JP4014824B2 - 手摺りの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は手摺りの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者の1人は直線部と屈曲部とを容易に形成できる手摺り(建築物用補助バー)について、先に特開2000−234429号を提案した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記公知発明の構成では真っ直ぐな剛性棒材(1)にコイル(2)を接続し、その剛性棒材(1)とコイル(2)を可撓性のチューブ(3)によって、連続的に被覆したものであるため、未だ次の諸問題がある。
【0004】
即ち、第1に手摺りとしての製造上、可撓性のチューブ(3)を剛性棒材(1)のみならず、コイル(2)に対しても被覆状態に通し込む必要があり、そのコイル(2)は自由に屈曲するため、すばやく完全に通し込み作業し難く、このことは手摺りの長くなれば長くなる程、顕著となる。
【0005】
第2に、手摺りの施工に当っても、これを両端部から相反する長手方向へ引っ張ると、そのコイル(2)や可撓性チューブ(3)が伸びることになるため、手摺り受けブラケット(6)の間隔ピッチが狂いやすく、特に手摺りの施工長さを常時一定として、その両端部を確固に安定良く支持させることが難しい。
【0006】
第3に、図3の施工状態から明白な如く、コイル(2)を内蔵した手摺りの屈曲部は、手摺り受けブラケット(6)により支持できず、その放置状態にある。その結果、この屈曲部を歩行者が強く握り締めた場合、手摺りの太さ(断面形状)がアット・ランダムに変形することとなり、又この屈曲部を握り持って径方向へ引っ張られた場合、その屈曲度のアット・ランダムに伸び変形してしまうため、極めて危険であり、手摺りとしての本来的な機能を達成することができない。このことは、中金(4)の介在を省略した図5の実施形態において、顕著に発生することが明白である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような諸問題の抜本的な解決を企図しており、そのために役立つ手摺りの製造法として、屈曲予定部を目的の屈曲度に応じた所要長さだけベローズ又はコルゲートとして、その外径が大きくともストレート本体部の外径とほぼ等しい寸法にバルジ成形された金属の芯管と、
【0008】
熱可塑性の合成樹脂エラストマー又は軟質合成樹脂から、内径が上記芯管におけるストレート本体部の外径よりも若干小さな寸法に押出成形された可撓性のカバーチューブとを用意して、
【0009】
そのカバーチューブを膨張し得る予備加熱状態に保つ一方、芯管の開口一端部を気密状態に受け止め固定した上、
【0010】
上記芯管の開口他端部からカバーチューブを、その送入空気の内圧により膨張させ乍ら芯管へ通し込むと共に、
【0011】
その通し込み後の復元収縮力により芯管へ固着一体化させることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、本発明の手摺り(H)は図1〜7の基本実施形態から明白なように、剛性な芯管(10)とその芯管(10)への全体的に通し込み一体化された可撓性のカバーチューブ(11)とから成る。
【0013】
先ず、芯管(10)は図4、5のような一定の外径(D)(例えば約28 mm )と厚み(T1)(例えば約1.0〜1.5 mm )並びに長さ(L)(例えば約2.0〜4.0m)を備えたステンレス鋼管やアルミ押出管などの金属管であり、その屈曲予定部(10a)が目的の屈曲度(θ)に応じた所要長さ(L1)だけベローズ又はコルゲートとして賦形され、ここから屈曲させることができるようになっている。(10b)はその余のストレート本体部を示している。
【0014】
上記屈曲予定部(10a)となるベローズ又はコルゲートは、芯管(10)のバルジ加工やその他の塑性加工によって、その凹部(x)と凸部(y)との交互する波型に賦形できるが、その場合凸部(y)が芯管(10)におけるストレート本体部(10b)の外周面から膨出すると、カバーチューブ(11)の通し込みが困難になるため、その屈曲予定部(10a)の外径(D1)をストレート本体部(10b)の外径(D)とほぼ等しいか、又は小さい寸法に設定する。
【0015】
