JP4017816B2 - プラズマディスプレイの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばプラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、PDP)に利用されるプラズマディスプレイの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、PDPの製造方法としては、たとえば特開平8―162027号公報に記載されたものが知られている。
【0003】
まず、従来のPDPの構成図である図1を参照しながら、従来のPDPの構成について説明する。
【0004】
図1において、1は前面基板、2は背面基板、3は誘電体、4は走査電極(透明電極付き)、5は維持電極(透明電極付き)、6は保護層、7はアドレス電極、8はリブ、9は蛍光層である。
【0005】
前面基板1と背面基板2とは、シール層により張り合わせられ、張り合わせられた2枚の基板の中には、真空にされた後、放電時に紫外線を発生させるためのガスが封入される。なお、放電空間に電圧をかけることで封入ガスから紫外線を発生させ、そのようにして発生させられた紫外線が蛍光層9に当たることにより発光し、画像が得られる。
【0006】
以上の構成は、3相電極、面放電型で、反射型カラーPDPと分類される一般的なものである。
【0007】
さて、電極を被覆する誘電体層に要求される条件としては、電極を均一且つ緻密に被覆すること、高い透過率・絶縁性を備えていること、平滑な表面を有し均一な放電特性が得られること、表面が保護材料で形成されること、駆動電圧が低くなる表面材料であること、等が挙げられる。
【0008】
上記条件を満たすため、酸化物ガラス(以下ガラスと称する)材料が好適に用いられる。ガラス粉体を用いることで膜形成が容易となり、ガラスを溶融させることで誘電体層の緻密性、均一性、均質性を向上することができる。なお、表面の保護材料に関しては、ガラス材料では十分な特性を得られるものがないため、MgO等の材料を蒸着法やスパッタ法等の薄膜技術により形成されている。
【0009】
具体的には、誘電体層は、まずガラス粉末、バインダ、可塑剤、溶剤等を分散・混練することでペーストを作製し、印刷法やノズルによる塗布法により塗布形成される。その後、乾燥工程及び焼成工程を経てガラスを焼結させることで、誘電体層が得られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の誘電体ペーストでは、気泡含有量が0.35〜0.5vol%もあって多かったため、塗布時の泡噛み等が生じ易く、均一で均質な誘電体層の実現や高歩留まりの実現が困難となるという課題があった。なお、気泡含有量が多い誘電体ペーストでは、乾燥工程・焼成工程での膜面内での膜収縮率が不均一となるため、焼成後に特異的で微少な欠陥が生じ易かったり、高い絶縁性を得ることが困難であった。
【0011】
本発明は、上記従来のこのような課題を考慮し、たとえば、気泡含有量の少ない誘電体ペーストを利用するラズマディスプレイの製造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
の本発明は、(1)PbO、B 、SiO およびCaOの内の少なくとも一つ以上の成分を含有するガラス粉末、バインダ、可塑剤、および溶剤を含み、(2)前記ガラス粉末の重量部は、50〜95重量部であり、(3)前記溶剤の重量部は、1〜50重量部であり、(4)せん断速度4(1/s)の場合の粘度は、350〜650(P)であり、(5)せん断速度0.1(1/s)の場合の粘度は、500〜1000(P)であり、(6)(せん断速度0.1(1/s)での粘度)/(せん断速度100(1/s)での粘度)として定義されるチキソインデックスは、5以下である、誘電体ペーストを利用する、プラズマディスプレイの製造方法であって、
前記ガラス粉末、前記バインダ、前記可塑剤、および前記溶剤の混練処理を行い、前記混練処理の後で前記溶剤をさらに5重量部加えて攪拌する脱泡処理を行って、前記誘電体ペーストを製造する、誘電体ペースト製造工程と、
