JP4021240B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、補助容量電極として機能する補助容量配線を各ゲート配線毎に該ゲート配線と平行にそれぞれ有し、アクティブ素子への走査信号入力後に上記補助容量配線の電位を独立に制御するアクティブマトリクス型の液晶表示装置に関するものであり、特に、低電圧で駆動するための駆動方法を採用する液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ワードプロセッサ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、ポケットテレビ等への液晶表示装置の応用が急速に進展している。特に、液晶表示装置の中でも外部から入射した光を反射させて表示を行う反射型液晶表示装置は、バックライトが不要であるため消費電力が低く、薄型であり、軽量化が可能であることから注目されている。
【0003】
従来の反射型液晶表示装置は、単純マルチプレックス駆動方式とTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)等を使用したアクティブ駆動方式とに大別される。
【0004】
上記単純マルチプレックス方式の反射型液晶表示装置は、2型程度の大きさでは、消費電力は10〜15mw程度と十分に小さいものの、明るさ、コントラストが低く、応答速度が遅い等表示品位に問題がある。
【0005】
一方、TFT素子を使ったアクティブ駆動方式の反射型液晶表示装置は、明るさ、コントラストが高く、応答速度も速く表示品位は十分であるものの、消費電力は周辺駆動回路が複雑であるため、2型程度の大きさでも100〜150mw程度であり十分小さいとはいえなかった。
【0006】
ここで、上記TFT素子を使ったアクティブ駆動方式の反射型液晶表示装置の等価回路は、図7に示すように、対向電極112と画素電極106とによって液晶層103を挟持することにより形成した液晶容量Clcと、ドレイン電極113の延長上に形成した補助容量用電極パッド113aと補助容量電極114aとして機能する補助容量配線114とでゲート絶縁膜118を挟持することにより形成した補助容量Cs(Storage Capacitor)とをTFT素子104に接続している。
【0007】
上記アクティブ駆動方式の反射型液晶表示装置の消費電力が大きい理由の一つに、通常の液晶は±5V程度で交流駆動していることが挙げられる。交流駆動が必要な理由は、液晶に直流を印加し続けると液晶中の不純物が電極に吸着し、最終的には不純物による逆電界のために液晶に電圧がかからなくなり、信頼性不良を起こすためである。このため、一般には、液晶を駆動するためには±5Vの交流駆動電圧が必要であり、図8(a)に示す走査電圧によって、図8(b)に示す通常の5V系ドライバ(出力0〜5V)をソースドライバに用いて駆動するためには、図8(c)に示すように、対向電極の電位をソース信号の電位に対して逆位相で交流駆動する必要がある。これによって、図8(d)に示すように、液晶には±5Vが印加されるものとなっている。
【0008】
このように、液晶に十分な電圧を印加して、信頼性を確保するためには、対向電極112を交流駆動する必要がある。しかし、対向電極112は面積が大きく負荷容量も大きいため、液晶表示装置の消費電力が大きくなるという問題があった。
【0009】
この問題を解決するために、例えば、特開2000−81606号公報(公開日2000年3月21日)には、TFTパネルが有する補助容量Csを利用し、画素電極を嵩上げして対向電極を直流駆動する方法が提唱されている。
【0010】
この方法は、具体的には、ゲート配線毎に設けられたCs配線に、ゲート電圧Vgの立下り後に反転するCs信号Vcsを与える。液晶容量Clcに保持された画素電圧VpはCs電圧Vcsの立ち上がり又は立ち下りに応じて上昇又は下降する。この方法によると、対向電極に直流電圧を印加しても、ソース電圧Vsの振幅以上にドレイン電圧振幅を増大させることが可能であるため、液晶に十分な電圧を印加することが可能となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来公報の液晶表示装置には、Cs配線を駆動する方法について、なんら具体的に記述されておらず、実際にCs配線を駆動することは不可能である。
【0012】
また、Cs配線駆動用のドライバを新たに設け、各Cs配線をドライバに直接接続し、それぞれ独立に制御することは容易であるが、この場合ドライバコストが上昇する。また、ゲート配線に平行な方向の配線数が2倍に増えるため、各Cs配線駆動用の配線を設けた場合には、パネル周辺部において配線の引き回しのための額縁面積が増大する等の問題が生じることとなる。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、額縁面積が増大するのを極力回避し、簡便かつ低コストで、対向電極を一定の直流電圧に保って低電圧駆動を実現し得る液晶表示装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するために、液晶層を介在して対向配置される一対の基板のうち、一方の基板に複数のアクティブ素子をマトリクス状に設け、走査信号を供給するゲート配線及びデータ信号を供給するソース配線にて上記アクティブ素子を通して液晶層に所望の電圧を印加することにより液晶層への光の透過率又は反射率を制御して各画素を表示する一方、補助容量電極として機能する補助容量配線を各行のゲート配線毎に該ゲート配線と平行にそれぞれ有し、上記アクティブ素子への走査信号入力後に上記補助容量配線の電位を独立に制御する液晶表示装置において、上記各行の補助容量配線に電位を供給する少なくとも1本以上の補助容量配線用信号入力配線を、ゲート配線に直交して配置するとともに、上記各行の補助容量配線は、2つ以上の並列に設けられたスイッチング素子を介して上記補助容量配線用信号入力配線に接続されている一方、上記少なくとも1つのスイッチング素子は、補助容量配線と同じ行のゲート配線によって制御され、残りのスイッチング素子は次行のゲート配線によって制御されることを特徴としている。
【0015】
上記の発明によれば、各行の補助容量配線に電位を供給する少なくとも1本以上の補助容量配線用信号入力配線が、ゲート配線に直交して配置される。また、各行の補助容量配線は、2つ以上の並列に設けられたスイッチング素子を介して上記補助容量配線用信号入力配線に接続されている。さらに、少なくとも1つのスイッチング素子は、補助容量配線と同じ行のゲート配線によって制御され、残りのスイッチング素子は次行のゲート配線によって制御される。
