JP4020953B2 - シューズのソール構造体 - Google Patents
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Description
この場合には、波形プレートと上下部プレートとの間の複数の空洞部がクッションホールとして作用することによって、踵部のクッション性を確保している。
しかしながら、前記公報に示す構成では、波形プレートの上側凸部および下側凸部がそれぞれ上部プレートおよび下部プレートに固着されているため、シューズ着地時に波形プレートの上下方向の変形が規制されている。このため、ソール踵部のクッション性を向上させるにも限界があった。また、波形プレートの変形が規制されることによって、踵部の屈曲性も阻害されていた。
その一方、特開2003−9906号公報には、ソール踵部において、上下に配置された上部ミッドソールおよび下部ミッドソールの間に空隙を介して対向配置された上部波形シートおよび下部波形シートを有するソール構造が示されている。
この場合には、上部波形シートおよび下部波形シートの間の空隙がクッションホールとして作用することによって、踵部のクッション性を確保している。
しかしながら、前記公報に示す構成では、上部波形シートの上面および下部波形シートの下面にそれぞれ上部ミッドソールおよび下部ミッドソールが設けられているため、シューズ着地時に波形シートの上下方向の変形が上下部ミッドソールによって規制されている。このため、ソール踵部のクッション性を向上させるにも限界があった。また、波形シートの変形が規制されることによって、踵部の屈曲性も阻害されていた。
本発明が解決しようとする課題は、ソール踵部のクッション性を向上できるとともに屈曲性を向上できるシューズ用ソール構造体を提供することにある。
本発明の第1の発明によれば、シューズの着地時には、各アウトソール部を介して下部プレートの各膨出部の下面が接地面に当接する。このとき、上下部プレート間に形成された空隙がクッションホールとして作用して、踵部のクッション性が発揮される。しかも、この場合には、前後方向に分割されたアウトソール部が、波形状を有する下部プレートの各膨出部の下面に直接装着されているので、シューズ着地時において、波状の下部プレートの各膨出部の変形が規制されることはなく、これにより、ソール踵部のクッション性を向上できる。また、波状の下部プレートの変形が確保されることによって、ソール踵部の屈曲性を向上できる。これにより、ソール踵部の後端から着地して荷重が前方に移動していく際のライド感を向上できる。
ここで、本発明の第1の発明によるソール構造体と従来のソール構造体(特開2003−9906号公報の図3記載のもの)の双方について衝撃試験を行った結果を第8図に示す。
この衝撃試験においては、重さ10kgの錘を60mmの高さから各ソール構造体に落下させ、落下後の各ソール構造体の変形量を測定した。なお、錘落下前のソール構造体の厚みはいずれも30mmにした。また、打撃面積はいずれも15.9cm2であった。
落下後の各ソール構造体の変形量を測定すると、本発明によるソール構造体については18.02mmであり、従来のソール構造体については14.38mmであった。別の言い方をすれば、従来品の変形量を100とすると、本発明品の変形量は125.3であった。すなわち、本発明品は、従来品と比較して、変形量が約1.25倍に増加している。
なお、変形量は、従来品の変形量100に対して110あれば、シューズ着用者はクッション性の違いを体感することができるので、本発明品のように、変形量の数値が125.3であれば、クッション性の違いは顕著であるといえる。
本発明の第2の発明に係るシューズ用ソール構造体は、ソール構造体の踵部領域の上側に配設された上部プレートと、踵部領域において上部プレートの下方に配設されるとともに、下方に凸状に膨出しかつ上部プレートとの間で空隙を形成し得る少なくとも2つの膨出部を有する波状の下部プレートと、下部プレートの膨出部の下面に設けられた複数のクリーツとを備えている。
本発明の第2の発明によれば、シューズの着地時には、まず、各クリーツが接地面に突き刺さった後、下部プレートの各膨出部の下面が接地面に当接する。このとき、上下部プレート間に形成された空隙がクッションホールとして作用して、踵部のクッション性が発揮される。しかも、この場合には、クリーツが、波形状を有する下部プレートの各膨出部の下面に設けられているので、シューズ着地時において、波状の下部プレートの各膨出部の変形が規制されることはなく、これにより、ソール踵部のクッション性を向上できる。また、波状の下部プレートの変形が確保されることによって、ソール踵部の屈曲性を向上できる。
ここで、本発明の第2の発明によるソール構造体と従来のソール構造体(図11参照)の双方について衝撃試験を行った結果を第12図に示す。なお、図11に示す従来のソール構造体100においては、下部プレート3の上側(図右側)に、下部プレート3との間で空隙を形成し得る上部プレートが設けられていない点が本発明の第2の発明によるソール構造体(第9A図参照)と異なっている。
この衝撃試験においては、第1の発明の場合と同様に、重さ10kgの錘を60mmの高さから各ソール構造体に落下させ、落下後の各ソール構造体の変形量を測定した。なお、錘落下前のソール構造体の厚みはいずれも20mmにした。また、打撃面積はいずれも15.9cm2であった。
落下後の各ソール構造体の変形量を測定すると、本発明によるソール構造体については13.0mmであり、従来のソール構造体については11.3mmであった。別の言い方をすれば、従来品の変形量を100とすると、本発明品の変形量は115.0であった。すなわち、本発明品は、従来品と比較して、変形量が約1.15倍に増加している。
なお、変形量は、従来品の変形量100に対して110あれば、シューズ着用者はクッション性の違いを体感することができるので、本発明品のように、変形量の数値が115.0であれば、クッション性の違いは顕著であるといえる。
