JP4017845B2 - 硬貨入出金機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、入金された硬貨を選別計数して収納するとともに、収納している硬貨を出金用として使用する還流型の硬貨入出金機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、銀行等の金融機関で用いられる硬貨入出金機には、入金硬貨が一括投入される硬貨投入部と、この硬貨投入部に投入された硬貨を一枚ずつに分離して繰り出し搬送する繰出搬送部と、この繰出搬送部上に設けられて硬貨の真偽および金種を識別する硬貨識別部と、硬貨識別部で識別された硬貨を金種別に振り分ける金種振分部と、金種振分部で振り分けられた硬貨をそれぞれ一時貯留させる金種別の一時貯留部と、これら金種別の一時貯留部に一時貯留された硬貨をそれぞれ収納可能であるとともにそれぞれが収納している硬貨を出金口に繰出可能な金種別の収納繰出部とを有するものがある。
【0003】
そして、このような硬貨入出金機において、出金時に金種別の収納繰出部からそれぞれ適正な硬貨が繰り出されたか否かを判定するものとして、例えば、特開平10−240998号公報に、繰り出される硬貨の磁気的性質を検出するものが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように、繰り出される硬貨の磁気的性質を検出するものでは、検出のための磁気センサが高価であり、しかも、磁気センサをすべての金種別の収納繰出部に設けなければならないことからも、コストが増大してしまうという問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、コストを低減できる硬貨入出金機の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の硬貨入出金機は、入金された硬貨を金種別に振り分ける金種振分部と、該金種振分部で金種別に振り分けた硬貨をそれぞれ収納させる金種別の収納繰出部とを有し、これら金種別の収納繰出部から収納している硬貨を出金用として繰り出すものであって、前記金種別の収納繰出部には、それぞれに、繰り出される硬貨のうち適正な金種の硬貨以外の硬貨を外径で選別する外径選別部が設けられており、最小径の金種用の収納繰出部を除く他の収納繰出部のみ、前記外径選別部が、適正な金種の硬貨より小径の硬貨を落下させる選別孔を有していて、前記選別孔で落下させられた硬貨を前記金種振分部に搬送し該金種振分部で再度振り分けることを特徴としている。
【0007】
このように、金種別の収納繰出部のそれぞれに設けられた外径選別部で、収納繰出部から繰り出される硬貨のうち適正な金種の硬貨以外の硬貨を外径から選別する。このように、適正な金種の硬貨以外の硬貨を選別するために、硬貨をその外径で選別する外径選別部を用いているため、磁気センサを用いる場合に比してコストを低減することができる。
【0009】
また、外径選別部は、適正な金種の硬貨より小径の硬貨を落下させる選別孔を有するため、適正な金種の硬貨より小径の硬貨が選別孔から選別されて落下する。このような選別孔は安価であり、磁気センサを用いる場合に比してコストを低減することができる。
【0011】
さらに、選別孔で落下させられた硬貨を金種振分部で再度振り分けることで、異金種硬貨を適正な金種の収納繰出部に自動的に収納させることができる。
【0012】
本発明の請求項2記載の硬貨入出金機は、請求項1記載のものに関して、前記外径選別部は、適正な金種の硬貨より大径の硬貨の通過を規制する一対の壁部と、これら壁部間の通路部における硬貨の通過を検出する硬貨検出センサとを有することを特徴としている。
【0013】
これにより、適正な金種の硬貨より大径の硬貨の通過が一対の壁部で規制されることになり、このとき硬貨検出センサが一対の壁部間の通路部を通過する硬貨を検出しなくなることから、大径の硬貨の通過規制を検出する。このような一対の壁部は安価であり、磁気センサを用いる場合に比してコストを低減することができる。
【0014】
本発明の請求項3記載の硬貨入出金機は、請求項2記載の硬貨入出金機において、前記収納繰出部による硬貨の繰り出し中に、前記通路部における硬貨の通過が前記硬貨検出センサで検出されない場合に、前記収納繰出部による硬貨の繰り出しを停止させるとともに、報知を行うことを特徴としている。
【0015】
このように、収納繰出部による硬貨の繰り出し中に、通路部における硬貨の通過が硬貨検出センサで検出されない場合に、収納繰出部による硬貨の繰り出しを停止させるとともに、繰出異常があった旨を報知する。すると、オペレータがこの報知から繰出異常を容易に認識でき、即座に一対の壁部間で通過が規制された硬貨を排除することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の硬貨入出金機の一実施形態である貨幣入出金機を図面を参照して以下に説明する。なお、各図における矢印X方向が、操作を行うオペレータ側すなわち前方(正面側)を示す。また、以下における「前」はオペレータ側、「後」はオペレータに対し反対側であり、左右は、オペレータ側から見たときの左右である。
【0017】
この貨幣入出金機は、銀行等の金融機関のテラーカウンタの下側に配置され、左右の二人のテラー等のオペレータに共用で使用可能とされるとともに、使用時には左右の二人のオペレータのいずれか一人に占有使用されるものであって、図1に示すように、紙幣の入金、収納、回収および出金等、紙幣に関する各処理を行う紙幣入出金部11と、硬貨の入金、収納、回収および出金等、硬貨に関する各処理を行う硬貨入出金部12とが一体的に設けられたものである。
【0018】
硬貨入出金部12は、機体10における上部に主として配置されており、紙幣入出金部11と硬貨入出金部12の一部とが、機体10における下部に硬貨入出金部12よりも前方に突出するように配置されている。なお、硬貨入出金部12および紙幣入出金部11は、機体10の正面側に引き出し可能となっており、これらを機体10に対しロックおよびロック解除する引出キー13が紙幣入出金部11の正面側に設けられている。
【0019】
貨幣入出金機には、その機体10の上面の正面(前面)側の左右両側に、上方に向いて、左右のオペレータにより各処理の操作が入力される操作部14と処理状態等を表示する表示ランプ部15とが設けられており、また、右側にのみ、処理のガイドメニュー、処理状態および処理結果等を表示する表示パネル16が設けられている。なお、これら操作部14、表示ランプ部15および表示パネル16は、硬貨入出金部12および紙幣入出金部11に対し共用とされている。
【0020】
また、機体10の上面の正面より若干後側の左右方向における中央には、硬貨入出金部12に入金硬貨を投入するための硬貨入金口17が設けられており、硬貨入出金部12の下部すなわち紙幣入出金部11側には、正面から後方に凹んで受皿挿入口18が設けられている。この受皿挿入口18には、受皿が挿入されることになり、硬貨入出金部12は、このように受皿挿入口18に挿入された状態の受皿に硬貨の出金を行う。受皿挿入口18と隣り合う位置にはリジェクト硬貨を返却するための硬貨リジェクト口19が設けられている。
【0021】
紙幣入出金部11の硬貨入出金部12よりも正面側に突出する部分の上面には、その最も正面側の左右方向の中央に、紙幣入出金部11の内部から紙幣が送り出される紙幣出金口20が設けられるとともに、この紙幣出金口20の後に、入金する紙幣がオペレータによりセットされる紙幣入金口21が設けられている。なお、紙幣出金口20には、これを開閉するシャッタ22が設けられている。ここで、紙幣入出金部11のこれら紙幣出金口20および紙幣入金口21と隣り合う側方位置には、硬貨入出金部12の一部である硬貨一括金庫23が設けられている。この硬貨一括金庫23は硬貨を収納するもので、機体10に対し着脱可能とされており、この硬貨一括金庫23の正面側には、これを機体10に対しロックおよびロック解除する取出キー23aが設けられている。また、紙幣入出金部11の下部正面には電源スイッチ27が設けられている。
【0022】
紙幣入出金部11は、紙幣入金口21にその長手方向を左右方向とした状態でセットされる紙幣を入金させて収納する入金処理を行うとともに、収納した紙幣を必要に応じて紙幣出金口20ヘ出金させる出金処理等の紙幣における各処理を行う。
