JP4016901B2 - 絶縁ゲート型半導体装置および絶縁ゲート型半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、シリコンカーバイド(SiC)を主たる半導体材料として用いた絶縁ゲート型の半導体装置に関し、特に、パワーデバイスに用いられる半導体装置の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パワーデバイスとして用いられる半導体装置の主たる半導体材料は、従来シリコン(Si)が採用されている。しかし、抵抗値の低減、冷却の問題など材料に起因する限界から、種々の新しい材料が検討されている。その中で、シリコンカーバイト(SiC)は、最大電界強度(Em)がシリコンと比べて1桁以上大きいことから、次世代のパワーデバイスの主たる材料として注目を集めている。すなわち、最大電界強度(Em)と、導通時の抵抗Ron、またスイッチング速度tf は以下の関係にあるため、最大電界強度(Em)が1桁以上大きくなることにより、性能の大幅な向上が図られるのである。
【0003】
先ず、MOSFETにおいて、導通時の抵抗Ronについては、以下のような関係が近似的に成立する。
【0004】
【数1】
【0005】
また、スイッチング速度tf においては、以下のような関係が近似的に成り立つ。
【0006】
【数2】
【0007】
図7に示す従来のパワーMOSFETの構造を基に説明すると、式(1)は、導通時の素子の主な抵抗がドレイン層11の抵抗に等しいと考えたものである。
【0008】
すなわち、従来のMOSFETにおいては、ドレイン電極12が裏面に接続されたn+ 型の半導体基板5の表面にエピタキシャル成長させたn- 型のドレイン層11が形成されており、そのドレイン層11の表面にp型のベース層8、さらにそのベース層8の内部にn+ 型のソース層6が形成されている。そして、ベース層8の表面からソース層6の表面に亘ってソース電極10が接続されており、さらに、ソース層6の表面からベース層8を経てドレイン層11の表面に亘ってゲート絶縁膜2を介してゲート電極1が設置されている。このため、ゲート電極1に高電位を印加すると、ベース層8の表面にチャネルが形成され、このチャネルを通ってソース層6からドレイン層11、さらに、基板5に電流が流れる。そして、この主たる経路となるドレイン層11の抵抗に基づき近似した結果が式(1)に表されている。この仮定は、300V以下の耐圧の素子においては、チャネルの抵抗が大きくなるため、その影響を加味する必要があるが、300V以上の耐圧をもった素子ではほぼ正しい。すなわち、高耐圧の素子においては、最大電界強度(Em)が大きくなることにより、導通時の抵抗Ronが急激に低下するのである。このため、シリコンカーバイトを主たる半導体材料として用いたパワーデバイスにおいては、シリコン製のパワーデバイスと比べて抵抗を非常に小さくすることができるので、同じ電流密度を確保する素子としては、素子面積を大幅に小さくすることができる。従って、従来のパワーデバイスと比べて、小型軽量で、さらに低価格のパワーデバイスを実現できることとなる。なお、近似式(1)によると最大電界強度(Em)が1桁大きくなると、3桁程度の導通時の抵抗Ronの減少が予想されるが、シリコンカーバイト中の電子移動度が小さいため、約2桁程度の減少となる。従って、シリコンカーバイトを用いることにより、素子抵抗をシリコンの場合の1/10以下とすることができる。
【0009】
さらに、シリコンカーバイトは、シリコンと比較し、バンドギャップがエネルギー差が2倍以上あるため、耐圧性能などへの温度の影響が非常に小さい。従って、シリコンカーバイトを主たる材料としたパワーデバイスにおいては、従来のパワーデバイスでは必要であった冷却を考慮する必要がない。このため、シリコンカーバイトによるパワーデバイスを用いることにより装置の小型化、低価格化を容易に実現することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、シリコンカーバイトを用いたパワーデバイスは、従来のシリコンによるパワーデバイスに比べ多くの長所を有しており、将来有望な半導体材料である。しかしながら、シリコンカーバイト中のキャリアの移動度が低いをいう問題がある。特に、正孔の移動度が低く、p領域の抵抗が大きくなる傾向がある。