本発明の第3の発明に係るシューズ用ソール構造体は、ソール構造体の踵部領域の上側に配設された上部プレートと、踵部領域において上部プレートの下方に配設されるとともに、下方に凸状に膨出しかつ上部プレートとの間で空隙を形成し得る少なくとも2つの膨出部を有する波状の下部プレートと、下部プレートの隣り合う各膨出部の間に設けられたクリーツとを備えている。
本発明の第3の発明によれば、シューズの着地時には、まず、クリーツが接地面に突き刺さった後、下部プレートの各膨出部の下面が接地面に当接する。このとき、上下部プレート間に形成された空隙がクッションホールとして作用して、踵部のクッション性が発揮される。しかも、この場合には、クリーツが、波形状を有する下部プレートの隣り合う各膨出部の間に設けられているので、シューズ着地時において、波状の下部プレートの各膨出部の変形が規制されることはなく、これにより、ソール踵部のクッション性を向上できる。また、波状の下部プレートの変形が確保されることによって、ソール踵部の屈曲性を向上できる。
なお、この第3の発明によるソール構造体についての衝撃試験結果はここでは省略するが、前記第1および第2の発明の場合と同様に、衝撃荷重の作用時には、上下部プレート間に形成された空隙がクッションホールとして作用することにより、踵部のクッション性が発揮されるので、前記第1および第2の発明の場合とほぼ同様に、シューズ着用者がクッション性の違いを体感することのできる数値が得られることが容易に推認される。
本発明のソール構造体を構成する上部プレートは、波状に形成されていてもよい。この場合には、上部プレートの変形によって、ソール踵部のクッション性をさらに向上できる。
また、上部プレートは、下部プレートの膨出部に概略対応する位置において当該膨出部と逆向きに膨出する膨出部を有していてもよい。この場合には、上下部プレート間に大きな空隙を確保でき、これにより、ソール踵部のクッション性をさらに向上できる。
なお、上部プレートは、下部プレートの膨出部に概略対応する位置において当該膨出部と同じ向きに膨出する膨出部を有していてもよい。
好ましくは、上部プレートおよび下部プレート間には、クッション部材として弾性ブロックが設けられており、上下部プレートが弾性ブロックを介して互いに連結されている。この場合には、弾性ブロックの弾性を適宜調整することにより、ソール踵部のクッション性をさらに向上できる。
上部プレートが波状に形成されている場合において、下部プレートの隣り合う各膨出部の間に形成された上に凸の部分と上部プレートの波形状における下に凸の部分とが弾性ブロックを介して互いに連結されていてもよい。
下部プレートにおける上に凸の部分と上部プレートにおける下に凸の部分とは、上下方向に対向配置されているか、あるいは、前後方向にオフセットされて配置されている。
下部プレートの膨出部の数は、当該ソール構造体の内甲側および外甲側間で異なっていてもよい。
上部プレートは、平坦状に形成されていてもよい。この場合には、上部プレートの上面に平坦面が確保されるので、上部プレートの上側にミッドソールなどを介在させることなく、着用者の足裏当接面を容易に確保できる。
上部プレートの上側には、軟質弾性部材製のミッドソールが配設されていてもよい。この場合には、ミッドソールによって、着用者の足裏に対する接触感を向上できる。
前後方向に隣り合う各アウトソール部は、連結部を介して前後方向に連結されていてもよく、このとき、連結部の下面は凹面形状を有しているのが好ましい。
この場合には、連結部を介して各アウトソール部が連結されることによって、アウトソール部を一体化することができ、これにより、組立性を向上できる。なお、この場合、連結部の下面が凹面状に形成されているので、連結部が下部プレートの各膨出部の変形を規制するのが抑制されている。
各アウトソール部は、踵部領域の内甲側および外甲側に分離して設けられていてもよく、このとき、内甲側および外甲側に配設された各アウトソール部がそれぞれ連結部を介して前後方向に連結されるとともに、外甲側の連結部の下面が凹面形状を有しかつ内甲側の連結部の下面が接地面と接触する平坦而形状を有していてもよい。
この場合には、踵部領域の内甲側における下部プレートの膨出部の変形が外甲側における変形よりも抑制されることになって、シューズ着地時に回内を防止できるようになるので、ランニングシューズに好適のソール構造体を実現できる。
また、各アウトソール部が踵部領域の内甲側および外甲側に分離して設けられている場合において、内甲側および外甲側に配設された各アウトソール部がそれぞれ連結部を介して前後方向に連結され、内甲側の連結部の下面が凹面形状を有しかつ外甲側の前記連結部の下面が接地面と接触する平坦面形状を有していてもよい。
この場合には、踵部領域の外甲側における下部プレートの膨出部の変形が内甲側における変形よりも抑制されることになって、サイドステップ時の回外を防止できるようになるので、テニスシューズやバスケットボールシューズなどのようなインドアシューズに好適のソール構造体を実現できる。
上部プレートまたは下部プレートには、実質的に前後方向に延びるリブが一体形成されていてもよい。この場合には、リブを設けることによって、上部プレートまたは下部プレートの曲げ剛性を高くすることができるので、上部プレートまたは下部プレートの変形を抑制して、屈曲性およびクッション性を調整できる。
リブは、上部プレートまたは下部プレートの内甲側または外甲側の少なくともいずれか一方に形成するようにしてもよい。
この場合において、リブをプレート内甲側に設けた場合には、シューズ着地時の回内を防止できるため、ランニングシューズに好適のソール構造を提供でき、また、リブをプレート外甲側に設けた場合には、サイドステップ時の回外を防止できるので、テニスシューズやバスケットボールシューズなどのようなインドアシューズに好適のソール構造を提供できる。
リブの本数は、上部プレートまたは下部プレートの内甲側および外甲側で異なっていてもよい。
この場合には、リブの本数を多くした側のプレート曲げ剛性を高くできるので、内甲側のリブの本数を多くすることによって、ランニングシューズに好適のソール構造を提供でき、また、外甲側のリブの本数を多くすることによって、インドアシューズに好適のソール構造を提供できる。
