JP4015840B2 - 液晶素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶素子に関し、特に、映像や文字情報を表示する液晶表示素子や光スイッチング素子等の光を制御する素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶素子は、ワードプロセッサやコンピュータ等のモニタ、投写型テレビや携帯用小型テレビの表示パネル、あるいは光スイッチング素子等の光を制御する素子として幅広く利用されている。このような液晶素子の代表例としては、ツイステッドネマティック(TN)液晶や、垂直配向(VA)液晶を用いた液晶素子等が挙げられる。
【0003】
一方、最近では、米国特許公報第4566758号に開示されたパイセル(Piセルまたはπセル)が、広視野角であるとともに液晶の応答速度が2msec程度と高速であるため、動画表示用のディスプレイとして注目されており、OCB(Optically Compensated Bend)液晶モードと呼ばれ研究開発が盛んに行われている。
【0004】
図9はこのようなOCB液晶モードの液晶素子の構成を示す断面図であり、(a)は液晶素子に低電圧が印加されて白表示となった状態を示す図、(b)は液晶素子に高電圧が印加されて黒表示となった状態を示図である。
【0005】
図9において、この液晶素子は、互いに対向する入射側基板303と出射側基板309との間にOCB液晶からなる液晶層306が挟持されている。入射側基板303の内面には電極304および配向膜305がこの順で積層されており、出射側基板309の内面には電極308および配向膜307がこの順で積層されている。これらの基板303,309の外面には、光学補償フィルム302,310および偏光板301,311がこの順でそれぞれ配設されている。
【0006】
このOCB液晶モードの液晶素子では、図9(a)に示すように、両基板304,308間に低電圧が印加された状態において液晶層306の中央付近の液晶分子が比較的湾曲した状態でベンド配向する。ここでは、このように液晶が比較的湾曲した状態で白表示となる(ノーマリーホワイトモード)。一方、両基板304,308間に高電圧を印加することにより、図9(b)に示すように中央付近の液晶分子が基板303,309に対して垂直方向に配向した状態となり黒表示となる。
【0007】
このようなOCB液晶モードの液晶素子において正面コントラストを向上させるためには、黒表示時における液晶素子の透過光量を極力少なくして光漏れを抑制する必要がある。なお、液晶素子のコントラストは、一般的に、白表示時の透過率(透過光量)を黒表示時の透過率(透過光量)で割った値で示され、黒表示時の透過率(透過光量)が小さい、すなわち黒表示時における光漏れが少ないほど、コントラストが大きくなるので好ましい。
【0008】
このようなOCB液晶モードの液晶素子において、黒表示時における光漏れを抑制する方法としては、前述のように入射光側および出射光側の基板303,309にそれぞれ光学補償フィルム302,310を挿入して光を補償する方法が一般的である。
【0009】
例えば、図9に示すような単純な構造を有する表示パネル、すなわち、TFT(Thin Film Transistor)やカラーフィルタ等を備えていない簡単な構造を有するOCB液晶モードの単純表示パネルを用いて正面コントラストを測定すると、500〜800の高い正面コントラストが得られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
一方、実際にモニタやテレビ用表示パネルに用いられている構造を有する表示パネル、すなわちTFTやカラーフィルタ等を備えた構造を有するOCB液晶モードの表示パネルを用いて正面コントラストを測定すると、100〜200と非常に低い値しか得られない。このような正面コントラスト低下の要因の1つには、斜めから入射した光によって生じる正面コントラストの低下が挙げられる。
【0011】
以下、図10を参照しながら、カラーフィルタオンアレイ構造を有するOCB液晶モードの液晶素子における正面コントラスト低下の発生機構について説明する。なお、カラーフィルタオンアレイ構造とは、TFTが設けられたアレイ基板にカラーフィルタが設けられた構造である。
【0012】
図10の液晶素子は、TFT(図示せず)が設けられ光の入射側にあたるアレイ基板407と光の出射側の対向基板401とが対向配置され、両基板401,407間にOCB液晶からなる液晶層420が挟持されてなる。対向基板401の内面には、電極402および配向膜403がこの順で積層されている。一方、TFTが設けられたアレイ基板407の内面にはソース線412が設けられ、ソース線412が形成されたアレイ基板407の表面を覆うようにカラーフィルタ406が設けられている。このカラーフィルタ406上にはさらに電極405および配向膜404がこの順で設けられている。対向基板401およびアレイ基板407の外面には、それぞれ光学補償フィルム411,408および偏光板410,409がこの順で配設されている。
【0013】
なお、この場合の液晶層420は、電極402,405間に高電圧が印加されて液晶層420の中央付近の液晶分子が基板401,407に対して垂直方向に配向した状態であり、この状態で液晶素子は黒表示となる。
【0014】
図10において、液晶素子に斜めに入射した光(以下、入射光という)413は、偏光板409、光学補償フィルム408およびアレイ基板407を斜めに通過してカラーフィルタ406に達する。このカラーフィルタ406において、入射光413は様々な方向に散乱される。ここでは、様々な方向に散乱される光のうち、入射方向と同一の斜め方向に進む光(以下、斜め通過光という)415と、両基板401,407の法線方向に進み液晶素子の正面を垂直に抜けてくる光(以下、正面通過光という)414とについて考える。
【0015】
