JP4016328B2 - 粘度測定方法および測定装置 - Google Patents

粘度測定方法および測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少量の液体や液膜などの粘度をレーザを用いて非接触で測定する方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の粘度測定方法としては、レーザトラッピング法を用いた方法が知られている。この測定方法は、ストークスの法則に基づいている。ストークスの法則は、粘度ηの液体中を半径Rの球が速度vで動くとき、その球に作用する粘性抵抗力Fが(1)式で与えられるということである。
【0003】
F=6πηRv (1)
(1)式からηについての(2)式が導かれる。
【0004】
η=(1/6πR)(F/v) (2)
したがって、半径Rが既知の粒子を用いると、速度vと抵抗力Fとを測定することにより粘度ηを求めることができる。
【0005】
従来のレーザトッラピング法を用いた粘度測定法は、測定対象中に分散した粒子にレーザを集光照射してトラッピングした状態で、レーザを走査することで粒子を運動させ、走査するレーザにトラップされた粒子が追従できなくなること、すなわち、トラップされていた粒子が集光照射位置から変位することを測定者が目視観察して追従できなくなる臨界条件(vとFの組合せ)を決定してηを求めるものであった。Fは、トラップされて運動している粒子が走査しているレーザに追従できなくなったときの臨界条件下でのトラップ力に等しいと考えられるので、臨界条件は、粒子がレーザトラップされている状態でvを一定にし、レーザ出力を徐々に小さくしてトラップ力を小さくすることによって決定される。また、臨界条件は、粒子がレーザトラップされている状態でトラップ力を一定にし、vを徐々に大きくすることによっても決定される(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
従来のレーザトラッピング法を用いた粘度測定装置は、測定対象中に分散された粒子をトラップするレーザ照射手段と、トラップされた粒子を運動させるためのレーザ走査手段と、粒子の運動を検出する手段と、からなり、走査されるレーザにトラップされた粒子が追従できなることを測定者が目視で観察・判定して臨界条件を決定していた(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
【非特許文献1】
岩下靖孝著、東京大学修士論文、2000年度、p.7−8
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の粘度測定方法および測定装置は、粒子をトラップするためにレーザを連続的に集光照射する必要があり、測定対象の粘度が高いと、トラップ力を大きくするために、高出力のレーザを集光照射する必要がある。高出力のレーザを連続的に集光照射すると、測定対象および粒子の温度が上昇し、測定対象が変質してしまう。したがって、従来のレーザトラッピング法を用いた粘度測定方法を塗料などの高粘度の測定対象に適用する場合、測定できなかったり、レーザに透明な測定対象に限定されたりといった制約を受けたりした。
【0009】
本発明は、測定対象および粒子の温度を上昇させないで、高粘度でも測定できる粘度測定方法および測定装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
1)本発明の粘度測定方法は、粘性体中に分散した粒子にレーザ照射手段によりレーザを照射して該レーザの光圧で該粒子を運動させることで該粒子に該粘性体の粘性抵抗力を作用させ、運動検出手段によりレーザ照射中の該粒子の運動を検出して該粘性体の粘度を測定することを特徴とする。
【0011】
粒子をトラップしないでレーザによる光圧で粒子を運動させるだけなので、高出力のレーザを集光照射しなくて良く、測定対象の粘性体の温度を上昇させず、高粘度でも測定することができる。
【0012】
粒子の運動を検出して粘度を求めるには、粒子の運動方程式を用いる。粒子の運動方程式は、半径Rの球状粒子にストークスの粘性抵抗力が作用する系とすると、位置xの時間変化(時間微分)について(1)式を使って、