前記製造された誘電体ペーストを利用して、放電空間を介して背面基板と対向配置される前面基板に形成された電極を被覆するように誘電体を形成する、誘電体形成工程と、
を備え、
前記脱泡処理を、所定の雰囲気圧力の下で前記所定の雰囲気圧力に応じた所定の時間以上の時間をかけて行い、
前記所定の雰囲気圧力は、93.3kPaであり、
前記所定の雰囲気圧力に応じた前記所定の時間は、40分である、ラズマディスプレイの製造方法である。
の本発明は、(1)PbO、B 、SiO およびCaOの内の少なくとも一つ以上の成分を含有するガラス粉末、バインダ、可塑剤、および溶剤を含み、(2)前記ガラス粉末の重量部は、50〜95重量部であり、(3)前記溶剤の重量部は、1〜50重量部であり、(4)せん断速度4(1/s)の場合の粘度は、350〜650(P)であり、(5)せん断速度0.1(1/s)の場合の粘度は、500〜1000(P)であり、(6)(せん断速度0.1(1/s)での粘度)/(せん断速度100(1/s)での粘度)として定義されるチキソインデックスは、5以下である、誘電体ペーストを利用する、プラズマディスプレイの製造方法であって、
前記ガラス粉末、前記バインダ、前記可塑剤、および前記溶剤の混練処理を行い、前記混練処理の後で前記溶剤をさらに5重量部加えて攪拌する脱泡処理を行って、前記誘電体ペーストを製造する、誘電体ペースト製造工程と、
前記製造された誘電体ペーストを利用して、放電空間を介して背面基板と対向配置される前面基板に形成された電極を被覆するように誘電体を形成する、誘電体形成工程と、
を備え、
前記脱泡処理を、所定の雰囲気圧力の下で前記所定の雰囲気圧力に応じた所定の時間以上の時間をかけて行い、
前記所定の雰囲気圧力は、13.3kPaであり、
前記所定の雰囲気圧力に応じた前記所定の時間は、30分である、ラズマディスプレイの製造方法である。
の本発明は、(1)PbO、B 、SiO およびCaOの内の少なくとも一つ以上の成分を含有するガラス粉末、バインダ、可塑剤、および溶剤を含み、(2)前記ガラス粉末の重量部は、50〜95重量部であり、(3)前記溶剤の重量部は、1〜50重量部であり、(4)せん断速度4(1/s)の場合の粘度は、350〜650(P)であり、(5)せん断速度0.1(1/s)の場合の粘度は、500〜1000(P)であり、(6)(せん断速度0.1(1/s)での粘度)/(せん断速度100(1/s)での粘度)として定義されるチキソインデックスは、5以下である、誘電体ペーストを利用する、プラズマディスプレイの製造方法であって、
前記ガラス粉末、前記バインダ、前記可塑剤、および前記溶剤の混練処理を行い、前記混練処理の後で前記溶剤をさらに5重量部加えて攪拌する脱泡処理を行って、前記誘電体 ペーストを製造する、誘電体ペースト製造工程と、
前記製造された誘電体ペーストを利用して、放電空間を介して背面基板と対向配置される前面基板に形成された電極を被覆するように誘電体を形成する、誘電体形成工程と、
を備え、
前記脱泡処理を、所定の雰囲気圧力の下で前記所定の雰囲気圧力に応じた所定の時間以上の時間をかけて行い、
前記所定の雰囲気圧力は、0.1kPaであり、
前記所定の雰囲気圧力に応じた前記所定の時間は、20分である、ラズマディスプレイの製造方法である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明にかかる実施の形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0026】
(実施の形態1)
はじめに、本実施の形態1の誘電体ペーストについて説明する。まず、PbO、B、SiO、CaOの成分を含むガラス粉末を60重量部(すなわち、重量%)と、バインダ成分であるエチルセルロースを6重量部と、可塑剤成分DBP(フタル酸ジブチル)を4重量部と、溶剤成分としてαテルピネオールを15重量部と、BCA(EP酢酸ジエチレングリコールモノnブチルエーテル)を10重量部とを、3本ロール混練により分散・混練処理を行って、ペースト化した。
【0027】