斜め通過光415はカラーフィルタ406を斜めに通過し、さらに電極405、配向膜404、液晶層420、配向膜403、電極402、基板401、光学補償フィルム411および偏光板410中を斜めに通過してそのまま斜めに外部に出射しようとする。
【0016】
ここで、この液晶素子においては、このように斜めに抜けてくる斜め通過光415を補償するために、このような光に対して、光学補償フィルム408,411および液晶層420におけるリタデーション(位相差)の合計値がほぼ0になるように光学補償フィルム408,411および液晶層420のリタデーションの値が設定されており、また、このようにリタデーションが0になる時に液晶素子が黒表示となるように偏光板410,409の偏向軸が設定されている。このため、液晶素子の外部に斜め通過光415が出射するのを抑制することが可能となり、ほとんど光が漏れない。
【0017】
一方、カラーフィルタ406による散乱により液晶層420の法線方向に進むようになった正面通過光414は、カラーフィルタ406、電極405、配向膜404、液晶層420、配向膜403、電極402、基板401、光学補償フィルム411および偏光板410中を垂直に通過して液晶素子の正面を垂直に抜けてくる。
【0018】
ところで、このようなOCBモードの液晶素子においては、液晶素子のアレイ基板407側の偏光板409の主面から素子に垂直に入射し素子中を垂直に通過して外部に出射する光を補償するために、このような光に対して光学補償フィルム408,411および液晶層420におけるリタデーションの合計値がほぼ0になるように光学補償フィルム408,411および液晶層420のリタデーションの値が設定され、前述のようにその場合に黒表示となるように偏光板410,409の偏向軸が設定されている。このため、このように素子に垂直に入射しかつ素子中を垂直に進む光は液晶素子外部へ出射されない。
【0019】
一方、カラーフィルタ406により散乱されて液晶素子を垂直に抜けてくる正面通過光414は、液晶素子に垂直に入射し素子中を垂直に通過して外部に出射する光(以下、垂直通過光という)と比べて、カラーフィルタ406に達するまでに素子中を斜めに進んでくる点で異なった経路をたどる。この斜めに進む経路において正面通過光414は光学補償フィルム408を通過する。
【0020】
ここで、光学補償フィルム408では、このフィルム408を斜めに通過する正面通過光414に対してと垂直に通過する垂直通過光に対してとでリタデーションの値が異なっており、よって、光学補償フィルム408を光が斜めに通過する場合と垂直に通過する場合とでは光のリタデーションの値に差が生じる。このため、垂直通過光と正面通過光414とでは、光学補償フィルム408,411および液晶層420におけるリタデーションの合計値が光学補償フィルム408の分だけずれて異なった値となり、よって、正面通過光414のリタデーションは0からはずれる。このため、正面通過光414を補償することができず、その結果、正面通過光414が外部に出射するのを抑制することができずに光漏れが発生する。それにより、液晶素子において正面コントラストが低下する。
【0021】
上記のような黒表示の際の光漏れに起因するコントラストの低下は、素子の正面から漏れる光を光学補償フィルムで補償する必要がほとんどないTN液晶モードやVA液晶モードの素子に比べて、OCB液晶モードの液晶素子において特に顕著である。
【0022】
本発明は、OCB液晶モード素子における低コントラストの問題を解決するためになされたもので、OCB液晶モードの特徴である高速応答および広視野角に加えて正面コントラストの向上が実現された液晶素子を提供することを目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液晶素子は、互いに対向する第1、第2の基板間にベンド配向可能な液晶層が挟持され、前記第1の基板の主面にカラーフィルタが配設され、前記第1の基板の外側に第1の偏光板が配置され、前記第2の基板の外側に第2の偏光板が配置され、前記第1の基板と前記第1の偏光板との間および前記第2の基板と前記第2の偏光板との間の少なくともいずれかに少なくとも前記液晶層の法線方向におけるリタデーションを補償するための光学補償フィルムが配設された液晶素子であって、前記第1の基板と前記第1の偏光板との間における前記液晶層の法線方向のリタデーションと少なくとも1つの前記法線方向に斜めな方向のリタデーションとの差が、前記第2の基板と前記第2の偏光板との間における前記法線方向のリタデーションと前記斜めな方向のリタデーションとの差より小さいものである(請求項1)。
【0024】
かかる構成においては、液晶素子の斜めから入射した光がカラーフィルタにおいて散乱されて光の進行方向が変化し光が素子中を第1および第2の基板の法線方向に通過して素子の正面を垂直に抜けてくるようになっても、この光漏れを低減することが可能となる。このように、本発明に係る液晶素子においては、光漏れを低減することが可能となり、よって、正面コントラストの向上を実現することが可能となる。
【0025】
前記光学補償フィルムが、さらに視野角特性における前記液晶素子のリタデーションを補償するためのものであってもよい(請求項2)。かかる構成とすると、液晶素子において視野角補償することが可能となり、良好な視野角特性を実現することが可能となる。
【0026】
前記光学補償フィルムが、前記第2の基板と前記第2の偏光板との間にのみ配設されても良い(請求項3)。かかる構成においては、前記第1の基板と前記第1の偏光板との間に光学補償フィルムが配設されていないため、ここではリタデーションが生じない。よって、前記第1の基板と前記第1の偏光板との間における前記液晶層の法線方向のリタデーションと少なくとも1つの前記法線方向に斜めな方向のリタデーションとの差が、前記第2の基板と前記第2の偏光板との間における前記法線方向のリタデーションと前記斜めな方向のリタデーションとの差よりも小さくなる。
【0027】
