JP4017715B2 - 眼鏡枠の智用プライヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼鏡枠のテンプルの開き具合を調整するためのプライヤ、とくに智の部分を挟持するプライヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
既製品である眼鏡枠の殆どは、個々の使用者に応じて形状修正を行う必要がある。そのために、数十種もの専用プライヤが市販されている。これらのプライヤは眼鏡枠の特定部分を確実に挟持するために、くちばしの部分に例えば溝や凹部を備えている。さらに、一方あるいは両方のくちばしにプラスチック製の保護ブロックをビス止めして、挟持部分やその周辺部分の疵付きを防ぐようにしたプライヤもある。
【0003】
テンプルの開き具合を調整する際には、テンプルとリムとの間の智のコーナー角度を大小に変更して行う。この場合に、智の形状や構造、あるいはリム側の構造の違いによって、プライヤでリムロックごとリムを挟持する場合と、智のリム側の基部を挟持する場合とがある。リムの下半周縁が省略されたツーポイントフレーム型の眼鏡枠の場合には、リム部分を挟持するのが難しいため、L字形に曲がる智の基部を一方のプライヤで挟持し、智の腕部を他方のプライヤで挟持して、腕部の基部に対する曲がり具合を調整している。このとき使用されるプライヤは、くちばしの一方に角棒状の保護ブロックが固定してあって、調整時の智の表面に挟持疵が付くのを避けている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように保護ブロックを備えた智用プライヤは、智やリムの表面の疵付きを確実に防止できるが、保護ブロックの幅が10mm前後と大きいため、調整作業が幾分行いにくくなる。智の基部の長さが小さいため、2個のプライヤで腕部と基部とを挟持すると、両者のくちばしどうしが接近し、腕部を曲げ操作する場合に、くちばしと保護ブロックどうしが接当干渉するからである。レンズの周縁厚みが大きい場合には、基部を挟む保護ブロックがレンズの周縁に接当して、基部を確りと挟持できないこともある。保護ブロックの幅寸法を小さくするのは容易であるが、そうすると保護ブロックの強度が低下し、使用途中にひび割れするなど十分な耐久性が得られない。
【0005】
本発明の目的は、智の基部を挟持してテンプルの開き具合を調整するのに好適な眼鏡枠の智用プライヤを提供することにある。
本発明の他の目的は、一方のくちばしに保護ブロックが装着してある智用プライヤであるにも拘らず、智の基部と腕部とを挟持したプライヤどうしの接当干渉や、保護ブロックのレンズ周縁との接当干渉を解消して、テンプルの開き具合の調整を確実にしかも容易に行えるようにすることにある。
本発明の更に他の目的は、挟持面の面積が小さいにもかかわらず、十分な強度を備えていて、長期使用時にもひび割れや部分的な欠損を生じることがなく、耐久性に優れた保護ブロックを備えた、眼鏡枠の智用プライヤを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の智用プライヤは、第1・第2の一対のくちばし4A・4Bの片方に、プラスチック製の棒状の保護ブロック10が装着してある。第1くちばし4Aは、先すぼまり状に形成されて、第2くちばし4Bとの対向面に平坦な第1挟持面5が設けてある。第2くちばし4Bは、第1挟持面5と対向する平坦な取付面6を含んで偏平棒状に形成する。保護ブロック10は、その一側に設けた取付溝11を第2くちばし4Bに取付面6の側から外嵌接合し、ビス17で第2くちばし4Bに締結固定する。保護ブロック10の他側に、第1挟持面5と対向する平坦で幅狭の第2挟持面13を設ける。第2挟持面13の前後両側のそれぞれに逃げ面14・14を設けて、第1くちばし4Aと対向する挟み部12を断面台形状に形成する。
【0007】
第2挟持面13の前後幅は、第1くちばし4Aの先端の前後幅よりも大きく、第2くちばし4Bの先端の前後幅よりも小さく設定する。第2くちばし4Bに設けた挿通孔7に差し込んだビス17を取付溝11の溝底にねじ込むことにより、保護ブロック10を第2くちばし4Bに固定する。
【0008】
【作用】
