JP4016824B2 - 合成開口レーダ信号処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、移動する飛行体に搭載される合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar、以下SARとも記述する)によって得られるSAR画像生成用パルスデータを画像化して表示する合成開口レーダ信号処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リモートセンシングの分野において、航空機や衛星などの移動する飛行体に搭載し、資源探査や環境調査、偵察などを目的とした合成開口レーダ信号処理装置が実用化されている。
【0003】
このような合成開口レーダ信号処理装置において、アジマス方向にビームを複数照射することによりアジマス方向に高分解能化すると同時に、レンジ方向の観測幅拡大を行うマルチビーム合成開口レーダに関する技術が知られている(例えば、非特許文献1)。
【0004】
【非特許文献1】
藤坂貴彦他著「アジマス方向高分解能化とレンジ方向観測幅拡大を可能とするマルチビーム合成開口レーダ」、電子情報通信学会論文誌Vol. J82-B No.12、1999年12月、p.2345-2354
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、上記で述べられているようなアジマス方向のマルチビーム化などにより、アジマス方向の解像度を高分解能化しつつレンジ方向の観測幅拡大を行うと、アジマス方向のビーム照射幅はレンジが遠くなるに従って拡がりが大きくなるので、各レンジにおけるアジマス方向のビーム照射幅の違いが顕著になり、長方形領域の画像化を基本とする現在の信号処理装置では、画像化の対象となる最も近いレンジのアジマス方向のビーム照射幅に合わせたアジマス長分の画像化を行うため、遠いレンジでビームが照射されており、本来画像化が可能な領域であるにもかかわらず一度の信号処理で画像化が行われず、効率が悪いという問題がある。
【0006】
また、同様にアジマス方向の解像度を高分解能化しつつレンジ方向の観測幅拡大を行うと、各レンジにおいて所望のアジマス分解能を得るために必要となる飛行体の移動距離(以降、合成開口長)はレンジが遠くなるに従って長くなるので、各レンジにおいて必要となる合成開口長の違いが顕著になり、長方形領域の画像化を基本とする現在の信号処理装置では、画像化の対象となる最も遠いレンジの合成開口長を利用して全レンジの画像化を行うため、近いレンジにおいて画像化に必要な合成開口長に飛行体が達しているにも関わらず、画像化が直ちに行われないという問題があるだけでなく、近いレンジにおいて本来画像化可能な領域であるにもかかわらず一度の信号処理で画像化が行われず、効率が悪いという問題がある。
【0007】
さらに、同様にアジマス方向の解像度を高分解能化しつつレンジ方向の観測幅拡大を行うと、アジマス方向のビーム照射幅はレンジが近くなるに従って狭くなることから、長方形領域の画像化を基本とする現在の信号処理装置では、画像化の対象となる最も遠いレンジで必要となる合成開口長を利用して全レンジの画像化を行うため、飛行体が最も遠いレンジの合成開口長分を飛行する間、近いレンジにおいて継続してビームが照射されない領域が出てくる可能性があり、各レンジで必要となる合成開口長を用いれば、本来画像化可能な近いレンジの領域が画像化できないことになるという問題がある。
【0008】
この様な従来の技術などにより、アジマス方向の解像度を高分解能化しつつレンジ方向の観測幅を拡大する目的で、長方形領域の画像化を基本とする現在の信号処理装置を用いて画像化を行うには、レンジによって異なる画像化条件について配慮する余地がある。特に、リアルタイム性が求められる運用における画像化処理においては、効率よい処理方式が必要となるが、レンジによって異なる画像化条件を考慮に入れて画像化処理の効率化を行う装置は実現化されていない。
【0009】