【0011】
このため、下記するように、電圧阻止能力が低下し、素子破壊に至ることが考えられる。
【0012】
すなわち、シリコンカーバイトを半導体材料として採用した装置においても、シリコンと同様にドナー、アクセプタを導入することによりp型、n型の伝導領域や、pn接合面を形成している。そして、シリコンカーバイトに対しては、アクセプタとしてBやAlを導入することによりp型の拡散領域を形成できることが知られている。しかし、これらのアクセプタレベルが0.2eVとかなり深く、室温においては、導入されたアクセプタの内、熱的に活性化してキャリアを出しているのは数パーセント以下である。さらに、シリコンカーバイト中の正孔の移動度は数10程度と低い。従って、シリコンと比較すると、同一のアクセプタ濃度では、シリコンカーバイトの方がはるかに抵抗が高くなる。
【0013】
一方、図7に示すMOSFETにおいて、p型ベース層8のアクセプタ濃度は、チャネルを形成するMOS反転層の閾値が一定となるように設計される。通常のシリコンのMOSFETでは1016〜1017cm-3程度に設定されるが、これ以上にアクセプタ濃度を高くすると閾値が増大し容易に駆動できなくなることため、自由にアクセプタ濃度を大きくすることは不可能である。従って、シリコンカーバイトを材料とするMOSFETにおいては、p型ベースの抵抗値が高くなってしまう。
【0014】
このように抵抗がベース層は、動特性の悪化をもたらすこととなる。すなわち、素子が導通状態から非導通状態に移行するときは、外部電圧が素子のソース10・ドレイン12間に除々に加わることとなる。この電圧は、p型ベース層8とn型ベース層11との間のpn接合に印加され、それぞれの層に空乏層20、19が広がる。そして、この空乏層19、20は、電圧の上昇と共に広がり、イオン化したドナー18およびイオン化したアクセプタ19を残して、この領域に位置したキャリアを排除していく。そして、正孔電流16はソース電極10へ、また、電子電流15はドレイン電極12側へ流れる。このため、これらのキャリアがpn接合を充電する充電電流としてソース電極10へも流れ込む。そして、この充電電流によりソース層6、ベース層8およびドレイン層11により構成されるpnpトランジスタが導通状態となり、大きな電流が素子に流れ、電圧阻止能力を失い素子破壊に至ることとなる。
【0015】
図8に、このターンオフ時の状態を説明するための等価回路を示してある。図7に示すMOSFETにおいては、外部電源21に負荷インダクタンス24を介してソース層6、ベース層8およびドレイン層11により構成されるnpnトランジスタ14が接続された形となっている。そして、このトランジスタ14のベースとエミッタとの間にはベース層8の抵抗成分23が、また、ベースとコレクタとの間には、空乏層19および20の接合容量22が接続された形となっている。従って、接合容量22を充電する充電電流が抵抗成分23に流れると、この抵抗成分23の電圧降下により、トランジスタ14のベース電位が上昇し、トランジスタ14のコレクタ・エミッタ間が導通状態となるのである。この現象はラッチアップと呼ばれ、素子のターンオフ時に破壊の原因となることがある。
【0016】
このように、シリコンカーバイトを主たる材料とする半導体装置においては、導通時の抵抗が低く、また、耐熱性も高いなど多くの利点を有しながら、MOSFETの閾値を一定に保つなどの条件からターンオフ時の耐圧を高くとることが出来ないという問題がある。
【0017】
