JP4020286B2 - 管引き込み式管埋設機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、管引き込み式管埋設機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
水道管、ガス管、下水管、信号ケーブル用鞘管、ファイバケーブル等の管(以下「被埋設管」とする)を地中に埋設する管埋設工法には、地表を開削して管埋設する開削工法と、地表を開削することなく管埋設する非開削工法とがある。両工法にはそれぞれ長短あるものの、非開削工法は開削工法と比べ、鉄道軌道下や河川下等を横断して管埋設でき、また、環境保全が求められ、かつ隘路の多い市街地でも管埋設し易く、しかも短工期であるとの利点を有する。
【0003】
開削工法には自走式掘削機械(いわゆる「パワーショベル」)等を用いるが、非開削工法には管埋設機械を用いる。そしてこの管埋設機械には管推進式と、本願発明に係わる管引き込み式とがある。
【0004】
管推進式は、外径300〜800mm程度の被埋設管の埋設に用いる。即ち管推進式は、予め互いに所定距離だけ離間して地表に設けた発進立坑と到達立坑とにおいて、発進立坑内に配置される機械であって、到達立坑へ向けて先導管を先頭として被埋設管を順次接続しつつ推進させることにより両立坑間の地中に管埋設する、いわゆるアイアンモール(商品名)で代表される。
【0005】
他方、本発明に係わる管引き込み式は、外径70〜400mm程度の被埋設管の埋設に用いる。詳しくは、代表的施工例を示す図7〜図9を参照し以下説明する。
【0006】
(A)図7に示すように、先ず地表に貫入立坑P1、発進立坑P2及び到達立坑P3を互いに所定距離だけ離間して設ける。貫入立坑P1の近傍に、補器である滑液供給装置1と共に管引き込み式管埋設機械2を配置する。発進立坑P2の近傍に、補器である吸引装置3を配置する。そして到達立坑P3の近傍に、発進立坑P2から到達立坑P3までの距離に略相当する長さの被埋設管4を配置する。以上が準備作業である。尚、滑液供給装置1は清水、泥水、ベントナイト泥水等の滑液6を貯蔵し、貯蔵した滑液6を、ホース7を介して管引き込み式管埋設機械2上に支持した長尺の中空ロッド5の中空内に圧送自在とされている。
【0007】
(B)そこで管引き込み式管埋設機械2上に最初の中空ロッド5を設置して支持する。中空ロッド5外径は40〜50mm程度である。この中空ロッド5の先端には外径70〜100mm程度のドリル5aを予め装着してある。そして管引き込み式管埋設機械2によって、地表が略水平であるときは貫入立坑P1に対して最初の中空ロッド5を貫入角(10〜25°程度)で斜めに貫入し、中空ロッド5を回転させつつ発進立坑P2に向けて推進させ、発進立坑P2において最適方向に調整したのち、到達立坑P3へと中空ロッド5を継ぎ足しつつ地中を推進させる。尚、ドリル5aは先端面に中空ロッド5の中空内に連通する噴口(不図示)を複数有する。そこで推進時、噴口は滑液供給装置1から圧送された滑液6を前方へ噴射して土壌を切り崩す。切り崩した土はドリル5aの回転と推進とによってドリル5a外周壁中に押し込められ、パイロット孔8が形成されてゆく。尚、噴射中の滑液6は上記「土壌の切り崩し作用」の外、ドリル5aの冷却剤としても作用する。他方、噴射後の滑液6は中空ロッド5の推進用滑剤として作用する。そしてこの噴射後の滑液6は、その一部はパイロット孔8の壁中に浸透するが、残部はパイロット孔8を経て発進立坑P2内に戻って溜まる。溜まった滑液6は吸引装置3で吸引され、滑液供給装置1へと戻され再利用される。尚、ドリル5aは磁石(不図示)等の発信器を内蔵する。この発信器からの信号は、埋設計画線上を歩行する作業者が携帯する磁気探知機(ラジオロケータ:不図示)等の探知器によって探知される。この探知によってドリル5aの位置、深さ及び推進方向を監視する。また、ドリル5aの前面は傾斜成形されている。従って中空ロッド5の回転を停止させてそのまま推進させると、傾斜面が土壌から反力を受け、これにより中空ロッド5が反傾斜面方向へと漸時曲がる。即ち、探知器による監視と傾斜面の向き固定操作とによってパイロット孔8の進路は適宜変更自在とされている。
【0008】
(C)ドリル5aが到達立坑P3内に突出すると、パイロット孔8は完成する。そこでドリル5aを外す。そして仮に被埋設管4の外径がパイロット孔8よりも顕著に大径であるときは、図8に示すように被埋設管4と略同外径又は若干大径のリーマ9(拡径具)を最初の中空ロッド5先端に取り付ける。そしてリーマ9先端にスイベル継手10を接続し、スイベル継手10先端に管継手11(いわゆる「トーイングヘッド11」)を接続し、管継手11先端に被埋設管4の先端を接続する。リーマ9はその後面に中空ロッド5の中空内に連通する噴口9aを複数有する。そこで図9に示すように、滑液供給装置1によって噴口9aから滑液6を噴射させると共に、管引き込み式管埋設機械2によって中空ロッド5を回転させつつ中空ロッド5を引き込む。このとき滑液6の噴射によってパイロット孔8内壁を切り崩す。切り崩した土はリーマ9の回転と引き込みとによってリーマ9の外周壁中に押し込められ、これによりパイロット孔8が拡孔8aする(この予拡孔作業を「プレリーミング(Pre-reaming)」という)。そしてこの拡孔8a内に被埋設管4が引き込まれる。尚、滑液6は上記「土壌の切り崩し作用」の外、リーマ9aの冷却剤及び被埋設管4の引き込み用滑剤として作用し、その一部は拡孔8aとパイロット孔8との壁中に浸透透し、残部はパイロット孔8を経て発進立坑P2内に戻って溜まる。溜まった滑液6は吸引装置3で吸引され、滑液供給装置1へと戻り再利用される。
【0009】
(D)被埋設管4先端が発進立坑P2内に突出するまで中空ロッド5を引き込むと(不図示)、発進立坑P2内において被埋設管4と中空ロッド5との間から管係止部(リーマ9、スイベル継手10及び管継手11)を外す。そして貫入立坑P1から中空ロッド5を引き抜く。
【0010】