【0016】
これによって、各行の補助容量配線毎にドライバを設けることなく、補助容量配線の電位を制御することが可能となり、対向電極を一定の直流電圧に保って低電圧駆動を実現することができる。
【0017】
また、各行の補助容量配線に電位を供給する補助容量配線用信号入力配線は、1本だけでよい。これは、本発明では、補助容量配線用信号入力配線からの信号入力を並列に設けられたスイッチング素子にて切り替えているためである。この結果、補助容量配線用信号入力配線の本数を少なく抑えることができるので、パネル周辺部で配線の引き回しのための額縁面積が増大することも回避できる。また、補助容量配線用信号入力配線の本数を少なく抑えること、及び各補助容量配線毎にドライバを設けていないことから、構造も簡単である。
【0018】
なお、各行の補助容量配線に電位を供給する補助容量配線用信号入力配線は、複数本設けることも可能である。すなわち、例えば、同種の信号を供給する補助容量配線用信号入力配線を複数本設けることによって、1本当たりの補助容量配線用信号入力配線の供給電圧を低減することができる。また、補助容量配線用信号入力配線を複数本設ける場合に、例えば、液晶表示装置の左右に1本ずつ配する場合には、パネル周辺部で配線の引き回しのための額縁面積が増大することも殆どない。
【0019】
したがって、額縁面積が増大するのを極力回避し、簡便かつ低コストで、対向電極を一定の直流電圧に保って低電圧駆動を実現し得る液晶表示装置を提供することができる。
【0020】
また、本発明の液晶表示装置は、上記記載の液晶表示装置において、前記補助容量配線用信号入力配線には、ソース配線からのソース信号波形と同期し、かつ1フレーム毎に位相を逆転させた矩形波が入力されることを特徴としている。
【0021】
上記の発明によれば、前記補助容量配線用信号入力配線には、ソース配線からのソース信号波形と同期し、かつ1フレーム毎に位相を逆転させた矩形波が入力される。
【0022】
したがって、補助容量配線を、該補助容量配線と同じ行のゲート配線のゲートON時間と次の行のゲート配線のゲートON時間とにそれぞれ異なった電圧を印加することが可能となる。また、次のフレームでは、補助容量配線と同じ行のゲート配線がONになるまで、電位は保持される。さらに、次のフレームでは、補助容量配線用信号入力配線に印加される矩形波の位相が逆転されているため、この段階では補助容量配線の電位変動はなく、次の行のゲート配線がONになって初めて補助容量配線の電位が変動する。
【0023】
このような駆動を行うことによって、対向電極を一定の直流電圧に保持しつつ、ドレイン電極つまり画素電極と対向電極との間の電圧をソース振幅以上に拡大することが可能となる。したがって、ソース信号の電位に応じて液晶を交流駆動することができる。
【0024】
また、本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するために、液晶層を介在して対向配置される一対の基板のうち、一方の基板に複数のアクティブ素子をマトリクス状に設け、走査信号を供給するゲート配線及びデータ信号を供給するソース配線にて上記アクティブ素子を通して液晶層に所望の電圧を印加することにより液晶層への光の透過率又は反射率を制御して各画素を表示する一方、補助容量電極として機能する補助容量配線を各行のゲート配線毎に該ゲート配線と平行にそれぞれ有し、上記アクティブ素子への走査信号入力後に上記補助容量配線の電位を独立に制御する液晶表示装置において、上記各行の補助容量配線に電位を供給する2本以上の補助容量配線用信号入力配線を、ゲート配線に直交して配置するとともに、上記2本以上の補助容量配線用信号入力配線には、フレーム周期と同期した矩形波が印加され、かつ少なくとも1本の第1種補助容量配線用信号入力配線には、残りの第2種補助容量配線用信号入力配線とは逆位相の矩形波が印加される一方、上記各行の補助容量配線は、2つ以上の並列に設けられたスイッチング素子を介して上記各補助容量配線用信号入力配線にそれぞれ接続されているとともに、第n行(nは1以上の整数)の補助容量配線では、上記少なくとも1本の第1種補助容量配線用信号入力配線に接続されるスイッチング素子は、補助容量配線と同じ行のゲート配線によって制御され、残りの第2種補助容量配線用信号入力配線に接続されるスイッチング素子は次行のゲート配線によって制御される一方、第n+1行(nは1以上の整数)の補助容量配線では、上記少なくとも1本の第1種補助容量配線用信号入力配線に接続されるスイッチング素子は次行のゲート配線によって制御され、残りの第2種補助容量配線用信号入力配線に接続されるスイッチング素子は、補助容量配線と同じ行のゲート配線によって制御されることを特徴としている。
【0025】
上記の発明によれば、各行の補助容量配線に電位を供給する2本以上の補助容量配線用信号入力配線を、ゲート配線に直交して配置する。また、2本以上の補助容量配線用信号入力配線には、フレーム周期と同期した矩形波が印加され、かつ少なくとも1本の第1種補助容量配線用信号入力配線には、残りの第2種補助容量配線用信号入力配線とは逆位相の矩形波が印加される。さらに、各行の補助容量配線は、2つ以上の並列に設けられたスイッチング素子を介して上記各補助容量配線用信号入力配線にそれぞれ接続されている。そして、第n行(nは1以上の整数)の補助容量配線では、上記少なくとも1本の第1種補助容量配線用信号入力配線に接続されるスイッチング素子は、補助容量配線と同じ行のゲート配線によって制御され、残りの第2種補助容量配線用信号入力配線に接続されるスイッチング素子は次行のゲート配線によって制御される。一方、第n+1行(nは1以上の整数)の補助容量配線では、上記少なくとも1本の第1種補助容量配線用信号入力配線に接続されるスイッチング素子は次行のゲート配線によって制御され、残りの第2種補助容量配線用信号入力配線に接続されるスイッチング素子は、補助容量配線と同じ行のゲート配線によって制御される。
【0026】
これによって、各行の補助容量配線毎にドライバを設けることなく、補助容量配線の電位を制御することが可能となり、対向電極を一定の直流電圧に保って低電圧駆動を実現することができる。
【0027】