その後、更に、BCA(EP酢酸ジエチレングリコールモノnブチルエーテル)を5重量部、上記ペーストに加えて、攪拌羽根及び混練用ミキサーを具備するハイビスディスパー(特殊機化(株)製)により、雰囲気圧力を大気圧未満に変化させて減圧下で攪拌し、脱泡処理を行った。
【0028】
その場合の、雰囲気圧力の減圧攪拌脱泡処理時間に対する気泡含有量を、表1に示す。ここで、ペーストの粘度は、せん断速度0.1(1/s)で800(P)、4(1/s)で500(P)、100(1/s)で250(P)とした。なお、NV(Non−Volatile)は、不揮発成分を表し、固形分率の意である。
【0029】
【表1】
Figure 0004017816
誘電体ペーストは、塗布後に乾燥・焼成工程を経ると体積収縮が生じるため、これが膜欠陥発生の原因となっている。そのため、ペーストの固形分率を高くすることで、体積収縮を抑え、膜欠陥の発生を抑制している。その結果、誘電体ペーストは、粘度が高く、チキソ性の小さなペーストとなる傾向があり、ペースト内の気泡含有率が多くなり、脱泡処理も困難なものとなっていた。
【0030】
しかし、このようなペーストでも、前述したように減圧雰囲気中で混練脱泡することにより、従来よりも高い脱泡効果を得られることを、本発明者は見いだした。
【0031】
なお、図2に、従来のペースト及び減圧攪拌脱泡処理したペーストの粒度分布測定結果を示す。これらの結果より、減圧混練脱泡によって脱泡効果だけでなく高い分散効果も得られることが分かった。
【0032】
つぎに、本実施の形態の誘電体について説明する。まず、表1に示した気泡含有率の異なるペーストを用いて、ダイコーターにより前面基板に形成された電極を被覆するように塗布した。その後、100℃で15分保持後、ピーク温度130℃で30分保持する乾燥工程(図3参照)、及び300℃で20分保持後、ピーク温度600℃で30分保持する焼成工程(図4参照)を経て、ガラス成分を焼結させることで誘電体層を形成した。なお、図3は誘電体ペーストの乾燥温度プロファイルの説明図であり、図4は誘電体ペーストの焼成温度プロファイルの説明図である。これらの誘電体層の気泡含有率・焼成後の表面粗さRa・透過率・耐圧試験結果を、表2に示す。
【0033】
【表2】
Figure 0004017816
ここで、表2に示されている耐圧試験結果について、詳しく説明する。
【0034】
耐圧試験については、前面基板1のみで行なった。具体的には、本実施の形態における耐圧試験方法の説明図である図5に示すように、仮りの背面基板電極11を設け、封入ガス10を封入して、走査電極4および維持電極5と仮り背面基板電極11間に電圧を印加して行った。
【0035】
なお、電圧印加に関しては、次のような手順で行った。まず、AC耐圧試験として、0Vから500Vまで徐々に電圧を印加していき、絶縁破壊が生じれば0Vからもう一度やり直すという手法で行い、500℃に達するまでの絶縁破壊個所数を集計する。次に、DC耐圧試験として、0Vから3000Vまで徐々に電圧を印加していき、AC耐圧試験の場合と同様に、絶縁破壊が生じれば0Vからやり直すという手法で、3000Vに達するまでの絶縁破壊個所数を集計する。
【0036】
ここに、絶縁破壊がAC耐圧試験で一個所でも生じた場合及びDC耐圧試験の1500V未満で一個所でも生じた場合を×とした。また、DC耐圧試験で1500V以上2000V未満の範囲で3個所以上生じた場合を△とした。また、AC耐圧試験で絶縁破壊が生じず、且つ2000V未満のDC耐圧試験で絶縁破壊個所が2個所以下であり、全絶縁破壊個所数が8個所以下の場合を合格品○(8個所を超えている場合は△)とした。
【0037】
表2より、減圧混練脱泡処理したペーストでは、ペースト内の気泡含有量をより少なく出来るため、塗布形成後の誘電体層気泡含有率も小さく出来た。その効果として、誘電体層の表面粗さが小さく、緻密かつ均一な誘電体層を得ることができ、高い絶縁性と高い透過率特性(可視光域での透過率が70%以上)を兼ね備えた誘電体層を実現できた。また、ペースト内の気泡含有量が最終的に0.3%以下となる場合に、このような傾向は顕著となり、優れた性質を有する誘電体ペーストが得られることがわかった。