m(d2x/dt2)=−6πηR(dx/dt)+f (3)
と表すことができる。ここで、mは粒子の質量であり、fはレーザによる作用力である。mとRは粒子によって決まる定数であり、fは粘度が既知の粘性体に関するxの時間変化から求められるので、粘度ηは位置xの時間変化から加速度(d2x/dt2)と速度(dx/dt)を算出することで、求められる。
【0013】
2)また、粘性体中に分散した粒子にレーザ照射手段によりレーザを照射して該レーザの光圧で該粒子を運動させることで該粒子に該粘性体の粘性抵抗力を作用させ、運動検出手段によりレーザ照射停止後の該粒子の運動の位置の時間変化から初速度および移動距離を算出して該粘性体の粘度を求めることもできる。
【0014】
レーザ照射停止後の粒子の運動は、f=0であるので、初速度をv0とすると、(3)式から
x=v0(m/6πηR)(1−exp(−6πηRt/m)) (4)
で表され、レーザ照射停止後の粒子の移動距離x∞は、t=∞における変位として(4)式から
x∞=v0(m/6πηR) (5)
となる。したがって、レーザ照射停止後の初速度v0と移動距離x∞を検出するだけで、粘度ηを求めることができる。すなわち、fを求める必要がない。
【0015】
3)本発明の粘度測定装置は、粘性体中に分散した粒子にレーザを照射して該レーザの光圧で該粒子を運動させることで該粒子に該粘性体の粘性抵抗力を作用させるレーザ照射手段と、該粒子の該運動を検出・解析する運動検出手段とを有し、該粒子の位置の時間変化から該粘性体の粘度を測定することを特徴とする。
【0016】
粒子をトラップしないでレーザによる光圧で粒子を運動させるだけなので、高出力のレーザを集光照射しなくて良く、測定対象の粘性体の温度を上昇させず、高粘度でも測定することができる。
【0017】
4)本発明の粘度測定装置は、さらに粒子へのレーザ照射を停止させるレーザ照射制御手段を有するものとすることができる。
【0018】
レーザ照射制御手段により粒子へのレーザ照射を停止することで、初速度v0と移動距離x∞を検出するだけで、粘度ηを求めることができる。
【0019】
5)前記レーザ照射手段は、前記粘性体中に分散した粒子に前記レーザを一定時間照射する手段であるとすることができる。
【0020】
レーザ照射制御手段なしで、初速度v0と移動距離x∞を検出するだけで、粘度ηを求めることができる。
【0021】
6)前記運動検出手段は、動画像撮影・解析装置を有するものとすることができる。
【0022】
動画像撮影・解析装置は、レーザ照射によって運動する粒子の像を捉えることができるので、その画像から粒子の径が求まり、測定対象の粘性体に分散させる粒子の粒度分布を小さく限定する必要がなくなる。
【0023】
7)前記運動検出手段は、さらに、前記粒子を照明する光源を有するものとすることができる。
【0024】
光源で粒子を照明することで、運動する粒子の動画像を鮮明に検出することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の粘度測定方法および測定装置は、レーザ照射による運動から粘度を測定するので、測定対象は塗料や高分子材料などの各種の粘性体であるが、測定対象の形状や形態に制限されることがなく、薄膜、積層膜を構成する各層、2種類以上の相からなる分散系を構成する各相等のような微少体積でも測定可能である。また、測定対象の温度は、測定対象が意図に反する不可逆的な変化をしない範囲であれば、制限がなく、温度を変化させる手段を付加して温度を変化させてもよい。
【0026】
粒子は、測定対象中で凝集することなく分散する粒子であればよい。測定対象中での凝集を防ぐために粒子の表面を処理してもよい。粒子に入射したレーザが完全に反射される場合の光圧は、完全に吸収される場合の光圧の2倍になる。したがって、レーザ照射によって大きな光圧を受けることが望ましいので、反射率の高い粒子が好ましい。
【0027】
粒子の形状は、特に限定されないが、球形が好ましい。球形の粒子の場合、前記(3)式が成立するので、測定精度が高くなる。粒子の径は、測定対象の3次元寸法より十分小さいことが要求される。十分小さい場合に前記(1)式が成立するからである。粒子径の分布は特に限定されないが、できるだけ小さいことが好ましい。粘度の算出には粒子径が不可欠であり、粒子径の分布が大きいと、粘度測定の都度、用いた粒子の径を測定する必要があるのに対し、粒子径の分布が十分小さいと、平均粒子径を粒子径として用いることができるので、測定の都度、粒子径を測定する必要がなくなるからである。