また、各行の補助容量配線に電位を供給する補助容量配線用信号入力配線を、例えば少なくとも2本用いる。そして、補助容量配線用信号入力配線からの信号入力を並列に設けられたスイッチング素子にて切り替える。この結果、補助容量配線用信号入力配線の本数が少なくなるので、パネル周辺部で配線の引き回しのための額縁面積が増大することも回避できる。また、補助容量配線用信号入力配線の本数が少なくなること、及び各補助容量配線毎にドライバを設けていないことから、構造も簡単である。
【0028】
さらに、補助容量配線用信号入力配線の本数を増やすことによって、補助容量配線用信号入力配線に入力する矩形波の周期を1フレーム周期に設定することが可能となり、また、電流供給能力を増加させることができるので、補助容量配線用信号入力配線を駆動するための電力を低減することが可能となる。
【0029】
したがって、額縁面積が増大するのを極力回避し、簡便かつ低コストで、対向電極を一定の直流電圧に保って低電圧駆動を実現し得る液晶表示装置を提供することができる。
【0030】
また、本発明の液晶表示装置は、上記記載の液晶表示装置において、前記ゲート配線が延びる方向に隣り合う各画素のドレイン電極におけるドレイン電位の極性を互いに反転させた駆動を行うとともに、上記ドレイン電極の延長上に形成される補助容量用電極パッドに対向する補助容量電極がそれぞれ設けられているとともに、第m(mは1以上の整数)列の補助容量電極は、ゲート配線の行と同じ行の補助容量配線に接続される一方、第m+1(mは1以上の整数)列の補助容量電極は、ゲート配線を乗り越えて、次行のゲート配線に対応する補助容量配線に接続されていることを特徴としている。
【0031】
上記の発明によれば、ゲート配線が延びる方向に隣り合う各画素のドレイン電極におけるドレイン電位の極性を互いに反転させた駆動を行う。また、ドレイン電極の延長上に形成される補助容量用電極パッドに対向する補助容量電極がそれぞれ設けられているとともに、第m(mは1以上の整数)列の補助容量電極は、ゲート配線の行と同じ行の補助容量配線に接続される一方、第m+1(mは1以上の整数)列の補助容量電極は、ゲート配線を乗り越えて、次行のゲート配線に対応する補助容量配線に接続されている。
【0032】
したがって、このような構成を採ることにより、ちらつき防止のため、ゲート配線が延びる方向に隣り合う画素のドレイン電位の極性を反転させた駆動を行う場合でも、ドレイン電極の極性に応じて補助容量電極の電位を制御することが可能となり、低消費電力駆動が可能となる。
【0033】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0034】
本実施の形態におけるアクティブマトリクス型の反射型液晶表示装置は、図2に示すように、基板としてのカラーフィルタ側ガラス基板1と、一方の基板としてのTFT側ガラス基板2との間にネマチック液晶からなる液晶層3が挟持されている。
【0035】
上記のTFT側ガラス基板2上にはアクティブ素子としてのTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)素子4…が1画素毎に設けられている。上記TFT素子4によって制御される電圧は、コンタクトホール11を通して反射電極からなる画素電極6に印加され、カラーフィルタ側ガラス基板1上の透明電極からなる対向電極12との間の電位差によって液晶層3を駆動する。
【0036】
一方、カラーフィルタ側ガラス基板1の上面には、入射光の状態を制御するため、偏光板10、位相差板9及び散乱板8が設置されるとともに、カラーフィルタ側ガラス基板1の下面には、カラーフィルタ7が設置されている。
【0037】
上記の各画素のTFT素子4…に対しては、図3に示すように、走査信号をTFT素子4…に供給するゲート配線としてのゲートバスライン15…と、TFT素子4…にデータ信号を供給するソース配線としてのソースバスライン16…とがそれぞれ直交して配置されている。
【0038】
また、TFT素子4のドレイン電極13における延長上には補助容量用電極パッド13aが矩形状に形成されているとともに、この補助容量用電極パッド13aの下方には、この補助容量用電極パッド13aとの間に補助容量Cs(Storage Capacitor)を形成するための補助容量配線としてのCsバスライン14…がゲートバスライン15…と独立してこのゲートバスライン15に平行に形成されている。また、上記Csバスライン14における補助容量用電極パッド13aの下方部分は、同図に示すように、この補助容量用電極パッド13aの面積よりも少し大きい面積を有する矩形状の補助容量電極としてのCs電極14aとなっている。なお、上記Cs電極14aを含むCsバスライン14と補助容量用電極パッド13aとの間には、ゲート絶縁膜18(図2参照)が配置されている。
【0039】
また、本実施の形態では、上記Csバスライン14を制御するために、図1に示すように、パネル周辺部の非表示部である非表示エリアに、補助容量配線用信号入力配線としてのCsバスライン信号入力配線21と、1本のCsバスライン14に対して2つのスイッチング素子22・23とを配置している。すなわち、上記各Csバスライン14…は、2つの並列に設けられたスイッチング素子22・23を介してCsバスライン信号入力配線21にパネル内の非表示部にて接続されている。
【0040】
上記Csバスライン信号入力配線21には、ソースバスライン16…のソース信号と同期した矩形波が印加される。
【0041】
また、上記のスイッチング素子22・23は、Csバスライン信号入力配線21と各Csバスライン14…との各交点に2つ以上設けることが可能であり、この場合、少なくとも1つのスイッチング素子22は、Csバスライン14と同じ行のゲートバスライン15によって制御される一方、他の残りのスイッチング素子23…は次行のゲートバスライン15によって制御されるようになっている。すなわち、例えば、スイッチング素子が3個以上ある場合には、第1番目のスイッチング素子は、Csバスライン14と同じ行のゲートバスライン15によって制御される一方、第2番目、第3番目のスイッチング素子は、いずれも次行のゲートバスライン15によって制御される。
【0042】
上記構成を有する反射型液晶表示装置において、高電圧印加して黒表示を行う場合の駆動動作を、図1及び図4(a)〜(f)に基づいて説明する。
【0043】