次に、カバーチューブ(11)は熱可塑性の合成樹脂エラストマー又は軟質合成樹脂から図6、7のように、その内径(d)が上記芯管(10)におけるストレート本体部(10b)の外径(D)よりも若干小さい寸法として押出成形されている。
【0016】
しかも、そのカバーチューブ(11)の一定な厚み(T2)は例えば約3.5〜4.0 mm として、上記芯管(10)の厚み(T1)よりも相当厚く寸法化されており、これによって上記屈曲予定部(10a)のベローズ又はコルゲートを吸収し、その凹部(x)と凸部(y)が表出しないようになっている。
【0017】
上記カバーチューブ(11)には成形上、単一の着色カラーを与えたり、或いは図8、9の変形実施形態に示すような木目柄や抽象柄などの着色模様(12)を与えたりすることができる。又、上記芯管(10)へメッキや塗装などの表面処理による着色カラーを施す一方、そのカバーチューブ(11)を透明又は半透明として、芯管(10)の上記屈曲予定部(10a)を言わば波型模様として、外部から意図的に目視できるように定めても良い。
【0018】
殊更、上記カバーチューブ(11)をオレフィン系熱可塑性合成樹脂(ポリエチレンやポリプロピレンなど)エラストマー(商品名:住友TPE)の再生材とバージン材から、図8、9のように芯管(10)よりも厚肉で、且つそのバージン材が外層(11a)となり、再生材が内層(11b)となる2層構造に押出成形するならば、必要な上記厚み(T2)のカバーチューブ(11)を再生材の併用によって、安価に量産できるほか、そのオレフィン系熱可塑性合成樹脂エラストマーの優れた耐熱・耐寒性や耐候性などに基き、屋内のみならず、屋外でも支障なく使える手摺り(H)に仕上がる利点がある。
【0019】
何れにしても、カバーチューブ(11)の内径(d)は上記の通り、芯管(10)におけるストレート本体部(10b)の外径(D)よりも小さく寸法化されている関係上、これを芯管(10)へ通し込むに当っては、そのカバーチューブ(11)を膨張し得る予備状態に加熱する一方、上記芯管(10)の開口一端部を受け止め材(13)により気密状態に受け止め固定した上、その芯管(10)の開口他端部からカバーチューブ(11)を図10、11のように通し込むのであるが、その際芯管(10)の開口他端部から矢印(A)に示す如く、カバーチューブ(11)の内部へ空気を圧送して、その内圧により上記予備加熱状態にあるカバーチューブ(11)を膨張させ乍ら、芯管(10)の全体長さ(L)に亘って通し込む。
【0020】
又、上記カバーチューブ(11)を予じめ加熱する代りに、その内部へ熱風を圧送して膨張させることも可能であり、何れにしても芯管(10)への通し込み後には、その芯管(10)の上記受け止め材(13)を除去する。
【0021】
そして、上記芯管(10)への全体的な通し込み後、カバーチューブ(11)を自然冷却又は強制冷却させて、その復元的な収縮力により芯管(10)へ固着一体化するのである。そうすれば、カバーチューブ(11)が図1〜3のように芯管(10)のストレート本体部(10b)のみならず、屈曲予定部(10a)となるベローズ又はコルゲートの凹部(x)にも喰い付き密着する結果、芯管(10)に対し不慮に空転したり、その芯管(10)の長手方向に沿って滑り動いたりするおそれがない。
【0022】
尚、先に一言した長くとも約4.0mの芯管(10)であれば、そのカバーチューブ(11)の加熱による膨張と空気の内圧との相乗作用に基き、人手作業でも芯管(10)への全体的にカバーチューブ(11)を無理なく通し込むことができる。
【0023】
本発明の手摺り(H)は先に例示した約2.0〜4.0mの一定長さ(L)を有する芯管(10)と、そのカバーチューブ(11)とから成るストレート形態の製品として、小型コンパクトに整然と梱包や輸送、保管などを行なうことができ、施工時に上記芯管(10)の屈曲予定部(10a)から目的とする屈曲度(θ)に屈曲させると共に、同じくストレート本体部(10b)の中途部や端部が適当な各種手摺り受けブラケット(B)を介して建物の壁面(W)へ取り付け使用されることとなる。
【0024】
この点、図12、13は浴室(R)や便所にふさわしい手摺り(H)として、その芯管(10)における中間部と両端部付近との合計3個所に賦形されている屈曲予定部(10a)から、正面視のほぼL字型に屈曲された施工例を示しており、その壁面(W)へ向か う手摺り(H)の開口両端部には、帽子型のエンドキャップ(14)が被着一体化される。
【0025】