【0038】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、ガラス粉末を65重量部含有し、ペースト内気泡含有率が0.3vol%である、粘度特性の異なるペーストを作製した。ガラス粉末以外の成分に関しては、所望の粘度特性となるよう、バインダ成分・可塑剤成分・溶剤成分を配合した。減圧混練脱泡処理に関しては、前述の本実施の形態1と同様の方法により行った。それらのペーストを用いて、ダイコーターにより、前面基板に形成された電極を被覆するように塗布し、実施の形態1と同様の乾燥・焼成工程を経て、焼成後膜厚40μmの誘電体層を形成した。その際のペースト粘度特性に対する塗布性・焼成後表面粗さRa・透過率・耐圧試験結果を、表3、4に示す。なお、ダイコーターでの塗布では、通常、せん断速度4(1/s)での粘度を基準としている。
【0039】
【表3】
Figure 0004017816
【0040】
【表4】
Figure 0004017816
表3は、チキソインデックス(すなわち、(0.1(1/s)での粘度)/()100(1/s)での粘度))3.2のペーストの比較結果であるが、気泡含有率が0.3vol%のペーストでは、4(1/s)での粘度が350(P)以上650(P)以下のペーストを用いて塗布することで、透過率が高く、絶縁性も良好な誘電体層が実現できた。
【0041】
4(1/s)での粘度が、650(P)よりも高いペーストでは、粘度が高すぎるため塗布性が悪く、塗布後のレベリング性にも不利な状態となった。その結果、表面粗さRaが悪化することで透過率も低下し、絶縁性も低下した。
【0042】
4(1/s)での粘度が、350未満のペーストでは、粘度が低すぎるためダイコーターで塗布可能な最大膜厚が小さくなり、狙いとする膜厚を得るためには複数回塗布する必要が生じた。なお、薄い膜厚で複数回塗布する手法は、重ね塗りすることで各回で生じる塗布ムラを相殺できるという利点があるが、タクトタイムが増加すると共に、塗布工程内でダスト等の異物が混入する確率も大幅に増加してしまうという問題が生じる。このようなことから、ダイコーターによる塗布では1回の塗布で所望の膜厚を塗布することが望ましく、粘度の低すぎるペーストは好ましくない。
【0043】
表4は、チキソインデックスの異なるペーストの比較結果であるが、上記のように4(1/s)での粘度が350(P)以上650(P)以下でも、チキソインデックスが異なれば、塗布性・焼成膜表面粗さRa・耐圧試験結果が異なる結果となった。
【0044】
0.1(1/s)での粘度が500〜1000(P)であり、チキソインデックスが5以下のペーストでは、塗布性が良好で、焼成膜表面粗さRaも小さく、高い透過率及び高い絶縁性能が得られた。
【0045】
0.1(1/s)での粘度が1000(P)よりも高いペーストでは、上記と同様に塗布性が悪く、レベリング性に乏しいペーストとなり、表面粗さRaが大きく、透過率・絶縁性能が共に低い誘電体層となった。
【0046】
0.1(1/s)での粘度が1000(P)以下であっても、チキソインデックスが5よりも大きなペーストでは、100(1/s)での粘度が低すぎるため、上記同様、塗布可能な最大膜厚が小さくなり、一度の塗布では所望の膜厚が得られなくなった。その結果、表面粗さ・透過率・耐圧試験結果共に、合格品に比べてやや劣る誘電体層となった。また、せん断速度が大きくなると共に粘度が増加する性質を持つペーストでは、塗布性が非常に悪く、誘電体層としての性能を満たすような膜を塗布することが出来なかった。
【0047】
以上述べたことから明らかなように、気泡含有率が0.3vol%以下で、せん断速度4(1/s)での粘度が350〜650(P)であり、せん断速度0.1(1/s)での粘度が500〜1000(1/s)であり、チキソインデックスが5以下であるペーストを塗布形成することで、透過率が高く、絶縁性能に優れた誘電体層を塗布形成することができた。
【0048】
(実施の形態3)
本実施の形態3では、気泡含有率が0.3vol%であり、ガラス粉末の含有率が異なるペーストを作製した。ここで、それぞれのペーストのチキソインデックスは5以下とした。これらのペーストを用いてダイコーターにより前面基板に形成された電極を被覆するように塗布し、前述の本実施の形態1、2と同様の乾燥・焼成工程を経て、焼成後膜厚40μmの誘電体層を形成した。表5に、せん断速度0.1(1/s)での粘度に対しての各ペーストの特性を示す。