下部プレートには、実質的に前後方向に延びるリブを一体形成するようにしてもよく、このとき、当該リブをアウトソール部に対応する位置にのみ配置し、アウトソール部が存在しない個所には配置しないようにしてもよい。また、クリーツが下部プレートの膨出部の下面に設けられている場合において、リブをクリーツに対応する位置にのみ配置し、クリーツが存在しない個所には配置しないようにしてもよい。さらに、クリーツが、隣り合う各膨出部の間に設けられている場合において、リブを各膨出部に対応する位置にのみ配置し、各膨出部の間には配置しないようにしてもよい。これらの場合には、シューズ着地時に、リブが波状の下部プレートの変形を必要以上に規制するのを抑制できる。
以上のように本発明によれば、ソール踵部領域に空隙を介して上部プレートおよび波状の下部プレートを配設するとともに、前後方向に分離された複数のアウトソール部を下部プレートの膨出部の下面に装着し、またはクリーツを下部プレートの膨出部の下面に設け、あるいはクリーツを下部プレートの隣り合う各膨出部の間に設けたので、シューズ着地時において、波状の下部プレートの各膨出部の変形が規制されることはなく、これにより、ソール踵部のクッション性を向上できるとともに、屈曲性を向上できる。
第1B図は、ソール構造体(第1A図)の前後方向中心線に沿った縦断面図であって、図2のIB−IB線断面に相当している。
第2図は、ソール構造体(第1A図)の底面概略図である。
第3図は、本発明の第2の実施例によるソール構造体の外甲側の側面図である。
第4図は、本発明の第3の実施例によるソール構造体の外甲側の側面図である。
第5図は、本発明の第4の実施例によるソール構造体の底面部分図である。
第6図は、ソール構造体(第5図)の側面部分図である。
第7図は、本発明の第7の実施例によるソール構造体を構成する下部プレートの平面部分図である。
第8図は、本発明によるソール構造体(第1A図)と特開2003−9906号公報記載の従来のソール構造体との双方について、錘を所定高さから落下させて衝撃荷重を作用させる衝撃試験を行った場合において変形量の違いを示すグラフである。
第9A図は、本発明の第8の実施例によるソール構造体の側面図である。
第9B図は、ソール構造体(第9A図)の変形例を示す図である。
第10A図は、本発明の第9の実施例によるソール構造体の側面図である。
第10B図は、ソール構造体(第10A図)の底面概略図である。
第10C図は、ソール構造体(第10A図)の変形例を示す図である。
第11図は、従来のソール構造体の側面図である。
第12図は、本発明によるソール構造体(第9A図)と従来のソール構造体(第11図)との双方について、錘を所定高さから落下させて衝撃荷重を作用させる衝撃試験を行った場合において変形量の違いを示すグラフである。
〔第1の実施例〕
本発明の第1の実施例によるシューズ用ソール構造体が第1A図および第1B図に示されている。これらの図に示すように、このソール構造体1は、踵部11から中足部Mをへて前足部Fまで延設された上部プレート2と、上部プレート2の下方に配置されるとともに、上部プレート2と同様に、踵部Hから中足部Mをへて前足部Fまで延設された下部プレート3とを備えている。上部プレート2および下部プレート3は、いずれも幅方向(図紙面垂直方向)に延在しており(第2図参照)、それぞれの前後端縁は互いに連結されている。
上部プレート2は、踵部Hにおいて前後方向に進行する波形状を有しており、上方(第1A図右方)に凸状に膨出する2つの膨出部(凸状部)20,21を有している。下部プレート3は、踵部Hにおいて同様に前後方向に進行する波形状を有しており、下方(第1A図左方)に凸状に膨出する2つの膨出部(凸状部)30,31を有している。踵部Hにおいて、上下部プレート2,3の互いに対応する各膨出部20,30および21,31は、上下方向(第1A図左右方向)に概略対向する位置に配置されており、言い換えれば、上下方向に逆向きに膨出しており、各々対応する各膨出部20,30間および21,31間にそれぞれ空隙Cが形成されている。なお、前足部Fにおいても、上下部プレート2,3間には、空隙C’が形成されている。
第2図に示すように、下部プレート3の下面には、前後方向に分雕された複数のアウトソール部51〜55が接着されている。アウトソール部51,55は、下部プレート3の膨出部30の下面に配置されており、アウトソール部52,54および53の一部は、下部プレート3の膨出部31の下面に配置されている(第1A図参照)。また、この例では、アウトソール部51,55および52,54は、幅方向にも分離されている。
上部プレート2の左右両側縁部には、第1A図に示すように、上方に立ち上がる巻上げ部2bが形成されている。また、上部プレート2の上面には、踵部Hから中足部Mをへて前足部Fまで延設されたミッドソール4が接着されている。ミッドソール4は、着用者の足裏が当接する概略平坦状の足裏当接面4aと、その左右両側縁部に設けられ、上方に立ち上がる巻上げ部4bとを有している。上部プレート2の巻上げ部2bは、ミッドソール4の巻上げ部4bの外側に配置されている。ミッドソール4の巻上げ部4bには、シューズの甲被部(図示せず)の下部が固着されるようになっている。
踵部Hにおいて上下部プレート2,3間には、各プレート2,3が最も接近した位置に弾性ブロック6が設けられており、上部プレート2および下部プレート3は、弾性ブロック6を介して互いに連結されている。言い換えれば、上部プレート2において隣り合う各膨出部20,21の間に形成された下に凸の部分25と下部プレート3において隣り合う各膨出部30,31の間に形成された上に凸の部分35とが上下方向に対向配置されており、これらの対向個所が弾性ブロック6を介して互いに連結されている。
弾性ブロック6は、本実施例では、踵部Hの幅方向両端に配置された一対の部材から構成されているが(縦断面図である第1B図において一方の弾性ブロック6の側面が現れている)、踵部Hの幅方向全長にわたって延設された一つの弾性ブロックから構成するようにしてもよい。この弾性ブロック6は、主に、上下部プレート2,3が直接接触するのを回避する目的で設けられているが、その弾性を適宜調整することにより、ソール踵部のクッション性にも寄与し得る。