【0028】
測定対象中の粒子濃度は、照射する粒子を探すのに必要以上の時間がかからない範囲でできるだけ低いことが好ましい。濃度が高いと測定対象の粘度への粒子濃度の影響が無視できなくなるからである。
【0029】
レーザ照射手段は、レーザ光源を有し、レーザ光源からの指向性のよいレーザをそのまま測定対象に照射するものでよい。レーザ光源と測定対象の相対位置関係を固定してレーザが所定方向から照射されるようにするとよい。照射方向が変化すると、粒子の運動方向が変化し、粒子の位置の時間変化の測定に誤差が生じ、結果として粘度の測定精度が低下するからである。レーザ照射手段は、さらに、レンズ系を有し、レーザ光源からのレーザの指向性をレンズ系で高めて測定対象に照射するものが好ましい。粒子がレーザ照射方向と平行な方向に運動するので、粒子の位置の時間変化である加速度や速度などを精度良く測定できるからである。レーザ照射手段は、照射時間の設定・制御機能を有することが好ましい。照射時間を一定時間にすることができ初速度v0と移動距離x∞を測定するだけで、粘度ηを求めることができるからである。レーザ光源がパルス発振タイプであれば、照射時間はそのパルス幅になるので、別途レーザ照射制御手段を付加する必要がない。レーザ光源が連続発振タイプの場合は、例えば、レーザ光源の後にシャッタなどのレーザ照射制御手段を付加し、照射時間を一定時間にするようにしてもよい。
【0030】
レーザ照射制御手段として、レーザ照射位置制御装置を用いてもよい。レーザ照射位置制御装置は、例えば、測定対象を載置する移動テーブルとその駆動装置からなり、レーザ照射手段で所定方向からレーザを照射した状態で測定対象を移動させることで照射時間が一定時間に制御される。レーザ照射手段を上記の移動テーブルに固定して所定方向からレーザを照射した状態でレーザ照射手段を移動させることで照射時間を一定時間に制御してもよい。なお、これらの場合は、レーザ照射手段は、集光レンズなど有し、レーザを粒子に集光照射するものが好ましい。測定対象の僅かな移動で粒子へのレーザ照射が停止され、照射時間を短くすることができるからである。
【0031】
レーザ光源として、固体レーザ、気体レーザ、半導体レーザ等、各種のレーザを用いることができる。用いるレーザ光源の波長は、測定対象および粒子に及ぼす影響がないことが望ましく、具体的には、測定対象及び粒子による吸収等ができる限り小さいことが望ましい。レーザパワーは、測定対象及び粒子に悪影響を及ぼさない範囲でできる限り大きく、且つ可変であることが好ましい。レーザが粒子を運動させる光圧の大きさはレーザパワーに比例し、光圧が大きいほどより高濃度の測定ができるからである。用いるレーザ光源の横モードは、断面強度分布がガウス分布であるシングルモードが好ましい。マルチモードに比べ、指向性が高いからである。
【0032】
粒子の運動検出手段は、粒子の運動すなわち位置の時間変化や速度や加速度を求めることができるものであればよく、特に限定されない。運動検出手段に光学的手段、電気的手段、磁気的手段、音波的手段などを用いることができる。光学的手段としては、光検出器を有し、レーザ照射手段からのレーザあるいはレーザ手段とは異なる光源からの光と粒子の反射、吸収、散乱、蛍光等の相互作用による相互作用光(反射光、透過光、散乱光、蛍光、等)を検出するものが挙げられる。光検出器としては、フォトダイオード等の半導体光検出器や光電子増倍管等を用いることができる。光源としては、ハロゲンランプや高圧水銀ランプなどを用いることができる。
【0033】
光学的運動検出手段としては、動画像撮影・解析装置や4分割フォトダイオード・演算処理装置を用いてもよいが、動画像撮影・解析装置が好ましい。動画像撮影・解析装置は、レーザ照射によって運動する粒子の像を捉えることができるので、その画像から粒子の径が求まり、測定対象の粘性体に分散させる粒子の粒度分布を小さく限定する必要がなくなる。動画像撮影・解析装置としては、例えば、顕微鏡の接眼レンズの位置にセットされたビデオカメラと、そのカメラのビデオ信号を処理して解析する画像処理装置とを有する。顕微鏡で小さい粒子を拡大して撮像することで、粒子径や移動距離を高精度に測定することができる。なお、当然に画像処理装置がなくても、映像を測定者が手動で解析してもよい。