【0049】
【表5】
Figure 0004017816
表5に示されているように、ガラス粉末含有量が50〜95wt%では、せん断速度0.1(1/s)での粘度特性を500〜1000(P)とすることで、塗布形成後の高い透過率と高い絶縁性とを兼ね備えた誘電体層を得ることが出来た。
【0050】
ガラス粉末の含有率が95wt%以上の図中×印のみの場合では、ガラス粉末の含有量が多すぎるため、ペースト化することが不可能であった。
【0051】
ガラス粉末含有量が95wt%以下のペーストで粘度が100(P)以下の場合では、粘度が低すぎて最大塗布可能膜厚が小さくなり、膜収縮も大きくなったため、高い透過率及び高い絶縁性を兼ね備えた誘電体層を得ることが出来なかった。また、ガラス粉末含有率が50wt%未満となると、膜収縮が非常に大きくなるため焼成後の表面粗さRaが大きくなり、高い透過率及び高い絶縁性を兼ね備えた誘電体層を得ることが出来ないことがあった。
【0052】
なお、せん断速度0.1(1/s)での粘度が1000(P)を超える場合では、ガラス粉末含有量が50〜95wt%の場合でも、レベリング性が悪くなり、焼成後の表面粗さRaが大きくなり、透過率及び絶縁性が低下した。
【0053】
(実施の形態4)
本実施の形態4では、PbO、B、SiO、CaOの成分を含むガラス粉末を60重量部と、バインダ成分であるエチルセルロースを6重量部と、可塑剤成分DBP(フタル酸ジブチル)を4重量部と、溶剤成分を25重量部とを3本ロール混練によりペースト化した。その後、更に、溶剤成分を5重量部上記ペーストに加えて、攪拌羽根及び混練用ミキサーを具備するハイビスディスパー(特殊機化(株)製)により、雰囲気圧力を変化させて減圧攪拌脱泡処理した。その際に、溶剤成分として沸点の異なる溶剤を用いた場合の、処理後の溶剤含有量・粘度上昇有無を、表6に示す。
【0054】
【表6】
Figure 0004017816
表6に示されているように、沸点が100℃以上の溶剤を用いた場合は、減圧混練脱泡中での溶剤揮発は生じないが、沸点が100℃未満の溶剤を用いた場合では、減圧混練脱泡中での溶剤揮発により、前述したような塗布性やレベリング性の悪化の原因となるペーストの粘度上昇が生じてしまった。
【0055】
(実施の形態5)
本実施の形態では、減圧混練脱泡処理を行い、気泡含有率が0.3vol%以下で、せん断速度4(1/s)での粘度が350〜650(P)であり、せん断速度0.1(1/s)での粘度が500〜1000(1/s)であり、チキソインデックスが5以下であるペーストを用いて誘電体層を塗布形成したプラズマディスプレイを作成した。そして、本実施の形態のプラズマディスプレイと、従来ペーストを用いて誘電体層の塗布形成を行ったプラズマディスプレイとを、透過率及び絶縁耐圧の性能の観点から、それぞれ100台ずつ評価した。表7に、そのような評価の結果を示す。ここに、透過率は70%未満を△、70%以上を○とし、100台に関する平均値で比較した。また、絶縁耐圧に関しては、上述の本実施の形態1に示した方法により評価し、比較した。
【0056】
【表7】
Figure 0004017816
表7に示されているように、減圧混練脱泡品により誘電体層を塗布形成することにより、緻密で均一且つ均質な誘電体層を形成でき、高い透過率と高い絶縁性能を兼ね備えたプラズマディスプレイを得ることができた。
【0057】
なお、上述された本実施の形態では、混練処理によるペースト化を行った後に、減圧下での混練を行いながら脱泡処理を行ったが、これに限らず、大気圧未満の雰囲気圧力の下でペースト化を行うことでも同様の効果が得られる。要するに、混練処理および/または混練処理後の脱泡処理を、大気圧未満の雰囲気圧力の下で行えばよい。
【0058】
また、雰囲気圧力と、混練処理および/または脱泡処理を行う処理時間とは、誘電体ペーストの気泡含有率が0.3vol%以下となるような調整を行われればよい。なお、たとえば表1からも明らかなように、雰囲気圧力が低いほど処理時間を短くすることができるという利点があるが、低い雰囲気圧力を実現しようとするほど、大きな設備投資が必要になる。