本発明プライヤの使用時には、図5に示すように保護ブロック10が智22の外表面に接当する状態で、基部24を一対のくちばし4A・4Bで挟持する。この挟持状態においては、腕部25を挟持する別のプライヤのくちばし31に対して一方の逃げ面14が隣接しているので、腕部25を曲げ操作しても、別のプライヤのくちばし31が保護ブロック10に接当干渉することはない。他方の逃げ面14はレンズ21の周縁厚みが大きい場合に、保護ブロック10がレンズ21と接当するのを避けるのに役立つ。
【0009】
保護ブロック10に設けた第2挟持面13の前後幅が、第1くちばし4Aの先端幅と同じかこれより小さいと、たとえ保護ブロック10を高機能のプラスチック材で形成したとしても、十分な強度を得難く、第2挟持面13が滑りやすくなる。逆に、第2挟持面13の幅が第2くちばし4Bの先端幅より大きいと、第2挟持面4Bがレンズ21の周縁に接当するうえ、調整時に腕部25を挟む他のプライヤのくちばし31が第2挟持面13と接当するおそれがある。こうした理由から、第2挟持面13の前後幅は、第1・第2の両くちばし4A・4Bの先端幅との関係で寸法設定する。
【0010】
【実施例】
図1ないし図5は本発明に係る智用プライヤの実施例を示す。図2において智用のプライヤは、左右一対の挟み腕1a・1bをX字形に組み、交差部分を軸2で止め付けて形成してあり、交差部分の一側に外凸状に湾曲する柄3を設け、他側に第1・第2の一対のくちばし4A・4Bを設けてある。第1くちばし4Aは、基部から突端に向かって先すぼまりに形成し、第2くちばし4Bとの対向面に平坦な第1挟持面5が設けられている。
【0011】
第2くちばし4Bは、第1くちばし4Aと対向する側に平坦な取付面6を有し、全体が偏平棒状に形成してある。第2くちばし4Bの前後面は平行に形成するが、取付面6と対向する外側面はくちばし先端へ向かって先すぼまり状にわずかに傾斜している。この外側面の基部寄りには、図3に示すごとく、後述するビス17用の挿通孔7とビス頭部を受け入れるビス座8とが段付きの貫通穴状に形成してある。第2くちばし4Bの取付面6の側には、第1くちばし4Aと協同して智22の基部24(図5参照)を挟持する保護ブロック10が付設される。
【0012】
図3において保護ブロック10は、ポリアセタールを素材とする棒状のプラスチックブロックからなり、その一側に断面コ字形の取付溝11を長手方向に沿って設け、他側に挟み部12を長手方向に沿って設ける。取付溝11側の先端隅部は斜めに切除してある。挟み部12は,平坦で幅狭の第2挟持面13と、挟持面13に連続する前後一対の平坦な傾斜状の逃げ面14・14とで、断面形状を等脚台形状に形成する。取付溝11の溝底の基端寄りには、ビス17用のねじ下穴15が第2挟持面13に達する状態で形成してある。
【0013】
第2挟持面13の前後幅は、第1・第2の両くちばし4A・4Bの前後幅との関係で設定する。詳しくは、第2挟持面13の前後幅を、第1くちばし4Aの先端の前後幅(約2mm)よりも大きく、第2くちばし4Bの先端の前後幅(約6mm)よりも小さく寸法設定する。この実施例では、保護ブロック10の前後厚み寸法を9mmとするとき、第2挟持面13の前後幅を3mmとした。両逃げ面14・14の第2挟持面13に対する傾斜角度は45度とした。
【0014】
図4において保護ブロック10は、取付溝11の溝底が取付面6に接合する状態で第2くちばし4Bに外嵌装着し、さらに第2くちばし4Bの外面側から挿通孔7に差し込んだビス17をねじ下穴15にねじ込むことによって、第2くちばし4Bと一体化する。この装着状態において、第1・第2の両挟持面5・13が図2に示すごとく左右に対向する。柄3を握り締めた状態では、第1くちばし4Aの先端と保護ブロック10の先端とのみが接当し、両者4A・10の間隔は先端からくちばし基部に近付くに従って徐々に拡がる。
【0015】
図5は智用プライヤの使用状態を示している。対象としてツーポイントフレーム型の眼鏡枠を例示しており、符号20はリム、21はレンズ、22は一端がリム20にろう付けられた智、23は智22に対して屈折自在に連結されたテンプルである。智22はリム20側の基部24と、テンプル23側の腕部25とでL字状に屈曲している。
【0016】
