JP4019438B2 - 貼付装置及びicカードの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICカード(電子集積回路を含むカード)等の機能カード等を製造するための貼付装置及び製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数枚のシート(フィルム)を貼り付けて、積層体を構成して、その積層体を所定の長さに切断することにより、たとえばICカード等の機能カードを製造することが提案されている。
たとえばICカードを作る場合には、シートとシートの間に電子回路を含むフィルム基板を配置する必要がある。このフィルム基板をシートに対して接着剤を介して接着する従来の例としては、図11で示す方式が採られている。つまりシートSは、平らな面を有するテーブルTの上に載っている。シートSの一方の面には接着剤Bが塗布されている。ヘッドHは、フィルム基板Fを保持しており、操作手段Tが作動するとヘッドHは、矢印Z方向に下がり、これによりフィルム基板FはシートSに対して接着剤Bを介して接着される。つまりフィルム基板FはシートSに対して接着剤Bを介して面接触することになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような方式の貼付装置では、次のような問題がある。
ヘッドHのフィルム基板Fと、テーブルTのシートSが平行でないと、接着剤Bがあるのでフィルム基板FとシートSの接触圧が安定せず、フィルム基板Fの全面にわたって安定した接着をすることが難しい。
しかも図11のようにフィルム基板FとシートSを一度に接着した場合に、接着剤B内に気泡が残る可能性が高く、接着の信頼性が欠ける。
特に、ICカードのような機能カードは、過酷な使用に耐える必要があり、フィルム基板Fのような薄板状の対象物と、シートSの密着性を向上して、機能カードの耐久性を向上することが望まれている。
【0004】
そこで本発明は上記課題を解消するためになされたものであり、シート状の部材に対して、薄板状の対象物を接着剤を用いて確実に接着することができる貼付装置及びICカードの製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明にあっては、シート状の部材に対して、薄板状の対象物を接着剤を用いて貼り付けるための貼付装置において、薄板状の対象物を着脱可能に保持する対象物保持手段と、薄板状の対象物が貼り付けられるシート状の部材の第1面とは反対側の、シート状の部材の第2面を支持する第1ローラと、シート状の部材の第2面を支持すると共に初期状態で第1ローラの横に配される第2ローラと、第1ローラから第2ローラを離れる方向に移動させることで、シート状の部材の第1面と対象物保持手段に保持されている薄板状の対象物とを密着させるローラ移動手段と、を備える支持手段と、シート状の部材が巻回された部材ロールから繰り出されたシート状の部材の第1面に接着剤を設ける接着剤供給手段と、を備え、接着剤が設けられたシート状の部材に複数の薄板状の対象物を順次貼り付けるようにした貼り付け装置により、達成される。
【0006】
本発明では、シート状の部材に対して、薄板状の対象物を接着剤を用いて貼り付ける際に、対象物保持手段が薄板状の対象物を着脱自在に保持している。そして支持手段が、シート状の部材の第2面を支持する。
この支持手段の第1ローラと初期状態で第1ローラの横に配される第2ローラはシート状の部材の第2面をそれぞれ支持しているが、ローラ移動手段を作動すると、次のような作動をする。すなわち、第2ローラが第1ローラから離れる方向に移動させられ、この第2ローラが移動することで、シート状の部材の第1面と対象物保持手段の保持されている薄板状の対象物との密着性を高めて、接着剤内に含まれている気泡を除去する。
このようにすることで、接着剤内の気泡を排除でき、薄板状の対象物はシート状の部材に対して接着剤を用いて、確実に貼り付けることができる。
