射光の強度分布形状とは格子状ビームの一つ一つのビームの光強度の分布形状のことである。
文献(V.Grubsky etc.:IEEE Photon.Technol.Lett.11,87(1999).)によれば、照射エネルギーに対する屈折率変化量は非線型性を示すために、照射ビームの光強度の分布の形状と実際にファイバ上に加工される屈折率の分布の形状とは異なるものとなり、例えばサイン波とは異なる屈折率分布をもつ長周期ファイバーグレーティングを製作する場合には、不要なノイズピークが現れることもあるということが報告されている。このようなことからレーザ加工においては、光ビーム強度分布をより精密に制御できるようにする方法が求められている。
【0010】
また、露光マスクによる従来の方法では、谷部の光強度は露光マスクにより遮られ、その分の光強度は失われてしまい、山部の光強度のピーク値はもともと山部に照射される光強度以上のものとはならないので、効率良くレーザ加工を行うことができなかった。
【0011】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、格子周期Λが25〜1nm程度の精度で得られるレーザ加工装置を得るとともに、格子周期Λを容易に変更できるレーザ加工装置を得ることを目的とする。
【0012】
また、格子状のビーム強度分布の形状を容易に変更できるレーザ加工装置を得るとともに、これにより、ノイズピークの発生しない透過スペクトル特性を持つグレーティングを作製可能なレーザ加工装置を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明によるレーザ加工装置は、光源と、この光源の光が入射され、この入射光に直交する第1の方向には集光機能を持たず、前記入射光に直交し、かつ、前記第1の方向に直交する第2の方向には焦点距離fの集光機能を有する一軸作用光学素子と、
前記光学素子からの出射光をフーリェ変換型位相ホログラムを介して前記第2の方向の格子を持つ格子状の光強度分布を持つ照射光を生成する光学系とを備え、
前記一軸作用光学素子によって前記入射光の第2の方向の前記出射光を集光または発散させることにより、前記格子状の光強度分布の各々の光強度分布を前記一軸作用光学素子によって制御するものである。
【0014】
また、光源と、この光源の光が入射され、この入射光に直交する第1の方向には集光機能を持たず、前記入射光に直交し、かつ、前記第1の方向に直交する第2の方向には焦点距離fの集光機能を有する一軸作用光学素子と、
前記光学素子からの出射光をフーリェ変換型位相ホログラムを介して前記第2の方向の格子を持つ格子状の光強度分布を持つ照射光を生成する光学系と、
前記照射光の照射される位置に配置した被加工物とを備え、
前記一軸作用光学素子によって前記入射光の第2の方向の前記出射光を集光または発散させることにより、前記格子状の光強度分布の各々の光強度分布を前記一軸作用光学素子によって制御することにより、前記格子状の光強度分布を持つ照射光を前記被加工物に照射するものである。
【0015】
また、前記照射光の照射される位置に配置した被加工物は、光照射によって屈折率変化を生じる素材で少なくとも一部が構成された光導波路を備え、前記格子状の光強度分布を持つ照射光を前記光導波路に照射して、前記光導波路上に屈折率回折格子を形成するものである。
【0016】
また、 前記一軸作用光学素子は、複数のシリンドリカルレンズとしたものである。
【0017】
また、光導波路は光照射によって屈折率変化を生ずる素材を用いたコア部を有する光ファイバである。
【0018】
また、フーリェ変換型位相ホログラムは、光源からの光を予め定めた任意の角度で分岐する複数の出射光束に変換するものであり、光学系は前記複数の出射光束を光導波路上に結像するレンズを備えたものである。
【0019】
この発明によるレーザ加工方法は、入射光に直交する第1の方向には集光機能を持たず、前記入射光に直交し、かつ、前記第1の方向に直交する第2の方向には焦点距離fの集光機能を有する一軸作用光学素子に光源からの光を入射させる手順と、
前記光学素子からの出射光をフーリェ変換型位相ホログラムを介して前記第2の方向の格子を持つ格子状の光強度分布を持つ照射光を生成する手順と、
前記一軸作用光学素子によって前記入射光の第2の方向の前記出射光を集光または発散させることにより、前記格子状の光強度分布の各々のビーム強度分布を前記一軸作用光学素子によって制御して、前記照射光を被加工物に照射し、前記被加工物上に格子像を形成する手順とを含むものである。