(E)埋設距離が長いときは、上記一連の工程(A)〜(D)の管埋設作業を繰り返えす。このとき、前の管埋設作業での発進立坑P2は後の管埋設作業での到達立坑P3となり、この到達立坑P3において前の管埋設作業での被埋設管4の先端に後の管埋設作業での被埋設管4の後端を接続する。即ち、後の管埋設作業では貫入立坑P1と発進立坑P2とを新たに設けることになる。尚、各立坑P1〜P3は各管埋設作業完了の都度、又は一括して埋め戻す。
【0011】
管引き込み式管埋設機械2を用いた他の管埋設施工を例示列挙する。
(1)上記工程(A)では、「先ず地表に貫入立坑P1、発進立坑P2及び到達立坑P3を互いに所定距離だけ離間して設ける」とした。ところが例えば小山を一気に貫通して150m程度の長さの被埋設管を埋設するとき、斜面に中空ロッド5を貫入させるとき、又は斜面から中空ロッド5を突出させるとき等では、中空ロッド5を直接に地表に貫入させ及び/又は地表から突出させることになる。従ってこれらの場合では、各立坑P1〜P3の幾つか又は総てが不要となる。そこで本発明では、斜面は元よりのこと、貫入立坑P1、発進立坑P2及び到達立坑P3の内壁面もまた「地表」として扱う。
【0012】
(2)上記工程(B)において、「管引き込み式管埋設機械2によって、地表が略水平であるときは貫入立坑P1に対して最初の中空ロッド5をロッド貫入角(10〜25°程度)で斜めに貫入し」とした。ところがこれは「地表が略水平であるとき」における一般的な最適ロッド貫入角であり、地表が斜面や垂直面であるときは、その最適ロッド貫入角がその都度採択される。
【0013】
(3)上記工程(C)において、リーマ9を用いず(つまり、プレリーミングすること無しに)管埋設することもある。即ち、被埋設管4外径がパイロット孔8と略同外径又はそれ以下であるとき、又は軟弱地盤であるときは、最初の中空ロッド5先端にスイベル継手10を接続し、スイベル継手10先端に管継手11を接続し、管継手11先端に被埋設管4先端を接続する。そしてそのまま中空ロッド5を引き込み管埋設する。このときスイベル継手10は地中での被埋設管4の捩じれを防止する。埋設計画線が略直線であったり、また、軟弱地盤であるときは、スイベル継手10を省くことすらある。
【0014】
(4)上記工程(C)において、土質よっては噴口9aのないリーマ9を用いることもある。この場合、中空ロッド5を只単に引き込んで管埋設する。このときスイベル継手10は地中での被埋設管4の捩じれを防止する。埋設計画線が略直線であったり、また、軟弱地盤であるときは、スイベル継手10を省くことすらある。
【0015】
(5)上記工程(C)又は(4)において、最初の中空ロッド5先端にリーマ9だけを接続してプレリーミングだけを先ず行うこともある。即ち、被埋設管4の管径が極めて太く(例えば350mm程度以上)、かつ両立坑P2〜P3間の距離も長い(例えば120m程度以上)場合に拡孔8aが崩落すると、その崩落量が多いことから引き込み抵抗が急増し、被埋設管4を引き込めなくなる問題がある。また、土質(例えば砂質、礫質、粘度質、含水比等)によっても拡孔8a内での崩落量が多く、この場合も被埋設管4を引き込めなくなる問題がある。そこでこれらの場合、上記の通り、プレリーミングだけを先ず行うのである。そののち、発進立坑P2から到達立坑P3へと中空ロッド5を再度推進させ、到達立坑P3においてリーマ9にスイベル継手10と、管継手11と、被埋設管4とをこの順で接続し、中空ロッド5を引き込み管埋設する。
【0016】
(6)管引き込み式管埋設機械2には液圧ポンプを備えるものもある。この場合、滑液供給装置1は只の滑液タンクでよく、従って管引き込み式管埋設機械2は滑液供給装置1から滑液6を吸引しつつ噴口から噴射させる。
【0017】
(7)地盤が軟弱であるとき、管埋設計画線が直線であるとき、又は管埋設計画線が短いときは、中空でない内実ロッド5を用いることもある。この場合、滑液供給装置1及び吸引装置3は不要である。またこの場合、内実ロッド5を回転させないで推進と引き込みとだけを行うこともある。従って以下、中空ロッド5及び内実ロッド5をまとめて単に「ロッド5」と称する。
【0018】
即ち管引き込み式管埋設機械とは、「一方の地表P1から他方の地表P3に向けてロッド5を継ぎ足しつつ推進させて地中にパイロット孔8を穿ち、他方の地表P3に到達したロッド5先端に被埋設管(4) を接続してロッド5をパイロット孔8を介して一方の地表P1へと引き込むことにより地中に被埋設管4を埋設する管埋設機械」である。そしてこの管引き込み式管埋設機械として、図10(第1従来例)〜図13(第4従来例)が知られる。
【0019】
(1)第1従来例は、図10に示す通り、エンジン搭載の大形の履帯式自走車体21aを基台とする。基台21a後部には左右へ張り出し自在のスタビライザ22R、22Lを設けてある。そして基台21a前部と長尺のロッド支持フレーム23の略中央部とは横ピン24aで連結されている(尚、ロッド支持フレーム23はロッド駆動機構23aを備えている、以下同じ)。さらに基台21a後部寄り部とロッド支持フレーム23後部寄り部との間に油圧シリンダ25aを架設してある。従って油圧シリンダ25aの伸縮によってロッド支持フレーム23は横ピン24a回りに起伏自在とされ、もってロッド支持フレーム23の傾斜角(つまり、ロッド貫入角)を調整自在としてある。尚、スタビライザ22R、22Lは、その名の通り、管埋設作業時に左右へ張り出されて車幅を拡大させ、これによりロッド推進反力及びロッド引き込み反力に抗して基台21aの安定を図るのものである。また、ロッド駆動機構23aは、上記施工例で説明の通り、機種によっては例えばロッド回転用アクチュエータ及び/又は滑液6を噴射させる液圧ポンプ等を内蔵するものの、いずれも基本的には「継ぎ足し自在に支持したロッド5を推進自在、かつ引き込み自在とするロッド駆動機構」である(以下同じ)。
【0020】