また、上記目的は、第1のシート状の部材が巻回された第1の部材ロールから繰り出された第1のシート状の部材の接着剤が配された第1面に、電子回路を有するフィルム基板を密着させながら、第1のシート状の部材の第1の面と反対側の第2面の側から第2面を支持する第1のローラの横に配置された第2のローラを移動させることによって第1のシート状の部材の第1面にフィルム基板を所定の間隔で配置して貼り付ける工程と、フィルム基板が貼り付けられた第1のシート状の部材に、第2のシート状の部材が巻回された第2の部材ロールから繰り出された第2のシート状の部材を供給し、フィルム基板が貼り付けられた第1のシート状の部材に第2のシート状の部材を貼り合わせる工程と、 この貼り合わせる工程の後、熱処理を施す工程と、熱処理が施された第1及び第2のシート状の部材を所定の寸法に切断する工程と、を有するICカードの製造方法によって達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0008】
図1ないし図3は、本発明の貼付装置の好ましい実施の形態を示している。
図1は、貼付装置を示す斜視図であり、図2は貼付装置および周辺部分を示す側面図、図3は図2の貼付装置の正面図である。
図4と図5は、ICカードのような機能カードを作る製造装置を示している。この製造装置は、図1ないし図3に示す貼付装置70を含んでいる。
まず図4と図5を参照することで、機能カードの製造工程について説明する。図4は、この製造工程の前半部分を示し、図5は製造工程の後半部分を示している。
この製造工程は、図4のラミネート部PR1、圧延部PR2、図5の処理部PR3等を含んでいる。
【0009】
まず図4のラミネート部PR1を説明する。ラミネート部PR1のロール110は、シート状の部材2を巻いたものである。またロール112は、別のシート状の部材902を巻いたものである。シート状の部材2、シート状の部材902は、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)のシートである。このシート状の部材2,902は、それぞれ必要な印刷が施されている。
【0010】
シート状の部材2は、ロール110から繰り出されて所定の幾つかのローラを通り、その途中で接着剤Bが塗布されるようになっている。この接着剤Bは、液剤供給装置1000によりシート状の部材2の第1面2aに塗布される。この第1面2aは、図4においては上面側であり、第2面2bは下面側である。
シート状の部材2は、幾つかのローラを通り、貼付装置70のローラ180に送られる。この貼付装置70は、シート状の部材2の第1面2aの接着剤Bに図7のフィルム基板7を貼り付ける。そしてシート状の部材2は、マーク検出部181、ローラ182を経て、幾つかのローラを経て、圧延部PR2側に至る。
【0011】
一方、図4のロール112から繰り出されるシート状の部材902は、幾つかのローラを通り、シート状の部材902は、シート状の部材2とラミネートされて、圧延部PR2に導かれる。シート状の部材2,902が圧延部PR2に至る前に、シート状の部材2,902の間には液剤供給装置1000から接着剤Bが供給される。この接着剤Bは、ラミネート後のシート状の部材2,902の厚みを所定値にするために塗布される。
圧延部PR2においては、シート状の部材2,902は、図5の熱硬化炉185で熱硬化処理されて、厚さ検出等の作業が施される。そしてラミネートされたシート状の部材2,902は、処理部PR3を経て、切断部PR4において所定の長さに切断され、切断して得られたシート状の部材2,902(積層体FL)は、収容部PR5に収容される。
【0012】
図6は、図4と図5の製造工程の各工程でのシート状の部材2,902の様子を示している。
図6(A)は、シート状の部材2に対して接着剤Bを薄膜コーティングしている状態を示している。図6(B)は、貼付装置70の工程において、シート状の部材2の接着剤Bに対して、電子回路を有するフィルム基板7を貼り付ける様子を示している。
【0013】
図6(C)は、図4のラミネート部PR1を示しており、シート状の部材2の上には、さらに接着剤Bが塗布される。この段階において接着剤を塗布するのは、上述したようにシート状の部材2と902の間に充填用の接着剤を塗布することで、シート状の部材2,902およびフィルム基板7から構成されるカードの厚みを所定値に設定するためである。