【0059】
ただし、表1からもわかるように、ペースト内の気泡含有量が0.3%以下となることが必ずしも要求されない場合にも、減圧混練脱泡処理を行うことにより、処理時間を短くすることができる。たとえば、雰囲気圧力を大気圧程度の101.3kPaとして従来のような脱泡処理を行えば、気泡含有率を0.38vol%とするのに20分かかってしまうが、雰囲気圧力を93.3kPaとして脱泡処理を行えば、気泡含有率を0.38vol%とするのに5分しかかからない。したがって、従来の気泡含有量を有するペーストを製造する場合にも、大気圧未満の雰囲気圧力の下で脱泡処理を行うことにより、望ましい効果が得られるといえる。もちろん、同じ理由により、従来の気泡含有量を有するペーストを製造する場合に、大気圧未満の雰囲気圧力の下で混練処理を行ってもよいことはいうまでもない。
【0060】
また、上述された本実施の形態では、バインダ成分をエチルセルロース、可塑剤成分をDBP、溶剤成分をαテルピネオールとBCAとしたが、これに限らず、異なるバインダ成分、可塑剤成分、溶剤成分を用いた場合でも同様の効果が得られる
また、上述された本実施の形態で述べた効果が得られるバインダ成分の一例としては、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0061】
また、減圧混練脱泡処理する設備に関しても、上述された本実施の形態では、ハイビスディスパー(特殊機化(株)製)を用いたが、これに限らず、減圧雰囲気中でペーストにせん断力を加えられる設備であれば同等の効果が得られる。
【0062】
また、本発明に関連する発明の誘電体は、上述した本実施の形態においては、100℃で15分保持後、ピーク温度130℃で30分保持する乾燥工程、および300℃で20分保持後、ピーク温度600℃で30分保持する焼成工程を経て、ガラス成分を焼結させられた。しかし、これに限らず、本発明に関連する発明の誘電体は、ピーク温度150℃以下の乾燥工程、およびピーク温度650℃以下の焼成工程を経て、ガラス成分を焼結させられればよい。なお、ピーク温度150℃を越える乾燥工程を経ると、ペースト内に含まれる可塑剤、溶剤、樹脂の成分が必要以上に揮発してしまい、膜としての可塑性が失われ、後工程におけるひび割れなどの膜欠陥が生じやすくなる。また、ピーク温度650℃を越える焼成工程を経ると、ペースト内に含まれる成分と電極材料との反応が生じ、変色などの問題が発生しやすくなる。このような理由により、ピーク温度150℃以下の乾燥工程、およびピーク温度650℃以下の焼成工程を経て、ガラス成分を焼結させることが望ましい。
【0063】
また、本実施の形態では1種類の沸点が100℃以上の溶剤のみを加える場合について述べたが、これに限らず、複数の、沸点が100℃以上300℃未満の溶剤を組み合わせて加えた場合でも、同様の効果が得られる。なお、沸点が100℃未満の溶剤を組み合わせた場合には、前述したように、減圧混練脱泡中での溶剤揮発により、塗布性やレベリング性の悪化の原因となるペーストの粘度上昇が生じるという問題が発生する。また、沸点が300℃以上の溶剤を組み合わせた場合には、乾燥工程での所要時間が長くなり、乾燥炉の炉長が長くなってしまうという問題が発生し、乾燥時間が長くなることで、異物などの混入確率も増大してしまう。このような理由により、溶剤の沸点は100℃以上300℃未満であることが望ましい。
【0064】
また、本実施の形態で述べた効果が得られる溶剤成分の一例としては、BCA、αテルピネオール、炭酸ジエチル、シュウ酸ジエチル、酢酸−nブチル、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルセルゾルブ、エチルセルゾルブ、ブチルセルゾルブ、n−ブタノール、イソブタノール、ベンジルアルコール、カルビトール、ブチルカルビトール、カルビトールアセテート、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジエチルカルビトール、トルエン、キシレンが挙げられる。