(2)第2従来例は、図11に示す通り、エンジン搭載の小形の履帯式自走車体21bを基台とする。基台21b後部にはその後部を持ち上げ自在とするアウトリガ26bを設けてある。そして基台21b上に長尺のロッド支持フレーム23を一体的に固定してある。従ってアウトリガ26bの張り出しによって基台21bは後部が浮いて前傾し、もってロッド貫入角を調整自在としてある。尚、ロッド支持フレーム23先端にロッド推進時及びロッド引き込み時の反力受けとしてのアンカー固設部27bを設けてあり、このアンカー固設部27bを介して地中にアンカー28bを打ち込み自在としてある。尚、5はロッドであり、23aはロッド支持フレーム23上のロッド駆動機構である。
【0021】
(3)第3従来例は、図12に示す通り、中形の装輪式被牽引車体21cを基台とする。この基台21c後部にその後部を持ち上げ自在とするアンカー固設部付きアウトリガ26cを設けてある。そして基台21c略中央部と長尺のロッド支持フレーム23略中央部とを横ピン24cで連結してある。さらに基台21c後部とロッド支持フレーム23後部との間に油圧シリンダ25cを架設してある。従って油圧シリンダ25cの伸長とアウトリガ26cの張り出しとによって基台21cを水平に浮かせつつロッド支持フレーム23の傾斜角(つまり、ロッド貫入角)を調整自在としてある。尚、基台21c全体を浮かせるのは装輪接地のままでは管埋設作業時に基台21cが動いて安定しないからである。それでもロッド支持フレーム23先端にロッド推進時及びロッド引き込み時の反力受けとしてのアンカー固設部27cを設けてある。尚、5はロッドであり、23aはロッド支持フレーム23上のロッド駆動機構であり、28cはアンカーである。
【0022】
(4)第4従来例は、図13に示す通り、エンジン搭載の中形の装輪式自走車体21dを基台とする。この基台21d前後左右には基台21d全体を持ち上げ自在とするアウトリガ26dを設けてある。また、基台21d前部には前端を横ピン24dで連結された長尺のブラケット29を設けてある。そしてこのブラケット29後端は基台21dの略中央部との間で油圧シリンダ25dを架設してある。また、ブラケット29上にはチェーン駆動機構(ロッド駆動機構23aに含めれる)を介してブラケット29よりも長尺のロッド支持フレーム23を前後方向へスライド自在に設けてある。従って前後左右のアウトリガ26dの張り出しによって基台21d全体を浮かせ、これにより装輪接地に基づく基台21dの揺れを無くし、次いで油圧シリンダ25dの伸縮量及び/又はブラケット29上でのロッド支持フレーム23のスライド量を調整し、もってロッド支持フレーム23の傾斜角(つまり、ロッド貫入角)を調整自在としてある。尚、5はロッドである。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記従来の管引き込み式管埋設機械2は、ロッド支持フレーム23は元よりのこと、基台21a〜21dもまたロッド支持フレーム23に対して一体化した専用機である。そこで次の要請及び問題が生じている。
【0024】
(a)外径300〜800mm程度の被埋設管の埋設には、前記の通り、「管推進式管埋設機械」を用いる。ところがこれは前記の通り発進立坑内に配置される。このため発進立坑が大径化する。また、先導管も大きく、そしてこの先導管は到達立坑から外部へと取り出される。さらには前の管埋設作業での到達立坑が後の管埋設作業での発進立坑となる。従って到達立坑もまた、必然的に大径化する。即ち、両立坑からの土工量が「管引き込み式施工」と比較して多量化する。そこで市街地での「管推進式施工」は「管引き込み式施工」に比べて環境破壊は元よりのこと、交通障害等の不都合が生ずることが明らかである。そこで外径300〜800mm程度の被埋設管の埋設に対しても、土工量の少ない(つまり立坑P2、P3を設けたとしても作業者が入れる程度の土工量でよいところの)「管引き込み式施工」を市街地で適用したいとの要請が頻繁である。ところが被埋設管が大径化すると、ロッド駆動機構23aが高トルク化、高出力化し、従ってロッド支持フレーム23を大形化させ、高剛性化させる必要がある。即ち、ロッド支持フレーム23を支持する基台もまた、大形化させ、高剛性化させる必要がある。ところが上記従来の基台21a〜21dのまま大形化させたのでは、環境保全が求められ、かつ隘路の多い市街地において機動性が損なわれる。従って、上記従来の管引き込み式管埋設機械2のままでは上記要請に応じられないのが実情である。
【0025】
(b)また、基台21a〜21dだけを他の施工に転用できない。つまり、管引き込み式管埋設機械2全体として製造上、また、使用上(保管上、輸送上、作業の歩留り上)不経済である。そして、当然のことながら管引き込み式管埋設機械2が大形化するに従い、この不経済性が顕著化する。
【0026】
本発明は、上記要請及び従来の問題点に鑑み、管推進式管埋設機械によって管埋設していた大径の又はそれ以上大径の被埋設管でも環境保全が求められ、かつ隘路の多い市街地においても無理なく管埋設でき、基台を他の施工に活用でき、廉価であり、使用し易い、及び/又は全く新たな管引き込み式管埋設機械の提供を目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記目的を達成するため本発明に係わる管引き込み式管埋設機械の第1構成は、一方の地表から他方の地表に向けて長尺のロッドを継ぎ足しつつ推進させて地中にパイロット孔を穿ち、他方の地表に到達したロッド先端に被埋設管を接続してロッドをパイロット孔を介して一方の地表へと引き込むことにより地中に被埋設管を埋設する管引き込み式管埋設機械において、継ぎ足し自在に支持したロッドを推進自在、かつ引き込み自在とするロッド駆動機構を備えた長尺のロッド支持フレームと、先端でロッド支持フレームを起伏自在に支持するアームと、一方の地表の近傍の地上に配置自在とされ、かつアームの基端を支持してアームを起伏自在とする基台と、前記基台と前記ア−ムとの間に架設されるアーム起伏用油圧シリンダと、前記アームと前記ロッド支持フレームとの間に架設されるフレーム起伏用油圧シリンダとを有することを特徴としている。