【0023】
以下に、本発明の要部である硬貨入出金部12について説明する。
図2に示すように、硬貨入出金部12は、入金硬貨が投入される硬貨投入部30と、硬貨投入部30に投入された硬貨を一枚ずつに分離して繰り出し搬送する繰出搬送部31と、この繰出搬送部31上に設けられて硬貨の真偽および金種を識別する硬貨識別部32とがその上部に設けられている。
【0024】
硬貨投入部30は、硬貨入出金部12の前部の左右方向におけるほぼ中央部に、図1に示す硬貨入金口17のほぼ直下に位置して、投入された入金硬貨を受け取るとともに、水平回転する回転円盤34を有しており、さらに回転円盤34の下側に設けられてこれを回転させる図示せぬ駆動機構部等を有している。
【0025】
繰出搬送部31は、硬貨入出金部12の前部かつ回転円盤34よりも左側に、回転円盤34から接線方向かつ左右方向に沿って水平延在する硬貨識別通路35を有しており、この硬貨識別通路35は、鉛直に立設された壁部35a,35a間に形成されている。
【0026】
また、繰出搬送部31は、回転円盤34の硬貨識別通路35側に、回転円盤34の遠心力で硬貨識別通路35側に送り出される硬貨を一枚ずつに分離する隙間規制部材37を有しており、さらに、硬貨識別通路35の上側に、隙間形成部材37により一枚ずつに分離して繰り出された硬貨を、上側から押圧しつつ硬貨識別通路35に沿って回転円盤34に対し反対方向に搬送する搬送ベルト38を有している。
【0027】
硬貨識別部32は、硬貨識別通路35の搬送方向における中間位置に設けられており、上記したようにこれを通過する硬貨の真偽及び金種などを判別する。硬貨識別部32は、周知のように、例えば、光学センサを用いた硬貨径判別手段、磁気センサを用いた硬貨材質判別手段、硬貨厚み判別手段、硬貨表面パターン判別手段、硬貨表面汚損状態判別手段、硬貨周縁ギザ判別手段およびこれらの適宜の組み合わせによって構成される。
【0028】
硬貨識別通路35の回転円盤34に対し反対側の端部には、硬貨識別部32の識別結果に応じて硬貨を選別するリジェクト・一時貯留振分ゲート40が設けられている。このリジェクト・一時貯留振分ゲート40は、硬貨識別通路35から硬貨を落下させるとともに、硬貨の落下方向を前方および後方の一方に選択的に切り換えるもので、前方に振り分けられた硬貨は、上述した硬貨リジェクト口19に送り込まれ、オペレータにより取り出される。一方、後方に振り分けられた硬貨は、後述する一時貯留部42に送り込まれる。ここで、リジェクト・一時貯留振分ゲート40は、硬貨識別部32で判別不能硬貨を含む偽硬貨と識別された硬貨を、硬貨リジェクト口19に案内し、真硬貨と識別された硬貨を一時貯留部42に案内する。
【0029】
一時貯留部42は、硬貨識別部32で識別された硬貨のうち真硬貨を金種混合状態のまま一括して一時貯留させるもので、硬貨入出金部12のほぼ全高さ範囲に設けられており、しかも、硬貨入出金部12の前後方向に延在する形状をなしている。一時貯留部42は、前後方向および上下方向に沿い、しかも互いに左右方向に所定の間隔をあけて配置された一対の壁部43,43と、これら壁部43,43間に配置された部分が一時貯留部42の底部を形成する図3に示すコンベアタイプの搬送ベルト44と、壁部43,43間に配置された部分が一時貯留部42の前部を形成する入金ガイド壁部45とを有している。
【0030】
入金ガイド壁部45は、後側ほど下側に位置するように傾斜しており、リジェクト・一時貯留振分ゲート40で後側に振り分けられた硬貨を一時貯留部42の搬送ベルト44上に案内する。
搬送ベルト44は、後側ほど上側に位置するように傾斜しており、入金ガイド壁部45を介して投入された硬貨を回転することで後方かつ上方に搬送する。
【0031】
また、一時貯留部42は、搬送ベルト44の後部側の上側位置に、隙間規制ローラ47を有している。この隙間規制ローラ47は、搬送ベルト44で後方に搬送される集積状態の硬貨の集積を、下部が前方に移動するように回転することにより崩し一枚ずつに分離して後方に繰り出す。ここで、この隙間規制ローラ47と搬送ベルト44とは、搬送ベルト44の傾斜により形成される後部下側のスペースに配置された共用のモータ48で複数のギア49を介して駆動される。
【0032】
さらに、一時貯留部42は、搬送ベルト44の隙間規制ローラ47よりも後側に、ゲートストッパ51を有している。このゲートストッパ51はオンされると、そのストッパ部材52が搬送ベルト44に近接して搬送ベルト44上の硬貨のストッパ部材52を越えての後方への移動を規制する閉状態となる。また、このゲートストッパ51はオフされると、先端のストッパ部材52が搬送ベルト44から離間して、搬送ベルト44上の硬貨のストッパ部材52より後方への移動を許容する開状態となる。
【0033】
ここで、ゲートストッパ51がオンされた状態では、回転する搬送ベルト44により硬貨が隙間規制ローラ47側に徐々に集積されてしまい、その後、ゲートストッパ51がオフされると集積された硬貨が一度に移動することで隙間規制ローラ47にジャム等を生じることがある。このため、一時貯留部42は、搬送ベルト44を下方から叩くベルト叩き機構54を有している。
【0034】
このベルト叩き機構54は、搬送ベルト44の隙間規制ローラ47よりも前側に配置されており、搬送ベルト44の上辺側を下から叩くベルト叩きプッシャ55と、このベルト叩きプッシャ55を上下に往復動させるベルト叩きソレノイド(ベルト叩き駆動部)56とを有している。ベルト叩きプッシャ56は、搬送ベルト44を叩く側が、該搬送ベルト44に平行な平板部57とされており、ベルト叩きソレノイド56は、この平板部57に直交する方向にこの平板部57を短いストロークで往復動させる。
【0035】
上記の一時貯留部42の後方には、図2に示すように、硬貨入出金部12の上部となる位置に、一時貯留部42の搬送ベルト44からゲートストッパ51を越えて後方に送り出された硬貨をさらに後方に搬送した後、右方向に向きを変えて搬送する搬送部59が設けられている。この搬送部59は、硬貨入出金部12の後側かつ左側において後方に延在した後、さらに右方に延在する硬貨通路60を有しており、この硬貨通路60は、鉛直に立設された壁部60a,60a間に形成されている。
【0036】
また、搬送部59は、硬貨通路60の上側に、一時貯留部42から一枚ずつに分離されて繰り出された硬貨を、上方から押圧しつつ硬貨通路60に沿って搬送する屈曲形状の搬送ベルト61を有している。
【0037】
搬送部59の硬貨通路60の前後に沿う部分には、一時貯留部42に近接して、通過する硬貨の金種を判別する硬貨判別部63が設けられている。この硬貨判別部63は、基本的にはすでに硬貨識別部32で真偽が識別されて真のみとされた硬貨の金種を判別するものであるので、例えば、光学センサを用いた硬貨径判別手段等が用いられる。
【0038】
搬送部59の硬貨通路60の前後に沿う部分には、硬貨判別部63の後方に、硬貨判別部63の判別結果等に応じて硬貨を選別する収納振分ゲート(入金側振分部)65が設けられている。この収納振分ゲート65は、硬貨をこの収納振分ゲート65を越えてそのまま硬貨通路60で搬送させる状態、および硬貨通路60から硬貨を落下させる状態の一方に選択的に切り換えられるもので、硬貨通路60から落下させた硬貨は、右方に案内する。このように右方に案内された硬貨は、後述する返却搬送路67に送り込まれる。すなわち、収納振分ゲート65は一時貯留部42から繰り出された硬貨を返却搬送路67に案内可能なものである。ここで、収納振分ゲート65は、入金時に一時貯留部42に一時貯留された硬貨を、オペレータの操作により返却させる場合等は硬貨通路60から落下させ、オペレータの操作により収納する場合は落下させることなく硬貨通路60上で後方の後述する金種振分部68に案内する。
【0039】
金種振分部68は、硬貨入出金部12の上部かつ後部となる位置に左右方向に延在して設けられており、一時貯留部42から繰り出された硬貨を金種別に振り分けるものである。
【0040】