図6(D)は、図5の熱硬化炉185における熱処理をしている状態を示している。図6(E)は、図5の切断部PR4においてシート状の部材2,902およびフィルム基板7から構成されるカード製造用の積層体FLを、所定寸法に切断する様子を示している。この積層体FLはICカードのような機能カードである。
【0014】
図7は、図6(B)で示したフィルム基板7の一例を示している。このフィルム基板7は、電子回路を含むフィルム基板である。
図8は、図4のロール110を示し、図9は図4のロール112を示している。
【0015】
次に、図4の貼付装置70について図1ないし図3を参照して説明する。
貼付装置70は、概略対象物保持手段200、支持手段300を有し、詳しくはさらに対象物移載手段400、ローラ180,182、制御部100等を備えている。
この貼付装置70は、図4と図1に示すシート状の部材2の接着剤Bに対して、フィルム基板(薄板状の対象物)7を確実に貼り付けるための装置である。
まずシート状の部材2は、たとえばローラ180のモータM1を作動することで、矢印A方向に送ることができる。
【0016】
すでに述べたように、シート状の部材2の第1面2aにはたとえばエポキシ系の接着剤Bが、予め塗布されている。この接着剤Bの塗布は、図4ですでに説明したように液剤供給装置1000が供給する。シート状の部材2は、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)で作られており、その両側部分には、送り用の孔HLが形成されている。これにより、ローラ180のピン180aが、シート状の部材2の孔HLにはまり込むので、モータM1を作動することで、ローラ180はシート状の部材2を矢印A方向に確実に滑ることなく送ることができる。
【0017】
次に、対象物移載手段400について説明する。
図1の対象物移載手段400は、図2に示すように、対象物供給部600により供給されてくるフィルム基板7を、対象物保持手段200側に移すための装置である。対象物移載手段400は、ベース401の上にロータリーアクチュエータ402を有しており、このロータリーアクチュエータ402が作動すると、フィルム基板の移載ハンド403が、180度毎にインデックスできる。つまり移載ハンド403の吸着ハンド部404と405が、それぞれ対象物保持手段200と、対象物供給部600の間で交互に位置決めできる。吸着ハンド部404,405は、図1の真空源407の作動により、図7で示したフィルム基板(薄板状の対象物)7を吸着して保持できる。
ベース401と移載ハンド403は、図示しないアクチュエータによりZ方向に下げることができ、これにより、吸着ハンド404は貼付ヘッド1に近ずき、吸着ハンド405はバックアップユニット601に近ずく。
【0018】
図2の対象物供給部600は、バックアップユニット601と搬送コンベア602等を備えている。搬送コンベア602がプラテン603を用いてフィルム基板7を搬送してくると、プラテン603はバックアップユニット601の上に載る。そうすると、ベース401と移載ハンド403が、図示しないアクチュエータにより下がるので、移載ハンド403のたとえば吸着ハンド部405がバックアップユニット601側のフィルム基板7に接近して、吸着ハンド部405がフィルム基板7を吸着して保持する。そしてベース401と移載ハンド403が上昇して、ロータリーアクチュエータ402が作動すると、吸着ハンド部405と404の位置が入れ替わり、吸着ハンド部405が、対象物保持手段200の貼付ヘッドに対応した位置にくる。
【0019】
次に、対象物保持手段200について説明する。
対象物保持手段200は、図1ないし図3に示すように、2つの貼付ヘッド1,1を備えている。貼付ヘッド1,1は、図2の軸201のベース202に対して設定されている。ベース202は、これらの貼付ヘッド1,1を、反対方向に向けて、バネ8,8を介して弾性的に保持している。
【0020】
貼付ヘッド1,1は、それぞれフィルム基板7を吸着により保持することができる装置である。つまり図1に示すように貼付ヘッド1,1は、真空源407に接続されており、真空源407が作動すると、貼付ヘッド1,1は、対象物移載手段400の移載ハンド403の吸着ハンド部404(あるいは405)のフィルム基板7を、吸着して保持することができる。図2のように、上側に位置している貼付ヘッド1が、移載ハンド403に対面しており、下側に位置している貼付ヘッド1が、後で述べる支持手段300に対面している。