【0028】
上記第1構成は、大略すれば、一方の地表の近傍の地上に配置自在とされた基台に対しアームを、該アームに対しロッド支持フレームをそれぞれ起伏自在に設けてある。従って基台を一方の地表の近傍の地上に配置したのち、アーム及びロッド支持フレームを適宜起伏調整することにより、ロッドを最適ロッド貫入角で地中に貫入できる。また、基台とロッド支持フレームとがアーム両端でのピン連結部で別物化している。即ち、ロッド支持フレームは管引き込み式管埋設機械としての専用機ではあるが、基台は何であってもよい。つまり、基台は既存のものでもよく、ロッド支持フレームだけを単独で製造でき、このため、製造上、廉価な管引き込み式管埋設機械として市場に提供できる。また、基台が既存のものでもよいということは、詳細を、以降に述べる第2〜第4構成及び「発明の実施の形態及び実施例」の欄で詳記する通り、管推進式管埋設機械によって管埋設していた大径の被埋設管を、環境保全が求められ、かつ隘路の多い市街地でも無理なく管埋設でき、基台を他の施工に活用でき、使用し易く及び/又は全く新たな管引き込み式管埋設機械となり得る。
【0029】
第2構成は、上記第1構成の管引き込み式管埋設機械において、「先端でロッド支持フレームを起伏自在に支持するアーム」は、「先端でロッド支持フレームの略重心位置を、ロッド支持フレームが起伏自在となるように、支持するアーム」であることを特徴としている。
【0030】
上記第2構成は、第1構成の要素の「読み替え」である。本第2構成によればアーム先端をロッド支持フレームの略重心位置で支持してある。このため、ロッド支持フレームが自重によって自然傾斜し難く、従って余分な剛性をロッド支持フレームやアームに対して予め付与しておく必要がない。従って製造上経済的である。また、この管引き込み式管埋設機械を長期待機、保管させても、ロッド支持フレームが自然傾倒して周辺器物に衝突して損傷させる不都合も生じ難い。また、必然的にロッド支持フレームは、支持部前後において前後部側のそれぞれが片持ちとなるが、支持部がロッド支持フレームの略中央部であるためにロッド支持フレームの前後部側のそれぞれの片持ち荷重が最小化する。従ってその分、ロッド支持フレームに予め余計な剛性を付与することなく、軽量化できる。言い換えれば、同じ自重のロッド支持フレームであるならば、より高剛性の、またより大形のロッド支持フレームを採用することができ、従って大径管を埋設できるようになる。
【0031】
第3構成は、上記第1構成の管引き込み式管埋設機械において、「先端でロッド支持フレームを起伏自在に支持するアーム」は、「先端にアンカー固設部を備え、このアンカー固設部を備えた先端でロッド支持フレームの前部を、ロッド支持フレームが起伏自在になるように、支持するアーム」であることを特徴としている。
【0032】
上記第3構成もまた第1構成の要素の「読み替え」である。以下、第3実施例の作用効果を述べる。
(1)管埋設時にロッド支持フレームの揺れを抑制しないと、管埋設精度及び管埋設作業効率が向上しない。ところでロッド支持フレームの揺れに影響を与える作用力は、ロッド駆動機構の駆動に基づくロッド推進反力及びロッド引き込み反力(機種や施工によっては回転反力等も)が主体となる。ところが本第3構成では、アンカー固設部を備えた先端でロッド支持フレームの前部を支持しているから、実質的にアンカー固設部の1点だけでロッド支持フレーム前部を支持することになる。このため、ロッド支持フレームの揺れの大小はロッド支持フレームの剛性に依存することになる。ところがこの第3構成でのロッド支持フレームは、支持点よりも後方の長い部分に重い片持ちが生ずるから、そしてこのような重い片持ちに対しては当然に、かつ本来的に高剛性とされる必要がある。従ってこの高剛性のロッド支持フレーム自体がこのロッド支持フレームの揺れを抑制する。つまり、管埋設精度及び管埋設作業効率を向上できる。
(2)さらにまた本第3構成によれば、作業姿勢では、上記「実質的にロッド支持フレーム前部に設けたアンカー固設部の1点だけでロッド支持フレームの前部を支持することになると見做してよい」ということは、基台がロッド支持フレームを殆ど支持していないことと略同義である。つまり、本第3構成によれば、極めて小形の基台に対し、全く不似合いの大形のロッド支持フレームを搭載できるということである。即ち第3構成によれば、外径300〜800mm程度又はそれ以上の大径管でも、隘路の多い市街地において管埋設できる。
【0037】
第4構成は、上記第1、第2又は第3構成の管引き込み式管埋設機械において、基台は、下部走行体上に上部旋回体を旋回自在に備えると共に上部旋回体上に掘削作業機を脱着自在に備えてなる自走式掘削機械の上部旋回体又は下部走行体であることを特徴としている。
【0038】
上記第4構成は、具体的例を述べれば、自走式掘削機械(前記の通り、いわゆる「パワーショベル」である)に大形のロッド支持フレームを装着するときは、掘削作業機を外して下部走行体又は上部旋回体にアーム基端を装着してアーム先端にロッド支持フレームを装着し、また、小形のロッド支持フレームを装着するときは、掘削作業機を外すことなく下部走行体に装着するといったことである。即ち、上記第4構成によれば、
(1)アームを上部旋回体に起伏自在に設けると、搭載空間が無制限であるからロッド支持フレームの超大形化が可能となり、従って外径800mm以上の被埋設管でも埋設できる。尚、上部旋回体を旋回させることにより、その分だけロッド支持フレームの方向設定の自由度が増し、その分、隘路の多い市街地での管埋設作業が容易となる。
(2)他方、アームを下部走行体に起伏自在に設けると、ロッド支持フレームが下方位置となるために管引き込み式管埋設機械自体の重心を低くできる。この結果、管埋設作業を安定的に行える。また、アームを短くしてもロッド支持フレームを鋭角なるロッド貫入角(10〜25°程度)に設定し易い。そしてこのアームの短い分だけ、作業姿勢をコンパクト化でき、従って隘路の多い市街地でも操向性、設置性及び機動性よく大径管を埋設できる。