この発明は、係る課題を解決するためになされたものであり、レンジ方向に観測幅が拡大した場合にも、各レンジにおけるアジマス方向のビーム照射幅に応じて効率よく画像化の信号処理を行わせ、継続して画像を得ることを目的とする。また、レンジ方向に観測幅が拡大した場合にも、各レンジにおける合成開口長に応じて効率よく画像化の信号処理を行わせ、継続して画像を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る合成開口レーダ信号処理装置は、移動する飛行体に搭載された合成開口レーダ(SAR)によって得られるSAR画像生成用パルスデータ及び飛行体の慣性データを入力するデータ入力部と、SAR画像生成に用いるパラメータをレンジ方向のサブパッチ画像毎に計算するパラメータ計算部と、パラメータ計算部により得られたパラメータに基づきサブパッチ画像毎に画像生成処理の開始及び終了を決定するタイミング制御部と、パラメータ計算部によって得られるパラメータ、並びにタイミング制御部によって得られるタイミングに基づきデータ入力部から継続して入力されるパルスデータをサブパッチ画像毎にSAR画像生成処理を行う信号処理装置と、信号処理装置より継続して得られる複数のサブパッチ画像をその位置に応じて表示する画像表示装置とを備えたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における合成開口レーダ信号処理装置の構成を示している。図に記載する合成開口レーダ1は、レーダパルスを送受信するアンテナや、飛行体の慣性データを計測する慣性センサ装置などによって構成されるが、ここではこの発明の要旨とする部分を説明するために詳細な構成は省略する。
【0012】
合成開口レーダ1は後述する飛行体8に搭載され、SAR画像生成用のパルスデータ及び飛行体8の慣性データを継続して観測を行い、合成開口レーダ信号処理装置7を構成するデータ入力部2へ出力する。
【0013】
データ入力部2は、合成開口レーダ1によって観測されたパルスデータ及び飛行体8の慣性データを継続して入力し、飛行体8の慣性データをタイミング制御部4へ、パルスデータを信号処理装置5へそれぞれ出力する。
【0014】
パラメータ計算部3はレンジ方向に分割される各サブパッチ画像毎の合成開口長及びアジマス方向の画像長を含めた画像化に必要なパラメータを計算してタイミング制御部4及び信号処理装置5へ出力する。
【0015】
タイミング制御部4は、パラメータ計算部3から入力されるレンジ方向に分割された各サブパッチ画像の合成開口長及びアジマス方向の画像長に基づき、データ入力部2から継続して入力される慣性データより飛行体8の自機位置計算を行うことによって、各サブパッチ画像がアジマス方向に連続して出力されるように画像化処理を開始するタイミングを決定するとともに、各サブパッチ画像の画像化に必要なパルスデータの入力が終了するタイミングを決定し、信号処理装置5へ出力する。
また、タイミング制御部4によって計算されるパルスデータ毎の飛行体8の自機位置は継続して信号処理装置5へ出力する。
【0016】
信号処理装置5は、データ入力部2、パラメータ計算部3、タイミング制御部4からそれぞれ入力される各データを用いて、レンジ方向に分割されたサブパッチ画像を、各々のサブパッチ画像についてタイミング制御部4より入力される画像化処理を開始するタイミングに従い、ストリップマップポーラフォーマット方式によって生成する信号処理を行い、生成されたサブパッチ画像及びタイミング制御部3より入力される飛行体の自機位置を画像表示装置6へ出力する。
【0017】
画像表示装置6は、信号処理装置5より入力されたサブパッチ画像及び飛行体8の自機位置を用いて複数のサブパッチ画像をレンジ方向及びアジマス方向に揃えて連続するようにしてディスプレイ装置へ画像の表示を行う。
以上説明したデータ入力部2、パラメータ計算部3、タイミング制御部4、信号処理装置5、画像表示装置6により、この実施の形態による合成開口レーダ信号処理装置7を構成する。