先ず、図1及び図4(a)に示すように、第n番目のゲートバスライン15におけるゲートハイ(High)電圧Vghが例えば+10Vのとき、第n行のドレイン電極13には、図4(c)に示すソース電圧までの電位が書き込まれる。つまり、前記画素電極6にソース電圧までの電位(0〜+5V)が書き込まれる。
【0044】
次に、図4(a)に示すように、n番目のゲートバスライン15がゲートロー(Low)電圧Vgl=−15Vに立ち下がるとき、ゲートバスライン15とドレイン電極13との図示しない寄生容量Cgdのために、ドレイン電極13の電位は、ドレイン電極電位差△Vcgd=0.6Vだけ低下する。したがって、このとき、図4(f)に示すように、画素電極6と対向電極12との間の電位差が、このドレイン電極電位差△Vcgd=0.6Vだけ低下する。
【0045】
このとき、n番目のCsバスライン14は、n番目のゲートバスライン15によるスイッチング素子22のONによってCsバスライン信号入力配線21と接続されている。したがって、これによって、図4(d)に示すように、n番目のCsバスライン14のCs電極14aには、ソースバスライン16のソース電圧5Vとは逆位相の電位である0Vが書き込まれている。
【0046】
次に、図4(b)に示すように、n+1番目のゲートバスライン15が、ゲートハイ(High)電圧Vgh=+10Vとなる。このとき、Csバスライン14は、n+1番目のゲートバスライン15によるスイッチング素子23のONによってCsバスライン信号入力配線21と接続される。その結果、Cs電極14aは、図4(d)に示すように、+5Vとなる。このとき、ドレイン電極13のドレイン電圧つまり画素電極6の電圧は、Cs電極14aのCs電位変動との容量結合によって変動する。
【0047】
これら一連の動作での電圧と電荷移動との関係を以下にまとめる。
【0048】
先ず、n番目のゲートバスライン15におけるTFT素子4…のゲートが閉じられてONとなったときドレイン電極13及びCs電極14aに蓄えられる電荷は、
ドレイン電荷Qd1=Clc×(Vd1−Vcom)
Cs電極電荷Qcs1=Ccs×(Vd1−Vcs1)
となる。ここで、Clcはドレイン電極容量つまり液晶容量、CcsはCs電極容量を表す。また、Vd1はTFT素子4のONにおけるドレイン電圧つまり画素電極6の電圧、Vcomは対向電極12の電圧、Vcs1はCsバスライン14及びCs電極14aのTFT素子4のONにおける電圧である。
【0049】
次に、n+1番目のゲートバスライン15がゲートハイ(High)電圧Vghになり、かつCsバスライン14及びCs電極14aが変動後電圧Vcs2になると、ドレイン電極13は、Cs電極14aとの容量結合のため、変動後ドレイン電圧Vd2へ変動する。このとき、以下の関係を満たす。
【0050】
Qd2/Clc+Qcs2/Ccs=Vcs2
Qd2−Qcs2=Qd1+Qcs1
ここで、Qd2は変動後ドレイン電荷、Qcs2は変動後Cs電極電荷を表す。
【0051】
以上の式より、
変動後ドレイン電圧Vd2=(Clc×Vd1+Ccs×Vcs2+Ccs×(Vd1−Vcom−Vcs1))/(Clc+Ccs)
となる。
【0052】
ここで、例えば、ドレイン電極容量Clc=0.5pF、Cs電極容量Ccs=0.5pF、ドレイン電極電位差△Vcgd=−0.6Vを考慮して、図4(e)に示す対向電極電位Vcom=1.9V、ドレイン電圧Vd1=4.4V、図4(d)に示すCs電極電位Vcs1=0V、変動後Cs電極電位Vcs2=5Vを入力すると、ドレイン電圧Vd2=6.9Vとなる。
【0053】
同様に、負極性のときは、対向電極電位Vcom=1.9V、ドレイン電圧Vd1=−0.6V、Cs電極電位Vcs1=5V、変動後Cs電極電位Vcs2=0Vを入力すると、変動後ドレイン電圧Vd2=−3.1Vとなる。
【0054】
一方、白表示の時は、対向電極電位Vcom=1.9V、ドレイン電圧Vd1=−0.6V、Cs電極電位Vcs1=0V、変動後Cs電極電位Vcs2=5Vを入力すると、変動後ドレイン電圧Vd2=1.9Vとなる。
【0055】
同様に、負極性のときは、対向電極電位Vcom=1.9V、ドレイン電圧Vd1=4.4V、Cs電極電位Vcs1=5V、変動後Cs電極電位Vcs2=0Vを入力すると、変動後ドレイン電圧Vd2=1.9Vとなる。
【0056】
すなわち、ドレイン電圧Vd1(ソース振幅)を0〜5Vの範囲で振幅させることによって、変動後ドレイン電圧Vd2を、対向電極電位Vcomを中心として±5Vで振幅させることが可能となることがわかる。
【0057】
換言すると、対向電極12には、例えば、対向電極電位Vcom=1.9V等の直流の一定電圧を印加していても、ソース電圧Vsの振幅以上にドレイン電圧振幅を増大させることが可能であり、液晶に十分な電圧を印加することが可能となる。
【0058】
なお、本実施の形態では、パネルの片側の非表示部に、Csバスライン14の1本につき2つのスイッチング素子22・23及びCsバスライン信号入力配線21を配したものを配置した例を示した。しかし、必ずしもこれに限らず、例えば、パネルの右片側の非表示部にCsバスライン14の1本につき1つのスイッチング素子22及びCsバスライン信号入力配線21を配するとともに、パネルの左片側の非表示部にCsバスライン14の1本につき1つのスイッチング素子23及びCsバスライン信号入力配線21を配して、それぞれをCsバスライン14と同じ行のゲートバスライン15と次行のゲートバスライン15とで駆動してもよい。また、パネルの片側の非表示部にCsバスライン14の1本につき1つのスイッチング素子22・23及びCsバスライン信号入力配線21を配した組み合わせを左右に配置して、それぞれをCsバスライン14と同じ行のゲートバスライン15と次行のゲートバスライン15とで駆動してもよい。
【0059】
前者の場合はスイッチング素子22・23を配置するための面積が拡大するため、能力の大きなスイッチング素子22・23を形成することが可能になり、また後者の場合は、スイッチング素子22・23の数を増やすことによって電流供給能力を増加させることが可能である。
【0060】
このように、本実施の形態の反射型液晶表示装置では、各行のCsバスライン14に電位を供給するCsバスライン信号入力配線21が、ゲートバスライン15に直交して配置される。また、各行のCsバスライン14…は、2つ以上の並列に設けられたスイッチング素子22・23を介してCsバスライン信号入力配線21に接続されている。さらに、少なくとも1つのスイッチング素子22は、Csバスライン14と同じ行のゲートバスライン15によって制御され、残りのスイッチング素子23は次行のゲートバスライン15によって制御される。