そこで、本発明においては、上記の問題点に鑑みて、シリコンカーバイトを主たる材料として用いる絶縁ゲート型半導体装置のベース層の抵抗を低減することによりターンオフ時の耐圧性能の保持された半導体装置を実現することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明においては、ベース領域の底部に局部的に濃度の高い接合領域を形成するようにしている。すなわち、シリコンカーバイトを主たる材料とする半導体装置であって、第2 導電型の第1 のドレイン層( 4 ) と、該第1 のドレイン層の主面側に選択的に形成した第1 導電型の埋め込み高濃度領域( 9 ) と、前記第1 のドレイン層及び前記埋め込み高濃度領域の上に形成し、前記第1 のドレイン層の不純物濃度よりも低いエピタキシャル成長により形成された第2 導電型の第2 のドレイン層( 3 ) と、前記第2 のドレイン層の主面にゲート絶縁膜( 2 ) を介して形成したゲート電極( 1 ) と、前記第2のドレイン層内で前記埋め込み高濃度領域に達する深さで形成した第1 導電型のベース領域( 8 ) と、前記ベース領域内で主面側に形成した第2 導電型のソース領域( 6 ) と、前記ベース領域内で当該ベース領域の不純物濃度よりも高く、前記ソース領域と前記埋め込み高濃度領域とに接続する第1 導電型のウェル領域( 7 ) と、前記ソース領域及び前記ウェル領域に導電接触するソース電極( 1 0 ) とを有するようにしている。
【0019】
シリコンカーバイトを主たる材料とする半導体装置の製造方法であって、第2導電型の第1 のドレイン層の主面側に選択的に第1導電型の高濃度ベース領域を形成する工程と、前記第1 のドレイン層および前記高濃度ベース領域の上に第2導電型の第2 のドレイン層をエピタキシャル成長により前記第1 のドレイン層の不純物濃度よりも低い不純物濃度で形成する工程と、前記第2 のドレイン層内に選択的に前記高濃度ベース領域に達する深さで第1 導電型のベース領域を形成する工程と、前記ベース領域内に選択的にその表面からイオン注入により第2導電型のソース領域を形成する工程と、前記ソース領域と前記第2 のドレイン層との間の前記ベース領域表面上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、前記ベース領域内に選択的に当該ベース領域の不純物濃度よりも高く、前記ソース領域と前記埋め込み高濃度領域とに接続する第1 導電型のウェル領域を形成する工程と、前記ソース領域及び前記ウェル領域に導電接触するソース電極を形成する工程とを有することが有効である。
【0020】
【0021】
【0022】
【作用】
シリコンカーバイトを主たる材料とする絶縁ゲート型半導体装置において問題となる点は、上述したようにチャネルを形成する閾値を一定に保つため、ベース領域の抵抗を低くすることができないことである。従って、ベース領域底部の不純物濃度の高い埋め込み高濃度領域及び高濃度のウェル領域を形成することにより、チャネルの形成されるベース領域表面の不純物濃度を変えずに寄生バイポーラトランジスタのベースの抵抗の低減を図ることができる。
【0023】
また、第2のドレイン層の不純物濃度を低下させることにより、ターンオフ時に流れる充電電流の低減が図られ、この充電電流による絶縁ゲート型半導体装置に寄生するトランジスタの導通を抑制することが可能となる。
【0024】
さらに、ベース領域内部に高濃度のウェル領域を形成することにより、一層ベース領域の抵抗値を下げることが可能であり、ターンオフ時の耐圧性能の向上を図ることができる。
【0025】
【0026】
【0027】
【実施例】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【0028】
〔実施例1〕