【0018】
図2は、パラメータ計算部3が計算を行うレンジ方向に分割された各サブパッチ画像の合成開口長とアジマス方向の画像長の詳細について示している。合成開口レーダ1を搭載した飛行体8が観測を開始した位置を基準点Oとし、レンジ方向をX軸、飛行体8の進行方向であるアジマス方向をY軸とした座標系を設定し、画像化を行うレンジ範囲13をレンジ方向に3つにサブパッチ分割を行った例を用いて説明する。
【0019】
図2では、X座標X0〜X1間のレンジ範囲のサブパッチ画像9を得るために、飛行体8は基準点OからY座標Y1まで移動する必要があることを示している。この移動距離Y1はサブパッチ画像9の最も遠いレンジ距離であるレンジX1を画像化するために必要となる合成開口長であり、レンジX1及び画像化が行われるアジマス分解能などによって計算される。ここで合成開口長は、アジマス分解能が一定であれば、画像化を行うレンジ範囲の最も遠いレンジ距離に比例して長くなる性質を持つ。
【0020】
また、図2ではサブパッチ画像9のアジマス方向の画像長がL1になることを示している。ここで画像長L1は、飛行体8が照射する基準点Oにおけるビーム照射範囲14と、飛行体8がサブパッチ画像9を得るために必要となる合成開口長分を移動したY座標Y1におけるビーム照射範囲15と、サブパッチ画像9の最も近いレンジ距離であるレンジX0によって計算される。ここでアジマス方向の画像長は、飛行体8が合成開口長分を飛行する間、常にビームが照射されている範囲によって計算され、各レンジにおけるアジマス方向のビーム照射幅が一定であれば合成開口長に反比例して短くなり、かつ、画像化を行うレンジ範囲の最も近いレンジ距離に比例して長くなる性質を持つ。
【0021】
以上のように、パラメータ計算部3はX座標X0〜X1間のサブパッチ画像9とそれに続く同一レンジ範囲のサブパッチ画像を得るために必要となる合成開口長Y1とアジマス方向の画像長L1を計算する。同様に、X座標X1〜X2間のサブパッチ画像10とそれに続く同一レンジ範囲のサブパッチ画像を得るためにレンジX2を用いて必要となる合成開口長Y2と、Y座標Y2におけるビーム照射範囲16を用いてアジマス方向の画像長L2を計算し、また、同様にX座標X2〜X3間のサブパッチ画像11とそれに続く同一レンジ範囲のサブパッチ画像を得るためにレンジX3を用いて必要となる合成開口長Y3と、Y座標Y3におけるビーム照射範囲17を用いてアジマス方向の画像長L3を計算する。
計算結果は全てタイミング制御部4及び信号処理装置5へ出力する。
【0022】
既に述べたように、合成開口長は画像化を行うレンジ範囲の最も遠いレンジ距離に比例して長くなるので、サブパッチ画像9、10、11とレンジ距離が遠くなるに従ってパラメータ計算部3によって計算される合成開口長はY1、Y2、Y3と長くなる。また、各サブパッチ画像のアジマス方向の画像長は、各サブパッチに必要となる合成開口長が長くなるにつれて狭くなる常にビームが照射されている範囲に影響され、かつ、各サブパッチ画像の最も近いレンジ距離に比例して長くなるので、各サブパッチ画像についてパラメータ計算部3によって計算されるアジマス方向の画像長L1、L2、L3の長さは揃わない。
【0023】
一方、図2において画像12はレンジ方向にサブパッチ分割せずに、上記と同一レンジ範囲13を画像化した場合を示している。また、たとえサブパッチ分割を行い画像化を行った場合でも、サブパッチ画像毎の合成開口長の計算とアジマス方向の画像長の計算を行わなければ、これらサブパッチ画像を連結した結果、同様の画像12が得られる。ここで画像12の合成開口長はレンジX3を用いて計算されるためサブパッチ画像11と同様のY3となるが、アジマス方向の画像長はY座標Y3におけるビーム照射範囲17とビーム照射範囲14、及び画像化を行うレンジ範囲13の最も近いレンジX0を用いて計算されるため、非常に短いL0となる。
【0024】
後述するが、パラメータ計算部3において計算されるアジマス方向の画像長は、タイミング制御部4において決定される画像化処理開始の間隔と信号処理装置5における処理負荷に大きく影響する。