前記光学補償フィルムが第1、第2の光学補償フィルムで構成され、前記第1の光学補償フィルムが前記第1の基板と前記第1の偏光板との間に配設され、前記第2の光学補償フィルムが前記第2の基板と前記第2の偏光板との間に配設され、前記第1の光学補償フィルムにおける前記法線方向のリタデーションと前記斜めな方向のリタデーションとの差が、前記第2の光学補償フィルムにおける前記法線方向のリタデーションと前記斜めな方向のリタデーションとの差より小さくてもよい(請求項4)。
【0028】
前記光学補償フィルムが、さらに視野角特性における前記液晶素子のリタデーションを補償するためのものであり、前記第1の光学補償フィルムが視野角特性における前記液晶素子の一部のリタデーションを補償する部分を有し、前記第2の光学補償フィルムが、視野角特性における前記液晶素子の残部のリタデーションを補償する部分と、前記液晶層全体の法線方向におけるリタデーションを補償する部分とを有していてもよい(請求項5)。
【0029】
前記視野角特性における前記液晶素子のリタデーションを補償する部分がディスコティック液晶層で構成され、前記液晶層の法線方向におけるリタデーションを補償する部分が2軸の位相差フィルムで構成されてもよい(請求項6)。
【0030】
かかる構成においては、2軸位相差フィルムの膜厚や構成材料を適宜選択することにより、このフィルムにおける位相差を所望の値に設定することが可能となる。
【0031】
前記少なくとも1つの前記法線方向に斜めな方向が、前記法線を含む任意の平面内において前記法線に対し所定角度をなす方向であってもよい(請求項7)。
【0032】
前記第1または第2の基板のいずれかにこれをアクティブマトリクス基板として機能させるための薄膜トランジスタが設けられ、前記薄膜トランジスタが設けられた基板の側から表示用の光が入射するよう構成されてもよい(請求項8)。
【0033】
かかる構成とすると、高い正面コントラストが実現されたアクティブマトリクス方式の液晶素子が得られる。この液晶素子においては、液晶素子の斜めから入射した光が薄膜トランジスタにおいて散乱されて光の進行方向が変化した場合においても、上記のカラーフィルタにおいて光が散乱された場合と同様に、散乱された光を補償することが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る液晶素子の構造を模式的に示す断面図である。
【0035】
図1において、液晶素子は、所定の間隔で対向するように配置された対向基板108とTFT基板114との間に液晶層120が挟持され、対向基板108の外面には偏光板133が配置されるとともに、TFT基板114の外面には光学補償フィルム134および偏光板132がこの順で配置されている。つまり、光学補償フィルムは対向基板108側のみに設けられ、TFT基板114側には設けられていない。
【0036】
対向基板108はガラス基板101を有し、ガラス基板101の内面には、ブラックマトリックス102が形成されるとともに、このブラックマトリックス102が形成されたガラス基板101の表面を覆うようにカラーフィルタ103が形成されている。このカラーフィルタ103上には、オーバーコート層104、透明電極106および配向膜107がこの順に形成されている。
【0037】
一方、TFT基板114は、内面にスイッチング素子としてのTFT(図示せず)、ソース線115およびゲート線(図示せず)が形成されたガラス基板110を有し、それらが形成されたガラス基板110の表面上に絶縁層118、透明電極112および配向膜113がこの順に形成されている。このように、本実施の形態の液晶素子は、スイッチング素子としてTFTを有するアクティブマトリクス方式の素子である。
【0038】
対向基板108とTFT基板114との間に挟持された液晶層120の液晶分子は、液晶素子に低電圧を印加した際にベンド配向を示すネマティック液晶分子である。すなわち、本実施の形態の液晶素子はOCB液晶モードの素子であり、液晶素子に低電圧が印加されて液晶分子が比較的湾曲したベンド配向を示した状態が白表示、また、図1のように液晶素子に高電圧が印加されて液晶層120の中央付近の液晶分子が対向基板108およびTFT基板114に対して垂直に配向した状態が黒表示となるノーマリーホワイトモードの素子である。なお、黒表示の場合、液晶層120の中央付近ではほとんどの液晶分子が対向基板108およびTFT基板114に対して垂直方向を向くが、対向基板108およびTFT基板114と液晶層120との界面の液晶分子は界面の規制力により基板108,114の主面に対してほぼ平行もしくは数度から30度程度傾いた状態を示す。
【0039】
光学補償フィルム134は、ガラス基板110側から順に、ディスコチック液晶層134aおよび2軸位相差フィルム134bが順に積層された多層構造を有する。2軸位相差フィルム134bは、正面方向における液晶層120及びディスコチック液晶層134aのリタデーションを相殺するように設定されている。以下、このような正面方向におけるリタデーションの設定を基本的なリタデーション設定と呼ぶ。また、ディスコチック液晶層134aのリタデーションは、視野角特性における液晶層120全体及びディスコチック液晶層134aのリタデーションを補償するよう設定されている。以下、このような視野角特性におけるリタデーションの設定を視野角補償用のリタデーション設定と呼ぶ。ここで、本実施の形態ではノーマリホワイトモードであるので、これらの設定は黒表示となる所定の高電圧が印加されたときの液晶層120の配向状態を基準に設定される。また、ノーマリブラックモードの場合にも、これらの設定は黒表示時を基準に設定されるため、電圧無印加もしくは低電圧が印加された時の液晶層120の配向状態を基準に設定される。このことは、以下の実施の形態においても、特に断らないが、同様である。そして、一対の偏光板132,133の偏光軸は、偏光板132から入射した光の偏光板133におけるリタデーションが丁度0である場合に、両者間における光の透過率がほぼ0になるように設定されている。なお、ディスコチック液晶層134aおよび2軸位相差フィルム134bのリタデーションは、一般に、厚さまたは構成材料を適宜選択することにより、所望の値に設定することが可能である。