金種振分部68は、搬送部59の硬貨通路60に連続する硬貨分類通路70と、この硬貨分類通路70に沿って硬貨を上方から押圧しつつ搬送する搬送ベルト71とを有しており、硬貨分類通路70は、鉛直に設けられた壁部70a,70a間に設けられている。硬貨分類通路70には、搬送される硬貨を金種別に分類して落下させる分類孔72A〜72Fが、硬貨径の小さい順に配置されており、各分類孔72A〜72Fのそれぞれの直前には通過する硬貨を検出する硬貨検出センサ73が対応配置されている。そして、硬貨検出センサ73のうち隣り合う前後のものをそれぞれ通過した硬貨数の差が、分類孔72A〜72Fのうち、その間に位置するものに分類された枚数として計数されるように構成されている。
【0041】
各分類孔72A〜72Fの下側には、これらすなわち金種振分部68で振り分けられた硬貨をそれぞれ収納可能であるとともに収納している硬貨を後述する出金口75に繰出可能な金種別の収納繰出部76A〜76Fが設けられている。具体的には、最も一時貯留部42に近接する側の分類孔72Aの下側にはこの分類孔72Aから落下させられる1円硬貨を収納する収納繰出部76Aが、その隣りの分類孔72Bの下側にはこの分類孔72Bから落下させられる50円硬貨を収納する収納繰出部76Bが、その隣りの分類孔72Cの下側にはこの分類孔72Cから落下させられる5円硬貨を収納する収納繰出部76Cが、その隣りの分類孔72Dの下側にはこの分類孔72Dから落下させられる100円硬貨を収納する収納繰出部76Dが、その隣りの分類孔72Eの下側にはこの分類孔72Eから落下させられる10円硬貨を収納する収納繰出部76Eが、その隣りの分類孔72Fの下側にはこの分類孔72Fから落下させられる500円硬貨を収納する収納繰出部76Fが、それぞれ設けられている。
【0042】
これら金種別の収納繰出部76A〜76Fと一時貯留部42との隙間部分には、収納繰出部76A〜76Fとほぼ同じ構成であって、一時貯留部42から繰り出され、金種振分部68よりも搬送方向手前の収納振分ゲート65で右方に振り分けれた硬貨を後述する出金口75に返却可能な上記した返却搬送路67が設けられている。ここで、これら収納振分ゲート65と返却搬送路67とで、一時貯留部42から繰り出された硬貨を出金口75に返却する硬貨返却部77が構成されている。
【0043】
金種別の収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67は、硬貨入出金部12の上下方向のほぼ全高さ範囲に設けられており、しかも、硬貨入出金部12の前後方向に延在する形状をなしている。その結果、金種別の収納繰出部76A〜76Fは、それぞれが互いに並列に配置されており、一時貯留部42とも平行をなしている。また、返却搬送路67は、金種別の収納繰出部76A〜76Fの側方(具体的には左方)に、これら収納繰出部76A〜76Fと並列に配置されている。さらに、返却搬送路67の金種別の収納繰出部76A〜76Fに対し反対側に、これら金種別の収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67と並列に一時貯留部42が配置されている。ここで、金種別の収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67は、すべて前後方向および高さ方向の位置を一致させた状態で並列に配置されている。
【0044】
金種別の収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67は、ほぼ同一の形状をなしており、それぞれ、前後方向および上下方向に沿い、しかも互いに左右方向に所定の間隔をあけて配置された一対の壁部80,80と、これら壁部80,80間に配置された部分が底部を形成する図4および図5に示すコンベアタイプの搬送ベルト81と、壁部80,80間に配置された部分が後部を形成する後壁部82とを有している(図4は返却搬送路67を示し、図5は収納繰出部76Aを例に示す)。ここで、金種別の収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67の搬送ベルト81は、同一の駆動源で同時に駆動されるようになっている。
【0045】
後壁部82は、後側ほど上側に位置するように傾斜しており、金種別の収納繰出部76A〜76Fにおいては、分類孔72A〜72Fのうち対応するもので落下させられた硬貨を搬送ベルト81上に案内する。
【0046】
なお、返却搬送路67においては、収納振分ゲート65側の壁部80に収納振分ゲート65で落下させられた硬貨が放出される放出口83が設けられており、この放出口83から硬貨が搬送ベルト81上に放出させられる。
【0047】
金種別の収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67のそれぞれにおいて搬送ベルト81は、前側ほど上側に位置するように傾斜しており、金種別の収納繰出部76A〜76Fにおいては分類孔72A〜72Fから、返却搬送路67においては放出口83から放出された硬貨を回転することで硬貨入出金部12の前方かつ上方に搬送する。
【0048】
また、金種別の収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67は、それぞれ、搬送ベルト81の前部側の上側位置に、隙間規制ローラ85を有している。この隙間規制ローラ85は、搬送ベルト81で前方に搬送される集積状態の硬貨の集積を、下部が後方に移動するように回転することにより崩し一枚ずつに分離して前方に繰り出す。
【0049】
さらに、図6に示すように、金種別の収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67は、それぞれ、搬送ベルト81の隙間規制ローラ85(図6においては図示略)よりも前方に、搬送ベルト81に沿って延在する通路部87A〜87F,87と、これらの通路部87A〜87F,87のそれぞれの上側に設けられて硬貨を上側から押圧しつつ前方に搬送する搬送ベルト88とを有している。これら搬送ベルト88はすべて同一のモータで同時に駆動されるようになっている。
【0050】
収納繰出部76Aの通路部87Aは鉛直立設する壁部90A,90A間に設けられ、収納繰出部76Bの通路部87Bは鉛直立設する壁部90B,90B間に設けられ、収納繰出部76Cの通路部87Cは鉛直立設する壁部90C,90C間に設けられている。また、収納繰出部76Dの通路部87Dは鉛直立設する壁部90D,90D間に設けられ、収納繰出部76Eの通路部87Eは鉛直立設する壁部90E,90E間に設けられ、収納繰出部76Fの通路部87Fは鉛直立設する壁部90F,90F間に設けられ、返却搬送路67の通路部87は鉛直立設する壁部90,90間に設けられている。
【0051】
図4および図5に示すように、通路部87A〜87F,87の前端部および搬送ベルト88の前端部によって硬貨を繰り出す繰出口89が形成されている。
【0052】
なお、収納繰出部76Aにおける壁部90A,90A間の間隔すなわち通路部87Aの幅、収納繰出部76Bにおける壁部90B,90B間の間隔すなわち通路部87Bの幅、収納繰出部76Cにおける壁部90C,90C間の間隔すなわち通路部87Cの幅、収納繰出部76Dにおける壁部90D,90D間の間隔すなわち通路部87Dの幅、収納繰出部76Eにおける壁部90E,90E間の間隔すなわち通路部87Eの幅、収納繰出部76Fにおける壁部90F,90F間の間隔すなわち通路部87Fの幅は、それぞれの収納対象硬貨よりも大径の異金種硬貨のみが通過できないように設定されている。また、返却搬送路67における壁部90,90間の間隔すなわち通路部87は、全金種の硬貨が通過可能に設定されている。
【0053】