【0039】
【発明の実施の形態及び実施例】
第1実施例を図1、図2に示し、第2実施例を図3、図4に示し、第3実施例を図5、図6に示す。尚、図1〜図4では、説明を分かり易くするために紙面奥側の履帯及び履帯巻装フレームは図示したが、紙面手前側の履帯及び履帯巻装フレームは省略してある。また、図1〜図4において、既説の図10〜図13と同一機能の要素には同一符号を付して重複説明は省略する。また、実施例の説明に際し「管引き込み式管埋設施工」自体に係わる説明は、既説の図7〜図9の同一要素と同一符号を用いて重複説明は省略する。
【0040】
第1実施例は図1、図2に示す通り、装軌式パワーショベルの下部走行体21eを基台としている。即ち、パワーショベルは例えば油圧駆動式であり、左右の走行用油圧モータ(不図示)によって走行及び操向を自在とされた下部走行体21eと、下部走行体21e上に旋回油圧モータ(不図示)によって旋回自在とされた上部旋回体211と、上部旋回体211上に互いに横ピン連結されたブーム、アーム、バケット、各油圧シリンダを有してそれぞれを起伏自在とされた掘削作業機とを有する。尚、掘削作業機は取り外してあるために図示しない(尚、ブーム基端を横ピン連結するためのブラケット35のみ図示してある)。また、上部旋回体211上には前記各油圧アクチュエータの駆動油圧源である不図示の油圧ポンプ、油圧ポンプ駆動用エンジン、油圧制御弁及び運転席等を搭載する。
【0041】
下部走行体21eは左右に履帯を備えた下部フレーム21e1を有し、この下部フレーム21e1上面中央に横置きの大径ベアリングを介して上部旋回体211を旋回自在に搭載してある。そして下部走行体21eを前視したとき、左右の履帯間に下部フレーム21e1前部の略総てを臨むことができる。そこで本第1実施例では、この下部フレーム21e1前部に第1横ピン31によってアーム30の基端を連結してある。他方、アーム30先端は第2横ピン32によって、長尺のロッド5を継ぎ足し自在、かつ継ぎ外し自在に支持する長尺のロッド支持フレーム23をその略重心位置で連結している。また、下部フレーム21e1前部とアーム30とにはアーム起伏用油圧シリンダ33を架設し、さらにアーム30とロッド支持フレーム23とにはフレーム起伏用油圧シリンダ34を架設してある。そしてロッド支持フレーム23上にロッド駆動機構23aを設け、さらにロッド支持フレーム23先端にアンカー固設部27を設けてある。
【0042】
尚、ロッド駆動機構23aは、基本的には、継ぎ足し自在に支持したロッド5を推進自在、かつ引き込み自在とする各種油圧アクチュエータを有する。そしてこれら各種油圧アクチュエータの駆動油圧源を、上部旋回体211上の油圧ポンプから得ている。具体的には、取り外した掘削作業機(ブーム、アーム及びバケット)の各油圧シリンダ用圧油を転用している。
【0043】
上記第1実施例の動作例を説明する。図1は走行姿勢を示し、図2は作業姿勢を示す。図1の走行姿勢は、アーム起伏用油圧シリンダ33を最大伸長させてアーム30を起立させると共に、ロッド支持フレーム23が略水平となるようにフレーム起伏用油圧シリンダ34を伸長させて達成する。尚、本第1実施例(以下の実施例も同じ)では油圧シリンダ34に既知のキックアウト装置を装着してある。この装置は、油圧シリンダ34の伸長時にロッド支持フレーム23が水平になると、同シリンダ用操作弁を強制的に中立位置に戻し同油圧シリンダ34の伸長を停止させるものである。但し、オペレータがこれに抗して伸長操作すると、同シリンダ34は伸長し続けるものである。他方、図2の作業姿勢への移行は、実施例本体が貫入立坑P1の近傍まで自走し、発進立坑P2に向けて停車したのちに行われる。尚、このときのロッド支持フレーム23の向き制御は走行及び操向によって行う。このロッド支持フレーム23の向き設定を行ったのち、両油圧シリンダ33、34を短縮させてロッド支持フレーム23先端を略所定位置に接地させつつ、ロッド支持フレーム23を傾斜させる。そののち、ロッド支持フレーム23先端のアンカー固設部27が所定位置に接地した状態でロッド支持フレーム23が所定のロッド貫入角となるように、両シリンダ33、34の伸縮を微調整する。調整完了ののち、アンカー固設部27を介して地中にアンカー28を打ち込む。以上により図2の作業姿勢を確保し、以降は既説の「管引き込み式管埋設施工」例に従って管埋設する。
【0044】
上記第1実施例によれば、次の効果を奏する。
(11)アーム30先端をロッド支持フレーム23の略重心位置でピン連結してあるため、ロッド支持フレーム23が自重によって自然傾斜し難い。つまり、フレーム起伏用油圧シリンダ34には、管埋設作業時を除いて負荷圧の発生が殆どなく、従ってその分だけ、同油圧シリンダ34を長寿命化でき、軽量化でき、小形化できて経済的である。また、車庫内等での長期待機時において、ロッド支持フレーム23が自然傾倒して周辺器物に衝突して損傷させる不都合も生じ難くなる(もっとも、本第1実施例では、ロッド支持フレーム23を地上から浮かせた待機姿勢とするときに安全ピン(不図示)によってロッド支持フレーム23を下部走行体21e(上部旋回体211でもよい)に固定するようにしてある)。また、本実施例では、ロッド支持フレーム23はピン連結部の前後においてそれぞれ片持ちとなるが、ピン連結部がロッド支持フレーム23の略中央部となるため、ロッド支持フレーム23の前側及び後側のそれぞれの片持ち荷重を最小化でき、従ってその分、ロッド支持フレーム23を剛性を図りつつ軽量化できる。言い換えれば、より高剛性のロッド支持フレーム23を搭載できる。また、大形のロッド支持フレーム23を搭載でき、従って大径管を埋設できる。
【0045】