上下部プレート2,3は、繰返し変形による「へたり」を防止して両プレート間の空隙Cの形状をある程度維持するためには、硬質樹脂製プレートから構成されているのが好ましく、たとえば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)やポリアミドエラストマー(PAE)、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、またはエポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂から構成されている。また、上下部プレート2,3は、カーボン繊維や金属繊維等を混入した繊維強化樹脂から構成されていてもよい。
ミッドソール4は、着用者の足裏が当接する関係上、軟質弾性部材から構成されているのが好ましく、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂の発泡体やポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂の発泡体、またはブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材の発泡体のような軟質弾性部材から構成されている。
踵部Hおよび中足部Mには、第1B図に示すように、上部プレート2およびその上方のミッドソール4を上下方向に貫通する複数の通気孔25が形成されている。各通気孔25の下端は、上下部プレート2,3間に形成された空隙Cに開口している。このような通気孔25の形成により、シューズ内部への外気の導入が上下部プレート2,3間の空隙Cを利用して行われるので、外気の導入を容易かつ速やかに行えるようにある。
前足部Fおよび中足部Mにおいて,各プレート2,3は、第1A図に示すように、弾性ブロック7を介して互いに連結されている。また、前足部Fにおいて、下部プレート3の下面には、前足部Fをほぼ覆うアウトソール58が接着されている。
上述のように構成されるソール構造体においては、シューズの着地時には、各アウトソール部を介して下部プレート3の各膨出部30,31の下面が接地面に当接する。このとき、上下部プレート2,3間に形成された空隙Cがクッションホールとして作用して、踵部のクッション性が発揮される。しかも、この場合には、前後方向に分割されたアウトソール部51〜55が、波形状を有する下部プレート3の各膨出部30,31の下面に直接装着されているので、シューズの着地時において、波状の下部プレート3の各膨出部30,31の圧縮変形が規制されることはない。これにより、ソール踵部のクッション性を向上できる。また、波状の下部プレート3の変形が確保されることによって、ソール踵部の屈曲性を向上できる。これにより、ソール踵部の後端から着地して荷重が前方に移動していく際のライド感を向上できる。
また、この場合には、上下部プレート2,3間において互いに対応する各膨出部20,30および21,31が、互いに逆向きに膨出しているので、上下部プレート2,3間に大きな空隙Cを確保でき、これにより、ソール踵部のクッション性を一層向上できる。さらに、上部プレート2が波状に形成されていることにより、上部プレート2の変形によってもソール踵部のクッション性を向上できる。
なお、上下部プレート2,3間において互いに対応する各膨出部20,30および21,31は、同じ向きに膨出させることも可能である。この場合には、上下部プレート2,3間に空隙Cを確保するために、膨出部20,30間でおよび(または)膨出部21,31間でそれぞれの曲率を変えたり、あるいは、上下部プレート2,3間で各膨出部を前後方向にオフセットさせるのが好ましい。
この第1の実施例では、下部プレート3が2つの膨出部30,31を有している例を示したが、本発明の適用はこれには限定されず、下部プレート3は3つ以上の膨出部を有していてもよい。また、前記第1の実施例では、上下部プレート2,3がいずれも内甲側および外甲側において同数(ここでは2個)の膨出部を有している例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。たとえば、内甲側に2個、外甲側に3個といったように、膨出部の個数を内外甲側間で異ならせるようにしてもよい。
また、第1の実施例では、上部プレート2が踵部11において波形状を有している例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。上部プレート2は、踵部Hにおいて平坦形状を有していてもよい。この場合には、上部プレート2の上面に平坦面が確保されるので、上部プレート2の上側にミッドソールなどを介在させることなく、着用者の足裏当接面を容易に確保できる。
さらに、第1の実施例では、弾性ブロック6が設けられた例を示したが、この弾性ブロック6は省略することも可能である。この場合、弾性ブロック6が設けられていた位置において、上下部プレート2,3は互いに連結されていなくてもよく、また上下部プレート2,3間に隙間が形成されていてもよい。なお、上下部プレート2,3が互いに連結される場合には、上下部プレート2,3を一体成形することができるので、製造工程および組立工程を簡略化できる。
〔第2の実施例〕
本発明の第2の実施例によるソール構造体が第3図に示されている。同図において、前記第1の実施例と同一符号は、同一または相当部分を示している。
前記第1の実施例では、下部プレート3の隣り合う各膨出部30,31の間の上に凸の部分35と上部プレート2の隣り合う各膨出部20,21の間の下に凸の部分25とが上下方向に対向配置されている例を示したが、この第2の実施例においては、これらの凸の部分25,35が前後方向にオフセットされている。好ましくは、第3図に示すように、上部プレート2における下に凸の部分25が下部プレート3における上に凸の部分35の前方に配置されている。このため、上下部プレート2,3のそれぞれの凸の部分25,35を連結する弾性ブロック6が、下部プレート3から上部プレート2にかけて、斜め上方に延設されている。
この場合、踵からの着地時には、弾性ブロック6が曲げ変形するとともに剪断変形するが、このとき、上部プレート2の凸の部分25が下部プレート3の凸の部分35の前方に配置されていることにより、上部プレート2の下方への変形が容易になり、これにより、ソール踵部のクッション性をさらに向上できる。