【0020】
また、この発明による光導波路の製造方法は、少なくとも一部が光照射によって屈折率に変化を生じる素材を用いて構成された光導波路を対象物として用い、光導波路上に屈折率回折格子を形成するものである。
【0021】
また、光導波路として、光照射によって屈折率に変化を生じる素材をコア部に用いて構成された光ファイバを用いるものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるレーザ加工装置の構成を示す。図において、1は被加工物(対象物とも呼ぶ)であり、ここでは光ファイバ(光照射によって屈折率変化を生じる素材を少なくとも一部、例えばコア部(光導波部)に用いて構成された光ファイバであり光導波路の一種)である。2は加工を行なうための照射光束(照射光束2の詳細な説明は後述するが基本的にはレーザ光のような単一光であることが望ましい)、3はフーリエ変換型位相ホログラム[ ホログラフィックオプティカルエレメント、回折光学素子、計算機ホログラム(Computer Generated Hologram; CGH)などとも言う] 、レンズ5は焦点距離がfのレンズである。フーリエ変換型位相ホログラム3とレンズ5の距離はレンズの焦点距離に相当するf(mm)に設定する。レンズ5は光学系を構成している。6はシリンドリカルレンズを組み合わせたもの(以下シリンドリカルレンズ組と言う)である。
【0023】
図中に記載するX−Y方向の記号は以後の説明上、フーリエ変換型位相ホログラム3の面に平行で、光ファイバ1の軸方向をX、フーリエ変換型位相ホログラム3の面に平行で、Xに直交する方向をYとしている。101はグレーティング100の写り方を説明するために、説明の都合上記載してあるスクリーンであり、実際にはファイバ1を保持するためのもの以外には何も必要ではない。
【0024】
フーリエ変換型位相ホログラム3の詳細は、たとえばW.H.Lee”Binary Computer−Generated Holograms”,Appl.Opt.18,3661(1979)などの文献に説明されているので詳細な説明は省略するが、合成石英、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウムなどの紫外光に対して耐性があり、かつ、透過率の高い材料で製作され、その表面に照射光束2の波長に対応する位相パターンを形成したものである。
【0025】
すなわち、照射光束2の波長における材料の屈折率をn、また、2以上の整数をmとすれば、表面に深さ方向に照射光束2の波長の1/((n−1)・m)に対応する凹凸パターンを形成し、入射光束2がフーリエ変換型位相ホログラム3を透過する際、干渉効果を利用して任意の所望の1次元または2次元方向に出射させるものである。この凹凸パターンは0.1〜数10μm単位の1次元または2次元格子状に等間隔に形成する。この凹凸パターンが、面内で1次元の場合には、フーリエ変換型位相ホログラム3を含む光学系により、ファイバ1上でX方向のみにグレーティング形状の光強度分布を実現することができる。この光強度分布によってファイバ1上に屈折率のグレーティング状分布を形成することは従来と同じ原理なので説明は省略する。1次元の凹凸パターンの場合、製造が容易なので安価になるという利点がある。
【0026】
一例として、フーリエ変換型位相ホログラム3により照射光束2を1mradの間隔で60個の光束に分岐する場合、レンズ5の焦点距離をf=300mmとすると、格子周期Λ=300μmの60本のグレーティング形状の光強度分布がファイバー1上に実現できる。前述したとおりフーリエ変換型位相ホログラム3とレンズ4とファイバ1とは互いにレンズ4の焦点距離fmmに相当する間隔で配置されているので、フーリエ変換型位相ホログラム3で等角度間隔に分岐して出射した光束は光ファイバ1上に等間隔に転写、集光される。
【0027】
照射光束2について説明する。
光源としては水銀ランプなどの紫外線ランプや、紫外レーザとしてエキシマレーザや波長変換固体レーザ、また応力緩和で光弾性効果による屈折率変化を引き起こすために赤外波長の炭酸ガスレーザなどを用いることができるが、ここではエキシマレーザを例に説明する。エキシマレーザはレーザとしては相対的にコヒーレンス度が低いため、電界振幅の重ねあわせよりも、強度の重ねあわせになり易いため、強度の均一化の面で都合が良い。
【0028】