(12)下部走行体21eとロッド支持フレーム23とは、アーム30両端でのピン連結部で別物化している。しかも基台なる下部走行体21eは既成のパワーショベルの下部走行体である。即ち、ロッド支持フレーム23は管引き込み式管埋設機械としての専用機となるものの、基台21eは汎用機のままである。従ってロッド支持フレーム23だけを単独で製造できるため、廉価な管引き込み式管埋設機械として市場に提供できる。また、基台21e側(つまり、パワーショベル側)に故障が生じても、パワーショベルは市場に広く行き渡っている自走式建設機械であるから故障箇所発見、部品交換及び/又は再発防止策定を的確、かつ迅速に行え、管埋設作業の短工期化を促進できる。しかも、管埋設作業しないときは、必要に応じてロッド支持フレーム23を外すと共に、上部旋回体211上に掘削作業機を取り付ければ(油圧配管も再接続する)、直ちにパワーショベル本来の掘削作業を行える。勿論、バケットを他のアタッチメント(例えばブレーカ、クラムシェル、ドロップハンマー等)に切換えることによってそれぞれの本来の施工を行えることは説明を要さない。
【0046】
(13)パワーショベルは掘削作業時に、前部重量物である掘削作業機に対し後部にカウンタウエイトを備えるなどしてバランスを図り、従って全体として他の車両等と比較して体積の割りには大重量である。従って外径300〜800mm程度の被埋設管に対しても支障なく推進し、また引き込みする際の押し力、また牽引力を自重で賄うことができる。また、アンカー28なしでも安定的に管埋設作業できる場合が増える。この場合、アンカー28の打ち込みによる土場荒らしも無くなる。また、重量物であり、かつ履帯式であるから軟弱地盤上でも安定して管引き込み式管埋設機械の基台とできる。また、パワーショベルは、超大形を除き、そもそもが市街地でも走行でき、操向でき、低騒音で掘削作業できるように各種構成されている。即ち環境保全が求められ、かつ隘路の多い市街地でも外径300〜800mm程度又はそれ以上の大径管の被埋設管に対しても支障なく管埋設できる。
【0047】
(14)アーム30の基端位置がパワーショベル本体の下方位置となる。このため、第1実施例全体の重心を低くでき、その分、安定的に管埋設できる。また、アーム30を短くしてもロッド支持フレーム23を鋭角なるロッド貫入角(10〜25°程度)に設定し易い。そしてこのアーム30の短い分だけ、図2の作業姿勢をコンパクト化でき、従って隘路の多い市街地でも、操向性、設置性、機動性よく大径管を埋設できる。
【0048】
第2実施例は、図3、図4に示す通り、第1実施例とは次の4点で異なる。第1点は、第1実施例ではアーム30先端をロッド支持フレーム23の略重心位置にピン連結したが、第2実施例ではアーム30先端をロッド支持フレーム23の先端寄り部にピン連結した点である。第2点は、第1実施例ではアンカー固設部27をロッド支持フレーム23先端に設けたが、第2実施例ではアーム30先端に設けた点である。第3点は、上記第1実施例と比較すれば、アーム30長さを幾分長くした点である。第4点は、上部旋回体211後部から支持ブラケット211bを立ち上げて走行姿勢時(図3)にロッド支持フレーム23の後部を支持可能とした点である(尚、この支持ブラケット211bは油圧シリンダ33、34が有るから設けなくてもよいが、このように設けたのは安全性を強調するためであり、かつ安全性を重複して確保するためである)。
【0049】
上記第2実施例によれば、第1実施例での上記(11)の効果は得られないものの次の効果を奏する(尚、動作は、第1実施例で既説の動作例と同じであるから重複説明は省略する)。図3(図1)の走行姿勢では車体の転倒性及び旋回半径が問題となり、他方、図4(図2)の作業姿勢ではロッド支持フレーム23の揺れ具合が高品質、かつ高効率に管埋設する上で問題となる。そこでこれらを次ぎに検討する。
【0050】
(21)図3の走行姿勢時、本第2実施例のアーム30は第1実施例のアーム30よりも長くしたため(つまり、モーメントの腕長さが長くなり、そのため)、その分だけ車体が前傾し易く見える。ところが図1の第1実施例と比較すれば明らかな通り、ロッド支持フレーム23全体がパワーショベル適用側本体に対し、同一高さでありながら第1実施例よりも後方に位置するようになる。つまり、転倒性はむしろ第1実施例よりも向上する。そしてこの結果、下部走行体21eを通常旋回させたり、又は超信地旋回(左右の走行用油圧モータを互いに逆回転させることにより下部走行体21eの中心回りで車体が旋回すること)させると、旋回半径rが第1実施例(図1)の旋回半径Rよりも小さくなる。従って隘路の多い市街地での機動性が向上する。
【0051】
(22)他方、図4の作業姿勢時は次の通り。ロッド支持フレーム23の揺れ具合に影響を与える作用力は、ロッド支持フレーム23側ではロッド推進反力及びロッド引き込み反力(尚、施工によっては回転反力等も)であり、他方、パワーショベル適用本体側ではエンジン振動である。即ち第1実施例では、図2に示す通り、ロッド支持フレーム23はその略中央部とアンカー固設部27との離間した位置間(つまり、モーメント上で長い腕)で2点支持されている。このため、各作用力はロッド支持フレーム23の略中央部の支持点を経て相互に伝達し合い、小さな作用力でも長い腕によってロッド支持フレーム23を揺らせる。これに対し、第2実施例では、図4に示す通り、アンカー固設部27回りだけの略1点支持である。尚、フレーム起伏用油圧シリンダ34の基端は何処にでも設定できるから(具体的にはアンカー固設部27にでも設定できるから)、フレーム起伏用油圧シリンダ34を伝播する振動はアンカー固設部27又はアンカー28を経て地面で受ける。従って第2実施例では上記の通りアンカー固設部27回りだけの略1点支持と見做して構わない。即ち、作業姿勢においてアーム30が支持しているのはロッド支持フレーム23ではなく、直接的にはアンカー28である。言い換えれば、ロッド支持フレーム23はアンカー28によって地中に固定され、他方、パワーショベル適用側本体もアーム30を介してアンカー28によって地中に固定されていることになる。つまり、モーメント上で腕長さが極めて短い。従って余程大きな作用力が発生しない限り、ロッド支持フレーム23が揺れることがない。即ち高品質、かつ高効率で管埋設できる。