【0034】
電気的手段としては、静電容量式変位計等、磁気的手段としては、分散粒子を磁性体粒子にして磁気センサを用いるもの等、音波的手段としては、超音波変位計等を用いることができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0036】
実施例1. 図1は本発明の一実施例の粘度測定装置の概略構成図である。本実施例の粘度測定装置は、測定対象2中に分散した粒子を運動させるためのレーザ照射手段1と、運動する粒子21の運動を検出・解析する運動検出手段5と、から構成されている。
【0037】
測定対象2は、粘度が1Pa・sの塗料の中に粒径分布が広い半径1μmの球状シリカを10-3wt%添加した粘性体をガラス板3に膜厚が50μmとなるように塗布したものである。測定対象2が塗布されたガラス板3は、テーブル9の上に載置された中央に開口部をもつ可動架台8に水平にセットされている。
【0038】
レーザ照射手段1は、レーザ光源11とコリメータレンズ12を架台13に固定したもので、光軸イが垂線ニに対して45度になるように、架台13がテーブル9に載置した図示しないスタンドに固定されている。したがって、レーザ照射手段1からのレーザは、測定対象2に斜め45度下方から照射される。
【0039】
運動検出手段5は、顕微鏡52とその接眼部に接続されたビデオカメラ51と図示しない画像解析装置と別置きの光源54とからなり、光軸ロが垂線ニに対して45度、すなわち、レーザ照射手段1の光軸イと測定対象2内で直交するように顕微鏡52が測定対象2の斜め上方に図示しない取り付け治具でテーブル9に固定されている。光源54は、ハロゲンランプで、測定対象2の斜め下方に配置されている。
【0040】
レーザ光源11は、波長が680nmの連続発振半導体レーザで、レーザ光源11からのレーザは、指向性が悪いのでコリメータレンズ12で指向性が改善され、測定対象2に照射される。
【0041】
まず、ビデオカメラ51のモニターを観察しながら測定対象2を可動架台8により微動させ、光軸イと光軸ロが交差するポイントに粒子を移動させ、次にビデオカメラ51でその粒子を撮影しながら、レーザ光源11からレーザを発振させてレーザ照射を開始した。
【0042】
画像を再生したところ、粒子21はレーザ照射による光圧を受けてレーザ照射手段1の光軸イと同じ矢印ハ方向に加速された後、等速運動することが確認された。粒子の等速運動は加速度d2x/dt2=0であるので、(3)式から
0=−6πηR(dx/dt)+f
が成立する。再生画像を画像解析装置で解析したところRは1μm、速度(dx/dt)は1μm/sであった。粘度が既知の測定対象の解析結果からfを求めて上式に代入することで、測定対象の粘度が1Pa・sと求められた。
【0043】
比較例1. 図2は、実施例1の比較例の粘度測定装置の概略構成図である。比較例の粘度測定装置は、測定対象200中に分散した粒子をトラップするためのレーザ光源101と集光レンズ102とからなるレーザトラップ手段100と、集光照射位置を走査して、そこにトラップされた粒子に抵抗力を作用させるレーザ光走査装置400と、トラップ位置からの粒子の変位を検出する変位検出装置500と、から構成されている。
【0044】
測定対象200は実施例1と同じで、粘度が1Pa・sの塗料に粒径分布が広い半径1μmの球状シリカを10-3wt%添加した粘性体をガラス板300に膜厚が50μmとなるように塗布したものである。測定対象200が塗布されたガラス板300は、水平に保持された。
【0045】
レーザ光源101は、波長が680nmの連続発振半導体レーザであり、レーザ光源101からのレーザは、集光レンズ102で上方から測定対象200内に集光照射される。その集光照射位置に存在する粒子をトラップできるようにレーザ光源101のパワーが調節された。
【0046】