たとえばKrFエキシマレーザ(波長λ=248nm)を用いた場合、該フーリエ変換型位相ホログラム3の典型的な例としては、表面上の凹凸パターンはX方向、Y方向とも2μmピッチ、m=2の条件で合成石英(n=1.5)を用いると、溝深さは0.25μmの2段階位相タイプとなる。
2μmピッチの凹凸パターンは計算機により最適化され、図1の例ではフーリエ変換型位相ホログラム3により照射光束2をX方向には1mrad間隔で60本に分岐し、Y方向には0.2mrad間隔で100本に分岐し、レンズ4の焦点距離f=300mmとすると、X方向に格子周期Λ=300μm 、Y方向に均一な60本のグレーティング形状の光強度分布が実現できる。
【0029】
上記の構成ではフーリエ変換型位相ホログラム3でX方向、Y方向に分岐された光がそれぞれファイバ1上で、300μm、60μm間隔で集光されるが、照射光束2のKrFエキシマレーザの発散角がそれぞれ0.5mra d、1mrad程度のため、X方向ではファイバ1上でのビーム広がり150μm、Y方向では300μmとなる。従ってX方向には光強度分布のグレーティングが形成でき、Y方向では角分岐成分が重ね合わされ均一化される。
【0030】
Y方向の各成分が重ね合わされる際にコヒーレンス度が低い(この場合は、空間的なコヒーレンス長がビームサイズの1/10〜1/200程度と低い)ことから、重ねあわせ部分での光の干渉が発生しにくく、各分岐光束の照射強度の単純な和となり、滑らかな所望の分布形状が実現できる。
この低いコヒーレンス度は、ArFエキシマレーザ、XeCl、Fなど各エキシマレーザに共通の特徴であり、他のエキシマレーザを用いた場合も同様である。
なお、本発明にいう光源は、前述した水銀ランプ、エキシマレーザ、波長変換固体レーザ、炭酸ガスレーザの他、イオンレーザ、レーザダイオードを言うものである。
【0031】
以下に光学系およびビーム分布形状の制御の動作を説明する。
ホログラム3の前方の光路にシリンドリカルレンズ組6がその軸方向がY方向になるように備えてある。シリンドリカルレンズ組6はY方向には集光機能を持たず、X方向にのみ集光機能を持っている(これを一軸作用光学素子と呼ぶ)。一つの例として以下に数値を用いた説明を行う。2つのシリンドリカルレンズの焦点距離としてf=180mmのものを二つ用い、レンズ5としては単レンズの組としてf=540mmとf=450mmのものを110mmの間隔を空けて組み合わせたレンズを用いた。
図1ではレンズ5として、2 枚の組み合わせレンズを用いているが、1枚の単レンズ若しくは3枚以上のレンズを組み合わせたものでも本発明のレーザ加工装置を構成することは可能である。
【0032】
光源はKrFエキシマレーザ(波長248nm)、フーリェ変換型位相ホログラムはX方向には照射光束2を1.25mradの等角度間隔で79分割するものである。シリンドリカルレンズ組6の間隔aを変更することによりX方向のみ焦点距離を変えることができる。光ファイバ1上でのX方向の焦点が合っていると、光ファイバの軸方向であるX方向に鋭いピークをもつビームパターンを作ることができ、一方光ファイバ1上でのX方向の焦点をぼかすことによりX方向に幅の広いパターンをつくることもできる。この変化に際して、回折格子の周期Λは一定のままであり、Y方向のフラットなビームパターンの形状も変化しない。
【0033】
図2に、間隔aを360mmから364.5mmまで0.9mmずつ増やしたときのグレーティング状ビーム分布の測定例を示す。図において強度分布はピークでの値を1として規格化してある。X方向の焦点距離がちょうど合うとき(a=360mm)には、グレーティング状ビーム強度分布は谷が広く鋭いピークを持ち、間隔aを増大してX方向の焦点位置をずらしていくと次第に強度分布の谷部が狭まってゆく。
このようにシリンドリカルレンズ組6の間隔を変えるだけで、ビーム分布の山部と谷部の割合を任意に変えた強度分布を作ることができる。
【0034】
従来の技術の項で記述したように、照射エネルギーに対する屈折率変化は非線型性を示すので、照射ビーム分布と実際にファイバ上に加工される屈折率の分布の形状は異なったものとなり、サイン波とは異なる屈折率分布をもつ長周期ファイバーグレーティングを加工する際には不要なノイズピークが現れてしまう。
シリンドリカルレンズ組6の間隔を調整してビーム分布の山部と谷部の割合を任意に変えた強度分布を作ることができるので、ガラスの屈折率変化の非線型性を考慮して、サイン波よりもわずかに谷部の広い、例えば図2中の(2)のような強度分布をもつビームを光ファイバー1に照射すれば、光ファイバー1のコア中での屈折率分布はサイン波形状に近づくと考えられる。その結果、ノイズピークの現われない良好な透過スペクトル特性を持ったグレーティングを製作することができる。