【0040】
次に、以上のように構成された液晶素子の動作を説明する。
【0041】
図1において、透明電極112と透明電極106との間に黒表示電圧が印加されると、液晶層120は、図1に示すような中央付近の液晶分子が対向基板108およびTFT基板114に対して垂直方向を向いた状態になる。
【0042】
この状態で、光が液晶素子にTFT基板114側から斜めに入射すると、その入射光141は、偏光板132、光学補償フィルム134、ガラス基板110、透明電極112、配向膜113、液晶層120、配向膜107、透明電極106、オーバーコート層104を斜めに通過してカラーフィルタ103に達する。そして、カラーフィルタ103により入射光141は様々な方向に散乱される。この様々な方向に散乱された光のうち、入射方向と同一の斜め方向に進む光(以下、斜め直進光という)143と、液晶層120の法線方向(つまりガラス基板101,110の法線方向:以下、正面方向という)に進んで液晶素子の正面を垂直に抜けてくる光(以下、正面散乱光という)142とに着目する。
【0043】
そうすると、斜め直進光143は、カラーフィルタ103及びガラス基板101を斜めに通過して偏光板133から外部に出射しようとする。しかし、この斜め直進光143は、液晶素子に斜めに入射しそのまま素子中を斜めに進行するので、その過程で、液晶層120及び2軸位相差フィルム134bによって生じるリタデーションがディスコチック液晶層134aによって生じるリタデーションによってほぼ相殺されて、そのリタデーションがほぼ0になる。よって、この斜め直進光143は偏光板133からほとんど出射されず、その光漏れが防止される。
【0044】
一方、カラーフィルタ103により正面方向に散乱された正面散乱光142は、カラーフィルタ103及びガラス基板101を垂直に通過して偏光板133から外部に出射しようとする。この場合、正面散乱光142は、斜め直進光143とは異なる経路をたどるが、ガラス基板101側には光学補償フィルムが設けられていないため、正面散乱光142のリタデーションは光学補償フィルム134および液晶層120のリタデーションの合計値で決まる。したがって、光学補償フィルム134および液晶層120中を同一経路で通過してきた斜め直進光143と正面散乱光142との間にはリタデーションの差はなく、よって、正面散乱光142のリタデーションは斜め直進光143のリタデーションと同じくほぼ0になる。このため、カラーフィルタ103により散乱されて進行方向が変化した正面散乱光142も、前述の斜め直進光143と同様に補償される。したがって、正面散乱光142は外部ほとんど出射されず、光漏れが防止される。
【0045】
このように、本実施の形態の液晶素子においては、カラーフィルタ103を有する基板108側には光学補償フィルムを設けないので、斜めから入射してカラーフィルタ103で正面方向に散乱された光の漏れを防止することができる。このため、このような液晶素子においては、従来のOCB液晶モードの特徴である高速応答および広視野角が実現されるだけでなく、従来においては困難であった高い正面コントラストを実現することが可能となる。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2に係る液晶素子の構造を模式的に示す断面図である。なお、図2において、図1と同一の符号は同一または相当する部分を示している。
【0046】
本実施の形態における液晶素子では、対向基板108側のガラス基板101と偏光板133との間に光学補償フィルム135がさらに設けられている。この光学補償フィルム135は、正面方向および液晶層120の法線に斜めの方向(以下、斜め方向という)におけるリタデーションが、光学補償フィルム134の正面方向および斜め方向におけるリタデーションよりも小さくなるように設定されている。そして、この2つの補償フィルム134,135について、実施の形態1で述べた基本的なリタデーション設定及び視野角補償用のリタデーション設定がなされている。これ以外の点は実施の形態1の液晶素子と同様である。
【0047】
次に、このように構成された液晶素子の動作を説明する。この液晶素子では、黒表示時において、TFT基板114側から斜めに光が入射すると、この入射光141は、偏光板132、光学補償フィルム134、ガラス基板110、透明電極112、配向膜113、液晶層120、配向膜107、透明電極106、オーバーコート層104を斜めに通過してカラーフィルタ103に達する。そして、カラーフィルタ103により入射光141は様々な方向に散乱される。
【0048】
この散乱された光のうち、斜め直進光143は、カラーフィルタ103、ガラス基板101、および光学補償フィルム135を斜めに通過して偏光板133から外部に出射しようとする。しかし、実施の形態1で述べたように、この斜め直進光143のリタデーションは、その経路に存在する液晶層120および光学補償フィルム134,135によって生じるリタデーションが互いに相殺されてほぼ0となり、そのため、斜め直進光143は偏光板133から外部にほとんど出射されず、光漏れが防止される。
【0049】
一方、前記散乱された光のうち、正面散乱光142は、カラーフィルタ103、ガラス基板101、および光学補償フィルム135を垂直に通過して、偏光板133から外部に出射しようとする。したがって、光学補償フィルム135を垂直に通過する正面散乱光142のリタデーションは、光学補償フィルム135を斜めに通過する斜め直進光143のリタデーションとは異なる値となり差が生じる。しかしながら、本実施の形態では、光学補償フィルム135の正面方向および斜め方向におけるリタデーションが、光学補償フィルム134の正面方向および斜め方向におけるリタデーションよりも小さく設定されている。そのため、従来例のように、光学補償フィルム135の正面方向および斜め方向におけるリタデーションが、光学補償フィルム134の正面方向および斜め方向におけるリタデーションと同じに設定されている場合に比べて、斜め直進光143のリタデーションに対する正面散乱光142のリタデーションの差が小さくなり、その分、光漏れが低減される。
