JP4022322B2 - 狭指向性コンデンサマイクロホン - Google Patents

狭指向性コンデンサマイクロホン Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は狭指向性コンデンサマイクロホンに関し、さらに詳しく言えば、ライン型コンデンサマイクロホンにおける低域の周波数特性の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
狭指向性マイクロホンは、屋外取材などにおいても収音できる角度が小さいマイクロホンとして知られている。これには大別して、ライン型マイクロホンと2次音圧傾度型マイクロホンとがあるが、ここでは、もっぱら本発明と関わり合いのあるライン型マイクロホンについて説明する。
【0003】
ライン型マイクロホンは、その基本的な構成として、前方音響端子および後方音響端子を有する単一指向性(1次音圧傾度型)マイクロホンユニットと、管周壁に例えばスリット状の音響抵抗孔を有する音響管(干渉パイプ)とを有し、マイクロホンユニットの前方音響端子側に音響管を接続し、後方音響端子は自由空間に臨ませている。
【0004】
このライン型マイクロホンにおいては、側方もしくは後方からの音波は、音響管の音響抵抗孔と音響管の正面開口とから、それぞれ同音響管内に到達するが、それらの到達経路の相違による位相差から音波の干渉が発生し、これにより、側方もしくは後方からの音波が弱められる。これに対して、正面開口からの音波は、減衰せずにマイクロホンユニットの振動板に達する。
【0005】
このライン型マイクロホンの利点は、周波数応答特性が比較的平坦であり、感度、固有雑音が2次音圧傾度型マイクロホンに比べて優れていることにある。ラインマイクロホンは、この点が評価されて、高品質の収音が求められる業務用ビデオカメラなどに多く使用されている。
【0006】
ところで、後方音響端子を自由空間に臨ませることにより、かなり狭い指向性が得られるが、他方において、外部の風雑音などを拾ったり、また、音源が近いと低域を歪ませる近接効果が高くなるという問題があった。これは、前方音響端子の音波導入口が音響管の先端になり、低域における前方音響端子と後方音響端子との距離が長くなることに起因している。
【0007】
この点を解決するため、本出願人は特開昭62−118698号において一つの提案を行なっており、これを本発明の従来例として、その構成を図6の模式的断面図に基づいて概略的に説明する。
【0008】
すなわち、このラインマイクロホン1においては、音響管2の後端側の内部に単一指向性マイクロホンユニット3が収納され、同マイクロホンユニット3によって、音響管2内が前部音響容量室21と後部音響容量室22とに区画されている。なお、音響管2の前方側にはスリット状の音響抵抗孔2aが形成されており、同音響抵抗孔2aには図示しない音響抵抗材が貼り付けられている。
【0009】
マイクロホンユニット3の一方の面(図6において左側面)には前方音響端子31が設けられ、他方の面(図6において右側面)には後方音響端子32が設けられており、音響管2の後部音響容量室22側には後方音響端子32に対する音波導入口2bが穿設されている。なお、詳しくは図示しないが、この音波導入口2bにも適当な音響抵抗材が貼り付けられている。
【0010】
この場合、マイクロホンユニット3の外径は音響管2の内径よりも小さくなっている。すなわち、マイクロホンユニット3の外周面と音響管2の内周面との間には所定の隙間Gが設けられ、この隙間Gにより、マイクロホンユニット3の前方音響端子31と後方音響端子32とが音響的に接続されている。
【0011】
このように、マイクロホンユニット3の後方音響端子32が、その音波導入口2bを介して自由音場に通じているとともに、隙間Gを通して前方音響端子31に対しても音響的に接続されているため、低域における音響端子間距離は、主にマイクロホンユニット3の音響端子31,32間距離に支配されることになり、これにより、風雑音の影響や近接効果を低くすることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ライン型マイクロホンの指向性は周波数依存性を有し、低い周波数帯域まで良好な狭指向性を得るには相当に長い音響管が必要となる。
【0013】
しかしながら、この長い音響管と組み合わせられる単一指向性マイクロホンユニットがコンデンサ型である場合には、図7の特性グラフに例示されているように、低域の周波数応答特性が1kHz付近の音波に対する周波数応答特性に比べて持ち上がってしまうという課題があった。
【0014】
この課題はコンデンサマイクロホンユニットの振動板に起因している。すなわち、振動板には例えばチタンなどの金属箔製のものと、PPS(ポリフェニルサルファイド)などの高分子フィルム製のものとがあるが、金属箔製は高価であるためもっぱら計測用などの限られたマイクロホンに使用され、一般民生用マイクロホンのほとんどには高分子フィルム製の振動板が用いられている。