バネ8は、貼付ヘッド1を、支持手段300側のシート状の部材2に対して所定の圧力で貼り付けるための付勢力を付与する。
軸201のプーリー208と、ロータリーアクチュエータ207のプーリー210の間には、ベルト206が配置されている。これによりロータリーアクチュエータ207が作動すると、軸201が180度毎にインデックスされるので、貼付ヘッド1,1の何れかが、移載ハンド403に対面し、他方の貼付ヘッド1が支持手段300に対面する。
【0021】
次に支持手段300について説明する。
支持手段300は、図1と図3に示すように、シート状の部材2の第1面2aとは反対側の第2面2bを支持する支持手段である。
図2の支持手段300は、第1ローラ3、第2ローラ4、ローラ移動手段5、操作手段6、ベース301等を有している。このベース301は、装置の枠体303に固定されている。このベース301は、垂直に取付られており、操作手段6を保持している。この操作手段6は、昇降ユニット9を矢印Z方向に昇降することができる。この昇降ユニット9は、図1に示すように第1ローラ3と第2ローラ4を回転可能に支持している。
【0022】
操作手段6は、昇降ユニット9を矢印Z方向に上下動するための上下動用のシリンダである。第1ローラ3は、昇降ユニット9の支持板9aに回転可能に支持されている。これに対して第2ローラ4は昇降ユニット9の支持板9bに回転可能に支持されている。第1ローラ3は、支持板9aに保持された固定側の貼付ローラである。
【0023】
第2ローラ4は、支持板9bに回転可能に保持され、移動貼付ローラの役割を果たす。支持板9bは、昇降ユニット9において、ローラ移動手段5の作動により、図1と図3で示すように、矢印RT方向に移動できるようになっている。この矢印RT方向は、シート状の部材2の移動方向Aと反対方向である。
図3では、第2ローラ4が移動する状態を示している。つまり第2ローラ4の初期状態では、第1ローラ3の横に位置しているが、ローラ移動手段5が作動することにより、破線で示すように矢印RT方向に移動できる。
従って、ローラ移動手段5は、矢印RT方向(左右方向)に関して、第2ローラ4を第1ローラ3から移動するための左右動用のシリンダである。ローラ移動手段5は、空気圧発生部5aにより空気圧が供給される。操作手段6は、空気圧発生部6aにより作動される。
【0024】
図1の真空源407、空気圧発生部5a,6a、モータM1、図2のロータリーアクチュエータ等は、制御部100の指令により制御できる。
なお、図1の貼付ヘッド1には、複数の孔1hが形成されており、真空源407の作動により、貼付ヘッド1はフィルム基板7を真空吸着し、そして真空源からの真空吸着を停止し、真空破壊を行うことでフィルム基板Fを外すことも勿論できる。そして2つの貼付ヘッド1,1は、真空源407の作動により別々にフィルム基板Fを吸着し、フィルム基板Fの真空解除を行うことができる。
【0025】
また、フィルム基板Fは、図7のように予め金型で所定形状に打抜きされている。
図1のシート状の部材2は、シート状の部材の第1面2aに対して接着剤Bを介してフィルム基板7を貼り付ける間は、シート状の部材2のA方向の移動を停止し、フィルム基板7が、貼付ヘッド1および支持手段300の第1ローラ3と第2ローラ4の作用により貼付けられた後には、シート状の部材2が再び矢印A方向に所定のテンションで送ることができる、所謂間欠送り動作を行うようになっている。
【0026】
次に、上述した貼付装置70の動作を説明する。
まず図2の対象物移載手段400の移載ハンド403の吸着ハンド部405が、対象物供給部600により供給されたフィルム基板7を吸着する。そしてロータリーアクチュエータ402が作動して、移載ハンド403が180度インデックスされると、吸着ハンド部405が、吸着ハンド部404に代えて、貼付ヘッド1の上にくる。そして図示しないアクチュエータが、ベース401を下げて、移載ハンド403に吸着されているフィルム基板7を上側の貼付ヘッド1の付近まで移動する。そして吸着ハンド部405の真空を破壊するとともに、貼付ヘッド1の真空吸引を開始すると、フィルム基板7が貼付ヘッド1に吸着される。