【0025】
図3は、タイミング制御部4が行うレンジ方向に分割された各サブパッチ画像毎の画像生成処理の開始及び終了のタイミング決定の詳細について示している。ここでは、図2におけるサブパッチ画像9とそれに続く同一レンジ範囲のサブパッチ画像を得る場合を例にして説明する。
【0026】
図3では、飛行体8が観測を開始した位置である基準点Oは、サブパッチ画像9を得るために画像生成処理を開始するY座標S0と同じであることを示している。また図3では、既に図2で示したようにサブパッチ画像9を得るための合成開口長はY1、及びアジマス方向の画像長はL1であり、飛行体8がY座標S0からY座標Y1を移動する間、継続して観測されるパルスデータ全てがアジマス方向の画像長L1のサブパッチ画像9を得るために必要となることも示している。
【0027】
また図3では、サブパッチ画像9に続いて同一レンジ範囲のサブパッチ画像18を得る場合、飛行体8がY座標S1からY座標Y4まで移動する必要があることを示している。Y座標S1は前のサブパッチ画像9の画像化処理開始位置S0からアジマス方向の画像長L1分を移動した距離となる。また、Y座標Y4はサブパッチ画像18を得るためにY座標S1から画像化処理を開始していることから、Y座標S1から合成開口長Y1分を移動した距離となる。飛行体8のY座標S1及びY座標Y4にある時のそれぞれの位置におけるビーム照射範囲19及びビーム照射範囲20と、画像化を行うレンジ範囲の最も近いレンジ距離X0との関係から、サブパッチ画像18はサブパッチ画像9に続いてアジマス方向に連続した画像になる。
【0028】
画像化を行うレンジ範囲やアジマス分解能などの条件が変化しなければ、パラメータ計算部3が出力する同一レンジ範囲において、連続して生成されるサブパッチ画像の合成開口長及びアジマス方向の画像長は変化しないため、サブパッチ画像18以降のサブパッチ画像を得る場合の合成開口長及びアジマス方向の画像長はサブパッチ画像9と同一である。
【0029】
以上のことから、タイミング制御部4は、あるサブパッチ画像とそれに続く同一レンジ範囲のサブパッチ画像の画像化処理を開始するために、あるサブパッチ画像の画像化処理開始位置からアジマス方向の画像長分を飛行体8が移動すると、次のサブパッチ画像の処理開始を決定して信号処理装置5へ次のサブパッチ画像の画像化処理を開始することを出力する。また同時に、あるサブパッチ画像の画像化処理開始位置から合成開口長分を飛行体8が移動すると、該当するサブパッチ画像の画像化処理に必要となるパルスデータの入力が終わったことを信号処理装置5へ出力する。タイミング制御部4は、係る処理をレンジ方向に分割されている全てのサブパッチ画像分について飛行体8の移動分に応じて行う。
ここで、飛行体8の移動距離は、データ入力部2から継続して入力される慣性データによって計算できる自機位置により導出される。またここで計算される飛行体8の自機位置はパルスデータ毎に信号処理装置5へ出力される。
【0030】
この例では、アジマス方向の画像長に対して合成開口長が長いため、ある時点、例えば図3において、Y座標S1からY座標Y1において観測されるパルスデータは、アジマス方向に分かれる2つのサブパッチ画像を生成するために利用される。後述する信号処理装置5においては、1つの入力パルスデータに対して2通りの処理を行う必要が出てくるため負荷が増大することを示している。
【0031】
さらに、図2で示したようにパラメータ計算部3において行うレンジ方向のサブパッチ毎に合成開口長の計算を行わなず、画像化レンジ範囲13の最も遠いレンジ距離のみで合成開口長を計算し、最も近いレンジ距離でアジマス方向の画像長を計算することにより、アジマス方向の画像長L0が合成開口長Y3に対して極端に短くなり、後述する信号処理装置5においては、1つのパルスデータに対してアジマス方向の複数のサブパッチ画像についてそれぞれ処理を行う必要が出てくるため非常に負荷が増大する。
【0032】