【0050】
このように、本実施の形態の液晶素子においては、カラーフィルタ103を有する対向基板108側の光学補償フィルム135の正面方向および斜め方向におけるリタデーションが、他方のTFT基板114側の光学補償フィルム134の正面方向および斜め方向におけるリタデーションよりも小さく設定されているので、斜めから入射してカラーフィルタ103で正面方向に散乱された光の漏れを、低減することができる。
【0051】
次に、光学補償フィルム135の変形例を説明する。上記構成例では、正面方向および斜め方向におけるリタデーションが、光学補償フィルム135の方が光学補償フィルム134よりも小さくなるようにしたが、液晶層120の法線を含む任意の平面内において前記法線方向から一定の角度、例えば前記法線方向から30度傾いた方向におけるリタデーションの平均値が光学補償フィルム135の方が光学補償フィルム134よりも小さい場合においても上記と同様の効果が得られる。
【0052】
また、正面方向におけるリタデーションが、光学補償フィルム135の方が光学補償フィルム134よりも小さい場合において、斜め方向におけるリタデーションは光学補償フィルム135の方が光学補償フィルム134よりも大きくてもよく、また、液晶層120の法線を含む任意の平面内において前記法線方向から一定の所定角度傾いた方向におけるリタデーションの平均値が光学補償フィルム135の方が光学補償フィルム134よりも小さい場合においては、前記法線方向から一定の角度傾いた方向以外の方向におけるリタデーションは光学補償フィルム135の方が光学補償フィルム134よりも大きくてもよい。これらの場合においては、上記と同様の効果が得られる。
【0053】
また、前記法線方向からの傾きが0度から90度までの全ての範囲を含む方向であり、この全ての方向におけるリタデーションの全ての平均値が光学補償フィルム135の方が光学補償フィルム134よりも小さい場合においては、より効果的に光漏れを防止して正面コントラストを向上させることができるのでさらに好ましい。
【0054】
続いて、本実施の形態の実施例について説明する。
[実施例1]
図3は本実施の形態の実施例1による液晶素子を模式的に示す断面図である。
【0055】
図3に示すように、本実施例では、光学補償フィルム135は、ディスコチック液晶層で構成される。このディスコチック液晶層135のリタデーションは、視野角特性における液晶層120の対向基板108側の半分のリタデーションを補償するよう設定されている。また、光学補償フィルム134は、ディスコチック液晶層134aと2軸位相差フィルム134bとで構成されている。そして、ディスコチック液晶層134bのリタデーションは、視野角特性における液晶層120のTFT基板114側の半分のリタデーションを補償するよう設定されている。また、2軸位相差フィルム134bは、正面方向における液晶層120全体のリタデーションを相殺するよう設定されている。
【0056】
このような構成とすると、対向基板108側の光学補償フィルム135のリタデーションがTFT基板114側の光学補償フィルム134のリタデーションより小さくなるので、前述の通り、その分、従来例に比べて光漏れを低減することができる。そして、実施の形態1と較べると、視野角特性を補償するためのディスコチック液晶層134a,135aが、液晶層120の各々の補償対象となる部分に近い位置に配置されているので、その分、視野角特性が向上する。
[実施例2]
図4は本実施の形態の実施例2による液晶素子を模式的に示す断面図である。
【0057】
図4に示すように、本実施例では、2つの基板108,114のいずれの側の光学補償フィルム135,134も、それぞれ、ガラス基板101,110側から順にディスコチック液晶層135a,134aおよび2軸位相差フィルム135b,134bが積層された2層構造を有している。そして、2つのディスコチック液晶層134a,135aのリタデーションが、視野角特性における液晶層120全体のリタデーションを補償するよう設定されている。また、2つの2軸位相差フィルム134b,135bが、正面方向における液晶層120全体のリタデーションを相殺するよう設定されている。そして、対向基板108側のディスコチック液晶層135aおよび2軸位相差フィルム135bの各々の正面方向および斜め方向におけるリタデーションが、それぞれ、TFT基板114側のディスコチック液晶層134aおよび2軸位相差フィルム134bの各々の正面方向および斜め方向におけるリタデーションよりも小さくなるように設定されている。具体的には、対向基板108側のディスコチック液晶層135aおよび2軸位相差フィルム135bの各々の厚さが、それぞれ、TFT基板114側のディスコチック液晶層134aおよび2軸位相差フィルム134bの各々の厚さよりも薄いものとなっている。
【0058】
このような構成としても、対向基板108側の光学補償フィルム135のリタデーションがTFT基板114側の光学補償フィルム134のリタデーションより小さくなるので、前述の通り、その分、従来例に比べて光漏れを低減することができる。
(実施の形態3)
図5は本発明の実施の形態3に係る液晶素子の構造を模式的に示す断面図である。図5において図1と同一符号は同一又は相当する部分を示している。
【0059】
図5に示すように、本実施の形態の液晶素子は、TFT基板217側にカラーフィルタ103が形成されたカラーフィルタオンアレイ構造を有し、これに伴って以下のように実施の形態1の液晶素子と異なる点を有している。これ以外の点は実施の形態1の液晶素子と同様である。