テンプル23の開き具合を調整する場合には、上記の実施例で説明したプライヤで基部24を挟持固定し、他種のプライヤのくちばし31で腕部25を挟持して、腕部25を内外いずれかへ曲げる。詳しくは、保護ブロック10を基部24の外表面に当てがいながら、両くちばし4A・4Bで基部24を挟持固定する。この挟持状態においては、腕部25を挟持するプライヤのくちばし31に対して、保護ブロック10の一方の逃げ面14が隣接するので、くちばし31と保護ブロック10との間隔を稼ぐことができ、腕部25を拡開状に曲げ変形する場合に、くちばし31が保護ブロック10と接当干渉するのを防止できる。また、他方の逃げ面14は基部24から遠ざかるに従って徐々にリム20から離れるので、レンズ21の周縁厚みが大きい場合にも、レンズ21と接当することなく基部24を挟み固定できる。なお、本発明に係る2個のプライヤで基部24と腕部25とのそれぞれを挟持して調整する場合にも、同様の接当回避作用が得られる。
【0017】
上記の実施例では、挟み部12の断面形状を等脚台形状に形成したが、一対の逃げ面14の傾斜度合は異なっていてもよい。両逃げ面14は緩やかに湾曲する凸曲面や凹曲面で形成することができる。必要があれば、ビス17を第2挟持面13の側からねじ込んでもよい。
【0018】
【発明の効果】
本発明の智用プライヤでは、保護ブロック10の挟み部12を断面台形状に形成して、第1くちばし4Aと対向する第2挟持面13の両側に、逃げ面14・14を設けてあるので、智22の腕部25と基部24とをプライヤで挟持してテンプル23の開き具合を調整する場合に、隣接するプライヤどうしのくちばし31と保護ブロック10とが接当干渉するのを防止できる。また、レンズ21の周縁厚みが分厚い場合にも、保護ブロック10がレンズ21に接当するのを防止して、基部24を確実に挟持固定できる。従って、テンプル23の開き具合の調整を確実にしかも容易に行え、とくにツーポイントフレーム型の眼鏡枠のテンプル調整に好適なプライヤが得られる。挟み部12を第2挟持面13と一対の逃げ面14・14とで断面台形状に形成し、第2挟持面13の前後幅はできるだけ幅狭にしながら、保護ブロック10の構造強度の低下を避けるようにしたので、長期使用時にもプラスチック製の保護ブロック10が割れたり欠損するのをよく防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プライヤのつかみ部の斜視図である。
【図2】プライヤの一部破断正面図である。
【図3】保護ブロックと第2くちばしを分離した状態での斜視図である。
【図4】図2におけるA−A線断面図である。
【図5】プライヤの使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
4A 第1くちばし
4B 第2くちばし
5 第1くちばしの第1挟持面
6 第2くちばしの取付面
7 挿通孔
10 保護ブロック
11 取付溝
12 挟み部
13 第2挟持面
14 逃げ面
17 ビス
Claims (2)
- 第1・第2の一対のくちばし4A・4Bの片方に、プラスチック製の棒状の保護ブロック10が装着してある智用プライヤであって、
第1くちばし4Aは、先すぼまり状に形成されて、第2くちばし4Bとの対向面に平坦な第1挟持面5が設けられており、
第2くちばし4Bは、第1挟持面5と対向する平坦な取付面6を含んで偏平棒状に形成されており、
保護ブロック10は、その一側に設けた取付溝11が、第2くちばし4Bに取付面6の側から外嵌接合されて、ビス17で第2くちばし4Bに締結固定されており、
保護ブロック10の他側に、第1挟持面5と対向する平坦で幅狭の第2挟持面13が設けられており、
第2挟持面13の前後両側のそれぞれに逃げ面14・14を設けて、第1くちばし4Aと対向する挟み部12が、断面台形状に形成されていることを特徴とする眼鏡枠の智用プライヤ。 - 第2挟持面13の前後幅が、第1くちばし4Aの先端の前後幅よりも大きくて、第2くちばし4Bの先端の前後幅よりも小さく設定されており、
第2くちばし4Bに設けた挿通孔7に差し込んだビス17を取付溝11の溝底にねじ込むことにより、保護ブロック10が第2くちばし4Bに固定されている請求項1記載の眼鏡枠の智用プライヤ。
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