図4は、この実施の形態において信号処理装置5が行うレンジ方向にサブパッチ分割された各サブパッチ画像を生成する処理手順をPAD図で示している。以下、図4に示したPAD図を用いて信号処理装置5における処理手順を説明する。
【0033】
信号処理装置5は、データ入力21においてデータ入力部2、パラメータ計算部3、タイミング制御部4からパルスデータ、画像化に用いるパラメータ、画像化のタイミング、飛行体8の自機位置を入力する。データ入力処理21はパルスデータ毎に引き続いて行われる処理を起動する。
【0034】
次にレンジ圧縮22では、データ入力21で入力されたパルスデータのレンジ方向の解像度を上げるレンジ圧縮処理を行う。次にレンジ方向のサブパッチ分割23では、レンジ圧縮されたパルスデータをレンジ方向にサブパッチ分割を行う。次に、レンジ方向のサブパッチ数分のループ24において引き続き行われる処理をレンジ方向のサブパッチ数分起動する。
【0035】
画像処理開始分岐25では、タイミング制御部4によって決定される該当するレンジ方向に分割されたサブパッチの画像化処理が行われるかどうかの情報により、画像処理を開始するならば、処理26において該当するレンジ方向に分割されたサブパッチにおいて、処理中であるアジマス方向のサブパッチ数を1加算する。
【0036】
次に、処理中のアジマス方向のサブパッチ数分のループ27では、該当するレンジ方向に分割されたサブパッチで処理が行われているアジマス方向のサブパッチ数分、引き続き行われる該当サブパッチ画像の画像化処理を起動する。
【0037】
次に、自機動揺補償28、レンジ補間29、アジマス補間30と続く処理では、ストリップマップ方式に従い、タイミング制御部4より入力される自機位置を用いて補償及び補間処理を行う。ここで、この3つの処理方式の詳細は割愛する。
【0038】
次にデータ終了分岐31ではタイミング制御部4によって決定される、該当するサブパッチ画像の生成に用いられるパルスデータが合成開口長に達したのでデータ入力が終了したかどうかの情報により、データ終了ならば、アジマス圧縮32以降の処理を実行する。データ終了でない場合、該当するサブパッチ画像のアジマス圧縮32を行うためにアジマス補間30まで処理を行ったデータをメモリ領域に保存し、ループ中の処理27、24、21のいずれかを継続する。
【0039】
次にアジマス圧縮32では、上記メモリ領域に保存された該当サブパッチ画像のアジマス方向の画像化を行うアジマス圧縮処理を各レンジ毎に行う。アジマス圧縮処理により生成された画像は、画像出力33により画像表示装置6へ出力される。次に処理34において処理中のアジマス方向のサブパッチ数を1減算する。
ここで、タイミング制御部4より入力される自機位置は、画像と共に画像表示装置6へ出力される。
以上のように、信号処理装置5では、継続して入力されるパルスデータの画像化処理を各サブパッチ画像について行う。
【0040】
また、レンジ方向のサブパッチ数分のループ処理24以降の各レンジ方向のサブパッチ画像化処理は、複数の演算処理ハードウェアによって信号処理装置5が構成されていれば、各サブパッチ画像の画像化処理を、複数の演算処理ハードウェアによって並列して行う。
【0041】
図5は、この実施の形態において画像表示装置6の動作を示している。図5において、画像表示装置6は、信号処理装置5から入力されるサブパッチ画像を保存するバッファ領域35と、入力された画像についてディスプレイ装置へ表示する位置を計算する画像位置演算部36と、画像位置演算部36によって得られる位置に基づきバッファ領域35上のサブパッチ画像を表示するディスプレイ装置37から構成されることを示している。
【0042】
図5では、飛行体8の進行方向であるアジマス方向を左から右、レンジ方向を下から上に設定し、複数のサブパッチ画像38を表示している。画像表示装置6は、信号処理装置5から入力されるサブパッチ画像をバッファ領域35へ保存し、入力された各サブパッチ画像の位置及び大きさと、同じく信号処理装置5から入力される自機位置によりアジマス方向、並びにレンジ方向に各サブパッチ画像が連続するようにディスプレイ装置上の表示位置を画像位置演算部36によって計算し、ディスプレイ装置37は画像位置演算部36によって得られた位置に基づきバッファ領域35に保存された画像の表示を行う。