尚、ここで問題となるのはロッド支持フレーム23の剛性(特に、第2横ピン32よりも後方のロッド支持フレーム23部の剛性)であるが、本第2実施例のロッド支持フレーム23は第2横ピン32よりも後方のロッド支持フレーム23部が大きな片持ちとなるから、当然にその剛性は第1実施例の前後略等分割された前後に片持ちを有するロッド支持フレーム23よりも高くしなければならない。従って作用力に対する基本的剛性も第1実施例に比べより高いものとなり、この剛性問題も解消されている。
さらにまた、作業姿勢において、ロッド支持フレーム23がアーム30ではなくアンカー28によって地中に固定されているということは、パワーショベル側が極めて小形であってもよいということである。つまり、ロッド支持フレーム23を支承してかろうじて自走できる程度の小形のパワーショベル本体であっても基台として転用できるということである。
即ち本第2実施例によれば、極めて小形のパワーショベルに対して全く不似合いの大形のロッド支持フレーム23を搭載でき、従って外径300〜800mm程度又はそれ以上の大径管での隘路の多い市街地において小回性よく管埋設できる。
【0052】
第3実施例は、上記第1、第2実施例に搭載するに好適なオフセット機構である。第1例を図5に示し、第2例を図6に示す。即ち第1例は、図5に示す通り、アーム30先端へのロッド支持フレーム23のピン連結部を上下40A、40Bに分割し、これら上下40A、40B間に油圧シリンダ41を架設すると共に、上下40A、40B間を相対的に左右方向(つまり、ロッド支持フレーム23の長手方向に対し直角横方向)へスライド自在に嵌合したものである。嵌合部にはスライドパッド42aを設けて油圧シリンダ41の伸縮によって面接触しつつスライド可能としたものである。図6の第2例は、上側40Aに回転ローラ42bを設けてローラ42bが下側40Aに設けた転動面上を転動してスライド可能としたものである。尚、これら各第1、第2例をアーム30側に設けてもよく、それらの結果は上記各第1、第2例と同じである。
【0053】
上記第3実施例のオフセット機構例によれば、次の効果を奏する。即ち、ロッド支持フレーム23が左右間でオフセット移動でき、従って隘路の多い市街地でもより好適に管埋設できる。例えば側溝、塀、建物に近接し、かつこれらに沿って容易に管埋設できる。とりわけ、第2実施例に対しては次のような顕著な効果を奏する。即ち、アーム30を下部フレーム21e1の略中心に位置させるのが望ましいがこの場合、かつパワーショベルが小形であると、第2実施例では作業姿勢への移行時及び作業姿勢自体においてロッド支持フレーム23が運転席上に近接してしまい、作業姿勢への移行操作が不能又は困難となり易い。ところが第3実施例なるオフセット機構40を有することにより、ロッド支持フレーム23を運転席から横方向へずらすことができ、上記問題が無くなる。
【0054】
尚、オフセット機構は、要するにロッド支持フレーム23を横方向へオフセット自在とする機構であればよく、従って上記第1、第2例の外、例えばリンク機構としてもよい。具体的には、姿勢(つまり、ロッド支持フレーム23の向き)を維持したままでオフセットできる4節平行リンクが望ましい。また、4節非平行リンクとすれば、ロッド支持フレーム23を前後方向に凹形状の軌跡をもってオフセット移動できるから、例えばロッド貫入地点に隣接して例えば既埋設管があるときはこれを微妙に回避したロッド貫入地点を選択できる。
【0055】
以下、他の実施例とその作用効果とを例示列挙する。
(1)上記各実施例でのパワーショベルは装輪式でもよい。装輪式パワーショベルはアウトリガを備えているのが普通であるから、これを用いることによりアンカー固設部27を省くことができる。尚、第2実施例のパワーショベルを装輪式とした場合、上記(22)で説明の通り、パワーショベルがロッド支持フレーム23と切り離されているものと見做せるから、アウトリガを使用しなくてもロッド支持フレーム23にエンジン振動を伝播させることなく、従ってロッド支持フレーム23の揺れはロッド支持フレーム23の剛性だけで対応できる。つまり、上記第2実施例の基台21e側が装輪式パワーショベルであるときは、そのアウトリガを張り出す必要もなく、従ってアウトリガを張り出すための空間を節約でき、このため隘路の多い市街地での管埋設作業を効率的に行える。言い換えればその分、大形の装輪式パワーショベル(従って大形のロッド支持フレーム23)を基台とした管引き込み式管埋設機械を隘路の多い市街地での管埋設に投入できる。
【0056】
(2)上記各実施例での基台はパワーショベルの下部走行体21eである。そして殆ど総てのパワーショベルの上部旋回体211前端は、下部走行体21eの下部フレーム21e1前端よりも前方に大きく突出している。従って第1実施例でのアーム30は、図1に明示するように、かつ図1の走行姿勢において、アーム30下部後面が上部旋回体211前端に衝突しないように、前方へ大きく凹んでいるのが望ましい。そして、この凹み代を大きくするとその分、走行姿勢でのロッド支持フレーム23を後退させることができる。即ち旋回半径R(又はr)をさらに小さくでき、従って隘路の多い市街地での稼働が容易となる。
【0057】
(3)上記各実施例では下部走行体21eと、アーム30と、ロッド支持フレーム23との連結に横ピン31、32を用いたが、ボールジョイント等の連結部材を用いてもよい。要するに、アーム30を下部走行体21eに対し起伏自在とさせ、かつロッド支持フレーム23をアーム30に対し起伏自在とさせる連結構成であればよい。
【0058】
(4)上記各実施例ではアーム30を下部フレーム21e1前面にピン連結したが下部フレーム21e1後面にピン連結してもよい。このようにすると、作業機を取り外すことなく管埋設作業を行える。これは、パワーショベルの車格に対してより小形のロッド支持フレーム23を加設するのに好適である。尚、この場合、掘削作業機用の油圧操作弁をロッド駆動機構23a用として転用できないために、ロッド駆動機構23a用の油圧操作弁や切換弁を別途設ける必要がある。
【0059】