【0015】
高分子フィルム製振動板の場合、支持体(ダイアフラムプレート)に対して高い張力で振動板を張ることが困難である。これは高分子フィルムにその限度以上の応力がかけられると、その材料自体が塑性変形してしまうことによる。これをフィルムのクリープと呼んでいる。
【0016】
さらに、感度およびS/N比を高くしようとして、振動板の面積を大きくすると、その振動板に高い張力を付与することがより困難になる。このような理由により、低域の周波数応答特性が1kHz付近の周波数応答特性に比べて持ち上がってしまうのであるが、これに伴なって、風雑音や振動雑音の影響を受けやすくなる。
【0017】
これを防止するため、従来では音響管に風防を被せたり、マイクロホンユニットをショックマウントを介して音響管内に支持するようにしている。また、これによっても風雑音や振動雑音が問題になる場合には、電気的なハイパスフィルタを用いて、低域の周波数を低減させるようにしている。
【0018】
しかしながら、ハイパスフィルタはマイクロホンユニットからの電気信号を処理しているに過ぎず、根本的な解決策とは言えない。すなわち、振動板がこれらの雑音によって大きく振動している場合、ハイパスフィルタからはその雑音の低域成分により変調を受けた目的音が出力されることになり、クリアな音声は得られない。
【0019】
また、雑音による振動板の振動振幅がより大きくなると、状況によっては音切れなどの問題が発生する。ちなみに、台風の中継の際の強い風による音声の一時的な中断はこれによるものである。
【0020】
このように、高分子フィルムを振動板としたコンデンサマイクロホンにおいては、感度およびS/N比が高く、しかも周波数応答特性が低い帯域まで平坦であるものを実現することは難しい状況とされていた。
【0021】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的は、高い狭指向性を得るため長い音響管を有しながらも、低域の周波数特性をより平坦にすることができるようにした狭指向性コンデンサマイクロホンを提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、前方音響端子および後方音響端子を有する単一指向性マイクロホンユニットと、同マイクロホンユニットが内部に収納される音響管とを含み、上記音響管内が上記マイクロホンユニットにて前部音響容量室と後部音響容量室とに区画されており、上記後部音響容量室側には上記後方音響端子に対する後部音波導入口が設けられているとともに、上記マイクロホンユニットとして、支持体の周縁間に張設された高分子フィルム製の振動板を固定極に対して所定の間隔をもって対向的に配置してなるコンデンサマイクロホンユニットが用いられている狭指向性コンデンサマイクロホンにおいて、上記支持体の中央部には、その周縁とほぼ同一の高さであって、軸方向に貫通する透孔を有する支持突起が形成されており、上記振動板は所定の張力をもって上記支持体の周縁と上記支持突起とに固定されているとともに、上記透孔に連通する連通孔を備え、上記固定極の上記支持突起と対向する部分は無孔部とされており、上記連通孔にて上記振動板の前部気室側と後部気室側とが音響的に結合されていることを特徴としている。
【0023】
この構成によれば、振動板は支持体(ダイアフラムプレート)に対して、その周縁のみならず、中央の支持突起にも固定されているため、同振動板により高い張力を付与することができる。
【0024】
また、振動板を中央の支持突起に固定したことにより、それをしない従来例に比べてほぼ倍の共振周波数とすることができる。このことは、振動板の有効面積を余り小さくすることなく、振動板の共振周波数を高くすることができることを意味している。
【0025】
さらには、振動板の前部気室側と後部気室側とが、支持体の透孔および振動板の連通孔を介して音響的に結合され圧力等価となっているため、1kHz付近の周波数応答特性に対して低域での周波数特性が平坦化され、風雑音や振動雑音を低減することができる。
【0026】
また、上記固定極の上記支持突起と対向する部分は無孔部とされていることにより、支持体の透孔および振動板の連通孔からの低域の音圧は、振動板と固定極との間の薄空気層のインピーダンスをもって振動板の後部気室に導かれる。この場合、薄空気層のインピーダンスはきわめて安定であることから、マイクロホンユニットの動作を著しく阻害することはない。
【0027】
本発明において、上記支持突起の透孔が音響抵抗材にて覆われていることが好ましく、より好ましくはその音響抵抗材による音響抵抗値が可変(支持突起の透孔を開放する場合を含む)であるとよい。これによれば、指向性を変えることなく、低域の周波数応答をきめ細かく設定することができる。
【0028】
また、本発明においては、上記前部音響容量室と上記後部音響容量室とが、上記マイクロホンユニットの外周面と上記音響管の内周面との間の隙間により音響的に接続されており、その隙間に存在する音響質量に対して、所定の音響抵抗が直列に接続されていることが好ましい。