すなわち、収納繰出部76Aの壁部90A,90Aは収納対象硬貨である1円硬貨より僅かに大きい間隔をあけることにより1円硬貨よりも大径の硬貨(50円、5円、100円、10円および500円)の通過を規制し、収納繰出部76Bの壁部90B,90Bは収納対象硬貨である50円硬貨より僅かに大きい間隔をあけることにより50円硬貨よりも大径の硬貨(5円、100円、10円および500円)の通過を規制する。また、収納繰出部76Cの壁部90C,90Cは収納対象硬貨である5円硬貨より僅かに大きい間隔をあけることにより5円硬貨よりも大径の硬貨(100円、10円および500円)の通過を規制し、収納繰出部76Dの壁部90D,90Dは収納対象硬貨である100円硬貨より僅かに大きい間隔をあけることにより100円硬貨よりも大径の硬貨(10円および500円)の通過を規制する。さらに、収納繰出部76Eの壁部90E,90Eは収納対象硬貨である10円硬貨より僅かに大きい間隔をあけることにより10円硬貨よりも大径の硬貨(500円)の通過を規制し、収納繰出部76Fの壁部90F,90Fは収納対象硬貨である500円硬貨より僅かに大きい間隔をあけることにより500円硬貨より大径の偽硬貨の通過を規制する。ここで、金種別の収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67は搬送ベルト88が共用のモータで同時に駆動されるようになっている。
【0054】
加えて、金種別の収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67は、通路部87A〜87F,87にそれぞれゲートストッパ91を有している。このゲートストッパ91は、図7に示すように、オンされると先端のストッパ部材92が通路部87A〜87F,87から突出して、通路部87A〜87F,87上の硬貨のストッパ部材92を越えての前方への移動を規制する閉状態となる(図7では収納繰出部76Bを例として示す)。また、このゲートストッパ91はオフされると先端のストッパ部材92が通路部87A〜87F,87から引っ込んで、通路部87A〜87F,87上の硬貨のストッパ部材92よりも前方への移動を許容する開状態となる。
【0055】
加えて、金種別の収納繰出部76A〜76Fのうち、最小径硬貨を除く硬貨を収納させる収納繰出部76B〜76Fには、図6に示すように、異金種硬貨が誤って混入してしまった場合のために、通路部87B〜87Fに収納対象硬貨よりも小径の硬貨のみを落下させる出金選別孔(選別孔)94B〜94Fがゲートストッパ91と繰出口89との間に形成されている。
【0056】
すなわち、収納繰出部76Bには収納対象硬貨である50円硬貨よりも僅かに小径とされ、50円硬貨よりも小径の硬貨(1円硬貨)を落下させる出金選別孔94Bが、収納繰出部76Cには収納対象硬貨である5円硬貨よりも僅かに小径とされ、5円硬貨よりも小径の硬貨(1円および50円硬貨)を落下させる出金選別孔94Cが、それぞれ設けられている。また、収納繰出部76Dには収納対象硬貨である100円硬貨よりも僅かに小径とされ、100円硬貨よりも小径の硬貨(1円、50円および5円硬貨)を落下させる出金選別孔94Dが、収納繰出部76Eには収納対象硬貨である10円硬貨よりも僅かに小径とされ、10円硬貨よりも小径の硬貨(1円、50円、5円および100円硬貨)を落下させる出金選別孔94Eが、収納繰出部76Fには収納対象硬貨である500円硬貨よりも僅かに小径とされ、500円硬貨よりも小径の硬貨(1円、50円、5円、100円および10円硬貨)を落下させる出金選別孔94Fが、それぞれ設けられている。
【0057】
金種別の収納繰出部76A〜76Fにおいては、図7に示すように各出金選別孔94B〜94Fとそれぞれに対応するゲートストッパ91との間に、硬貨を検出する発光素子95aおよび受光素子95bからなる硬貨検出センサ95A〜95Fが設けられている。また、各出金選別孔94B〜94Fの下側には、この出金選別孔94B〜94Fから落下する硬貨を案内するシュートガイド96が設けられている。
【0058】
金種別の収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67は、それぞれの繰出口89の前後方向位置および高さ方向位置を揃えており、各繰出口89よりゲートストッパ91側には、それぞれ対応する繰出口89から繰り出される硬貨を検出する発光素子98aおよび受光素子98bからなる硬貨検出センサ98A〜98F,98が設けられている。ここで、上記出金選別孔94B〜94Fは、図6に示すように、それぞれ対応する硬貨検出センサ95B〜95Fと硬貨検出センサ98B〜98Fとの間に設けられており、対応する硬貨検出センサ95B〜95Fおよび硬貨検出センサ98B〜98Fの検出に基づいて出金選別孔94B〜94Fの対応するものからの硬貨の落下を検出する。
【0059】
すなわち、硬貨検出センサ95Bで検出された硬貨が硬貨検出センサ98Bで検出されなければこの硬貨が出金選別孔94Bから落下したと判断し、硬貨検出センサ95Bで検出された硬貨が硬貨検出センサ98Bで検出されるとこの硬貨が出金選別孔94Bから落下していないと判断する。同様に、硬貨検出センサ95Cで検出された硬貨が硬貨検出センサ98Cで検出されなければこの硬貨が出金選別孔94Cから落下したと判断し、硬貨検出センサ95Cで検出された硬貨が硬貨検出センサ98Cで検出されるとこの硬貨が出金選別孔94Cから落下していないと判断する。同様に、硬貨検出センサ95Dで検出された硬貨が硬貨検出センサ98Dで検出されなければこの硬貨が出金選別孔94Dから落下したと判断し、硬貨検出センサ95Dで検出された硬貨が硬貨検出センサ98Dで検出されるとこの硬貨が出金選別孔94Dから落下していないと判断する。同様に、硬貨検出センサ95Eで検出された硬貨が硬貨検出センサ98Eで検出されなければこの硬貨が出金選別孔94Eから落下したと判断し、硬貨検出センサ95Eで検出された硬貨が硬貨検出センサ98Eで検出されるとこの硬貨が出金選別孔94Eから落下していないと判断する。同様に、硬貨検出センサ95Fで検出された硬貨が硬貨検出センサ98Fで検出されなければこの硬貨が出金選別孔94Fから落下したと判断し、硬貨検出センサ95Fで検出された硬貨が硬貨検出センサ98Fで検出されるとこの硬貨が出金選別孔94Fから落下していないと判断する。
【0060】
ここで、収納繰出部76Aに設けられた一対の壁部90A,90Aおよび硬貨検出センサ95A,98Aが、収納繰出部76Aから繰り出される硬貨のうち適正な金種の硬貨(1円硬貨)以外の硬貨を外径で選別する外径選別部97Aを構成し、収納繰出部76Bに設けられた一対の壁部90B,90B、硬貨検出センサ95B,98Bおよび出金選別孔94Bが、収納繰出部76Bから繰り出される硬貨のうち適正な金種の硬貨(50円硬貨)以外の硬貨を外径で選別する外径選別部97Bを構成している。また、収納繰出部76Cに設けられた一対の壁部90C,90C、硬貨検出センサ95C,98Cおよび出金選別孔94Cが、収納繰出部76Cから繰り出される硬貨のうち適正な金種の硬貨(5円硬貨)以外の硬貨を外径で選別する外径選別部97Cを構成し、収納繰出部76Dに設けられた一対の壁部90D,90D、硬貨検出センサ95D,98Dおよび出金選別孔94Dが、収納繰出部76Dから繰り出される硬貨のうち適正な金種の硬貨(100円硬貨)以外の硬貨を外径で選別する外径選別部97Dを構成している。さらに、収納繰出部76Eに設けられた一対の壁部90E,90E、硬貨検出センサ95E,98Eおよび出金選別孔94Eが、収納繰出部76Eから繰り出される硬貨のうち適正な金種の硬貨(10円硬貨)以外の硬貨を外径で選別する外径選別部97Eを構成し、収納繰出部76Fに設けられた一対の壁部90F,90F、硬貨検出センサ95F,98Fおよび出金選別孔94Fが、収納繰出部76Fから繰り出される硬貨のうち適正な金種の硬貨(500円硬貨)以外の硬貨を外径で選別する外径選別部97Fを構成している。
【0061】
その結果、金種別の収納繰出部76A〜76Fには、それぞれに、繰り出される硬貨のうち適正な金種の硬貨以外の硬貨を外径で選別する外径選別部97A〜97Fが設けられており、外径選別部97B〜97Fは、適正な金種の硬貨より小径の硬貨を落下させる選別孔94B〜94Fと、選別孔94B〜94Fの硬貨の落下を検出する硬貨検出センサ95B〜95Fおよび硬貨検出センサ98B〜98Fを有している。さらに、外径選別部97A〜97Fは、適正な金種の硬貨より大径の硬貨の通過を規制する壁部90A〜90Fと、壁部90A〜90Fにおける硬貨の通過を検出する硬貨検出センサ95A〜95Fとを有している。
【0062】