図1に本実施例に係る絶縁ゲート型半導体装置の構造を示してある。本装置はシリコンカーバイトを主たる半導体材料として構成されており、先ず、ドレイン電極12が裏面に接続されるn+ 型の半導体基板5の表面にエピタキシャル成長させたn- 型の第1のドレイン層4が形成されている。そして、この第1のドレイン層4上にエピタキシャル成長によりn- 型の第2のドレイン層3が形成されている。この第2のドレイン層3のドナー濃度は、第1のドレイン層4より低くなるように調整されており、さらに、第2のドレイン層の厚さも1μm前後とできるだけ薄く形成されている。また、第1のドレイン層4上には、高濃度であるp+ 型の埋め込み層9が形成されている。そして、この埋め込み層9の上部に、第2のドレイン層3を用いて形成されたp型のベース層8が構成されている。このp型のベース層8内の表面部分には、n+ 型のソース層6が、また、ベース層8の中心部分にはp+ 型のウェル7が形成されている。そして、ソース層6からウェル7にかけてソース電極10が接続されており、さらに、ソース層6の端部からベース層8の表面、第2のドレイン層3の表面に亘って、ゲート酸化膜2を介してゲート電極が設置されている。なお、本例のMOSFETの導通状態は、先に説明した従来のMOSFETと同様につき説明を省略する。
【0029】
このような構成の本装置において、ターンオフ時にソース電極10とドレイン電極12に電位差が生ずると、ベース層8と第2のドレイン層3とのpn接合部および埋め込み層9と第1のドレイン層4とのpn接合部に空乏層が形成される。そして、主に埋め込み層9と第1のドレイン層4とのpn接合部から充電電流がソース電極10に向かって流れる。これは、流れる電流の総量が空乏層中のイオン化したドナーまたはアクセプタの総量に等しいためである。電圧Vが印加されているときの空乏層中のイオンの総量は以下の式により近似される。
【0030】
【数3】
【0031】
ここで、ρはイオン密度であり、Nはイオンの総量である。つまり、イオン密度が小さいほどイオンの総量も少なく、充電電流も少なくなるのである。本装置においては、ベース層8のアクセプタ濃度は、埋め込み層9に比べて低く、さらに、第2のドレイン層3のドナー濃度は、第1のドレイン層4のドナー濃度に比べて低い。従って、ベース層8と第2のドレイン層3とのpn接合部に広がる空乏層からの充電電流は、埋め込み層9と第1のドレイン層4とのpn接合部に空乏層からの充電電流に比べて非常に小さくなる。
【0032】
このように、本装置においては、埋め込み層9と第1のドレイン層4とのpn接合部から主に充電電流が流れ、その充電電流の多くが流れる埋め込み層9は高濃度の拡散層であるため、抵抗値は低くなっている。さらに、本装置においては、ベース層8の内部にアクセプタ濃度の高いウェル7が形成されているので、埋め込み層9からの充電電流がソース電極10に流れる経路全体において抵抗値が低くなるように設計されている。従って、充電電流がベース層を流れることに起因する電圧降下を低減することが可能となり、ソース層10、ベース層8およびドレイン層3、4により構成される寄生トランジスタを導通状態とするような不具合を避けることができる。従って、本装置においては、ターンオフ時に寄生トランジスタがオンとなり、過剰の電流が流れることによる素子破壊発生を防止することができる。
【0033】
このように、本装置においては、チャネル形成の閾値には影響を与えずにターンオフ時の電流を抵抗の低い高濃度の拡散層を経由して流すことにより、ベース層における電圧降下を抑制することができる。従って、最大電界強度(Em)が大きく、導通時の抵抗Ronおよびスイッチング速度tf の大幅な改善が見込まれるシリコンカーバイトを半導体材料として用いながら、問題であったターンオフ時の耐圧性能を向上することが可能となる。
【0034】
不純物の拡散係数の小さいシリコンカーバイトを用いて本例のような半導体装置を形成するうえで、問題となる点に、高濃度の埋め込み型の拡散層を形成することがある。そして、本例の装置においては、この点を2層のドレイン層、すなわち、第1のドレイン層3および第2のドレイン層4を順次形成することにより、高濃度の埋め込み型の拡散層の形成を容易としている。
【0035】