又、図14、15は階段(S)の段差に対応する手摺り(H)として、その芯管(10)における中間部の合計2個所から階段状に屈曲された施工例を示しており、このような手摺り(H)のストレートな端部を壁面(W)へ支持させる場合、その芯管(10)の開口端部へ図15のように、金属又は硬質合成樹脂(例えば商品名:ジュラコンやデルリンなどのエンジニアリングプラスチック)から成る盲栓(15)を埋設一体化しておく。(16)はその盲栓(15)の抜け止め用皿ビス又はノックピンである。
【0026】
つまり、手摺り受けブラケット(B)への取り付け用となる盲栓(15)を開口端部に埋め込み固定した芯管(10)へ、その後上記カバーチューブ(11)を通し込み一体化した製品−手摺り(H)として、予じめ作成準備しておき、その施工時に手摺り(H)の端部を図15のように、上記盲栓(15)へ螺入締結される複数のビス(17)を介して、手摺り受けブラケット(B)へ取り付け固定するのである。(18)はそのボックス型手摺り受けブラケット(B)の開閉カバーを示している。
【0027】
更に、図16、17は廊下(C)のコーナー部に沿う手摺り(H)として、その芯管(10)における中間部と両端部との合計3個所から平面視のほぼL字型に屈曲された施工例を示しており、このような手摺り(H)の屈曲する端部を壁面(W)へ支持させる場合にも、その芯管(10)の開口端部へやはり盲栓(15)を図17のように、予じめ皿ビスやノックピン(16)での抜け止め状態に埋設一体化しておく。その後、芯管(10)へカバーチューブ(11)が通し込み一体化された製品となることは、上記と同様である。
【0028】
そして、施工時に手摺り(H)の端部を同図のように、上記盲栓(15)へ螺入締結される複数のビス(17)によって、皿型の手摺り受けブラケット(B)へ取り付け固定するのである。上記手摺り(H)の屈曲する端部を壁面(W)へ、手摺り受けブラケット(B)によって取り付け固定せず、そのまま放置するような場合には、図18のような板型のエンドキャップ(19)をビス(20)により、上記盲栓(15)へ取り付けて化粧すれば良い。
【0029】
又、手摺り(H)の屈曲する端部を壁面(W)へ支持させる当り、その芯管(10)の開口端部に対する上記盲栓(15)の埋設を省略して、図19のようなボルト(21)とこれに螺合締結されたバネ座金(22)を用い、そのバネ座金(22)を上記芯管(10)の屈曲するベローズ又はコルゲートの凹部(x)へ抜け止め状態に係止固定してもさしつかえない。
【0030】
何れにしても、手摺り(H)の中途部を建物の壁面(W)へ支持させるべく、その芯管(10)のストレート本体部(10b)を手摺り受けブラケット(B)へ取り付けるに当っては、図20、21から示唆される如く、カバーチューブ(11)から芯管(10)に貫通する下穴(23)をネジ加工して、その下穴(23)へ螺合締結する複数の皿ビス(24)により、エルボ型手摺り受けブラケット(B)の受け座(25)と固定一体化すれば良い。そのエルボ型に代るチーズ型の手摺り受けブラケット(B)を採用して、上記下穴(23)のネジ加工を省略することも勿論可能である。
【0031】
又、先に例示した一定長さ(L)が約4.0mの手摺り(H)を、施工上継ぎ足し長尺化する必要がある場合には、図20から併せて明白な如く、その隣り合う手摺り(H)の開口端部同志に跨がる一定長さ(L2)の継ぎ手(26)を、予じめ芯管(10)の開口端部へ上記盲栓(15)と同様にして、皿ビスやノックピン(27)により抜け止め状態 に埋設一体化すると共に、その継ぎ足し連結された長尺な手摺り(H)へ、引き続きカバーチューブ(11)を通し込み一体化すれば良い。その継ぎ手(26)も上記盲栓(15)と同じく、金属や硬質合成樹脂から作成することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る手摺り(H)の製造法では請求項1に記載の通り、屈曲予定部(10a)を目的の屈曲度(θ)に応じた所要長さ(L1)だけベローズ又はコルゲートとして、その外径(D1)が大きくともストレート本体部(10b)の外径(D)とほぼ等しい寸法にバルジ成形された金属の芯管(10)と、
【0033】
熱可塑性の合成樹脂エラストマー又は軟質合成樹脂から、内径(d)が上記芯管(10)におけるストレート本体部(10b)の外径(D)よりも若干小さな寸法に押出成形された可撓性のカバーチューブ(11)とを用意して、