金種別の収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67のすべての繰出口89の下側には、図2および図7に示すように、これらから繰り出された硬貨を一時貯留部42および硬貨一括金庫23に案内可能なコンベア式の正逆回転可能な搬送ベルト100を有する硬貨搬送路101が設けられている。この硬貨搬送路101は、左右方向に沿っており、その結果、金種別の収納繰出部76A〜76F、返却搬送路67および一時貯留部42に対し直交する方向に平行をなしている。この硬貨搬送路101で一時貯留部42側に搬送された硬貨は、図3に示す一時貯留部42の壁部43の前後方向における中間位置に形成された硬貨搬送路出口102から一時貯留部42に放出されることになる。なお、図7に示すように、出金選別孔94B〜94Fの下側に設けられたシュートガイド96で案内される硬貨はこの硬貨搬送路101上に落下させられる。
【0063】
また、金種別の収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67のすべての繰出口89の若干下側の前方位置には、上記した受皿挿入口18に開口しこの受皿挿入口18に挿入された受皿105に硬貨を案内するためのシュートガイド103が設けられており、このシュートガイド103の下端部が硬貨を出金させるための上記した出金口75となっている。
【0064】
そして、金種別の収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67のすべての繰出口89とシュートガイド103との間には、金種別の収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67から繰り出された硬貨を出金口75および硬貨搬送路101のいずれか一方に選択的に案内する出金側ゲート(出金側振分部)104が設けられている。すなわち、図7において実線で示す出金側ゲート104の状態が硬貨を硬貨搬送路101に案内せず出金口75に案内する状態であり、図7において二点鎖線で示す出金側ゲート104の状態が硬貨を出金口75に案内せず硬貨搬送路101に案内する状態である。
【0065】
図2に示すように、硬貨搬送路101の一時貯留部42に対し反対側には、硬貨搬送路101で搬送された硬貨を収納する上記した硬貨一括金庫23が設けられている。すなわち、硬貨搬送路101の一時貯留部42に対し反対側の端部の前側には、硬貨搬送路101からの硬貨を受け入れて硬貨一括金庫23に案内する金庫案内部106が設けられており、この金庫案内部106の下側に、硬貨搬送路101よりも前方に位置して硬貨一括金庫23が設けられている。
【0066】
ここで、硬貨搬送路101が一時貯留部42の前後方向における中間位置に接続されることで、一時貯留部42は、硬貨搬送路101の一端側で硬貨搬送路101よりも前方に突出することになり、一方で、硬貨搬送路101よりも前方に硬貨一括金庫23が設けられていて、これらの間に、上記した硬貨投入部30は設けられている。すなわち、図示は略すが、これらの間に、硬貨投入部30の回転円盤34を駆動するための駆動機構部等が配置されているのである。
【0067】
以上に述べた硬貨入出金部12の各処理について説明する。
【0068】
「入金処理(入金確定前)」
オペレータにより入金させる硬貨が硬貨入金口17に投入され操作部14に「入金処理」の実行入力がなされると、図示せぬ制御部は、硬貨投入部30の回転円盤34、搬送ベルト38を駆動する。すると、回転円盤34から隙間規制部材37で一枚ずつに分離された硬貨を搬送ベルト38で搬送させることになり、その途中の硬貨識別部32の識別結果に基づいてリジェクト・一時貯留振分ゲート40で硬貨を振り分ける(図8に太線で示す入金処理ルート参照)。すなわち、識別不能硬貨を含む偽硬貨と識別された硬貨を、硬貨リジェクト口19へ落下させ、真硬貨と識別された硬貨を、一時貯留部42に落下させる。このとき、一時貯留部42においてはゲートストッパ51を閉状態とするとともに搬送ベルト44を駆動状態とし、さらに、ベルト叩き機構54のベルト叩きプッシャ55を往復動させる。これにより、一時貯留部42より下流側への硬貨の移動をゲートストッパ51で規制しつつ搬送ベルト44の駆動で入金ガイド壁部45側に硬貨が集中してしまうことを防止し、さらに、ベルト叩き機構54で硬貨が隙間規制ローラ47側に集中してしまうことを防止する。すなわち、硬貨を一時貯留部42で平均的に貯留させるのである。
【0069】
そして、回転円盤34からすべての硬貨が一旦繰り出され、硬貨リジェクト口19および一時貯留部42のいずれかに送り込まれると、制御部は、硬貨識別部32の識別結果を図示せぬ上位機に表示させる。この上位機の表示からオペレータが入金確定操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「収納処理」を行うことになる。他方、オペレータが入金キャンセル操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「返却処理」を行うことになる。
【0070】
「出金処理」
オペレータにより上位機または操作部14に「出金処理」の実行入力がなされると、制御部は、出金側ゲート104を繰出口89から繰り出される硬貨をシュートガイド103に案内する状態とし、搬送ベルト81および搬送ベルト88を駆動するとともに、各ゲートストッパ91をそれぞれ個別に開閉制御することで、金種別の収納繰出部76A〜76Fがそれぞれ必要な枚数の硬貨を硬貨検出センサ95A〜95F,98A〜98Fで計数しつつ繰出口89から繰り出し、シュートガイド103の出金口75から受皿挿入口18に挿入された受皿105に放出させる(図9に太線で示す出金処理ルート参照)。
【0071】
このとき、万が一、異金種硬貨が収納繰出部76A〜76Fのいずれかに混入していた場合、大径の異金種硬貨であると、壁部90A〜90Fを通過できないことから、制御部は、収納繰出部76A〜76Fによる硬貨の繰り出し中にゲートストッパ91を開放しているのに硬貨検出センサ95A〜95Fで硬貨の通過が検出されないことによりこれを検出する。この場合、制御部は、収納繰出部76A〜76Fによる硬貨の繰り出しすなわち出金処理を一旦停止させるため、搬送ベルト81および搬送ベルト88の回転を一旦停止させるとともに、オペレータに対し、繰出異常が生じたので異金種硬貨の排除作業を行う旨の表示(報知)を表示パネル16により行う。
【0072】
一方、小径の異金種硬貨の場合は、出金選別孔94B〜94Fのいずれかから落下させられることになり、硬貨検出センサ95A〜95F,98A〜98Fの検出結果からこのことがわかると、制御部は、この異金種硬貨の分多く硬貨を繰り出させることで必要な枚数の硬貨を出金させる。一方で、出金選別孔94B〜94Fのいずれかから落下した硬貨は、シュートガイド96で案内されて硬貨搬送路101上に落下することになるため、制御部は、硬貨検出センサ95A〜95F,98A〜98Fの検出結果から異金種硬貨を検出した場合、これを硬貨搬送路101で一時貯留部42側に搬送して後述の「収納処理」を行う。すなわち、出金選別孔94B〜94Fで落下させられた硬貨を硬貨搬送路101で一時貯留部42に搬送し、後述する「収納処理」と同様に、一時貯留部42から金種振分部68へと搬送し、この金種振分部68の分類孔72A〜72Fで再度振り分けて、収納繰出部76A〜76Fのうちの適正な金種のものに収納させる。また、この時、後述する「収納処理」と同様に、硬貨判別部63で金種判別を行うが、該硬貨判別部63の判別結果から、偽硬貨等の真硬貨でないものが混入していた場合には、直ちに装置を停止させ、エラー表示をする。この停止で、偽硬貨等の真硬貨でないものは、収納振分ゲート65より下流側かつ金種振分部68より上流で留まることになり、オペレータによる排除が円滑に行われる。なお、この場合は、一時貯留部42において一時貯留させることなく(すなわちゲートストッパ51は開状態のままで)、そのまま硬貨判別部63、金種振分部68へと連続的に搬送する。
【0073】
「収納処理」