【0043】
この例では、サブパッチ画像が出力される順番は、飛行体の進行方向に対して手前のサブパッチ画像GaからGb、Gc、Gd、Ge、Gf、…という順序で信号処理装置5から入力されるので、この順番の通りにディスプレイ装置37に出力されている。
また、この例では、左右にアジマス方向、上下にレンジ方向を設定したが、それぞれ逆向きに表示を行ってもよいし、左右にレンジ方向、上下にアジマス方向を設定して表示を行ってもよい。
【0044】
この実施の形態によれば、画像化を行うレンジ方向のサブパッチ画像毎に合成開口長及びアジマス方向の画像長の計算を行うパラメータ計算部3を設けたことにより、サブパッチ画像毎のアジマス方向のビーム照射幅を有効に利用して、アジマス方向により広い範囲の画像を得る画像生成を行なうことが可能となる。
【0045】
さらに、サブパッチ画像毎に画像処理開始を決定するタイミング制御部4を設けたことにより、サブパッチ画像毎のアジマス方向のビーム照射幅を有効に利用してアジマス方向に連続した一連のサブパッチ画像を得る画像生成を行うことが可能となる。
【0046】
また、サブパッチ画像毎に画像処理終了を決定するタイミング制御部4を設けたことにより、サブパッチ画像毎に画像を表示することが可能になるだけではなく、該当するサブパッチ画像の画像生成に利用するパルスデータの入力終了が明確になり、信号処理装置5の処理負荷を下げることができる。
【0047】
特に、パラメータ計算部3よって計算されるサブパッチ画像毎のアジマス方向の画像長が長くなることにより、タイミング制御部4によって決定される引き続き行われるサブパッチ画像の画像処理開始の間隔が長くなり、信号処理装置5の処理負荷を下げることができる。
さらに、レンジ方向の画像化範囲が長い場合で、画像生成に必要な合成開口長が長くなることにより、近いレンジにおいて常にビームが照射される幅が狭くなり、画像化が行えなくなるような場合にも、レンジ方向にサブパッチ分割を行い、パラメータ計算部3によってサブパッチ画像毎の合成開口長とアジマス方向の画像長を得ることにより、この近いレンジにおける画像化が可能となる。
【0048】
さらに、信号処理装置5を設けたことにより、パラメータ計算部3及びタイミング制御部4からの入力によりサブパッチ画像毎に画像を生成することが可能となる。
【0049】
また、複数の演算処理ハードウェアによって実現される信号処理装置5により、各サブパッチ画像の画像生成を並列に行うことが可能であり、より高速に画像を得ることができる。
【0050】
さらに、信号処理装置5が生成する各サブパッチ画像をバッファ領域35に保存し出力する画像表示装置6を設けたことにより、継続して信号処理装置5から出力されるサブパッチ画像を途切れることなく表示することができる。
【0051】
特に、信号処理装置5によって出力される各サブパッチ画像の位置と大きさに応じてディスプレイ装置に出力する表示位置を計算する画像位置演算部36を設けたことによって、サブパッチ画像毎に大きさや位置の異なる信号処理装置5の出力画像を、アジマス方向、並びにレンジ方向に連続した画像として表示することができる。
【0052】
実施の形態2.
実施の形態1における信号処理装置5の処理手順を示した図4において、レンジ圧縮22の後、レンジ方向のサブパッチ分割23を行っているが、サブパッチ分割後のパルスデータ毎にレンジ圧縮処理が可能であれば、この順序を入れ替えても同じ効果を得ることができる。
【0053】
さらに、この実施の形態2によればレンジ圧縮22をサブパッチ毎に処理することになることから並列処理が可能となり、複数の演算処理ハードウェアによって構成された信号処理装置5によってより高速に画像を得ることができる。
【0054】
実施の形態3.