【0061】
これによって、各行のCsバスライン14…毎にドライバを設けることなく、Csバスライン14…の電位を制御することが可能となり、対向電極12を一定の直流電圧に保って低電圧駆動を実現することができる。
【0062】
また、各行のCsバスライン14…に電位を供給するCsバスライン信号入力配線21は、1本だけでよい。これは、本実施の形態では、Csバスライン信号入力配線21からの信号入力を並列に設けられたスイッチング素子22・23にて切り替えているためである。この結果、Csバスライン信号入力配線21の本数を少なく抑えることができるので、パネル周辺部で配線の引き回しのための額縁面積が増大することも回避できる。また、Csバスライン信号入力配線21の本数を少なく抑えること、及び各Csバスライン14…毎にドライバを設けていないことから、構造も簡単である。
【0063】
なお、各行のCsバスライン14…に電位を供給するCsバスライン信号入力配線21は、複数本設けることも可能である。すなわち、例えば、同種の信号を供給するCsバスライン信号入力配線21…を複数本設けることによって、1本当たりのCsバスライン信号入力配線21の供給電圧を低減することができる。
【0064】
また、Csバスライン信号入力配線21…を複数本設ける場合に、例えば、液晶表示装置の左右に1本ずつ配する場合には、パネル周辺部で配線の引き回しのための額縁面積が増大することも殆どない。
【0065】
したがって、額縁面積が増大するのを極力回避し、簡便かつ低コストで、対向電極12を一定の直流電圧に保って低電圧駆動を実現し得る液晶表示装置を提供することができる。
【0066】
また、本実施の形態の液晶表示装置では、Csバスライン信号入力配線21には、ソースバスライン16からのソース信号波形と同期し、かつ1フレーム毎に位相を逆転させた矩形波が入力される。
【0067】
したがって、Csバスライン14を、該Csバスライン14と同じ行のゲートバスライン15のゲートON時間と次の行のゲートバスライン15のゲートON時間とにそれぞれ異なった電圧を印加することが可能となる。また、次のフレームでは、Csバスライン14と同じ行のゲートバスライン15がONになるまで、電位は保持される。さらに、次のフレームでは、Csバスライン信号入力配線21に印加される矩形波の位相が逆転されているため、この段階ではCsバスライン14の電位変動はなく、次の行のゲートバスライン15がONになって初めてCsバスライン14の電位が変動する。
【0068】
このような駆動を行うことによって、対向電極12を一定の直流電圧に保持しつつ、ドレイン電極13つまり画素電極6と対向電極12との間の電圧をソース振幅以上に拡大することが可能となる。したがって、ソース信号の電位に応じて液晶を交流駆動することができる。
【0069】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、上記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
本実施の形態の反射型液晶表示装置は、前記実施の形態1と同様の画素構造をもつTFTパネルにおいて、図5に示すように、1本のCsバスライン14を制御するために、パネル周辺部片側の非表示エリアに2本のCsバスライン信号入力配線24・25を配している。そして、各Csバスライン信号入力配線24・25は、それぞれスイッチング素子22・23を介して、Csバスライン14と接続されている。
【0071】
ここで、一方のスイッチング素子22は、Csバスライン14と同じ行のゲートバスライン15によって制御されるようになっているとともに、他方のスイッチング素子23は、次行のゲートバスライン15によって制御されるように配置されている。
【0072】
さらに、次行のCsバスライン14は、別々のCsバスライン信号入力配線24・25との接続順序が反対となるよう配置している。
【0073】
すなわち、n番目のゲートバスライン15に対応するCsバスライン14では、Csバスライン14と同じ行のゲートバスライン15によって制御されるスイッチング素子22が第1種補助容量配線用信号入力配線としてのCsバスライン信号入力配線24に接続され、かつ次行のゲートバスライン15によって制御されるスイッチング素子23が第2種補助容量配線用信号入力配線としてのCsバスライン信号入力配線25に接続されている。
【0074】
これに対して、n+1番目のゲートバスライン15に対応するCsバスライン14では、Csバスライン14と同じ行のゲートバスライン15によって制御されるスイッチング素子22がCsバスライン信号入力配線25に接続され、かつ次行のゲートバスライン15によって制御されるスイッチング素子23がCsバスライン信号入力配線24に接続されている。
【0075】
なお、n+2番目のゲートバスライン15に対応するCsバスライン14では、接続関係は、前記n番目のゲートバスライン15に対応するCsバスライン14との関係と同じである。
【0076】
上記Csバスライン信号入力配線24・25には、いずれもフレーム周期と同期した矩形波が入力される。ただし、各Csバスライン信号入力配線24・25には、互いに逆位相の信号が入力される。
【0077】
このような構造でも、実施の形態1と同様の動作をすることが確認された。
【0078】
なお、本実施の形態では、パネルの片側の非表示部に、Csバスライン14の1本につき2つのスイッチング素子22・23を配置した例を示した。しかし、必ずしもこれに限らず、例えば、パネルの片側の非表示部に、Csバスライン14の1本につき2つのスイッチング素子22・23及びCsバスライン信号入力配線24・25をパネルの左右に1つずつ配置し、それぞれをCsバスライン14と同じ行のゲートバスライン15と次行のゲートバスライン15とで駆動してもよく、また、左右に2つずつ配置しても良い。
【0079】
前者の場合はスイッチング素子22・23を配置するための面積が拡大するため、能力の大きなスイッチング素子22・23を形成することが可能になり、また後者の場合は、スイッチング素子22・23の数を増やすことによって電流供給能力を増加させることが可能である。
【0080】
また、実施の形態1に示したように、Csバスライン信号入力配線24・25について、同種の信号のCsバスライン信号入力配線24・24及びCsバスライン信号入力配線25・25を複数本ずつ設けることも可能である。