【0035】
もし、前述したノイズピークが必要とする波長帯に現われない場合には、強度分布形状のピーク強度を高くして強度の山部と谷部の振幅値を大きくした方が、トータルとして少ない照射エネルギーで、大きな損失効率を持った透過スペクトル特性を持つ長周期ファイバーグレーティングを製作することができる。
図2では分布の形状を強調するためにピーク強度での値を1に規格化した図を載せたが、実際の強度分布は谷部が広く山部の幅が狭い分布の方が絶対値でのピーク強度は高い。例えば図2中の(6)のa=364.5mmの強度分布よりも(1)a=360mmの強度分布の方が絶対値でのピーク強度は高い。なぜなら、シリンドリカルレンズ組6により、谷部の光エネルギーを山部に集めることによって光強度分布形状を変更しているからである。
【0036】
このように、本発明のレーザ加工装置によれば、光エネルギーの損失なく、光強度分布形状を制御することができるので、少ない照射エネルギーで、大きな損失ピークを持った透過スペクトル特性を持つ長周期ファイバーグレーティングを製作することができる。
以上の説明に於いて、光ファイバ1は被加工対象物の例として説明したものであり、他のもの、例えばフィルムなどの場合もあり得る。
Y方向のことを第1の方向、X方向のことを第2の方向と呼ぶ。
【0037】
シリンドリカルレンズ組6は、この発明に言う、入射光に直交する第1の方向には集光機能を持たず、入射光に直交し、かつ、第1の方向に直交する第2の方向には焦点距離fの集光機能を有する光学素子に光源からの光を入射させる手順を行う。
フーリェ変換型位相ホログラム3は、この発明に言う、光学素子からの光をフーリェ変換型位相ホログラムを介して格子状の光強度分布を持つ照射光を生成する手順を行う。
レンズ5は、照射光を対象物に照射して、対象物上に格子像を形成する手順を行う。
光ファイバ1は、この発明に言う、少なくとも一部が光照射によって屈折率に変化を生じる素材を用いて構成された光導波路を対象物として、前記光導波路上に屈折率回折格子を形成する手順を行う。また、光照射によって屈折率に変化を生じる素材をコア部に用いて構成された光ファイバを用いる手順を行う。
【0038】
実施の形態2.
実施の形態1の図1では、被加工対象はファイバー1であるとして説明したが、勿論、他の加工対象物であってもよい。例えば超微粒子ネガフィルムをスクリーン101の位置に配置して、格子像を結像させ露光させれば格子ネガを製作することができる。
【0039】
【発明の効果】
この発明のレーザ加工装置は、以上に説明したように、フーリェ変換型位相ホログラムに照射光束が入射する前の光路上に一方向の焦点距離を変える光学素子を置くことにより、XあるいはY方向の焦点距離をそれと直交する方向の焦点距離とは変えることができるので、回折格子の一本一本の格子状のビーム強度分布の形状を容易に制御することができ、また、格子の谷部の光を山部に集めることにより、加工効率の高いレーザ加工装置とすることができる。
【0040】
また、光学素子として複数のシリンドリカルレンズを用いているので、レンズ間の距離を変えるという簡単な操作で回折格子の一本一本の格子状のビーム強度分布の形状を容易に制御することができる。
【0041】
このレーザ加工装置はファイバーグレーティング加工装置として使用することが出来、また、格子状のビーム強度分布の形状を容易に制御することができるグレーティング加工方法を得ることにより、ノイズピークの発生しない透過スペクトル特性を持つファイバーグレーティングを作ることができる。
【0042】
また、光学系をフーリェ変換型位相ホログラムと、出射光束を光導波路上に結像するレンズとを備えているので加工が容易である。
【0043】
この発明のレーザ加工方法は、XあるいはY方向の焦点距離をそれと直交する方向の焦点距離とは変えることができるので、格子状のビーム強度分布の形状を容易に制御することができ、また、格子の谷部の光を山部に集めることにより、加工効率の高いレーザ加工方法とすることができる。
【0044】
この発明の光導波路の製造方法は、格子状のビーム強度分布の形状を容易に制御することができ、また、格子の谷部の光を山部に集めることにより、加工効率の高い光導波路の製造方法とすることができる。
【0045】
また、光導波路として光ファイバを用いているので、極めて安価に屈折率回折格子を形成した光導波路を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係るグレーティング加工装置を示す図である。