【0029】
これによれば、風雑音などに対する耐性を損なうことなく、また、簡単な手段にて共振を確実に抑えることができる狭指向性コンデンサマイクロホンが提供される。
【0030】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を図面に示されている実施例に基づいてより詳しく説明する。
【0031】
図1の断面図示されているように、この実施例に係るライン型マイクロホン1Aにおいても、音響管2の後端側の内部に単一指向性マイクロホンユニット3Aが収納され、同マイクロホンユニット3Aによって、音響管2内が前部音響容量室21と後部音響容量室22とに区画されているが、この場合、低い周波数帯域まで良好な狭指向性を得るため、音響管2は比較的長い長さ(例えば、300mm)とされ、また、単一指向性マイクロホンユニット3Aにはコンデンサ型のものが用いられている。
【0032】
音響管2の前方側には、スリット状とされた一連の音響抵抗孔2aが形成されており、同音響抵抗孔2aには図示しない音響抵抗材(例えば、NBC社製ナイロンメッシュ#508)が貼り付けられている。なお、この音響抵抗孔2aは、音響管2の周方向に沿って部分的に形成されたスリット孔を所定の間隔をもって軸方向に配列したものであってもよい。
【0033】
マイクロホンユニット3Aの一方の面(図1において左側面)には前方音響端子31が設けられ、他方の面(図1において右側面)には後方音響端子32が設けられており、音響管2の後部音響容量室22側には後方音響端子32に対する後部音波導入口2bが穿設されている。
【0034】
図1には、この後部音波導入口2bが一つしか示されていないが、この実施例では180度対向する管壁部分に後部音波導入口2bがそれぞれ穿設されており、各後部音波導入口2bにも音響抵抗材として、例えばNBC社製ナイロンメッシュ#200が貼り付けられている。
【0035】
また、マイクロホンユニット3Aの外径は音響管2の内径よりも小さく、このマイクロホンユニット3Aと音響管2との間には所定の隙間Gが設けられている。この隙間Gにより、マイクロホンユニット3Aの前方音響端子31と後方音響端子32とが音響的に接続されている。これにより、風雑音の影響や近接効果を低くするようにしている。
【0036】
そして、後部音響容量室22内には上記隙間Gを覆うように音響抵抗材4が配置されている。この実施例において、音響抵抗材4は適度に圧縮されたスポンジ材(例えば、ブリジストン社製HR50、圧縮率1/5)によりドーナツ状に形成されている。
【0037】
マイクロホンユニット3Aは、図2の断面図に示されているように、内部に縮径された段差部331を有する円筒状のユニットケース33を備えている。このユニットケース33は、その段差部331側が音響管2の前方に向くようにして、同音響管2内に収納される。
【0038】
なお、先にも説明したように、このユニットケース33の外径は音響管2の内径よりも小さく、これにより、それらの間に所定幅の隙間Gが確保される。また、図示されていないが、ユニットケース33は例えばゴム材からなるシュックマウントを介して音響管2内に保持される。
【0039】
このユニットケース33内に、振動板35が張設されたダイアフラムプレートとしての支持体34と、固定極37が取り付けられた絶縁座36とが嵌装されるのであるが、まず、支持体34が段差部331にて位置決めされるようにして収納され、次にスペーサリング38を介して絶縁座36が支持体34の背面と対向するように収納される。
【0040】
なお、絶縁座36の背面側にはクッション材361を介してワッシャ状の押え金具362がユニットケース33内に嵌装され、これにより、支持体34、スペーサリング38および絶縁座36が強固に固定される。
【0041】
支持体34は、図3(a)の平面図およびその断面図である同図(b)に示されているように真鍮などの円盤体からなり、これには前方音響端子31としての透孔が穿設されている。
【0042】
支持体34の背面側(図3(b)において下側)の周縁には、所定の高さを有する振動板固定用の周縁固定部341が環状に形成されている。また、支持体34の中心部には、周縁固定部341と同じ高さを有する中央支持突起342が立設されており、同中央支持突起342にはその軸線方向に貫通する透孔343が穿設されている。
【0043】
周縁固定部341と中央支持突起342は同一平面内に存在し、これらに例えばPPS(ポリフェニルサルファイド)からなる高分子フィルム製の振動板35が所定の張力を付加された状態で固定される。
【0044】
すなわち、振動板35はその周縁部が周縁固定部341に固定されるとともに、その中央部も中央支持突起342に固定される。この固定方法は、接着剤もしくは熱融着などによる。振動板35を支持体34に固定した後、振動板35に中央支持突起342の透孔343に連通する連通孔351が開けられる。
【0045】