上記した「入金処理」で入金確定操作が入力された場合、制御部は、出金側ゲート104を繰出口89から繰り出される硬貨を硬貨搬送路101に案内する状態とし、搬送ベルト44、搬送ベルト61、搬送ベルト71、搬送ベルト81および搬送ベルト100を駆動するとともに(搬送ベルト100は硬貨一括金庫23の方向に駆動する)、ゲートストッパ51を開状態とし、さらに、収納繰出部76A〜76Fのすべてのゲートストッパ91を閉状態とし、返却搬送路67のゲートストッパ91を開状態とする。そして、硬貨判別部63の判別結果に基づいて収納振分ゲート65の切り換えタイミングを適宜制御することで、一時貯留部42から繰り出される硬貨を振り分ける。すなわち、収納繰出部76A〜76Fに収納しない硬貨、例えば、収納繰出部76A〜76Fに収納しきれないオーバーフロー硬貨や新旧二種類が流通している場合における旧硬貨等は、返却搬送路67に落下させ、返却搬送路67から硬貨搬送路101を介して硬貨一括金庫23に収納する。一方、それ以外の硬貨は、金種振分部68に送り、分類孔72A〜72Fの対応するものから落下させる。これにより、一時貯留部42から繰り出された硬貨は金種別の収納繰出部76A〜76Fの対応する金種のものに収納される(図10に太線で示す収納処理ルート参照)。
【0074】
なお、入金処理における硬貨識別部32の識別結果と、収納処理時における硬貨判別部63の判別結果および硬貨検出センサ73の検出結果と、出金処理時における硬貨検出センサ95A〜95F,98A〜98Fの検出結果と等から、制御部は、硬貨入出金部12の金種別の収納繰出部76A〜76Fおよび硬貨一括金庫23の硬貨収納量をほぼ把握している。
【0075】
「整理計数処理」
複数金種混在した硬貨から指定した金種を計数しつつ分離する場合等の処理で、オペレータにより硬貨が硬貨入金口17に投入され操作部14に「整理計数処理」の実行入力がなされると、図示せぬ制御部は、硬貨投入部30の回転円盤34、搬送ベルト38を駆動する。すると、回転円盤34から隙間規制部材37で一枚ずつに分離された硬貨を搬送ベルト38で搬送させることになり、その途中の硬貨識別部32の識別結果に基づいてリジェクト・一時貯留振分ゲート40で振り分ける(図8に太線で示す入金処理ルート参照)。すなわち、識別不能硬貨を含む偽硬貨と識別された硬貨および整理計数対象金種以外の硬貨を、硬貨リジェクト口19へ落下させ、真硬貨で整理計数対象金種と識別された硬貨を、一時貯留部42に落下させる。このときも、入金処理時と同様、一時貯留部42においてはゲートストッパ51をオンするとともに搬送ベルト44を駆動状態とし、さらに、ベルト叩き機構54のベルト叩きプッシャ55を往復動させる。
【0076】
そして、回転円盤34からすべての硬貨が一旦繰り出され、硬貨リジェクト口19および一時貯留部42のいずれかに送り込まれると、制御部は、硬貨識別部32の識別結果を図示せぬ上位機に表示させる。この上位機の表示からオペレータが整理計数完了確認操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「返却処理」を行うことになる。
【0077】
「返却処理」
上記「入金処理」の結果の上位機の表示に基づいてオペレータが入金キャンセル操作を上位機または操作部14に入力した場合、および、上記「整理計数処理」が完了した旨の上位機の表示からオペレータが整理計数完了確認操作を上位機または操作部14に入力した場合、制御部は、出金側ゲート104を繰出口89から繰り出される硬貨をシュートガイド103に案内する状態とし、搬送ベルト44、搬送ベルト61、搬送ベルト81および搬送ベルト88を駆動する。それとともに、金種別の収納繰出部76A〜76Fのゲートストッパ91は、すべて閉状態とし、返却搬送路67のゲートストッパ91のみ開状態とし、さらに、収納振分ゲート65を、すべての硬貨を返却搬送路67に落下させる状態とする。以上により、一時貯留部42から一枚ずつ繰り出された硬貨が、硬貨判別部63で判別されながら、収納振分ゲート65から落下し、返却搬送路67の繰出口89からシュートガイド103を介して受皿105に放出される(図11に太線で示す返却処理ルート参照)。
【0078】
「入金口補充処理」
収納繰出部76A〜76Fのいずれかの硬貨収納量が少なくなってきた場合は、オペレータが上記「入金処理」および「収納処理」を同時に実行することで硬貨を補充する(図8に太線で示す入金処理ルートおよび図10に太線で示す収納処理ルート参照)。
【0079】
「金庫回収処理」
硬貨入出金部12の硬貨をすべて回収する場合には、オペレータにより上位機または操作部14に「金庫回収処理」の実行入力がなされると、制御部は、出金側ゲート104を繰出口89から繰り出される硬貨を硬貨搬送路101に案内する状態とし、搬送ベルト81、搬送ベルト88および搬送ベルト100を駆動するとともに(搬送ベルト100は硬貨一括金庫23の方向に駆動)、金種別の収納繰出部76A〜76Fのすべてのゲートストッパ91を開状態とすることで、金種別の収納繰出部76A〜76Fから硬貨をすべて繰り出し出金側ゲート104で硬貨搬送路101に案内しつつ硬貨搬送路101で硬貨一括金庫23に収納させる(図12に太線で示す金庫回収処理ルート参照)。その後、硬貨一括金庫23を機外に取り外すことで硬貨が回収される。
【0080】
「精査処理」
まず、例として、収納繰出部76Aについて収納している硬貨(1円硬貨)をすべて一旦繰り出しこの収納繰出部76A以外の一時貯留場所に一時貯留させる一方、この収納繰出部76Aに確定した枚数の硬貨を戻すことにより収納枚数を確定させる精査処理を行う場合について説明する。
【0081】
ここで、上述したように、入金処理における硬貨識別部32の識別結果と、収納処理時における硬貨判別部63の判別結果および硬貨検出センサ73の検出結果と、出金処理時における硬貨検出センサ95A〜95F,98A〜98Fの検出結果とから、制御部は、硬貨入出金部12の各部の硬貨収納量をほぼ把握しており、精査処理前に認識していた収納繰出部76Aの収納枚数に応じて、一時貯留場所を変更する。
【0082】
すなわち、収納繰出部76Aに関して精査処理を行う際に、この収納繰出部76Aについて精査処理前に認識していた収納枚数が予め設定された所定枚数以下の場合は、収納繰出部76Aのすべての硬貨を繰り出し、繰り出した硬貨を一旦一時貯留部42のみに一時貯留させる一方、この収納繰出部76Aについて精査処理前に認識していた収納枚数が予め設定された所定枚数より多い場合は、収納繰出部76Aのすべての硬貨を繰り出し、繰り出した硬貨を一時貯留部42および返却搬送路67に一時貯留させる。なお、上記所定枚数は、良好に繰り出し等を行うことができる枚数が設定されることになる。具体的には、上記一時貯留部42の硬貨の収納量は、500円硬貨は100枚、それ以外の硬貨は160枚とされており、一時貯留部42に硬貨を放出する硬貨搬送路101からの硬貨搬送路出口102が一時貯留部42の収納スペースのほぼ中央に位置しているため、最も大きさの大きい500円硬貨に対応して上記所定枚数を収納量の半分の50枚と設定する。
【0083】
具体的には、収納繰出部76Aに関して精査処理を行う際に、この収納繰出部76Aについて精査処理前に認識していた収納枚数が予め設定された所定枚数(50枚)以下の場合は、オペレータにより上位機または操作部14に収納繰出部76Aを精査処理する際の入力がなされると、制御部は、出金側ゲート104を繰出口89から繰り出される硬貨を硬貨搬送路101に案内する状態とするとともに、搬送ベルト81、搬送ベルト88および搬送ベルト100を駆動し(搬送ベルト100は一時貯留部42の方向に駆動)、一時貯留部42の搬送ベルト44を駆動するとともにゲートストッパ51を閉状態とし、さらに、収納繰出部76A〜76Fのうち収納繰出部76Aのゲートストッパ91のみを開状態とする。これにより、収納繰出部76Aに収納されていた硬貨がすべて一時貯留部42に一時貯留され、収納繰出部76Aは空となる。次に、制御部は、ゲートストッパ51を開状態とし、収納繰出部76Aのゲートストッパ91を閉状態とする。これにより、一時貯留部42から硬貨が繰り出され、繰り出された硬貨を硬貨判別部63で判別しつつ、金種振分部68に送り、対応する分類孔72Aから落下させる。これにより、一時貯留部42から繰り出された硬貨は収納繰出部76Aに収納される(図13に太線で示す第1精査処理ルート参照)。以上のようにして、収納可能な硬貨がすべて収納繰出部76Aに収納されると、硬貨判別部63の判別結果および硬貨検出センサ73の検出結果で収納繰出部76Aに収納された硬貨の枚数が確定する。なお、万が一異金種硬貨が混入していても、金種振分部68で分類孔72A〜72Fの対応するものから落下させられることになる。他方、硬貨判別部63の判別結果から、偽硬貨等の真硬貨でないものが混入していた場合には、直ちに装置を停止させ、エラー表示をする。この停止で、偽硬貨等の真硬貨でないものは、収納振分ゲート65より下流側かつ金種振分部68より上流で留まることになり、オペレータによる排除が円滑に行われる。