図2に、本例の装置を製造する工程の一例を示してある。先ず、図2(a)に示すように、n+ 型の半導体基板5上にエビタキシャル成長させたn- 型の第1のドレイン層4に高濃度で低抵抗のp+ 型層9を部分的に拡散などの方法で形成する。次に、図2(b)に示すように、この第1のドレイン層4上にn- 型の第2のドレイン層3をエピタキシャル成長により形成する。このように、ドレイン層を2層に分けて形成することにより、深い高濃度の埋め込み層を容易に形成することができる。なお、第2のドレイン層3は、上述したように、なるべく薄い方が良く、本例においては、約1μm程度としてある。これは、この層厚が後述するp型ベース層8から空乏層が広がる範囲となるため、層厚が少ない程、空乏層領域を限定することが可能であり、充電電流の減少を図ることができるからである。
【0036】
次に、図2(c)に示すように、上記にて形成したシリコンカーバイト製の半導体基板上にゲート絶縁膜2およびゲート電極1を形成する。そして、図2(d)に示すように、このゲート電極1をマスクとしてp型のベース層8およびn+ 型のソース層6を形成する。さらに、ソース層6およびベース層8に接続されるソース電極10と、埋め込み層9との間の抵抗を下げるために、ベース層8内部にp+ 型のウェル領域7を形成する。また、ベース層8と第2のドレイン層3との間に広がる空乏層からの充電電流を低減するために、第2のドレイン層3の不純物濃度を第1のドレイン層4より低下させた方が良いことは、上記にて説明した通りである。
【0037】
〔参考例〕
図3に本参考例に係る絶縁ゲート型半導体装置の構造を示してある。本装置も実施例1と同様に、シリコンカーバイトを主たる半導体材料として構成されている。また、ドレイン電極12が裏面に接続されるn+ 型の半導体基板5の表面にエピタキシャル成長させたn- 型のドレイン層4が形成されている点も実施例1と同様である。本例の装置において着目すべき点は、このドレイン層4の上に高濃度であるp+ 型のベース層30が形成されていることである。さらに、このベース層30の表面に形成されたn+ 型のソース層6からドレイン層4に亘って、n型のチャネル形成層31が形成されていることである。そして、このチャネル形成層31の上にゲート酸化膜2を介してゲート電極が設置されている。
【0038】
チャネルが形成される部分を拡大して示した図4に基づき、本装置の動作を説明する。本例の装置は、チャネル形成層31を用いて、いわゆる接合型電界効果トランジスタ(JFET)を形成したものである。先ず、ゲート電極4にソース電極10に対し正または小さな値の負の電位が制御電源28から印加されている場合は、チャネル形成層31の表面からベース層30に向かって形成される空乏層36の広がりは小さい。従って、ソース層6からの電子は、この空乏層36と、ベース層30から広がる空乏層35との間の経路37を通ってドレイン層4へ流れる。
【0039】
ゲート電極4に印加される負の電位を大きくしていくと、空乏層36はベース層30に向かって広がって行き電子の通路は狭くなる。そして、ついに、ベース層30から広がる空乏層35と接続するピンチオフの状態となると、電子の通路はなくなるので、電子は流れなくなり、本装置はターンオフの状態となる。オフ状態で、ドレイン電極12とソース電極10との電位差が大きくなると、ベース層30から空乏層35が広がり充電電流が流れ、従来の装置では問題となっている。しかし、本例の装置においては、ベース層30を高濃度に設定してあるので、充電電流によりベース層30の電位が高くなることはなく、ソース層6、ベース層30およびドレイン層4により構成される寄生トランジスタがオンとなることはない。従って、ターンオフ時のラッチアップを防止することができる。
【0040】
この素子のオン・オフは、上述したように、n型の領域であるチャネル形成層31に広がる空乏層36により制御される。従って、本装置のゲート電位の閾値Vtは、チャネル形成層31の厚さ、ドナー濃度によって決定される。例えば、閾値Vtとして空乏層36がチャネル形成層31の厚さだけ広がった値を採用すると、Vtは以下の式で表される。
【0041】
【数4】
【0042】