このように、連通孔351の孔開けは、中央支持突起342に振動板35を固定した後に行なわれるため、振動板35が不用意に破けてしまうことはない。なお、支持突起342の透孔343と振動板35の連通孔351は実質的に一つの開口に該当するため、以下の説明では特別な場合を除いて、これらを開口30とする。
【0046】
この開口30には、音響抵抗材39が被せられている。この音響抵抗材39は例えばフェルトのような不織布もしくは上記のようなナイロンメッシュなどであってよいが、この実施例では図示しないレバーなどの操作機構により、開口30に対して開閉自在とされている。
【0047】
絶縁座36は例えば合成樹脂製のやや肉厚の円盤体からなり、支持体34と対向する面側には、固定極37がその一部分を埋め込むようにして取り付けられている。この固定極37と振動板35との間には、スペーサリング38にて所定の空間が確保されている。
【0048】
音響管2の先端側から見た場合、固定極37と振動板35との間の空間が振動板35の後部気室352であり、これに対して、振動板35の前方音響端子31側の空間が前部気室353であるが、本発明においては、その前部気室353と後部気室352は開口30の音響抵抗と音響質量とにより音響的に接続されている。
【0049】
絶縁座36には後方音響端子32が形成されているとともに、同絶縁座36の固定極37の背面側には後方音響端子32に連通する背部空間321が形成されており、同背部空間内321には所定の音響抵抗材322が収納されている。
【0050】
また、固定極37にも後方音響端子32からの音波を後部気室352に案内するための複数の透孔371が穿設されているが、この場合、透孔371は支持体34側の開口30と対向する部位を避けて設けられている。すなわち、支持体34側の開口30と対向する部位は無孔部とされている。なお、固定極37の背面側からは図示しないインピーダンス変換器に接続される電極リード棒372が引き出されている。
【0051】
このように、このコンデンサマイクロホンユニット3Aによれば、振動板35がその中央部においても、支持体34の中央支持突起342に固定されるため、振動板35をより高い張力をもって支持体34に固定することができる。
【0052】
また、振動板35を中央支持突起342に固定したことにより、それをしない従来例に比べてほぼ倍の共振周波数とすることができる。したがって、振動板35の有効面積を余り小さくすることなく、同振動板35の共振周波数を高くすることができる。
【0053】
振動板35の前部気室353と後部気室352とが、支持体34の開口30における音響抵抗と音響質量を介して結合され圧力等価となっているため、1kHz付近の周波数応答特性に対して低域での周波数特性が平坦化され、風雑音や振動雑音を低減することができる。参考までに、図4に本発明によるライン型コンデンサマイクロホンの周波数応答特性グラフを示す。
【0054】
支持体34の開口30が固定極37の透孔371の無い部分に設けられているため、開口30からの低域の音圧は、振動板35と固定極37との間の薄空気層のインピーダンスをもって振動板35の後部気室352に導かれる。この場合、薄空気層のインピーダンスはきわめて安定であることから、マイクロホンユニットの動作を著しく阻害することはない。
【0055】
また、音響抵抗材39により、支持体34の開口30に対して適切な音響抵抗を付与することにより、細かな低域の周波数応答の設定を行なうことができる。その際、上記実施例のように、開口30に対して音響抵抗材39を開閉可能とすることにより、指向性を変えることなく、低域の周波数応答を変えることができる。
【0056】
ここで、図5に示されている機械等価回路に基づいて、このライン型マイクロホン1Aの動作原理について説明する。
【0057】
この機械等価回路において、PSは前方音響端子31に対する音源で、その音圧Pとユニット振動板の有効面積Sの積PSで表されている。
また、PSe−jklcosθは、後方音響端子31に対する音源で、この場合、lは音響管2の前方開口部と後部音波導入口2bとの距離である。
【0058】
Zは音響管2の総合インピーダンス、sfは前部音響容量室21内の空気スチフネス、sbは後部音響容量室22内の空気スチフネス、m0は振動板35の質量、s0は振動板35のスチフネス、r0は振動板35の制動抵抗、s1はユニット内の背部空間321の空気スチフネス、r1は後方音響端子31側に指向性を与えるユニット内の音響抵抗、rbは後部の音波導入口2bに被せられた音響抵抗材の音響抵抗、mbは同音響抵抗材の質量で、mはマイクロホンユニット3Aの外周面と音響管2の内周面との間にある隙間G内の音響質量である。
【0059】
この機械等価回路において、sf(前部音響容量室21内の空気スチフネス)、m(隙間G内の音響質量)およびsb(後部音響容量室22内の空気スチフネス)が共振を発生するインピーダンス要素であり、これらによって共振系が構成されるが、上記音響抵抗材4の音響抵抗をrとすると、本発明では、この音響抵抗rが隙間Gの音響質量mに対して直列に接続されたのと等価となるため、上記のsf、mおよびsbによる共振を有効に制動することができる。