【0065】
以上述べたところから明らかなように、本発明に関連する発明は、たとえば、ガラス粉末を50〜95重量部と、バインダ、可塑剤、溶剤の内の少なくとも一つ以上からなる成分を1〜50重量部含み、気泡含有率が0.3vol%以下で、せん断速度4(1/s)の場合の粘度が350〜650(P)であることを特徴とする誘電体ペーストである。
【0066】
また、本発明に関連する発明は、たとえば、せん断速度0.1(1/s)の場合の粘度が500〜1000(1/s)であり、チキソインデックス(0.1(1/s)での粘度/100(1/s)での粘度)が5以下であることを特徴とする上記に記載の誘電体ペーストである。
【0067】
また、本発明に関連する発明は、たとえば、沸点が100℃以上300℃未満の少なくとも1種類以上の溶剤成分を1〜50重量部含めて混練することを特徴とする上記いずれかに記載の誘電体ペーストである。
【0068】
また、本発明に関連する発明は、たとえば、ガラス粉末、バインダ、可塑剤、溶剤の内の少なくとも一つ以上の成分を圧力が0.133kPa以上101.3kPa未満の雰囲気中で分散・混練処理することを特徴とする上記いずれかに記載の誘電体ペーストの製造方法である。
【0069】
また、本発明に関連する発明は、たとえば、ガラス粉末、バインダ、可塑剤、溶剤の内の少なくとも一つ以上の成分を分散・混練処理後に圧力が0.133kPa以上101.3kPa未満の雰囲気中で脱泡処理することを特徴とする上記のいずれかに記載の誘電体ペーストの製造方法である。
【0070】
また、本発明に関連する発明は、たとえば、攪拌機又は分散機により、誘電体ペーストにせん断力を与えながら脱泡処理することを特徴とする上記に記載の誘電体ペーストの製造方法である。
【0071】
また、本発明に関連する発明は、たとえば、気泡含有率が30%以下で、PbO、B、SiO、CaOの少なくとも一つ以上の成分を含有し、可視光域での透過率が70%以上で、膜として形成されていることを特徴とする誘電体である。
【0072】
また、本発明に関連する発明は、たとえば、上記に記載の誘電体ペーストを塗布して形成することを特徴とする上記に記載の誘電体である。
【0073】
また、本発明に関連する発明は、たとえば、ピーク温度150℃以下の乾燥工程後、ピーク温度650℃以下の焼成工程を経てガラス成分を焼結させることを特徴とする上記に記載の誘電体の製造方法である。
【0074】
また、本発明に関連する発明は、たとえば、放電空間を介して対向配置された一対の基板を有し、前面基板に形成された電極を被覆するよう上記に記載の誘電体を形成した構造をもつことを特徴とするプラズマディスプレイである。
【0075】
また、本発明は、たとえば、ピーク温度150℃以下の乾燥工程後、ピーク温度650℃以下の焼成工程を経てガラス成分を焼結させて誘電体を形成することを特徴とする上記に記載のプラズマディスプレイの製造方法である。
【0076】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、気泡含有量の少ない誘電体ペーストを利用するラズマディスプレイの製造方法を提供することができるという長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のPDPの構造断面図
【図2】本発明の実施の形態1における誘電体ペーストの粒度分布測定結果の説明図
【図3】本発明の実施の形態1における誘電体ペーストの乾燥温度プロファイルの説明図
【図4】本発明の実施の形態1における誘電体ペーストの焼成温度プロファイルの説明図
【図5】本発明の実施の形態1における耐圧試験方法の説明図
【符号の説明】
1 前面基板
2 背面基板
3 誘電体
4 走査電極
5 維持電極
6 保護層
7 アドレス電極
8 リブ
9 蛍光層
10 封入ガス
11 仮り背面版電極

Claims (3)