【0034】
そのカバーチューブ(11)を膨張し得る予備加熱状態に保つ一方、芯管(10)の開口一端部を気密状態に受け止め固定した上、
【0035】
上記芯管(10)の開口他端部からカバーチューブ(11)を、その送入空気の内圧により膨張させ乍ら芯管(10)へ通し込むと共に、
【0036】
その通し込み後の復元収縮力により芯管(10)へ固着一体化させるようになっているため、その芯管(10)に対するカバーチューブ(11)の通し込み上、金型やその他の特別な装置が不要であり、高度な技巧や豊富な経験も必要とすることなく、極めて容易に通し込み作業することができ、しかもカバーチューブ(11)が芯管(10)に対して空転したり、或いは滑り動いたりするおそれもなく、冒頭に述べた従来技術の諸問題がない使用上安全な手摺り(H)を得られる。
【0037】
殊更、請求項2の製造法を採用するならば、カバーチューブ(11)の必要な厚み(T2)を容易に確保することができ、量産効果を最大限に期待し得る効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る手摺りの基本実施形態を示す断面図である。
【図2】 図1の屈曲予定部を抽出して示す拡大図である。
【図3】 図2の3−3線断面図である。
【図4】 芯管の斜面図である。
【図5】 図4の5−5線に沿う拡大断面図である。
【図6】 カバーチューブの斜面図である。
【図7】 図6の7−7線に沿う拡大断面図である。
【図8】 カバーチューブの変形実施形態を示す斜面図である。
【図9】 図8の9−9線に沿う拡大断面図である。
【図10】 芯管に対するカバーチューブの通し込み作業過程を示す説明図である。
【図11】 図10に続くカバーチューブの通し込み状態を示す部分拡大図である。
【図12】 浴室に対する手摺りの施工例を示す斜面図である。
【図13】 図12の一部を拡大して示す断面平面図である。
【図14】 階段に沿う手摺りの施工例を示す斜面図である。
【図15】 図14の一部を拡大して示す断面平面図である。
【図16】 廊下のコーナー部に対応する手摺りの施工例を示す斜面図である。
【図17】 図16の一部を拡大して示す断面平面図である。
【図18】 図17と対応する別な施工状態を示す断面平面図である。
【図19】 図17と対応する更に別な施工状態を示す断面平面図である。
【図20】 芯管が継ぎ足し連結された手摺りの支持状態を示す一部破断の正面図である。
【図21】 図20の21−21線断面図である。
【符号の説明】
(10)・芯管
(10a)・屈曲予定部
(10b)・ストレート本体部
(11)・カバーチューブ
(11a)・外層
(11b)・内層
(12)・着色模様
(13)・受け止め材
(15)・盲栓
(26)・継ぎ手
(B)・手摺り受けブラケット
(H)・手摺り
(W)・壁面
(D)・芯管の外径
(D1)・屈曲予定部の外径
(L)・手摺りの長さ
(L1)・屈曲予定部の所要長さ
(T1)・芯管の厚み
(T2)・カバーチューブの厚み
(x)・凹部
(y)・凸部
(θ)・屈曲度
Claims (2)
- 屈曲予定部(10a)を目的の屈曲度(θ)に応じた所要長さ(L1)だけベローズ又はコルゲートとして、その外径(D1)が大きくともストレート本体部(10b)の外径(D)とほぼ等しい寸法にバルジ成形された金属の芯管(10)と、
熱可塑性の合成樹脂エラストマー又は軟質合成樹脂から、内径(d)が上記芯管(10)におけるストレート本体部(10b)の外径(D)よりも若干小さな寸法に押出成形された可撓性のカバーチューブ(11)とを用意して、
そのカバーチューブ(11)を膨張し得る予備加熱状態に保つ一方、芯管(10)の開口一端部を気密状態に受け止め固定した上、
上記芯管(10)の開口他端部からカバーチューブ(11)を、その送入空気の内圧により膨張させ乍ら芯管(10)へ通し込むと共に、
その通し込み後の復元収縮力により芯管(10)へ固着一体化させることを特徴とする手摺りの製造法。 - カバーチューブ(11)をオレフィン系熱可塑性合成樹脂エラストマーの再生材とバージン材から芯管(10)よりも厚肉で、且つそのバージン材が外層(11a)となり、再生材が内層(11b)となる2層構造に押出成形することを特徴とする請求項1記載の手摺りの製造法。
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