ここで、qは素電荷、Ndはチャネル形成層31のドナー濃度、Wはチャネル形成層31の厚さ、Eiはゲート絶縁膜2の誘電率、Esは半導体の誘電率を示す。なお、電界電荷は無視している。この式を用いて、例えば、d=1000Å(SiO2 )、W=0.1μm、Nd=1016cm-3とすると、閾値Vtとして略1.2Vという値を得ることができ、シリコンを用いた半導体装置と同様に取り扱うことができることが判る。なお、本装置がオフするに従ってドレイン電極側の電圧が上昇し、ベース層30からの空乏層35がさらに広がることから、閾値Vtは上記の値より小さくなる。
【0043】
図5および6に、本例の装置を製造する工程の一例を示してある。先ず、図5(a)に示すように、n+ 型の半導体基板5上にエビタキシャル成長させたn- 型のドレイン層4が形成されたSiC基板を用いる。そして、このドレイン層4の表面に、フォトレジスト32によりパターンを形成し、その上からp型不純物イオン33を注入し、高濃度で低抵抗のp+ 型層30を形成するためのp型不純物を導入する。勿論、このp+ 型層30をなるべく低抵抗とするために、その他の方法、例えば、気相拡散あるいはエピタキシャル成長などによって形成しても良い。
【0044】
次に、図5(b)に示すように、イオン注入で導入した不純物を熱処理により活性化しp+ 型層30を形成する。そして、図5(c)に示すように、p+ 型層30が形成された上に、さらにn領域31を一様にエピタキシャル成長により形成する。このn領域によりチャネル形成層31が構成されるが、不純物濃度は1015〜1018cm-3程度、厚さは0.1〜数μm程度が実現しうる値である。
【0045】
次に、図6(a)に示すように、ゲート絶縁膜2およびゲート電極1を形成して、パターニングを行う。SiCは熱酸化することによりSiO2 が成長できるので、絶縁膜2としてはこのSiO2 を用いることが望ましい。そして、図6(b)に示すように、ゲート電極1をマスクとして、イオン注入法あるいは気相拡散法などによりn+ 型のソース層6を形成する。その後、図6(c)に示すように、ソース層6を部分的に掘って、ベース層30を露出させ、ソース電極との接合が可能なようにしている。勿論、図6(b)に示す工程において、ソース層6の一部に表面からp+ 型の拡散を形成し、ベース層30と接合させることによっても、ソース電極とベース層30を接続することも可能である。このようにして形成された半導体装置に、電極を形成して本例の装置は完成する。
【0046】
なお、上記実施例1において、半導体基板の裏面にドレイン電極が設置され、表面にソース電極が設置された縦型のパワーデバイスに基づき説明したが、同じ面にドレイン電極およびソース電極が設置される横型のパワーデバイスにおいても、上記実施例と同様の構成により低導通抵抗および高速スイッチングが可能で、ターンオフ時の耐圧性能の高いデバイスを実現することができる。そして、装置の小型化、軽量化など、近年パワーデバイスに要求される種々の性能を備えたものを実現することが可能となる。また、上記の実施例は、MOSFETに基づき説明してきたが、本発明に係る技術は、IGBT、MCTなどのすべての絶縁ゲート型半導体装置に適用可能なものである。
【0047】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る絶縁ゲート型半導体装置においては、最大電界強度(Em)が大きく、導通時の抵抗Ronおよびスイッチング速度tf の大幅な改善が見込まれるうえ、耐熱特性の良好なシリコンカーバイトを、半導体材料として採用するうえで問題となっていたターンオフ時の耐圧性能を、埋め込み高濃度領域及び高濃度のウェル領域を形成することにより解決している。さらに、本発明に係る半導体装置においては、拡散係数の低いシリコンカーバイトを材料として用いる際に問題となる深い拡散層を容易に形成可能な構成を採用しており、安価な装置を提供することが可能である。
【0048】
【0049】
このように、本発明に係る構成の半導体装置を用いることにより、シリコンカーバイトの特性を活かしたパワーデバイスを実現することが可能となり、高性能で小型、軽量の絶縁ゲート型半導体装置を提供することが可能となる。そして、本発明に係るパワーデバイスを用いることにより、各種装置の小型、軽量、さらに省電力化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る絶縁ゲート型半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す絶縁ゲート型半導体装置の製造過程を示す断面図である。