  1. (1)PbO、B 、SiO およびCaOの内の少なくとも一つ以上の成分を含有するガラス粉末、バインダ、可塑剤、および溶剤を含み、(2)前記ガラス粉末の重量部は、50〜95重量部であり、(3)前記溶剤の重量部は、1〜50重量部であり、(4)せん断速度4(1/s)の場合の粘度は、350〜650(P)であり、(5)せん断速度0.1(1/s)の場合の粘度は、500〜1000(P)であり、(6)(せん断速度0.1(1/s)での粘度)/(せん断速度100(1/s)での粘度)として定義されるチキソインデックスは、5以下である、誘電体ペーストを利用する、プラズマディスプレイの製造方法であって、
    前記ガラス粉末、前記バインダ、前記可塑剤、および前記溶剤の混練処理を行い、前記混練処理の後で前記溶剤をさらに5重量部加えて攪拌する脱泡処理を行って、前記誘電体ペーストを製造する、誘電体ペースト製造工程と、
    前記製造された誘電体ペーストを利用して、放電空間を介して背面基板と対向配置される前面基板に形成された電極を被覆するように誘電体を形成する、誘電体形成工程と、
    を備え、
    前記脱泡処理を、所定の雰囲気圧力の下で前記所定の雰囲気圧力に応じた所定の時間以上の時間をかけて行い、
    前記所定の雰囲気圧力は、93.3kPaであり、
    前記所定の雰囲気圧力に応じた前記所定の時間は、40分である、ラズマディスプレイの製造方法。
  2. (1)PbO、B 、SiO およびCaOの内の少なくとも一つ以上の成分を含有するガラス粉末、バインダ、可塑剤、および溶剤を含み、(2)前記ガラス粉末の重量部は、50〜95重量部であり、(3)前記溶剤の重量部は、1〜50重量部であり、(4)せん断速度4(1/s)の場合の粘度は、350〜650(P)であり、(5)せん断速度0.1(1/s)の場合の粘度は、500〜1000(P)であり、(6)(せん断速度0.1(1/s)での粘度)/(せん断速度100(1/s)での粘度)として定義されるチキソインデックスは、5以下である、誘電体ペーストを利用する、プラズマディスプレイの製造方法であって、
    前記ガラス粉末、前記バインダ、前記可塑剤、および前記溶剤の混練処理を行い、前記混練処理の後で前記溶剤をさらに5重量部加えて攪拌する脱泡処理を行って、前記誘電体ペーストを製造する、誘電体ペースト製造工程と、
    前記製造された誘電体ペーストを利用して、放電空間を介して背面基板と対向配置される前面基板に形成された電極を被覆するように誘電体を形成する、誘電体形成工程と、
    を備え、
    前記脱泡処理を、所定の雰囲気圧力の下で前記所定の雰囲気圧力に応じた所定の時間以上の時間をかけて行い、
    前記所定の雰囲気圧力は、13.3kPaであり、
    前記所定の雰囲気圧力に応じた前記所定の時間は、30分である、ラズマディスプレイの製造方法。
  3. (1)PbO、B 、SiO およびCaOの内の少なくとも一つ以上の成分を含有するガラス粉末、バインダ、可塑剤、および溶剤を含み、(2)前記ガラス粉末の重量部は、50〜95重量部であり、(3)前記溶剤の重量部は、1〜50重量部であり、(4)せん断速度4(1/s)の場合の粘度は、350〜650(P)であり、(5)せん断速度0.1(1/s)の場合の粘度は、500〜1000(P)であり、(6)(せん断速度0.1(1/s)での粘度)/(せん断速度100(1/s)での粘度)として定義されるチキソインデックスは、5以下である、誘電体ペーストを利用する、プラズマディスプレイの製造方法であって、
    前記ガラス粉末、前記バインダ、前記可塑剤、および前記溶剤の混練処理を行い、前記混練処理の後で前記溶剤をさらに5重量部加えて攪拌する脱泡処理を行って、前記誘電体ペーストを製造する、誘電体ペースト製造工程と、
    前記製造された誘電体ペーストを利用して、放電空間を介して背面基板と対向配置される前面基板に形成された電極を被覆するように誘電体を形成する、誘電体形成工程と、
    を備え、
    前記脱泡処理を、所定の雰囲気圧力の下で前記所定の雰囲気圧力に応じた所定の時間以上の時間をかけて行い、
    前記所定の雰囲気圧力は、0.1kPaであり、
    前記所定の雰囲気圧力に応じた前記所定の時間は、20分である、ラズマディスプレイの製造方法
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