上記実施の形態1もしくは実施の形態2において、画像表示装置6を図6に示すような画像表示装置39に置き換えることができる。
図6においてこの実施の形態における画像表示装置39の動作を説明する。
【0055】
図6において、画像表示装置39は、信号処理装置5から入力されるサブパッチ画像を保存するバッファ領域35と、入力された画像についてその位置と大きさ及び飛行体8の移動距離に応じてディスプレイ装置へ表示する位置を計算し、さらに、バッファ領域35上の画像をレンジ方向に連結して出力できるように画像を切り出す位置を計算する画像位置選択部40と、画像位置選択部40によって得られる表示位置及び画像の切り出し位置に基づきバッファ領域35上の各サブパッチ画像から画像を切り出し表示するディスプレイ装置41から構成されていることを示している。
【0056】
図6では、飛行体8の進行方向であるアジマス方向を左から右、レンジ方向を下から上に設定し、ストリップ状の複数の画像42を表示している。画像表示装置39は、信号処理装置5から入力されるサブパッチ画像をバッファ領域35へ保存し、入力された各サブパッチ画像の位置及び大きさと、同じく信号処理装置5から入力される自機位置によりアジマス方向、並びにレンジ方向に各サブパッチ画像が連続するようにディスプレイ装置上の表示位置を計算するだけでなく、飛行体8の移動距離に応じたアジマス方向の画像長分をレンジ方向に連結して、ディスプレイ装置上へ表示できるような切り出し位置の計算を画像位置選択部40によって行い、ディスプレイ装置41は画像位置選択部40によって得られた表示位置と切り出し位置に基づき、バッファ領域35に保存された画像の表示を行う。
【0057】
この例では、左右にアジマス方向、上下にレンジ方向を設定したが、それぞれ逆向きに表示を行ってもよいし、左右にレンジ方向、上下にアジマス方向を設定して表示を行ってもよい。また、ストリップ状の画像G1、G2、G3とそれ以降を続けてディスプレイ装置41へ表示する各ストリップ状画像の表示時間の間隔は、画像表示装置39を構成するバッファ領域35の大きさや画像位置選択部40の演算性能及びディスプレイ装置41の表示速度などの装置を実現するハードウェア性能を上限として、画像を見る人間によって決めることができるようにしてもよい。
【0058】
この実施の形態3によれば、飛行体の移動距離に応じた画像を表示する画像表示装置39を設けたことにより、飛行体の移動と画像の関係をより明確に表現することができる。信号処理装置においてレンジ方向に分割して画像化を行うことは画像化処理の都合であり、最終的に画像を見る人間にとっては、飛行体の移動距離に応じてストリップ状の全レンジ方向の画像が逐次表示される方がより自然で理解しやすいことは明らかである。
【0059】
【発明の効果】
この発明によれば、レンジ方向の画像化範囲が長くなった場合でもアジマス方向のビーム照射範囲を有効に利用し、かつ画像化の信号処理の負荷を下げてSAR画像を得ることができるため、効率のよい合成開口レーダ信号処理装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による合成開口レーダ信号処理装置の構成を説明するための図である。
【図2】 この発明の実施の形態1によるパラメータ計算部を説明するための図である。
【図3】 この発明の実施の形態1によるタイミング制御部を説明するための図である。
【図4】 この発明の実施の形態1による信号処理装置を説明するための図である。
【図5】 この発明の実施の形態1による画像表示装置を説明するための図である。
【図6】 この発明の実施の形態3による画像表示装置を説明するための図である。
【符号の説明】
1 合成開口レーダ、2 データ入力部、3 パラメータ計算部、4 タイミング制御部、5 信号処理装置、6 画像表示装置、7 合成開口レーダ信号処理装置、8 飛行体、35 バッファ領域、36 画像位置演算部、37 ディスプレイ装置、39 画像表示装置、40 画像位置選択部、41 ディスプレイ装置

Claims (7)

  1. 移動する飛行体に搭載された合成開口レーダ(SAR)によって得られるSAR画像生成用パルスデータ及び上記飛行体の慣性データを入力するデータ入力部と、