【0027】
次に、図2のロータリーアクチュエータ207が作動して、上側の貼付ヘッド1と下側の貼付ヘッド1が180度インデックスされる。従って、フィルム基板7が、支持手段300の上に位置している図1のシート状の部材2の第1面2aの接着剤Bに対面する。
【0028】
予め支持手段300の昇降ユニット9は、操作手段6により図3に示すような状態まで上昇している。従って、初期の段階では第1ローラ3と第2ローラ4が隣り合わせに位置しており、両ローラ3,4およびローラ180がシート状の部材2を傾斜して支持している。
ここで、シート状の部材2の矢印A方向の送りを一旦停止し、そしてローラ移動手段5を作動して、移動用の支持板9bを、矢印RT方向に移動する。これにより、第2ローラ(貼付ローラ)4と、貼付ヘッド1との接触圧により、フィルム基板7が接着剤Bを介してシート状の部材2の第1面2aに対して確実に接着できる。つまり、第2ローラ4が、矢印RT方向に移動することから、接着剤B内に含まれている気泡を排除することができることから、フィルム基板7とシート状の部材2は、接着剤Bを介して確実に密着して貼り付けることができる。
【0029】
なお、貼付ローラである第2ローラ4が矢印RT方向に移動中には、下側の貼付ヘッド1はフィルム基板7を真空吸着したままであり、第2ローラ4の移動が終了した後に、フィルム基板7の真空吸着を解除する。従って、フィルム基板7は、スムーズにシート状の部材2側に貼り付けられることになる。
接着が完了すると、第1ローラ3と第2ローラ4は、操作手段6を作動して昇降ユニット9を下げることによりシート状の部材2から離れる。そして第2ローラ4が第1ローラ3側に再び戻されて原点復帰する。
このような貼付作業と同時に、上側に位置している貼付ヘッド1には、図2と図3の対象物移載手段400が、上述した要領と同様にして次に貼り付けようとするフィルム基板7を上側の貼付ヘッド1側に真空吸着させる。このような作業を繰り返すことによって、図1のシート状の部材2の上面2a側に、フィルム基板7を所定の間隔で配置して貼り付けることができる(図6(B)(C)参照)。
そして、図5に示す切断部PR4での切断処理まで、シート2,902がロール110,112から繰り出されたシート状態で搬送されるため、効率的に一連の処理を行なうことができる。
【0030】
上述したような貼付装置は、第2ローラ4を第1ローラ3より離れる方向に移動することで、貼付ヘッド1とシート状の部材2の接触圧を移動しながら確実に与えていくことができるので、接着剤に含まれる気泡を徐々に排除していき、フィルム基板のシート状の部材2に対する接着の信頼性を非常に高めることができる。
また図1〜図3の貼付装置は比較的簡単な機構なので、機械的な信頼性も確保できる。
ところで上述したシート状の部材2はPETを用いており、フィルム基板7としては、たとえばポリイミドフィルムに対して、両面に銅のめっきを施したものを採用することができる。また接着剤としてはたとえばエポキシ系の接着剤を採用でき、このエポキシ系の接着剤は、2液混合型のものであり、主剤と硬化剤を含むものである。
【0031】
次に、図4の液剤供給装置1000の一例を図10を参照して説明する。
この液剤供給装置1000は、シート状の部材2の第1面2aに対して接着剤Bを、気泡をできるだけ含ませずに安定供給できる装置である。
液剤供給装置1000は、液剤供給手段1010、予備液剤供給手段1030、ノズル1050等を有している。
【0032】
液剤供給手段1010は、撹拌モータ1012、撹拌部1011、液剤下限検出部1013、ポンプ1020等を有している。撹拌モータ1012が作動すると、撹拌部1011が液剤供給手段1010のタンク1021内の液剤である接着剤Bを撹拌することができる。ポンプ1020は、タンク1021内の接着剤Bを、ノズル1050側に供給するものである。ノズル1050は、液剤噴射ノズルである。ポンプ1020が作動すると、接着剤Bがノズル1050側に送られて、そして残った接着剤Bは、タンク1021の上側に戻される。