なお、この第2の実施例では、上部プレート2は、前足部Fまでは延設されておらず、主に踵部Hに設けられており、その前端部分は中足部Mにおいて下部プレート3に固着されている。
〔第3の実施例〕
本発明の第3の実施例によるソール構造体が第4図に示されている。同図において、前記第1および第2の実施例と同一符号は、同一または相当部分を示している。
この第3の実施例では、上下部プレート2,3がそれぞれ第3の膨出部22,32を有している点が前記第2の実施例と異なっている。互いに逆向きに膨出する膨出部22、32は上下方向に対向配置されており、各膨出部22,32間には、第3の空隙Cが形成されている。下部プレート3の隣り合う各膨出部31,32の間における上に凸の部分と上部プレート2の隣り合う各膨出部21,22の間における下に凸の部分とは上下方向に対向配置されており、これらの対向個所が弾性ブロック61を介して互いに連結されている。
この場合には、踵後端部に空隙Cが形成されることにより、踵後端から着地した際に、上部プレート2の下方への変形がさらに容易になり、ソール踵部のクッション性を一層向上できる。
〔第4の実施例〕
本発明の第4の実施例によるソール構造体が第5図および第6図に示されている。これらの図において、前記第1ないし第3の実施例と同一符号は、同一または相当部分を示している。
第5図に示すように、この第4の実施例においては、各アウトソール部が連結部50,50’を介して前後方向に互いに連結されている点が前記第1ないし第3の実施例とは異なっている。連結部50は踵部領域の内甲側に設けられており、連結部50’は踵部領域の外甲側に設けられている。連結部50,50’は、底面視帯状の部材であるが、側面方向から見ると、第6図に示すように、連結部50,50の下面50a,50’aは、凹面形状を有しており、ソール踵部全体が接地面Sに接地した際に接地面Sとの間に空隙Δが形成されている。
この場合には、各アウトソール部50〜55が連結部50,50’を介して前後方向に連結されているので、アウトソール部を一体化することができ、これにより、組立時には各アウトソール部50〜55を一度に接着できるようになり、接着位置の貼り間違いもなくなるので、組立性を向上できる。また、連結部50,50’の下面50a,50’aが凹面形状を有しているので、連結部50,50’が下部プレート3の各膨出部30,31の圧縮変形を規制するのが抑制されている。したがって、この場合においても、前記第1の実施例と同様に、ソール鍾部のクッション性および屈曲性を向上できる。
〔第5の実施例〕
前記第4の実施例では、踵部領域の内甲側および外甲側にそれぞれ配設された連結部50,50’がいずれも凹面状の下面50a,50’aを有している場合を例にとって説明したが、本発明の適用はこれに限定されない。
この第5の実施例では、図示していないが、内甲側に配設される連結部50の下面50aが、接地面S(第6図)と接触する平坦面形状を有している。すなわち、連結部50の下面50aと接地面Sとの間に空隙Δは形成されていない。一方、外甲側の連結部50’の下面50’aは、前記第4の実施例と同様の凹面形状を有している。
この場合には、踵部領域の内甲側における下部プレート3の膨出部30,31の変形が外甲側における変形よりも抑制されることになり、これにより、回内を防止できるようになるので、ランニングシューズに好適のソール構造体を実現できる。
〔第6の実施例〕
この第6の実施例では、図示していないが、前記第5の実施例とは逆に、外甲側に配設される連結部50’の下面50’aが、接地面S(第6図)と接触する平坦面形状を有している。すなわち、連結部50’の下面50’aと接地面Sとの間に空隙Δは形成されていない。一方、内甲側の連結部50の下面50aは、前記第4の実施例と同様の凹面形状を有している。
この場合には、踵部領域の外甲側における下部プレート3の膨出部30,31の変形が内甲側における変形よりも抑制されることになり、これにより、シューズ着地時に回外を防止できるようになるので、テニスシューズやバスケットボールシューズなどのようなインドアシューズに好適のソール構造体を実現できる。
〔第7の実施例〕
第7図は、本発明の第7の実施例によるソール構造体を構成する下部プレートの平面部分図である。この第7の実施例では、下部プレート3の上面に、実質的に前後方向(図上下方向)に延びる複数本のリブ8,9が一体形成されている。
リブ8はソール踵部の内甲側に配設されており、リブ9はソール踵部の外甲側に配設されている。また、各リブ8,9は、それぞれアウトソール部51,52,54,55に対応する位置に配設されており、前後方向に隣り合う各アウトソール部51,52の間、および各アウトソール部54,55の間には設けられていない。
この場合には、リブ8,9を設けた部分において下部プレート3の曲げ剛性が高くなって下部プレート3の変形を抑制することができるので、下部プレート3の屈曲性およびクッション性の調整を行える。また、各リブ8,9が各アウトソール部51,52の間および各アウトソール部54,55の間には設けられていないので、シューズ着地時に波状の下部プレート3の変形が必要以上に規制されてソール踵部のクッション性および屈曲性が阻害されるのを防止できる。
さらに、下部プレート3の内甲側および外甲側でリブ8,9の本数を異ならせるようにしてもよく、あるいは下部プレート3の内甲側または外甲側のいずれか一方にリブを設けるようにしてもよい。
下部プレート3の内甲側にのみリブを設けた場合、あるいは下部プレート3の内甲側におけるリブ8の本数を外甲側におけるリブ9の本数よりも多くした場合には、シューズ着地時の回内を防止できるため、ランニングシューズに好適のソール構造体を提供でき、また、下部プレート3の外甲側にのみリブを設けた場合、あるいは下部プレート3の外甲側におけるリブ9の本数を内甲側におけるリブ8の本数よりも多くした場合には、サイドステップ時の回外を防止できるので、テニスシューズやバスケットボールシューズなどのようなインドアシューズに好適のソール構造体を提供できる。
なお、この第7の実施例では、下部プレート3にリブが設けられた例を示したが、リブは、上部プレート2に設けるようにしてもよい。