【0060】
すなわち、本実施の形態の液晶素子では、TFT基板217が、ガラス基板110の内面に、ブラックマトリクス102、このブラックマトリクス102を覆うカラーフィルタ103、TFT(図示せず)、ソース線およびゲート線(図示せず)、これらを覆う絶縁層118、透明電極112、並びに配向膜113が順に積層されて構成されている。また、対向基板216は、ガラス基板101の内面に、透明電極102および配向膜107がこの順に積層されて構成されている。そして、対向基板216側に、実施の形態1の光学補償フィルム134に相当する光学補償フィルタ135が配置され、TFT基板217側には光学補償フィルタは配置されていない。つまり、光学補償フィルタ135について、実施の形態1で述べた基本的なリタデーション設定及び視野角補償用のリタデーション設定がなされている。
【0061】
次に、以上のように構成された液晶素子の動作を説明する。黒表示状態において、液晶素子にTFT基板114側から斜めに光が入射すると、その入射光141は、偏光板132およびガラス基板110を斜めに通過してカラーフィルタ103に達し、そこで、カラーフィルタ103によって様々な方向に散乱される。
【0062】
この散乱された光のうち、斜め直進光143は、カラーフィルタ103、透明電極112、配向膜113、液晶層120、配向膜107、透明電極106、ガラス基板101および光学補償フィルム135を斜めに通過して、偏光板133から外部に出射しようとする。しかし、実施の形態1で述べたように、この斜め直進光143は、そのリタデーションがほぼ0であるので、偏光板133から外部にはほとんど出射されず、光漏れが防止される。
【0063】
一方、前記散乱された光のうち、正面散乱光142は、カラーフィルタ103、透明電極112、配向膜113、液晶層120、配向膜107、透明電極106、ガラス基板101および光学補償フィルム135を垂直に通過して、偏光板133から外部に出射しようとする。ここで、このような正面散乱光142は、素子に斜めに入射してからカラーフィルタ103に達するまで素子中を斜めに通過するため、素子に垂直に入射しそのまま素子中を垂直に通過する光、すなわち基本的なリタデーション設定がなされた光(以下、垂直通過光という)とは異なった経路をたどる。しかしながら、本実施の形態ではTFT基板217側に光学補償フィルムフィルムが設けられていないため、カラーフィルタ103に達するまでに入射光141が素子中を斜めに進む経路においてはリタデーションを生じない。したがって、正面散乱光142におけるリタデーションは、前述の垂直通過光のリタデーションと等しく、すなわち、前述のようにほぼ0となる。つまり、正面散乱光142は、垂直通過光と同様に補償され、偏光板133から外部には出射されず、光漏れが防止される。
【0064】
このように、本実施の形態の液晶素子においては、カラーフィルタ103を有するTFT基板217側には光学補償フィルムを設けないので、カラーフィルタオンアレイ構造の液晶素子において、斜めから入射してカラーフィルタ103で正面方向に散乱された光の漏れを防止することができる。
(実施の形態4)
図6は本発明の実施の形態4に係る液晶素子の構造を模式的に示す断面図である。なお、図6において、図1と同一の符号は同一または相当する部分を示している。
【0065】
本実施の形態における液晶素子では、TFT基板217側のガラス基板110と偏光板132との間に光学補償フィルム134がさらに設けられている。この光学補償フィルム134は、斜め方向におけるリタデーションが、光学補償フィルム135の正面方向および斜め方向におけるリタデーションよりも小さくなるように設定されている。そして、この2つの補償フィルム134,135について、実施の形態1で述べた基本的なリタデーション設定及び視野角補償用のリタデーション設定がなされている。これ以外の点は実施の形態3の液晶素子と同様である。
【0066】
次に、このように構成された液晶素子の動作を説明する。この液晶素子では、黒表示時において、TFT基板217側から斜めに光が入射すると、この入射光141は、偏光板132、光学補償フィルム134およびガラス基板110を斜めに通過してカラーフィルタ103に達する。そして、カラーフィルタ103により入射光141は様々な方向に散乱される。
【0067】
この散乱された光のうち、斜め直進光143は、カラーフィルタ103、透明電極112、配向膜113、液晶層120、配向膜107、透明電極106、ガラス基板101、および光学補償フィルム135を斜めに通過して偏光板133から外部に出射しようとする。しかし、この斜め直進光143のリタデーションは、その経路に存在する液晶層120および光学補償フィルム134,135によって生じるリタデーションが互いに相殺されてほぼ0となり、そのため、斜め直進光143は偏光板133から外部にほとんど出射されず、光漏れが防止される。
【0068】
一方、前記散乱された光のうち、正面散乱光142は、カラーフィルタ103、透明電極112、配向膜113、液晶層120、配向膜107、透明電極106、ガラス基板101および光学補償フィルム135を垂直に通過して、偏光板133から外部に出射しようとする。したがって、光学補償フィルム134を斜めに通過する正面散乱光142は、前述の垂直通過光とはリタデーションが異なる値となり差が生じる。しかしながら、本実施の形態では、光学補償フィルム134の正面方向および斜め方向におけるリタデーションが、光学補償フィルム135の正面方向および斜め方向におけるリタデーションよりも小さく設定されている。そのため、従来例のように、光学補償フィルム134の正面方向および斜め方向におけるリタデーションが、光学補償フィルム135の正面方向および斜め方向におけるリタデーションと同じに設定されている場合に比べて、垂直通過光のリタデーションに対する正面散乱光142のリタデーションの差が小さくなり、その分、光漏れが低減される。
【0069】