【0084】
収納繰出部76Aに関して精査処理を行う際に、この収納繰出部76Aについて精査処理前に認識していた収納枚数が予め設定された所定枚数(50枚)を越えている場合は、オペレータにより上位機または操作部14に収納繰出部76Aを精査処理する際の入力がなされると、制御部は、出金側ゲート104を繰出口89から繰り出される硬貨を硬貨搬送路101に案内する状態とするとともに、搬送ベルト81、搬送ベルト88および搬送ベルト100を駆動するとともに(搬送ベルト100は一時貯留部42の方向に駆動)、一時貯留部42のゲートストッパ51は開状態とし、さらに、収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67のうち収納繰出部76Aのゲートストッパ91のみを開状態として、収納振分ゲート65を返却搬送路67に硬貨を案内する状態とする。そして、硬貨検出センサ95A〜95F,98A〜98Fで、繰出口89から、上記所定枚数を越える枚数の硬貨が繰り出されるまで収納繰出部76Aのゲートストッパ91を開状態とし、繰り出された硬貨をすべて硬貨搬送路101および一時貯留部42を介して一旦返却搬送路67に一時貯留させる。
【0085】
繰出口89から上記所定枚数を越える枚数の硬貨が繰り出されたことが検出されると、制御部は、収納繰出部76Aのゲートストッパ91を閉状態とし、繰り出されたすべての硬貨が返却搬送路67に一時貯留されると、一時貯留部42のゲートストッパ51を閉状態とし収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67のうち収納繰出部76Aのゲートストッパ91のみを再び開状態とする。これにより、残りの硬貨すなわち上記所定枚数と認識されていた硬貨を硬貨搬送路101を介して一旦一時貯留部42に一時貯留させる。これにより、収納繰出部76Aに収納されていた硬貨がすべて一時貯留部42および返却搬送路67に一時貯留され、収納繰出部76Aは空となる。次に、制御部は、一時貯留部42のゲートストッパ51を開状態とし、収納繰出部76Aのゲートストッパ91を閉状態とする。これにより、一時貯留部42から硬貨が繰り出され、繰り出された硬貨を、硬貨判別部63で判別しつつ、金種振分部68に送り、対応する分類孔72Aから落下させる。これにより、上記と同様、一時貯留部42から繰り出された硬貨は収納繰出部76Aに収納される(図14に太線で示す第2精査処理ルート参照)。この場合、偽硬貨等に対する対応は上記と同様である。ここで、上記一時貯留部42から金種振分部68への硬貨の繰り出しの開始に合わせて、返却搬送路67のゲートストッパ91を開状態とし、返却搬送路67に一時貯留させた硬貨を返却搬送路67から硬貨搬送路101を介して一時貯留部42に徐々に追加する。以上のようにして、収納可能な硬貨がすべて収納繰出部76Aに収納されると、硬貨判別部63の判別結果および硬貨検出センサ73の検出結果で収納繰出部76Aに収納された硬貨の枚数が確定する。
【0086】
なお、収納繰出部76Bすなわち50円硬貨に関して精査処理を行う場合も、上記と同様であり、具体的には、上記収納繰出部76Aの精査処理に対し、収納繰出部76Aを収納繰出部76Bに、分類孔72Aを分類孔72Bに、1円硬貨を50円硬貨に、それぞれ読み替えればよい。
【0087】
同様に、収納繰出部76Cすなわち5円硬貨に関して精査処理を行う場合は、上記収納繰出部76Aの精査処理に対し、収納繰出部76Aを収納繰出部76Cに、分類孔72Aを分類孔72Cに、1円硬貨を5円硬貨に、それぞれ読み替えればよく、収納繰出部76Dすなわち100円硬貨に関して精査処理を行う場合は、上記収納繰出部76Aの精査処理に対し、収納繰出部76Aを収納繰出部76Dに、分類孔72Aを分類孔72Dに、1円硬貨を100円硬貨に、それぞれ読み替えればよい。また、収納繰出部76Eすなわち10円硬貨に関して精査処理を行う場合は、上記収納繰出部76Aの精査処理に対し、収納繰出部76Aを収納繰出部76Eに、分類孔72Aを分類孔72Eに、1円硬貨を10円硬貨に、それぞれ読み替えればよく、収納繰出部76Fすなわち500円硬貨に関して精査処理を行う場合は、上記収納繰出部76Aの精査処理に対し、収納繰出部76Aを収納繰出部76Fに、分類孔72Aを分類孔72Fに、1円硬貨を500円硬貨に、それぞれ読み替えればよい。
【0088】
ここで、上記の精査処理は以下のように変更することも可能である。
例えば収納繰出部76Aを例にとり説明すると、収納繰出部76Aに関して精査処理を行う際に、収納繰出部76Aについて精査処理前に認識していた収納枚数が予め設定された所定枚数(50枚)以下の場合は、上記と同様とし、収納繰出部76Aについて精査処理前に認識していた収納枚数が予め設定された所定枚数より多い場合は、繰り出した硬貨を一時貯留部42および硬貨搬送路101に一時貯留させるようにしてもよい。
【0089】
この場合、収納繰出部76Aについて精査処理前に認識していた収納枚数が予め設定された所定枚数より多い場合は、一時貯留部42のゲートストッパ51を閉状態としておくとともに、収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67のゲートストッパ91の中では収納繰出部76Aのゲートストッパ91のみを開状態とすることで、この所定枚数までの枚数の硬貨を収納繰出部76Aから繰り出し、この繰り出しが終わると、収納繰出部76Aのゲートストッパ91を閉状態とし、繰り出した硬貨をすべて硬貨搬送路101を介して一旦一時貯留部42に一時貯留させる。そして、硬貨搬送路101を停止させた後、収納繰出部76Aのゲートストッパ91を開状態として、該所定枚数を越える枚数の硬貨をすべて一旦硬貨搬送路101に一時貯留させる。このとき、硬貨搬送路101について一時貯留部42に硬貨が落下しない範囲で正転および逆転の少なくともいずれか一方を行って、硬貨を硬貨搬送路101上に無駄なスペースをつくることがないように集積させるようにする。例えば一時貯留部42への硬貨の落下防止の点から特に硬貨搬送路101の硬貨一括金庫23側を有効利用するように搬送ベルト100を硬貨一括金庫23側へ硬貨を搬送する方向に回転させる。以上の後、一時貯留部42から硬貨を金種振分部68を介して収納繰出部76Aに戻すのである。そして、この戻している最中に適宜のタイミングで硬貨搬送路101を駆動して一時貯留部42に硬貨を追加する。
【0090】
さらに、上記を組み合わせてもよい。
すなわち、例えば収納繰出部76Aを例にとり説明すると、収納繰出部76Aに関して精査処理を行う際に、収納繰出部76Aについて精査処理前に認識していた収納枚数が予め設定された所定枚数(50枚)より多い場合は、繰り出した硬貨を一時貯留部42と返却搬送路67と硬貨搬送路101とに一時貯留させるのである。
【0091】
この場合、収納繰出部76Aについて精査処理前に認識していた収納枚数が予め設定された所定枚数より多い場合は、一時貯留部42のゲートストッパ51を開状態とするとともに、収納繰出部76A〜76Fおよび返却搬送路67のゲートストッパ91の中では収納繰出部76Aのゲートストッパ91のみを開状態とすることで、該所定枚数を越える枚数の硬貨の一部(例えば半分)を収納繰出部76Aから繰り出し、この繰り出しの後、収納繰出部76Aのゲートストッパ91を一旦閉状態とするとともに、繰り出した硬貨をすべて硬貨搬送路101および一時貯留部42を介して一旦返却搬送路67に一時貯留させる。次に、一時貯留部42のゲートストッパ51を閉じて、収納繰出部76Aのゲートストッパ91を開状態とし、上記の所定枚数までの枚数の硬貨を収納繰出部76Aから繰り出して、収納繰出部76Aのゲートストッパ91を閉状態とし、繰り出した硬貨をすべて硬貨搬送路101を介して一旦一時貯留部42に一時貯留させる。そして、硬貨搬送路101を停止させた後、収納繰出部76Aのゲートストッパ91を開状態として、該所定枚数を越える枚数の硬貨をすべて一旦硬貨搬送路101に一時貯留させる。このとき、上記と同様、硬貨搬送路101について一時貯留部42に硬貨が落下しない範囲で正転および逆転の少なくともいずれか一方を行って、硬貨を硬貨搬送路101上に均等に集積させるようにする。その後、一時貯留部42から硬貨を繰り出し金種振分部68を介して収納繰出部76Aに戻すのである。そして、この戻している最中に適宜のタイミングで硬貨搬送路101を駆動して一時貯留部42に硬貨を追加するとともに、適宜のタイミングで返却搬送路67のゲートストッパ91を開状態として返却搬送路67から硬貨搬送路101を介して一時貯留部42に硬貨を追加する。