〔第8の実施例〕
本発明の第8の実施例によるシューズ用ソール構造体が第9A図に示されている。同図に示すように、このソール構造体1’は、踵部Hから中足部Mまで延設された上部プレート2と、上部プレート2の下方に配置されるとともに、踵部Hから中足部Mをへて前足部Fまで延設された下部プレート3とを備えている。上部プレート2は、踵部Hの後端縁および中足部Mの前端側において下部プレート3に一体に連設されている。上部プレート2および下部プレート3は、いずれも幅方向(図紙面垂直方向)に延在している。
上部プレート2は、踵部Hにおいて前後方向に進行する波形状を有しており、上方(第9A図右方)に凸状に膨出する2つの膨出部(凸状部)20,21を有している。下部プレート3は、踵部Hにおいて同様に前後方向に進行する波形状を有しており、下方(第9A図左方)に凸状に膨出する2つの膨出部(凸状部)30,31を有している。踵部Hにおいて、上下部プレート2,3の互いに対応する各膨出部20,30および21,31は、上下方向(第1A図左右方向)に概略対向する位置に配置されており、言い換えれば、上下方向に逆向きに膨出しており、各々対応する各膨出部20,30間および21,31間にそれぞれ空隙Cが形成されている。
下部プレート3の下面には、複数のクリーツ(スタッド)15,16が設けられている。クリーツ15は踵部Hの領域に設けられており、クリーツ16は前足部Fの領域に設けられている。各クリーツ15,16は、厚肉部17を介して下部プレート3の下面に固定されている。踵部Hにおいて、厚肉部17(したがってクリーツ15)は、下部プレート3の膨出部30,31の下面にのみ設けられており、各膨出部30,31の間には設けられていない。したがって、厚肉部17は、踵部Hにおいて、前後方向に分離されている。なお、各厚肉部17は、たとえば、下部プレート3の成形時に下部プレート3と一体成形されている。各クリーツ15は、たとえば、金属製部材から構成される場合には、その一部が厚肉部17内に埋設されて固着されている。
上部プレート2の上面には、踵部Hから中足部Mをへて前足部Fの後端側まで延設されたミッドソール4が接着されている。
踵部Hにおいて上下部プレート2,3間には、各プレート2,3が最も接近した位置に弾性ブロック6が設けられており、上部プレート2および下部プレート3は、弾性ブロック6を介して互いに連結されている。言い換えれば、上部プレート2において隣り合う各膨出部20,21の間に形成された下に凸の部分25と下部プレート3において隣り合う各膨出部30,31の間に形成された上に凸の部分35とが上下方向に対向配置されており、これらの対向個所が弾性ブロック6を介して互いに連結されている。
弾性ブロック6は、踵部Hの幅方向両端に配置された一対の部材から構成されているが、踵部Hの幅方向全長にわたって延設された一つの弾性ブロックから構成されていてもよい。この弾性ブロック6は、主に、上下部プレート2,3が直接接触するのを回避する目的で設けられているが、その弾性を適宜調整することにより、ソール踵部のクッション性にも寄与し得る。
上下部プレート2,3は、繰返し変形による「へたり」を防止して両プレート間の空隙Cの形状をある程度維持するためには、硬質樹脂製プレートから構成されているのが好ましく、たとえば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)やポリアミドエラストマー(PAE)、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、またはエポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂から構成されている。また、上下部プレート2,3は、カーボン繊維や金属繊維等を混入した繊維強化樹脂から構成されていてもよい。
ミッドソール4は、着用者の足裏が当接する関係上、軟質弾性部材から構成されているのが好ましく、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂の発泡体やポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂の発泡体、またはブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材の発泡体のような軟質弾性部材から構成されている。
上述のように構成されるソール構造体においては、シューズの着地時には、まず、各クリーツ15が接地面に突き刺さった後、下部プレート3の各膨出部30,31の下面が接地面に当接する。このとき、上下部プレート2,3間に形成された空隙Cがクッションホールとして作用して、踵部のクッション性が発揮される。しかも、この場合には、クリーツ15(したがって厚肉部17)が、波形状を有する下部プレート3の各膨出部30,31の下面にのみ設けられているので、シューズの着地時において、波状の下部プレート3の各膨出部30,31の圧縮変形が規制されることはない。これにより、ソール踵部のクッション性を向上できる。また、波状の下部プレート3の変形が確保されることによって、ソール踵部の屈曲性を向上できる。
また、この場合には、上下部プレート2,3間において互いに対応する各膨出部20,30および21,31が,互いに逆向きに膨出しているので、上下部プレート2,3間に大きな空隙Cを確保でき、これにより、ソール踵部のクッション性を一層向上できる。さらに、上部プレート2が波状に形成されていることにより、上部プレート2の変形によってもソール踵部のクッション性を向上できる。
なお、上下部プレート2,3間において互いに対応する各膨出部20,30および21,31は、同じ向きに膨出させることも可能である。この場合には、上下部プレート2,3間に空隙Cを確保するために、膨出部20,30間でおよび(または)膨出部21,31間でそれぞれの曲率を変えたり、あるいは、上下部プレート2,3間で各膨出部を前後方向にオフセットさせるのが好ましい。