このように、本実施の形態の液晶素子においては、カラーフィルタ103を有するTFT基板217側の光学補償フィルム134の正面方向および斜め方向におけるリタデーションが、他方の対向基板216側の光学補償フィルム134の正面方向および斜め方向におけるリタデーションよりも小さく設定されているので、斜めから入射してカラーフィルタ103で正面方向に散乱された光の漏れを、低減することができる。
【0070】
次に、光学補償フィルム134の変形例を説明する。上記構成例では、正面方向および斜め方向におけるリタデーションが、光学補償フィルム134の方が光学補償フィルム135よりも小さくなるようにしたが、液晶層120の法線を含む任意の平面内において前記法線方向から一定の角度、例えば前記法線方向から30度傾いた方向におけるリタデーションの平均値が光学補償フィルム134の方が光学補償フィルム135よりも小さい場合においても上記と同様の効果が得られる。
【0071】
また、正面方向におけるリタデーションが、光学補償フィルム134の方が光学補償フィルム135よりも小さい場合において、斜め方向におけるリタデーションは光学補償フィルム134の方が光学補償フィルム135よりも大きくてもよく、また、液晶層120の法線を含む任意の平面内において前記法線方向から一定の所定角度傾いた方向におけるリタデーションの平均値が光学補償フィルム134の方が光学補償フィルム135よりも小さい場合においては、前記法線方向から一定の角度傾いた方向以外の方向におけるリタデーションは光学補償フィルム134の方が光学補償フィルム135よりも大きくてもよい。これらの場合においては、上記と同様の効果が得られる。
【0072】
また、前記法線方向からの傾きが0度から90度までの全ての範囲を含む方向であり、この全ての方向におけるリタデーションの全ての平均値が光学補償フィルム134の方が光学補償フィルム135よりも小さい場合においては、より効果的に光漏れを防止して正面コントラストを向上させることができるのでさらに好ましい。
【0073】
続いて、本実施の形態の実施例について説明する。
[実施例1]
図7は本実施の形態の実施例1による液晶素子を模式的に示す断面図である。
【0074】
図7に示すように、本実施例では、光学補償フィルム134は、ディスコチック液晶層で構成される。このディスコチック液晶層134のリタデーションは、視野角特性における液晶層120の対向基板216側の半分のリタデーションを補償するよう設定されている。また、光学補償フィルム135は、ディスコチック液晶層135aと2軸位相差フィルム135bとで構成されている。そして、ディスコチック液晶層135aのリタデーションは、視野角特性における液晶層120のTFT基板217側の半分のリタデーションを補償するよう設定されている。また、2軸位相差フィルム135bは、正面方向における液晶層120全体のリタデーションを相殺するよう設定されている。
【0075】
このような構成とすると、対向基板216側の光学補償フィルム134のリタデーションがTFT基板217側の光学補償フィルム135のリタデーションより小さくなるので、前述の通り、その分、従来例に比べて光漏れを低減することができる。そして、実施の形態3と較べると、視野角特性を補償するためのディスコチック液晶層134a,135aが、液晶層120の各々の補償対象となる部分に近い位置に配置されているので、その分、視野角特性が向上する。
[実施例2]
図8は本実施の形態の実施例2による液晶素子を模式的に示す断面図である。
【0076】
図8に示すように、本実施例では、2つの基板216,217のいずれの側の光学補償フィルム135,134も、それぞれ、ガラス基板101,110側から順にディスコチック液晶層135a,134aおよび2軸位相差フィルム135b,134bが積層された2層構造を有している。そして、2つのディスコチック液晶層134a,135aのリタデーションが、視野角特性における液晶層120全体のリタデーションを補償するよう設定されている。また、2つの2軸位相差フィルム134b,135bが、正面方向における液晶層120全体のリタデーションを相殺するよう設定されている。そして、TFT基板217側のディスコチック液晶層134aおよび2軸位相差フィルム134bの各々の正面方向および斜め方向におけるリタデーションが、それぞれ、対向基板216側のディスコチック液晶層135aおよび2軸位相差フィルム135bの各々の正面方向および斜め方向におけるリタデーションよりも小さくなるように設定されている。具体的には、TFT基板217側のディスコチック液晶層134aおよび2軸位相差フィルム134bの各々の厚さが、それぞれ、対向基板216側のディスコチック液晶層135aおよび2軸位相差フィルム135bの各々の厚さよりも薄いものとなっている。
【0077】
このような構成としても、TFT基板217側の光学補償フィルム134のリタデーションが対向基板216側の光学補償フィルム135のリタデーションより小さくなるので、前述の通り、その分、従来例に比べて光漏れを低減することができる。
【0078】
上記の実施の形態1〜4においては、液晶素子がTFT基板を備えたアクティブマトリクス方式である場合について説明したが、本発明をパッシブマトリクス方式の液晶素子に適用することも可能である。なお、本発明をアクティブマトリクス方式の液晶素子に適用すると、液晶素子に斜めに入射した光がTFTにより散乱されて光の進行方向が変化した場合においても上記と同様に光を補償することが可能である。
【0079】
また、上記の実施の形態1〜4においては、液晶素子がベンド配向したネマティック液晶から構成されるOCB液晶モードの素子である場合について説明したが、本発明に係る液晶素子はOCB液晶モードの素子に限定されるものではなく、ベンド配向したネマティック液晶から構成されるOCB液晶モード以外の素子であってもよい。