集光照射位置を走査して、そこにトラップされた粒子に抵抗力を作用させるレーザ光走査装置400は、ガルバノミラーである。本比較例では、ガルバノミラー400で集光照射位置が集光レンズ102の焦平面内で円を描くように、レーザ光源101からのレーザを走査した。
【0047】
変位検出装置500は、ビデオカメラ502を付設した顕微鏡501とハロゲンランプ503とハーフミラー504とからなる。顕微鏡501は測定対象200の上方に、ハロゲンランプ503は下方に設置され、顕微鏡501の光路にハーフミラー504が設置されている。したがって、ハロゲンランプ503からの光で粒子の顕微鏡観察とビデオ撮影ができるようになっている。
【0048】
まず、顕微鏡501で測定対象200中の粒子を観察しながら、ガルバノミラー400でレーザを走査して集光照射位置を粒子の位置に移動させ、粒子201をトラップした。集光照射位置をガルバノミラー400で半径5μm、周期0.1Hzの円運動させると、トラップされた粒子201は集光照射位置の円運動に追従して円運動するのが観察された。次にレーザ光源101のパワーを一定のまま周期を増加させたところ、周期0.35Hzで粒子201は集光照射位置から外れて測定対象200中で停止するのが観察された。
【0049】
粒子がトラップ位置から外れたとき(臨界条件)の円運動の半径は5μm、周期は0.35Hzで、速度vは10μm/sであった。ビデオカメラ502の画像を解析して粒子の半径は1μmであることがわかった。抵抗力Fは粘度が既知の測定対象による検量線から160pNと求まり、粒子の半径1μmから粘度が0.9Pa・sと求められた。
【0050】
実施例2.図3は、本発明の実施例2の粘度測定装置の概略構成図である。本実施例の粘度測定装置は、測定対象2’中に分散した粒子を運動させるためのレーザ照射手段1’と、運動する粒子21の運動を検出・解析する運動検出手段5と、から構成されている。
【0051】
測定対象2’は、粘度が0.5Pa・sの高分子溶融体の中に粒径分布が極めて小さい半径1μm、質量8×10-16kgの球状シリカを10-3wt%添加した粘性体をガラス板3に膜厚が100μmとなるように塗布したものである。測定対象2’が塗布されたガラス板3は、テーブル9の上に載置された中央に開口部をもつ可動架台8に水平にセットされている。
【0052】
レーザ照射手段1’は、レーザ光源11とコリメータレンズ12とレーザ照射制御手段としてのシャッタ14を架台13に固定したもので、光軸イが垂線ニに対して45度になるように、架台13がテーブル9に載置した図示しないスタンドに固定されている。したがって、レーザ照射手段1’からのレーザは、測定対象2’に斜め45度下方から照射される。
【0053】
運動検出手段5は、顕微鏡52とその接眼部に接続されたビデオカメラ51と図示しない画像解析装置と別置きの光源54とからなり、光軸ロが垂線ニに対して45度、すなわち、レーザ照射手段1’の光軸イと測定対象2内で直交するように顕微鏡52が測定対象2’の斜め上方に図示しない取り付け治具でテーブル9に固定されている。光源54は、ハロゲンランプで、測定対象2’の真上に配置されている。
【0054】
レーザ光源11は、波長が680nmの連続発振半導体レーザで、レーザ光源11からのレーザは、指向性が悪いのでコリメータレンズ12で指向性が改善され、シャッタ14で測定対象2’に一定時間照射される。
【0055】
まず、ビデオカメラ51のモニターを観察しながら測定対象2’を可動架台8により微動させ、光軸イと光軸ロが交差するポイントに粒子を移動させ、次にビデオカメラ51でその粒子を撮影しながら、レーザ光源11からレーザを発振させてシャッタ14を開にしてレーザ照射を開始し、その後シャッタ14を閉にしてレーザ照射を停止した。
【0056】
画像を再生したところ、粒子21はレーザ照射による光圧を受けてレーザ照射手段1’の光軸イと同じ矢印ハ方向に加速された後、等速運動し、その後シャッタ14の閉によってレーザ照射が停止されると、矢印ハ方向に僅かに移動して停止するのが観察された。レーザ照射を停止した後の粒子の移動距離は(5)式で与えられる。再生画像を画像解析装置で解析したところ初速度v0が10m/s、移動距離x∞が9nmと求められ、用いた粒子の質量mは8×10-16kg、半径Rが1μmであるので、これらを(5)式に代入することで、測定対象の粘度が0.5Pa・sと求められた。