【0033】
予備液剤供給手段1030は、液剤供給手段1010に対して接着剤Bを供給する予備タンクである。予備液剤供給手段1030のタンク1031には液剤を補充する補充口1036が設けられている。またタンク1031、エアー供給口1030a、液剤下限検出部1033等を有している。撹拌モータ1032が作動すると、撹拌部1031eがタンク1031内の接着剤Bを撹拌する。液剤下限検出部1033は予備タンク1031内の接着剤Bの量を確認するセンサである。
エアー供給口1030aは、供給タンク1010に液剤Bを空圧にて供給するための所定の圧力を維持する空気取入れ口である。エアー供給口1030aに供給する空気の供給量および空気の供給の停止をするバルブを備えている。
【0034】
予備タンク1031内に発生する気泡を除くために、真空ポンプ1040が設けられている。この真空ポンプ1040は、予備タンク1031内に発生する気泡を取り除くためのポンプであり、真空ポンプ1040のチューブの途中には、予備タンク1031に対する開閉を行うバルブおよび接続口を有している。
予備タンク1031内の接着剤量(液剤量)が、液剤下限検出部1033により検出されると、この液剤下限検出部1033の液剤不足信号が発生する。この信号に基づいて、補充口1036から新たな接着剤Bを予備タンク1031内に補充するようになっている。なお補充口1036から接着剤Bを供給する場合には、すべてのバルブを閉じて、補充口1036の蓋を開いて接着剤Bを補充する。
【0035】
液剤供給装置1000の動作を説明する。液剤供給手段1010の撹拌モータ1012が作動して、撹拌部1011がタンク1021内の接着剤Bを撹拌する。この撹拌をしながら、タンク1021の下部より、供給ポンプ1020がノズル1050側に接着剤Bを供給する。従って接着剤Bは、ノズル1050から、図4のシート状の部材2の第1面2a側に塗布できる。
但し、接着剤供給中にノズル1050より接着剤の噴射がない場合には、接着剤Bは供給ポンプ1020の圧力により、ノズル1050から液剤供給手段1010の上部の戻し口に回収される。
【0036】
下限検出センサ1013が接着剤Bの量を検出すると、予備液剤供給手段1030のバルブ1035が開いて、予備タンク1031側からタンク1021側に接着剤Bが供給される。予備タンク1031の下部は、タンク1021の上部と接続されており、かつ予備液剤供給手段1030の接着剤Bは、常に撹拌されている。バルブ1035が開くと、空気圧力がかかって接着剤Bは予備タンク1031の下部からタンク1021の上部に供給される。
供給および撹拌等により、タンク1021内で接着剤B内に気泡が生じた時には、バルブ1035を閉じて真空ポンプ1040を作動させて真空状態にして、予備タンク1031内の接着剤Bの気泡を取り除く作業を行う。
【0037】
また液剤下限検出部1033の検知により、接着剤Bが不足状態になった時には、空気圧力および真空用の電磁操作型のバルブ(電磁弁)1035を閉じて、補充口1036の蓋を外し、接着剤Bの補充を行う。
なお、接着剤Bの補充は、液剤供給手段1010が作動している時にも行うことができる。
【0038】
このように、接着剤Bのような液剤を、図4のシート状の部材2のようなシートに対して噴射して供給する際には、予備液剤供給手段1030を液剤供給手段1010に対して設けることにより、予備液剤供給手段1030において発生する接着剤B内の気泡を、予め脱泡手段である真空ポンプ1040等を用いて、気泡を除去することができる。
従って安定した接着剤の補充と供給ができる。
【0039】
上述した実施の形態では、シート状の部材がポリエチレンテレフタレート(PET)で作られているが、これに限らず他の種類のシート状の部材を採用することもできる。また薄板状の対象物としては、機能カードを作るための電子回路を含むフィルム状の基板以外のものを採用することもできる。つまり本発明の貼付装置は、ICカードのような機能カードを作る工程において、シート状の部材に対してフィルム基板を貼り付ける以外にも適用することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シート状の部材に対して、薄板状の対象物を接着剤を用いて確実に接着することができると共に、シート状の部材がロールから繰り出されたシート状態で搬送されるため、効率的に一連の処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の貼付装置の好ましい実施の形態を示す斜視図。