    レンジ方向に分割されたサブパッチ画像の最も遠いレンジを画像化するのに必要な合成開口長を求めるとともに、上記サブパッチ画像の画像生成処理開始位置におけるビーム照射範囲と、上記飛行体が上記画像生成処理開始位置からアジマス方向に上記合成開口長分移動した位置におけるビーム照射範囲と、上記サブパッチ画像の最も近いレンジにより上記サブパッチ画像のアジマス方向の画像長を求め、上記合成開口長と上記画像長をサブパッチ毎に出力するパラメータ計算部と、
    上記パラメータ計算部より入力される画像長と、上記慣性データから求めた上記飛行体の自機位置とを用いて、上記飛行体が上記画像生成処理開始位置からアジマス方向に画像長分移動した時点で、当該サブパッチ画像と同一レンジにあり上記飛行体の進行方向に隣接するサブパッチ画像の画像生成処理開始を示す隣接画像処理開始信号を出力し、上記パラメータ計算部より入力される合成開口長と上記自機位置とを用いて、上記飛行体が上記画像生成処理開始位置からアジマス方向に合成開口長分移動した時点で、当該サブパッチ画像に必要なパルスデータの入力が終了したことを示すパルスデータ入力終了信号を出力するタイミング制御部と、
    上記パラメータ計算部より出力された合成開口長と画像長、並びに上記タイミング制御部より出力された隣接画像処理開始信号、パルスデータ入力終了信号および上記飛行体の自機位置に基づき、上記データ入力部から継続して入力されるパルスデータを上記サブパッチ画像毎に画像生成処理を行う信号処理装置と、
    上記信号処理装置より継続して得られる複数のサブパッチ画像をその位置に応じて表示する画像表示装置と、
    を備えたことを特徴とする合成開口レーダ信号処理装置。
  2. 上記入力データ部より継続して入力されるパルスデータをレンジ方向に高解像度化するためにレンジ圧縮を行うレンジ圧縮処理と、レンジ圧縮後の各パルスデータをレンジ方向にサブパッチ分割を行うサブパッチ分割処理と、各サブパッチデータ毎に上記タイミング制御部より得られる各パルスデータ毎の飛行体の自機位置を用いてストリップマップ方式による自機動揺補償、レンジ補間、アジマス補間、アジマス圧縮を行い、画像化する信号処理装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の合成開口レーダ信号処理装置。
  3. 上記入力データ部より継続して入力されるパルスデータをレンジ方向にサブパッチ分割を行うサブパッチ分割処理と、各サブパッチデータ毎にレンジ圧縮を行うレンジ圧縮処理と、このレンジ圧縮後の各サブパッチデータ毎に上記タイミング制御部より得られる各パルスデータ毎の飛行体の自機位置を用いてストリップマップ方式による自機動揺補償、レンジ補間、アジマス補間、アジマス圧縮を行い、画像化する信号処理装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の合成開口レーダ信号処理装置。
  4. 上記サブパッチ分割以降の処理を上記サブパッチ画像毎に並列処理を行うことを特徴とする請求項もしくは請求項のいずれかに記載の信号処理装置。
  5. 上記信号処理装置より得られる夫々上記サブパッチ画像を保存するバッファ領域を備え、上記バッファ領域上の画像を表示するディスプレイ装置とを有する画像表示装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の合成開口レーダ信号処理装置。
  6. 上記信号処理装置より得られる夫々上記サブパッチ画像を、これら画像が得られた時点で画像の位置座標に基づき、アジマス方向、並びにレンジ方向に連続するよう画像を揃える画像位置演算部を備え、
    上記バッファ領域からディスプレイ装置へ少なくとも一度で表示することを特徴とする請求項記載の合成開口レーダ信号処理装置。
  7. 上記信号処理装置より得られる夫々上記サブパッチ画像を、上記タイミング制御部より得られる飛行体の自機位置に応じたアジマス方向の移動距離に相当するアジマス方向の画像領域とレンジ方向の全サブパッチ分の画像領域を切り出す画像位置選択部を備え、
    上記バッファ領域から上記ディスプレイ装置へ逐次表示することを特徴とする請求項記載の合成開口レーダ信号処理装置。
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