【0057】
実施例3. 図4は本発明の実施例3の粘度測定装置の概略構成図である。本実施例の粘度測定装置は、測定対象2”中に分散した粒子を運動させるためのレーザ照射手段1”と、運動する粒子21’の運動を検出・解析する運動検出手段5’と、から構成されている。
【0058】
測定対象2”は、粘度が10-3Pa・sの水の中に粒径分布が極めて小さい半径1μm、質量8×10-14kgの球状金粒子を10-4wt%添加した粘性体をガラス板3に膜厚が100μmとなるように塗布したものである。測定対象2”が塗布されたガラス板3は、テーブル9の上に載置された中央に開口部をもつ可動架台8に水平にセットされている。
【0059】
レーザ照射手段1”は、レーザ光源11’を架台13に固定したもので、光軸イが垂線ニに対して45度になるように、架台13がテーブル9に載置した図示しないスタンドに固定されている。したがって、レーザ照射手段1”からのレーザは、測定対象2”に斜め45度下方から照射される。
【0060】
運動検出手段5’は、光学ベンチ53’に固定された4分割フォトダイオード51’および対物レンズ52’と別置きの光源54とからなり、光軸ロが垂線ニに対して45度、すなわち、レーザ照射手段1”の光軸イと測定対象2”内で直交するように光学ベンチ53’が測定対象2”の斜め上方に図示しない取り付け治具でテーブル9に固定されている。対物レンズ52’は光軸イと光軸ロが交差するポイントが4分割フォトダイオード51’の受光面に結像されるように調節されている。光源54は、ハロゲンランプで、測定対象2”の斜め下方に配置されている。したがって、ハロゲンランプ54の光で交差するポイントにある粒子が照明され、その粒子の位置の時間変化が4分割フォトダイオード51’で検出・記録される。
【0061】
レーザ光源11’は、波長が1064nmのパルス発振YAGレーザで、レーザ光源11’からのレーザシングルモードで指向性が高くそのまま測定対象2”に照射される。
【0062】
まず、測定対象2”を可動架台8により微動させ、光軸イと光軸ロが交差するポイントに粒子を移動させ、次にレーザ光源11’からパルス幅10nsのレーザを発振させて粒子にレーザを照射した。すると、粒子21’は光圧を受けてレーザ照射手段1”の光軸イと同じ矢印ハ方向に僅かに移動した後、停止した。レーザ照射後の粒子の運動は、(4)式に従うので、mは8×10-14kg、Rは1μmであり、測定された粒子の位置の時間変化についてv0とηをフィッティングパラメータとしてフィッティングすることにより、測定対象の粘度が10-3Pa・sと求められた。
【0063】
実施例4.図5は本発明の実施例4の粘度測定装置の概略構成図である。本実施例の粘度測定装置は、測定対象20中に分散した粒子を運動させるためのレーザ照射手段10と、運動する粒子21”の運動を検出・解析する運動検出手段5’と、レーザ照射制御手段としてのレーザ照射位置制御装置30とから構成されている。
【0064】
測定対象20は、粘度が1Pa・sのグリセリンの中に粒径分布が極めて小さい半径1μm、質量8×10-14kgの球状チタニア粒子を10-4wt%添加した粘性体をガラス板3に膜厚が100μmとなるように塗布したものである。測定対象20が塗布されたガラス板3の一端部が、テーブル9の上に載置されたレーザ照射位置制御装置30の移動ステージ31に水平に固定されている。
【0065】
レーザ照射手段10は、レーザ光源11”と集光レンズ12’を架台13に固定したもので、光軸イが垂線ニに対して30度になるように、架台13がテーブル9に載置した図示しないスタンドに固定されている。したがって、レーザ照射手段10からのレーザは、測定対象20内に斜め30度下方から集光照射される。レーザ光源11”は、波長が1064nmの連続発振YAGレーザである。
【0066】
運動検出手段5’は、光学ベンチ53’に固定された4分割フォトダイオード51’および対物レンズ52’と別置きの光源54とからなり、光軸ロが垂線ニに対して60度、すなわち、レーザ照射手段10の光軸イと測定対象20内で直交するように光学ベンチ53’が測定対象20の斜め上方に図示しない取り付け治具でテーブル9に固定されている。対物レンズ52’は光軸イと光軸ロが交差するポイントが4分割フォトダイオード51’の受光面に結像されるように調節されている。光源54は、ハロゲンランプで、測定対象20の真上に配置されている。したがって、ハロゲンランプ54の光で交差するポイントにある粒子が照明され、その粒子の位置の時間変化が4分割フォトダイオード51’で検出・記録される。