【0081】
このように、本実施の形態の液晶表示装置では、各行のCsバスライン14…に電位を供給する2本以上のCsバスライン信号入力配線24・25を、ゲートバスライン15に直交して配置する。また、2本以上のCsバスライン信号入力配線24・25には、フレーム周期と同期した矩形波が印加され、かつ少なくとも1本のCsバスライン信号入力配線24には、残りのCsバスライン信号入力配線25とは逆位相の矩形波が印加される。さらに、各行のCsバスライン14…は、2つ以上の並列に設けられたスイッチング素子22・23を介して各Csバスライン信号入力配線24・25にそれぞれ接続されている。
【0082】
そして、第n行(nは1以上の整数)のCsバスライン14では、少なくとも1本のCsバスライン信号入力配線24に接続されるスイッチング素子22は、Csバスライン14と同じ行のゲートバスライン15によって制御され、残りのCsバスライン信号入力配線25に接続されるスイッチング素子23は次行のゲートバスライン15によって制御される。
【0083】
一方、第n+1行(nは1以上の整数)のCsバスライン14では、少なくとも1本のCsバスライン信号入力配線24に接続されるスイッチング素子22は次行のゲートバスライン15によって制御され、残りのCsバスライン信号入力配線25に接続されるスイッチング素子23は、Csバスライン14と同じ行のゲートバスライン15によって制御される。
【0084】
これによって、各行のCsバスライン14…毎にドライバを設けることなく、Csバスライン14の電位を制御することが可能となり、対向電極12を一定の直流電圧に保って低電圧駆動を実現することができる。
【0085】
また、各行のCsバスライン14…に電位を供給するCsバスライン信号入力配線24・25を、少なくとも2本用いる。そして、Csバスライン信号入力配線24・25からの信号入力を並列に設けられたスイッチング素子22・23にて切り替える。この結果、Csバスライン信号入力配線24・25の本数を少なく抑えることができるので、パネル周辺部で配線の引き回しのための額縁面積が増大することも回避できる。また、Csバスライン信号入力配線24・25の本数を少なく抑えること、及び各Csバスライン14…毎にドライバを設けていないことから、構造も簡単である。
【0086】
さらに、Csバスライン信号入力配線24・25の本数を2本に増やすことによって、Csバスライン信号入力配線24・25に入力する矩形波の周期を1フレーム周期に設定することが可能となり、また、電流供給能力を増加させることができるので、Csバスライン信号入力配線24・25を駆動するための電力を低減することが可能となる。
【0087】
したがって、額縁面積が増大するのを極力回避し、簡便かつ低コストで、対向電極12を一定の直流電圧に保って低電圧駆動を実現し得る液晶表示装置を提供することができる。
【0088】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、上記の実施の形態1及び実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0089】
本実施の形態では、ゲートバスライン15が延びる方向に隣り合う画素のドレイン電位の極性を反転させた駆動を行う場合について説明する。
【0090】
本実施の形態の反射型液晶表示装置は、図6に示すように、TFT素子4に走査信号を供給するゲートバスライン15と、TFT素子4にデータ信号を供給するソースバスライン16とが直交して配置され、ドレイン電極13の延長上に形成された補助容量用電極パッド13aとの間に補助容量を形成するためのCsバスライン14がゲートバスライン15…と独立して形成されている。なお、Cs電極14aは、前記ゲート絶縁膜18を介してドレイン電極13の補助容量用電極パッド13aの下層に配置されている。
【0091】
本実施の形態では、ゲートバスライン15が延びる方向に隣り合う画素の極性が反転しているため、前記実施の形態1及び実施の形態2のように、隣り合う画素を同一のCsバスライン14と容量結合させて振幅の増大を図ることができない。
【0092】
このため、Cs電極14aは、Csバスライン14に対して各行毎に互い違いに配置され、さらに、一方のCs電極14aはゲートバスライン15を乗り越え、上行の画素Cs電極14aを形成する構成となっている。
【0093】
また、Csバスライン14…を制御するため、パネル周辺部の非表示エリアに、実施の形態1と同様の構造を形成している。
【0094】
すなわち、前記Csバスライン信号入力配線21と1本のCsバスライン14とに対して2つのスイッチング素子22・23を配置している(前記図1参照)。このとき、Csバスライン信号入力配線21には、ソース信号と同期した矩形波を印加する。
【0095】
なお、本実施の形態では、Csバスライン14…を制御するため、パネル周辺部の非表示エリアに、実施の形態1と同様の構造を形成しているが、必ずしもこれに限らず、Csバスライン14…を制御するため、パネル周辺部の非表示エリアに、実施の形態2と同様の構造を形成することも可能である(前記図5参照)。
【0096】
このような構成を採用することによって、ゲート方向に隣り合う画素のドレイン電位の極性を反転させた駆動を行う場合でも、画素の極性に応じ電圧を増大することが可能になり、実施の形態1と同様の動作をすることが確かめられた。
【0097】
このように、本実施の形態の反射型液晶表示装置では、ゲートバスライン15が延びる方向に隣り合う各画素のドレイン電極13におけるドレイン電位の極性を互いに反転させた駆動を行う。また、ドレイン電極13の延長上に形成される補助容量用電極パッド13aに対向するCs電極14aがそれぞれ設けられているとともに、第m(mは1以上の整数)列のCs電極14a…は、ゲートバスライン15の行と同じ行のCsバスライン14に接続される一方、第m+1(mは1以上の整数)列のCs電極14aは、ゲートバスライン15を乗り越えて、次行のゲートバスライン15に対応するCsバスライン14に接続されている。
【0098】
したがって、このような構成を採ることにより、ちらつき防止のため、ゲートバスライン15が延びる方向に隣り合う画素のドレイン電位の極性を反転させた駆動を行う場合でも、ドレイン電極13の極性に応じてCs電極14aの電位を制御することが可能となり、低消費電力駆動が可能となる。