【図2】図1の貼付装置の側面図。
【図3】図1の貼付装置の正面図。
【図4】本発明の貼付装置を備えるカードの製造装置の前半部分を示す図。
【図5】カードの製造装置の後半部分を示す図。
【図6】図4と図5の製造工程の一部を示す図。
【図7】対象物であるフィルム基板の一例を示す図。
【図8】シート状の部材のロールを示す図。
【図9】シート状の部材のロールを示す図。
【図10】図4の液剤供給装置の実例を示す図。
【図11】従来の貼付装置の一例を示す図。
【符号の説明】
1・・・貼付ヘッド、2,902・・・シート状の部材、3・・・第1ローラ、4・・・第2ローラ、5・・・ローラ移動手段、6・・・操作手段、7・・・フィルム基板(薄板状の対象物)、70・・・貼付装置、200・・・対象物保持手段、300・・・支持手段、400・・・対象物移載手段
Claims (6)
- シート状の部材に対して、薄板状の対象物を接着剤を用いて貼り付けるための貼付装置において、
前記薄板状の対象物を着脱可能に保持する対象物保持手段と、
前記薄板状の対象物が貼り付けられる前記シート状の部材の第1面とは反対側の、前記シート状の部材の第2面を支持する第1ローラと、前記シート状の部材の第2面を支持すると共に初期状態で前記第1ローラの横に配される第2ローラと、前記第1ローラから前記第2ローラを離れる方向に移動させることで、前記シート状の部材の第1面と前記対象物保持手段に保持される前記薄板状の対象物とを密着させるローラ移動手段と、を備える支持手段と、
前記シート状の部材が巻回された部材ロールから繰り出された前記シート状の部材の第 1 面に接着剤を設ける接着剤供給手段と、
を備え、
前記接着剤が設けられた前記シート状の部材の第1面に前記薄板状の対象物を所定の間隔で配置して貼り付けるようにしたことを特徴とする貼付装置。 - 請求項1に記載の貼付装置において、
前記支持手段は、前記第1ローラと前記第2ローラとを前記シート状の部材の第2面へ移動したり、前記シート状の部材の第2面から離すための操作手段を備えるようにしたことを特徴とする貼付装置。 - 請求項1に記載の貼付装置において、
前記薄板状の対象物は、電子回路を有するフィルム基板であり、該フィルム基板は前記シート状の部材の前記接着剤を介して前記シート状の部材の第1面に固定されるようにしたことを特徴とする貼付装置。 - 請求項1に記載の貼付装置において、
前記対象物保持手段は、前記薄板状の対象物を吸引保持するようにしたことを特徴とする貼付装置。 - 第1のシート状の部材が巻回された第1の部材ロールから繰り出された前記第1のシート状の部材の接着剤が配された第1面に、電子回路を有するフィルム基板を密着させながら、前記第1のシート状の部材の前記第1の面と反対側の第2面の側から前記第2面を支持する第1のローラの横に配置された第2のローラを移動させることによって前記第1のシート状の部材の第1面に前記フィルム基板を所定の間隔で配置して貼り付ける工程と、
前記フィルム基板が貼り付けられた前記第1のシート状の部材に、第2のシート状の部材が巻回された第2の部材ロールから繰り出された前記第2のシート状の部材を供給し、前記フィルム基板が貼り付けられた前記第1のシート状の部材に前記第2のシート状の部材を貼り合わせる工程と、
該貼り合わせる工程の後、熱処理を施す工程と、
前記熱処理が施された前記第1及び第2のシート状の部材を所定の寸法に切断する工程と、
を有することを特徴とするICカードの製造方法。 - 請求項5記載のICカードの製造方法において、
前記第1のシート状の部材と前記電子回路を有するフィルム基板とを貼り付ける前記接着剤は、前記第1シート状の部材に薄膜コーティングするようにしたことを特徴とするICカードの製造方法。
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