JP4015323B2 - インピーダンスボンド - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気車において用いられる軌道回路間を接続するインピーダンスボンドに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
インピーダンスボンドは電気車のレールの継目の両側に配置され、レール電流及び信号電流を伝達するものである。従来のインピーダンスボンドは、金属ケース内に鉄心とコイルからなる中身部材を収納し、この金属ケースと中身部材の間に絶縁と放熱のために樹脂を流し込み、この樹脂を冷却固定する構成となっていた。又、設置場所の縮小化に伴い、インピーダンスボンドのコンパクト化も要求され、このような観点から金属ケースの形状をできるだけ中身部材の形状に沿うものにすることが行われた。
【０００３】
図３は上記したような従来のインピーダンスボンドの一例を示し（特公平８−２４０８８号公報）、インピーダンスボンドの一部破断平面図を示している。図において、１は鉄心であり、鉄心１には一次コイル２及び図示しない二次コイル、三次コイルが巻回されて中身部材３が形成され、中身部材３は中身部材３の形状に沿った金属ケース４内に収納され、中身部材３と金属ケース４の間には絶縁樹脂５が充填され、絶縁樹脂５の冷却固化により中身部材３は金属ケース４内に固定される。中身部材３の発熱は絶縁樹脂５及び金属ケース４を介して外部に放出される。なお、２ａは一次コイル２の端子である一次端子であり、レールと接続され、２ｂは一次コイル２の中性点端子であり、もう一方のインピーダンスボンドの中性点端子と接続される。又、６ａ，７ａは二次コイル及び三次コイルの端子である二次端子、三次端子である。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
図４は図３に示したインピーダンスボンドと同様のインピーダンスボンドの半横断平面図を示し、このような従来のインピーダンスボンドにおいては、中身部材３を金属ケース４内にセットした状態で絶縁樹脂５を一度に流し込むことができ、製作が容易となった。一方、鉄心１と金属ケース４とが小さな隙間８を介して直接対向している部分では、この両者の電気的絶縁をとる必要はないが、振動や衝撃が発生した場合にこの両者が互いに傷付け合う恐れがあること、及び放熱上の問題により、鉄心１と金属ケース４との隙間８にも絶縁樹脂５を流し込むことが望ましい。しかし、この隙間８はコンパクト化のために他の部分と比べると小さくなり、この隙間８には絶縁樹脂５が流れ込み難くなり、空気層が残ることとなった。このため、この部分での放熱性が悪くなり、薄い樹脂層が形成された場合には鉄心１と金属ケース４が傷付け合うこととなり、クラックが生じ易くなった。さらに、金属ケース４は鋳造により製造しているので、硬化収縮により寸法誤差が大きく、隙間８が必要以上に大きくなり、コンパクト化に反することもあった。
【０００５】
この発明は上記のような課題を解決するために成されたものであり、鉄心とケースの間の放熱性を確保するとともに、この両者の傷付け合いを防止し、かつコンパクト化を増進することができるインピーダンスボンドを得ることを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るインピーダンスボンドは、鉄心とこの鉄心に巻回されたコイルからなる中身部材と、中身部材が収納されたケースと、鉄心の全外周囲とケースとの間に設けられたクッション層と、鉄心とケースが直接対向する部分を除いてクッション層およびコイルとケースとの間に充填された絶縁樹脂と、を備えたものである。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面とともに説明する。図１及び図２はこの実施形態によるインピーダンスボンドの半横断平面図及び半縦断側面図を示し、鉄心１の周囲にテープ状のネオプレンゴム（登録商標）を巻き付けてクッション層９を形成し、鉄心１と金属ケース４とが小さな隙間を介して直接対向する部分ではクッション層９と金属ケース４との間に隙間を設けず、従って絶縁樹脂５も注入しない。その他の構成は従来と同様である。なお、６は二次コイル、７は三次コイルである。
【０００８】
上記実施形態においては、鉄心１と金属ケース４とが小さい隙間を介して直接対向している部分では鉄心１と金属ケース４とが薄いクッション層９を介して近接して設けられており、一次コイル２などの発熱は鉄心１を介して放熱し易くなり、放熱性が良好となった。又、鉄心１と金属ケース４との間にはクッション層９が設けられているので、鉄心１と金属ケース４とが傷付け合うことはなく、クラックは生じ難くなった。熱応力によるクラックも生じ難くなった。さらに、金属ケース４の寸法誤差をクッション層９で吸収することができ、金属ケース４の製作が容易でコンパクト化が可能となった。又、鉄心１と金属ケース４とが直接対向している部分では、この両者の間に薄いクッション層９が設けられているだけであるから、全体的なコンパクト化が可能であり、樹脂量も低減することができ、作業時間も短縮された。
【０００９】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、鉄心とケースが直接対向している部分ではその間にクッション層が設けられているだけであり、鉄心とケースは近接して設けられ、鉄心からケースへの放熱はクッション層を介して良好に行われるとともに、構成もコンパクトとなり、樹脂量が低減されて樹脂の充填作業も容易となる。又、鉄心とケースの間にクッション層を設けたことにより鉄心やケースのクラック発生は防止される。さらに、ケースの製造で生じる寸法誤差をクッション層の調整により吸収することができ、これによってもコンパクト化が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図１】 この発明によるインピーダンスボンドの半横断平面図である。
【図２】 この発明によるインピーダンスボンドの半縦断側面図である。
【図３】 従来のインピーダンスボンドの一部破断平面図である。
【図４】 従来の他のインピーダンスボンドの半横断平面図である。
【符号の説明】
１・鉄心
２・一次コイル
３・中身部材
４・金属ケース
５・絶縁樹脂
６・二次コイル
７・三次コイル
９・クッション層

Claims (1)

1. 鉄心とこの鉄心に巻回されたコイルからなる中身部材と、中身部材が収納されたケースと、鉄心の全外周囲とケースとの間に設けられたクッション層と、鉄心とケースが直接対向する部分を除いてクッション層およびコイルとケースとの間に充填された絶縁樹脂と、を備えたことを特徴とするインピーダンスボンド。

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