【0099】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的手段に含まれる。
【0100】
【発明の効果】
本発明の液晶表示装置は、以上のように、各行の補助容量配線に電位を供給する少なくとも1本以上の補助容量配線用信号入力配線を、ゲート配線に直交して配置するとともに、上記各行の補助容量配線は、2つ以上の並列に設けられたスイッチング素子を介して上記補助容量配線用信号入力配線に接続されている一方、上記少なくとも1つのスイッチング素子は、補助容量配線と同じ行のゲート配線によって制御され、残りのスイッチング素子は次行のゲート配線によって制御されるものである。
【0101】
それゆえ、各行の補助容量配線毎にドライバを設けることなく、補助容量配線の電位を制御することが可能となり、対向電極を一定の直流電圧に保って低電圧駆動を実現することができる。
【0102】
また、各行の補助容量配線に電位を供給する補助容量配線用信号入力配線は、1本だけでよい。これは、本発明では、補助容量配線用信号入力配線からの信号入力を並列に設けられたスイッチング素子にて切り替えているためである。この結果、補助容量配線用信号入力配線の本数を少なく抑えることができるので、パネル周辺部で配線の引き回しのための額縁面積が増大することも回避できる。また、補助容量配線用信号入力配線の本数を少なく抑えること、及び各補助容量配線毎にドライバを設けていないことから、構造も簡単である。
【0103】
また、同種の信号を供給する補助容量配線用信号入力配線を複数本設けることによって、1本当たりの補助容量配線用信号入力配線の供給電圧を低減することができる。
【0104】
したがって、額縁面積が増大するのを極力回避し、簡便かつ低コストで、対向電極を一定の直流電圧に保って低電圧駆動を実現し得る液晶表示装置を提供することができるという効果を奏する。
【0105】
また、本発明の液晶表示装置は、上記記載の液晶表示装置において、前記補助容量配線用信号入力配線には、ソース配線からのソース信号波形と同期し、かつ1フレーム毎に位相を逆転させた矩形波が入力されるものである。
【0106】
それゆえ、補助容量配線を、該補助容量配線と同じ行のゲート配線のゲートON時間と次の行のゲート配線のゲートON時間とにそれぞれ異なった電圧を印加することが可能となる。また、次のフレームでは、補助容量配線と同じ行のゲート配線がONになるまで、電位は保持される。さらに、次のフレームでは、補助容量配線用信号入力配線に印加される矩形波の位相が逆転されているため、この段階では補助容量配線の電位変動はなく、次の行のゲート配線がONになって初めて補助容量配線の電位が変動する。
【0107】
このような駆動を行うことによって、対向電極を一定の直流電圧に保持しつつ、ドレイン電極つまり画素電極と対向電極との間の電圧をソース振幅以上に拡大することが可能となる。したがって、ソース信号の電位に応じて液晶を交流駆動することができるという効果を奏する。
【0108】
また、本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するために、各行の補助容量配線に電位を供給する2本以上の補助容量配線用信号入力配線を、ゲート配線に直交して配置するとともに、上記2本以上の補助容量配線用信号入力配線には、フレーム周期と同期した矩形波が印加され、かつ少なくとも1本の第1種補助容量配線用信号入力配線には、残りの第2種補助容量配線用信号入力配線とは逆位相の矩形波が印加される一方、上記各行の補助容量配線は、2つ以上の並列に設けられたスイッチング素子を介して上記各補助容量配線用信号入力配線にそれぞれ接続されているとともに、第n行(nは1以上の整数)の補助容量配線では、上記少なくとも1本の第1種補助容量配線用信号入力配線に接続されるスイッチング素子は、補助容量配線と同じ行のゲート配線によって制御され、残りの第2種補助容量配線用信号入力配線に接続されるスイッチング素子は次行のゲート配線によって制御される一方、第n+1行(nは1以上の整数)の補助容量配線では、上記少なくとも1本の第1種補助容量配線用信号入力配線に接続されるスイッチング素子は次行のゲート配線によって制御され、残りの第2種補助容量配線用信号入力配線に接続されるスイッチング素子は、補助容量配線と同じ行のゲート配線によって制御されるものである。
【0109】
それゆえ、各行の補助容量配線毎にドライバを設けることなく、補助容量配線の電位を制御することが可能となり、対向電極を一定の直流電圧に保って低電圧駆動を実現することができる。
【0110】
また、各行の補助容量配線に電位を供給する補助容量配線用信号入力配線を、例えば少なくとも2本用いる。そして、補助容量配線用信号入力配線からの信号入力を並列に設けられたスイッチング素子にて切り替える。この結果、補助容量配線用信号入力配線の本数が少なくなるので、パネル周辺部で配線の引き回しのための額縁面積が増大することも回避できる。また、補助容量配線用信号入力配線の本数が少なくなること、及び各補助容量配線毎にドライバを設けていないことから、構造も簡単である。
【0111】
さらに、補助容量配線用信号入力配線の本数を増やすことによって、補助容量配線用信号入力配線に入力する矩形波の周期を1フレーム周期に設定することが可能となり、また、電流供給能力を増加させることができるので、補助容量配線用信号入力配線を駆動するための電力を低減することが可能となる。
【0112】
したがって、額縁面積が増大するのを極力回避し、簡便かつ低コストで、対向電極を一定の直流電圧に保って低電圧駆動を実現し得る液晶表示装置を提供することができるという効果を奏する。
【0113】
また、本発明の液晶表示装置は、上記記載の液晶表示装置において、前記ゲート配線が延びる方向に隣り合う各画素のドレイン電極におけるドレイン電位の極性を互いに反転させた駆動を行うとともに、上記ドレイン電極の延長上に形成される補助容量用電極パッドに対向する補助容量電極がそれぞれ設けられているとともに、第m(mは1以上の整数)列の補助容量電極は、ゲート配線の行と同じ行の補助容量配線に接続される一方、第m+1(mは1以上の整数)列の補助容量電極は、ゲート配線を乗り越えて、次行のゲート配線に対応する補助容量配線に接続されているものである。
【0114】