【0060】
また、支持体34の開口30からの低域の音圧が、振動板35と固定極37との間の薄空気層のインピーダンスをもって振動板35の後部気室352に導かれる。その薄空気層の音響抵抗をr2とすると、この機械等価回路において、同音響抵抗r2は、sfとs1との間で、m0,s0およびr0の直列回路に対して並列に接続されたのと等価になり、これにより、低域の周波数応答が平坦化される。
【0061】
なお、この等価回路には示されていないが、開口部30の音響抵抗材39による音響抵抗は、薄空気層の音響抵抗r2に対して直列に接続されることになり、その音響抵抗を可変とすることにより、低域の周波数応答をきめ細かに設定することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高い指向性を有する長い音響管を有し、単一指向性マイクロホンユニットに高分子フィルムを振動板とするコンデンサ型ユニットを用いたライン型マイクロホンにおいて、低域の周波数応答を平坦化することができる。
【0063】
振動板の前部気室と後部気室とを接続するため、支持体に設けられている開口に適切な音響抵抗を付与することにより、低域の周波数応答をよりきめ細かく調整することができる。なお、開口を開閉することにより、指向性を阻害することなく、低域の周波数応答を可変にすることができる。
【0064】
また、本発明によれば、風や振動による雑音の内、低い周波数成分での振動板の過大な変位が発生しないため、音切れなどの問題も発生しない。また、振動板の支持体を除いて、ほとんどの部品が変更を要しないため、コスト的に安価でもある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による狭指向性マイクロホンの一実施例を示した模式的断面図。
【図2】上記実施例に用いられているコンデンサマイクロホンユニットを示した断面図。
【図3】上記コンデンサマイクロホンユニット内の支持体を示した平面図およびその断面図。
【図4】上記実施例の指向性を実測した指向性特性グラフ。
【図5】上記実施例の機械等価回路図。
【図6】従来例としてのラインマイクロホンを示した模式的断面図。
【図7】上記従来例の指向性を実測した指向性特性グラフ。
【符号の説明】
1A ライン型マイクロホン(狭指向性マイクロホン)
2 音響管
21 前部音響容量室
22 後部音響容量室
2a 前部音響抵抗孔
2b 後部音波導入口
3A マイクロホンユニット
30 開口
31 前方音響端子
32 後方音響端子
33 ユニットケース
34 支持体
35 振動板
351 連通孔
352 後部気室
353 前部気室
36 絶縁座
37 固定極
38 スペーサリング
39 音響抵抗材
4 後部音響抵抗制御手段
41 切換カバー
42 ノブ
43,431〜433 開口
51,52 音響抵抗材

Claims (4)

  1. 前方音響端子および後方音響端子を有する単一指向性マイクロホンユニットと、同マイクロホンユニットが内部に収納される音響管とを含み、上記音響管内が上記マイクロホンユニットにて前部音響容量室と後部音響容量室とに区画されており、上記後部音響容量室側には上記後方音響端子に対する後部音波導入口が設けられているとともに、上記マイクロホンユニットとして、支持体の周縁間に張設された高分子フィルム製の振動板を固定極に対して所定の間隔をもって対向的に配置してなるコンデンサマイクロホンユニットが用いられている狭指向性コンデンサマイクロホンにおいて、
    上記支持体の中央部には、その周縁とほぼ同一の高さであって、軸方向に貫通する透孔を有する支持突起が形成されており、上記振動板は所定の張力をもって上記支持体の周縁と上記支持突起とに固定されているとともに、上記透孔に連通する連通孔を備え、上記固定極の上記支持突起と対向する部分は無孔部とされており、上記連通孔にて上記振動板の前部気室側と後部気室側とが音響的に結合されていることを特徴とする狭指向性コンデンサマイクロホン。
  2. 上記支持突起の透孔が、音響抵抗材にて覆われていることを特徴とする請求項1に記載の狭指向性コンデンサマイクロホン。
  3. 上記支持突起の透孔に対する音響抵抗値が可変とされていることを特徴とする請求項に記載の狭指向性コンデンサマイクロホン。
  4. 上記前部音響容量室と上記後部音響容量室とが、上記マイクロホンユニットの外周面と上記音響管の内周面との間の隙間により音響的に接続されており、その隙間に存在する音響質量に対して、所定の音響抵抗が直列に接続されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の狭指向性コンデンサマイクロホン。
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