この第8の実施例では、下部プレート3が2つの膨出部30,31を有している例を示したが、本発明の適用はこれには限定されず、下部プレート3は3つ以上の膨出部を有していてもよい。また、上下部プレート2,3がいずれも内甲側および外甲側において同数(ここでは2個)の膨出部を有している場合に限らず、たとえば、内甲側に2個、外甲側に3個といったように、膨出部の個数が内外甲側間で異なっていてもよい。
また、上部プレート2が踵部Hにおいて波形状を有している場合に限らず、上部プレート2は、踵部Hにおいて平坦形状を有していてもよい。この場合には、上部プレート2の上面に平坦面が確保されるので、上部プレート2の上側にミッドソールなどを介在させることなく、着用者の足裏当接面を容易に確保できる。
さらに、第8の実施例では、弾性ブロック6が設けられた例を示したが、この弾性ブロック6は省略することも可能である。この場合、弾性ブロック6が設けられていた位置において、上下部プレート2,3は互いに連結されていなくてもよく、また上下部プレート2,3間に隙間が形成されていてもよい。なお、上下部プレート2,3が互いに連結される場合には、上下部プレート2,3を一体成形することができるので、製造工程および組立工程を簡略化できる。
次に、第9B図は、前記第8の実施例の変形例を示している。同図に示すように、この変形例では、前足部Fにおいて、下部プレート3に複数の屈曲部38が設けられるとともに、ミッドソール4が前足部Fの前端縁まで延設されている点が、前記第8の実施例とは異なっている。各屈曲部38は、前足部Fの幅方向に延びている。この場合には、前記第8の実施例と同様の作用効果であるところのソール踵部のクッション性を確保できるばかりでなく、各屈曲部38によって、ソール前足部の屈曲性を向上できる。
〔第9の実施例〕
本発明の第9の実施例によるシューズ用ソール構造体が第10A図および第10B図に示されている。これらの図において、前記第8の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。この第9の実施例では、下部プレート3が3つの膨出部30,31,32を有するとともに、上部プレート2がこれらの膨出部30,31,32にそれぞれ対応する3つの膨出部20,21,22を有している点、ならびに,踵部Hの厚肉部17(したがってクリーツ15)が下部プレート3の隣り合う各膨出部30,31の間および各膨出部31,32の間にのみ設けられている点が、前記第8の実施例と異なっている。したがって、厚肉部17は、前記第8の実施例と同様に、踵部Hにおいて、前後方向に分離されている。
上述のように構成されるソール構造体においては、シューズの着地時には、まず、各クリーツ15が接地面に突き刺さった後、下部プレート3の各膨出部30,31,32、の下面が接地面に当接する。このとき、上下部プレート2,3間に形成された空隙Cがクッションホールとして作用して、踵部のクッション性が発揮される。しかも、この場合には、クリーツ15(したがって厚肉部17)が、波形状を有する下部プレート3の各膨出部30,31の間および各膨出部31,32の間にのみ設けられているので、シューズの着地時において、波状の下部プレート3の各膨出部30,31,2の圧縮変形が規制されることはない。これにより、ソール踵部のクッション性を向上できる。また、波状の下部プレート3の変形が確保されることによって、ソール踵部の屈曲性を向上できる。
また、この場合には、上下部プレート2,3間において互いに対応する各膨出部20,30;21,31;22,32の組合せが、互いに逆向きに膨出しているので、上下部プレート2,3間に大きな空隙Cを確保でき、これにより、ソール踵部のクッション性を一層向上できる。さらに、上部プレート2が波状に形成されていることにより、上部プレート2の変形によってもソール踵部のクッション性を向上できる。
なお、上下部プレート2,3間において互いに対応する各膨出部20,30;21,31;22,32の組合せは、同じ向きに膨出させることも可能である。この場合には、上下部プレート2,3間に空隙Cを確保するために、互いに対応する膨出部間でそれぞれの曲率を変えたり、あるいは、上下部プレート2,3間で各膨出部を前後方向にオフセットさせるのが好ましい。
また、上下部プレート2,3がいずれも内甲側および外甲側において同数(ここでは3個)の膨出部を有している場合に限らず、膨出部の個数が内外甲側間で異なっていてもよい。
また、上部プレート2が踵部Hにおいて波形状を有している場合に限らず、上部プレート2は、踵部Hにおいて平坦形状を有していてもよい。この場合には、上部プレート2の上面に平坦面が確保されるので、上部プレート2の上側にミッドソールなどを介在させることなく、着用者の足裏当接面を容易に確保できる。
さらに、第9の実施例では、弾性ブロック6が設けられた例を示したが、この弾性ブロック6は省略することも可能である。この場合、弾性ブロック6が設けられていた位置において、上下部プレート2,3は互いに連結されていなくてもよく、また上下部プレート2,3間に隙間が形成されていてもよい。なお、上下部プレート2,3が互いに連結される場合には、上下部プレート2,3を一体成形することができるので、製造工程および組立工程を簡略化できる。
次に、第10C図は、前記第9の実施例の変形例を示している。同図に示すように、この変形例では、前足部Fにおいて、下部プレート3に複数の屈曲部38が設けられるとともに、ミッドソール4が前足部Fの前端縁まで延設されている点が、前記第9の実施例とは異なっている。各屈曲部38は、前足部Fの幅方向に延びている。この場合には、前記第9の実施例と同様の作用効果であるところのソール踵部のクッション性を確保できるばかりでなく、各屈曲部38によって、ソール前足部の屈曲性を向上できる。
Claims (22)
- シューズのソール構造体であって、
前記ソール構造体の踵部領域の上側に配設された上部プレートと、
前記踵部領域において前記上部プレートの下方に配設されるとともに、下方に凸状に膨出しかつ前記上部プレートとの間で空隙を形成し得る少なくとも2つの膨出部を有する波状の下部プレートと、
前後方向に分離されかつ前記下部プレートの前記膨出部の下面に装着された複数のアウトソール部と、
を備えたシューズのソール構造体。 - シューズのソール構造体であって、
前記ソール構造体の踵部領域の上側に配設された上部プレートと、