【0080】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したような形態で実施され、OCB液晶モードの特徴である高速応答および広視野角に加えて正面コントラストの向上が実現された液晶素子を提供することが可能であるという効果を奏する。このような液晶素子が実現されることにより、例えば、高品位の液晶モニター、液晶テレビ、携帯用表示素子、車搭載用表示素子、高信頼性のスイッチング素子を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る液晶素子の黒表示時における模式的な断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る液晶素子の黒表示時における模式的な断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態の実施例1に係る液晶素子の黒表示時における模式的な断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の実施例2に係る液晶素子の黒表示時における模式的な断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る液晶素子の黒表示時における模式的な断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る液晶素子の黒表示時における模式的な断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態の実施例1に係る液晶素子の黒表示時における模式的な断面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態の実施例2に係る液晶素子の黒表示時における模式的な断面図である。
【図9】OCB液晶モードの液晶素子を説明するための模式的な素子の断面図である。
【図10】図9の液晶素子における正面コントラストの低下の発生を説明するための模式的な素子の断面図である。
【符号の説明】
101,110,201,207 ガラス基板
102 ブラックマトリックス
103,206 カラーフィルタ
104 オーバーコート層
106,112,202,205 透明電極
107,113,203,204 配向膜
108 対向基板
114 TFT基板
120,220 液晶層
132,133,209,210 偏光板
134,135,208,211 光学補償フィルム
134a,135a,208a,211a ディスコチック液晶層
134b,135b,208b,211b 2軸位相差フィルム
141,142,143,213,214,215 光
212 ソース電極

Claims (10)

  1. 互いに対向する第1、第2の基板間にベンド配向可能な液晶層が挟持され、前記第1の基板の主面にカラーフィルタが配設され、前記第1の基板の外側に第1の偏光板が配置され、前記第2の基板の外側に第2の偏光板が配置され、前記第1の基板と前記第1の偏光板との間および前記第2の基板と前記第2の偏光板との間の少なくともいずれかに少なくとも前記液晶層の法線方向におけるリタデーションを補償するための光学補償フィルムが配設された液晶素子において、
    前記第1の基板と前記第1の偏光板との間における前記液晶層の法線方向のリタデーションと少なくとも1つの前記法線方向に斜めな方向のリタデーションとの差が、前記第2の基板と前記第2の偏光板との間における前記法線方向のリタデーションと前記斜めな方向のリタデーションとの差より小さい液晶素子。
  2. 前記光学補償フィルムが、さらに視野角特性における前記液晶素子のリタデーションを補償するためのものである請求項1記載の液晶素子。
  3. 前記光学補償フィルムが、前記第2の基板と前記第2の偏光板との間にのみ配設された請求項1記載の液晶素子。
  4. 前記光学補償フィルムが第1、第2の光学補償フィルムで構成され、前記第1の光学補償フィルムが前記第1の基板と前記第1の偏光板との間に配設され、前記第2の光学補償フィルムが前記第2の基板と前記第2の偏光板との間に配設され、
    前記第1の光学補償フィルムにおける前記法線方向のリタデーションと前記斜めな方向のリタデーションとの差が、前記第2の光学補償フィルムにおける前記法線方向のリタデーションと前記斜めな方向のリタデーションとの差より小さい請求項1記載の液晶素子。
  5. 前記光学補償フィルムが、さらに視野角特性における前記液晶素子のリタデーションを補償するためのものであり、
    前記第1の光学補償フィルムが視野角特性における前記液晶素子の一部のリタデーションを補償する部分を有し、
    前記第2の光学補償フィルムが、視野角特性における前記液晶素子の残部のリタデーションを補償する部分と、前記液晶層全体の法線方向におけるリタデーションを補償する部分とを有するものである請求項4記載の液晶素子。
  6. 前記視野角特性における前記液晶素子のリタデーションを補償する部分がディスコティック液晶層および2軸の位相差フィルムで構成される請求項2記載の液晶素子。
  7. 前記少なくとも1つの前記法線方向に斜めな方向が、前記法線を含む任意の平面内において前記法線に対し所定角度をなす方向である請求項1記載の液晶素子。
  8. 前記第1または第2の基板のいずれかにこれをアクティブマトリクス基板として機能させるための薄膜トランジスタが設けられ、前記薄膜トランジスタが設けられた基板の側から表示用の光が入射するよう構成された請求項1記載の液晶素子。
  9. 前記第1の基板が視認側であり、
    前記光学補償フィルムは、少なくとも前記第1の基板と前記第1の偏光板との間に配設されている請求項1記載の液晶素子。
  10. 前記第2の基板が視認側であり、
    前記光学補償フィルムは、少なくとも前記第2の基板と前記第2の偏光板との間に配設されている請求項1記載の液晶素子。
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