【図3】本発明の参考例に係る絶縁ゲート型半導体装置の構成を示す断面図である。
【図4】図3に示す絶縁ゲート型半導体装置のチャネル形成層に係る部分を拡大して示す断面図である。
【図5】図3に示す絶縁ゲート型半導体装置の製造過程の前半を示す断面図である。
【図6】図3に示す絶縁ゲート型半導体装置の製造過程の後半を示す断面図である。
【図7】従来の絶縁ゲート型半導体装置の動作を説明するための概略構成図である。
【図8】図7に示す絶縁ゲート型半導体装置の等価回路を示す回路図である。
【符号の説明】
1 ・・・ ゲート電極2 ・・・ ゲート絶縁膜3 ・・・ n- 型の第2のドレイン層4 ・・・ n- 型の第1のドレイン層5 ・・・ n+ 型の半導体基板6 ・・・ n+ 型のソース層7 ・・・ p+ 型のウェル領域8 ・・・ p型のベース層9 ・・・ p+ 型の埋め込み層10・・・ ソース電極11・・・ ドレイン層12・・・ ドレイン電極14・・・ npnトランジスタ15・・・ 電子電流16・・・ 正孔電流17・・・ イオン化したドナー18・・・ イオン化したアクセプタ19、20・・・ 空乏層30・・・ p+ 型のベース層31・・・ n型のチャネル形成層32・・・フォトレジスト33・・・ p型不純物イオン34・・・ p型不純物35、36・・・ 空乏層37・・・ 電子電流の経路38・・・ 制御電源
Claims (2)
- シリコンカーバイトを主たる材料とする半導体装置であって、第2 導電型の第1 のドレイン層( 4 ) と、該第1 のドレイン層の主面側に選択的に形成した第1 導電型の埋め込み高濃度領域( 9 ) と、前記第1 のドレイン層及び前記埋め込み高濃度領域の上に形成し、前記第1 のドレイン層の不純物濃度よりも低いエピタキシャル成長により形成された第2 導電型の第2 のドレイン層( 3 ) と、前記第2 のドレイン層の主面にゲート絶縁膜( 2 ) を介して形成したゲート電極( 1 ) と、前記第2のドレイン層内で前記埋め込み高濃度領域に達する深さで形成した第1 導電型のベース領域( 8 ) と、前記ベース領域内で主面側に形成した第2 導電型のソース領域( 6 ) と、前記ベース領域内で当該ベース領域の不純物濃度よりも高く、前記ソース領域と前記埋め込み高濃度領域とに接続する第1 導電型のウェル領域( 7 ) と、前記ソース領域及び前記ウェル領域に導電接触するソース電極( 1 0 ) とを有することを特徴とする絶縁ゲート型半導体装置。
- シリコンカーバイトを主たる材料とする半導体装置の製造方法であって、第2導電型の第1 のドレイン層の主面側に選択的に第1導電型の高濃度ベース領域を形成する工程と、前記第1 のドレイン層および前記高濃度ベース領域の上に第2導電型の第2 のドレイン層をエピタキシャル成長により前記第1 のドレイン層の不純物濃度よりも低い不純物濃度で形成する工程と、前記第2 のドレイン層内に選択的に前記高濃度ベース領域に達する深さで第1 導電型のベース領域を形成する工程と、前記ベース領域内に選択的にその表面からイオン注入により第2導電型のソース領域を形成する工程と、前記ソース領域と前記第2 のドレイン層との間の前記ベース領域表面上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、前記ベース領域内に選択的に当該ベース領域の不純物濃度よりも高く、前記ソース領域と前記埋め込み高濃度領域とに接続する第1 導電型のウェル領域を形成する工程と、前記ソース領域及び前記ウェル領域に導電接触するソース電極を形成する工程とを有することを特徴とする絶縁ゲート型半導体装置の製造方法。
Priority Applications (1)
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