【図2】 この発明の実施の形態1によるグレーティング状ビーム強度分布を示す図である。
【図3】 従来の発明の実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 光ファイバ、 2 照射光束、 3 フーリェ変換型位相ホログラム、
5 レンズ、 6 シリンドリカルレンズ組、
100 グレーティング状ビーム分布、
101 説明用スクリーン。

Claims (9)

  1. 光源と、この光源の光が入射され、この入射光に直交する第1の方向には集光機能を持たず、前記入射光に直交し、かつ、前記第1の方向に直交する第2の方向には焦点距離fの集光機能を有する一軸作用光学素子と、
    前記光学素子からの出射光をフーリェ変換型位相ホログラムを介して前記第2の方向の格子を持つ格子状の光強度分布を持つ照射光を生成する光学系とを備え、
    前記一軸作用光学素子によって前記入射光の第2の方向の前記出射光を集光または発散させることにより、前記格子状の光強度分布の各々の光強度分布を前記一軸作用光学素子によって制御することを特徴とするレーザ加工装置。
  2. 光源と、この光源の光が入射され、この入射光に直交する第1の方向には集光機能を持たず、前記入射光に直交し、かつ、前記第1の方向に直交する第2の方向には焦点距離fの集光機能を有する一軸作用光学素子と、
    前記光学素子からの出射光をフーリェ変換型位相ホログラムを介して前記第2の方向の格子を持つ格子状の光強度分布を持つ照射光を生成する光学系と、
    前記照射光の照射される位置に配置した被加工物とを備え、
    前記一軸作用光学素子によって前記入射光の第2の方向の前記出射光を集光または発散させることにより、前記格子状の光強度分布の各々の光強度分布を前記一軸作用光学素子によって制御することにより、前記格子状の光強度分布を持つ照射光を前記被加工物に照射することを特徴とするレーザ加工装置。
  3. 前記照射光の照射される位置に配置した被加工物は、光照射によって屈折率変化を生じる素材で少なくとも一部が構成された光導波路を備え、前記格子状の光強度分布を持つ照射光を前記光導波路に照射して、前記光導波路上に屈折率回折格子を形成することを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
  4. 前記一軸作用光学素子は、複数のシリンドリカルレンズであることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
  5. 光導波路は光照射によって屈折率変化を生ずる素材を用いたコア部を有する光ファイバであり、シリンドリカルレンズの軸は前記光ファイバの軸に直交する方向に配置されたことを特徴とする請求項4に記載のレーザ加工装置。
  6. フーリェ変換型位相ホログラムは、光源からの光を予め定めた任意の角度に分岐する複数の出射光束へと変換するものであり、光学系は前記複数の出射光束を光導波路上に結像するレンズを備えたことを特徴とする請求項4に記載のレーザ加工装置。
  7. 入射光に直交する第1の方向には集光機能を持たず、前記入射光に直交し、かつ、前記第1の方向に直交する第2の方向には焦点距離fの集光機能を有する一軸作用光学素子に光源からの光を入射させる手順と、
    前記光学素子からの出射光をフーリェ変換型位相ホログラムを介して前記第2の方向の格子を持つ格子状の光強度分布を持つ照射光を生成する手順と、
    前記一軸作用光学素子によって前記入射光の第2の方向の前記出射光を集光または発散させることにより、前記格子状の光強度分布の各々のビーム強度分布を前記一軸作用光学素子によって制御して、前記照射光を被加工物に照射し、前記被加工物上に格子像を形成する手順とを含むことを特徴とするレーザ加工方法。
  8. 少なくとも一部が光照射によって屈折率に変化を生じる素材を用いて構成された光導波路を対象物として、請求項7に記載のレーザ加工方法を用いて前記光導波路上に屈折率回折格子を形成する手順とを含むことを特徴とする光導波路の製造方法。
  9. 光導波路として、光照射によって屈折率に変化を生じる素材をコア部に用いて構成された光ファイバを用いる手順を含むことを特徴とする請求項8に記載の光導波路の製造方法。
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