【0067】
照射位置制御装置30はパソコンで制御される駆動装置32と移動ステージ31からなっている。
【0068】
パソコンで測定対象20が固定されている移動ステージ31を動かすことによって、レーザが測定対象20中の粒子に集光照射される位置を自動的に選定し、レーザを1μsだけ照射すると、粒子21”は光圧を受けてレーザ照射手段10の光軸イと同じ矢印ハ方向に僅かに移動した後停止した。レーザ照射を停止した後の粒子の移動距離は(5)式で与えられる。運動検出手段5’で移動距離x∞が90nmと測定され、用いた粒子の質量mは8×10-14kg、半径Rが1μmと、粘度が既知の測定対象を測定した結果から求めたv0を(5)式に代入することで、測定対象の粘度が1Pa・sと求められた。
【0069】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の粘度測定方法および装置では、特許請求の範囲記載の構成を採用しているため、次のような優れた効果を奏することができる。
【0070】
本発明の粘度測定方法及び測定装置は、粒子をトラップしないでレーザによる光圧で粒子を運動させるだけなので、高出力のレーザを集光照射しなくて良く、測定対象の粘性体の温度を上昇させず、高粘度でも測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の粘度測定装置の概略構成図である。
【図2】比較例1の粘度測定装置の概略構成図である。
【図3】実施例2の粘度測定装置の概略構成図である。
【図4】実施例3の粘度測定装置の概略構成図である。
【図5】実施例4の粘度測定装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1、1’、1”、10・・・レーザ照射手段、5、5’・・・運動検出手段、14、30・・・レーザ照射制御手段(シャッタ、レーザ照射位置制御装置)

Claims (10)

  1. 粘性体中に分散した粒子にレーザ照射手段によりレーザを照射して該レーザの光圧で該粒子を運動させることで該粒子に該粘性体の粘性抵抗力を作用させ、運動検出手段によりレーザ照射中の該粒子の運動を検出して該粘性体の粘度を測定することを特徴とする粘度測定方法。
  2. 粘性体中に分散した粒子にレーザ照射手段によりレーザを照射して該レーザの光圧で該粒子を運動させることで該粒子に該粘性体の粘性抵抗力を作用させ、運動検出手段によりレーザ照射停止後の該粒子の位置の時間変化を検出して該粘性体の粘度を測定することを特徴とする粘度測定方法。
  3. 前記レーザ照射手段は、前記粘性体中に分散した粒子に前記レーザを一定時間照射する手段である請求項2に記載の粘度測定方法。
  4. 前記運動検出手段は、動画像撮影・解析装置を有する請求項1からのいずれか1項に記載の粘度測定方法。
  5. 前記運動検出手段は、さらに、前記粒子を照明する光源を有する請求項に記載の粘度測定方法。
  6. 粘性体中に分散した粒子にレーザを照射して該レーザの光圧で該粒子を運動させることで該粒子に該粘性体の粘性抵抗力を作用させるレーザ照射手段と、該粒子の該運動を検出・解析する運動検出手段とを有し、該粒子の位置の時間変化から該粘性体の粘度を測定することを特徴とする粘度測定装置。
  7. さらに、前記粒子への前記レーザ照射を停止させるレーザ照射制御手段を有する請求項に記載の粘度測定装置。
  8. 前記レーザ照射手段は、前記粘性体中に分散した粒子に前記レーザを一定時間照射する手段である請求項6に記載の粘度測定装置。
  9. 前記運動検出手段は、動画像撮影・解析装置を有する請求項6から8のいずれか1項に記載の粘度測定装置。
  10. 前記運動検出手段は、さらに、前記粒子を照明する光源を有する請求項9に記載の粘度測定装置。
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