(5)上記各実施例ではアーム30を下部フレーム21e1前面に横ピン連結したが、上部旋回体211に横ピン連結してもよい(つまり、基台を上部旋回体211としてもよい)。具体的には、図1〜図4に示すブーム基端のピン連結部35にアーム30の基端をピン連結することとなる。この場合、アーム30の連結位置が高くなるため、ロッド支持フレーム23の先端が地表に接地し難くなる。従って第2横ピン32位置をロッド支持フレーム23の後方に移すか、又はアーム30を長くする必要がある。前者「第2横ピン32位置をロッド支持フレーム23の後方に移す」と、作業姿勢時でのロッド支持フレーム23の揺れ具合が大きくなり易い欠点が生ずる。他方、「アーム30を長くする」と、走行姿勢での全高が高くなって輸送上の欠点が生ずる。それでもこのように構成すると、ロッド支持フレーム23の超大形化が可能となり、従って外径800mm以上の被埋設管でも埋設できることになる。尚、ささやかながら、上部旋回体211を旋回させてロッド支持フレーム23を方向設定できるとの方向設定自由度が増すから、その分、隘路の多い市街地での管埋設作業が容易となる。
【0060】
(6)基台21eをパワーショベル以外の、例えばブルドーザ、ドーザショベル、ホイールローダ、フォークリフト等の自走式建設機械でもよい(尚、フォークリフトは荷役機械だが、自走式建設機械に含めるものとする)。これらは殆どが強大な牽引力又は強大な積載量を生起するに見合った大きな自重及び剛性を有する。しかも、ブルドーザならばブレード、ドーザショベル及びホイールローダならばバケット、フォークリフトならばフォークといった作業機をアーム30及びロッド支持フレーム23に置換することが容易である。また、ロッド駆動機構23aに対する油圧源等の駆動源も有している。また、これら自走式建設機械は大重量かつ高剛性でありながら小形化が図られており、従って環境保全が求められ、かつ隘路の多い市街地での稼働、即ち外径300〜800mm程度又はより大径の被埋設管の埋設に対しても支障なく基台として適用できる。勿論、ブレード、バケット又はフォークに戻すことにより本来の押土作業、掘削・積み込み作業又は荷役作業を行える。また、上記の通り大重量であるから、アウトリガなしでも、アンカー28なしでも無理なく管埋設作業を行え、アンカー28打ち込みによる土場荒らしも無くすことができる。また、これら自走式建設機械は、パワーショベルと同じく市場に広く行き渡っているから故障箇所発見、部品交換及び/又は再発防止策定を的確、かつ迅速に行え、従って管埋設作業の短工期化を促進できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】走行姿勢の第1実施例の側面図である。
【図2】作業姿勢の第1実施例の側面図である。
【図3】走行姿勢の第2実施例の側面図である。
【図4】作業姿勢の第2実施例の側面図である。
【図5】第1、第2実施例に加設するオフセット機構の第1例の斜視図である。
【図6】他のオフセット機構の第1例の斜視図である。
【図7】管引き込み式管埋設施工でのパイロット孔の穿孔作業を示す図である。
【図8】被埋設管とロッドと両先端間の接続部材の側面図である。
【図9】管引き込み式管埋設施工での管引き込み作業を示す図である。
【図10】第1従来例の斜視図である。
【図11】第2従来例の側面図である。
【図12】第3従来例の側面図である。
【図13】第4従来例の側面図である。
【符号の説明】
4:被埋設管、5:ロッド、6:滑液、8:パイロット孔、21e:基台(下部走行体、上部旋回体、自走式建設機械)、211:上部旋回体、23:ロッド支持フレーム、27:アンカー固設部、30:アーム、40:オフセット機構、P1:一方の地表(貫入立坑)、P3:他方の地表(到達立坑)。
Claims (4)
- 一方の地表(P1)から他方の地表(P3)に向けて長尺のロッド(5) を継ぎ足しつつ推進させて地中にパイロット孔(8)を穿ち、他方の地表(P3)に到達したロッド(5) 先端に被埋設管(4) を接続してロッド(5) をパイロット孔(8) を介して一方の地表(P1)へと引き込むことにより地中に被埋設管(4)を埋設する管引き込み式管埋設機械において、
継ぎ足し自在に支持したロッド(5) を推進自在、かつ引き込み自在とするロッド駆動機構(23a)を備えた長尺のロッド支持フレーム(23)と、
先端でロッド支持フレーム(23)を起伏自在に支持するアーム(30)と、
一方の地表(P1)の近傍の地上に配置自在とされ、かつアーム(30)の基端を支持してアーム(30)を起伏自在とする基台(21e)と、
前記基台 (21e) と前記ア−ム (30) との間に架設されるアーム起伏用油圧シリンダ (33) と、
前記アーム (30) と前記ロッド支持フレーム (23) との間に架設されるフレーム起伏用油圧シリンダ (34) とを有する
ことを特徴とする管引き込み式管埋設機械。 - 「先端でロッド支持フレーム(23)を起伏自在に支持するアーム(30)」は、「先端でロッド支持フレーム(23)の略重心位置を、ロッド支持フレーム(23)が起伏自在となるように、支持するアーム(30)」である
請求項1記載の管引き込み式管埋設機械。 - 「先端でロッド支持フレーム(23)を起伏自在に支持するアーム(30)」は、「先端にアンカー固設部(27)を備え、このアンカー固設部(27)を備えた先端でロッド支持フレーム(23)の前部を、ロッド支持フレーム(23)が起伏自在になるように、支持するアーム(30)」である
請求項1記載の管引き込み式管埋設機械。 - 基台(21e) は、下部走行体(21e) 上に上部旋回体(211) を旋回自在に備えると共に上部旋回体(211)上に掘削作業機を脱着自在に備えてなる自走式掘削機械の上部旋回体(211) 又は下部走行体(21e) である
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の管引き込み式管埋設機械。
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