前記踵部領域において前記上部プレートの下方に配設されるとともに、下方に凸状に膨出しかつ前記上部プレートとの間で空隙を形成し得る少なくとも2つの膨出部を有する波状の下部プレートと、
前記下部プレートの前記膨出部の下面に設けられた複数のクリーツと、
を備えたシューズのソール構造体。 - シューズのソール構造体であって、
前記ソール構造体の踵部領域の上側に配設された上部プレートと、
前記踵部領域において前記上部プレートの下方に配設されるとともに、下方に凸状に膨出しかつ前記上部プレートとの間で空隙を形成し得る少なくとも2つの膨出部を有する波状の下部プレートと、
前記下部プレートの隣り合う前記各膨出部の間に設けられたクリーツと、
を備えたシューズのソール構造体。 - 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記上部プレートが波状に形成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項4において、
前記上部プレートが、前記下部プレートの前記膨出部に概略対応する位置において前記膨出部と逆向きに膨出する膨出部を有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項4において、
前記上部プレートが、前記下部プレートの前記膨出部に概略対応する位置において前記膨出部と同じ向きに膨出する膨出部を有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記上部プレートおよび下部プレートの間には、弾性ブロックが設けられており、前記上部プレートおよび下部プレートが、弾性ブロックを介して互いに連結されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項7において、
前記上部プレートが波状に形成されるとともに、前記下部プレートにおいて隣り合う前記各膨出部の間に形成された上に凸の部分と前記上部プレートの波形状における下に凸の部分とが前記弾性ブロックを介して互いに連結されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項8において、
前記下部プレートにおける上に凸の部分と前記上部プレートにおける下に凸の部分とが上下方向に対向配置されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項8において、
前記下部プレートにおける上に凸の部分と前記上部プレートにおける下に凸の部分とが前後方向にオフセットされて配置されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記下部プレートの前記膨出部の個数が、当該ソール構造体の内甲側および外甲側間で異なっている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記上部プレートが平坦状に形成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記上部プレートの上側には、軟質弾性部材製のミッドソールが配設されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項1において、
前後方向に隣り合う前記各アウトソール部が連結部を介して前後方向に連結されており、前記連結部の下面が凹面形状を有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項1において、
前記各アウトソール部が前記踵部領域の内甲側および外甲側に分離して設けられており、内甲側および外甲側に配設された前記各アウトソール部がそれぞれ連結部を介して前後方向に連結されるとともに、外甲側の前記連結部の下面が凹面形状を有しており、内甲側の前記連結部の下面が、接地面と接触する平坦面形状を有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項1において、
前記各アウトソール部が前記踵部領域の内甲側および外甲側に分離して設けられており、内甲側および外甲側に配設された前記各アウトソール部がそれぞれ連結部を介して前後方向に連結されるとともに、内甲側の前記連結部の下面が凹面形状を有しており、外甲側の前記連結部の下面が、接地面と接触する平坦面形状を有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記上部プレートまたは下部プレートには、実質的に前後方向に延びるリブが一体形成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項17において、
前記リブが、前記上部プレートまたは下部プレートの内甲側または外甲側の少なくともいずれか一方に形成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項18において、
前記リブの本数が前記上部プレートまたは下部プレートの内甲側および外甲側で異なっている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項1において、
前記下部プレートには、実質的に前後方向に延びるリブが一体形成されており、前記リブが前記アウトソール部に対応する位置に配置されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項2において、
前記下部プレートには、実質的に前後方向に延びるリブが一体形成されており、前記リブが前記クリーツに対応する位置に配置されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。 - 請求項3において、
前記下部プレートには、実質的に前後方向に延びるリブが一体形成されており、前記リブが前記膨出部の下面に対応する位置に配置されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
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