それゆえ、このような構成を採ることにより、ちらつき防止のため、ゲート配線が延びる方向に隣り合う画素のドレイン電位の極性を反転させた駆動を行う場合でも、ドレイン電極の極性に応じて補助容量電極の電位を制御することが可能となり、低消費電力駆動が可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における反射型液晶表示装置の実施の一形態を示すものであり、パネル周辺部の非表示エリア近傍の構成を詳細に示す平面図である。なお、同図上側部分は画素電極を上から見たものであり、同図下側部分は画素電極を除いてドレイン電極を上から見たものである。
【図2】上記反射型液晶表示装置の表示エリアの構成を示す断面図である。
【図3】上記反射型液晶表示装置の表示エリアの構成を示す平面図である。なお、同図中央部分は画素電極を上から見たものであり、同図右側部分は画素電極を除いてドレイン電極を上から見たものである。
【図4】(a)〜(f)は、上記反射型液晶表示装置の駆動波形を示す模式図であり、横軸は各フレームの推移を表す。
【図5】本発明における反射型液晶表示装置の他の実施の形態を示すものであり、反射型液晶表示装置におけるパネル周辺部の非表示エリアの構成を詳細に示す平面図である
【図6】本発明における反射型液晶表示装置のさらに他の実施の形態を示すものであり、反射型液晶表示装置におけるパネル周辺部の非表示エリアの構成を詳細に示す平面図である。
【図7】従来のアクティブ素子付反射型液晶表示装置の1画素を示す等価回路図である。
【図8】(a)〜(d)は、上記反射型液晶表示装置の駆動波形を示す模式図であり、横軸は各フレームの推移を表す。
【符号の説明】
1 カラーフィルタ側ガラス基板(基板)
2 TFT側ガラス基板(一方の基板)
3 液晶層
4 TFT素子
5 絶縁膜
6 画素電極
11 コンタクトホール
12 対向電極
13 ドレイン電極
13a 補助容量用電極パッド
14 Csバスライン(補助容量配線)
14a Cs電極(補助容量電極)
15 ゲートバスライン(ゲート配線)
16 ソースバスライン(ソース配線)
17 Cs電極
18 ゲート絶縁膜
19 i型半導体層
20 n型半導体層
21 Csバスライン信号入力配線(補助容量配線用信号入力配線)
22 スイッチング素子
23 スイッチング素子
24 Csバスライン信号入力配線(補助容量配線用信号入力配線、第1種補助容量配線用信号入力配線)
25 Csバスライン信号入力配線(補助容量配線用信号入力配線、第2種補助容量配線用信号入力配線)

Claims (4)

  1. 液晶層を介在して対向配置される一対の基板のうち、一方の基板に複数のアクティブ素子をマトリクス状に設け、走査信号を供給するゲート配線及びデータ信号を供給するソース配線にて上記アクティブ素子を通して液晶層に所望の電圧を印加することにより液晶層への光の透過率又は反射率を制御して各画素を表示する一方、補助容量電極として機能する補助容量配線を各行のゲート配線毎に該ゲート配線と平行にそれぞれ有し、上記アクティブ素子への走査信号入力後に上記補助容量配線の電位を独立に制御する液晶表示装置において、
    上記各行の補助容量配線に電位を供給する少なくとも1本以上の補助容量配線用信号入力配線を、ゲート配線に直交して配置するとともに、
    上記各行の補助容量配線は、2つ以上の並列に設けられたスイッチング素子を介して上記補助容量配線用信号入力配線に接続されている一方、
    上記少なくとも1つのスイッチング素子は、補助容量配線と同じ行のゲート配線によって制御され、残りのスイッチング素子は次行のゲート配線によって制御されることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記補助容量配線用信号入力配線には、ソース配線のソース信号波形と同期し、かつ1フレーム毎に位相を逆転させた矩形波が入力されることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
  3. 液晶層を介在して対向配置される一対の基板のうち、一方の基板に複数のアクティブ素子をマトリクス状に設け、走査信号を供給するゲート配線及びデータ信号を供給するソース配線にて上記アクティブ素子を通して液晶層に所望の電圧を印加することにより液晶層への光の透過率又は反射率を制御して各画素を表示する一方、補助容量電極として機能する補助容量配線を各行のゲート配線毎に該ゲート配線と平行にそれぞれ有し、上記アクティブ素子への走査信号入力後に上記補助容量配線の電位を独立に制御する液晶表示装置において、
    上記各行の補助容量配線に電位を供給する2本以上の補助容量配線用信号入力配線を、ゲート配線に直交して配置するとともに、
    上記2本以上の補助容量配線用信号入力配線には、フレーム周期と同期した矩形波が印加され、かつ少なくとも1本の第1種補助容量配線用信号入力配線には、残りの第2種補助容量配線用信号入力配線とは逆位相の矩形波が印加される一方、
    上記各行の補助容量配線は、2つ以上の並列に設けられたスイッチング素子を介して上記各補助容量配線用信号入力配線にそれぞれ接続されているとともに、第n行(nは1以上の整数)の補助容量配線では、上記少なくとも1本の第1種補助容量配線用信号入力配線に接続されるスイッチング素子は、補助容量配線と同じ行のゲート配線によって制御され、残りの第2種補助容量配線用信号入力配線に接続されるスイッチング素子は次行のゲート配線によって制御される一方、
    第n+1行(nは1以上の整数)の補助容量配線では、上記少なくとも1本の第1種補助容量配線用信号入力配線に接続されるスイッチング素子は次行のゲート配線によって制御され、残りの第2種補助容量配線用信号入力配線に接続されるスイッチング素子は、補助容量配線と同じ行のゲート配線によって制御されることを特徴とする液晶表示装置。
  4. 前記ゲート配線が延びる方向に隣り合う各画素のドレイン電極におけるドレイン電位の極性を互いに反転させた駆動を行うとともに、
    上記ドレイン電極の延長上に形成される補助容量用電極パッドに対向する補助容量電極がそれぞれ設けられているとともに、
    第m(mは1以上の整数)列の補助容量電極は、ゲート配線の行と同じ行の補助容量配線に接続される一方、
    第m+1(mは1以上の整数)列の補助容量電極は、ゲート配線を乗り越えて、次行のゲート配線に対応する補助容量配線に接続されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の液晶表示装置。
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