【0092】
以上に述べた実施形態の貨幣入出金機によれば、その硬貨入出金部12において、金種別の収納繰出部76A〜76Fのそれぞれに設けられた外径選別部97A〜97Fで、出金処理時に収納繰出部76A〜76Fから繰り出される硬貨のうち適正な金種の硬貨以外の硬貨を外径から選別する。このように、適正な金種の硬貨以外の硬貨を選別するために、硬貨をその外径で選別する外径選別部97A〜97Fを用いているため、磁気センサを用いる場合に比してコストを低減することができる。
【0093】
また、外径選別部97B〜97Fは、適正な金種の硬貨より小径の硬貨を落下させる出金選別孔94B〜94Fを有するため、適正な金種の硬貨より小径の硬貨が選別孔94B〜94Fから選別されて落下する。このような選別孔94B〜94Fは安価であり、磁気センサを用いる場合に比してコストを確実に低減することができる。
【0094】
加えて、出金処理時に、選別孔94B〜94Fで落下させられた硬貨を硬貨搬送路101および一時貯留部42で搬送し金種振分部68で再度振り分けることで、異金種硬貨を収納繰出部76A〜76Fのうち適正な金種のものに自動的に収納させることができる。
【0095】
さらに、出金処理時に、適正な金種の硬貨より大径の硬貨の通過が壁部90A〜90Fで規制されることになり、このとき、通路部87A〜87Fの間を通過する硬貨を検出する硬貨検出センサ95A〜95Fが硬貨の通過を検出しなくなることから、大径の硬貨の通過規制を検出する。このような壁部90A〜90Fは安価であり、磁気センサを用いる場合に比してコストを確実に低減することができる。
【0096】
加えて、出金処理時における収納繰出部76A〜76Fによる硬貨の繰り出し中に、各通路部87A〜87Fの硬貨の通過が硬貨検出センサ95A〜95Fで検出されない場合に、収納繰出部76A〜76Fによる硬貨の繰り出しを停止させるとともに、繰出異常があった旨を表示パネル16によりオペレータに報知する。すると、オペレータがこの報知から繰出異常を容易に認識でき、即座に壁部90A〜90Fで通過が規制された硬貨を排除することができる。なお、本実施形態においては、収納繰出部76Aには出金選別孔を設けてはいないが、もちろん該収納繰出部76Aに同様の出金選別孔を設けるのもよく、この場合、出金選別孔は収納対象硬貨である1円硬貨よりも僅かに小径とされ、1円硬貨よりも小径の偽硬貨や異物を落下させることになる。そして、落下された偽硬貨や異物は硬貨搬送路101、一時貯留部42を経由して硬貨判別部63に搬送され、該硬貨判別部63で金種判別が行われた後、判別結果から、偽硬貨や異物であることが判明すると、図示せぬ制御部は直ちに装置を停止させ、エラー表示を行う。この停止で、偽硬貨や異物は、収納振分ゲート65より下流側かつ金種振分部68より上流で留まることになり、オペレータによる排除が円滑に行われる。
【0097】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載の硬貨入出金機によれば、金種別の収納繰出部のそれぞれに設けられた外径選別部で、収納繰出部から繰り出される硬貨のうち適正な金種の硬貨以外の硬貨を外径から選別する。このように、適正な金種の硬貨以外の硬貨を選別するために、硬貨をその外径で選別する外径選別部を用いているため、磁気センサを用いる場合に比してコストを低減することができる。
【0098】
また、外径選別部は、適正な金種の硬貨より小径の硬貨を落下させる選別孔を有するため、適正な金種の硬貨より小径の硬貨が選別孔から選別されて落下する。このような選別孔は安価であり、磁気センサを用いる場合に比してコストを確実に低減することができる。
【0099】
さらに、選別孔で落下させられた硬貨を金種振分部で再度振り分けることで、異金種硬貨を適正な金種の収納繰出部に自動的に収納させることができる。
【0100】
本発明の請求項2記載の硬貨入出金機によれば、適正な金種の硬貨より大径の硬貨の通過が一対の壁部で規制されることになり、このとき一対の壁部間の通路部を通過する硬貨を検出する硬貨検出センサが硬貨の通過を検出しなくなることから、大径の硬貨の通過規制を検出する。このような一対の壁部は安価であり、磁気センサを用いる場合に比してコストを確実に低減することができる。
【0101】
本発明の請求項3記載の硬貨入出金機によれば、収納繰出部による硬貨の繰り出し中に、通路部における硬貨の通過が硬貨検出センサで検出されない場合に、収納繰出部による硬貨の繰り出しを停止させるとともに、繰出異常があった旨を報知する。すると、オペレータがこの報知から繰出異常を容易に認識でき、即座に一対の壁部間で通過が規制された硬貨を排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の硬貨入出金機の一実施形態としての貨幣入出金機を示す斜視図である。
【図2】 同貨幣入出金機における硬貨入出金部の内部構造を示す平面図である。
【図3】 同貨幣入出金機における硬貨入出金部の一時貯留部を示す側断面図である。
【図4】 同貨幣入出金機における硬貨入出金部の返却搬送路を示す側断面図である。
【図5】 同貨幣入出金機における硬貨入出金部の収納繰出部を示す側断面図である。
【図6】 同貨幣入出金機における硬貨入出金部の収納繰出部を示す部分拡大平面図である。
【図7】 同貨幣入出金機における硬貨入出金部の収納繰出部を示す部分拡大側断面図である。
【図8】 同貨幣入出金機における硬貨入出金部の入金処理ルートを示す平面図である。
【図9】 同貨幣入出金機における硬貨入出金部の出金処理ルートを示す平面図である。
【図10】 同貨幣入出金機における硬貨入出金部の収納処理ルートを示す平面図である。
【図11】 同貨幣入出金機における硬貨入出金部の返却処理ルートを示す平面図である。
【図12】 同貨幣入出金機における硬貨入出金部の金庫回収処理ルートを示す平面図である。
【図13】 同貨幣入出金機における硬貨入出金部の第1精査処理ルートを示す平面図である。
【図14】 同貨幣入出金機における硬貨入出金部の第2精査処理ルートを示す平面図である。
【符号の説明】
68 金種振分部
76A〜76F 収納繰出部
87A〜87F 通路部
90A〜90F 壁部
94B〜94F 出金選別孔(選別孔)
95A〜95F 硬貨検出センサ
97A〜97F 外径選別部
Claims (3)
- 入金された硬貨を金種別に振り分ける金種振分部と、
該金種振分部で金種別に振り分けた硬貨をそれぞれ収納させる金種別の収納繰出部とを有し、
これら金種別の収納繰出部から収納している硬貨を出金用として繰り出す硬貨入出金機において、
前記金種別の収納繰出部には、それぞれに、繰り出される硬貨のうち適正な金種の硬貨以外の硬貨を外径で選別する外径選別部が設けられており、
最小径の金種用の収納繰出部を除く他の収納繰出部のみ、前記外径選別部が、適正な金種の硬貨より小径の硬貨を落下させる選別孔を有していて、
前記選別孔で落下させられた硬貨を前記金種振分部に搬送し該金種振分部で再度振り分けることを特徴とする硬貨入出金機。 - 前記外径選別部は、適正な金種の硬貨より大径の硬貨の通過を規制する一対の壁部と、これら壁部間の通路部における硬貨の通過を検出する硬貨検出センサとを有することを特徴とする請求項1記載の硬貨入出金機。
- 前記収納繰出部による硬貨の繰り出し中に、前記通路部における硬貨の通過が前記硬貨検出センサで検出されない場合に、前記収納繰出部による硬貨の繰り出しを停止させるとともに、報知を行うことを特徴とする請求項2記載の硬貨入出金機。
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